JP6238630B2 - 医療用放射線滅菌対応塩化ビニル樹脂組成物およびそれからなる医療用器具 - Google Patents
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Description
成分(a)塩化ビニル樹脂100質量部、
成分(b)イソソルバイドジエステル系可塑剤1質量部以上20質量部未満、
を含有することを特徴とする医療用塩化ビニル樹脂組成物が提供される。
上記成分(b)が、炭素数6〜12の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪酸を用いて合成されたものであることを特徴とする第一の発明に記載の医療用塩化ビニル樹脂組成物が提供される。
さらに成分(c)シラン化合物を塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.1〜15質量部含有することを特徴とする第一の発明または第二の発明に記載の医療用塩化ビニル樹脂組成物が提供される。
医療用輸液セット若しくは血液回路のジョイント部材又は医療用容器であって、第一の発明から第三の発明のいずれか1に記載の医療用塩化ビニル樹脂組成物からなることを特徴とする医療用輸液セット若しくは血液回路のジョイント部材又は医療用容器が提供される。
本発明の成分(a)として用いる塩化ビニル樹脂は、−CH2−CHCl−で表される基を有する全ての重合体を指し、塩化ビニルの単独重合体;塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル・(メタ)アクリル酸共重合体、塩化ビニル・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、塩化ビニル・(メタ)アクリル酸エチル共重合体、塩化ビニル・マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル・エチレン共重合体、塩化ビニル・プロピレン共重合体、塩化ビニル・スチレン共重合体、塩化ビニル・イソブチレン共重合体、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル・スチレン・無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル・スチレン・アクリロニトリル三元共重合体、塩化ビニル・ブタジエン共重合体、塩化ビニル・イソプレン共重合体、塩化ビニル・塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル・塩化ビニリデン・酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル・アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル・各種ビニルエーテル共重合体等の塩化ビニルと塩化ビニルと共重合可能な他のモノマーとの共重合体;後塩素化ビニル共重合体等の塩化ビニル単独重合体や塩化ビニル系共重合体を改質したもの;さらには塩素化ポリエチレン等の構造上塩化ビニル樹脂と類似の塩素化ポリオレフィンを包含する。
本発明の成分(b)として用いるイソソルバイドジエステル系可塑剤はイソソルバイドと脂肪酸とのエステルである。
本発明で使用するシラン化合物は、アルコキシシラン化合物、クロロシラン化合物、アセトキシシラン化合物及びオルガノシラン化合物からなる群から選択される1種以上のシラン化合物である。
表1〜3の何れか1に示す量(質量部)の成分を、二軸押出機を用いて150〜180℃で溶融混練して塩化ビニル樹脂組成物を製造した。以下の試験1〜5を行った。結果を表1〜3の何れか1に示す。
成分(a)塩化ビニル樹脂
成分(a−1):
製造会社:株式会社カネカ
種類: ポリ塩化ビニル
平均重合度:700
成分(b−1):
製造会社:ロケットジャパン
商品名:ID−46
種類:イソソルバイドジオクタノエート
粘度:80mPa・S(JIS K2283に準拠し20℃で測定)
比較成分(b’−1):
製造会社:株式会社ジェイプラス
商品名:DOP
種類:ジ(2−エチルヘキシル)フタレート(DEHP)
製造会社:花王株式会社
商品名:TOTM
種類:トリメリット酸2−エチルヘキシル(TOTM)
製造会社: 株式会社ジェイプラス
商品名:DOA
種類:ジ(2−エチルヘキシル)アジペート(DEHA)
製造会社: BASFジャパン株式会社
商品名:HexamollR DINCH
種類:ジイソノニルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート(DINCH)
成分(c−1): トリアルコキシシラン化合物
製造会社:東レダウコーニングシリコン株式会社
商品名: Z−6036
種類:3 − メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
製造会社:東レダウコーニングシリコン株式会社
商品名: Z−6519
種類:ビニルトリエトキシシラン
製造会社:東レダウコーニングシリコン株式会社
商品名: Z−6697
種類:テトラエトキシシラン
成分(d−1):ジオクチル錫ジメルカプト系安定剤
製造会社:株式会社ADEKA
商品名: アデカスタブ465
種類: ジオクチル錫ジメルカプト
成分(e−1): ポリエチレンワックス系滑材
製造会社:三井化学株式会社
商品名: ハイワックス4202E
種類:ポリエチレンワックス
製造会社:クラリアントジャパン株式会社
商品名: リコワックスOP
種類:モンタン酸部分鹸化エステル
1.射出成形性
型締圧120トンの射出成形機を用い、幅10mm×長さ80mm×厚さ2mmの試験片を下記の成形条件で成形した。
成形温度 180℃
金型温度 40℃
射出速度 50mm/秒
射出圧力 1400Kg/cm2
保圧圧力 400〜1400Kg/cm2
射出時間 10秒
冷却時間 45秒
続いて、得られた試験片について、フローマークやウェルドマークの有無を、目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:フローマーク及びウェルドマークは認められない
○:フローマーク又はウェルドマークがわずかに認められる
△:フローマーク及びウェルドマークが認められる
×:甚だしいフローマーク及びウェルドマークが認められる
上記射出成形性と同様にして作成した幅10mm×長さ80mm×厚さ2mmの試験片についてコバルト60を線源とするγ線を40KGy照射した後の亀裂有無を目視観察した。
(1)得られた塩化ビニル樹脂組成物からテストロールを用いてシートを作成し、これを更にプレス装置を用いて2mm厚プレスシートに成形してテストサンプルとした。テストサンプルは2片用意した。
(2)得られたテストサンプルについて、照射前の黄色度(YI値)をJIS
K7105に準拠し、コンピュータカラーマッチングシステム〔住化カラー(株)製〕を用いて測定した。
(3)次いで、上記テストサンプルの一つはコバルト60を線源とするγ線を20KGy照射した。もう一つは40KGy照射した。テストサンプルの着色黄変は、照射後も徐々に進行する為、色が安定化するまで照射後サンプルを恒温恒湿の条件下(23℃、50%相対湿度)で3日間静置した。
(4)その後、照射後サンプルのYI値を上記と同じ方法で測定して、各々の照射後YI値を求めた。変色度の評価指標として、下記式で定義した黄変度(ΔYI値)を各々計算した。
ΔYI値=(照射後YI値)−(照射前YI値)
(1)テストサンプルは、上記の3.耐放射線変色(ΔYI値)の測定と同じ方法で作成したものを用いた。
(2)γ線を照射前のテストサンプルと、コバルト60を線源とするγ線を40KGy照射後のテストサンプルについて、日本医療器材協会が定めた医療用プラスチック試験規格の塩化ビニル樹脂コンパウンドI規格に準拠し、ΔpHと紫外吸収スペクトルを測定した。
(3)即ち、テストサンプルを3mm四方に裁断し、所定量精秤して硬質ガラス製容器に投入し、121℃で1時間加熱抽出した。前記抽出液を所定量精秤し、試験液を作成した。またテストサンプルを投入しなかったこと以外は上記と同様の操作を行い、ブランクを作成した。
(4)上記で得た試験液の水素イオン指数(pH)とブランクの水素イオン指数(pH)を測定し、その差(ΔpH)を計算した。
(5)また上記で得た試験液の波長220〜350nmにおける紫外線吸収スペクトルの吸光度の最大値と、ブランクの波長220〜350nmにおける紫外線吸収スペクトルの吸光度の最大値を測定し、その差(ΔUV)を計算した。
(6)上記のようにしてγ線を照射前のテストサンプルのΔpHとΔUV、及びγ線を40KGy照射後のテストサンプルのΔpHとΔUVを求めた
(7)ΔpHについては、照射前、照射後の何れも1.5以下を合格と判断した。
(8)ΔUVについては、照射前、照射後の何れも0.1以下を合格と判断した。
(1)上記で得た塩化ビニル樹脂組成物を用い、内径6mm、肉厚2mm(外径10mm)、長さ50mmの略円筒形のジョイント部材を、射出成型機を使用して作成した。
(2)次に、軟質塩化ビニル樹脂組成物製の外径6mm、肉厚1mm、長さ1mのチューブを2本用意し、上記で得たジョイント部材両端のジョイント部に、各1本、10mm差し込んで接続した。
(3)続いて、一方のチューブの非接続端を高さ240cmの天井に固定し、他方のチューブの非接続端を手で把持して、上記接続体を天井に沿って略緊張状態に伸ばした後、他方のチューブの非接続端を手から離して上記接続体を落下させた。
(4)上記試験を10回繰返し、下記の基準で評価した。
〇:チューブがジョイントから抜けることは、1回もない
×:10回中、1〜3回、チューブがジョイントから抜けた
××:10回中、4回以上、チューブがジョイントから抜けた
Claims (2)
- 成分(a)塩化ビニル樹脂100質量部;
成分(b)イソソルバイドジエステル系可塑剤1質量部以上20質量部未満;及び、
成分(c)シラン化合物0.1〜15質量部;
を含有し、ここで上記成分(b)が、炭素数6〜12の直鎖状又は分岐鎖状脂肪酸を用いて合成されたものであることを特徴とする医療用放射線滅菌対応塩化ビニル樹脂組成物。
- 医療用輸液セット若しくは血液回路のジョイント部材又は医療用容器であって、請求項1に記載の医療用放射線滅菌対応塩化ビニル樹脂組成物からなることを特徴とする医療用輸液セット若しくは血液回路のジョイント部材又は医療用容器。
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