JP2015047818A - 透明導電性積層体、タッチパネル、および、透明導電性積層体の製造方法 - Google Patents

透明導電性積層体、タッチパネル、および、透明導電性積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】製造工程の流れを簡素にすることのできる透明導電性積層体、タッチパネル、および、透明導電性積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】透明導電性積層体10は、基板11と、第1の透明電極層15aと、基板11を挟んで第1の透明電極層15aと対向する第2の透明電極層15bと、基板11と第1の透明電極層15aとの間、および、基板11と第2の透明電極層15bとの間の少なくとも一方に設けられた中間層と、を備える。中間層は、透明導電性積層体10における可視光の透過特性を調整する機能と、可視領域以外に波長を有する光を吸収する機能とを有する光学調整層14a,14bを含む。
【選択図】図1

Description

本開示の技術は、透明導電性積層体、透明導電性積層体を備えたタッチパネル、および、透明導電性積層体の製造方法に関する。
近年、電子機器の入力デバイスとして、静電容量方式のタッチパネルが広く用いられている。投影型静電容量方式のタッチパネルは、静電容量の変化を検出するための2つの電極を備えている。2つの電極は、例えば特許文献1に記載のように、1枚の透明な基板を挟んで対向している。これらの電極は、基板に成膜された透明な導電膜がパターニングされることによって形成される。
特開2011−194679号公報
ところで、基板に成膜された導電膜をパターニングする方法の1つとして、フォトリソグラフィを用いる方法が普及している。こうした方法では、導電膜の上に形成されたレジストが露光・現像されることにより、レジストに電極のパターンに応じたパターンが形成される。そして、レジストのパターンに沿って導電膜がエッチングされることにより、導電膜がパターニングされて、電極が形成される。
ここで、互いに対向する2つの導電膜が、互いに異なる形状にパターニングされるとき、まず、一方の導電膜の上にレジストが形成されて、そのレジストがパターニングされる。次いで、他方の導電膜の上に他のレジストが形成されて、他のレジストがパターニングされる。こうしたパターニングの繰り返しでは、互いに異なる工程である露光と現像とが交互に繰り返されるため、透明導電性積層体の製造の煩雑さを増している。
本開示の技術は、製造工程の流れを簡素にすることのできる透明導電性積層体、タッチパネル、および、透明導電性積層体の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する透明導電性積層体は、基板と、第1の透明電極層と、前記基板を挟んで前記第1の透明電極層と対向する第2の透明電極層と、前記基板と前記第1の透明電極層との間、および、前記基板と前記第2の透明電極層との間の少なくとも一方に設けられた中間層と、を備える透明導電性積層体であって、前記中間層は、透明導電性積層体における可視光の透過特性を調整する機能と、可視領域以外に波長を有する光を吸収する機能とを有する光学調整層を含む。
フォトリソグラフィによって第1の透明電極層と第2の透明電極層が形成される際には、第1の透明電極層を形成するためのレジストと、第2の透明電極層を形成するためのレジストとが、基板を挟んで対向する位置に設けられる。上記構成によれば、一方のレジストを露光するために照射された光のうち、レジストに吸収されなかった光を光学調整層が吸収する。したがって、一方のレジストに対する露光光が他方のレジストに到達することが抑えられるため、2つの透明電極層が互いに異なるパターンを有する場合であっても、2つのレジストの現像前に、2つのレジストをまとめて露光することができる。その結果、レジストの形成や露光や現像等の工程を、透明電極層が形成される面ごとに繰り返す製造方法と比較して、製造工程の流れを簡素にすることができる。
上記透明導電性積層体において、前記光学調整層は、紫外領域に波長を有する光を吸収することが好ましい。
実用上、レジストの露光を紫外領域の波長の光によって行うことには困難が少ない。上記構成によれば、可視領域以外に波長を有する光を吸収する機能が、実用上好ましい形態で実現される。
上記透明導電性積層体において、前記光学調整層は、紫外線吸収剤または紫外線吸収機能を有する樹脂を含むことが好ましい。
上記構成によれば、光学調整層に紫外領域の波長の光を吸収する機能を適切に付加することができる。
上記透明導電性積層体は、波長400nmにおける光線透過率が60%以上であり、かつ、波長365nmにおける光線透過率が20%以下であることが好ましい。
上記構成によれば、光学調整層による紫外領域の波長の光を吸収する機能が適切に実現される。したがって、紫外領域の波長の光を主とする光によってレジストが露光される場合に、一方のレジストに対する露光光が他方のレジストに到達することが適切に抑えられる。
上記課題を解決するタッチパネルは、上記構成を有する透明導電性積層体を備える。
上記構成によれば、タッチパネルの備える透明導電性積層体を、簡素な流れの製造工程にて製造することができる。
上記課題を解決する透明導電性積層体の製造方法は、基板と、前記基板を挟んで対向する2つの透明導電層である第1の透明導電層および第2の透明導電層と、前記基板と前記第1の透明導電層との間、および、前記基板と前記第2の透明導電層との間の少なくとも一方に設けられ、透明導電性積層体における可視光の透過特性を調整する機能と、可視領域以外に波長を有する露光光を吸収する機能とを有する光学調整層と、を備える積層体を形成する工程と、前記第1の透明導電層の面上と、前記第2の透明導電層の面上とにレジストを形成する工程と、前記第1の透明導電層の面上に形成されたレジストと、前記第2の透明導電層の面上に形成されたレジストとを露光する工程と、感光した前記レジストを現像する工程と、現像された前記レジストから露出する前記第1の透明導電層と前記第2の透明導電層とをエッチングする工程と、を含む。
上記方法によれば、一方のレジストを露光するために照射された光のうち、レジストに吸収されなかった光を光学調整層が吸収する。したがって、一方のレジストに対する露光光が他方のレジストに到達することが抑えられるため、2つの透明導電層に互いに異なるパターンが形成される場合であっても、一方のレジストに形成されるパターンが他方のレジストに形成されるパターンに影響を与えることが抑えられる。そして、2つのレジストの現像前に、2つのレジストをまとめて露光することが可能となる結果、レジストの形成や露光や現像等の工程を、透明導電層が形成された面ごとに繰り返す製造方法と比較して、製造工程の流れを簡素にすることができる。
本開示の技術によれば、透明導電性積層体の製造工程の流れを簡素にすることができる。
本開示の技術における一実施形態での透明導電性積層体の断面構造を示す断面図である。 本開示の技術における一実施形態でのタッチパネルの断面構造を示す断面図である。 一実施形態での透明導電性積層体の製造工程を示す図であって、樹脂層の形成工程を示す図である。 一実施形態での透明導電性積層体の製造工程を示す図であって、密着層の形成工程を示す図である。 一実施形態での透明導電性積層体の製造工程を示す図であって、光学調整層の形成工程を示す図である。 一実施形態での透明導電性積層体の製造工程を示す図であって、透明導電層の形成工程を示す図である。 一実施形態での透明導電性積層体の製造工程を示す図であって、レジストの形成工程を示す図である。 一実施形態での透明導電性積層体の製造工程を示す図であって、露光工程を示す図である。 一実施形態での透明導電性積層体の製造工程を示す図であって、露光が行われた後の透明導電性積層体を示す図である。 一実施形態での透明導電性積層体の製造工程を示す図であって、現像工程を示す図である。 一実施形態での透明導電性積層体の製造工程を示す図であって、エッチング工程を示す図である。 一実施形態での透明導電性積層体の製造工程を示す図であって、レジストの除去工程を示す図である。 変形例での透明導電性積層体の断面構造を示す断面図である。 変形例での透明導電性積層体の断面構造を示す断面図である。 変形例での透明導電性積層体の断面構造を示す断面図である。 変形例での透明導電性積層体の断面構造を示す断面図である。
図1〜図12を参照して、透明導電性積層体、タッチパネル、および、透明導電性積層体の製造方法の一実施形態について説明する。本実施形態において、透明導電性積層体は、タッチパネルの構成部材の1つである。
[透明導電性積層体の構成]
図1を参照して、透明導電性積層体の構成について説明する。
図1に示されるように、透明導電性積層体10は、透明な基板11と、基板11を挟んで対向する2つの光学調整層14a,14bと、基板11および光学調整層14a,14bを挟んで対向する2つの透明電極層15a,15bとを備えている。また、透明導電性積層体10は、図1に示されるように、基板11と光学調整層14a,14bとの間に、樹脂層12a,12bを備えていることが好ましく、樹脂層12a,12bと光学調整層14a,14bとの間に、密着層13a,13bを備えていることがさらに好ましい。透明電極層15aは第1の透明電極層の一例であり、透明電極層15bは第2の透明電極層の一例である。また、樹脂層12a,12b、密着層13a,13b、光学調整層14a,14bの各々は、中間層の一例である。
図1に示される透明導電性積層体10において、基板11の表面には、樹脂層12a、密着層13a、光学調整層14a、透明電極層15aが、この順に積層されている。基板11の裏面には、樹脂層12b、密着層13b、光学調整層14b、透明電極層15bが、この順に積層されている。
基板11としては、例えば、ガラスや樹脂フィルムが用いられる。樹脂フィルムに用いられる樹脂は、形成されたフィルムが成膜工程および後工程にて基板に要求される強度を有し、表面の平滑性が良好であれば、限定されない。樹脂フィルムに用いられる樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアリレート、環状ポリオレフィン、または、ポリイミド等が挙げられる。基板11は、透明導電性積層体10の薄型化を図るとともに基板11の可撓性を保持するために、10μm以上200μm以下であることが好ましい。
基板11は、種々の添加剤や安定剤を含んでもよい。添加剤や安定剤としては、例えば、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、または、易接着剤等が挙げられる。基板11に対しては、基板11に積層される層と基板11との密着性を向上させるために、前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理、または、薬品処理等が施されてもよい。
樹脂層12a,12bは、透明導電性積層体10の機械的強度を向上させる機能を有する。樹脂層12a,12bとして用いられる樹脂は、透明性と適度な硬度および機械的強度を有することが好ましい。具体的には、樹脂層12a,12bとして用いられる樹脂は、3次元架橋の期待できる3官能以上のアクリレートを主成分とするモノマーや架橋性オリゴマー等の光硬化性樹脂が好ましい。
3官能以上のアクリレートモノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、または、ポリエステルアクリレート等を用いることが好ましい。特に、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、または、ポリエステルアクリレートを用いることが好ましい。これらのアクリレートモノマーは、単独で用いてもよいし、2種以上のモノマーを混合して用いてもよい。また、上記の3官能以上のアクリレートモノマーに、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、または、ポリオールアクリレート等のアクリル系樹脂を混合して用いてもよい。
架橋性オリゴマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、または、シリコーン(メタ)アクリレート等のアクリルオリゴマーを用いることが好ましい。具体例としては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、ポリウレタンのジアクリレート、または、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
樹脂層12a,12bの厚みは限定されないが、0.5μm以上15μm以下であることが好ましい。樹脂層12a,12bと基板11とは、屈折率が同じかもしくは近似していることが好ましい。具体的には、屈折率は、1.45以上1.75以下であることが好ましい。
樹脂層12a,12bは、粒子や光重合開始剤等の添加剤を含んでもよい。
添加される粒子としては、有機または無機の粒子が挙げられる。透明導電性積層体10の透明性を高めるためには、有機粒子を用いることが好ましい。有機粒子としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、または、フッ素樹脂等からなる粒子が挙げられる。
粒子の平均粒径は、樹脂層12a,12bの厚みに応じて決定される。ヘイズ等を抑えて透明導電性積層体10の外観を良くするためには、粒子の平均粒径は、下限として2μm以上、好ましくは5μm以上、上限として30μm以下、好ましくは15μm以下であるとよい。粒子の含有量は、同様の理由で、樹脂に対して0.5重量%以上5重量%以下であることが好ましい。
光重合開始剤は、ラジカル発生型の光重合開始剤として、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルメチルケタール等のベンゾインとそのアルキルエーテル類や、アセトフェノン、2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン類や、メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類や、チオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、2、4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類や、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類や、ベンゾフェノン、4、4−ビスメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類や、アゾ化合物等が挙げられる。これら光重合開始剤は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの光重合開始剤は、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等の第3級アミンや、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸誘導体等の光開始助剤と組み合わせて使用してもよい。
光重合開始剤の添加量は、主成分の樹脂に対して0.1重量%以上5重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以上3重量%以下であることさらに好ましい。添加量が下限値以上であれば、樹脂層の硬化が促進される。添加量が上限値以下であれば、樹脂層の黄変や、耐候性の低下を抑えることができる。光硬化型樹脂を硬化させるために用いる光としては、例えば、紫外線、電子線、あるいは、ガンマ線等が挙げられる。電子線あるいはガンマ線を用いる場合には、光重合開始剤や光開始助剤は添加されなくてもよい。これらの光の線源としては、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプや加速電子等が使用できる。
密着層13a,13bは、樹脂層12a,12bと光学調整層14a,14bとの密着性を高める機能を有する。
密着層13a,13bに用いられる材料としては、例えば、珪素、ニッケル、クロム、錫、金、銀、白金、亜鉛、チタン、タングステン、ジルコニウム、パラジウム等の金属、または、これら元素の2種類以上からなる化合物、または、これら元素の酸化物、弗化物、硫化物、窒化物、または、これら酸化物、弗化物、硫化物、窒化物の混合物等が挙げられる。上記の材料のうち、酸化物、弗化物、硫化物、窒化物の化学組成は、密着性が向上するならば、化学量論的な組成と一致しなくてもよい。なお、密着層13a,13bは上記の材料からなる複数の層から構成されてもよい。
密着層13a,13bの厚みは、全体として、0.1nm以上10nm以下であることが好ましい。密着層13a,13bの厚みが0.1nm以上であると、膜の均一性が高められて、密着性が向上する。密着層13a,13bの厚みが10nm以下であると、透明性の低下が抑えられる。また、密着層13a,13bが複数の層から構成される場合には、各層の厚みは、各層が接する層の材料特性等によって適宜設定される。
光学調整層14a,14bは、透明導電性積層体10における透過率や色相等の光学的な特性を調整する機能を有する。すなわち、光学調整層14a,14bは、透明導電性積層体10における可視光の透過特性を調整する機能を有する。光学調整層14a,14bが設けられることによって、透明電極層15a,15bに形成されたパターンが目立たなくなり、タッチパネルにおける視認性が向上する。
また、光学調整層14a,14bは、レジストを露光するための光を吸収する機能を有する。レジストを露光するための光は、レジストの種類や光源の種類によって異なるが、通常、紫外領域の波長(約200nm〜約380nm)と可視領域の波長(約380nm〜約780nm)の光が用いられることが多い。したがって、光学調整層14a,14bは、上記の領域の光を吸収することが好ましい。特に、光学調整層14a,14bが紫外領域の光を吸収すると、実用性が高められるため好ましい。
光学調整層14a,14bが露光光を吸収する機能を有することによって、基板11を挟んで形成された2つのレジストを露光する際に、一方のレジストを露光するために照射された光のうち、レジストに吸収されなかった光を光学調整層14a,14bが吸収する。したがって、一方のレジストに対する露光光が他方のレジストに到達することが抑えられる。
光学調整層14a,14bは、無機化合物、もしくは、有機化合物から形成される。
無機化合物としては、例えば、酸化物、硫化物、フッ化物、あるいは、窒化物等が挙げられる。上記の無機化合物からなる薄膜は、材料によって屈折率が異なる。目的とする光学特性に応じて選択された屈折率の薄膜を特定の膜厚で形成することによって、透明導電性積層体10の光学特性を調整することが可能となる。
屈折率の低い材料としては、酸化マグネシウム、二酸化珪素、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化セリウム、または、フッ化アルミニウム等が挙げられる。屈折率の高い材料としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化ニオブ、または、酸化タンタル等が挙げられる。
有機化合物としては、低屈折率のフッ素樹脂等を用いることができる。あるいは、樹脂層12a,12bと同様な高分子樹脂を用いてもよい。この場合、酸化ジルコニウムや酸化チタン等の高屈折率無機微粒子や、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウムなどの低屈折率無機微粒子を樹脂に分散させて、樹脂の屈折率を調整することができる。
なお、目的とする光学特性に応じて、複数の光学調整層が設けられてもよい。
光学調整層14a,14bは、光吸収材料を含んでいる。紫外領域の光を吸収するために用いられる光吸収材料としては、紫外線吸収剤や紫外線吸収機能を有する樹脂等が挙げられる。光吸収材料は、光学調整層14a,14bの構成材料への紫外線吸収剤の添加や、光学調整層14a,14bの構成材料が樹脂を含む場合には、光学調整層14a,14bを構成する樹脂と紫外線吸収機能を有する樹脂との共重合によって、光学調整層14a,14bに付加される。
無機系の紫外線吸収剤としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、または、酸化セリウム等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いてもよいし、2種以上の紫外線吸収剤を混合して用いてもよい。
有機系の紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、サリシレート系、トリアジン系、または、シアノアクリルレート系等の紫外線吸収剤が挙げられる。具体例としては、例えば、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤として、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール等やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体等が挙げられる。また、例えば、トリアジン系の紫外線吸収剤としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソ−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン等やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いてもよいし、2種以上の紫外線吸収剤を混合して用いてもよい。
紫外線吸収機能を有する樹脂は、上記のベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、サリシレート系、トリアジン系、シアノアクリルレート系等の非反応性紫外線吸収剤に、ビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基等の重合性二重結合を有する官能基や、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、または、イソシアネート基等を導入した化合物である。これらの樹脂と、光学調整層14a,14bに含有される樹脂とを共重合させることにより、紫外線吸収機能を有する光学調整層14a,14bが得られる。
上記の光吸収材料は、単独で用いてもよいし、2種以上の材料を混合して用いてもよい。例えば、吸収できる光の波長が異なる複数の光吸収材料を用いることによって、広い波長領域で光を吸収することができる。
光学調整層14a,14bの厚みは、目的とする光学特性に応じて決定される。光学調整層14a,14bが無機化合物から形成される場合には、光学調整層14a,14bの厚みは、1nm以上300nm以下であることが好ましい。光学調整層14a,14bが有機化合物から形成される場合には、光学調整層14a,14bの厚みは、1μm以上100μm以下であることが好ましい。
光吸収材料の含有量は、一方のレジストに吸収されなかった光が他方のレジストに到達することを抑えることが可能な程度に、光の吸収機能が光学調整層14a,14bに付与される量であれば、限定されない。光吸収材料の含有量は、目的とする光学特性が実現される範囲で決定される。
透明電極層15a,15bの材料としては、透明導電性積層体10に要求される特性や用途に応じて種々の材料が使用できる。例えば、透明電極層15a,15bの材料としては、酸化インジウム、酸化亜鉛、および、酸化スズのいずれか1つ、または、それらの2種類もしくは3種類の混合酸化物が挙げられる。また、上記の材料に、さらに添加物が加えられてもよい。また例えば、透明電極層15a,15bは、金属製のナノワイヤー等の繊維状の金属から形成されてもよい。上記の材料のうち、特に、酸化インジウムスズ(ITO)は、透明電極層15a,15bの材料として信頼性が高い。
酸化インジウムスズが透明電極層15a,15bの材料として用いられる場合、酸化インジウムにドープされる酸化スズの含有比は、透明導電性積層体10を備えるデバイスに求められる仕様に応じて選択される。例えば、基板11が樹脂フィルムの場合、機械強度を高める目的で透明電極層15a,15bとなる導電膜を結晶化させるために用いるスパッタリングターゲット材料は、酸化スズの含有比が10重量%未満であることが好ましい。また、導電膜をアモルファス化してフレキシブル性を持たせるためには、酸化スズの含有比は10重量%以上であることが好ましい。また、導電膜に低抵抗が求められる場合は、酸化スズの含有比は3重量%以上20重量%以下であることが好ましい。
透明電極層15a,15bは、所定の形状にパターニングされている。例えば、透明電極層15aは、X方向に延びる複数の導電領域が、X方向と直交するY方向に隙間をあけて並設されたパターンを有する。そして、透明電極層15aと対向する透明電極層15bは、Y方向に延びる複数の導電領域が、X方向に隙間をあけて並設されたパターンを有する。導電領域は、例えば、直線形状や、複数のひし形が一方向に繋げられた形状に形成される。隣接する導電領域の間の領域は、導電領域と絶縁された非導電領域となる。導電領域の各々は、導電領域に形成される静電容量の変化を、電流の変化によって検出する回路に接続されている。人の指等が導電領域に接近すると、静電容量が変化する。この静電容量の変化が検出されることに基づいて、人の指等の接触位置が判定される。
透明導電性積層体10は、波長400nmにおける光線透過率が60%以上であり、かつ、波長365nmにおける光線透過率が20%以下であることが好ましい。光線透過率が上記の範囲であると、紫外領域の波長の光によってレジストが露光される場合に、一方のレジストに吸収されなかった光が他方のレジストに達することが的確に抑えられる。また、こうした効果を高めるためには、光学調整層14a,14bの波長400nmにおける光線透過率が80%以上であり、かつ、波長365nmにおける光線透過率が20%以下であることが好ましい。
また、透明導電性積層体10の積層方向において、透明電極層15aの導電領域と透明電極層15bの導電領域とが重なる部分と、透明電極層15aの非導電領域と透明電極層15bの非導電領域とが重なる部分との全光線透過率の差が1.5%以下であり、かつ、透過色相b*差が2.0以下であることが好ましい。全光線透過率および透過色相差が上記の範囲内であれば、透明電極層15aと透明電極層15bとが互いに異なるパターンに形成された場合でも、パターン形状が目立たなくなるため、タッチパネルにおける視認性が向上する。
また、透明導電性積層体10は、150℃30分間における熱収縮率が0.5%以下であることが好ましい。熱収縮率が上記の範囲内であれば、透明電極層15a,15bの形成工程やレジストの乾燥工程において、加えられる熱によって積層体が収縮することが抑えられる。その結果、透明電極層15aと透明電極層15bとのパターンの位置ずれが抑えられる。
図2に示されるように、基板11の表面側の透明電極層15aには、接着層を介してガラス等からなるカバー層30等が積層されて、タッチパネル31が構成される。カバー層30の表面が、人の指等の接触面となる。さらに、基板11の裏面側の透明電極層15bには、液晶パネル等の表示パネル32が積層されて、タッチパネル31と表示パネル32とから表示装置33が構成される。
[透明導電性積層体の製造方法]
図3〜図12を参照して、透明導電性積層体の製造方法について説明する。
図3に示されるように、まず、基板11の表面に樹脂層12aが形成され、基板11の裏面に樹脂層12bが形成される。
樹脂層12a,12bは、主成分である樹脂等を溶剤に溶解させた溶液が基板11に塗布された後に、硬化されることによって形成される。塗布方法としては、ダイコーター、カーテンフローコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、スピンコーター、または、マイクログラビアコーター等の公知の塗布方法が用いられる。
溶剤は、上記の主成分の樹脂等を溶解するものであれば、限定されない。溶剤の具体例としては、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、プロピレングリコール、または、モノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上の溶剤を混合して用いてもよい。
図4に示されるように、次に、基板11の表面側において、樹脂層12aの面上に密着層13aが形成され、基板11の裏面側において、樹脂層12bの面上に密着層13bが形成される。
密着層13a,13bは、例えば、真空蒸着法、スパッタリング等の物理的気相析出法やCVD法等の化学的気相析出法等の公知の成膜方法によって形成される。
図5に示されるように、次に、基板11の表面側において、密着層13aの面上に光学調整層14aが形成され、基板11の裏面側において、密着層13bの面上に光学調整層14bが形成される。
光学調整層14a,14bは、公知の成膜方法によって形成される。例えば、光学調整層14a,14bが無機化合物から形成される場合、真空蒸着法、スパッタリング等の物理的気相析出法やCVD法等の化学的気相析出法によって光学調整層14a,14bが形成される。あるいは、光学調整層14a,14bが有機化合物から形成される場合、上述の樹脂層12a,12bの形成工程で例示した各種の塗布方法によって、光学調整層14a,14bが形成される。
図6に示されるように、次に、基板11の表面側において、光学調整層14aの面上に透明導電層16aが形成され、基板11の裏面側において、光学調整層14bの面上に透明導電層16bが形成される。透明導電層16aは第1の透明導電層の一例であり、透明導電層16bは第2の透明導電層の一例である。
透明導電層16a,16bは、例えば、真空蒸着法、スパッタリング等の物理的気相析出法やCVD法等の化学的気相析出法等の公知の成膜方法によって形成される。また、透明導電層16a,16bが繊維状の金属から形成される場合には、繊維状の金属が分散された溶液が公知の塗布法や印刷法によって基板11に塗布されることにより、透明導電層16a,16bが形成される。
なお、樹脂層12a,12b、密着層13a,13b、光学調整層14a,14b、および、透明導電層16a,16bのうちの複数の層が、基板11の一方の面に連続して形成されてもよい。例えば、基板11の表面に、樹脂層12a、密着層13a、光学調整層14a、および、透明導電層16aが形成された後に、基板11の裏面に、樹脂層12b、密着層13b、光学調整層14b、および、透明導電層16bが形成されてもよい。要は、レジストが形成される前に、基板11の表面に、樹脂層12a、密着層13a、光学調整層14a、および、透明導電層16aを備え、基板11の裏面に、樹脂層12b、密着層13b、光学調整層14b、および、透明導電層16bを備える積層体が形成されればよい。
図7に示されるように、次に、基板11の表面側において、透明導電層16aの面上にレジスト17aが形成され、基板11の裏面側において、透明導電層16bの面上にレジスト17bが形成される。
レジスト17a,17bとしては、ネガ型のレジストを用いてもよいし、ポジ型のレジストを用いてもよい。レジスト17a,17bには、公知の材料が用いられ、レジスト17a,17bは、公知の方法によって形成される。
図8に示されるように、次に、レジスト17a,17bに光を照射する2つの光源20a,20bの間に、レジスト17a,17bが形成された積層体が配置される。基板11の表面側において、レジスト17aと光源20aとの間には、レジスト17aに近い方から、透明電極層15aのパターンに応じたパターンを有するマスク18aと、特定の波長の光を遮断する光学フィルター19aとが、この順に配置される。基板11の裏面側において、レジスト17bと光源20bとの間には、レジスト17bに近い方から、透明電極層15bのパターンに応じたパターンを有するマスク18bと、特定の波長の光を遮断する光学フィルター19bとが、この順に配置される。
そして、光源20aからレジスト17aに対して光が照射されてレジスト17aが露光されるとともに、光源20bからレジスト17bに対して光が照射されてレジスト17bが露光される。レジスト17aの露光とレジスト17bの露光とは同時に行われる。あるいは、レジスト17aの露光と、レジスト17bの露光とは、レジスト17aの現像前、かつ、レジスト17bの現像前であれば、各別に行われてもよい。このとき、光学フィルター19a,19bによって特定の波長の光が遮断されるため、レジスト17a,17bは、光源20a,20bから発せられた光のうちの特定の波長の光を除いた光によって露光される。
ここで、光学調整層14a,14bが光を吸収する機能を有しているため、光源20aから光学フィルター19aを介してレジスト17aに照射された光のうち、レジスト17aに吸収されなかった光は、光学調整層14a,14bに吸収される。したがって、光源20aからレジスト17aに照射された光が積層体を透過してレジスト17bを感光させることを抑えることができる。また、光源20bから光学フィルター19bを介してレジスト17bに照射された光のうち、レジスト17bに吸収されなかった光は、光学調整層14a,14bに吸収される。したがって、光源20bからレジスト17bに照射された光が積層体を透過してレジスト17aを感光させることを抑えることができる。そのため、2つのレジスト17a,17bの露光が、これら両方のレジスト17a,17bの現像前にまとめて行われても、一方のレジストを露光するための光が積層体を透過して他方のレジストを感光させることが抑えられる。
また、光学フィルター19a,19bによって遮断される光の波長と、光学調整層14a,14bが吸収する光の波長とを調整することによって、レジストを露光するための光の選択的な設定と吸収とが可能になる。例えば、光学フィルター19a,19bが可視領域の波長の光を遮断し、光学調整層14a,14bが紫外領域の波長の光を吸収するように構成される。この場合、露光光は可視領域以外の波長を有する光となり、レジスト17a,17bは、光学フィルター19a,19bを通過した紫外領域の波長の光によって露光される。そして、一方のレジストに吸収されなかった光は、光学調整層14a,14bに吸収される。このように、光学フィルター19a,19bによって遮断される光の波長と、光学調整層14a,14bが吸収する光の波長とを調整することによって、レジスト17a,17bの露光と不要な露光光の吸収とが的確に行われる。
上述のように、光学フィルター19a,19bが可視領域の波長の光を遮断し、光学調整層14a,14bが紫外領域の波長の光を吸収する場合、光学フィルター19a,19bの波長365nmにおける光線透過率が80%以上であることが好ましい。光学フィルター19a,19bの光線透過率が上記の範囲であれば、レジスト17a,17bが紫外領域の波長の光によって露光される。したがって、一方のレジストを露光するために照射された光のうち、レジストに吸収されなかった光が光学調整層14a,14bによって適切に吸収される。
また、レジスト17a,17bの特性によって、光学フィルター19a,19bを通過した光によってレジスト17a,17bが十分に感光しない場合には、光学フィルター19a,19bの波長400nmにおける光線透過率が、0.1%以上30%以下の範囲で調整されることが好ましい。
図9に示されるように、レジスト17a,17bが露光されることによって、レジスト17a,17bが感光する。
図10に示されるように、次に、レジスト17a,17bがネガ型の場合には、レジスト17a,17bの感光していない部分が現像液によって除去される。あるいは、レジスト17a,17bがポジ型の場合には、レジスト17a,17bの感光した部分が現像液によって除去される。これにより、レジスト17a,17bに、マスク18a,18bに応じたパターンが形成される。すなわち、レジスト17a,17bに、透明電極層15b,15bのパターンとして設定されたパターンが形成される。
図11に示されるように、次に、レジスト17aのパターンに応じて、透明導電層16aの露出部分がエッチングされ、レジスト17bのパターンに応じて、透明導電層16bの露出部分がエッチングされる。エッチング方法は、公知の方法が用いられる。これにより、透明導電層16aがパターニングされて透明電極層15aが形成される。また、透明導電層16bがパターニングされて透明電極層15bが形成される。透明導電層16a,16bの残存部分が、透明電極層15a,15bにおける導電領域となる。
図12に示されるように、次に、レジスト17a,17bが除去される。これにより、透明導電性積層体10が得られる。
なお、上記の各工程は、ロール・ツー・ロール方式によって行われることが好ましい。これによれば、透明導電性積層体10を効率よく製造することができるため、透明導電性積層体10の製造にかかる時間が短縮される。
[作用]
上述の透明導電性積層体、タッチパネル、および、透明導電性積層体の製造方法がもたらす作用について説明する。
上述のように、光学調整層14a,14bが光を吸収する機能を有しているため、一方のレジストを露光するために照射された光のうち、レジストに吸収されなかった光を光学調整層14a,14bが吸収する。その結果、一方のレジストに対する露光光が他方のレジストに到達することが抑えられる。したがって、2つの透明電極層15a,15bが互いに異なるパターンを有する場合であっても、一方のレジストに形成されるパターンが他方のレジストに形成されるパターンに影響を与えることなく、基板11を挟んで対向する2つのレジスト17a,17bを、これら両方のレジスト17a,17bの現像前にまとめて露光できる。結果として、レジストの形成や露光や現像等の工程を、透明導電層16a,16bが形成された面ごとに繰り返す製造方法と比較して、透明導電性積層体の製造工程の流れが簡素である。
また、2つのレジスト17a,17bがほぼ同時に露光されるため、レジスト17a用の露光マスクの位置と、レジスト17b用の露光マスクの位置との整合によって、レジスト17aのパターンと、レジスト17bのパターンとの位置合わせが可能になる。それゆえに、例えば、先行して形成された一方のレジストの微細なパターンの位置を検出し、その検出結果と、他方のレジスト用の露光マスクの位置とを整合させる位置合わせと比較して、2つのレジスト17a,17bに形成されるパターンの位置合わせが容易になる。したがって、透明電極層15a,15bを微細なパターンに形成することも可能となり、ひいては、タッチパネルにおける接触位置の検出の感度や精度が向上される。また、透明電極層15a,15bが微細なパターンに形成されることによって、パターン形状が目立たなくなるため、タッチパネルの視認性が向上する。
また、本実施形態では、2つの透明電極層15a,15bの間に設けられる層のうち、光学調整層14a,14bに、光を吸収する機能を付与している。従来、光学調整層は、透明導電性積層体における可視光の透過特性の調整に特化した機能を有する層であるが、本実施形態では、光学調整層に、可視光の透過特性を調整する機能と可視領域以外の波長を有する露光光を吸収する機能との2つの機能を持たせている。これにより、露光光を吸収する機能のみを有する層を別に設けて構成部材を増やすことなく、透明導電性積層体10による露光光の吸収が可能となる。また、光学調整層14a,14bは、基板11や樹脂層12a,12b、これらを接着する粘着層等と比較して、機能的に特化した層である。したがって、基板11や樹脂層12a,12bに紫外線吸収剤や紫外線吸収機能を有する樹脂を含有させる場合と比較して、機械的強度等の透明導電性積層体10の全体に影響を与える特性に及ぼす影響が小さい。
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)一方のレジストに対する露光光のうち、レジストに吸収されなかった光を光学調整層14a,14bが吸収する。したがって、一方のレジストに対する露光光が他方のレジストに到達することが抑えられるため、2つのレジストを、これら両方の現像前にまとめて露光できる。その結果、製造工程の流れを簡素にすることができる。
(2)実用上、レジスト17a,17bの露光は、紫外領域の波長の光と可視領域の波長の光を発する光源20a,20bによって行われることが好ましい。したがって、光学調整層14a,14bが紫外領域の波長の光を吸収する機能を有すると、光学調整層14a,14bにおける可視領域以外の波長を有する露光光を吸収する機能が、実用上好ましい形態で実現される。また、光学調整層14a,14bに紫外線吸収剤または紫外線吸収機能を有する樹脂が含有されることによって、紫外領域の波長の光を吸収する機能を光学調整層14a,14b適切に付加することができる。また、透明導電性積層体10の波長400nmにおける光線透過率が60%以上であり、かつ、波長365nmにおける光線透過率が20%以下であると、光学調整層14a,14bによる紫外領域の波長の光を吸収する機能が適切に実現される。
(3)光学フィルター19a,19bの波長365nmにおける光線透過率が80%以上であって、透明導電性積層体10の波長400nmにおける光線透過率が60%以上であり、かつ、波長365nmにおける光線透過率が20%以下である。こうした構成によれば、光学フィルター19a,19bを透過する光の波長と、光学調整層14a,14bが吸収する光の波長とが合わせられるため、レジスト17a,17bの露光と不要な露光光の吸収とが的確に行われる。
上記の実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。
・図13に示されるように、透明導電性積層体21から、密着層13a,13bが割愛されてもよい。この場合、基板11の表面には、樹脂層12a、光学調整層14a、透明電極層15aが、この順に積層されている。基板11の裏面には、樹脂層12b、光学調整層14b、透明電極層15bが、この順に積層されている。こうした透明導電性積層体21は、先の図3〜図12に示した透明導電性積層体の製造方法から、密着層13a,13bの形成工程を除いた製造方法によって製造される。また、基板11と透明電極層15aとの間の密着層13a、および、基板11と透明電極層15bとの間の密着層13bのいずれか一方のみが割愛されてもよい。
・図14に示されるように、透明導電性積層体22から、樹脂層12a,12bが割愛されてもよい。この場合、基板11の表面には、密着層13a、光学調整層14a、透明電極層15aが、この順に積層されている。基板11の裏面には、密着層13b、光学調整層14b、透明電極層15bが、この順に積層されている。密着層13a,13bは、基板11と光学調整層14a,14bとの密着性を高める。こうした透明導電性積層体22は、先の図3〜図12に示した透明導電性積層体の製造方法から、樹脂層12a,12bの形成工程を除いた製造方法によって製造される。また、基板11と透明電極層15aとの間の樹脂層12a、および、基板11と透明電極層15bとの間の樹脂層12bのいずれか一方のみが割愛されてもよい。
・図15に示されるように、透明導電性積層体23から樹脂層12a,12bと密着層13a,13bとが割愛されてもよい。この場合、基板11の表面には、光学調整層14aと透明電極層15aとが、この順に積層されている。基板11の裏面には、光学調整層14bと透明電極層15bとが、この順に積層されている。こうした透明導電性積層体23は、先の図3〜図12に示した透明導電性積層体の製造方法から、樹脂層12a,12bの形成工程と密着層13a,13bの形成工程を除いた製造方法によって製造される。また、基板11と透明電極層15aとの間の樹脂層12aおよび密着層13a、および、基板11と透明電極層15bとの間の樹脂層12bおよび密着層13bのいずれか一方のみが割愛されてもよい。
・樹脂層12a,12bは、光学調整層14a,14bと透明電極層15a,15bとの間に設けられてもよい。
・基板11と透明電極層15aとの間の光学調整層14a、および、基板11と透明電極層15bとの間の光学調整層14bのいずれか一方が割愛されてもよい。すなわち、透明導電性積層体は、少なくとも、基板11と、基板11を挟んで対向する透明電極層15a,15bと、基板11と透明電極層15aとの間、および、基板11と透明電極層15bとの間の少なくとも一方に設けられた光学調整層とを備えていればよい。
・図16に示されるように、基板11が複数の層を有していてもよい。図16に示される透明導電性積層体24では、基板11が2つの副基板11a,11bと、副基板11aと副基板11bとを張り合わせる粘着層25とから構成される。粘着層25に用いられる樹脂としては、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、または、ゴム系樹脂等が挙げられる。粘着層25には、クッション性や透明性に優れた樹脂を用いることが好ましい。
こうした透明導電性積層体の製造方法では、副基板11aの表面に樹脂層12aと密着層13aと光学調整層14aと透明導電層16aが積層され、副基板11bの表面に樹脂層12bと密着層13bと光学調整層14bと透明導電層16bが積層される。そして、各構成部材が積層された副基板11aの裏面と副基板11bの裏面とが粘着層25によって貼り合わせられる。以後、先の図7〜図12に示される工程と同様の工程を経て透明導電性積層体24が製造される。すなわち、この場合も、基板11を挟んで対向する2つのレジスト17a,17bが現像前にまとめて露光されるため、製造工程の流れを簡素にすることができる。
・透明導電性積層体が複数の光学調整層を備える場合、光学調整層のうちの少なくとも1層が透明導電性積層体における可視光の透過特性を調整する機能と露光光を吸収する機能とを有し、残りの層は可視光の透過特性を調整する機能のみを有していればよい。こうした構成によっても、上記(1)の効果は得られる。
・透明導電性積層体が、透明導電性積層体における可視光の透過特性を調整する機能と露光光を吸収する機能とを有する光学調整層を複数備える場合、各光学調整層が吸収する光の波長が互いに異なってもよい。こうした構成によれば、広い波長領域で光を吸収することができる。
・光学調整層14a,14bに加えて、基板11、樹脂層12a,12b、および、密着層13a,13bのうちの少なくとも1つが、光を吸収する機能を有してもよい。また、先の図16に示される透明導電性積層体24においては、光学調整層14a,14bに加えて、粘着層25が光を吸収する機能を有してもよい。これらの構成部材には、先に例示した紫外線吸収剤や紫外線吸収機能を有する樹脂等の光吸収材料を含有させることによって、光を吸収する機能を付加することができる。複数の層が光を吸収する機能を有することにより、一方のレジストに吸収されなかった光を積層体がより適切に吸収するため、一方のレジストに対する露光光が積層体を透過して他方のレジストを感光させることがより適切に抑えられる。
10,21,22,23,24…透明導電性積層体、11…基板、11a,11b…副基板、12a,12b…樹脂層、13a,13b…密着層、14a,14b…光学調整層、15a,15b…透明電極層、16a,16b…透明導電層、17a,17b…レジスト、18a,18b…マスク、19a,19b…光学フィルター、20a,20b…光源、25…粘着層、30…カバー層、31…タッチパネル、32…表示パネル、33…表示装置。

Claims (6)

  1. 基板と、
    第1の透明電極層と、
    前記基板を挟んで前記第1の透明電極層と対向する第2の透明電極層と、
    前記基板と前記第1の透明電極層との間、および、前記基板と前記第2の透明電極層との間の少なくとも一方に設けられた中間層と、を備える透明導電性積層体であって、
    前記中間層は、透明導電性積層体における可視光の透過特性を調整する機能と、可視領域以外に波長を有する光を吸収する機能とを有する光学調整層を含む
    ことを特徴とする透明導電性積層体。
  2. 前記光学調整層は、紫外領域に波長を有する光を吸収する
    請求項1に記載の透明導電性積層体。
  3. 前記光学調整層は、紫外線吸収剤または紫外線吸収機能を有する樹脂を含む
    請求項1または2に記載の透明導電性積層体。
  4. 波長400nmにおける光線透過率が60%以上であり、かつ、波長365nmにおける光線透過率が20%以下である
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の透明導電性積層体。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の透明導電性積層体を備える
    タッチパネル。
  6. 透明導電性積層体の製造方法であって、
    基板と、前記基板を挟んで対向する2つの透明導電層である第1の透明導電層および第2の透明導電層と、前記基板と前記第1の透明導電層との間、および、前記基板と前記第2の透明導電層との間の少なくとも一方に設けられ、透明導電性積層体における可視光の透過特性を調整する機能と、可視領域以外に波長を有する露光光を吸収する機能とを有する光学調整層と、を備える積層体を形成する工程と、
    前記第1の透明導電層の面上と、前記第2の透明導電層の面上とにレジストを形成する工程と、
    前記第1の透明導電層の面上に形成されたレジストと、前記第2の透明導電層の面上に形成されたレジストとを露光する工程と、
    感光した前記レジストを現像する工程と、
    現像された前記レジストから露出する前記第1の透明導電層と前記第2の透明導電層とをエッチングする工程と、
    を含むことを特徴とする透明導電性積層体の製造方法。
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