JP2015053386A - 化合物半導体基板の製造方法及び化合物半導体基板 - Google Patents

化合物半導体基板の製造方法及び化合物半導体基板 Download PDF

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Abstract

【課題】結晶性が良く、且つ、表面の平坦性に優れたGaAs層を含む化合物半導体層をSi基板上に容易に形成可能な化合物半導体基板の製造方法及び化合物半導体基板を提供する。【解決手段】Si基板上に、第1の化合物半導体層と、第2の化合物半導体層と、第3の化合物半導体層とを順次積層した化合物半導体基板の製造方法であって、前記第2の化合物半導体層を形成する工程は、第1の化合物半導体層上にGa原料とAs原料とSb原料とを同時に照射する工程であり、前記第2の化合物半導体層の形成速度が1時間当たり1μmとなるために必要なGa原料の分子線強度に対するSb原料の分子線強度の比が、1以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、化合物半導体基板の製造方法及び化合物半導体基板に関する。より詳細には、GaAs層を含む化合物半導体層をSi基板上に備えた化合物半導体基板の製造方法及び化合物半導体基板に関する。
GaAsに代表される化合物半導体は、Siでは得ることのできない特性を発現することができるため、HEMT(High Electron Mobility Transistor)やHBT(Heterojunction Bipolar Transistor)などの高速電子デバイスや、LED(Light Emitted Diode)、LD(Laser Diode)などの光デバイス、高効率の太陽電池、磁気センサなど多岐に渡るデバイスへの応用が進められている。
これらのデバイスにおいて、良好な特性、信頼性を得るためには、その上にデバイス層を形成するための基板上に、結晶欠陥が少なく、表面が平坦な化合物半導体層を形成する技術が重要である。基板材料としてGaAsやInPなどの単結晶からなる化合物半導体を用いると、Siを用いた場合よりも比較的容易に結晶欠陥が少なく、表面が平坦な化合物半導体を形成することができる。このため、基板材料としては、化合物半導体がよく用いられている。
しかしながら、化合物半導体を用いた場合、一般的に大型の単結晶を得るのが難しく、基板の大口径化がSiよりも難しい。またGaAsやInPは、Siと比較すると、脆くて割れやすい上、価格の上でも高価である。
そこで、安価で割れにくく、大口径化が容易なSi基板の上に化合物半導体層を形成した化合物半導体基板が注目されている。高品質の化合物半導体層をSi基板上に形成することができれば、優れた特徴をもつ化合物半導体のデバイスと、Si上の大規模な信号処理回路とを融合させたOEIC(Opto−Electronic Integrated Circuit)などについても利用が可能となる。
しかしながら、Si基板上に化合物半導体層を形成する場合、格子定数や熱膨張係数が大きく異なるため、これに起因したミスフイットが生じてしまい、結晶欠陥が多く発生してしまう。例えば、SiとGaAsとの間では、格子定数は約4%の差が存在し、線膨張係数は3倍もの差がある。従って、Si基板上に、結晶欠陥が少なく、表面が平坦なGaAsを形成することは容易ではない。
Si基板上に、結晶欠陥が少なく、表面が平坦な化合物半導体薄膜を形成するためには、Si基板表面の自然酸化膜除去と、表面処理の工程とが重要となる。
例えば、特許文献1によると、Si基板上にAsを含む化合物半導体を設けた化合物半導体基板において、Si基板と、化合物半導体層との界面に、化合物半導体層よりもAsの濃度が高い物質を島状に存在させる方法が提案されている。
国際公開第2009/035079号
特許文献1に開示された技術によれば、Si基板上に結晶性が良く、且つ、表面が平坦なGaAsを形成することができる。
しかしながら、Si基板上に結晶性が良く、且つ、表面が平坦なGaAsを形成することは容易ではない。すなわち、Asは蒸気圧が高く再蒸発しやすいため、Si基板上にGaAsを形成する場合、GaAs表面の被覆性が十分でなくGaAsは3次元成長してしまう。そのため、表面の平坦性を得にくい。
十分な平坦性を得るためには、極端に過剰なAs原料の供給が必要となる。極端に過剰なAs原料の供給は、成長装置のチャンバの真空度悪化及びそれに伴う真空ポンプへの負荷、或いは成長装置のチャンバの汚染、さらにはAs原料の消費を著しく早めてしまう等の問題があり、改善が要求される。
十分な平坦性を得るためには、Asよりも蒸気圧の低いV族原料、例えばSbをGaAs形成中に照射することで、GaAs表面の被覆性を改善する方法が挙げられる。SbはAsに比べ、蒸気圧も低く再蒸発しにくく、付着係数も高いため、GaAs表面の被覆性の改善のほか、As原料ほど極端な供給量を必要としないという利点がある。
SbをGaAs形成中に照射した場合、Sbは結晶中に取り込まれ、GaAsではなく、GaAs1−ySbが形成されることになる。しかし従来知られている方法では、Si基板上に結晶性が良く、且つ、表面が平坦なGaAs1−ySbを形成するのは容易ではない。すなわち、Sb組成yを増加させるにつれて結晶性が悪化してしまい、Sb組成がわずかに0.05程度でも結晶性は相当悪化してしまう。すなわち、Sbの照射量が多すぎると、結晶性の悪化を招くことになる。また、Sb組成yを小さく抑えるため、GaAs1−ySbを形成中にGa、Asに加えて微量のSb原料を供給するが、Sbの照射量が少ないとGaAs表面の被覆性が十分ではないため、Si基板上にGaAsを形成する場合と同様に、GaAs1−ySbは3次元成長してしまい、表面の平坦性を十分に得ることができない。
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、結晶性が良く、且つ、表面の平坦性に優れたGaAs層を含む化合物半導体層をSi基板上に容易に形成可能な化合物半導体基板の製造方法及び化合物半導体基板を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る化合物半導体基板の製造方法は、Si基板上に第1の化合物半導体層を形成する工程と、前記第1の化合物半導体層上に、前記第1の化合物半導体層を形成するときよりも高温で、第2の化合物半導体層を形成する工程と、前記第2の化合物半導体層上に第3の化合物半導体層を形成する工程と、を備え、前記第1の化合物半導体層は、GaAs1−xSb(0≦x≦0.1)層であり、前記第2の化合物半導体層は、GaAs1−ySb(0<y≦0.1)層であり、前記第3の化合物半導体層は、GaAs層であり、前記第2の化合物半導体層を形成する工程は、前記第1の化合物半導体層上にGa原料とAs原料とSb原料とを同時に照射する工程であり、前記第2の化合物半導体層を形成する工程において、前記第2の化合物半導体層の形成速度が1時間当たり1μmとなるために必要な前記Ga原料の分子線強度に対する前記Sb原料の分子線強度の比が1以上であることを特徴とする。
また、上記の化合物半導体基板の製造方法において、前記第1の化合物半導体層は、GaAs層であることを特徴としてもよい。
また、上記の化合物半導体基板の製造方法において、前記第2の化合物半導体層の形成速度は、1時間当たり0.01μm以上0.2μm以下であることを特徴としてもよい。
また、上記の化合物半導体基板の製造方法において、前記As原料は、As分子であることを特徴としてもよい。
また、上記の化合物半導体基板の製造方法において、前記As原料は、As分子をクラッキングすることにより生成されることを特徴としてもよい。
本発明の一態様に係る化合物半導体基板は、Si基板と、前記Si基板上に形成された、第1の化合物半導体層と、前記第1の化合物半導体層上に形成された、第2の化合物半導体層と、前記第2の化合物半導体層上に形成された、第3の化合物半導体層と、を備え、前記第1の化合物半導体層は、GaAs1−xSb(0≦x≦0.1)層であり、前記第2の化合物半導体層は、GaAs1−ySb(0<y≦0.1)層であり、前記第3の化合物半導体層は、GaAs層であり、前記第3の化合物半導体層の、前記Si基板の面方位と同じ面に対応するX線回折ピークのロッキングカーブの半値幅であるFWHM値は、200秒以下であることを特徴とする。
また、上記の化合物半導体基板において、前記第1の化合物半導体層は、GaAs層であることを特徴としてもよい。
また、上記の化合物半導体基板において、前記第3の化合物半導体層のうち、最表面から膜厚0.5μmの領域の欠陥密度は1×10cm−2以下であることを特徴としてもよい。
また、上記の化合物半導体基板において、前記第2の化合物半導体層の最表面の欠陥密度は1×10cm−2以上であり、前記第3の化合物半導体層のうち、前記第2の化合物半導体層との界面から膜厚0.5μmの領域の欠陥密度は、1×10cm−2以下であることを特徴としてもよい。
本発明の一態様によれば、結晶性が良く、且つ、表面の平坦性に優れたGaAs層を含む化合物半導体層をSi基板上に容易に形成することができる。
本発明の実施形態に係る化合物半導体基板10の構成例を示す断面図である。 Sb分子線強度と、第2の化合物半導体層102の表面粗さの二乗平均値Rrms値との関係を示すグラフである。 実施例1で得られた化合物半導体基板の欠陥密度評価用の断面TEM像である。 参考例1で得られた化合物半導体基板の欠陥密度評価用の断面TEM像である。
図1は、本発明の実施形態に係る化合物半導体基板10の構成例を示す断面図である。図1に示すように、この化合物半導体基板10は、Si基板100と、Si基板100上に形成された第1の化合物半導体層101と、第1の化合物半導体層101上に形成された第2の化合物半導体層102と、第2の化合物半導体層102上に形成された第3の化合物半導体層103と、を備える。
この化合物半導体基板10は、各種の成膜方法を用いて第1の化合物半導体層101、第2の化合物半導体層102及び第3の化合物半導体層103を順次積層することにより形成される。例えば、分子線エピタキシー(MBE)法や有機金属気相エピタキシー(MOVPE)法などは好ましい方法である。これらの方法を用いて、化合物半導体基板10を形成する。
本発明の実施形態において、化合物半導体基板10は、その形成途中で成膜装置から一旦、大気中に取り出してもよい。大気中に取り出した基板は、そのままエッチング、電極形成するなどして半導体デバイスを作製してもよいし、基板を形成した成膜装置と同一の成膜装置、或いは別の成膜装置に再度導入し、基板上に新たにデバイス層としての化合物半導体の積層体を形成してもよい。
また、化合物半導体基板10を形成した後、基板を形成した成膜装置と同一の成膜装置において引き続き、或いは真空を保持したまま別の成膜装置に搬送した後、基板上に新たに化合物半導体の積層体を形成してもよい。化合物半導体基板10上に、新たに形成する化合物半導体の積層体に用いる材料は、特に制限されない。例えば、GaAs、InAs、InSb、InGaPなどが挙げられる。
以下に図1に示す基板と、その上の各層の説明をする。
[Si基板]
Si基板100は、一般に単結晶を成長できるものであれば特に制限されず、Siの単結晶基板が好ましく用いられる。Si基板100は、半絶縁性基板であってもよいし、ドナー不純物やアクセプタ不純物によって、n型やp型にドーピングされた導電性基板であってもよい。
Si基板100の面方位は特に制限はないが、(100)、(111)、(110)等が好ましい。優れた結晶性の観点からSi基板の面方位は(111)であることが好ましい。また、これらの面方位に対して1°から5°傾けた面方位を用いることもある。
基板表面は、真空中で加熱して酸化膜を除去してもよいし、有機物、金属等の汚染物質を除去した後、濃度1.0wt%のフッ化水素水溶液を用いて表面の酸化膜を除去して、水素終端処理を行ってもよい。
[第1の化合物半導体層]
本実施形態において、第1の化合物半導体層101はGaAs1−xSb(0≦x≦1)層である。第1の化合物半導体層101は、結晶性が良く、且つ、表面の平坦性に優れた第2の化合物半導体層102を形成するための、バッファ層としての役割を果たす。当然のことながら、バッファ層としての第1の化合物半導体層101自体も、結晶性が良く、且つ、表面の平坦性も優れていることが好ましい。
第1の化合物半導体層101は、高温で形成すると、表面の凹凸が激しくなり、十分な平坦性を確保することができなくなるため、比較的低温で形成することが多い。形成時の温度は、結晶性の観点から150度以上であることが好ましい。また、形成時の温度は、平坦性確保の観点から350度以下であることが好ましい。
第1の化合物半導体層101は、低温で形成した場合、表面の平坦性は十分であるが、結晶性は必ずしも良くなくなってしまう。但し、第1の化合物半導体層101を形成後に、第1の化合物半導体層101の温度を上昇させ保持すると、アニール効果によって結晶性、表面の平坦性いずれも改善することができる。例えば、低温で第1の化合物半導体層101を形成した後、温度をアニール効果が発現する程度に上昇させて保持した後または同時に、高温で第1の化合物半導体層101上に第2の化合物半導体層102を形成することが多い。
第1の化合物半導体層101の膜厚は、結晶性の確保及び被覆性の観点から5nm以上であることが好ましい。また、第1の化合物半導体層101の膜厚は、結晶性やアニール効果による改善効果の観点から50nm以下であることが好ましい。第1の化合物半導体層101のSb組成xは、結晶性の観点から、0以上0.1以下が好ましい。特に、x=0、すなわち、第1の化合物半導体層がGaAsのとき、結晶性が非常に良く好ましい。
第1の化合物半導体層101は、ノンドープでもよいし、ドナー不純物やアクセプタ不純物によって、n型やp型にドーピングしてもよい。また、有機物、金属等の汚染物質を除去した後、濃度1.0wt%のフッ化水素水溶液を用いて表面の酸化膜を除去して、水素終端処理を行ったSi基板と、第1の化合物半導体層101との間に、Asを先行照射させることで、第1の化合物半導体層101よりもAs濃度の高い物質を島状に存在させると、結晶性が良く、優れた表面の平坦性が得られるので好ましい。
[第2の化合物半導体層]
本実施形態において、第2の化合物半導体層102は、GaAs1−ySb(0<y≦1)層である。第2の化合物半導体層102は、第1の化合物半導体層101上にGa、As、Sb原料を同時照射することで形成される。
図2は、基板温度を580℃とし、GaとAs原料の分子線強度をそれぞれ一定にした条件下において、Sb分子線強度を変化させながら第2の化合物半導体層102を形成したときの、Sb分子線強度と、第2の化合物半導体層102の表面粗さの二乗平均値Rrmsとの関係を示したグラフである。
Sbの分子線強度が7×10−7Torr以上で、Rrmsが急激に減少し、優れた表面の平坦性が得られることが理解される。Sbの分子線強度が7×10−7Torr以上であるということは、Sb原料の分子線強度と、第2の化合物半導体層の形成速度が1時間当たり1μmとなるために必要なGa原料の分子線強度との比とで言い換えると、その比が1以上であることに相当している。
すなわち、優れた表面の平坦性を得るためには、第2の化合物半導体層の形成速度が1時間当たり1μmとなるために必要なGa原料の分子線強度に対するSb原料の分子線強度の比(以下、換算Sb/Ga分子線強度比と称することがある)が1以上であることが好ましい。
換算Sb/Ga分子線強度比が1以上であるような、Sb原料の分子線強度は、例えば、GaAs基板上にInSb、GaSb、AlSb、AlGaSbなどの、V族元素がSbのみからなる半導体薄膜を形成する場合、結晶性が良く、優れた平坦性を容易に得るのに、十分なSb原料の分子線強度である。
第2の化合物半導体層102のSb組成yは、結晶性確保の観点から0.1以下が好ましい。換算Sb/Ga分子線強度比が1以上であり、且つ、As原料がAs分子の場合、As分子は反応性や付着係数がSbに比べて低いため、Sb組成yは大きくなってしまう場合がある。そのため、As原料は反応性や付着係数が高いAs分子であることが好ましい。As分子は反応性や付着係数が高いため、Sb組成yはそれほど大きくならず、Sb組成0.1以下の第2の化合物半導体102を容易に形成することができる。反応性や付着係数の高いAs分子は、例えばAs分子を加熱等によりクラッキングすることにより生成することが可能である。
第2の化合物半導体層102の形成時の温度は、結晶性及び表面平坦性の観点から、550度以上が好ましい。また、第2の化合物半導体層102の形成時の温度は、V族元素であるAs,Sbの再蒸発を防止して、結晶性及び表面平坦性を確保する観点から700度以下であることが好ましい。
第2の化合物半導体層102は、ノンドープでもよいし、ドナー不純物やアクセプタ不純物によって、n型やp型にドーピングしてもよい。第2の化合物半導体層の膜厚102は、十分な結晶性確保の観点から0.05μm以上が好ましい。また、第2の化合物半導体層102の膜厚は、形成時間の観点から0.3μm以下が好ましい。
第2の化合物半導体層102の形成速度は、結晶性確保の観点から0.2μm/h以下が好ましく、0.1μm/h以下がより好ましい。また、第2の化合物半導体層102の形成速度は、形成時間の観点から、0.01μm/h以上が好ましい。第2の化合物半導体層102の形成速度は、所望の結晶性、形成時間に応じて、適宜決めることができる。
[第3の化合物半導体層]
本実施形態において、第3の化合物半導体層103は、GaAs層である。
第3の化合物半導体層103の形成時の温度は、結晶性及び表面平坦性の観点から、550度以上が好ましい。また、第3の化合物半導体層103の形成時の温度は、V族元素であるAsの再蒸発を防止して、結晶性及び表面平坦性を確保する観点から700度以下であることが好ましい。
第3の化合物半導体層103は、ノンドープでもよいし、ドナー不純物やアクセプタ不純物によって、n型やp型にドーピングしてもよい。第3の化合物半導体層103の膜厚は、十分な結晶性確保の観点から0.3μm以上が好ましい。また、第3の化合物半導体層103の膜厚は、形成時間の観点から10μm以下が好ましい。
第3の化合物半導体層103の形成速度は、結晶性確保の観点から5μm/h以下が好ましく、3μm/h以下がより好ましい。また、第3の化合物半導体層103の形成速度は、形成時間の観点から、0.1μm/h以上が好好ましい。第3の化合物半導体層103の形成速度は、所望の結晶性、形成時間に応じて、適宜決めることができる。
[実施形態の効果]
本発明の実施形態によれば、Si基板100上に化合物半導体層を形成する際に、極端に過剰なAs原料の供給を必要としない。また、第3の化合物半導体層103はGaAs層であり、Sbを含まない。第3の化合物半導体層103であるGaAs層を第2の化合物半導体層であるGaAsSb層上に形成することにより、結晶性が良く、且つ、表面の平坦性に優れたGaAs層を含む化合物半導体層を、Si基板100上に容易に形成することができる。
また、このような化合物半導体層を備える化合物半導体基板を用いれば、GaAsに代表される化合物半導体の特長を生かした、HEMTやHBTなどの高速電子デバイスや、LED、LDなどの光デバイス、高効率の太陽電池、磁気センサなど多岐に渡るデバイスへの応用が可能となる。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではなく、その発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能であることは言うまでもない。
[実施例1]
実施例1では、第1の化合物半導体層及び第2の化合物半導体層を分子線エピタキシー法(MBE)で形成し、第3の化合物半導体層を有機金属気相成長法で形成した。詳細は、以下の通りである。
まず、Si(111)基板の表面の有機物、金属等の汚染物質を除去した後、濃度1.0wt%のフッ化水素水溶液を用いて表面の酸化膜を除去して、水素終端処理を行った。これを直ちにMBE装置内に導入し、1×10−6Torr(1.333×10−4Pa)以下の真空中で、基板温度が300℃になるまで加熱し、温度が一定になったところでSi基板にAsを照射した。
引き続き、分子線強度が7×10−8TorrのGaと、分子線強度が3×10−5TorrのAs分子をクラッキングすなわち加熱して生成したAs分子とをSi基板上に同時に照射した。これにより、Si基板上に、膜厚20nmの第1の化合物半導体層(GaAs層)を1時間当たり0.1μmの形成速度で形成した。これにより、Si基板上に第1の化合物半導体層を形成した。
次に、第1の化合物半導体層を形成した基板を、基板温度が680℃になるまで加熱し、温度が一定になったところで、分子線強度が1.4×10−7TorrのGaと、分子線強度が3×10−5TorrのAs分子をクラッキングすなわち加熱して生成したAs分子と、分子線強度が1.76×10−6TorrのSbとを第1の化合物半導体層上に同時に照射した。これにより、第1の化合物半導体層(GaAs層)上に膜厚240nmの第2の化合物半導体層(GaAs1−ySb層)を、1時間当たり0.05μmの形成速度で形成した。このとき、第2の化合物半導体層の形成速度が1時間当たり1μmとなるために必要なGa原料の分子線強度に対するSb原料の分子線強度の比(換算Sb/Ga分子線強度比)は2.51である。
ここでいう形成速度とは、形成した膜厚を形成に要した時間で割り算した値である。通常、Gaは付着係数が高いため、供給されたGa原料は全て膜中に取り込まれる。すなわち形成速度はGaフラックスに比例する。しかしながら、本実施例においては、優れた結晶性と平坦性を得るため、基板温度は680℃と非常に高くしている。その結果、供給されたGaの一部は、再蒸発してしまい、膜中に取り込まれない。すなわち、必ずしもGaフラックスと形成速度が比例していない。
第2の化合物半導体層を形成した基板を、一旦、MBE装置から大気中に取り出し、第2の化合物半導体層の(111)面に対応するX線回折ピークを、X線回折装置(PHILIPS社製、PW1830)を用いて解析したところ、Sb組成yは0.007であった。また、第2の化合物半導体層の、(111)面に対応するX線回折ピークのロッキングカーブのFWHM値は185秒であった。この数値は、膜厚が240nmと非常に薄いにもかかわらず小さい値であり、良好な結晶性を示している。さらに、第2の化合物半導体層の10μm四方の領域(即ち、平面視で一辺が10μmの正方形の領域)における表面粗さの二乗平均値Rrmsを原子間力顕微鏡(AFM)で評価したところ、1.9nmであった。すなわち、結晶性が良く、且つ、表面の平坦性に優れた第2の化合物半導体層を形成することができた。
第2の化合物半導体層を形成した基板を、MOCVD装置に導入し、MOCVD法を用いて第2の化合物半導体層上に、膜厚2400nmの第3の化合物半導体層(GaAs層)を形成した。形成時の基板温度は680℃であり、1時間当たり1μmの形成速度で形成した。
第3の化合物半導体層の(111)面に対応するX線回折ピークを、X線回折装置(PHILIPS社製、PW1830)を用いて解析したところ、ロッキングカーブのFWHM値は152秒であった。この数値は非常に小さい値であり、良好な結晶性を示している。さらに、第2の化合物半導体層の20μm四方の領域(即ち、平面視で一辺が20μmの正方形の領域)における表面粗さの二乗平均値Rrmsを原子間力顕微鏡(AFM)で評価したところ、20.8nmであった。
実施例1で作成した化合物半導体基板の欠陥密度を、断面TEM像観察により評価した。この手法を用いれば、基板から第1の化合物半導体層、第2の化合物半導体層、第3の化合物半導体層の最表面に至るまでの積層構造において、欠陥密度の膜厚方向の分布も評価することができる。断面TEM像は横方向の長さ8μm、奥行き方向の厚み0.15μmの大きさの薄片サンプルを倍率25000倍で観察したものである。すなわち、ある膜厚領域において欠陥の数がゼロであれば、該領域を面で評価したときの欠陥密度(以下、単に欠陥密度という)は8.3×10cm−2未満、欠陥の数が1個以上であれば欠陥密度は8.3×10cm−2以上、欠陥の数が10個以上であれば欠陥密度は8.3×10cm−2以上、欠陥の数が100個以上であれば欠陥密度は8.3×10cm−2以上であることがわかる。
図3は、実施例1で得られた化合物半導体基板の欠陥密度評価用の断面TEM像である。第3の化合物半導体層のうち、最表面から膜厚0.5μmの領域(即ち、最表面から0.5μm離れた領域)では、断面TEM像観察結果から欠陥は一つも確認されなかったことから、欠陥密度は8.3×10cm−2未満であることがわかった。通常、欠陥密度は膜厚の増加につれて減少していく傾向を示すため、膜厚が厚い領域でないと欠陥密度を低減するのは困難である。実施例1では、第2の化合物半導体層の最表面付近は欠陥が少なくとも100個以上確認されたことから、欠陥密度は8.3×10cm−2以上と非常に多い。それにもかかわらず、第3の化合物半導体層は、第2の化合物半導体層との界面からの膜厚が僅か0.5μmである非常に薄い領域(即ち、界面から僅か0.5μm離れた領域)においても、欠陥は一つも確認されなかったことから、欠陥密度は8.3×10cm−2未満であり、非常に良好な結晶性を示している。
すなわち、結晶性が良く、且つ、表面の平坦性に優れた第2の化合物半導体層上に第3の化合物半導体層を形成する実施例1の構造を用いることで、Si基板上に、結晶性が良く、且つ、表面の平坦性に優れたGaAs層を含む化合物半導体層を備えた化合物半導体基板を容易に実現することができる。
[実施例2]
実施例2では、第3の化合物半導体層を分子線エピタキシー法(MBE)で形成した。詳細は、以下の通りである。なお、実施例2において、第2の化合物半導体層を形成する工程までは実施例1と同じである。
第2の化合物半導体層を形成する工程の次に、第2の化合物半導体層を形成した基板を、一旦、MBE装置から大気中に取り出し、第2の化合物半導体層の(111)面に対応するX線回折ピークを、X線回折装置(PHILIPS社製、PW1830)を用いて解析したところ、Sb組成yは0.007であった。また、第2の化合物半導体層の、(111)面に対応するX線回折ピークのロッキングカーブのFWHM値は185秒であった。この数値は、膜厚が240nmと非常に薄いにもかかわらず小さい値であり、良好な結晶性を示している。さらに、第2の化合物半導体層の10μm四方の領域における表面粗さの二乗平均値Rrmsを原子間力顕微鏡(AFM)で評価したところ、1.9nmであった。すなわち、結晶性が良く、且つ、表面の平坦性に優れた第2の化合物半導体層を形成することができた。
次に、第2の化合物半導体層を形成した基板を、MBE装置に導入し、MBE法を用いて、分子線強度が7×10−7TorrのGaと、分子線強度が3×10−5TorrのAs分子をクラッキングすなわち加熱して生成したAs分子とを同時に照射することにより、第2の化合物半導体層上に、膜厚2400nmの第3の化合物半導体層(GaAs層)を形成した。形成時の基板温度は680℃であり、1時間当たり1μmの形成速度で形成した。
第3の化合物半導体層の(111)面に対応するX線回折ピークを、X線回折装置(PHILIPS社製、PW1830)を用いて解析したところ、ロッキングカーブのFWHM値は167秒であった。この数値は非常に小さい値であり、良好な結晶性を示している。さらに、第2の化合物半導体層の20μm四方の領域における表面粗さの二乗平均値Rrmsを原子間力顕微鏡(AFM)で評価したところ、23.0nmであった。
第3の化合物半導体層のうち、最表面から膜厚0.5μmの領域は、断面TEM像観察結果から欠陥は一つも確認されなかったことから、欠陥密度は8.3×10cm−2未満であることがわかった。通常、欠陥密度は膜厚の増加につれて減少していく傾向を示すため、膜厚が厚い領域でないと欠陥密度を低減するのは困難である。実施例2では、第2の化合物半導体層の最表面付近は欠陥が少なくとも100個以上確認され、欠陥密度は8.3×10cm−2以上と非常に多い。それにもかかわらず、第3の化合物半導体層は、第2の化合物半導体層との界面からの膜厚が僅か0.5μmである非常に薄い領域においても、欠陥は一つも確認されなかったことから、欠陥密度は8.3×10cm−2未満であり、非常に良好な結晶性を示している。
すなわち、結晶性が良く、且つ、表面の平坦性に優れた第2の化合物半導体層上に第3の化合物半導体層を形成する実施例2の構造を用いることで、Si基板上に、結晶性が良く、且つ、表面の平坦性に優れたGaAs層を含む化合物半導体層を備えた化合物半導体基板を容易に実現することができる。
[比較例1]
比較例1では、第2の化合物半導体層として、GaAsを形成した。詳細は、以下の通りである。なお、比較例1において、第1の化合物半導体層を形成する工程までは実施例1と同じである。
第1の化合物半導体層を形成する工程の次に、第1の化合物半導体層を形成した基板を、基板温度が680℃になるまで加熱し、温度が一定になったところで、分子線強度が1.4×10−7TorrのGaと、分子線強度が3×10−5TorrのAs分子をクラッキングすなわち加熱して生成したAs分子とを第1の化合物半導体層上に同時に照射した。これにより、第1の化合物半導体層(GaAs層)上に膜厚240nmの第2の化合物半導体層(GaAs層)を、1時間当たり0.05μmの形成速度で形成した。このとき、Sb原料の分子線強度と、第2の化合物半導体層の形成速度が1時間当たり1μmとなるために必要なGa原料の分子線強度との比(換算Sb/Ga分子線強度比)はSbを照射していないので当然のことながら0である。
第2の化合物半導体層を形成した基板を、一旦、MBE装置から大気中に取り出し、第2の化合物半導体層の(111)面に対応するX線回折ピークを、X線回折装置(PHILIPS社製、PW1830)を用いて解析したところ、Sb組成yは当然のことながら0であった。また、第2の化合物半導体層の、(111)面に対応するX線回折ピークのロッキングカーブのFWHM値は153秒であった。この数値は、膜厚が240nmと非常に薄いのにかかわらず小さい値であり、良好な結晶性を示している。しかし、第2の化合物半導体層の10μm四方の領域における表面粗さの二乗平均値Rrmsを原子間力顕微鏡(AFM)で評価したところ、20.5nmであった。比較例1は、実施例1、2と比較した場合、良好な結晶性を示しているものの、平坦性は悪化していることがわかった。
第2の化合物半導体層を形成した基板を、MBE装置に導入し、MBE法を用いて、分子線強度が7×10−7TorrのGaと、分子線強度が3×10−5TorrのAs分子をクラッキングすなわち加熱して生成したAs分子とを同時に照射することにより、第2の化合物半導体層上に、膜厚2400nmの第3の化合物半導体層(GaAs層)を形成した。形成時の基板温度は680℃であり、1時間当たり1μmの形成速度で形成した。
第3の化合物半導体層の(111)面に対応するX線回折ピークを、X線回折装置(PHILIPS社製、PW1830)を用いて解析したところ、ロッキングカーブのFWHM値は150秒であった。この数値は非常に小さい値であり、良好な結晶性を示している。しかし、第2の化合物半導体層の20μm四方の領域における表面粗さの二乗平均値Rrmsを原子間力顕微鏡(AFM)で評価したところ、83.0nmであった。比較例1は、実施例1、2と比較した場合、良好な結晶性を示しているものの、平坦性は悪化していることがわかった。
第3の化合物半導体層のうち、最表面から膜厚0.5μmの領域は、断面TEM像観察結果から欠陥は一つも確認されなかったことから、欠陥密度は8.3×10cm−2未満であることがわかった。通常、欠陥密度は膜厚の増加につれて減少していく傾向を示すため、膜厚が厚い領域でないと欠陥密度を低減するのは困難である。比較例1では、第2の化合物半導体層の最表面付近までは欠陥が少なくとも100個以上確認され、欠陥密度が8.3×10cm−2以上と、非常に多い。それにもかかわらず、第3の化合物半導体層は、第2の化合物半導体層との界面からの膜厚が僅か0.5μmである非常に薄い領域においても、欠陥は一つも確認されなかったことから、欠陥密度は8.3×10cm−2未満であり、非常に良好な結晶性を示している。
しかしながら、比較例1は、実施例1、2と比較した場合、良好な結晶性を示しているものの、第2の化合物半導体層の平坦性が悪いのを反映して、表面の平坦性は悪化していることがわかった。
[参考例1]
参考例1では、第3の化合物半導体層として、GaAsSbを形成した。詳細は、以下の通りである。なお、参考例1において、第2の化合物半導体層を形成する工程までは実施例1と同じである。
第2の化合物半導体層を形成する工程の次に、第2の化合物半導体層を形成した基板を、一旦、MBE装置から大気中に取り出し、第2の化合物半導体層の(111)面に対応するX線回折ピークを、X線回折装置(PHILIPS社製、PW1830)を用いて解析したところ、Sb組成yは0.007であった。また、第2の化合物半導体層の、(111)面に対応するX線回折ピークのロッキングカーブのFWHM値は185秒であった。この数値は、膜厚が240nmと非常に薄いのにかかわらず小さい値であり、良好な結晶性を示している。さらに、第2の化合物半導体層の10μm四方の領域における表面粗さの二乗平均値Rrmsを原子間力顕微鏡(AFM)で評価したところ、1.9nmであった。すなわち、結晶性が良く、且つ、表面の平坦性に優れた第2の化合物半導体層を形成することができた。
第2の化合物半導体層を形成した基板を、MBE装置に導入し、MBE法を用いて、分子線強度が7×10−7TorrのGaと、分子線強度が3×10−5TorrのAs分子をクラッキングすなわち加熱して生成したAs分子と、分子線強度が1.76×10−6TorrのSbとを同時に照射することにより、第2の化合物半導体層上に、膜厚2400nmの第3の化合物半導体層(GaAs1−ySb層)を形成した。形成時の基板温度は680℃であり、1時間当たり1μmの形成速度で形成した。
第3の化合物半導体層の(111)面に対応するX線回折ピークを、X線回折装置(PHILIPS社製、PW1830)を用いて解析したところ、ロッキングカーブのFWHM値は236秒であった。さらに、第2の化合物半導体層の20μm四方の領域における表面粗さの二乗平均値Rrmsを原子間力顕微鏡(AFM)で評価したところ、2.2nmであった。参考例1は、実施例1、2と比較した場合、平坦性は改善しているものの、結晶性が悪化し、FWHM値200秒以下を実現できないことがわかった。
図4は、参考例1で得られた化合物半導体基板の欠陥密度評価用の断面TEM像である。第3の化合物半導体層のうち、最表面から膜厚0.5μmの領域の欠陥密度は、断面TEM像観察結果から6個の欠陥が確認されたことから欠陥密度は約5×10cm−2程度であり、欠陥密度8.3×10cm−2以下は実現できなかった。通常、欠陥密度は膜厚の増加につれて減少していく傾向を示すため、膜厚が厚い領域でないと欠陥密度を低減するのは困難であり、薄い領域では更に欠陥密度は多くなる。
参考例1では、第3の化合物半導体層は、第2の化合物半導体層との界面からの膜厚が0.5μmである非常に薄い領域に少なくとも100個の欠陥が確認されたことから、欠陥密度は8.3×10cm−2以上と非常に多い。また、第3の化合物半導体層のうち、最表面から膜厚0.5μmの領域においても、欠陥が6個程度確認されたことから、欠陥密度は約5×10cm−2程度であり、実施例1、2と比較して、欠陥密度が非常に多いことがわかった。すなわち、参考例1は、実施例1、2と比較した場合、平坦性は改善しているものの、結晶性が悪化していることがわかった。
[参考例2]
参考例2では、第3の化合物半導体層として、GaAsSbを形成した。また、参考例2では、実施例1、2や参考例1と比べて、第2の化合物半導体層を形成速度を早く形成した。詳細は、以下の通りである。なお、参考例2において、第1の化合物半導体層を形成する工程までは実施例1と同じである。
第1の化合物半導体層を形成する工程の次に、第1の化合物半導体層(GaAs層)を形成した後、基板温度が680℃になるまで加熱し、温度が一定になったところで、分子線強度が7.0×10−7TorrのGaと、分子線強度が3×10−5TorrのAs分子をクラッキングすなわち加熱して生成したAs分子と、分子線強度が1.76×10−6TorrのSbとを同時に照射することにより、膜厚240nmの第2の化合物半導体層(GaAs1−ySb層)を、1時間当たり1μmの形成速度で形成した。このとき、Sb原料の分子線強度と、第2の化合物半導体層の形成速度が1時間当たり1μmとなるために必要なGa原料の分子線強度との比(換算Sb/Ga分子線強度比)は2.51である。なお、形成速度とは、実施例1でも説明したように、形成した膜厚を形成に要した時間で割り算した値である。
第2の化合物半導体層を形成した基板を、一旦、MBE装置から大気中に取り出し、第2の化合物半導体層の(111)面に対応するX線回折ピークを、X線回折装置(PHILIPS社製、PW1830)を用いて解析したところ、Sb組成yは0.026であった。また、第2の化合物半導体層の、(111)面に対応するX線回折ピークのロッキングカーブのFWHM値は405秒であった。この数値を実施例1、2、或いは比較例2などと比較すると、倍以上になっており、結晶性が劣化している。このことは、第2の化合物半導体層の形成速度を下げることが、良好な結晶性を得るのに重要であることを示している。第2の化合物半導体層の10μm四方の領域における表面粗さの二乗平均値Rrmsを原子間力顕微鏡(AFM)で評価したところ、2.3nmであった。すなわち、参考例2は、実施例1、2と比較すると表面の平坦性は優れているものの、結晶性は悪化していることがわかった。
第2の化合物半導体層を形成した基板を、MBE装置に導入し、MBE法を用いて、分子線強度が7×10−7TorrのGaと、分子線強度が3×10−5TorrのAs分子をクラッキングすなわち加熱して生成したAs分子と、分子線強度が1.76×10−6TorrのSbとを同時に照射することにより、第2の化合物半導体層上に、膜厚2400nmの第3の化合物半導体層(GaAs1−ySb層)を形成した。形成時の基板温度は680℃であり、1時間当たり1μmの形成速度で形成した。
第3の化合物半導体層の(111)面に対応するX線回折ピークを、X線回折装置(PHILIPS社製、PW1830)を用いて解析したところ、ロッキングカーブのFWHM値は376秒であった。この数値は実施例1、2或いは比較例2と比較すると、倍以上の値であり、結晶性が悪化していることがわかる。第2の化合物半導体層の20μm四方の領域における表面粗さの二乗平均値Rrmsを原子間力顕微鏡(AFM)で評価したところ、3.8nmであった。参考例2は、実施例1、2、或いは比較例2などと比較した場合、平坦性は改善しているものの、結晶性が悪化し、FWHM値200秒以下を実現できないことがわかった。
第3の化合物半導体層のうち、最表面から膜厚0.5μmの領域は、断面TEM像観察結果から10個以上の欠陥が確認されたことから、欠陥密度は8.3×10cm−2以上であり、欠陥密度1×10cm−2以下は実現できなかった。通常、欠陥密度は膜厚の増加につれて減少していく傾向を示すため、膜厚が厚い領域でないと欠陥密度を低減するのは困難であり、薄い領域では更に欠陥密度は多くなる。
すなわち、実施例1、2と比較した場合、平坦性は改善しているものの、結晶性が悪化していることがわかった。
上記実施例1、2、比較例1、参考例1、2に関するデータを表1にまとめて示す。
10 化合物半導体基板
100 Si基板
101 第1の化合物半導体層
102 第2の化合物半導体層
103 第3の化合物半導体層

Claims (9)

  1. Si基板上に第1の化合物半導体層を形成する工程と、
    前記第1の化合物半導体層上に、前記第1の化合物半導体層を形成するときよりも高温で、第2の化合物半導体層を形成する工程と、
    前記第2の化合物半導体層上に第3の化合物半導体層を形成する工程と、を備え、
    前記第1の化合物半導体層は、GaAs1−xSb(0≦x≦0.1)層であり、
    前記第2の化合物半導体層は、GaAs1−ySb(0<y≦0.1)層であり、
    前記第3の化合物半導体層は、GaAs層であり、
    前記第2の化合物半導体層を形成する工程は、前記第1の化合物半導体層上にGa原料とAs原料とSb原料とを同時に照射する工程であり、
    前記第2の化合物半導体層を形成する工程において、前記第2の化合物半導体層の形成速度が1時間当たり1μmとなるために必要な前記Ga原料の分子線強度に対する前記Sb原料の分子線強度の比が1以上であることを特徴とする化合物半導体基板の製造方法。
  2. 前記第1の化合物半導体層は、GaAs層であることを特徴とする請求項1に記載の化合物半導体基板の製造方法。
  3. 前記第2の化合物半導体層の形成速度は、1時間当たり0.01μm以上0.2μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化合物半導体基板の製造方法。
  4. 前記As原料は、As分子であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の化合物半導体基板の製造方法。
  5. 前記As原料は、As分子をクラッキングすることにより生成されることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の化合物半導体基板の製造方法。
  6. Si基板と、
    前記Si基板上に形成された、第1の化合物半導体層と、
    前記第1の化合物半導体層上に形成された、第2の化合物半導体層と、
    前記第2の化合物半導体層上に形成された、第3の化合物半導体層と、
    を備え、
    前記第1の化合物半導体層は、GaAs1−xSb(0≦x≦0.1)層であり、
    前記第2の化合物半導体層は、GaAs1−ySb(0<y≦0.1)層であり、
    前記第3の化合物半導体層は、GaAs層であり、
    前記第3の化合物半導体層の、前記Si基板の面方位と同じ面に対応するX線回折ピークのロッキングカーブの半値幅であるFWHM値は、200秒以下であることを特徴とする化合物半導体基板。
  7. 前記第1の化合物半導体層は、GaAs層であることを特徴とする請求項6に記載の化合物半導体基板。
  8. 前記第3の化合物半導体層のうち、最表面から膜厚0.5μmの領域の欠陥密度は1×10cm−2以下であることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の化合物半導体基板。
  9. 前記第2の化合物半導体層の最表面の欠陥密度は1×10cm−2以上であり、
    前記第3の化合物半導体層のうち、前記第2の化合物半導体層との界面から膜厚0.5μmの領域の欠陥密度は、1×10cm−2以下であることを特徴とする請求項6から請求項8の何れか1項に記載の化合物半導体基板。
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