JP2015044704A - ラムスデライト型チタン酸リチウムおよびこのラムスデライト型チタン酸リチウムを用いたリチウムイオン二次電池並びにリチウムイオンキャパシタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係るラムスデライト型チタン酸リチウムは、LiとTiのモル比(Li/Ti)が0.55〜0.75であるラムスデライト型チタン酸リチウムを主成分とするものであることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
そして、これらリチウムイオン二次電池やリチウムイオンキャパシタには、負極活物質としてチタン酸リチウムが用いられているものがある。このチタン酸リチウムにはスピネル型(Li4Ti5O12)とラムスデライト型があり、ラムスデライト型については、さらにLiTi2O4(以下、124型という)とLi2Ti3O7(以下、237型という)の2つの構造に大別される。
また、124型のラムスデライト型チタン酸リチウムのチタンは3価のTi3+と4価のTi4+によって構成されていることが知られており、そのモル比は略等モル(Ti3+/Ti4+≒1)となっている。
具体的には、チタン酸リチウムの原料となるLi源とTi源におけるLiとTiのモル比を理論量よりも多く、かつ一定の範囲とすることによって、不純物(未反応のLi原料やTi原料、またはスピネル型チタン酸リチウムなど)の発生を抑制することができ、従前のラムスデライト型チタン酸リチウムよりも純度の高いラムスデライト型チタン酸リチウムを得ることができるという知見を得たのである。そして、その結果得られたラムスデライト型チタン酸リチウムを負極活物質としてリチウムイオン二次電池やリチウムイオンキャパシタに使用した場合には、高容量で、かつ高レート特性を発現するリチウムイオン二次電池やリチウムイオンキャパシタを得ることができるという知見を得たのである。
段落[0002]において記載した通り、ラムスデライト型チタン酸リチウムは124型と237型の2つの構造を主に取り得るものであるが、本発明に係るラムスデライト型チタン酸リチウムは124型のラムスデライト型チタン酸リチウムに関するものである。
なお、チタン酸リチウムは通常、原料となるLi源とTi源を混合して焼成することによって製造(合成)されることから、124型や237型だけでなく各種の構造のチタン酸リチウムも合成されてしまうことになる。
従って、本発明における「主成分とする」とは、上記のように各種の構造のチタン酸リチウムが含まれてしまう場合であっても124型のラムスデライト型チタン酸リチウムを主成分とするとの意である。具体的には、124型のラムスデライト型チタン酸リチウムの含有率が80%以上のものをいう。
なお、124型の含有量を測定する方法としては、Spring8などの放射光施設によって測定する方法やX線回折強度が構成物の含有量に比例することを利用して測定する方法がある。ここで、X線回折強度が構成物の含有量に比例することを利用する方法は、具体的には、124型のラムスデライト型チタン酸リチウムの特徴的なピークである2θ(回折角)=35.8±0.3°のピーク強度をCとし、237型のラムスデライト型チタン酸リチウムの特徴的なピークである2θ(回折角)=36.6±0.3°のピーク強度をDとした際の強度比(C/D)から算出する方法である。例えば、既知な数字として、純粋な124型のラムスデライト型チタン酸リチウムのC/Dは0.76であり、純粋な237型のラムスデライト型チタン酸リチウムのC/Dは1.20であることから、被測定物のC/Dが0.85であった場合は、下記計算式のとおり、124型のラムスデライト型チタン酸リチウムの含有率を80%と算出することができる。
0.76×X+1.20×(1−X)=0.85 (X=124型の含有率/100)
なお、後記する実施例のC/Dは、全て0.85以下であることから、124のラムスデライト型チタン酸リチウムの含有率は80%以上である。
そして、本発明に係るラムスデライト型チタン酸リチウムは、原料となるLi源とTi源におけるLiとTiのモル比(Li/Ti)を0.55〜0.75とする必要がある。
ここで、124型のラムスデライト型チタン酸リチウムはLiTi2O4で表されることから、理論的にはLiとTiのモル比はLi/Ti=0.50となるはずである。
しかしながら、LiとTiのモル比を理論値(Li/Ti=0.50)ではなく、Li源を理論値よりも多くすることによって、始めて従前のラムスデライト型チタン酸リチウムよりも純度の高い124型のラムスデライト型チタン酸リチウムを得ることができるのである。また、その結果、得られたラムスデライト型チタン酸リチウムを負極活物質として用いたリチウムイオン二次電池やリチウムイオンキャパシタは、高容量で、かつ高レート特性を発現するものとなるのである。
本発明に係るラムスデライト型チタン酸リチウムの原料となるLi源とTi源については、特に限定されるものではなく炭酸リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウムなど各種のLi源を用いることができる。そして、その中でも高純度でありつつ、後記する二次粒子径の小さいラムスデライト型チタン酸リチウムを得ることができる点から炭酸リチウムを用いることが好ましい。
本発明に係るラムスデライト型チタン酸リチウムの原料となるTi源についてもLi源と同様に特に限定されるものではなく、メタチタン酸などの各種のチタン酸化合物、アナタース型またはルチル型の酸化チタン、塩化チタン、硫酸チタン、硫酸チタニルなど各種のTi源を用いることができる。そして、その中でも高純度でありつつ、後記する二次粒子径の小さいラムスデライト型チタン酸リチウムを得ることができる点からメタチタン酸や酸化チタンを用いることが好ましい。
本発明に係るラムスデライト型チタン酸リチウムは、LiとTiのモル比を特定の範囲とすることによって純度の高い124型のラムスデライト型チタン酸リチウムを得られることから、特徴的なX線回折パターンを示すものとなる。
具体的には、まず、2θ(回折角)=18.4±0.3°のピーク強度をAとし、2θ(回折角)=20.0±0.3°のピーク強度をBとした際の強度比(A/B)が0.1以下となる。ここで、2θ(回折角)=18.4±0.3°のピークはスピネル型チタン酸リチウムに特有のピークであり、2θ(回折角)=20.0±0.3°のピークはラムスデライト型チタン酸リチウムに特有のピークである。
また、本発明に係るラムスデライト型チタン酸リチウムは、LiとTiのモル比を特定の範囲とすることによって純度の高い124型のラムスデライト型チタン酸リチウムを得られることから、特徴的な色相を示すものとなる。
具体的には、本発明に係るラムスデライト型チタン酸リチウムは純度が高くなるにしたがって黒色を呈するものとなり、その中でも明度(L値)が27以下を示すことが好ましいこととなる。
なお、本発明のラムスデライト型チタン酸リチウムの製造方法としては、特許文献1や特許文献2などに記載されている公知の方法を用いることができるが、高純度、且つ、高結晶性であり、二次粒子径の小さいラムスデライト型チタン酸リチウムを得ることができる点から、不活性ガス雰囲気下において950℃以上の高温で1回焼成することによって製造することが好ましい。そして、その中でも、水素ガスとアルゴンガスの混合ガス雰囲気下において、950〜1200℃の範囲で、1回焼成によって製造することがより好ましい。
本発明のラムスデライト型チタン酸リチウムの二次粒子径としては、特に限定されるものではないが、上記した好適な製造方法(水素ガスとアルゴンガスの混合ガス雰囲気下において、950〜1200℃の範囲での1回焼成による製造方法)によれば、高純度、高結晶性でありながら二次粒子径の小さいラムスデライト型チタン酸リチウムを容易に得ることができる。具体的には、二次粒子のメジアン径(d50)が100μm以下のラムスデライト型チタン酸リチウムを容易に得ることができる。
また、本発明に係るラムスデライト型チタン酸リチウムは、リチウムイオン二次電池やリチウムイオンキャパシタの負極活物質として用いることができる。そして、その結果、従前のラムスデライト型チタン酸リチウムを用いた場合よりも、高容量、かつ高レート特性を発現するリチウムイオン二次電池並びにリチウムイオンキャパシタを作製することができる。なお、負極活物質として用いる際の本発明のラムスデライト型チタン酸リチウムの配合量としては特に限定されるものではなく必要に応じて適宜決定されることになる。
具体的には、124型のラムスデライト型チタン酸リチウムのチタンは3価のTi3+と4価のTi4+によって組成(LiTi2O4)が構成されていることが知られており、従前のラムスデライト型チタン酸リチウムにおいては、そのモル比は略等モル(Ti3+/Ti4+≒1)となっているものであるのに対して、本発明に係るラムスデライト型チタン酸リチウムは、Li源を理論値よりも多くすることに特徴があることから電荷補償の点からTi3+の比率が多くなることとなり、その結果従前のラムスデライト型チタン酸リチウムよりも電子伝導率が高い124型のラムスデライト型チタン酸リチウムを得ることができるのである。
(実施例1)
メタチタン酸(テイカ株式会社製)183.8gと炭酸リチウム(FMC社製)38.2gを混合し、該混合物を10%水素/90%アルゴン混合ガス中で、950℃で焼成した。なお、この際のLiとTiのモル比(Li/Ti)は0.55である。次に、得られた焼成物を粉砕することにより、実施例1のラムスデライト型チタン酸リチウムを得た。なお、得られたラムスデライト型チタン酸リチウムの組成式はLi1.1Ti2O4である。
メタチタン酸を183.8gと炭酸リチウムを45.1gとした以外は実施例1と同様にして実施例2のラムスデライト型チタン酸リチウムを得た。なお、LiとTiのモル比(Li/Ti)は0.65であり、得られたラムスデライト型チタン酸リチウムの組成式はLi1.3Ti2O4である。
メタチタン酸を183.8gと炭酸リチウムを52.0gとした以外は実施例1と同様にして実施例3のラムスデライト型チタン酸リチウムを得た。なお、LiとTiのモル比(Li/Ti)は0.75であり、得られたラムスデライト型チタン酸リチウムの組成式はLi1.5Ti2O4である。
焼成温度を1200℃とした以外は実施例1と同様にして実施例4のラムスデライト型チタン酸リチウムを得た。
メタチタン酸をアナタース型酸化チタン(テイカ株式会社、AMT−100)150gと炭酸リチウムを45.1gとした以外は実施例1と同様にして実施例5のラムスデライト型チタン酸リチウムを得た。
メタチタン酸をルチル型酸化チタン(テイカ株式会社、MT−150A)150gと炭酸リチウムを45.1gとした以外は実施例1と同様にして実施例6のラムスデライト型チタン酸リチウムを得た。
メタチタン酸を183.8gと炭酸リチウムを34.7gとした以外は実施例1と同様にして比較例1のラムスデライト型チタン酸リチウムを得た。なお、LiとTiのモル比(Li/Ti)は0.50であり、得られたラムスデライト型チタン酸リチウムの組成式はLi1.0Ti2O4である。
メタチタン酸を183.8gと炭酸リチウムを55.5gとした以外は実施例1と同様にして比較例2のラムスデライト型チタン酸リチウムを得た。なお、LiとTiのモル比(Li/Ti)は0.80であり、得られたラムスデライト型チタン酸リチウムの組成式はLi1.6Ti2O4である。
メタチタン酸183.8gと炭酸リチウム45.1gを混合し、該混合物を大気中で焼成した以外は実施例1と同様にして比較例3のラムスデライト型チタン酸リチウムを得た。なお、LiとTiのモル比(Li/Ti)は0.65であり、得られたラムスデライト型チタン酸リチウムの組成式はLi1.3Ti2O4である。
メタチタン酸183.8gと炭酸リチウム45.1gを混合し、該混合物を925℃で焼成した以外は実施例1と同様にして比較例4のラムスデライト型チタン酸リチウムを得た。なお、LiとTiのモル比(Li/Ti)は0.65であり、得られたラムスデライト型チタン酸リチウムの組成式はLi1.3Ti2O4である。
[リチウムイオン二次電池]の構成
負極活物質として実施例および比較例のラムスデライト型チタン酸リチウム、導電助剤としてアセチレンブラック(電気化学工業株式会社製、デンカブラック粉状)、バインダーとしてPVdF(株式会社クレハ、KFポリマー)を用い、これらを90:5:5の割合で混合し、さらに分散媒としてNMPを用い、固形分30%の電極合剤スラリーを調整した。この電極合剤スラリーを集電体であるアルミ箔上に塗工し、ロールプレスすることにより、膜厚25μmの電極を作製した。そして、作製した電極、対極としてのリチウム金属、電解液としてのLiPF6/EC/DEC、ポリエチレンセパレータを用いて、2032型のコインセルを作製した。
表1および図1〜7から実施例のラムスデライト型チタン酸リチウムは、ピーク強度比(A/B)が全て0.1以下であった。一方、比較例1、2のラムスデライト型チタン酸リチウムはピーク強度比(A/B)が0.17と0.33となってしまい、スピネル型のチタン酸リチウムも多く混在したラムスデライト型チタン酸リチウムとなってしまった。
特に、比較例1のラムスデライト型チタン酸リチウムは、LiとTiのモル比が理論値(Li/Ti=0.50)であることから本来は純度の高いラムスデライト型チタン酸リチウムが作製できていなればならないものであるが、スピネル型のチタン酸リチウムに特有のピークも識別できるものとなった。
従って、Li源を理論値よりも多くする本発明のラムスデライト型チタン酸リチウムは純度の高いものであることがわかった。
従って、本発明のラムスデライト型チタン酸リチウムは124型のラムスデライト型チタン酸リチウムの純度が高いものであることがわかった。
従って、この点からも本発明のラムスデライト型チタン酸リチウムは純度の高いものであることがわかった。
表1から、段落[0026]において記載した、本発明において好適な製造方法(水素ガスとアルゴンガスの混合ガス雰囲気下において、950〜1200℃の範囲での1回焼成による製造方法)で作製した実施例のラムスデライト型チタン酸リチウムは全て二次粒子のメジアン径(d50)が100μm以下となり、1回焼成であるにもかかわらず、容易に純度が高く二次粒子径の小さいラムスデライト型チタン酸リチウムを得ることができることがわかった。
その結果、リチウムイオン二次電池やリチウムイオンキャパシタに用いた場合には、高容量、高レート特性を発現でき、電極の薄膜化も行うことができることがわかった。
表1から、実施例のラムスデライト型チタン酸リチウムは、明度(L値)が全て27以下となった。一方、比較例のラムスデライト型チタン酸リチウムについては、LiとTiのモル比が理論値(Li/Ti=0.50)である比較例1のラムスデライト型チタン酸リチウムは明度(L値)が27以下(L値:17)となったものの、比較例2のラムスデライト型チタン酸リチウムは、X線回折の結果からもわかる通り不純物が多く含まれていることから、明度(L値)が31となった。
従って、明度(L値)の点からも、本発明のラムスデライト型チタン酸リチウムは純度が高いものであることがわかった。なお、図8にLiとTiのモル比と明度(L値)との関係をグラフ化したものを示すが、本発明においては明度(L値)が27以下の中でも18〜27の範囲が好ましいことがわかった。
表1および図9〜12から、実施例のラムスデライト型チタン酸リチウムを用いたリチウムイオン二次電池は、初期放電容量が全て180mAh/gを超えるという高容量のものとなり、かつ10Cにおける容量維持率も全て95%以上という高レート特性を発現するものとなった。
一方、比較例のラムスデライト型チタン酸リチウムは初期放電容量が155mAh/gと174mAh/gと154mAh/gと160mAh/gであり、10Cにおける容量維持率に至っては62%と80%と50%と55%という結果となり、著しく特性の低いリチウムイオン二次電池となってしまった。
従って、純度の高い本発明のラムスデライト型チタン酸リチウムを用いたリチウムイオン二次電池やリチウムイオンキャパシタは、高容量で、かつ、高レート特性を発現するものであることがわかった。
Claims (7)
- LiとTiのモル比(Li/Ti)が0.55〜0.75であるラムスデライト型チタン酸リチウムを主成分とするものであることを特徴とするラムスデライト型チタン酸リチウム。
- X線回折パターンにおける、2θ(回折角)=18.4±0.3°のピーク強度(A)と2θ(回折角)=20.0±0.3°のピーク強度(B)の強度比(A/B)が、
0.1以下であることを特徴とするラムスデライト型チタン酸リチウム。
- X線回折パターンにおける、2θ(回折角)=35.8±0.3°のピーク強度(C)と2θ(回折角)=36.6±0.3°のピーク強度(D)の強度比(C/D)が、
1.0未満であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のラムスデライト型チタン酸リチウム。
- さらに、2θ(回折角)=27.1±0.3°のピーク強度(E)と前記ピーク強度(B)
の強度比(E/B)が、0.05以下であることを特徴とする請求項1から請求項3の
いずれか一項に記載のラムスデライト型チタン酸リチウム。
- 明度(L値)が、27以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のラムスデライト型チタン酸リチウム。
- 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のラムスデライト型チタン酸リチウムを用いたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
- 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のラムスデライト型チタン酸リチウムを用いたことを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
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