JP2015049418A - パターン位相差フィルムの製造方法、露光装置及びマスク - Google Patents
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Abstract
【課題】パッシブ方式による3次元画像表示に適用するパターン位相差フィルムに関して、従来に比して斜め光を十分に遮光することができるようにする。
【解決手段】基材に光配向材料膜を作製する光配向材料膜作製工程と、マスク16を用いた光配向材料膜の露光処理により光配向膜3を作製する露光工程と、光配向膜3の上に、透過光に対応する位相差を与える第1の領域と、透過光に第1の領域とは異なる位相差を与える第2の領域とによる位相差層を作製する位相差層作製工程とを備える。マスク16が、第1又は第2の領域に対応するスリットSを備えた第1の遮光膜16Aと、第1又は第2の領域に対応するスリットSを備え、第1の遮光膜16Aに対して一定の距離だけ隔てて第1の遮光膜A6Aに平行に、かつ第1の遮光膜16Aとの間でスリットSが重なり合うように保持された第2の遮光膜16Bを備える。
【選択図】図9
【解決手段】基材に光配向材料膜を作製する光配向材料膜作製工程と、マスク16を用いた光配向材料膜の露光処理により光配向膜3を作製する露光工程と、光配向膜3の上に、透過光に対応する位相差を与える第1の領域と、透過光に第1の領域とは異なる位相差を与える第2の領域とによる位相差層を作製する位相差層作製工程とを備える。マスク16が、第1又は第2の領域に対応するスリットSを備えた第1の遮光膜16Aと、第1又は第2の領域に対応するスリットSを備え、第1の遮光膜16Aに対して一定の距離だけ隔てて第1の遮光膜A6Aに平行に、かつ第1の遮光膜16Aとの間でスリットSが重なり合うように保持された第2の遮光膜16Bを備える。
【選択図】図9
Description
本発明は、パッシブ方式による3次元画像表示に適用するパターン位相差フィルムの製造方法等に関するものである。
近年、パッシブ方式により3次元画像を表示する画像表示装置が提供されている。ここで図12は、液晶表示パネルを使用したパッシブ方式の画像表示装置を示す概略図である。パッシブ方式の画像表示装置は、垂直方向又は水平方向(この図12の例では、垂直方向)に連続する液晶表示パネルの画素を、順次交互に、右目用及び左目用に割り当て、それぞれ右目用及び左目用の画像データで駆動し、これにより右目用の画像と左目用の画像とを同時に表示する。また液晶表示パネルのパネル面(視聴者側面)にパターン位相差フィルムを配置し、右目用の画素及び左目用の画素からの直線偏光による出射光を、右目用及び左目用で方向の異なる円偏光に変換する。これによりパッシブ方式では、対応する偏光フィルタを備えてなる眼鏡を装着して、右目用の画像と左目用の画像とをそれぞれ選択的に視聴者の右目及び左目に提供し、3次元画像を表示する。
このためパターン位相差フィルムは、液晶表示パネルにおける画素の設定に対応して、遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)が直交する2種類の帯状領域が順次交互に形成される。なおここでこの隣接する帯状領域の遅相軸方向は、通常、水平方向に対して、+45度と−45度の組み合わせ、又は0度と+90度の組み合わせが採用される。なおこの図12の例では、通常の画像表示装置における呼称に習って画面の長辺方向を水平方向として示す。
このパッシブ方式は、応答速度の遅い画像表示装置でも適用することができ、さらにパターン位相差フィルムと円偏光メガネとを用いた簡易な構成で3次元表示することができる。なおパッシブ方式の画像表示装置では、図12の例による垂直方向に代えて、水平方向に連続する画素を順次交互に右目用及び左目用に振り分ける方法も採用される。
このパッシブ方式に係るパターン位相差フィルムは、画素の割り当てに対応して透過光に位相差を与えるパターン状の位相差層が必要である。パターン位相差フィルムでは、このパターン状の位相差層に対応するように配向能が設定された配向膜が作製される。またこの配向膜の上に、重合性液晶化合物の塗工液を塗工して乾燥硬化させることにより、配向膜の配向規制力で配向させた状態で液晶材料を硬化(固化)させ、これにより位相差層が作製される。また配向膜は、いわゆる光配向の手法を適用して作製する方法(特許文献1)、微細凹凸形状を転写(賦型)して作製する方法が採用されている。
ここで光配向の手法を適用して配向層を作製する場合、上述した2種類の帯状領域に対応する2回の露光処理が必要であり、この2回の露光処理の1方又は双方でマスクを使用してフィルム材を選択的に露光処理する。特許文献2には、長尺フィルム材をドラムに押し付けて搬送するようにして、このドラムに対向するようにマスクを配置して露光処理する方法が開示されている。
従来、この種のマスクには、いわゆる石英クロムマスクが使用される。図13は、この石英クロムマスクを示す平面図である。このマスクは、露光に供する光(以下、露光光と呼ぶ)を透過させるスリットSが連続するように作製される。ここでスリットSは、画像表示装置における右目用の画像を表示する領域又は左目用の画像を表示する領域に対応する開口である。従ってスリットSは、画像表示装置における領域の設定に対応するピッチにより繰り返し配置される。
図14は、A−A腺により断面を取って示すマスクの端面図である。マスクは、透明板状部材による支持部材41の一方の側の面に遮光部42を配置して形成される。ここで支持部材41は、露光光に対して十分な透過率を備えた板材が適用され、石英クロムマスクでは石英ガラスにより作製される。遮光部42は、金属等の遮光部材による遮光膜を蒸着等により支持部材41に形成した後、エッチングによりこの遮光膜にスリットSを形成して作製される。石英クロムマスクは、この遮光部材に係る金属にクロムが適用され、遮光部52は、例えば膜厚100nm程度により作製される。
ところでこの種の露光処理にあっては、平行光線により露光することが望まれる。しかしながら従来のマスクによっては、露光面Mに対して鉛直方向から斜めに傾いて入射する非平行光、迷光(以下、斜め光と呼ぶ)を十分に遮光し得ず、斜め光がスリットSを通過して露光面Mに到達する。
このように露光面Mに到達する斜め光は、平行光線による主光線に比して光量が少ないものの、主光線による露光領域の幅を広げることになり、さらにはこの主光線による露光領域のエッジをぼやかすことになり、これにより露光精度を劣化させることになる。その結果、パターン位相差フィルムにおいては、このような斜め光により右目用の画像と左目用の画像とに対応する領域の作製精度が劣化する問題がある。より具体的には、右目用の画像又は左目用の画像に対応する領域の領域幅、右目用の画像及び左目用の画像に対応する領域間の境界について、作製精度が低下することになる。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、パッシブ方式による3次元画像表示に適用するパターン位相差フィルムに関して、従来に比して斜め光を十分に遮光することができるパターン位相差フィルムの製造方法、露光装置及びマスクを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、スリットを備えてなる遮光膜を離間して平行に保持することにより斜め光を遮光する、との着想に至り、本発明を完成するに至った。
(1) 長尺透明フィルム材による基材を搬送しながら順次処理してパターン位相差フィルムを作製するパターン位相差フィルムの製造方法において、
前記基材に光配向材料膜を作製する光配向材料膜作製工程と、
マスクを用いた前記光配向材料膜の露光処理により光配向膜を作製する露光工程と、
前記光配向膜の上に、透過光に対応する位相差を与える第1の領域と、透過光に前記第1の領域とは異なる位相差を与える第2の領域とによる位相差層を作製する位相差層作製工程とを備え、
前記マスクが、
前記第1又は第2の領域に対応するスリットを備えた第1の遮光膜と、
前記第1又は第2の領域に対応するスリットを備え、前記第1の遮光膜に対して一定の距離だけ隔てて前記第1の遮光膜に平行に、かつ前記第1の遮光膜との間でスリットが重なり合うように保持された第2の遮光膜とを備える。
前記基材に光配向材料膜を作製する光配向材料膜作製工程と、
マスクを用いた前記光配向材料膜の露光処理により光配向膜を作製する露光工程と、
前記光配向膜の上に、透過光に対応する位相差を与える第1の領域と、透過光に前記第1の領域とは異なる位相差を与える第2の領域とによる位相差層を作製する位相差層作製工程とを備え、
前記マスクが、
前記第1又は第2の領域に対応するスリットを備えた第1の遮光膜と、
前記第1又は第2の領域に対応するスリットを備え、前記第1の遮光膜に対して一定の距離だけ隔てて前記第1の遮光膜に平行に、かつ前記第1の遮光膜との間でスリットが重なり合うように保持された第2の遮光膜とを備える。
(1)によれば、大きな傾きにより入射して1方の遮光膜のスリットを斜め光が透過した場合でも、続く第2の遮光膜により遮光することができる。これにより従来に比して斜め光を十分に遮光することができる。
(2) (1)において、前記マスクは、
平板形状による透明板状部材の1方の面に前記第1の遮光膜が形成され、前記透明板状部材の他方の面に前記第2の遮光膜が形成されることにより、
前記第1の遮光膜に対して一定の距離だけ隔てて前記第1の遮光膜に平行に前記第2の遮光膜が作製された。
平板形状による透明板状部材の1方の面に前記第1の遮光膜が形成され、前記透明板状部材の他方の面に前記第2の遮光膜が形成されることにより、
前記第1の遮光膜に対して一定の距離だけ隔てて前記第1の遮光膜に平行に前記第2の遮光膜が作製された。
(2)によれば、簡易かつ確実に第1及び第2の遮光膜を保持するようにして、斜め光を十分に遮光することができる。
(3) (1)又は(2)において、
前記第1及び第2の遮光膜の間隔が10mm以上である。
前記第1及び第2の遮光膜の間隔が10mm以上である。
(3)によれば、実用上十分に斜め光を遮光することができる。
(4) パターン位相差フィルムに係る光配向膜の製造に供する露光装置において、
光源より出射された露光光を、マスクを介して光配向材料膜に照射することにより、前記光配向膜を作製し、
前記マスクが、
前記パターン位相差フィルムに係る領域の設定に対応するスリットがそれぞれ繰り返し設けられた第1の遮光膜と第2の遮光膜とを備え、
前記第1の遮光膜に対して一定の距離だけ隔てて前記第1の遮光膜に平行に、かつ前記第1の遮光膜との間でスリットが重なり合うように第2の遮光膜が保持された。
光源より出射された露光光を、マスクを介して光配向材料膜に照射することにより、前記光配向膜を作製し、
前記マスクが、
前記パターン位相差フィルムに係る領域の設定に対応するスリットがそれぞれ繰り返し設けられた第1の遮光膜と第2の遮光膜とを備え、
前記第1の遮光膜に対して一定の距離だけ隔てて前記第1の遮光膜に平行に、かつ前記第1の遮光膜との間でスリットが重なり合うように第2の遮光膜が保持された。
(4)によれば、大きな傾きにより入射して1方の遮光膜のスリットを斜め光が透過した場合でも、続く第2の遮光膜により遮光することができる。これにより従来に比して斜め光を十分に遮光することができる。
(5) (4)において、
前記マスクは、
平板形状による透明板状部材の1方の面に前記第1の遮光膜が形成され、前記透明板状部材の他方の面に前記第2の遮光膜が形成されることにより、
前記第1の遮光膜に対して一定の距離だけ隔てて前記第1の遮光膜に平行に前記第2の遮光膜が作製された。
前記マスクは、
平板形状による透明板状部材の1方の面に前記第1の遮光膜が形成され、前記透明板状部材の他方の面に前記第2の遮光膜が形成されることにより、
前記第1の遮光膜に対して一定の距離だけ隔てて前記第1の遮光膜に平行に前記第2の遮光膜が作製された。
(5)によれば、簡易かつ確実に第1及び第2の遮光膜を保持するようにして、斜め光を十分に遮光することができる。
(6) (4)又は(5)において、
前記第1及び第2の遮光膜の間隔が10mm以上である。
前記第1及び第2の遮光膜の間隔が10mm以上である。
(6)によれば、実用上十分に斜め光を遮光することができる。
(7) パターン位相差フィルムに係る光配向膜の製造に供するマスクにおいて、
前記パターン位相差フィルムに係る領域の設定に対応するスリットがそれぞれ繰り返し設けられた第1の遮光膜と第2の遮光膜とを備え、
前記第1の遮光膜に対して一定の距離だけ隔てて前記第1の遮光膜に平行に、かつ前記第1の遮光膜との間でスリットが重なり合うように第2の遮光膜が保持された。
前記パターン位相差フィルムに係る領域の設定に対応するスリットがそれぞれ繰り返し設けられた第1の遮光膜と第2の遮光膜とを備え、
前記第1の遮光膜に対して一定の距離だけ隔てて前記第1の遮光膜に平行に、かつ前記第1の遮光膜との間でスリットが重なり合うように第2の遮光膜が保持された。
(7)によれば、大きな傾きにより入射して1方の遮光膜のスリットを斜め光が透過した場合でも、続く第2の遮光膜により遮光することができる。これにより従来に比して斜め光を十分に遮光することができる。
パッシブ方式による3次元画像表示に適用するパターン位相差フィルムに関して、従来に比して斜め光を十分に遮光することができる。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像表示装置に適用されるパターン位相差フィルムを示す図である。この第1実施形態に係る画像表示装置は、垂直方向(図1においては左右方向)に連続する液晶表示パネルの画素が、順次交互に、右目用の画像を表示する右目用画素、左目用の画像を表示する左目用画素に振り分けられて、それぞれ右目用及び左目用の画像データで駆動される。これにより画像表示装置は、右目用の画像を表示する帯状の領域と、左目用の画像を表示する帯状の領域とに表示画面が交互に区分され、右目用の画像と左目用の画像とを同時に表示する。この画像表示装置は、この液晶表示パネルのパネル面に、この図1に示すパターン位相差フィルム1が配置され、このパターン位相差フィルム1により右目用及び左目用の画素からの出射光にそれぞれ対応する位相差を与える。これによりこの画像表示装置は、パッシブ方式により所望の立体画像を表示する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像表示装置に適用されるパターン位相差フィルムを示す図である。この第1実施形態に係る画像表示装置は、垂直方向(図1においては左右方向)に連続する液晶表示パネルの画素が、順次交互に、右目用の画像を表示する右目用画素、左目用の画像を表示する左目用画素に振り分けられて、それぞれ右目用及び左目用の画像データで駆動される。これにより画像表示装置は、右目用の画像を表示する帯状の領域と、左目用の画像を表示する帯状の領域とに表示画面が交互に区分され、右目用の画像と左目用の画像とを同時に表示する。この画像表示装置は、この液晶表示パネルのパネル面に、この図1に示すパターン位相差フィルム1が配置され、このパターン位相差フィルム1により右目用及び左目用の画素からの出射光にそれぞれ対応する位相差を与える。これによりこの画像表示装置は、パッシブ方式により所望の立体画像を表示する。
ここでパターン位相差フィルム1は、TAC(トリアセチルセルロース)等の透明フィルムからなる基材2の一方の面上に、配向膜3、位相差層4が順次作製される。パターン位相差フィルム1は、位相差層4が屈折率異方性を保持した状態で固化(硬化)された液晶材料により形成され、この液晶材料の配向を配向膜3の配向規制力によりパターンニングする。なおこの液晶分子の配向を図1では細長い楕円により誇張して示す。このパターンニングにより、パターン位相差フィルム1は、液晶表示パネルにおける画素の割り当てに対応して、一定の幅により、右目用の領域(第1の領域)Aと、左目用の領域(第2の領域)Bとが順次交互に帯状に形成され、右目用及び左目用の画素からの出射光にそれぞれ対応する位相差を与える。パターン位相差フィルム1おいては、配向膜3が光配向膜により作製される。
図2は、このパターン位相差フィルム1の製造工程を示すフローチャートである。パターン位相差フィルム1の製造工程は、ロールに巻き取った長尺フィルムにより基材2が提供され、この基材2をロールより送り出して光配向材料膜が順次作製される(ステップSP1−SP2)。ここで光配向材料膜は、各種の製造方法を適用することができるものの、この実施の形態では、光配向材料をベンゼン等の溶媒に分散させた成膜用液体をダイにより塗布した後、乾燥して作製される。なお光配向材料は、光配向の手法を適用可能な各種の材料を適用することができるものの、この実施形態では、繰り返しの露光処理により配向方向がその都度変化する材料が適用される。このような材料としては、例えば、光異性化反応型の光配向材料を使うことができる。なお光異性化に関しては、「W.M.Gibbons, PJ.Shannon, S.T.Sun and B.J.Swetlin:Nature,351,49(1991)」で報告されている。
続いてこの製造工程は、露光工程により紫外線を照射して光配向膜が作製される(ステップSP3)。続いてこの製造工程は、位相差層作製工程において、ダイ等により液晶材料を塗布した後、紫外線の照射によりこの液晶材料を硬化させ、位相差層4が作製される(ステップSP4)。続いてこの製造工程は、必要に応じて反射防止膜の作製処理等を実行した後、切断工程において、所望の大きさに切り出してパターン位相差フィルム1が作製される(ステップSP5−SP6)。
図3は、光配向膜に係る露光工程の詳細を示す図である。この製造工程は、全面に直線偏光による紫外線(偏光紫外線)を照射することにより、光配向材料膜の全面を右目用の領域A又は左目用の領域Bに対応する方向に配向させる(図3(A))。続いてこの工程は、1回目の露光処理とは偏光方向が90度異なる直線偏光によりマスク16を介して紫外線を照射し、これにより2回目の露光処理を実行して左目用の領域B又は右目用の領域Aを選択的に配向させる。これによりこの露光工程では、1回目の露光処理により全面が一様に配向した光配向材料膜に対して、2回目の露光処理により左目用の領域B又は右目用の領域Aを選択的に配向し直し、光配向膜3を作製する。
図4は、2回目の露光処理に供する露光装置の説明に供する斜視図である。マスク16は、長尺による基材2の幅により形成され、この基材2の搬送方向に延長する細長い矩形の形状によるスリットSが一定の間隔で順次設けられる。ここでスリットSは、右目用領域又は前記左目用領域に対応する幅及びピッチにより繰り返し設けられる。この露光装置は、ロール17に対向するようにマスク16が配置され、ロール17により搬送する基材2に、図示しない光源から射出される紫外線を、直線偏光板、マスク16を介して照射する。
従ってこの2回目のマスク16を使用した露光処理において、斜め光により露光の精度が劣化する場合には、2回目の露光処理により配向し直して作製する左目用の領域B又は右目用の領域Aの幅が、マスクに形成されたスリットの幅より大きくなったり、さらにこの2回目の露光処理に係る領域の外側領域(右目用領域A又は左目用領域Bとの境界)で正しい方向に光配向材料膜が配向してない部位が発生することになる。なおこのように正しい方向に光配向材料膜が配向していない部位では、位相差層に係る液晶材料を正しい方向に配向させることが困難になり、その結果、パターン位相差フィルムでは、右目用領域A及び左目用領域Bの間の境界幅が幅広になり、著しい場合にはクロストークの発生原因となる。なおクロストークは、本来、右目に入射する画像表示パネルからの光の一部が左目に入射したり、これとは逆に、本来、左目に入射する画像表示パネルからの光の一部が右目に入射したりする現象であり、3次元画像表示において画質を劣化させ、立体感を喪失させる原因となる。
そこでこの実施形態では、スリットを備えてなる遮光膜を離間して平行に保持してマスク16を構成し、これにより斜め光を制限する。図5は、この斜め光の遮光の説明に供する図である。ここでマスク16は、それぞれスリットを備えてなる遮光膜16A及び16Bが所定の間隔だけ離間して平行に、かつ遮光膜16A及び16BのスリットSが重なり合うように保持されているものとする。この場合、露光光Lが平行光線である場合、マスクに形成されたスリットSの形状による光束によりマスクの透過光が露光面Mに到達することになる。従ってこの場合、露光面Mは、スリットSの形状により露光される。これに対して傾きが大きい斜め光は、入射側の遮光膜16AのスリットSを透過した場合でも、出射側の遮光膜16Bにより遮光されることになる。その結果、一定角度以上の入射角により入射する斜め光については、露光面Mに到達しないようにすることができ、これにより斜め光を十分に遮光して露光精度を向上し、光配向膜の作製精度を向上することができる。
図7は、この斜め光に係る遮光の確認に供した検討結果を示す図表である。図6に示すように、Dは遮光膜16A及び16Bの間隔であり、WはスリットSの幅であり、θは、マスク16に対する斜め光の入射角である。図8は、この図7の検討結果を特性曲線により示すものであり、L1及びL2は、それぞれWが0.5mm、0.3mmの場合である。この検討結果によれば、間隔Dを大きくすればする程、斜め光を十分に遮光して露光精度を向上し、光配向膜の作製精度を向上できることが判る。
ここで光配向層に適用する材料の感度、光源からの主光線に対する斜め光の光量等によっても変化するものの、実際上、この種の露光工程では、斜め入射光を3度以下に低減することができれば、より好ましくは2度以下に低減することができれば、実用上十分に露光精度を確保することができる。これにより間隔Dを10mm以上に設定すれば、斜め入射光を3度以下に低減し、実用上十分に露光精度を確保することができる。
図9は、この実施形態に係るマスク16の詳細構成を示す断面図である。マスク16は、平板形状による透明板状部材である石英ガラス16Cの両面に遮光膜16A及び16Bが作製される。これによりマスク16は、この石英ガラス16Cにより、10mm以上の間隔だけ離間して平行に、かつスリットSが重なり合うように保持される。より具体的に、マスク16は、石英ガラス16Cの両面にクロムによる遮光膜を作製した後、エッチングによりスリットSを設けて作製される。
この実施形態では、スリットを備えてなる遮光膜を離間して平行に保持することにより、従来に比して斜め光を十分に遮光することができ、その結果、従来に比して高い精度によりパターン位相差フィルムを作製することができる。
さらに平板形状による透明板状部材により遮光膜を離間して平行に保持することにより、簡易かつ確実に遮光膜を離間して平行に保持するができる。またこの透明板状部材に石英ガラスを適用することにより、従来のマスク作製手法を有効に利用してマスクを作製することができる。
〔他の実施形態〕
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態の構成を種々に変更することができる。
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態の構成を種々に変更することができる。
すなわち上述の実施形態では、平板形状による透明板状部材に石英ガラスを適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は露光光に対して透明である板状部材であれば良く、種々の透明板状部材を広く適用することができる。
また上述の実施形態では、平板形状による透明板状部材により第1及び第2の遮光膜を平行に離間して保持する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図10に示すように枠体26Cにより第1及び第2の遮光膜16A及び16Bを平行に離間して保持するようにしてマスク26を構成してもよい。またこのとき、図11に示すように、桟、支柱を設けた枠体36Cにより第1及び第2の遮光膜16A及び16Bを平行に離間して保持するようにしてマスク36を構成するようにしてもよい。またこの場合、スリットSの連続する方向に延長するように桟を作製するようにしてもよい。
また上述の実施形態では、全面を一様に露光した後、右目用領域又は左目用領域を選択的に露光し直して光配向膜を作製する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、右目用領域又は左目用領域を選択的に露光した後、全面に一様に紫外線を照射して未露光領域を露光することにより光配向膜を作製する場合、右目用領域又は左目用領域を選択的に露光した後、左目用領域又は右目用領域を選択的に露光して光配向膜を作製する場合にも広く適用することができる。
また上述の実施形態では、液晶表示パネルの使用を前提としたパターン位相差フィルムを作製する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、有機ELパネル、プラズマディスプレイパネルの使用を前提に、偏光フィルタを一体に設ける場合にも広く適用することができる。
1 パターン位相差フィルム
2 基材
3 配向膜
4 位相差層
16、26、36 マスク
16A 16B 遮光部
16C 石英ガラス
17 ロール
26C、36C 枠体
2 基材
3 配向膜
4 位相差層
16、26、36 マスク
16A 16B 遮光部
16C 石英ガラス
17 ロール
26C、36C 枠体
Claims (7)
- 長尺透明フィルム材による基材を搬送しながら順次処理してパターン位相差フィルムを作製するパターン位相差フィルムの製造方法において、
前記基材に光配向材料膜を作製する光配向材料膜作製工程と、
マスクを用いた前記光配向材料膜の露光処理により光配向膜を作製する露光工程と、
前記光配向膜の上に、透過光に対応する位相差を与える第1の領域と、透過光に前記第1の領域とは異なる位相差を与える第2の領域とによる位相差層を作製する位相差層作製工程とを備え、
前記マスクが、
前記第1又は第2の領域に対応するスリットを備えた第1の遮光膜と、
前記第1又は第2の領域に対応するスリットを備え、前記第1の遮光膜に対して一定の距離だけ隔てて前記第1の遮光膜に平行に、かつ前記第1の遮光膜との間でスリットが重なり合うように保持された第2の遮光膜とを備える
パターン位相差フィルムの製造方法。 - 前記マスクは、
平板形状による透明板状部材の1方の面に前記第1の遮光膜が形成され、前記透明板状部材の他方の面に前記第2の遮光膜が形成されることにより、
前記第1の遮光膜に対して一定の距離だけ隔てて前記第1の遮光膜に平行に前記第2の遮光膜が作製された
請求項1に記載のパターン位相差フィルムの製造方法。 - 前記第1及び第2の遮光膜の間隔が10mm以上である
請求項1又は請求項2に記載のパターン位相差フィルムの製造方法。 - パターン位相差フィルムに係る光配向膜の製造に供する露光装置において、
光源より出射された露光光を、マスクを介して光配向材料膜に照射することにより、前記光配向膜を作製し、
前記マスクが、
前記パターン位相差フィルムに係る領域の設定に対応するスリットがそれぞれ繰り返し設けられた第1の遮光膜と第2の遮光膜とを備え、
前記第1の遮光膜に対して一定の距離だけ隔てて前記第1の遮光膜に平行に、かつ前記第1の遮光膜との間でスリットが重なり合うように第2の遮光膜が保持された
露光装置。 - 前記マスクは、
平板形状による透明板状部材の1方の面に前記第1の遮光膜が形成され、前記透明板状部材の他方の面に前記第2の遮光膜が形成されることにより、
前記第1の遮光膜に対して一定の距離だけ隔てて前記第1の遮光膜に平行に前記第2の遮光膜が作製された
請求項4に記載の露光装置。 - 前記第1及び第2の遮光膜の間隔が10mm以上である
請求項4又は請求項5に記載の露光装置。 - パターン位相差フィルムに係る光配向膜の製造に供するマスクにおいて、
前記パターン位相差フィルムに係る領域の設定に対応するスリットがそれぞれ繰り返し設けられた第1の遮光膜と第2の遮光膜とを備え、
前記第1の遮光膜に対して一定の距離だけ隔てて前記第1の遮光膜に平行に、かつ前記第1の遮光膜との間でスリットが重なり合うように第2の遮光膜が保持された
マスク。
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JP2013181946A JP2015049418A (ja) | 2013-09-03 | 2013-09-03 | パターン位相差フィルムの製造方法、露光装置及びマスク |
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