JP2015052105A - 化粧料用ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液 - Google Patents

化粧料用ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液 Download PDF

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Abstract

【課題】柔軟性と整髪性(セット保持性)を併せ持ち、一旦セットが崩れても、容易に元に戻すことができる化粧用の水性分散液及びこれを用いて得られる化粧料を提供する。【解決手段】(A)イソシアネート基とカルボキシル基とを有するポリウレタンと、(B)(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体とを水性媒体中で乳化分散してなるプレエマルジョン中の、(B)成分を重合させて得られるウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂の水性分散液であって、(1)(A)成分を構成するポリオール単位がポリエーテルポリオールである、(2)上記ポリエーテルポリオールは、炭素数2〜4のジアルキレングリコール由来の構成単位を主成分とし、かつ、数平均分子量が400以上、4000以下である、(3)(A)成分と(B)成分の重量比率((A)/(B))が、80/20〜30/70である、の各条件を満たす水性分散液を用いる。【選択図】なし

Description

この発明は、化粧料に用いるウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液に関する。本発明の化粧料は、毛髪化粧料を始めとして、メークアップ用化粧品、スキンケア用化粧品等に広く適用できるという特徴を有する。
化粧料に用いられる合成樹脂としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、或いは両性等の各種イオン性を有するアクリル系、酢酸ビニル系、ビニルピロリドン系、ビニルメチルエーテル系等のポリマーが広く知られている。これらはいずれも樹脂の皮膜形成性を利用して、毛髪の形状維持や皮膚の保護等を目的として用いられているが、樹脂によっては皮膜が硬すぎたり、或いはべたついたりする等の問題点が指摘されていた。
上記の樹脂のごわつきや吸湿性などの欠点を改良した化粧料用樹脂として、ポリウレタンのポリマー粒子の存在下でラジカル重合性単量体を重合させて得られる複合粒子からなるウレタン−アクリル系複合樹脂を含む水性分散液が提案されている。(特許文献1、2)
こうした化粧料用樹脂を使用する化粧料としては、例えば毛髪化粧料の「ヘアスタイリング剤」があるが、このヘアスタイリング剤の剤形は、ミスト噴霧タイプの水系処方から、多量に油状成分が含まれるヘアワックスまで多くの用法がある。また、化粧料用樹脂の用法は、毛髪化粧料用にとどまらず、例えばメークアップ用化粧品、サンケア用化粧料用途(日焼け防止剤など)、スキンケア化粧料用途(皮膚の保護、湿潤性付与)など、多岐にわたって用いられるようになっている。
特許第2587801号公報 特許第5281232号公報
こうした用途・用法の多様化に伴って、化粧料用樹脂にも従来以上に多様な処方における機能発現が求められるようになっている。
特に、上記ヘアワックスに代表されるような、油状成分を多く含む配合においては、油状成分が樹脂に対して可塑剤として作用するため、毛髪の固定化や仕上げのサラッと感などが損なわれることがあり、樹脂本来の機能が十分発揮されないという問題があった。
そこでこの発明は、柔軟性と整髪性(セット保持性)を併せ持ち、一旦セットが崩れても、容易に元に戻すことができ、サラッと感が保持された化粧料用樹脂の水性分散液及びこれを用いて得られる化粧料を提供しようとするものである。
この発明の要旨は、(A)イソシアネート基とカルボキシル基とを有するポリウレタンと、(B)(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体とを水性媒体中で乳化分散してなるプレエマルジョン中の、(B)成分を重合させて得られるウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂の水性分散液であって、上記(A)成分及び(B)成分が、以下の(1)〜(3)の条件を満たすものであることを特徴とする化粧料用ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液に存する。
(1)(A)成分を構成するポリオール単位がポリエーテルポリオールである。
(2)上記ポリエーテルポリオールは、炭素数2〜4のジアルキレングリコール由来の構成単位を主成分とし、かつ、数平均分子量が400以上、4000以下である。
(3)(A)成分と(B)成分の重量比率((A)/(B))が、80/20〜30/70である。
この発明のもう一つの要旨は、上記化粧料用ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液を用いて得られる化粧料に存する。
この発明にかかる水性分散液は、毛髪用の化粧料として用いた場合に、柔軟性が良好でソフト感があり、かつ、セット保持性も良好である。
実施例2の重量平均分子量を測定した結果を示すグラフ
以下、この発明について詳細に説明する。
この発明にかかる化粧料用ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液は、(A)イソシアネート基とカルボキシル基とを有するポリウレタン(以下、「(A)成分」と称する。)と、(B)(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体(以下、「(B)成分」と称する。)とを水性媒体中で乳化分散してなるプレエマルジョン中の、(B)成分を重合させて得られるウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂の水性分散液(以下、「U/A樹脂水性分散液」と記すことがある。)である。
[(A)成分]
上記(A)成分であるポリウレタンは、ポリオール単位と多価イソシアネート化合物とを反応させた、カルボキシル基を有する重合体をいう。
上記のポリオール単位と多価イソシアネート化合物との使用割合は、当量比で、ポリオール単位:多価イソシアネート化合物=1:1.2〜2がよく、1:1.5〜1.9が好ましい。
上記ポリオール単位とは、1分子中に2つ以上のヒドロキシル基を有する有機化合物からなる単位をいい、具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の比較的低分子量のポリオール類、又はこれらの少なくとも一種と、アジピン酸、セバシン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸の少なくとも一種とを重縮合して得られるポリエステルポリオール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、ポリアルキレングリコール等のポリエーテルポリオール類、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアクリル酸エステルポリオール、これらのポリオール類にプロピレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオール等が挙げられる。
これらのなかでも、ポリアルキレングリコール由来の構成単位を主成分とするポリエーテルポリオールは、柔軟な質感を付与できる点で特に好ましい。
上記ポリオール単位としては、1種類のポリオール単位を用いてもよいが、数平均分子量の異なる複数種のポリオールに由来する単位を用いることが好ましい。複数種のポリオールに由来する単位を用いると、使用するポリオール単位が分子量分布で少なくとも二山の分布を有する多分散系の単位となる。このようなポリオール単位を用いることにより、柔軟な質感を維持しつつ、ポリマーの機械的強度(伸び、破断強度)を高くすることができる。
この多分散系のポリオール単位に用いられる複数種のポリオールの単位の炭素数の平均値は2〜4が好ましい。平均値がこの範囲内とすることにより、柔軟な質感を付与することができる。
上記多分散系のポリオール単位の数平均分子量の平均は、300以上がよく、400以上が好ましく、500以上がより好ましく、600以上が特に好ましい。数平均分子量が小さすぎると、柔軟性が低下する傾向となる。一方、上限は、4000がよく、3000が好ましく、2500がより好ましい。数平均分子量が大きすぎると、自己乳化力が低下したり、ポリオール単位の種類によっては、過度に柔軟になる場合がある。
上記のとおり、複数種のポリオールに由来する単位を用いる場合、用いられる複数種のポリオールのうち、数平均分子量が最も小さいポリオールの数平均分子量は、400以上がよく、500以上が好ましい。数平均分子量が小さすぎると、得られる膜が硬くなり、柔軟性を損なう場合がある。一方、上限は、1200がよく、1500が好ましい。数均分子量が大きすぎると、自己乳化力が低下したり、低分子量ジオールを用いることによる効果が不十分になる場合がある。
上記の数平均分子量が最も小さいポリオールの具体例としては、PTMG650(三菱化学(株)製)、ハイフレックスD1000(第一工業製薬(株)製)、サンニックスPP1000(三洋化成工業(株)製)、ポリエーテルP−1000((株)ADEKA製)、PEG1000(日油(株)製)等があげられる。
上記のとおり、複数種のポリオールに由来する単位を用いる場合、用いられる複数種のポリオールのうち、数平均分子量が最も小さいポリオールの数平均分子量と、数平均分子量が最も大きいポリオールの数平均分子量の差、すなわち、数平均分子量差は、100以上がよく、500以上が好ましい。数平均分子量差が小さすぎると、複数種のポリオールを用いる効果が不十分となる場合がある。一方、上限は、2000がよく、1000が好ましい。数平均分子量差が大きすぎると、(A)成分全体としてのバランスが崩れ、合成反応が不安定になる場合がある。
上記多価イソシアネート化合物とは、1分子中に少なくとも2つのイソシアネート基を有する有機化合物をいい、脂肪族、脂環式、芳香族等の多価イソシアネート化合物を用いることができる。このような多価イソシアネート化合物の具体例としては、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート等を挙げることができる。これらの内で、脂肪族又は脂環式のイソシアネートは黄変が少ない点で好適である。
また、上記(A)成分は、カルボキシル基を有することが必要である。そして、この(A)成分の酸価は15mgKOH/g以上であることが好ましく、20mgKOH/g以上がより好ましい。15mgKOH/g未満であると、後の工程における水への分散状態が悪くなって水性分散液が得られないことがある。一方で、その上限は60mgKOH/gが好ましく、50mgKOH/g以下がより好ましい。60mgKOH/gを超えると、弾性が不十分となったり、整髪料に用いた際に髪に付着しにくくなったりする場合がある。
この(A)成分にカルボキシル基を導入する方法としては、ポリオール単位の一部として、カルボキシル基含有多価ヒドロキシ化合物を使用する方法が挙げられる。このカルボキシル基含有多価ヒドロキシ化合物の例としては、下記化学式(1)に示されるようなジメチロールアルカン酸等が挙げられる。
Figure 2015052105
なお、上記式(1)において、Rは、例えば、炭素数1〜10のアルキル基、好ましくはメチル基又はエチル基を示す。
このジメチロールアルカン酸の具体例としては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等を挙げることができる。上記カルボキシル基含有多価ヒドロキシ化合物の使用量は、重合により形成される上記(A)成分の酸価が上記した範囲となるように調整すればよい。
上記の(A)成分を重合により製造するにあたって、上記カルボキシル基含有多価ヒドロキシ化合物の好ましい使用割合としては、ポリオール単位とカルボキシル基含有多価ヒドロキシ化合物との合計中の30モル%以上とするのがよく、50モル%以上とするのがより好ましい。一方で、90モル%以下がよく、80モル%以下がより好ましい。この範囲内とすることで、上記の酸価の範囲を満たすことができる。
上記(A)成分を製造するためのウレタン生成反応は、無溶媒下でも行うことができるが、反応を均一に行うために、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類、その他のイソシアネート基に対して不活性で水との親和性の大きい有機溶媒を使用してもよい。また、イソシアネート基に対して反応性のない、すなわち、活性水素基を含まない(B)成分が(A)成分の製造の際に存在していてもよい。この場合、(B)成分によって反応系が希釈されて反応をより均一に行うことができる。この(A)成分を得る反応は、通常50〜100℃程度で、0.5〜20時間程度である。これにより、カルボキシル基及び末端にイソシアネート基を有する(A)成分を得ることができる。
上記(A)成分の製造に使用される触媒としては、一般にウレタン化反応に使用される触媒が使用できる。具体例としては、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。
上記(A)成分のガラス転移温度(Tg)は、−60℃以上、250℃以下であることが好ましい。また、(A)成分のソフトセグメント(ポリオール単位由来)のガラス転移温度と、ハードセグメント(イソシアネート単位由来)とのガラス転移温度とで複数のガラス転移温度が発現する場合がある。このときの低温側(ソフトセグメント側)ガラス転移温度は、−60℃以上であることが好ましく、−50℃以上がより好ましい。−60℃より低いと、得られる皮膜が過度に柔軟になる場合がある。一方で、低温側ガラス転移温度は0℃以下であるのが好ましく、−5℃以下であるのがより好ましい。0℃を超えると、皮膜の柔軟性が不足する傾向となる。また、高温側(ハードセグメント側)ガラス転移温度は、低温側ほど塗膜物性への影響は大きくないものの、30℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましい。30℃未満では、皮膜の強靱性が劣ることがある。一方で上限は、250℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましい。250℃を超えると、皮膜が硬くなって質感に劣ることがある。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、JIS K7244−4の方法で測定することができる。
上記(A)成分が含有するカルボキシル基は、その少なくとも一部が、塩基性化合物により中和されることが好ましい。これにより、(A)成分の水性媒体中での分散性を向上させることができる。この塩基性化合物としては、有機アミン化合物又はアルカリ金属水酸化物が挙げられる。この中和反応は、(A)成分を製造した後、水性媒体中に分散する前であれば、任意の時期に行うことができる。その中でも、後述する第1中和工程、及び必要に応じて、後述する第2中和工程で行われるのが好ましい。
上記の有機アミン化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン化合物が好ましく用いられる。また、上記のアルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。
これらの塩基性化合物の総使用量は、後述する第1中和工程及び第2中和工程の合計使用量として、(A)成分が有するカルボキシル基の量に対して、1当量以上であると好ましい。すなわち、上記(A)成分中のカルボキシル基が、塩基性化合物により100%以上中和されていることが好ましい。1当量未満では、水性媒体中で良好な分散状態が得られないことがある。一方その上限は、2.0当量が好ましく、1.5当量がより好ましい。2.0当量を超えると塩基性化合物がエマルジョン中に残るため、化粧料用として用いる際に問題を生じるおそれがある。
上記(A)成分を分散させる水性媒体としては、水や、水とメタノール、エタノール等の水と相溶可能な有機溶媒との混合溶液等が挙げられる。この中でも、環境的な側面から、水がより好ましい。
上記の(A)成分は、必要に応じて鎖伸長反応を行って、後述するウレタン成分((A)成分)の最頻分子量(Mwp)の範囲内に調整することができる。このとき使用される鎖伸長剤としては、イソシアネート基と反応可能な活性水素を複数個有する化合物や水(上記水性媒体としての水を含む。)等が挙げられる。
上記イソシアネート基と反応可能な活性水素を複数個有する化合物としては、炭素数1〜8のポリオール、ポリアミン化合物等が挙げられる。上記ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられる。また、ポリアミン化合物の例としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン等のジアミン類を挙げることができる。
上記の鎖伸長反応は、上記の(A)成分と重合性単量体(B)とを含む混合液を上記水性媒体中に乳化分散させて第1乳化液を得る際に、水性媒体として水を用いると、この水によって、上記(B)成分の重合工程中に、上記(A)成分の鎖伸長反応が一部生じることがある。また、積極的に鎖伸長反応を行う場合、この第1乳化液を得る乳化分散後に、上記鎖伸長剤を加えて鎖伸長反応を行うことができる。なお、該鎖伸長反応は、第1乳化液に含まれる(A)成分の少なくとも一部について生起すればよい。また、上記第1乳化液、又はこの第1乳化液中の(A)成分の少なくとも一部を鎖伸長反応させて得られる第2乳化液に含まれる上記(B)成分を重合させた後、乳化液中の(A)成分の少なくとも一部を、積極的に鎖伸長させてもよい。
上記(B)成分の(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体の例としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸s−ペンチル、(メタ)アクリル酸1−エチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチルブチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸t−ペンチル、(メタ)アクリル酸3−メチルブチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルペンチル、(メタ)アクリル酸4−メチルペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルブチル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−ヘプチル、(メタ)アクリル酸3−ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸3,3,5−トリメチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ドコシル、(メタ)アクリル酸テトラコシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチル等が例示される。これらの中でも、アルキル基の炭素数が1〜24の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、特にアルキル基の炭素数が1〜8のものが好ましい。なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル又はメタクリル」を意味する。
これらの(B)成分は、一種類のみを用いてもよいし、複数種類を混合して用いてもよい。
この(B)成分には、必要に応じて、他の単量体としてエステル基含有ビニル単量体、スチレン誘導体、ビニルエーテル系単量体等を併用してもよい。上記エステル基含有ビニル単量体の例としては、酢酸ビニル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等の疎水性ビニルモノマー、ラジカル重合性不飽和基含有シリコンマクロモノマー等の不飽和基含有マクロモノマー等が例示される。
また、上記スチレン誘導体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。さらに、上記ビニルエーテル系単量体の具体例としては、ビニルメチルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル等が例示される。
上記(B)成分からなる単独重合体又は共重合体のガラス転移温度(Tg)、すなわち、一種類からなる場合はその単独重合体の、複数種類からなる場合は、その組成比における共重合体のガラス転移温度は、0℃以上であることが好ましく、5℃以上がより好ましく、40℃以上がさらに好ましく、60℃以上が特に好ましい。0℃未満では、得られる化粧料の熱戻り性(セット性を含む)が悪化することがある。一方、ガラス転移温度は120℃以下であるのが好ましく、110℃以下がより好ましい。120℃を超えると、最低造膜温度が高くなり、均一な皮膜が形成されないことがある。ガラス転移温度をこの範囲とすることで、油分配合量の多い化粧料配合においても、油分による重合体の可塑化を抑制することができる。
このガラス転移温度(Tg)は、前記(A)成分の項で説明した方法で測定することもでき、また、下記式(1)(FOX式)により算出することもできる。
1/Tg=(Wa/Tga)+(Wb/Tgb)+(Wc/Tgc)+… (1)
但し、Tgは(共)重合体のガラス転移温度(K)、Tga、Tgb、Tgc等は各構成単量体a、b、c等の単独重合体のガラス転移温度(K)であり、Wa、Wb、Wc等は各構成単量体a、b、cの、共重合体中の重量分率を示す。
なお、Tgを「℃」で表記したい場合は上記式で得られたTgの値から「273」を減じればよい。
上記(B)成分として複数の(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体の混合物を用いる場合、単独重合体のTgが高い第1単量体と、単独重合体のTgが低い第2単量体とを含有する混合物であることが好ましい。このように、(B)成分として、単独重合体のTgが異なる単量体を用いることにより、好適な皮膜の柔軟性に調整することができる。
上記第1単量体の単独重合体のTgは、95℃以上がよく、100℃以上が好ましい。95℃より低いと、皮膜柔軟性の調整範囲が小さくなる。Tgの上限は、通常150℃程度である。
また、上記第2単量体の単独重合体のTgは、30℃以下がよく、10℃以下が好ましい。30℃より高いと、柔軟性が不足したり、皮膜柔軟性の調整範囲が小さくなったりする。一方、Tgの下限は、−70℃がよく、−60℃が好ましい。−70℃より低いと、皮膜のベタつきが発生する場合がある。
次に、この発明にかかる化粧料用U/A樹脂水性分散液の製造方法について説明する。この発明にかかる化粧料用U/A樹脂水性分散液は、上記の通り、(A)成分及び(B)成分を混合した混合液を調製し、次いで、これを水性媒体中で乳化分散させ、その乳化液中の(B)成分を重合させることによって、ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂の水性エマルジョンが得られる。また、その過程において、必要に応じて、上記(A)成分の鎖伸長反応が行われる。
上記(A)成分と(B)成分とを含む混合液を得る方法は、カルボキシル基の少なくとも一部を中和して水分散性にした(A)成分と(B)成分とが、水性媒体中に均一に分散できる方法であればよく、(B)成分の添加時期は特に限定されるものではない。
例えば、(A)成分中のカルボキシル基の少なくとも一部を中和する前に(B)成分を添加する方法や、中和した後に添加する方法が挙げられる。さらに、上記(A)成分の原料であるポリオール単位や多価イソシアネート化合物等に、(B)成分の一部又は全部を混合し、この(B)成分の存在下で、ポリオール単位、多価イソシアネート化合物、カルボキシル基含有多価ヒドロキシ化合物等を反応させて、(A)成分を製造してもよい。このとき、(A)成分の製造後に(B)成分の残量を添加する場合も、その添加時期は、(A)成分中のカルボキシル基を中和する前、同時又は後の任意の時期で構わない。
中でも、上記(B)成分の存在下で、上記ポリオール単位、カルボキシル基含有多価ヒドロキシ化合物及び多価イソシアネートを反応させて、上記(A)成分を得る方法が、(A)成分と(B)成分とをより均一に混合することができるので好ましい(以下、この工程を「プレポリマー化工程」と称する)。
上記のポリオール単位、カルボキシル基含有多価ヒドロキシ化合物及び多価イソシアネートの反応方法としては、ジブチル錫ジラウレート等のウレタン重合触媒の存在下で重合する方法が挙げられる。
上記の混合液中の(A)成分と(B)成分との混合割合は、純分重量比で(A)/(B)=80/20〜30/70がよく、70/30〜35/65が好ましい。(A)成分が80重量%を超えると、整髪料として使用した際の熱戻り性(セット性を含む)が悪くなることがある。一方、20重量%未満の場合は、合成時に乳化不足となり、水分散時にゲル化を起こしたり、不均一な水分散体となったりすることがある。
上記の(A)成分と(B)成分との混合液の濃度は、特に限定されるものではないが、最終的に得られる水性エマルジョン組成物中の不揮発成分量が20重量%以上となるようにすることが好ましく、30重量%以上となるようにするのがより好ましい。20重量%未満では、乾燥に時間を要する場合がある。一方で、その上限は70重量%以下となる量とすることが好ましく、60重量%以下がより好ましい。70重量%を超えると、水分散性の調製が難しくなったり、分散安定性が低くなったりすることがある。
(A)成分中のカルボキシル基が全く中和されていない場合、上記(A)成分及び(B)成分の混合液に、上記塩基性化合物を加えて、上記(A)成分が含有するカルボキシル基の少なくとも一部を中和し、(A)成分の中和物を得るのが好ましい(以下、この工程を「第1中和工程」と称する)。
上記第1中和工程により中和されるカルボキシル基の量は、上記(A)成分中の全カルボキシル基に対して、0.5当量以上がよく、0.55当量以上が好ましい。
上記第1中和工程により中和されるカルボキシル基の量が1当量又はそれ以上の場合は、後述する第2中和工程は行わなくてもよい。一方、1当量未満の場合は、後述する第2中和工程が必要に応じて行われる。
次いで、上記(A)成分の中和物と(B)成分との混合液を上記水性媒体中に乳化分散させる(以下、この工程を「乳化工程」と称する)。上記(A)成分の中和物と(B)成分との混合液に水性媒体を加える方法としては、上記混合液に水性媒体を滴下して分散させる方法、上記混合液を上記水性媒体中に滴下して分散させる方法等、特に限定されない。
乳化分散時の温度は、0℃以上がよく、10℃以上が好ましい。一方で80℃以下がよく、60℃以下が好ましい。温度が高過ぎると(A)成分が変性するおそれがある。
上記のようにして得られた乳化分散液において、(B)成分を重合させて、ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂の水性エマルジョンを得る(以下、この工程を「重合工程」と称する)。この(B)成分の重合反応は、用いる(B)成分に応じた一般的な重合方法で行うことができ、例えば、上記混合液にラジカル重合開始剤を添加して行うことができる。
このラジカル重合開始剤としては、慣用のラジカル重合開始剤を用いることができ、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ系開始剤、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩系開始剤、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート等の有機過酸化物系開始剤を用いることができる。また、有機過酸化物系開始剤や過硫酸塩系開始剤と、アスコルビン酸、ロンガリット又は亜硫酸金属塩等の還元剤を組み合わせたレドックス系重合開始剤も好ましく用いられる。上記ラジカル重合開始剤の使用量は、重合性単量体(B)に対して、0.1〜5重量%程度、好ましくは0.5〜2重量%程度とすればよい。
上記(B)成分の重合は、重合温度10〜80℃で行うのがよく、30〜60℃で行うことがより好ましい。また、発熱終了後、40〜90℃程度に30分〜3時間程度維持することによって、重合がほぼ完了する。これにより、ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂の水性エマルジョンが得られる。
上記(1)の比較的高分子量のジオール類としては、低分子量ジオール類とジカルボン酸とを縮重合して得られるポリエステルジオール類やポリアルキレングリコール類等の(重量平均)分子量が1000以上のジオール類を例示できる。
上記低分子量ジオール類の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール等の分子量が500未満のジオール類が挙げられる。また、上記ポリアルキレングリコール類の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、(水添)ポリブタジエンジオール等が挙げられる。この他に、ポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートジオール、ポリアクリル酸エステルジオール等も用いることができる。
上記重合工程で得られたウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂の水性エマルジョン中には、通常未反応の(B)成分が残存するが、これに由来する臭気を抑えるためには、例えばその濃度を100ppm以下、好ましくは70ppm以下とするのがよく、濃度は0に近いほど好ましい。
(B)成分の濃度を低減させる方法としては、例えば、水性エマルジョンを加熱して残存する(B)成分を揮発させる方法や、エマルジョンの気相部に空気等の気体を流通させる方法、エマルジョンに水蒸気を吹き込む方法、(B)成分を減圧留去する方法等が挙げられ、これらを必要に応じて組み合わせて行ってもよい(以下、この工程を「脱臭工程」と称する。)。
上記の水性エマルジョンを加熱する場合、水性エマルジョンの液温は40℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい。一方で、その液温は、水性媒体の沸点以下とするのがよく、100℃以下が好ましい。また、気体を吹き込んだり流通させたりする場合は、その気体温度は20℃以上、100℃以下が好ましく、60℃以上、95℃以下がより好ましい。なお、水蒸気を吹き込む場合も、水性エマルジョンの液温は上記の条件を満たすことが好ましい。
気体を流通させる場合の流通量(気体の使用条件における体積/時間)は特に限定されないが、容器の気相部体積の2〜100容量倍/分がよく、5〜80容量倍/分が好ましい。2容量倍/分未満では、(B)成分の除去が不十分となりやすい。一方、100容量倍/分より多いと、水性エマルジョンの飛散や、液表面の膜張りにより、容器壁に付着物が生成することがあり、好ましくない。
前記の加熱により蒸発した水分は、(B)成分の除去後に、必要に応じて補充することができる。なお、(B)成分を含む排気を大気中に放出することは好ましくないため、排気を冷却して得られる凝縮液をタンク等に回収し、廃水処理を行うことが好ましい。
上記のようにして、(B)成分の残留量を100ppm以下としたウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂の水性分散液は、整髪料等の化粧料用に、臭気がほとんど無い原材料として用いることができる。さらにこの発明にかかるウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液を用いた場合、整髪料として、熱戻り性(セット性を含む)が良好で、髪のすべり等の感触も良好なものとなる。
ところで、上記の乳化工程と重合工程との間、及び上記重合工程と脱臭工程との間のいずれか1箇所で、必要に応じて、(A)成分((A)成分の中和物を含む。以下、同様)の少なくとも一部を鎖伸長させてもよい。また、上記の乳化工程と重合工程との間で、上記(A)成分の一部を鎖伸長させ、かつ、上記の重合工程と脱臭工程との間で、上記の鎖伸長工程によって鎖伸長されずに残存した(A)成分の少なくとも一部を鎖伸長させてもよい。
(A)成分の鎖伸長反応は、乳化液中でも、分散媒である水によっても徐々に生起するので、重合工程中も鎖伸長反応が一部起こることがある。しかし、水による鎖伸長は、通常反応速度が遅いので、より効果的かつ確実に鎖伸長を行うためには、上記した水以外の鎖伸長剤を用いて積極的に鎖伸長反応を行うのがよい。これにより、より速やかに鎖伸長されたウレタンポリマーが得られ、柔軟でかつ弾力のある皮膜を得ることができる。
また、上記の乳化工程と重合工程との間、上記重合工程と脱臭工程との間、及び上記脱臭工程の後から選ばれる少なくとも1箇所に、(A)成分中のカルボキシル基の少なくとも一部を、上記塩基性化合物を用いて、さらに中和してもよい(以下、この工程を「第2中和工程」と称する)。中和度を所定の範囲まで進めることで、得られるエマルジョンの保存安定性を改良したり、造膜性を改良する等の効果を得ることができる。
上記第2中和工程において用いる塩基性化合物の量は、上記(A)成分中のカルボキシル基に対して、上記第1中和工程において使用した量と合算した量として、1当量以上が好ましい。なお、第1中和工程で既に1当量以上の塩基性化合物が使用されている場合は、この第2中和工程を省略してもよい。
上記第1中和工程及び第2中和工程で使用される塩基性化合物は、添加・混合を容易にするために、水溶液又は水分散液として用いるのがよい。中和されたウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂は、水単独、極性有機溶媒と水との混合溶媒、又は有機溶媒に溶解又は分散される。この有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、又はその他の有機溶媒が挙げられる。アルコール類としては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等の1〜8個の炭素原子を含むアルコールや、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコール等の二価以上のアルコール等が挙げられる。また、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。その他の有機溶媒としては、ペンタン等の低沸点炭化水素、ジメチルエーテル、ジメトキシメタン等のエーテル類、モノ−、ジ−、又はトリ−エチレングリコールモノアルキルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸メチル等のエステル等が挙げられる。
この発明で得られるウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液(U/A複合樹脂水性分散液)中のU/A複合樹脂の重量平均分子量(Mw)は、180000以上が好ましく、200000以上がより好ましい。重量平均分子量(Mw)が小さすぎると、顔料分散性に劣る場合がある。一方、重量平均分子量(Mw)の上限は、1000000が好ましく、800000がより好ましい。重量平均分子量(Mw)が大きすぎると、毛髪に塗布した時の柔らかさに劣る場合がある。このような重量平均分子量(Mw)の範囲とすることで、特に良好な耐油性(シリコーンオイルとの混合液からのキャスト成膜性)を得ることができる。
また、このU/A複合樹脂水性分散液中のU/A複合樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、10以上が好ましく、20以上がより好ましい。Mw/Mnが小さすぎると、柔軟性と高いセット力を有する(C.R.値が高い)という2つの特徴を両立し難くなる傾向がある。一方、Mw/Mnの上限は、70が好ましく、60がより好ましい。Mw/Mnが大きすぎると、低分子量側又は高分子量側のいずれか又は両方の重合体により、膜の風合いが損なわれる場合がある。
さらに、このU/A複合樹脂に含まれるウレタン成分の重量平均分子量(Mw)のうちの最頻度の分子量、すなわち、図1に示すような、U/A複合樹脂をゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)によってMwを測定した際に得られるチャート(クロマトグラム)のうち、ウレタン成分の重合体に相当するピークの位置(図1の(A)で示した部分)の分子量(以下、ウレタン成分の重合体の当該分子量をウレタン成分の重合体の最頻分子量(Mwp)といい、「ウレタン成分のMwp」と称する場合がある。)は、10000以上が好ましく、20000以上がより好ましい。ウレタン成分のMwpが10000より小さいと、U/A樹脂の長期安定性が不足して、例えば、夏期、30℃を超えるような環境下では、劣化が速くなる懸念がある。一方、ウレタン成分のMwpの上限は、200000が好ましく、100000がより好ましい。ウレタン成分のMwpが200000より大きいと、硬くなって風合いを損ねたり、合成工程で系の粘度が上がりすぎて生産性が悪化したりする場合がある。
また、このU/A複合樹脂に含まれるアクリル成分の重合体の最頻分子量(Mwp)(図1の(B)で示した部分をいい、以下、「アクリル成分のMwp」と称する場合がある。)は、200000以上が好ましく、250000以上がより好ましい。アクリル成分のMwpが200000より小さいと、耐1,3BG性や顔料分散性が悪くなる場合がある。一方、アクリル成分のMwpの上限は、2000000が好ましく、1500000がより好ましい。アクリル成分のMwpが2000000より大きいと、風合いが悪くなる場合がある。
また、このU/A複合樹脂に含まれるアクリル成分の最頻分子量(Mwp)とウレタン成分の最頻分子量(Mwp)との((アクリル成分のMwp)−(ウレタン成分のMwp))差は、200000以上が好ましく、250000以上がより好ましい。この差が200000より小さいと、毛髪塗布時の柔らかさと耐1,3BG性の両立が出来ないおそれがある。一方、この差の上限は、2000000が好ましく、1000000がより好ましい。この差が2000000より大きいと、差がありすぎるため、毛髪塗布時の柔らかさと耐1,3BG性の両立が出来ないおそれがある。
なお、「耐1,3BG性」とは、一般的には、水性分散液に1,3BG(1,3−ブタンジオール)を添加し混合してもその試料液に変化が起きないということをいい、配合安定性試験の一種である。特に、化粧料用途においては、後記するC.R.試験において、1,3BGの有無で結果に変化が起きないこと、すなわち、測定対象樹脂が1,3BGの影響を受けないという状態を指す。
なお、(B)成分である(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体を水性媒体中で乳化重合する場合、重合途中で水性媒体中の重合開始剤、乳化剤等や生成した他の重合体等への連鎖移動反応が生じやすく、得られる重合体の分子量が低くなることがある。
一方、本願においては、(A)成分(イソシアネート基とカルボキシル基とを有するポリウレタン)と、(B)成分((メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体)とを水性媒体中で乳化分散してなるプレエマルジョンを用いて、(B)成分を重合させて得られるウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液(U/A樹脂水性分散液)を製造するので、エマルジョン液滴において、(A)成分の内側に(B)成分が配された状態で、ラジカル重合が起きることとなる。このとき、(B)成分は、(A)成分によって保護されることとなり、(B)成分の重合中の連鎖移動反応が生じにくいだけでなく、重合の停止反応が起きにくい状態で重合が進むため、(B)成分の分子量が大きくなる傾向となる。そして、ウレタン樹脂がシェル部を構成し、(メタ)アクリル樹脂がコア部を構成する、コア−シェル構造の複合樹脂となる。このとき、(B)成分の分子量は、(A)成分が存在しない状態での乳化重合に比べて大きくなりやすく、得られる複合樹脂の分子量分布は、図1に示すように、2つのピークを示すこととなる。なお、図1の横軸(RTmin)は、保持時間(分)を意味し、RTが短いほど分子量が大きいことを示す。
この分子量分布の例は、図1に示すとおりで、それぞれのピーク位置、即ちアクリル成分のMwpとウレタン成分のMwpとの関係は、上記に記した通りとなる。
ところで、前記のU/A複合樹脂に含まれるウレタン成分の最頻分子量(Mwp)とアクリル成分の最頻分子量(Mwp)が明確に判別できない場合、すなわち、図1に示すような、U/A複合樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)のチャート(クロマトグラム)において、明瞭に2つのピークが表れない場合は、ウレタン成分とアクリル成分とを対応する条件で個別に重合して水性分散液を得、それぞれについてゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)によってMwを測定し、そのピーク位置をウレタン成分の最頻分子量(Mwp)又はアクリル成分の最頻分子量(Mwp)としてもよい。但し、この場合、特にアクリル成分((B)成分)のMwpは、前記のような分子量増大効果がないため、通常、実際よりは低めの値となる。
この発明で得られるU/A複合樹脂水性分散液の最低造膜温度(MFT)は、後述するように、JIS K6828−2に基づいた方法で測定したとき、−10℃以上がよく、−5℃以上が好ましい。−10℃より低いと、柔らかくなりすぎて、形成される皮膜のセット性や熱戻り性が不十分となる場合がある。一方、MFTの上限は、60℃がよく、50℃が好ましく、さらには30℃が好ましく、20℃であればさらによい。60℃より高いと、硬くなりすぎ、また、生活環境下では、造膜し難く、化粧品用途等には不向きなことがある。
本発明において、ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂の最低造膜温度を、上記の好適範囲とするためには、種々の方法が用いられるが、例えば最低造膜温度を低くする方法としては、以下の(1)〜(3)の方法が挙げられる。なお、最低造膜温度を高くするためには、一般に、この方法と逆の手法を用いればよい。
(1)上記ポリオール単位として、分子量が例えば1000を超えるような、比較的高分子量のジオール類の使用量を増す。
(2)(A)成分を製造する際のポリオール単位と多価イソシアネート化合物との当量比を1:1に近づける。
(3)(B)成分として、ガラス転移温度(Tg)の低いものを用いる。
この発明で得られるU/A複合樹脂水性分散液のゲル分は、50重量%以上がよく、60重量%以上が好ましい。50重量%より少ないと、硬さが不足し、配合安定性や分散安定性に劣る傾向がある。一方、ゲル分の上限は、99重量%がよく、95重量%が好ましい。99重量%より多いと、硬くなりすぎたり、化粧品用途ではゴワつきを生じたりする場合がある。また、このようなゲル分とすることで、前述の耐油性(キャスト成膜性)がより向上する。この特性はU/A樹脂の重量平均分子量(Mw)を前記のような範囲とすることで、特に効果的に得ることができる。
[毛髪化粧品]
本願にかかる化粧料用ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液(化粧料用U/A樹脂水性分散液)は、毛髪化粧品用や皮膚用化粧品用の樹脂として使用することができる。
毛髪化粧品用樹脂として使用する場合は、公知のシャンプー、リンス、トリートメント、セット剤、パーマネントウエーブ液等の毛髪化粧料中に、本願にかかる化粧料用水性エマルジョン組成物を添加使用する。この時、従来使用されている公知のポリマーと併用使用してもよい。添加使用される毛髪化粧料は、液体、クリーム、エマルジョン、スプレー、ゲル、ムース(泡沫状態で噴出可能なクリーム/ジェル状物)等いかなる形状でもよい。
この化粧料用U/A樹脂水性分散液の添加量は、毛髪化粧料の形態や目的、或いは併用するポリマーの種類や量によって異なるが、毛髪化粧料に対し、化粧料用U/A樹脂水性分散液の樹脂分として0.05〜10重量%の割合で添加することが好ましく、0.1〜8重量%の割合で添加することがより好ましい。
また、上記化粧料用U/A樹脂水性分散液は、単独で、又は慣用のアニオン性、ノニオン性、カチオン性及び両性の公知のセット用ポリマーと併用して使用することができる。併用されるセット用ポリマーとしては、混和安定性の面からアニオン性、ノニオン性のセット用ポリマーがより好ましい。
セット用ポリマーとして用いられるアニオン性ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸とメタクリル酸アルキルとの共重合体(商品名:ダイヤホールド(三菱化学(株)製)、商品名:プラスサイズL−53シリーズ等(互応化学工業(株)製))、マレイン酸モノアルキルエステルとメチルビニルエーテル共重合体(商品名:GANTREZ AN−119(アイエスピージャパン(株)製))等が挙げられる。
セット用ポリマーとして用いられるノニオン性ポリマーとしては、例えば、ポリビニルピロリドン重合体(商品名:PVPシリーズ(アイエスピージャパン(株)製))、ビニルピロリドンと酢酸ビニル共重合体(商品名:LUVISKOL VAシリーズ(BASF製))等が挙げられる。両性ポリマーでは、例えば、メタクリル酸エステル共重合体(商品名:ユカフォーマ−シリーズ(三菱化学(株)製))等が挙げられる。
セット用ポリマーとして用いられるカチオン性ポリマーとしては、例えばヒドロキシセルロースとグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドとのエーテル(商品名:レオガードG(ライオン(株)製)、商品名:ポリマーJR−30M−125及び同−400(ユニオンカーバイド製))、ビニルピロリドン−ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体の4級化物(商品名:GAFQUAT 734及び755(アイエスピージャパン(株)製))、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合体(商品名:MERQUAT 100(Lubrizol社製))、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドアクリロアマイド共重合体(商品名:MERQUAT550(Lubrizol社製))等が挙げられる。
化粧料用U/A樹脂水性分散液とセット用ポリマーとが使用されるセット用化粧料には、エアゾールヘアスプレー、ポンプ式ヘアスプレー、フォーム状ヘアスプレー、ヘアミスト、セットローション、ヘアクリーム、ヘアーオイル等の、水及び/又はエタノール、イソプロパノール等のアルコール類を含有する各種の整髪料が含まれる。
上記整髪料として、泡状態で噴出可能な毛髪化粧料(ムース)とする場合、例えば、上記化粧料用U/A樹脂水性分散液(固形分)として、0.01〜10重量%、公知のセット用ポリマー0〜15重量%、ノニオン性界面活性剤0.1〜5重量%、液化ガス3〜25重量%及び水を主体とする水溶性溶媒60重量%〜残余分等の組成が用いられる。(但し、水は毛髪化粧料中60重量%以上含有される)。
ここで、用いるノニオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
また、ゲル(ジェル)状の整髪料とする場合は、化粧料用U/A樹脂水性分散液(固形分)0.01〜10重量%、セット用ポリマー0〜15重量%、ジェルベース0.1〜3重量%、水72重量%〜残余分等の組成が用いられる。
ヘアスプレーとする場合は、化粧料用U/A樹脂水性分散液(固形分)0.01〜10重量%、セット用ポリマー0〜15重量%、有機溶媒30〜80重量%、噴射剤10〜70重量%等の組成が用いられる。
また、上記のスプレーやムースに使用できる噴射剤としては、エタノール、液化石油ガス、ジメチルエーテル、ハロゲン化炭化水素等の液化ガスや空気、二酸化炭素、窒素ガス等の圧縮ガス等が挙げられる。
本発明の化粧料用U/A樹脂水性分散液は、シャンプー、コンディショナー(リンス)、パーマネント液等のコンディショニング化粧料に使用することができる。このような毛髪化粧品には、配合として、例えば、溶媒として水及び/又はエタノール、イソプロパノール等のアルコール類や、これに加えて沸点50℃〜300℃の炭化水素類が含まれることが多い。こうしたコンディショニング化粧料は、前述のセット用化粧料と同様に、通常化粧料用U/A樹脂水性分散液単独で、又は慣用のアニオン性、ノニオン性、カチオン性及び両性のコンディショニング用ポリマーと併せて用いられる。併用するセット用ポリマーとしては混和安定性の面からアニオン性又はノニオン性のセット用ポリマーがより好ましい。
また、シャンプー用に使用する場合、アニオン性、両性又はノニオン性の界面活性剤に、上記化粧料用U/A樹脂水性分散液を添加して使用できる。ここで使用される界面活性剤の例としては、アニオン性界面活性剤としては、N−ココノイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム、N−ミリストイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム等のN−脂肪酸アシル−N−メチル−β−アラニン塩等が挙げられる。
また、両性界面活性剤としては、ココアシドプロピルベタイン、ジメチルラウリルベタイン、ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルベタイン、シクロヘキシルラウリルアミンオキシド、ジメチルラウリルアミンオキシド、ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミンオキシド等が例示できる。
ノニオン性界面活性剤としては、ステアリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、等が挙げられる。
また、リンス用に使用する場合、カチオン性界面活性剤に本願の化粧料用U/A樹脂水性分散液を添加して使用することができる。このようなカチオン性界面活性剤としては、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム等が挙げられる。
さらに、パーマネント液として用いる場合は、臭素酸塩類、過ホウ素酸類等の酸化剤、及びチオグリコール酸及びその塩、システイン等の還元剤に、化粧料用U/A樹脂水性分散液を添加して使用する。
上記以外に、例えば、ヘアートリートメントとして使用する場合には、カチオン性界面活性剤、及び/又はカチオン性ポリペプタイド、カチオン性セルロース、カチオン性ポリシロキサン等のカチオン化ポリマーと併用又は代替して、本発明の化粧料用U/A樹脂水性分散液を使用することができる。このようなカチオン性界面活性剤としては、例えばリンス用に例示したものが、特に問題なく使用できる。
上記のセット用化粧料及びコンディショニング化粧料のいずれの場合も、前述した各種成分の他に、必要に応じて、本発明の効果に影響のない範囲で、他の任意成分を配合してもよい。このような任意成分としては、炭化水素類、直鎖アルコール、分枝アルコール類、高級脂肪酸類及びその誘導体、植物系高分子、微生物系高分子、天然水溶性高分子、セルロース系高分子、半合成水溶性高分子、ビニル系高分子、ポリオキシエチレン系高分子、合成水溶性高分子、無機の水溶性高分子、シリコーン類、N−脂肪酸アシル−L−グルタミン酸塩、N−脂肪酸−N−メチルタウリン塩、N−脂肪酸サルコシン縮合物の塩、上記した界面活性剤以外の界面活性剤、乳化剤、保湿剤、抗菌剤、血管拡張剤、清涼感付与剤、刺激感付与剤、ビタミン類、殺菌防腐剤、キレート化剤、pH調製剤、増泡剤、発泡剤、泡安定剤等が挙げられる。さらに、これらの化粧料が、エアゾール形態の製品の場合には、液化石油ガス、ジメチルエーテル等の噴射剤が併用され、その他用途・目的に応じて、金属イオン捕捉剤、防黴剤、殺菌剤、乳濁剤、コンディショニング剤、増粘剤、酸化防止剤、可溶化剤、ロジン、ハイドロトロープ、養毛剤、生薬、色素、香料等を用いてもよい。
炭化水素類としては、流動パラフィン、ワセリン、固形パラフィン、スクワラン、オレフィンオリゴマー等が挙げられる。上記直鎖アルコールとしては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等が挙げられる。
分枝アルコール類としては、モノステアリルグリセリンエーテル、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。
高級脂肪酸類及びその誘導体としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン(ベヘニル)酸、オレイン酸、1,2−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール酸、ラノリン脂肪酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、γ−リノレン酸、エイコサペンタエン酸等が挙げられる。
上記植物系高分子としては、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等が挙げられる。
上記微生物系高分子としては、キサンタンガム、デキストラン、プルラン等が挙げられる。上記天然水溶性高分子としては、コラーゲン、ゼラチン等の動物系高分子等が挙げられる。上記セルロース系高分子としては、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース粉末等が挙げられる。
上記半合成水溶性高分子としては、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子等が挙げられる。上記ビニル系高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー(カーボポール)等が挙げられる。
上記ポリオキシエチレン系高分子としては、ポリエチレングリコール20,000、4,0,000、60,000等が挙げられる。上記合成水溶性高分子としては、ポリエチレンイミン等が挙げられる。上記無機の水溶性高分子としては、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(ビーガム)、ラボナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等が挙げられる。
シリコーン類としては、揮発性シリコーン油、シリコーン樹脂、シリコーンガム、アルキル変性シリコーン等が挙げられ、また、上記N−脂肪酸アシル−L−グルタミン酸塩としては、N−ラウリル−L−グルタミン酸モノナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸−L−グルタミン酸モノトリエタノールアミン、N−ミリスチル酸アシル−L−グルタミン酸モノナトリウム、N−混合脂肪酸アシル−L−グルタミン酸モノナトリウム等が挙げられる。
N−脂肪酸−N−メチルタウリン塩としては、ラウリン酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム等が挙げられる。上記N−脂肪酸サルコシン縮合物の塩としては、ラウロイルサルコシンナトリウム、ココイルサルコシンナトリウム等が挙げられる。
他の界面活性剤としては、アシルサルコシンナトリウム、アシルグルタミン酸塩、アシル−β−アラニンナトリウム、アシルタウレート、ラウリル硫酸塩、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
乳化剤としては、グリセリルモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等が挙げられる。
保湿剤としては、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、マルチトール、ソルビトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−1,2−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン等が挙げられる。
抗菌剤としては、ヒノキチオール、ヘキサクロロフェン、ベンザルコニウムクロリド、トリクロロカルバニリド及びピチオノール等が挙げられる。血管拡張剤としては塩化カルプロニウム等が挙げられる。清涼感付与剤としては、メントール類等が挙げられる。刺激感付与剤としては、ニコチン酸ベンジル等が挙げられる。また、ビタミン類としては、ビタミンA、B、C、D、E等が挙げられる。
殺菌・防腐剤としては、グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、パラオキシ安息香酸エステル等が挙げられる。キレート化剤としては、タンパク加水分解物、アミノ酸、植物抽出エキス、EDTA−Na等が挙げられる。pH調整剤としては、コハク酸、コハク酸ナトリウム、トリエタノールアミン等が挙げられる。
次に、本願にかかる化粧料用水性エマルジョン組成物の他の用途である、皮膚用化粧品とメークアップ用化粧品について説明する。
[皮膚用化粧品]
皮膚用化粧品用の樹脂として使用する場合は、スキンクリーム、化粧水、乳液等の皮膚用化粧料品中に、本願にかかる化粧料用U/A樹脂水性分散液を添加使用する。
[メークアップ用化粧品]
メークアップ用化粧品としては、例えば、マスカラ、アイライナー、アイシャドウ、口紅、リップグロス、ファンデーション、及びメークアップルージュ等が例示でき、これらのメークアップ用化粧品は、本発明のウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂等の樹脂水性分散液に、固形油剤等の油剤、顔料等の粉体成分、あるいは液状アルコール等の溶媒などの化粧料に通常用いられる材料をその用途・目的に応じて添加・混合することによって得られる。
本発明で用いることができる、上記顔料等の粉体成分としては、以下のようなものが例示できる。
(1)赤色104号、赤色102号、赤色226号、赤色201号、赤色202号、黄色4号、黒色401号などの色素、
(2)青色1号アルミニウムレーキ、黄色4号アルミニウムレーキ、黄色5号アルミニウムレーキ、黄色203号バリウムレーキなどのレーキ色素、
(3)ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロン(登録商標)パウダー、シリコーンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、セルロースパウダー、シリコーンエラストマー球状粉体、ポリエチレン末などの粉体状の高分子、
(4)黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青などの有色顔料、
(5)酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウムなどの白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、板状硫酸バリウムなどの体質顔料、
(6)雲母チタン、ベンガラ被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、紺青被覆雲母チタン、黒酸化鉄被覆雲母チタンなどのパール顔料、
(7)硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウムなどの金属塩、
(8)シリカ、アルミナなどの無機粉体、
(9)ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素、ラウロイルリジン、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛など。
これらの粉体の大きさとしては、5nm〜100μmの範囲に入るものが好ましく、より好ましくは10nm〜50μmである。また、その形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状など)は、特に制限はない。
上記に例示される各種の粉体は、それぞれ個別に配合しても、また粉体配合剤の混合物として予め混合した上で配合しても構わない。
また、混合物の色を例えば肌色などの所望の色に調色したものを用いてもよく、さらに、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛などの紫外線散乱成分を添加して配合物に紫外線防御機能を付与することもできる。
上記固形油剤などの油剤成分としては、通常化粧料に用いられる揮発性又は不揮発性の油剤、溶剤、及び樹脂が挙げられ、常温で液体、ペースト、固体状のいずれであっても構わない。
本発明に用いることができる油剤成分の例としては、例えば以下のようなものが例示される。
(1)イソステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸などの脂肪酸、
(2)ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、モノステアリン酸グリセリン、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリン酸オクチルなどの脂肪酸エステル類、
(3)流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、スクワランなどの高級炭化水素類、ラノリン、還元ラノリン、カルナバロウ、キャンデリラロウ、セレシン、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックスなどのいわゆるロウ、ミンク油、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油、ツバキ油、ゴマ油、ヒマシ油、オリーブ油などの油脂類、
(4)ポリエチレンワックス、エチレン・α−オレフィン・コオリゴマー、エチレンプロピレン、コポリマー等、中〜低分子量の合成高分子、
(5)環状シリコーン、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、ポリグリセリル変性シリコーン、アモジメチコーン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸などのシリコーンオイル及びシリコーン化合物、
(6)パーフルオロポリエーテル、フルオロカーボン、フルオロアルコールなどのフッ素化合物類。
上記液状アルコール等の溶媒類としては、以下のようなものが例示できる。
(1)低級アルコール:エタノール、イソプロピルアルコール等、
(2)高級アルコール:セチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等、
(3)多価アルコール:グリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1.3ブチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール等、
(4)その他の溶媒:水、軽質流動イソパラフィン、エーテル類、LPG、フルオロカーボン、N−メチルピロリドン、フルオロアルコール、揮発性直鎖状シリコーン、各種フロン類等。
その他、本発明の化粧料には、上記の各成分に加えて、通常化粧料に用いられる、フッ素化合物、各種の樹脂、界面活性剤、粘性付与剤、防腐剤、香料、紫外線吸収剤(有機系、無機系を含む。UV−A、Bのいずれかに対応していてもよい)、生理活性成分、塩類、酸化防止剤、キレート剤、中和剤、pH調整剤などの成分を、本発明の目的・効果を損なわない限り、適宜配合することができる。
また、本発明にかかる化粧料用水性エマルジョンは、良好なセット効果と風合を有する、ヘアスプレー、ムース、セットローション、ジェル、スプレー等、各種の毛髪化粧料を提供することができる。
以下、実施例を用いて、この発明をより具体的に説明するが、この発明は以下の実施例によって限定されるものではない。まず、使用する原材料について説明する。
<ポリオール単位>
・D1000…第一工業製薬(株)製:商品名 ハイフレックスD1000、ポリプロピレングリコール(C3ポリオール)、数平均分子量(Mn)=1000、OHV=111。
・D2000…第一工業製薬(株)製:商品名 ハイフレックスD2000、ポリプロピレングリコール(C3ポリオール)数平均分子量(Mn)=2000、OHV=55.8。
・PEG1000…日油(株)製:商品名 PEG1000、ポリエチレングリコール(C2ポリオール)、数平均分子量(Mn)=1000、OHV=111。
・PTMG650…三菱化学(株)製:ポリテトラメチレングリコール(C4ポリオール)、数平均分子量(Mn)=650、OHV=175。
・PTMG1000…三菱化学(株)製:ポリテトラメチレングリコール(C4ポリオール)、数平均分子量(Mn)=1000、OHV=111。
・PTMG2000…三菱化学(株)製:ポリテトラメチレングリコール(C4ポリオール)、数平均分子量(Mn)=2000、OHV=55.8。
・N4073…日本ポリウレタン工業(株)製:商品名 ニッポラン4073、1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸とのポリエステルポリオール、数平均分子量(Mn)=2000、OHV=58.4。
なお、上記において、「OHV」は、水酸基価(OH Value)を意味し、単位は、「mgKOH/g」である。
<多価イソシアネート化合物>
・IPDI…デグサ・ジャパン(株)製:商品名 VESTANAT IPDI(イソホロンジイソシアネート)
<カルボキシル基含有多価ヒドロキシ化合物>
・Bis−MPA…パーストープ(株)製:ジメチロールプロピオン酸(カルボン酸含有
ジオール)。
<重合禁止剤>
・MEHQ…和光純薬工業(株)製:2−メトキシヒドロキノン
<重合性単量体>
・MMA…三菱レイヨン(株)製、メチルメタクリレート
・BA…三菱化学(株)製、n−ブチルアクリレート
<ラジカル重合開始剤>
tBPO…化薬アクゾ(株)製:ジ−tert−ブチルパーオキサイド
<還元剤>
AsA…和光純薬工業(株)製:L−アスコルビン酸(試薬特級)
<塩基性化合物>
・水酸化カリウム…和光純薬工業(株)製(試薬)
・トリエタノールアミン…シェルケミカルズジャパン製:TEA99
(試験方法)
以下、それぞれの試験方法について説明する。
<ポリオールの数平均分子量>
水酸基価(OHV:単位mgKOH/g)から数平均分子量を以下の式に従って算出した。
ポリオールMn=水酸化カリウム式量(56.1)/原料のOHV×2×1000
なお、水酸基価(OHV)は、JIS K1557−1によって測定した。
<(A)成分の重量平均分子量及び分子量分布>
下記の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)を用いて重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を測定した。
・測定装置:LC−20AD ((株)島津製作所製)
・検出器:RI(屈折率)
・カラム:PLgel Mixed B(アジレント・テクノロジー(株)製)
・展開溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・展開溶媒流量:1ml/min
・測定試料注入量:100μL
・測定試料:得られたウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂分散液から下記の乾燥条件で乾燥試料を作成し、THFを用いて0.2重量%溶液を作成する。この溶液を下記のフィルターでろ過して、得られたろ液を測定試料とした。
・乾燥条件:40℃×12時間乾燥後、室温×6時間真空乾燥
・測定試料作製用フィルター:GLクロマトディスク(ポアサイズ0.45μm)(ジーエルサイエンス(株)製)
・検量線:PMMA(ポリメチルメタクリレート)換算
<U/A樹脂の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)及び最頻分子量(Mwp)>
前記した<(A)成分の重量平均分子量>と同様の方法にしたがって、U/A樹脂の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を測定した。
また、上記GPCチャートから、(A)成分の最頻分子量(Mwp)及び(B)成分の最頻分子量(Mwp)を測定した。
<酸価の測定方法及び算出方法>
水酸化カリウムを用いる電位差滴定法(JIS−K−0070)に従って測定した。この時、試料の質量としては「ポリウレタン量」を用いた。
また、例えば、ポリウレタンの製造に際して、その中和に水酸化カリウムを用いている場合は、塩交換が起きにくくなるため、上記JIS法による測定が困難になる場合がある。このような時は、下式に従ってポリウレタン1gあたりの「理論酸価」を算出して用いた。
理論酸価(mgKOH/g−ポリウレタン)=酸含有原料仕込モル数×56.1(KOH式量)/ポリウレタン量(g)×1000
<ゲル分>
前記で得られた乾燥試料40mgをTHF20mLに溶解し、ゲル分用フィルター(ADVANTEC社製、PF−100:ポアサイズ100μm)にてろ過する。
ろ過後のゲル分用フィルターを105℃×3時間乾燥し、同様にして乾燥した未使用フィルターの重量とから、残留固形分を求め、下記式によりゲル分を算出する。
ゲル分(重量%)=(乾燥後のフィルター重量(mg)−使用前のフィルター重量(mg))/40(mg)×100
<MFTの測定方法及び算出方法>
JIS K6828−2を参照し、水性分散液を乾燥後、亀裂の無い均一皮膜が形成される最低温度を造膜温度(MFT)として測定した。
具体的には、日理商事(株)製:熱勾配試験機を用い、得られた水性分散液を0.2〜0.3mmの厚さになる様にアプリケータを使用して塗布し、水分を乾燥した後、連続フィルムと非連続フィルムの境界線に相当する温度をMFTとした。
<中和度>
得られたポリウレタンまたはウレタン−アクリル樹脂の中和度は、本明細書の第1中和工程や第2中和工程についての記載に示すように、仕込みに用いた(A)成分に基づくカルボキシル含有モル数とその中和に用いた中和剤(KOH等)の当量数とから計算で求めた。
なお、実験的には、通常用いられる中和滴定による酸成分の含有量と、(A)成分の仕込量とから求めることも可能である。
<ガラス転移温度(Tg)>
[(A)成分]
JIS K 7244−4に従って測定した。
[(B)成分]
下記式(1)(FOX式)に従い、使用する重合性単量体の各々の単独重合体のTg及び重量分率から重合体のTgを算出した。
1/Tg=(Wa/Tga)+(Wb/Tgb)+(Wc/Tgc)+… (1)
但し、Tgは(共)重合体のガラス転移温度(K)、Tga、Tgb、Tgc等は各構成単量体a、b、c等の単独重合体のガラス転移温度(K)であり、Wa、Wb、Wc等は各構成単量体a、b、cの、共重合体中の重量分率を示す。
なお、前述の通り、Tgを「℃」で表記したい場合は、上記式で得られたTgの値から「273」を減じればよい。
<皮膜物性>
[乾燥性]
得られた水性分散液を固形分濃度30重量%となるように純水で希釈して試料液とした。23℃、50%RHの恒温恒湿室中で、この試料液を0.05mmのアプリケータを用いて、塗布面積40cmとなるようにポリエステルフィルム(PETフィルム)上に塗布し、塗布1分後の重量を測定して下式に従って乾燥率(%)を算出した。
乾燥率(%)=(1分後の重量−理論固形分量)×100/(初期重量−理論固形分量)
[Stress−Strain(S−S)]
(1)試験片の作成
ポリプロピレン製の板上に、乾燥皮膜の厚さが200μmになるように試料(水分散液)を塗布し、室温で一夜放置して造膜する。得られた皮膜を剥離し、真空乾燥機で6時間乾燥する。
(2)試験方法
上記で得られた乾燥皮膜を0.5cm幅の短冊状に切り出し、オートコムC型万能試験機((株)キーエスイー製)を用い、23℃、50%RHの恒温恒湿室中で、チャック間隔2cm、引張速度200mm/分の条件で、100%モジュラス、最大強度、最大伸度を測定した。
<液物性>
[配合安定性]
得られた水分散液を固形分5重量%、エタノール10重量%、1,3−ブタンジオール5重量%となるように(残部は水)混合し、室温で静置保存し、一週間後の液の状態を目視で評価した。
◎:変化なし。
○:配合後しばらくの間に多少粘度は変化するが、その後安定する。
△:濃度勾配、沈降、凝集物発生、粘度変化等が多少見られる。
×:濃度勾配、沈降、凝集物発生が明らかに確認できる。
[顔料分散性]
配合安定性試験用に作成した試料液に、カーボンブラック顔料を1重量%(外数)添加して、ディスパーを用いて1200rpm×5分間撹拌して、得られた顔料入り試料液の性状を目視で評価した。
○:安定に分散して、均一な液となっている。
△:顔料が一部凝集している。
×:系全体が凝集した。
<応用物性>
[C.R.:カールリテンション]
・樹脂単独のC.R.
毛髪サンプルに試料を塗布し、カールさせた状態で乾燥させ、下記の所定温度・湿度条件下で3時間経過後の、形態保持状態を観察する。
試料液として、得られた水溶液を固形分含量30重量%となるように水で希釈し、これを長さ23cm×重量2gの毛束に塗布量0.7gとなるように塗布した。この毛束を直径1cmのコールドロッドに巻き付け、50℃×2時間乾燥し、得られたカールした毛束をロッドから外して、30℃×90%RHの環境中に吊り下げて、3時間後のカール毛束の長さを測定し、下式よりカール保持率を算出した。
カール保持率(%)=(23−「3時間後の長さ」)×100/(23−「初期長さ」)
但し、「長さ」とは、カールした状態での毛束の長さをいう。
・1,3BG(1,3−ブタンジオール)を配合したときのC.R.
試料液として、固形分含量5重量%、1,3−ブタンジオール5重量%、残分が水となるように希釈して用いたこと以外は、上記「樹脂単独のC.R.」と同様にして評価した。
<官能評価>
[カール毛束弾力]
[C.R.:カールリテンション]の樹脂単独のC.R.と同じ様にカール毛束を作成し、手で握り、感触を確認した。そして、下記の基準で評価した。
◎:柔らかく弾力性がある。
○:弾力性はあるが、「◎」の場合と対比して、ゴワつき感があったり、張りの不足を感じたりする。
×:硬い、又は、柔らかすぎる。
[カール毛束光沢]
[C.R.:カールリテンション]の樹脂単独のC.R.と同じ様にカール毛束を作成した。試料液を水のみとして作成した基準カール毛束と目視で比較し、光沢の状態を下記の基準で評価した。
○:基準より光沢がある。
△:基準と同程度である。
×:基準よりやや光沢が無い。
<参考>
[C.R.:(樹脂単独)−(1,3BG配合)]
上記のカール保持率の値について、樹脂単独の場合の数値と、1,3−BGを配合した場合の数値との差を求め、これについて評価した。
この値は、変化が無い方(値が「0」に近い方)が良いこととなる。この差が「0」の場合、カールの保持率が有機溶媒である1,3BGによっても変化しないことを意味し、この場合、「耐1,3BG性がある」といえる。
[AとBのMwpの差]
(A)成分の最頻分子量(Mwp)と(B)成分の最頻分子量(Mwp)との差((BのMwp)−(AのMwp))を算出した。
前述の通り、両者の差は、20以上200以下程度であることが好ましい。
(実施例1〜14、比較例1〜4)
温度計、攪拌装置及び還流冷却管を備えた4つ口フラスコに、表1のプレエマルジョンのウレタン、重合禁止剤、アクリルの欄に記載の成分を所定量ずつ加え、内温50℃として混合した後、90℃に昇温し、この温度で5時間反応させてイソシアネート基及びカルボキシル基を含有するカルボキシル基含有ポリウレタン(A)を得た。
次いで、液温を50℃に保ちながら、表1の中和剤の欄に記載の塩基性化合物を記載の量((A)成分中に存するカルボキシル基の量に対し、1当量分)だけ加えて、このカルボキシル基含有ポリウレタン(A)中のカルボキシル基の全部を中和した。なお、このときの中和度は100%となる。
次いで、この溶液に表1のプレエマルジョンの乳化の欄に記載の水性媒体(純水:DW)を、50℃で15分間かけて滴下して、乳白色で透明性のある分散液を得た。
得られた分散液を50℃に保温し、この温度で、表1の重合工程の欄に記載の重合開始剤及び還元剤を記載の量ずつ添加して、重合性単量体の重合を開始した。発熱終了後、更に70℃に昇温して3時間維持して、ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂と未反応の重合性単量体(B)とを含む水性エマルジョンを得た。
得られた水性エマルジョンについて上記の測定・評価を行った。その結果を表1、2に示す。また、実施例2において測定された重量平均分子量(Mw)等を示すグラフを図1に示す。
Figure 2015052105
Figure 2015052105

Claims (13)

  1. (A)イソシアネート基とカルボキシル基とを有するポリウレタンと、(B)(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体とを水性媒体中で乳化分散してなるプレエマルジョン中の、(B)成分を重合させて得られるウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂の水性分散液であって、
    上記(A)成分及び(B)成分が、以下の(1)〜(3)の条件を満たすものであることを特徴とする化粧料用ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液。
    (1)(A)成分を構成するポリオール単位がポリエーテルポリオールである。
    (2)上記ポリエーテルポリオールは、炭素数2〜4のジアルキレングリコール由来の構成単位を主成分とし、かつ、数平均分子量が400以上、4000以下である。
    (3)(A)成分と(B)成分の重量比率((A)/(B))が、80/20〜30/70である。
  2. 上記(A)成分を構成するポリオール単位が数平均分子量の異なる複数種のポリオールに由来することを特徴とする請求項1に記載の化粧料用ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液。
  3. 上記(A)成分のガラス転移温度(Tg)が−60℃以上、250℃以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧料用ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液。
  4. 上記(A)成分を構成するポリオール単位の炭素数の平均値が2〜4であることを特徴とする請求項3に記載の化粧料用ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液。
  5. 上記ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂の最低造膜温度が−20〜10℃であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の化粧料用ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液。
  6. 上記(A)成分の酸価が15〜60mgKOH/gであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の化粧料用ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液。
  7. 上記(A)成分の最頻分子量(Mwp)が、10000以上、200000以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の化粧料用ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液。
  8. 上記ポリエーテルポリオールの数平均分子量が500以上、3000以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の化粧料用ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液。
  9. 上記複数種のポリオールのうち、数平均分子量が最も小さいポリオールの数平均分子量は、400以上、1200以下である請求項2〜8のいずれか1項に記載の化粧料用ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液。
  10. 上記(B)成分からなる単独重合体又は共重合体のガラス転移温度(Tg)が0℃以上、120℃以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の化粧料用ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液。
  11. 上記(B)成分の(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体が、単独重合体のTgが95℃以上の単量体と、単独重合体のTgが30℃以下との単量体との混合物であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の化粧料用ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液。
  12. 上記(A)成分中のカルボキシル基が、塩基性化合物により100%以上中和されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の化粧料用ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の化粧料用ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液を用いて得られる化粧料。
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