JP5708939B2 - チタン酸リチウム粒子粉末及びその製造方法、非水電解質二次電池用負極活物質粒子粉末並びに非水電解質二次電池 - Google Patents

チタン酸リチウム粒子粉末及びその製造方法、非水電解質二次電池用負極活物質粒子粉末並びに非水電解質二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、非水電解質二次電池用負極活物質として、優れた初期放電容量を示し、かつ出力特性(高率放電容量維持率)が高いチタン酸リチウム粒子粉末とその製造方法、並びに該負極活物質を使用した非水電解質二次電池を提供する。
近年、AV機器やパソコン等の電子機器のポータブル化、コードレス化が急速に進んでおり、これらの駆動用電源として小型、軽量で高エネルギー密度を有する二次電池への要求が高くなっている。このような状況下において、充放電電圧が高く、充放電容量も大きいという長所を有するリチウムイオン二次電池が注目されている。
このリチウムイオン二次電池において、近年、負極活物質にチタン酸リチウムを使用することが知られている。
チタン酸リチウム:LiTi12は、充放電によるリチウムイオン挿入・脱離反応における結晶構造変化が非常に小さいため、構造安定性が高く、信頼性の高い負極活物質として知られている。
従来から、チタン酸リチウム(LiTi12)を得るための製造法としては、リチウム塩とチタン酸化物をLi/Ti比がほぼ0.80となるように乾式または湿式混合した混合粉末(これらは、単なるリチウム塩とチタン酸化物の混合物である)を加熱焼成してLiTi12を得る、いわゆる固相反応法(乾式法)が知られている(特許文献1、2)。
一方、チタンとリチウムの混合物を水熱処理して、その後加熱焼成してLiTi12を得る、液相反応+固相反応法(湿式法)が知られている(特許文献3、4)。
また、特許文献5では、チタン酸リチウムのXRDにおいて、TiO及びLiTiOのピーク強度比がともに、LiTi12とのピーク強度比に対して7以下、好ましくは3以下、更に好ましくは1以下としており、これらの不純物相が少ないほどリチウムイオンの拡散速度が向上し、イオン伝導性および大電流特性(高率放電容量維持率)が向上することが開示されている。
特開2001−192208号公報 特開2001−213622号公報 特開平9−309727号公報 特開2010−228980号公報 特開2006−318797号公報
これまでの報告では、最終組成物であるLiTi12の純度をより高めることを目標としており、この純度を高めるほど、電池特性が向上することが知られている。
しかしながら、特許文献5のように、可及的に不純物相を低減して純度の高いLiTi12からなるチタン酸リチウム粒子粉末としても、初期放電容量が高く、出力特性(高率での放電容量の維持率)にも優れ、しかも、ガス発生が抑制できる負極活物質は未だ得られていない。
本発明者らは、目的物であるLiTi12に含まれるTiOとLiTiOの存在量に着目し、鋭意、検討を行った結果、従来の知見、即ち、LiTi12の純度をより高めるよりも、LiTiOを特定の範囲で存在させ、且つBET法による比表面積を特定の範囲に調整することによって、初期放電容量、出力特性(高率放電容量維持率)及びガス発生抑制がともに優れた電池特性が得られることを見出して本発明に至った。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
すなわち、本発明は、スピネル構造を有するチタン酸リチウム粒子粉末において、XRDにてFd−3mで指数付けしたとき、リートベルト解析によるTiO2量が1.5%以下で、LiTiO量が1%以上6%以下の範囲で、LiTi12量が94%以上99%以下で、且つ、BET法による比表面積が7〜15m/gの範囲であることを特徴とするチタン酸リチウム粒子粉末である。(本発明1)
また、本発明は、Li/Ti比(モル比)が0.805〜0.83である本発明1記載のチタン酸リチウム粒子粉末である。(本発明2)
また、本発明は、少なくともLiTiOとTiOとの混合物を650℃以上800℃未満で焼成すること特徴とする本発明1又は2に記載のチタン酸リチウム粒子粉末の製造方法である(本発明3)。
また、本発明は、本発明1又は2に記載のチタン酸リチウム粒子粉末からなる負極活物質粒子粉末である(本発明4)。
また、本発明は、該負極活物質を使用し、対極をリチウム金属としたセルで、リチウムが放出される方向を充電としたときに、初期放電容量が165mAh/g以上で、且つ初期放電容量測定におけるC−レートが0.1Cのとき、10Cと0.1Cの割合にあたる出力特性(高率放電容量維持率)が80%以上である本発明4記載の非水電解質二次電池用負極活物質粒子粉末である(本発明5)
また、本発明は、本発明4又は5に記載の負極活物質粒子粉末を使用した非水電解質二次電池である(本発明6)
本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末は、負極活物質粒子粉末として非水電解質二次電池に用いた場合に、優れた初期放電容量及び高出力特性を示し、且つ、ガス発生が抑制されたバランスの良い電池特性が得られるので非水電解質二次電池用の活物質粒子粉末として好適である。
実施例1で得られたチタン酸リチウム粒子粉末のXRDパターンである。 実施例6で得られたチタン酸リチウム粒子粉末のXRDパターンである。 比較例2で得られたチタン酸リチウム粒子粉末のXRDパターンである。 実施例2で得られたチタン酸リチウム粒子粉末の走査型電子顕微鏡写真である。
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末は、少なくともスピネル構造であり、一般化学式でLiTi12と記載できる化合物であり、且つ、少なくともLiTiOを含有している。
本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末におけるLiTiOの存在状態は、本発明で特定する範囲の量であれば、粒子表面に被覆された状態やアイランド状に存在していてもよく、また、粒内ではどのような形状で存在していてもよい。
本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末は、XRDで10〜90度(2θ/θ)間の回折がFd−3mで指数付けできる。XRDパターンからリートベルト解析を行うことで、残留したTiO量とLiTiO量を定量することができる。本発明において、TiOの存在量は1.5%以下であり、LiTiOの存在量は1.0〜6.0%の範囲である。TiOの存在量が1.5%を超えると、出力特性(高率放電容量維持率)が悪くなる。LiTiOの存在量が1.0%未満の場合、このチタン酸リチウム粒子粉末を負極活物質粒子粉末として用いて作製した二次電池の初期放電容量、出力特性(高率放電容量維持率)は良好であるが、後述の比較例に示すとおり、ガス発生が多くなる。LiTiOの存在量が6.0%を超えると、このチタン酸リチウム粒子粉末を負極活物質粒子粉末として用いて作製した二次電池の初期放電容量が低くなり、165mAh/g以上の高容量を満たすことができなくなる。好ましくはTiOの存在量は1.0%以下であり、LiTiOの存在量は1.5〜5.0%であって、より好ましくはTiOの存在量は0.5%以下であり、LiTiOの存在量は2.0〜4.0%である。
本発明では、チタン酸リチウム粒子粉末のリートベルト解析により、LiTiOが存在することが重要である。このLiTiOが特定範囲内で粒子内もしくは粒子表層に存在することで、主に3つの効果をもたらされていると考えられる。
1点目は、LiTiOがチタン酸リチウム粒子内若しくは表層に存在することで、高速充放電における格子の歪みが小さくなると考えられる。そのため、本発明で述べている出力特性(高率放電容量維持率)が良好となったと考えられる。
2点目は、本発明によるチタン酸リチウム粒子内若しくは表層にLiTiOが存在することで、一種の欠陥(点欠陥、面欠陥等)が発生すると考えられ、その為に、LiTi12全体の価数バランスがずれるポイントが発生し、純粋なチタン酸リチウム粒子粉末に対し本発明によるチタン酸リチウム粒子粉末は導電性が高まると考えられ、このため、出力特性(高率放電容量維持率)が向上すると考えられる。
3点目は、LiTiOがチタン酸リチウム粒子内若しくは表層に存在することで、チタン酸リチウムが満充電によりLiTi12となったときに、粒子全体ではなくLiTiOの存在ポイントが残り、その結果ガス発生が小さくなることが考えられる。
本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末の一次粒径は、0.1〜0.4μmが好ましい。本発明にて一次粒径は出力特性に大きく影響を及ぼすことが分かった。本発明の範囲より小さいときは結晶構造が安定しておらず、初期充電特性が悪化する。大きいときは必要とされる出力特性(高率放電容量維持特性)が得られない。より好ましい範囲は0.1〜0.3μmである。
本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末のBET法による比表面積は7〜15m/gの範囲である。比表面積がこの範囲より小さいと、出力特性(高率放電容量維持率)が悪化してしまい、この範囲より大きいとガス発生により電池の膨れが顕著になる。好ましい比表面積は8〜13m/gである。
次に、本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末の製造方法について述べる。
即ち、本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末は、少なくともLiTiOとTiOとの混合物を用いて、650℃以上800℃未満で焼成することで得られる。
本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末の製造に用いるLiTiOは、JCPDSにおける指数付けでLiTiOの特定ができれば、その結晶構造に構造欠陥があったり、酸素欠損/酸素過剰があってもかまわない。
本発明に用いるLiTiOは、リチウム化合物と、酸化チタンなどのチタン化合物とを湿式反応又は固相法により反応させて得ることができる。
本発明において用いることができるLi化合物は、特に限定されることなく各種のリチウム塩を用いることができるが、湿式法では、水酸化リチウム、乾式法では炭酸リチウムが特に好ましい。
本発明において用いることができるTiOは、アナターゼ型とルチル型と、その混相があるが、アナターゼ型が好ましい。
また、混合反応を行う場合は、反応性を向上させるために微粒子を用いると有利である。
また、LiTiOとTiOとの状態は、均一に混ざり合っている状態であれば、乾式での混合であったり、湿式でコートされている状態であったり、混合相のような状態になっていてもよい。
この混合物は、湿式法では、温度、時間を制御することで調整できる。また、予め、LiTiOを生成させて、TiOと混合することでも調整できるが、焼成温度を高くする必要があるため、Li/Ti比、BETの制御に配慮する必要がある。
なお、LiTiOとTiOとの混合物は、その製造条件において特に制限されるものではなく、酸化チタンと水酸化リチウムをLi/Ti比のモル比で1.0を超え1.5未満に調整した反応懸濁液を80℃以上100℃未満の温度範囲で加熱し、5時間以上15時間未満攪拌・熟成した後、反応懸濁液をろ過し乾燥することでも得ることができる。
本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末の製造に用いるLiTiOとTiOは、焼成後のLi/Ti比で0.805〜0.83となるように調整することが好ましい。前記範囲に調整するためには、LiTiOとTiOとの混合比を調整したり、リチウム化合物を追加したりすることによって行うことができる。Li/Tiを0.80より大きくする理由は、焼成後にLiTiOを残留させることにある。上記範囲より大きすぎると、初期放電容量が低下し、LiTiO残留物が更に多い場合には、得られたチタン酸リチウム粒子粉末の残留アルカリが多くなり、塗料のゲル化が起こる。
調製したLiTiOとTiOとの混合物を650℃以上800℃未満で焼成する。焼成温度が650℃未満であるとTiOが多量に残留してしまう。焼成温度が高すぎると、粒成長のためBETが小さくなりすぎてしまい、結果として出力特性(高率放電容量維持率)が損なわれてしまう。焼成温度は好ましくは680〜780℃である。
焼成における雰囲気は、酸化性雰囲気であっても還元雰囲気であってもよい。得られたチタン酸リチウム粒子粉末は、公知な技術の範囲において本発明において酸素欠損若しくは酸素過剰があってもよい。
焼成して得られたチタン酸リチウム粒子粉末は、粉砕することで粒度分布を整えることもできる。その粒度分布の形状は、シャープでもブロードでも、バイモーダルでもよい。
本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末は、非水電解質二次電池用負極活物質粒子粉末として用いることができる。
次に、本発明に係る負極活物質粒子粉末を含有する負極、並びに非水電解質二次電池について述べる。
本発明に係る負極活物質粒子粉末を含有する負極を製造する場合には、常法に従って、導電剤と結着剤とを添加混合する。導電剤としてはアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等が好ましく、結着剤としてはポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等が好ましい。
本発明に係る負極用活物質粒子粉末を含有する負極を用いて製造される二次電池は、正極、負極及び電解質から構成される。
正極活物質としては、一般的な非水二次電池用の正極材であるコバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム等を用いることができる。
また、電解液の溶媒としては、炭酸エチレンと炭酸ジエチルの組み合わせ以外に、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル等のカーボネート類や、ジメトキシエタン等のエーテル類の少なくとも1種類を含む有機溶媒を用いることができる。
さらに、電解質としては、六フッ化リン酸リチウム以外に、過塩素酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム等のリチウム塩の少なくとも1種類を上記溶媒に溶解して用いることができる。
本発明に係る負極用活物質粒子粉末を含有する電極を用いて製造した非水電解質二次電池は、後述する評価法で1.0V以上の容量が165mAh/g以上であり、10C/0.1Cの比をとった出力特性(高率放電容量維持率)は80%以上である。
負極用活物質粒子であるチタン酸リチウムに特定量が残留したLiTiOは、二次電池による負荷試験で、格子の膨張収縮に対する緩衝効果があると考えられる。また、粒子中のLiTiOの存在は、結晶構造の歪み(点欠陥、面欠陥など)を引き起こすと考えられる故に、粉体の電子伝導性やイオン伝導性が向上すると考えられる。その結果、本発明に係る負極活物質粒子粉末は高い出力特性(高率放電容量維持率)を有することができると考えられる。
なお、本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末は、正極活物質として用いることも可能である。
本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末を正極活物質として用いる場合、非水電解質二次電池は、前記の電極、対極および電解質からなり、対極(負極)には金属リチウム、リチウム合金等、あるいはグラファイト、コークスなどの炭素系材料が用いられる。
<作用>
本発明において最も重要な点は、本発明に係る特定量のLiTiOが存在するチタン酸リチウム粒子粉末を用いることで、二次電池として優れた初期放電容量と高い出力特性(高率放電容量維持率)を示し、かつガス発生が抑制された非水電解質二次電池を得ることができるという点である。
従来は、前述した特許文献5のように、X線回折によるピーク強度比を基準として、不純物相を低減して純度の高いLiTi12からなるチタン酸リチウム粒子粉末を得ることが行われてきた。しかしながら、単に、高純度にすることだけでは、初期放電容量が高く、出力特性(高率での放電容量の維持率)にも優れ、しかも、ガス発生が抑制できるという特性を十分に満たせるものではなかった。
本発明者らは、X線回折のピーク強度比による定量よりも、より正確に定量できるリートベルト解析によって不純物相を定量するとともに、ごく微量のLiTiOが存在させ、しかも、BET比表面積を制御することによって、高い電池特性を示す負極活物質を得ることが可能となった。
本発明の代表的な実施の形態は、次の通りである。
平均一次粒子径は、エネルギー分散型X線分析装置付き走査電子顕微鏡SEM−EDX[(株)日立ハイテクノロジーズ製]を用いて観察し、そのSEM像から平均値を読み取った。
BET比表面積は試料を窒素ガス下で120℃、45分間乾燥脱気した後、マックソーブHM Model−1208 マウンテック(株)製を用いて測定した。
組成や不純物量は調整液を作製し、ICP測定には、iCAP6500 サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製を用いて各元素を定量して決定した。
試料のX線回折は、株式会社リガク製 RAD−IIAを用いて測定した。また、TiO量とLiTiO量の定量には、X線回折のデータを用いてリートベルト解析を行うことで算出した。リートベルト解析には、RIETAN2000を使用した。
本発明に係る負極活物質粒子粉末については、2032型コインセルを用いて電池評価を行った。
電池評価に係るコインセルについては、本発明による負極用活物質粒子粉末であるチタン酸リチウムを正極として用い、活物質量を90重量%、導電材としてアセチレンブラックを2.5重量%、グラファイトを2.5重量%、バインダーとしてN−メチルピロリドンに溶解したポリフッ化ビニリデン5重量%とを混合した後、Al金属箔に塗布し120℃にて乾燥した。このシートを16mmΦに打ち抜いた後、3.0t/cmで圧着した物を正極に用いた。対極は16mmΦに打ち抜いた厚さが500μmの金属リチウムとし、電解液は1mol/LのLiPFを溶解したECとDMCを体積比で1:2で混合した溶液を用いて2032型コインセルを作製した。
充放電特性は、恒温槽で25℃とした環境下で、充電をLiが放出される方向(電池として電圧が上がる方向)としたときに、放電は1.0Vまで0.1Cの電流密度にて行った(CC−CC操作)後、充電を3.0Vまで0.1Cの電流密度にて行った(CC−CC操作)。本操作の1回目の放電容量を測定した。
出力特性(高率放電容量維持率)は、恒温槽で25℃とした環境下で放電は1.0Vまで0.1Cの電流密度にて行った(CC−CC操作)後、充電を3.0Vまで0.1Cの電流密度にて行った(CC−CC操作)。このときの放電容量をaとする。次に、放電は1.0Vまで10Cの電流密度にて行った(CC−CC操作)後、充電を3.0Vまで0.1Cの電流密度にて行った(CC−CC操作)。このときの放電容量をbとするとき、出力特性を(b/a×100(%))とした。
ガス発生量の評価は、以下のとおりの方法でラミネートセルを作製して評価した。
本発明による負極用活物質粒子粉末であるチタン酸リチウムを90重量%、導電材としてアセチレンブラックを2.5重量%、グラファイトを2.5重量%、バインダーとしてN−メチルピロリドンに溶解したポリフッ化ビニリデン5重量%とを混合した後、Al金属箔に塗布し120℃にて乾燥した。このシートを40mm×100mm角に切り取った後、3.0t/cmで圧密し、負極に用いた。
対極にはLiMnを92重量%、導電材としてアセチレンブラックを2.5重量%、グラファイトを2.5重量%、バインダーとしてN−メチルピロリドンに溶解したポリフッ化ビニリデン3重量%とを混合した後、Al金属箔に塗布し120℃にて乾燥し、このシートを40mm×100mm角に切り取った後、3.0t/cmで圧密したものを用いた。
これらの電極を2セット対向するように組み合わせてラミネートセルを作成した。
上記ラミネートセルにおいて、まず室温で初期の充放電を行った後、2.7Vまで充電を行い、この電圧でのラミネートセルの容積を測定した。次に、測定後のセルを85℃環境下で24時間保存した後、再度、ラミネートセルの容積を測定し、高温保存前後の容積変化からガス発生量を評価した。
実施例1
<チタン酸リチウム粒子粉末の製造>
比表面積10m/g、一次粒子径180nmの酸化チタンと水酸化リチウムをLi/Ti比のモル比で1.4に調整した反応懸濁液を85℃に加温し、12時間攪拌する。その後、反応懸濁液をろ過し120℃で乾燥した。得られた乾燥粉末のX線回折を行ったところ少なくともLiTiOとTiOとの混合物であった。
該乾燥粉末をアルミナるつぼに入れ、マッフル炉で、温度750℃で4時間、空気雰囲気中で焼成を行い、チタン酸リチウム粒子粉末を得た。
実施例2〜5、比較例1〜5
酸化チタンの種類、Li/Tiモル比、反応温度、反応時間、焼成温度を変えた以外は、実施例1と同様に処理して、チタン酸リチウム粒子粉末を得た。
実施例6
比表面積10m/g、一次粒子径180nmの酸化チタンと水酸化リチウムをLi/Ti比のモル比で2.5に調整した反応懸濁液をオートクレーブに仕込み、175℃に加温し、8時間攪拌する。その後、反応懸濁液をろ過し120℃で乾燥した。
得られた乾燥粉末のX線回折を行ったところ、LiTiO単相であった。
このLiTiO粉末と比表面積344m/g、一次粒子径5nmの酸化チタンをLi/Ti比のモル比で0.84に調整・混合し、該混合粉末をアルミナるつぼに入れ、マッフル炉で、温度780℃で4時間、空気雰囲気中で焼成を行い、チタン酸リチウム粒子粉末を得た。
比較例6
比表面積10m/g、一次粒子径180nmの酸化チタンと炭酸リチウムをLi/Ti比のモル比で0.90に調整・混合し、該混合粉末をアルミナるつぼに入れ、マッフル炉で、温度850℃で4時間、空気雰囲気中で焼成を行い、チタン酸リチウム粒子粉末を得た。
比較例7
比表面積299m/g、一次粒子径5nmの酸化チタンと水酸化リチウムをLi/Ti比のモル比で0.9に調整した懸濁液を常温で、2時間攪拌する。その後、混合懸濁液を120℃で蒸発乾固した。該乾燥粉末をアルミナるつぼに入れ、マッフル炉で、温度650℃で4時間、次いで、800℃で4時間、空気雰囲気中で焼成を行い、チタン酸リチウム粒子粉末を得た。
実施例及び比較例で得られたチタン酸リチウムの特性と条件を表1、表2に示す。
実施例に示すとおり、本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末は、初期放電容量が165mAh/g以上、出力特性(高率での放電容量維持率)が80%以上と、ともに高く、しかもガス発生が4.0cc/g未満と抑制されているので、非水電解質二次電池用の活物質として好適である。
なお、前記実施例においては、本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末を正極活物質として用いた例を示しているが、本発明に係るチタン酸リチウム粒子粉末を負極活物質として用いた場合にも、非水電解質二次電池の活物質として、優れた特性を発揮できるものである。

Claims (5)

  1. スピネル構造を有するチタン酸リチウム粒子粉末において、XRDにてFd−3mで指数付けしたとき、リートベルト解析によるTiO 量が1.5%以下で、LiTiO量が1%以上6%以下の範囲で、LiTi12量が94%以上99%以下で、且つ、BET法による比表面積が7〜15m/gの範囲であり、Li/Ti比(モル比)が0.805〜0.83であることを特徴とするチタン酸リチウム粒子粉末。
  2. 少なくともLiTiOとTiOとの混合物を650℃以上800℃未満で焼成すること特徴とする請求項1記載のチタン酸リチウム粒子粉末の製造方法。
  3. 請求項1記載のチタン酸リチウム粒子粉末からなる負極活物質粒子粉末。
  4. 請求項記載の負極活物質粒子粉末を使用し、対極をリチウム金属としたセルにおいて、リチウムが放出される方向を充電としたときに、初期放電容量が165mAh/g以上で、且つ初期放電容量測定におけるC−レートが0.1Cのとき、10Cと0.1Cの割合にあたる出力特性が80%以上である請求項記載の非水電解質二次電池用負極活物質粒子粉末。
  5. 請求項3又は4に記載の負極活物質粒子粉末を使用した非水電解質二次電池。
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