JP2015044244A - 切断工具 - Google Patents
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Abstract
Description
この明細書では、切断加工には、被加工材を分離する加工形態の他、被加工材を分離しないが切り込みを入れる溝入れ加工、被加工材を研削する加工等をも含むものとする。
下記の特許文献には、前者の斜め切り及び後者の傾斜切りを可能とする卓上切断機に関する技術が開示されている。開示された技術によれば、駆動源としての電動モータの回転出力を複数段階のギヤの噛み合いを経て減速してスピンドルに出力する構成とすることにより、電動モータをスピンドルからより離間させた高い位置に配置し、さらに電動モータをスピンドル軸線に対して傾斜させた斜め下向きに配置することにより、切断材との干渉を避けて切断機本体の右側(電動モータ側)への傾斜角度をより大きく設定できるようにしている。切断機本体をより大きな角度で右側へ傾斜させることができるので、切断加工のバリエーションを拡大することができる。
本発明は、傾斜切りのために切断機本体の傾斜角度をより大きく設定できるようにすることを目的とする。
第1の発明は、電動モータを駆動源として回転する切断刃を備えた切断工具であって、切断刃は、アウタフランジとインナフランジとの間に挟み込まれてスピンドルに支持されており、電動モータから切断刃に至る動力伝達経路の途中に、動力伝達用のベルトと、インナフランジに回転動力を伝達する従動側のプーリ部を有するベルト伝達機構を介在させて当該電動モータの回転動力をインナフランジを経て切断刃に伝達する構成とした切断工具である。
第1の発明によれば、電動モータの回転動力がベルト伝達機構を介してスピンドルに伝達される構成であることから、スピンドル上にギヤを配置する必要がなくなり、ひいてはスピンドル回りにギヤを配置するためのスペースが不要になって、スピンドル回りのコンパクト化を図ることができる。
また、第1の発明によれば、電動モータの回転動力がベルト伝達機構を介してインナフランジに伝達される構成であることから、ギヤの噛み合いを経てスピンドルに伝達する構成に比して電動モータとスピンドルとの間の軸間距離を大きく設定することができる。電動モータとスピンドルとの間の軸間距離を大きく設定することにより、スピンドルに対して電動モータをより離間させて配置することができ、これによりスピンドル回りのコンパクト化を図ることができる。スピンドル回りがコンパクト化されることにより、切断機本体の電動モータ側へ傾斜角度をより大きく設定することができる。
第2の発明は、第1の発明において、インナフランジに、ベルト伝達機構の従動側のプーリ部を一体に設けた切断工具である。
第2の発明によれば、スピンドル上に従動側プーリを支持する構成に比して、当該スピンドル回りの軸線方向のコンパクト化を図ることができ、切断機本体の電動モータ側への傾斜角度をより大きく設定しやくするなる。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、スピンドルは軸受けを介して駆動系ハウジングに回転可能に支持されており、この軸受けを、インナフランジに対して軸線方向にオーバーラップさせて駆動系ハウジングに配置した切断工具である。
第3の発明によれば、スピンドル上において、軸受けとインナフランジを軸線方向にオーバーラップさせないで並列配置させた構成に比して、スピンドル回りの軸線方向の構成のコンパクト化を図ることができ、これにより切断機本体の電動モータ側への傾斜角度をより大きく設定しやすくなる。
第4の発明は、第3の発明において、スピンドルの回転をロックするスピンドルロック機構を備えており、該スピンドルロック機構は、前記スピンドルと一体で回転する薄肉円板形状の被係合部材にロック部材を係合させて前記スピンドルの回転をロックする構成とした切断工具である。
第4の発明によれば、ロック部材を被係合部材に係合させることにより、スピンドルが回転不能にロックされる。スピンドルを回転不能にロックすることにより、アウタフランジを回転させて緩めることにより切断刃の交換作業等を迅速に行うことができる。被係合部材として、従来スピンドル上に取り付けたギヤよりも薄肉の円板形状部材を用いることにより、スピンドル回りの収容スペースのコンパクト化を図ることができる。
この切断工具1は、例えばスライドマルノコとも称される卓上形の切断工具で、切断材Wを載置するテーブル2と、テーブル2を支持するベース3と、テーブル2の上方において上下に移動操作可能に支持された切断機本体10を備えている。テーブル2はベース3の上面に左右に回転可能に支持されている。ベース2の左右両側部には、補助テーブル部3a,3aが設けられている。両補助テーブル部3a,3aの上面は、テーブル2の上面に一致している。この左右の補助テーブル部3a,3a間に跨った状態で切断材Wがテーブル2の上面に載置されている。切断材Wは、左右の補助テーブル部3a,3aに装備したクランプ装置(図示省略)により固定される。テーブル2の上面側には切断材Wを位置決めするためのフェンス4が設けられている。このフェンス4は、左右の補助テーブル部3a,3a間に跨ってテーブル2の上面との間に僅かな隙間を置いた状態で配置されている。フェンス4の位置決め面(切断材Wが当接される面)は平面的に見てテーブル2の回転中心に一致している。
テーブル2は、その前部に設けたグリップ2aを把持する等して左右に回転させることができる。テーブル2の回転位置は、位置決めロッド2bをベース3側に設けた位置決め凹部3b〜3bに挿入することによりロックされる。グリップ2aの上側に配置したアンロックレバー2cを下方へ傾動させると、位置決めロッド2bを前側へ後退させてテーブル2の回転位置ロック状態を解除することができる。この解除状態でテーブル2を回転させることができる。テーブル2の回転位置は、グリップ2aを締め込むことによっても固定することができる。
テーブル2の後部には、下段側のスライド機構を介して本体支持部6が支持されている。下側のスライド機構は、左右一対のスライドバー5,5をテーブル2の下面に取り付けた軸受け(図では見えていない)を介して前後方向にスライド可能に支持した構成を備えている。下段側のスライド機構は、固定ねじ5aを締め込むことにより任意の位置で固定される。
本体支持部6は左右傾動支持部7と本体支持アーム8を備えている。左右のスライドバー5,5の後部に、左右傾動支持部7が結合されている。左右傾動支持部7は、切断機本体10を使用者から見て左方又は右方(図3において左右方向)に傾動させていわゆる傾斜切りを可能とする機能を有するもので、傾動支持側部材7aと傾動側部材7bを傾動軸を介して相互に回転可能に結合した構成を有している。傾動軸は図では見えていないが、前後方向に沿って配置されており、側面視でテーブル2の上面に一致している。傾動支持側部材7aは左右一対のスライドバー5,5の後端部に結合されている。傾動側部材7bの上面から本体支持アーム8が上方へ延びる状態に設けられている。この左右傾動支持部7により、切断機本体10を直角切り位置の他、例えば左側に45°傾斜させて切断材Wを傾斜切りすることができる。切断機本体10の傾斜角度は、傾斜固定レバー7cを締め込むことにより固定される。
この2本のスライドバー11,11を介してスライダ13が前後方向にスライド可能に支持されている。スライダ13は、スライドバー保持部9と結合部材12との間において前後にスライド可能に支持されている。
スライダ13の右側部に切断機本体10が支持されている。切断機本体10は、上下傾動部14を介して上下に傾動可能な状態でスライダ13に支持されている。切断機本体10は、スライダ13の右側部に上下傾動部14の傾動支軸14aを介して上下に傾動可能に支持された本体ケース部15と、本体ケース部15の右側部に取り付けられた電動モータ16と、この電動モータ16を駆動源として回転する円形の切断刃21を備えている。切断刃21の上側は本体ケース部15に覆われている。また、切断刃21の下側は開閉可能な可動カバー17で覆われている。可動カバー17は、上下傾動部14と本体ケース部15との間に介装されたリンクアーム17aを介して当該切断機本体10の上下動に連動して開閉される。図1に示すように切断機本体10が上動端に位置する状態では、可動カバー17は完全に閉じられて、切断刃21の全体が本体ケース部15と可動カバー17で覆われた状態となる。切断機本体10を徐々に下動させると、可動カバー17が図1において時計回り方向に回動して開かれていく。切断機本体10が下動端に至ると、可動カバー17が全開されて切断刃21の下側が露出されて切断材Wに切り込まれる。
前側のメインハンドル18は、当該切断機本体10を上下動操作する際に把持される。メインハンドル18の下面に、電動モータ16を起動、停止操作するためのスイッチレバー18aが配置されている。当該メインハンドル18を把持した使用者が、把持した手の指先でこのスイッチレバー18aを引き操作すると電動モータ16が起動して切断刃21が図1において時計回り方向に回転する。
後ろ側のサブハンドル19は、当該切断機本体10を下動端位置に傾動させると、ほぼ水平方向に延びる状態となる向きに設けられている。切断機本体10は、図では見えていない下動端ストッパによりこの下動端位置で固定される。このサブハンドル19は、切断機本体10を下動端に固定して当該切断工具1を持ち運ぶ際に把持されるもので、キャリングハンドルとして機能する。
切断機本体10は照明器具20を備えている。照明器具20は、メインハンドル18とサブハンドル19との間付近から上方に延びている。この照明器具20を点灯することにより主として切断部位が明るく照らされて暗がりでの切断作業の便宜が図られる。
駆動系30は、電動モータ16の回転動力を、切断刃21を取り付けたスピンドル32に伝達するもので、本実施形態では主としてベルト伝達機構40が用いられている点に特徴を有している。
モータ台座部22から下方へ張り出す状態で駆動系ハウジング部31が一体に設けられている。駆動系ハウジング部31の左方にはハウジングカバー23が対向配置されている。駆動系ハウジング部31とハウジングカバー23との間のスペース内及びハウジングカバー23の左側面に沿って駆動系30が収容されている。
電動モータ16の出力軸に設けた駆動ギヤ16aは、中間ギヤ34に噛み合わされている。中間ギヤ34にはかさ歯車が用いられている。駆動ギヤ16aが噛み合う中間ギヤ34にかさ歯車が用いられていることにより、電動モータ16はその後部側ほど上方へ変位する斜め下向き姿勢で駆動系ハウジング部31に取り付けられている。
中間ギヤ34は、中間軸35の右側に支持されている。中間軸35は、軸受け36,37を介して駆動系ハウジング部31に回転自在に支持されている。前側の軸受け36は、ハウジングカバー23の右側面上部に設けた円筒形状の軸受け保持部23b内に収容されている。また、中間ギヤ34に付加される右向きのスラスト荷重は、軸受け38で受けられる。
中間軸35の左端部側はハウジングカバー23を貫通して本体ケース15内に突き出されている。この突き出し部分に、ベルト伝達機構40の駆動側プーリ41が取り付けられている。駆動側プーリ41は、中間軸35の先端部に固定ねじ46で固定されている。このため、駆動側プーリ41は中間軸35と一体で回転する。駆動側プーリ41は、ハウジングカバー23の左側面上部に設けた半円弧形状のプーリ収容部23c内に収容されている。プーリ収容部23cは防塵用のプーリカバー23dによってケース本体15内から遮蔽されている。
アウタフランジ42は、スピンドル32の先端部に固定ねじ44でねじ止めされている。インナフランジ43は、スピンドル32のフランジ部32aと切断刃21との間に挟み込まれている。固定ねじ44の締め付け力によりアウタフランジ42とインナフランジ43との間に切断刃21が強固に挟みこまれ、従ってスピンドル32に切断刃21が強固に固定される。
インナフランジ43の右側部には、円筒形状のプーリ部43aが一体に設けられている。図示するようにこのプーリ部43aの内周側にハウジングカバー23の軸受け保持部23aが入り込んでいる。このため、スピンドル32を回転支持する前側の軸受け33は、インナフランジ43のプーリ部43aの内周側に入り込んでおり、従って軸受け33はインナフランジ43に対してスピンドル32の軸線方向(図4において左右方向)にオーバーラップした位置に配置されている。
プーリ部43aの内周面と軸受け保持部23aの外周面との間には、相互に干渉しない程度の適切な隙間が存在している。プーリ部43aは、軸受け保持部23aの外周側においてスピンドル32と一体で回転する。
このプーリ部43aは、ベルト伝達機構40の従動側プーリとして機能する。この従動側プーリとして機能するプーリ部43aと前記駆動側プーリ41との間に、伝達ベルト45が掛け渡されている。
駆動系30には、スピンドルロック機構50が設けられている。スピンドルロック機構50は、ロック部材51と、このロック部材51が係合される被ロック部材52を備えている。ロック部材51は、駆動系ハウジング部31に設けられている。ロック部材51は、図4に示すように駆動系ハウジング部31に左右方向に変位可能に支持されている。ロック部材51は、圧縮ばね53により図4において右方(アンロック側)に付勢されている。被ロック部材52は、薄肉円板形状を有する部材で、スピンドル32に一体に取り付けられている。被ロック部材52の周縁には、複数の係合凹部52a〜52aが設けられている。
使用者がロック部材51を圧縮ばね53に抗してロック側に押し操作すると、当該ロック部材51の左端部が被ロック部材52の係合凹部52a内に進入してスピンドル32の回転がロックされる。使用者がロック部材51の押し操作を解除すると、ロック部材51は圧縮ばね53によりアンロック側に戻される。
スピンドルロック機構50によりスピンドル32の回転をロックすることにより、固定ねじ44を楽に締め付けることができ、また逆に緩めることができるので、切断刃21のスピンドル32に対する取り付け、取り外し作業を迅速に行うことができる。
また、例示した実施形態によれば、スピンドル32を支持する前側の軸受け33がスピンドル軸線方向(左右方向)の位置についてプーリ部43aとオーバーラップする位置(プーリ部43aの内周側)に配置されていることから、この点でも駆動系30の収容スペースのスピンドル軸線方向のコンパクト化を図ることができる。
このように、スピンドル32上からギヤを排除し、軸受け33をプーリ部43aとオーバーラップさせることにより、駆動系ハウジング部31の特に下部側の右端面を図4中二点鎖線で示す位置から実線で示す位置まで右側へ変位させることができ、これにより傾斜切りのために切断機本体10を右側へ傾斜させる際の最大傾斜角度をより大きく設定して右傾斜の切断高さ(右傾斜切り可能な切断材の高さ)を増大させることができる。
また、スピンドル32上に被ロック部材52を配置してロック部材51によりスピンドル32を直接ロックする構成を例示したが、その他の部位、例えば中間軸に被ロック部材を取り付けて間接的にスピンドルの回転をロックする構成としてもよい。
さらに、ハウジングカバー23の軸受け保持部23aとプーリ部43aとの間に軸受けを介在させて当該プーリ部43aを軸受け保持部23aに対して回転自在に支持することによりスピンドル32を省略することができる。スピンドル32の省略により軸受け33,39を省略して軸受け保持部23aを単に支軸部(回転しないスピンドルに相当)として機能させることができ、これにより駆動系ハウジング部31の右側部の位置を一層左側へ変位させて当該切断機本体10の右傾斜の最大角度をより大きく設定することができる。
また、切断工具1として卓上型の切断工具を例示したが、本発明に係るベルト伝達式の駆動系30はいわゆる携帯マルノコであって、切断材の上面に当接させたベースから切断刃を下方へ突き出して切断材に切り込ませる形態の切断工具における駆動系についても同様に適用することができる。
2…テーブル、2a…グリップ、2b…位置決めロッド、2c…アンロックレバー
3…ベース、3a…補助テーブル部
4…切断材位置決め用のフェンス
5…スライドバー(下段側)、5a…固定ねじ
6…本体支持部
7…左右傾動支持部
7a…傾動支持側部材、7b…傾動側部材、7c…傾斜固定レバー
8…本体支持アーム
9…スライドバー保持部
10…切断機本体
11…スライドバー(上段側)
12…結合部材
13…スライダ、13a…逃がし凹部
14…上下傾動部、14a…傾動支軸
15…本体ケース部
16…電動モータ
17…可動カバー、17a…リンクアーム
18…メインハンドル、18a…スイッチレバー
19…サブハンドル
20…照明器具
21…切断刃
22…モータ台座部
23…ハウジングカバー
23a…軸受け保持部、23b…軸受け保持部、23c…プーリ保持部
23d…プーリカバー
30…駆動系
31…駆動系ハウジング部
32…スピンドル
33…軸受け(前側)
34…中間ギヤ
35…中間軸
36,37…軸受け(ラジアル)
38…軸受け(スラスト)
39…軸受け(後ろ側)
40…ベルト伝達機構
41…駆動側プーリ
42…アウタフランジ
43…インナフランジ、43a…プーリ部
44…固定ねじ
45…伝達ベルト
46…固定ねじ
50…スピンドルロック機構
51…ロック部材
52…被ロック部材、52a…係合凹部
53…圧縮ばね
Claims (4)
- 電動モータを駆動源として回転する切断刃を備えた切断工具であって、前記切断刃は、アウタフランジとインナフランジとの間に挟み込まれてスピンドルに支持されており、前記電動モータから前記切断刃に至る動力伝達経路の途中に、動力伝達用のベルトと、前記インナフランジに回転動力を伝達する従動側のプーリ部を有するベルト伝達機構を介在させて当該電動モータの回転動力を前記インナフランジを経て前記切断刃に伝達する構成とした切断工具。
- 請求項1記載の切断工具であって、前記インナフランジに、前記従動側のプーリ部を一体に設けた切断工具。
- 請求項1又は2記載の切断工具であって、前記スピンドルは軸受けを介して駆動系ハウジングに回転可能に支持されており、前記軸受けを、前記インナフランジに対して軸線方向にオーバーラップさせて前記駆動系ハウジングに配置した切断工具。
- 請求項3記載の切断工具であって、前記スピンドルの回転をロックするスピンドルロック機構を備えており、該スピンドルロック機構は、前記スピンドルと一体で回転する部材にロック部材を係合させて前記スピンドルの回転をロックする構成とした切断工具。
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