JP2015054798A - マイクロポンプにおけるガスの発生方法 - Google Patents

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良教 赤木
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修一郎 松本
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【課題】単位時間あたりのガス発生量を多くすることができるマイクロポンプにおけるガス発生方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ガス発生材を備えるマイクロポンプにおいて、ガスを発生させるガスの発生方法であって、アゾ化合物又はアジド化合物であるガス発生剤と、チオキサントン化合物又はフェノチアジン化合物である光増感剤とを含むガス発生材を用いて、前記ガス発生材に、波長380nm〜410nmの光を照射することにより、前記ガス発生材からガスを発生させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガス発生材を備えるマイクロポンプにおいて、ガスを発生させるガスの発生方法に関する。
近年、小型であり、かつ携帯性に優れる分析装置として、マイクロ流体デバイスを用いた分析装置が用いられてきている。このマイクロ流体デバイスを用いた分析装置では、マイクロ流路内でサンプルの送液、希釈、濃縮及び分析等を行うことができる。
上記マイクロ流体デバイスでは、マイクロ流路内におけるサンプルの送液等のために、マイクロポンプが設けられている。
下記の特許文献1には、熱又は光線によりガスを発生する材料を含むマイクロ全分析システムが開示されている。特許文献1では、上記熱又は光線によりガスを発生する材料として、アゾ化合物などの熱又は光線によりガスを発生する化合物、並びに光増感剤が挙げられている。
特許文献1では、上記光増感剤としては、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなどのアセトフェノン誘導体化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタールなどのケタール誘導体化合物;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィンオキシド;アシルホスフォナート;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(η5−シクロペンタジエニル)ビス(ペンタフルオロフェニル)チタニウム、ビス(η5−シクロペンタジエニル)ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピリ−1−イル)フェニル]チタニウム、アントラセン、ペリレン、コロネン、テトラセン、ベンズアントラセン、フェノチアジン、フラビン、アクリジン、ケトクマリン、チオキサントン誘導体、ベンゾフェノン、アセトフェノン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンが挙げられている。
また、下記の特許文献2には、マイクロポンプの用途は開示されていないが、バインダー樹脂として、刺激によりガスを発生するアジド化合物を含有する接着性製品が開示されている。特許文献2では、上記アジド化合物への光による刺激を増幅する効果が得られることから、光増感剤の使用が好ましいことが記載されている。また、特許文献2では、上記光増感剤として、チオキサントン増感剤が好適であることが記載されている。
特開2005−297102号公報 特開2003−147322号公報
特許文献1,2に記載のように、アゾ化合物やアジド化合物をガス発生剤として用いる場合に、光増感剤が用いられることがある。
しかしながら、これらの化合物を含むガス発生材に光を照射したときに、ガス発生材からガスを効果的に発生させることができないことがある。
本発明の目的は、単位時間あたりのガス発生量を多くすることができるマイクロポンプにおけるガス発生方法を提供することである。
本発明は、ガス発生材を備えるマイクロポンプにおいて、ガスを発生させるガスの発生方法である。
本発明の広い局面によれば、アゾ化合物又はアジド化合物であるガス発生剤と、チオキサントン化合物又はフェノチアジン化合物である光増感剤とを含むガス発生材を用いて、前記ガス発生材に、波長380nm〜410nmの光を照射することにより、前記ガス発生材からガスを発生させる、マイクロポンプにおけるガスの発生方法が提供される。
本発明に係るマイクロポンプにおけるガスの発生方法は、前記光増感剤として、チオキサントン化合物が用いられる。
本発明に係るマイクロポンプにおけるガスの発生方法は、前記マイクロポンプが、前記ガス発生材と、マイクロ流路が形成された基材とを備え、前記マイクロポンプにおいて、前記ガス発生材は、前記ガス発生材において発生したガスが前記マイクロ流路に供給されるように配されている。
本発明に係るマイクロポンプにおけるガスの発生方法は、アゾ化合物又はアジド化合物であるガス発生剤と、チオキサントン化合物又はフェノチアジン化合物である光増感剤とを含むガス発生材を用いて、上記ガス発生材に、波長380nm〜410nmの光を照射することにより、上記ガス発生材からガスを発生させるので、単位時間あたりのガス発生量を高めることができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るマイクロポンプにおけるガスの発生方法において用いられるマイクロポンプの略図的断面図である。 図2は、本発明の第2の実施形態に係るマイクロポンプにおけるガスの発生方法において用いられるマイクロポンプの略図的断面図である。 図3は、ガス発生材に用いられるガス発生剤の一例として、GAP4006(グリシジルアジドポリマー、日油社製)の吸収波長と吸光度との関係を示す図である。 図4(a)〜(c)は、ガス発生材に用いられる光増感剤であるチオキサントン化合物の一例として、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン及び2−クロロチオキサントンの吸収波長と吸光度との関係を示す図である。 図5は、ガス発生材に用いられる光増感剤であるフェノチアジン化合物の一例として、2−クロロフェノチアジンの吸収波長と吸光度との関係を示す図である。 図6(a)〜(c)は、光増感剤であるアントラセン化合物の一例として、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン及び9,10−ジブトキシアントラセンの吸収波長と吸光度との関係を示す図である。 図7(a)及び(b)は、光増感剤の一例として、TR−PSS−201及びTR−PSS−202の吸収波長と吸光度との関係を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、ガス発生材を備えるマイクロポンプにおいて、ガスを発生させるガスの発生方法である。
従来、アゾ化合物又はアジド化合物であるガス発生剤と、チオキサントン化合物又はフェノチアジン化合物である光増感剤とを含むガス発生材を用いる場合に、該ガス発生材からガスを発生させるためには、波長375nm又は波長375nm未満の光の照射が行われていた。
この理由は、上記の組成を有するガス発生材では、エネルギーのトランスファーを考慮したときに、ガス発生材の励起波長(350nm以下)に近い375nm以下の光の照射を行った方が、単位時間あたりのガスの発生量が多くなると考えられていたためである。
本発明者らは、アゾ化合物又はアジド化合物であるガス発生剤と、チオキサントン化合物又はフェノチアジン化合物である光増感剤とを含むガス発生材(以下、この組成を有するガス発生材を、ガス発生材(X)と記載することがある)を備えるマイクロポンプにおいて、単位時間あたりのガスの発生量をより一層高めるために検討を行った。この結果、本発明者らは、ガス発生材(X)に波長375nm以下の光を照射するよりも、ガス発生材(X)に波長380nm〜410nmの光を照射した方が、単位時間あたりのガスの発生量が高くなることを見出した。
アゾ化合物又はアジド化合物であるガス発生材の吸光度は、350nm以上では観測されない。チオキサントン化合物又はフェノチアジン化合物である光増感剤の吸光度に関しては、例えば、波長375nmにおける吸光度と波長395nmにおける吸光度とはほとんど変わらない。このような吸光度の関係があるにもかかわらず、ガス発生材(X)に波長380nm〜410nmの可視光線の照射することで、単位時間あたりのガスの発生量を多くすることができる。
ここで、上記の吸光度の関係を明らかにするために、図3に、ガス発生材(X)に用いられるガス発生剤の一例として、GAP4006(グリシジルアジドポリマー、日油社製)の吸収波長と吸光度との関係を示す。また、図4(a)〜(c)に、ガス発生材(X)に用いられる光増感剤であるチオキサントン化合物の一例として、2−イソプロピルチオキサントン(図4(a))、2,4−ジエチルチオキサントン(図4(b))及び2−クロロチオキサントン(図4(c))の吸収波長と吸光度との関係を示す。また、図5に、ガス発生材(X)に用いられる光増感剤であるフェノチアジン化合物の一例として、2−クロロフェノチアジンの吸収波長と吸光度との関係を示す。図6(a)〜(c)に、ガス発生材(X)に用いられる光増感剤ではないが、光増感剤であるアントラセン化合物の一例として、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン及び9,10−ジブトキシアントラセンの吸収波長と吸光度との関係を示す。図7(a)及び(b)に、ガス発生材(X)に用いられる光増感剤ではないが、光増感剤の一例として、TR−PSS−201及びTR−PSS−202の吸収波長と吸光度との関係を示す。
上記の吸収波長(nm)と吸光度との関係は、測定対象物質3mgをイソプロピルアルコール100gに溶解させた溶解液を用いて、日立製作所社製の分光光度計で測定された結果である。この測定において、石英ガラス製のセルが用いられ、光路長は10mmに設定される。
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
また、実施形態において参照する図面は、模式的に記載されており、図面に描画された物体の寸法の比率等は、現実の物体の寸法の比率等とは異なる場合がある。具体的な物体の寸法の比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るマイクロポンプにおけるガスの発生方法において用いられるマイクロポンプの略図的断面図である。
図1に示すマイクロポンプ1は、板状の基材10を備える。基材10を構成する材料としては、樹脂、ガラス及びセラミックス等が挙げられる。基材10を構成する樹脂としては、有機シロキサン化合物、ポリメタクリレート樹脂及びポリオレフィン樹脂等が挙げられる。上記ポリオレフィン樹脂としては、環状ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。上記有機シロキサン化合物の具体例としては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)及びポリメチル水素シロキサン等が挙げられる。
基材10には、主面10aに開口しているマイクロ流路10bが形成されている。
「マイクロ流路」とは、マイクロ流路を流れる液体に所謂マイクロ効果が発現する形状寸法に形成されている流路をいう。具体的には、「マイクロ流路」とは、マイクロ流路を流れる液体が、表面張力と毛細管現象との影響を強く受け、通常の寸法の流路を流れる液体とは異なる挙動を示す形状寸法に形成されている流路をいう。
主面10aの上には、フィルム状のガス発生材11aが貼り付けられている。ガス発生材11aは、上述したガス発生材(X)である。ガス発生材11aは、マイクロポンプ用ガス発生材である。マイクロ流路10bの開口は、ガス発生材11aにより覆われている。このため、ガス発生材11aに光又は熱等の外部刺激が加わることによりガス発生材11aから発生したガスは、マイクロ流路10bに導かれる。
ガス発生材11aの厚みは特に限定されない。ガス発生材11aの厚みは好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは500μm以下である。
ガス発生材11aは、ガスバリア層12により覆われている。ガスバリア層12により、ガス発生材11aにおいて発生したガスが、主面10aとは反対側に流出することが抑えられ、マイクロ流路10bに効率的に供給される。このため、ガスバリア層12は、ガス発生材11aにおいて発生したガスの透過性が低い層であることが好ましい。
ガスバリア層12を構成する材料としては、ポリアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ナイロン樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及びガラス等が挙げられる。
ガスバリア層12の厚みは、ガスバリア層12の材質等によって適宜変更でき、特に限定されない。ガスバリア層12の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは25μm以上、好ましくは1mm以下、より好ましくは100μm以下である。光を透過させる場合に、ガスバリア層12は、紫外線領域の光の減衰が起きにくい層であることが好ましい。
ガス発生材11aは、フィルムであることが好ましい。なお、フィルムにはテープ及びシートが含まれる。
マイクロポンプ1において、光の照射により、ガス発生材11aからガスを発生させるためには、例えば、光照射装置21からガス発生材11aに向かって矢印Xで示す方向に光を照射する。ガス発生材11aは上述した組成を有し、更にガス発生材11aに特定の波長の光を照射するので、マイクロポンプ1における単位時間あたりのガス発生量を多くすることができる。
上記マイクロポンプは、DNA増幅装置に好適に用いることができる。上記マイクロポンプを用いることによって、DNA増幅装置を小型化することができる。また、ガス圧発生装置をディスポーサブルにすることができ、メンテナンスを容易にすることができる。
図2は、本発明の第2の実施形態に係るマイクロポンプにおけるガスの発生方法において用いられるマイクロポンプの略図的断面図である。
図2に示すマイクロポンプ2は、ガス発生材11bの形状及び基材10の形状において、上記の実施形態に係るマイクロポンプ1と異なる。
第2の実施形態では、マイクロ流路10bは、基材10内に形成されたポンプ室10cに接続されている。ガス発生材11bは、ブロック状に形成されており、ポンプ室10c内に配されている。
第2の実施形態に係るマイクロポンプ2においても、マイクロポンプ1と同様に、高出力を実現することができる。
以下、上記ガス発生材に用いられる各成分の詳細を説明する。
(ガス発生剤)
上記ガス発生材(X)は上記ガス発生剤を含む。上記ガス発生剤は、アゾ化合物又はアジド化合物である。上記ガス発生剤は、熱又は光等の外部刺激が加わった際にガスを発生させる。上記アゾ化合物又は上記アジド化合物は、特に限定されず、公知のアゾ化合物又はアジド化合物であってもよい。上記ガス発生剤は、上記アゾ化合物であることが好ましく、上記アジド化合物であることも好ましい。上記ガス発生剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ガス発生剤として用いられる上記アゾ化合物の具体例としては、例えば、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルプロピル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルエチル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−プロピル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−エチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾイリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾイリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾイリン−2−イル)プロパン]ジサルフェイトジハイドロレート、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラハイドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾイリン−2−イル]プロパン}ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾイリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミダイン)ハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−アミノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシアシル)−2−メチル−プロピオンアミダイン]、2,2’−アゾビス{2−[N−(2−カルボキシエチル)アミダイン]プロパン}、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアンカルボニックアシッド)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタノイックアシッド)、及び2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が挙げられる。これらのアゾ化合物は、特定の波長域の光又は熱等の外部刺激を受けることにより窒素ガスを発生させる。
上記アゾ化合物は、衝撃によっては気体を発生しないことから、取り扱いが極めて容易である。上記アゾ化合物は、連鎖反応を起こして爆発的に気体を発生させることもない。上記アゾ化合物を用いれば、光の照射を中断することで気体の発生を中断させることもできる。このため、上記アゾ化合物を上記ガス発生剤として用いることによりガス発生量の制御が容易である。
上記ガス発生剤として用いられる上記アジド化合物としては、例えば、スルフォニルアジド基又はアジドメチル基を有するアジド化合物が挙げられる。上記アジド化合物は、スルフォニルアジド基又はアジドメチル基を有することが好ましい。上記アジド化合物は、スルフォニルアジド基を有することが好ましく、アジドメチル基を有することも好ましい。
上記スルフォニルアジド基を有する化合物の好ましい例としては、例えば、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015054798
上記式(1)において、R〜Rはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基、炭化水素基、炭化水素基に置換基が結合した基又はアルコキシ基である。上記式(1)中のR〜Rは同一であってもよく、異なっていてもよい。上記炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、環状であってもよい。上記炭化水素基は、飽和の炭化水素基であってもよく、不飽和の炭化水素基であってもよい。上記アルコキシ基は、置換基を有していてもよく、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。
上記式(1)において、R〜Rの内の少なくとも1つの基は、炭化水素基又は炭化水素基に置換基が結合した基であることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましい。R〜Rが炭化水素基又は炭化水素基に置換基が結合した基である場合に、該炭化水素基の炭素数は1以上、好ましく3以上、より好ましくは6以上、好ましくは30以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下である。また、上記炭化水素基に置換基が結合した基における置換基としては、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記式(1)のR〜Rにおいて、上記アルコキシ基の炭素数は1以上、好ましくは3以上、より好ましくは6以上、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは12以下である。また、上記アルコキシ基が置換基を有する場合に、該置換基としては、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記式(1)において、Rは、アミド基、炭化水素基、炭化水素基に置換基が結合した基又はアルコキシ基であることが好ましい。また、上記式(1)において、R,R,R及びRはそれぞれ、水素原子であることが好ましい。
アジドメチル基を有するアジド化合物としては、例えば、グリシジルアジドポリマーが挙げられる。上記グリシジルアジドポリマーとしては、側鎖にアジドメチル基を有し、かつ末端に水酸基を有する脂肪族ポリエーテルが好ましい。
側鎖にアジドメチル基を有し、かつ末端に水酸基を有する脂肪族ポリエーテルの好ましい例としては、例えば、下記式(2−1)で表されるアジド化合物が挙げられる。
H(B)(A)ORO(A)(B)H (2−1)
上記式(2−1)中、m+n=2〜20、m≧1、n≧1、q+r=10〜35、q≧5、r≧5であり、Aは、−OCHCHCHCH−、−OCHCH−、又はOCHCH(CH)−であり、Bは、−CHCH(CH)O−であり、Rは、−CHCH−、−CHCHCHCH−、−CHCH(CH)−、−[(CHCHO)CHCH]−、又は[(CHCHCHCHO)CHCHCHCH]−である。上記Rにおけるxは10〜25、yは5〜20である。
側鎖にアジドメチル基を有し、かつ末端に水酸基を有する脂肪族ポリエーテルの好ましい他の例としては、例えば、下記式(2−2)で表されるアジド化合物が挙げられる。
Figure 2015054798
上記式(2−2)において、mは、1〜20の整数、l+nは、7〜50の整数である。mは、好ましくは3以上、好ましくは15以下である。l+nは、好ましくは10以上、好ましくは30以下である。
側鎖にアジドメチル基を有し、かつ末端に水酸基を有する脂肪族ポリエーテルの好ましい他の例としては、例えば、下記式(2−3)で表されるアジド化合物が挙げられる。
Figure 2015054798
上記式(2−3)において、m1、m2及びm3はそれぞれ1〜20の整数であり、n1、n2及びn3はそれぞれ1〜20の整数である。
上記アジド化合物は、上記式(1)、(2−1)、(2−2)又は(2−3)で表されるアジド化合物であることが好ましい。上記アジド化合物は、上記式(1)で表されるアジド化合物であることが好ましく、上記式(2−1)、(2−2)又は(2−3)で表されるアジド化合物であることも好ましい。
上述したアジド化合物は、特定の波長域の光、熱、超音波又は衝撃等の外部刺激を受けることにより分解して、窒素ガスを発生させる。
上記ガス発生材(X)において、上記ガス発生剤の含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、好ましくは90質量%以下、より好ましくは75質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
(光増感剤)
上記ガス発生材(X)は、光増感剤を含む。上記光増感剤は、ガス発生剤への光による刺激を増幅する効果を有する。よって、上記ガス発生材(X)が光増感剤を含むことにより、少ない光照射量によって、ガスを発生させ、放出させることができる。
光増感剤としては、チオキサントン化合物、フェノチアジン化合物、アントラセン化合物、及びアクリドン化合物等が存在する。
本発明では、光増感剤として、チオキサントン化合物又はフェノチアジン化合物を選択して用いる。光増感剤として、チオキサントン化合物又はフェノチアジン化合物を用いることによって、他の光増感剤を用いた場合と比べて、単位時間あたりのガスの発生量をより一層多くすることができる。本発明では、チオキサントン化合物を用いてもよく、フェノチアジン化合物を用いてもよい。単位時間あたりのガス発生量をより一層多くする観点からは、チオキサントン化合物を用いることが好ましい。上記光増感剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
チオキサントンは、下記式(11)で表される化合物である。チオキサントン化合物は、下記式(11)で表される基本構造を有する。チオキサントン化合物では、下記式(11)におけるベンゼン環に、置換基が結合していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキル基及びアルコキシ基等が挙げられる。
Figure 2015054798
上記チオキサントン化合物の具体例としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、及び2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。
フェノチアジンは、下記式(12)で表される化合物である。フェノチアジン化合物は、下記式(12)で表される基本構造を有する。フェノチアジン化合物では、下記式(12)におけるベンゼン環に、置換基が結合していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキル基及びアルコキシ基等が挙げられる。
Figure 2015054798
上記フェノチアジン化合物の具体例としては、フェノチアジン、2−クロロフェノチアジン、2−メチルチオフェノチアジン、2−メトキシフェノチアジン、及び2−(トリフルオロメチル)フェノチアジン等が挙げられる。
上記ガス発生剤100質量部に対して、上記光増感剤の含有量は、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。また、上記光増感剤の含有量は、後述するアクリル系粘着剤100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、好ましくは30質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。上記光増感剤の含有量が上記下限以上であると、充分な光増感効果が得られる。上記光増感剤の含有量が上記上限以下であると、光増感剤に由来する残存物が少なくなり、充分にガスが発生されやすくなる。
(アクリル系粘着剤)
上記ガス発生材(X)は上記アクリル系粘着剤を含む。上記ガス発生材(X)が上記アクリル系粘着剤を含むことによって、上記ガス発生材(X)を基材などの接着対象部材に接着させることができる。さらに、上記ガス発生材(X)が上記アクリル系粘着剤を含むことによって、上記ガス発生材(X)を錠剤状、微粒子状及びフィルム状等の形態とすることが容易になる。上記ガス発生材(X)が錠剤状、微粒子状及びフィルム状等の形態であると、上記ガス発生材(X)を接着対象部材に容易に接着させることができる。また、上記ガス発生剤を上記ガス発生材(X)中に強固に保持することができる。上記アクリル系粘着剤は、上記ガス発生材(X)において、バインダー樹脂として用いることができる。上記アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。上記(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基又はメタクリロイル基を示す。上記アクリル系粘着剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記アクリル系粘着剤は特に限定されない。上記アクリル系粘着剤として、上記ガス発生剤を上記ガス発生材(X)中に保持することが可能である適宜のアクリル系粘着剤が用いられる。上記アクリル系粘着剤として、ポリ(メタ)アクリレート等の高分子材料を用いることができる。この高分子材料を構成するモノマーの共重合体を用いてもよい。すなわち、上記アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル重合体であることが好ましい。なお、上記(メタ)アクリル重合体には、(メタ)アクリル共重合体が含まれる。
上記アクリル系粘着剤のSP値は好ましくは7以上、好ましくは10.5以下である。上記アクリル系粘着剤のSP値が上記下限以上及び上記上限以下であると、アクリル系粘着剤とガス発生剤との相溶性がより一層良好になる。
上記アクリル系粘着剤におけるSP値(溶解度パラメータ)は、Fedors法(R.F.Fedors,Polym.Eng.Sci.,14,147(1974))を用いて算出可能である。
上記ポリ(メタ)アクリレートを構成する(メタ)アクリレートモノマーは、鎖状化合物及び環状化合物のいずれであってもよい。上記鎖状化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−メチルヘキシル、及び(メタ)アクリル酸ラウリル等が挙げられる。上記環状化合物としては、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、及び(メタ)アクリル酸イソボロニル等が挙げられる。これらのなかでも、(メタ)アクリル酸メチルが好ましい。
上記ポリ(メタ)アクリレートは、例えば、(メタ)アクリレートモノマーと、(メタ)アクリレートモノマーと共重合可能なビニルモノマーとの共重合体であってもよい。上記ビニルモノマーとしては、特に限定されず、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、(無水)マレイン酸、(無水)フマル酸、カルボキシアルキル(メタ)アクリレート類(カルボキシエチルアクリレートなど)のカルボキシル基含有ビニルモノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどの水酸基含有ビニルモノマー;(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルラウリロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレートなどの窒素含有ビニルモノマー等が挙げられる。上記ビニルモノマーは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記(メタ)アクリレートモノマーと上記ビニルモノマーとの組合せとしては、特に限定されず、(メタ)アクリル酸ブチルと(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ブチルと(メタ)アクリルアミド、及び(メタ)アクリル酸とN−イソプロピル(メタ)アクリルアミドとの組合せ等が挙げられる。(メタ)アクリレートモノマーとビニルモノマーとの共重合比(質量比)は、98:2〜51:49の範囲内であることが好ましい。
ガスの発生効率をより一層高めるために、上記ポリ(メタ)アクリレートは、ポリメチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ブチル・(メタ)アクリル酸共重合体、及び(メタ)アクリル酸ブチル・(メタ)アクリルアミド共重合体からなる群から選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。また、ガスの発生効率を更に一層高めるために、上記ポリ(メタ)アクリレートは、アミノ基又はカルボニル基を有することが好ましい。
上記アクリル系粘着剤の重量平均分子量は、好ましくは5万以上、より好ましくは60万以上、好ましくは200万以下、より好ましくは160万以下である。上記アクリル系粘着剤の重量平均分子量が上記下限以上であると、アクリル系粘着剤自体の凝集力の低下が抑えられ、上記ガス発生剤及び上記タッキファイヤーを上記ガス発生材(X)中に、強固に保持することができる。上記アクリル系粘着剤の重量平均分子量が上記上限以下であると、上記ガス発生材(X)を各種の形態に加工することが容易になる。
上記アクリル系粘着剤は、粘着性を有するので、上記マイクロポンプに上記ガス発生材(X)を容易に配置することができる。例えば、粘着性を有するフィルム状のガス発生材(X)は、上記マイクロポンプの基板面又は基板内部の壁面に容易に貼り付けることができる。
上記ガス発生剤100質量部に対して、上記アクリル系粘着剤の含有量は、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上、好ましくは300質量部以下、より好ましくは200質量部以下、更に好ましくは150質量部以下である。
(タッキファイヤー)
上記ガス発生材(X)は、上記タッキファイヤーを含むことが好ましい。上記タッキファイヤーの使用により、ガス発生材(X)の接着対象部材に対する初期接着力及び初期アンカー力がより一層高くなる。また、ガス発生材(X)の透明性をより一層高める観点からは、上記タッキファイヤーのハーゼン色数は200以下であることが好ましい。
透明性により一層優れたガス発生材(X)を得る観点からは、上記タッキファイヤーの上記ハーゼン色数は低いほどよい。上記タッキファイヤーの上記ハーゼン色数はより好ましくは100以下、更に好ましくは50以下である。
上記ハーゼン色数は、JIS K0071−1に準拠して測定される。上記ハーゼン色数は、例えば、コニカミノルタ社製の色彩色素計CT−5等を用いて測定可能である。
上記タッキファイヤーとしては、ロジン樹脂、テルペン樹脂、スチレン樹脂及び石油樹脂等が挙げられる。
ガス発生材(X)の接着対象部材に対する初期接着力及び初期アンカー力をより一層高くし、ガス発生材(X)におけるガスの発生に伴う接着力及びアンカー力の低下をより一層抑制する観点からは、上記タッキファイヤーは、ロジン樹脂であることが好ましく、ロジンエステル樹脂であることがより好ましい。上記タッキファイヤーは、(メタ)アクリロイル基を有していなくてもよい。
上記タッキファイヤーを用いる場合には、上記ガス発生材(X)において、上記ガス発生剤100質量部に対して、上記タッキファイヤーの含有量は、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、好ましくは50質量部以下、より好ましくは35質量部以下、更に好ましくは25質量部以下、特に好ましくは20質量部以下、最も好ましくは15質量部以下である。上記タッキファイヤーの含有量が上記下限以上であると、ガス発生材(X)の接着対象部材に対する初期接着力及び初期アンカー力がより一層高くなる。さらに、上記タッキファイヤーの含有量が上記上限以下であると、ガス発生材(X)の透明性がより一層高くなり、更に余剰の上記タッキファイヤーによるガス発生量の低下がより一層抑えられる。
(シランカップリング剤)
上記ガス発生材(X)は、シランカップリング剤を含むことが好ましい。上記シランカップリング剤の使用により、ガス発生材(X)の接着対象部材に対する初期接着力及び初期アンカー力がより一層高くなる。特に、上記タッキファイヤーと上記シランカップリング剤との併用は、ガス発生材(X)の接着対象部材に対する初期接着力及び初期アンカー力の向上に大きく寄与する。さらに、上記タッキファイヤーと上記シランカップリング剤との併用は、ガス発生材(X)におけるガスの発生に伴う接着力及びアンカー力の低下の抑制に大きく寄与する。上記シランカップリング剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記シランカップリング剤は、アミノ基を有するシランカップリング剤であることが好ましい。
アミノ基を有するシランカップリング剤の具体例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
上記シランカップリング剤を用いる場合には、上記ガス発生材(X)において、上記ガス発生剤100質量部に対して、上記シランカップリング剤の含有量は、好ましくは0.0001質量部以上、より好ましくは0.0003質量部以上、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.3質量部以下である。特に、アミノ基を有するシランカップリング剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であることが好ましい。上記シランカップリング剤の含有量が上記下限以上であると、ガス発生材(X)の接着対象部材に対する初期接着力及び初期アンカー力がより一層高くなる。上記シランカップリング剤の含有量が上記上限以下であると、余剰の上記シランカップリング剤によるガス発生量の低下がより一層抑えられる。
(第三級アミン)
上記ガス発生材(X)は、第三級アミンを含むことが好ましい。上記第三級アミンは特に限定されない。上記第三級アミンとしては、環状アミン、トリアルキルアミン及び芳香族アミン等が挙げられる。上記環状アミン及び上記芳香族アミンはそれぞれ、第三級アミンの構造を有する。上記第三級アミンは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記芳香族アミンの具体例としては、N,N−ジメチルアミノトルイジン、N,N−ジエチルアミノトルイジン、N,N−ジメチルアミノベンゼン、N,N−ジエチルアミノベンゼン、及びN,N、N’N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。
上記第三級アミンを用いる場合には、上記ガス発生剤100質量部に対して、上記第三級アミンの含有量は、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。上記第三級アミンの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記ガス発生材(X)における単位時間あたりのガス発生量が効果的に多くなり、保存安定性が効果的に高くなる。
(他の成分)
上記ガス発生材(X)は、架橋剤及び無機充填材等を含んでもいてもよい。上記ガス発生材(X)は、上記架橋剤を含むことがより好ましい。但し、上記ガス発生材(X)は、上記架橋剤を含んでいなくてもよい。上記架橋剤の使用により、上記ガス発生材(X)の初期接着力がより一層高くなる。
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されず、要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
以下の材料を用意した。
(アクリル系粘着剤)
(合成例1)アクリル系粘着剤Aの合成
n−ブチルアクリレート(日本触媒社製)96質量部と、アクリル酸(日本触媒社製)4質量部と、イルガキュア907(長瀬産業社製)0.05質量部と、酢酸エチル200質量部とを混合して、混合物を得た。次に、この混合物に、紫外線を4時間照射して、アクリル共重合体であるアクリル系粘着剤Aを作製した。得られたアクリル系粘着剤Aの重量平均分子量は、約61万であった。得られたアクリル系粘着剤AのSP値は7以上、10.5以下の範囲内である。
(合成例2)アクリル系粘着剤Bの合成
n−ブチルアクリレート(日本触媒社製)97質量部と、アクリル酸(日本触媒社製)3質量部と、イルガキュア907(長瀬産業社製)0.05質量部と、酢酸エチル200質量部とを混合して、混合物を得た。次に、この混合物に、紫外線を4時間照射して、アクリル共重合体であるアクリル系粘着剤Bを作製した。得られたアクリル系粘着剤Bの重量平均分子量は、約100万であった。得られたアクリル系粘着剤BのSP値は7以上、10.5以下の範囲内である。
(タッキファイヤー)
KE−359(ロジンエステル樹脂、荒川化学社製「パインエステルKE359」、ハーゼン色数40、水酸基価44、SP値8.86)
(架橋剤)
E−AX(N,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,3−ベンゼンジ(メタンアミン)、綜研化学社製「E−AX」、トルエン5%液)
AX4−HC−M08(PVEEA、アクリル酸2−(2−ビニルキシエトキシ)エチル重合体(固形分100質量%)、下記式(21)で表される構造単位を複数有する化合物;日本触媒社製「AX4−HC−M08」;重量平均分子量約20000)
Figure 2015054798
(ガス発生剤)
GAP4006(グリシジルアジドポリマー、日油社製)
(アミン)
トリプロピルアミン
(光増感剤)
2−イソプロピルチオキサントン
2,4−ジエチルチオキサントン
2−クロロチオキサントン
2−クロロフェノチアジン
9,10−ジエトキシアントラセン
9,10−ジプロポキシアントラセン
9,10−ジブトキシアントラセン
TR−PSS−201(下記式(101)で表される化合物)
Figure 2015054798
TR−PSS−202(下記式(102)で表される化合物)
Figure 2015054798
(接着付与剤)
シランカップリング剤(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業社製「KEM603」)
以下の製造例1〜9において、ガス発生材を備えるマイクロポンプを製造した。
(製造例1)
溶剤である酢酸エチル220質量部をアクリル系粘着剤A88質量部に配合した後、GAP4006を110質量部と、シランカップリング剤であるKEM603を0.002質量部と、第三級アミンであるトリプロピルアミン(トリn−プロピルアミン)3.5質量部と、光増感剤である2−イソプロピルチオキサントン2.5質量部と、架橋剤であるE−AX1質量部と、AX4−HC−M08を1質量部と、タッキファイヤーであるKE−359を12質量部とを混合し、フィルム状に加工した。このフィルムを110℃で5分間加熱して、溶剤である酢酸エチルを除去した。これを離型PETフィルムで保護し、常温で一日(24時間)保管して、フィルム状のガス発生材(フィルム)を得た。
得られたフィルム状のガス発生材を用いて、上記第1の実施形態のマイクロポンプ1と実質的に同様の構成を有するマイクロポンプを作製した。
なお、マイクロ流路10bの断面形状は、0.5mm角の矩形状とした。マイクロ流路10bの長さは、300mmとした。マイクロ流路10bの先端は大気に開放した状態とした。ガス発生材は、直径0.6cmサイズで、厚み50μmのフィルム状とした。
(製造例2〜9)
配合成分の種類及び配合量(単位は質量部)を下記の表1に示すように変更したこと以外は製造例1と同様にして、フィルム状のガス発生材を得た。なお、下記の表1では、ガス発生材を得る際に揮発により除去される溶剤の使用量の記載は省略した。
得られたガス発生材を用いたこと以外は製造例1と同様にして、マイクロポンプを作製した。
以下の実施例1〜12及び比較例1〜33において、ガスの発生量を測定した。
(実施例1〜12)
実施例1〜12では、チオキサントン化合物又はフェノチアジン化合物である光増感剤を含むガス発生材を用いた。
下記の表2に示す種類(製造例1〜4)のマイクロポンプにおいて、LED(ナイトレイドセミコンダクター社製「NS375L−5RFS」)を用いて、下記の表2に示す波長の光を120秒間照射して、ガスを発生させた。このときのガスの発生量を測定した。ガス発生量の測定方法は、マイクロ流路10bとメスピペットとをシリコンチューブでつなぎ、この中を水で充填し、その後、ガス発生材に紫外線を照射し、発生したガスによるメスピペットの体積変化を読み取る方法とした。
(比較例1〜8)
比較例1〜8では、チオキサントン化合物又はフェノチアジン化合物である光増感剤を含むガス発生材を用いた。
用いたマイクロポンプの種類(製造例1〜4)及び照射した光の波長を下記の表2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、ガスの発生量を測定した。
(比較例9〜33)
比較例9〜33では、チオキサントン化合物又はフェノチアジン化合物ではない光増感剤を含むガス発生材を用いた。
用いたマイクロポンプの種類(製造例5〜9)及び照射した光の波長を下記の表2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、ガスの発生量を測定した。
製造例における配合成分の種類及び配合量(単位は質量部)を下記の表1に示し、ガスの発生量の評価結果を下記の表2に示す。なお、波長400nm付近でのガスの発生量の増加は、用いた光増感剤の吸光波長の違いに起因するものではない。
Figure 2015054798
Figure 2015054798
1,2…マイクロポンプ
10…基材
10a…主面
10b…マイクロ流路
10c…ポンプ室
11a,11b…ガス発生材
12…ガスバリア層
21…光照射装置

Claims (3)

  1. ガス発生材を備えるマイクロポンプにおいて、ガスを発生させるガスの発生方法であって、
    アゾ化合物又はアジド化合物であるガス発生剤と、チオキサントン化合物又はフェノチアジン化合物である光増感剤とを含むガス発生材を用いて、
    前記ガス発生材に、波長380nm〜410nmの光を照射することにより、前記ガス発生材からガスを発生させる、マイクロポンプにおけるガスの発生方法。
  2. 前記光増感剤として、チオキサントン化合物を用いる、請求項1に記載のマイクロポンプにおけるガスの発生方法。
  3. 前記マイクロポンプが、前記ガス発生材と、マイクロ流路が形成された基材とを備え、
    前記マイクロポンプにおいて、前記ガス発生材は、前記ガス発生材において発生したガスが前記マイクロ流路に供給されるように配されている、マイクロポンプにおけるガスの発生方法。
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