JP2015044891A - 医療用放射線滅菌対応塩化ビニル樹脂組成物およびそれからなる医療用器具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
成分(a)塩化ビニル樹脂100質量部と、
成分(b)可塑剤1〜250質量部とを含み、
上記成分(b)は、
成分(b−1)アジピン酸エステル系可塑剤50〜99質量%と、
成分(b−2)シクロヘキサンジカルボキシレート系可塑剤50〜1質量%とを含み、
ここで成分(b−1)と成分(b−2)との合計は100質量%である
ことを特徴とする医療用塩化ビニル樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
成分(a)塩化ビニル樹脂100質量部と、
成分(b)可塑剤1〜250質量部とを含み、
上記成分(b)は、
成分(b−1)アジピン酸エステル系可塑剤50〜99質量%と、
成分(b−2)シクロヘキサンジカルボキシレート系可塑剤50〜1質量%とを含み、
ここで成分(b−1)と成分(b−2)の合計は100質量%である
ことを特徴とする医療用塩化ビニル樹脂組成物が提供される。
本発明の成分(a)として用いる塩化ビニル樹脂は、−CH2−CHCl−で表される基を有する全ての重合体を指し、塩化ビニルの単独重合体;塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル・(メタ)アクリル酸共重合体、塩化ビニル・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、塩化ビニル・(メタ)アクリル酸エチル共重合体、塩化ビニル・マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル・エチレン共重合体、塩化ビニル・プロピレン共重合体、塩化ビニル・スチレン共重合体、塩化ビニル・イソブチレン共重合体、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル・スチレン・無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル・スチレン・アクリロニトリル三元共重合体、塩化ビニル・ブタジエン共重合体、塩化ビニル・イソプレン共重合体、塩化ビニル・塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル・塩化ビニリデン・酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル・アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル・各種ビニルエーテル共重合体等の塩化ビニルと塩化ビニルと共重合可能な他のモノマーとの共重合体;後塩素化ビニル共重合体等の塩化ビニル単独重合体や塩化ビニル系共重合体を改質したもの;さらには塩素化ポリエチレン等の構造上塩化ビニル樹脂と類似の塩素化ポリオレフィンを包含する。
本発明の成分(b)として用いる可塑剤は、成分(b−1)アジピン酸エステル系可塑剤と成分(b−2)シクロヘキサンジカルボキシレート系可塑剤とを含む。好ましくは、上記成分(b−1)と上記成分(b−2)とからなる。
本発明に用いるアジピン酸エステル系可塑剤は、アジピン酸と、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数4〜20の一価アルコール(例えば、n−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デシルアルコール、イソヘプチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソオクチルアルコール、イソノニルアルコール、イソデシルアルコールなどをあげることができる。)とのエステル化合物である。
本発明に用いるシクロヘキサンジカルボキシレート系可塑剤は、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸と、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜20の一価アルコールとのエステル化合物である。
DINCH(商品名)」をあげることができる。
成分(a)塩化ビニル樹脂
成分(a−1):
製造会社:株式会社カネカ
種類: ポリ塩化ビニル
平均重合度:700
製造会社:新第一塩ビ株式会社
種類: ポリ塩化ビニル
平均重合度:1300
成分(b−1):
製造会社: 株式会社ジェイプラス
商品名:DOA
種類:アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)(DEHA)
製造会社: BASFジャパン株式会社
商品名:HexamollR DINCH
種類:ジイソノニルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート(DINCH)
成分(c−1):ジオクチル錫ジメルカプト系安定剤
製造会社:株式会社ADEKA
種類: ジオクチル錫ジメルカプト
製造会社:株式会社ADEKA
種類: カルシウム亜鉛
成分(d−1): ポリエチレンワックス系滑材
製造会社:三井化学株式会社
種類:ポリエチレンワックス
製造会社:クラリアントジャパン株式会社
種類:モンタン酸部分鹸化エステル
1.耐放射線変色(ΔYI値)の評価
(1)下記で得られた塩化ビニル樹脂組成物からテストロールを用いてシートを作成し、これを更にプレス装置を用いて2mm厚プレスシートに成形してテストサンプルとした。テストサンプルは2片用意した。
(2)上記で得られたテストサンプルについて、照射前の黄色度(YI値)をJIS
K7105に準拠し、コンピュータカラーマッチングシステム〔住化カラー(株)製〕を用いて測定した。
(3)次いで、上記テストサンプルの一つにはコバルト60を線源とするγ線の20KGyの照射を行い、もう一つには40KGyの照射を行った。照射後サンプルを恒温恒湿の条件下(23℃、50%相対湿度)で3日間静置した。これはテストサンプルの着色黄変は、照射後もしばらくは徐々に進行するので、色を安定化させるためである。
(4)その後、照射後サンプルのYI値を上記と同じ方法で測定して、各々の照射後YI値を求めた。変色度の評価指標として、下記式で定義した黄変度(ΔYI値)を各々計算した。
ΔYI値=(照射後YI値)−(照射前YI値)
(1)テストサンプルは、上記の1.耐放射線変色(ΔYI値)の測定と同じ方法で作成したものを用いた。
(2)γ線を照射前のテストサンプルと、コバルト60を線源とするγ線を40KGy照射後のテストサンプルについて、日本医療器材協会が定めた医療用プラスチック試験規格の塩化ビニル樹脂コンパウンドI規格に準拠し、ΔpHと紫外吸収スペクトルを測定した。
(3)即ち、テストサンプルを3mm四方に裁断し、所定量精秤して硬質ガラス製容器に投入し、121℃で1時間加熱抽出した。前記抽出液を所定量精秤し、試験液を作成した。またテストサンプルを投入しなかったこと以外は上記と同様の操作を行い、ブランクを作成した。
(4)上記で得た試験液の水素イオン指数(pH)とブランクの水素イオン指数(pH)を測定し、その差(ΔpH)を計算した。
(5)また上記で得た試験液の波長220〜350nmにおける紫外線吸収スペクトルの吸光度の最大値と、ブランクの波長220〜350nmにおける紫外線吸収スペクトルの吸光度の最大値を測定し、その差(ΔUV)を計算した。
(6)上記のようにしてγ線を照射前のテストサンプルのΔpHとΔUV、及びγ線を40KGy照射後のテストサンプルのΔpHとΔUVを求めた
(7)ΔpHについては、照射前、照射後の何れも1.5以下を合格と判断した。
(8)ΔUVについては、照射前、照射後の何れも0.1以下を合格と判断した。
テストサンプルは、上記の1.耐放射線変色(ΔYI値)の測定と同じ方法で作成したものを用いた。テストサンプルをガンマ線照射後、10人が指で触って、べたつきの有無を試験し、べとつき有りとした者の人数により、以下の基準で評価した。
○:0人
△:1〜3人
×:4人以上
成分(b)の配合量が、20質量部以下の実施例及び比較例について実施した。
型締圧120トンの射出成形機を用い、幅10mm×長さ80mm×厚さ2mmの試験片を下記の成形条件で成形した。
成形温度 180℃
金型温度 40℃
射出速度 50mm/秒
射出圧力 1400Kg/cm2
保圧圧力 400〜1400Kg/cm2
射出時間 10秒
冷却時間 45秒
続いて、得られた試験片について、フローマークやウェルドマークの有無を、目視観察し、以下の基準で評価した。
○:フローマーク及びウェルドマークは認められない
△:フローマーク又はウェルドマークがわずかに認められる
×:甚だしいフローマーク及びウェルドマークが認められる
成分(b)の配合量が、20質量部以上の実施例及び比較例について実施した。
40mm単軸押出機と平板型の金型を用い、金型出口樹脂温度170℃、スクリュー回転数40rpmの条件で、押出シート成形を行い、ドローダウン性、押出シートの表面外観を観察し、次の基準で評価した。
○:ドローダウン性、押出シートの表面外観について全く問題ない。
△:押出シートの表面にやや肌荒れがあるが、ドローダウン性については問題ない。
×:押出シートの表面に顕著な肌荒れがあり、ドローダウン性も悪い。
表1〜4の何れか1に示す量(質量部)の成分を、
成分(b)の配合量が1〜20質量部のときは、二軸押出機を用い、樹脂温度180℃で溶融混練し、成分(b)の配合量が20質量部を超えるときは、加圧ニーダーを用い、樹脂温度160℃で5分間、溶融混練して塩化ビニル樹脂組成物を得た。上記の試験1〜5を行った。結果を表1〜4の何れか1に示す。
成分(b−1)と成分(b−2)との配合比が規定範囲から外れるため、比較例3は射出成形性に劣り、比較例5は押出性に劣る。
Claims (5)
- 成分(a)塩化ビニル樹脂100質量部と、
成分(b)可塑剤1〜250質量部とを含み、
上記成分(b)は、
成分(b−1)アジピン酸エステル系可塑剤50〜99質量%と、
成分(b−2)シクロヘキサンジカルボキシレート系可塑剤50〜1質量%とを含み、
ここで成分(b−1)と成分(b−2)との合計は100質量%である
ことを特徴とする医療用塩化ビニル樹脂組成物。
- 上記成分(b−1)が、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペートからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の医療用塩化ビニル樹脂組成物。
- 上記成分(b−2)が、ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート、ジエチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート、ジn−ブチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート、ジ−2−エチルヘキシルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート、ジイソノニルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート、ジイソデシルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレートからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の医療用塩化ビニル樹脂組成物。
- 医療用チューブ又は医療用バッグであって、請求項1〜3の何れか1項に記載の医療用塩化ビニル樹脂組成物からなることを特徴とする医療用チューブ又は医療用バッグ。
- 医療用輸液セット若しくは血液回路のジョイント部材又は医療用容器であって、請求項1〜3の何れか1項に記載の医療用塩化ビニル樹脂組成物からなることを特徴とする医療用輸液セット若しくは血液回路のジョイント部材又は医療用容器。
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- 2013-08-27 JP JP2013175146A patent/JP6246528B2/ja active Active
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