JP2015042815A - 太陽エネルギー変換モジュール、及びそのフレーム - Google Patents

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Abstract

【課題】モジュール性能とモジュール強度を維持しつつ雨水許容度と高めることのできる太陽エネルギー変換モジュール及びそのフレームを提供する。
【解決手段】太陽エネルギー変換モジュールはパネル5と当該パネル5の四方を囲むフレームを備え、軒側フレーム7及び棟側フレーム6の両方は、パネル5を挟み込む挟持部6a、7aと、フレームの強度を高める補強部6d、7cを備える。補強部6d、7cは、挟持部6a、7aの下面に形成され、パネル5の裏側に潜り込むように厚みを有する。更に、軒側フレーム7又は棟側フレーム6の何れか一方は、一方の補強部6d、7cから他方の補強部6d、7cに向かって延びて、モジュール境界から浸入する雨水を流す第1樋部6cを更に備える。
【選択図】図3

Description

本実施形態は、屋根瓦やスレート材等を兼ねて屋根に葺くことができる太陽エネルギー変換モジュール、及びそのフレームに関する。
近年、地球温暖化や化石燃料の枯渇が問題化し、地球環境とエネルギーに対する関心が急速に高まっている。この状況下、環境負荷の少ないエネルギー源として太陽エネルギーを利用する機器が急速に普及している。光起電効果により太陽光を電力に変換する太陽光発電器、或いは太陽光の熱エネルギーで熱水を作り出す太陽熱交換器が代表例である。太陽光発電器や太陽熱交換器を代表とし、地上へ伝播する光や熱等の太陽エネルギーを利用する機器を太陽エネルギー変換モジュールという。
太陽エネルギー変換モジュールの基本構造はパネルとフレームであり、パネルの四方がフレームで嵌め込まれてモジュール化されている。モジュールが太陽光発電器の場合、パネルが発電体であり、パネルは光起電効果を有する太陽電池セルを複数枚直並列に並べて成る。モジュールが太陽熱交換器の場合、パネルは太陽光を透過させる透明体であり、そのパネルの直下に熱媒体を循環させる交換器が配置される。
太陽エネルギー変換モジュールの設置態様の一つは、建物の屋根上設置である。屋根への設置形態としては、既設の屋根瓦やスレート材上に架台や固定用部材を設置し、その上に固定する方法が多く採用される。また、近年、屋根瓦やスレート材を屋根に葺く代わりに、太陽エネルギー変換モジュールを屋根に直接敷く態様も提案されている。すなわち、太陽エネルギー変換モジュールが屋根建材を兼ねる。
屋根建材を兼ねた太陽エネルギー変換モジュールは、意匠性の向上、施工の容易化、また屋根瓦等の省略による住宅建築コストの削減の観点から注目されている。しかしながら、木材で構築される家屋の野地板等に雨水が流れ込めば、それらの腐食を招くおそれがあり、屋根建材として太陽エネルギー変換モジュールを用いる場合には、それ相応の雨漏り対策が欠かせない。
そこで、雨樋を有する太陽エネルギー変換モジュールが提案されている(例えば、特許文献1参照)。太陽エネルギー変換モジュールは、屋根の傾斜面に沿って、流れ寸法方向、換言すれば軒側から棟側へアレイ状に敷き詰められていくが、モジュールの境界から雨水が浸入する可能性が最も高い。そこで、太陽エネルギー変換モジュールは境界部に雨樋を位置させている。
具体的には、パネルの軒側辺が嵌め込まれる軒側フレーム、若しくはパネルの棟側辺が嵌め込まれる棟側フレームの何れか一方に、フレームの一部として雨樋を突設しておく。モジュール境界は、軒側のモジュールの棟側面と棟側のモジュールの軒側面とを雨樋を挟んで向き合わせた構成となる。そのため、モジュール境界から浸入した雨水は雨樋で受け止められ、野地板に漏れずにすむ。
特許第3871750号公報
太陽エネルギーを最大限に享受するには、屋根全体に占めるパネル面積が大きければ大きいほどよい。つまり、フレームが屋根に占める面積はできるだけ小さいほうがよい。軒側フレームと雨樋と軒側フレームが並ぶモジュール境界もできるだけ狭いほうがよい。
しかしながら、フレームを小さくすれば、モジュールの強度不足を招きかねず、雨樋を小さくすれば、豪雨において雨樋の許容量を超えて野地板等を腐食しかねない。すなわち、従来は、太陽エネルギー変換モジュールの性能に対するモジュール強度及び雨水許容度はトレードオフの関係にあった。
本実施形態は、上記のような状況に鑑みてなされたものであり、モジュール性能とモジュール強度を維持しつつ雨水許容度を一挙に高めることのできる太陽エネルギー変換モジュール、及びそのフレームを提供することを目的とする。
本実施形態の太陽エネルギー変換モジュールは、傾斜面上に複数並べられる太陽エネルギー変換モジュールであって、パネルと当該パネルの四方を囲む軒側辺、棟側辺、左右辺の各フレームを備え、前記軒側辺のフレーム及び前記棟側辺のフレームの両方は、前記パネルを挟み込む挟持部と、前記挟持部の下面に形成され、前記パネル裏側に潜り込むように厚みを有し、フレームを補強する補強部と、をそれぞれ備え、前記軒側辺のフレーム又は前記棟側辺のフレームの何れか一方は、一方の補強部から他方の補強部に向かって延びて、モジュール境界から浸入する雨水を流す樋部を更に備えること、を特徴とする。
また、本実施形態に係る太陽エネルギー変換モジュール用フレームは、傾斜面上に複数並べられる太陽エネルギー変換モジュールのパネル四方を囲む太陽エネルギー変換モジュール用フレームであって、軒側辺、棟側辺、左右辺の各フレームを備え、前記軒側辺のフレーム及び前記棟側辺のフレームの両方は、前記パネルを挟み込む挟持部と、前記挟持部の下面に形成され、前記パネル裏側に潜り込むように厚みを有し、フレームを補強する補強部と、をそれぞれ備え、前記軒側辺のフレーム又は前記棟側辺のフレームの何れか一方は、一方の補強部から他方の補強部に向かって延びて、モジュール境界から浸入する雨水を流す樋部を更に備えること、を特徴とする。
第1の実施形態に係る太陽エネルギー変換モジュールの設置態様概略を示す斜視図である。 第1の実施形態に係る太陽エネルギー変換モジュールの外観を示す斜視図である。 第1の実施形態に係る太陽エネルギー変換モジュールの棟側フレーム及び軒側フレームを流れ寸法に沿って切断した断面図である。 第1の実施形態に係る太陽エネルギー変換モジュールのサイドフレームを軒長さ方向に沿って切断した断面図である。 第1の実施形態に係る太陽エネルギー変換モジュールの設置態様を示し、棟側フレーム及び軒側フレームを流れ寸法に沿って切断した断面図である。 第2の実施形態に係る太陽エネルギー変換モジュール1の寸法比率を示す構成図である。 第3の実施形態に係る太陽エネルギー変換モジュールの棟側フレーム及び軒側フレームを流れ寸法に沿って切断した断面図である。 第3の実施形態に係る太陽エネルギー変換モジュールの交換作業の一場面を示す模式図である。 第4の実施形態に係る太陽エネルギー変換モジュールの棟側フレーム及び軒側フレームを流れ寸法に沿って切断した断面図である。 第5の実施形態に係る太陽エネルギー変換モジュールの棟側フレーム及び軒側フレームを流れ寸法に沿って切断した断面図である。 第6の実施形態に係る太陽エネルギー変換モジュールの棟側フレーム及び軒側フレームを流れ寸法に沿って切断した断面図である。
(第1の実施形態)
(全体構成)
図1に示すように、太陽エネルギー変換モジュール1(以下、モジュール1ともいう)は、屋根建材を兼ねて野地板上にアレイ状に敷き詰められる。野地板は、屋根の流れ寸法に沿った傾斜面であり、屋根の下地材である。野地板にはルーフィングシート4が敷かれ、ルーフィングシート4上に架台2が設置され、架台2上に太陽エネルギー変換モジュール1が設置される。
架台2は、モジュール1を支持する桟である。架台2は、流れ寸法方向、すなわち棟から軒に沿って平行に複数本敷設される。設置間隔はモジュール1の大きさに符合する。モジュール1は、下面側縁を架台2の片側領域に載せ、架台2の空いた片側領域に他のモジュール1の下面側縁を載せ、架台2の延び方向と直交して軒長さ方向に並設される。架台2の片側領域とは、架台2の上面のうち、中心軸に沿って別つ2つの領域のうちの一方である。更に、モジュール1は、野地板の軒から棟にかけて空いた架台2上に積み重ねるように、流れ寸法方向に隙間なく並設される。
図2に示すように、このモジュール1は、矩形平板形状を有し、中心にパネル5を位置させ、パネル5の四方をフレーム6、7、8、8で囲んで構成される。パネル5は、モジュール1が太陽光発電器であれば発電体であり、光起電効果を有する太陽電池セルを複数枚直並列に並べて成る。また、パネル5は、太陽熱変換器であれば太陽光を透過させる透明体であり、そのパネル5の直下に熱交換器が配置される。
フレーム6、7、8、8は、パネル5の棟側辺を支持する棟側フレーム6、パネル5の軒側辺を支持する軒側フレーム7、及びパネル5の左右辺を支持する各サイドフレーム8に別れて構成される。
(棟側フレームの構成)
図3に示すように、モジュール1を流れ寸法方向に隙間なく並設すると、一段軒側のモジュール1の棟側フレーム6と一段棟側のモジュール1の軒側フレーム7とが対向する。図3では、この棟側フレーム6と軒側フレーム7の当接状態で軒流れ方向に沿って切断した断面図である。
棟側フレーム6は、パネル5の棟側辺に沿って延び、アルミニウム等を押出成形することで形成され、延び方向と直交する断面の形状は何れも略同一である。その断面形状は、各所に挟持部6a、補強部6d、第1樋6c、及び第2樋6bを形成している。
挟持部6aはパネル5の棟側辺を支持する箇所である。支持態様は挟み込みである。すなわち、挟持部6aは、断面がコの字形状となっている。コの字状に三方から包囲されて画成されてなる内側空間は、枠内に向けて軒先方向に開口し、パネル5の棟側辺が差し込まれる。パネル5は、両面テープやブチル、シリコン等の接着材や粘着材等によって挟持部6aに固定される。
補強部6dは、棟側フレーム6の強度を高めて湾曲などを抑制する箇所である。補強部6dの断面は概略ロの字形状である。この補強部6dは、挟持部6aの真下に形成される。すなわち、補強部6dは、野地板に対して直交する棟側面板を有する。この棟側面板は挟持部6aの棟側面板と面一となっている。また、補強部6dは、野地板と平行な上面板及び下面板を有する。この上面板及び下面板は、補強部6dの棟側面板からパネル5の裏側に潜り込むように延びる。換言すると、補強部6dは、パネル5の裏側に潜り込むように厚みが形成され、モジュール1の外側に突き出してはない。
第1樋部6cは、流れ寸法方向に沿って敷き詰められたモジュール1の境界に浸入する雨水を棟側フレーム6側部へ逃がす最終段の雨樋である。この第1樋部6cは、断面が転倒したL字形状を有する。すなわち、第1樋部6cは、補強部6dの棟側面下部から野地板と平行に棟側方向へ延び、先端が野地板に直交するように上方に屈曲する。第1樋部6cは、L字形状により補強部6dの棟側面板と共に両側を壁で囲んだ通路を形成し、上部開口より雨水を収容し、雨水を流して左右開口より棟側フレーム6外へ放出する。
第2樋部6bは、流れ寸法方向に沿って敷き詰められたモジュール1の境界に浸入する雨水を収容し、棟側フレーム6外へ逃がす初段の雨樋である。この第2樋部6bは、第1樋部6cよりも上方に形成され、断面L字形状を有する。すなわち、第2樋部6bは、挟持部6aの棟側面途中位置から野地板と平行に棟側方向へ延び、先端が野地板に直交するように上方に屈曲する。
第2樋部6bの最先端Aは、モジュール1が野地板に設置された際に棟側フレーム6の最高点となるように高さ調整され、挟持部6aの上側屈曲部の位置Bの地上高よりも高い。
この第2樋部6bは、L字形状により補強部6dの棟側面板と共に両側を壁で囲んだ通路を第1樋部6cよりも上方で形成し、上部開口より雨水を収容し、雨水を挟持部6aの表面から溢れさせるとともに、流して左右開口より棟側フレーム6外へ放出する。
(軒側フレーム7)
図3に示すように、軒側フレーム7は、パネル5の軒側辺に沿って延び、アルミニウム等を押出成形することで形成され、延び方向と直交する断面の形状は何れも同一である。その断面形状は、各所に挟持部7a、補強部7c、鍔部7b、及び水切り7dを形成している。
挟持部7aはパネル5の棟側辺を支持する箇所である。支持態様は挟み込みである。すなわち、挟持部7aは、断面がコの字形状である。コの字に三方から包囲されて画成されてなる内側空間は、枠内に向けて棟方向に開口し、パネル5の軒側辺が差し込まれる。パネル5は、両面テープやブチル、シリコン等の接着材や粘着材等によって挟持部7aに固定される。
補強部7cは、棟側フレーム7の強度を高める箇所である。補強部7cの断面はロの字形状である。この補強部7cは、挟持部7aの真下に形成される。すなわち、補強部7cは、野地板に対して直交する軒側面板を有する。この軒側面板は挟持部7cの軒側面板と面一となっている。また、補強部7cは、野地板と平行な上面板及び下面板を有する。この上面板及び下面板は、補強部7cの軒側面板からパネル5の裏側に潜り込むように延びる。換言すると、補強部7cは、パネル5の裏側に潜り込むように厚みが形成され、モジュール1の外側に突き出してはいない。
鍔部7bは、流れ寸法方向に併設されるモジュール1の境界に対する雨水の浸入を抑制する箇所である。この鍔部7bは、挟持部7cの軒側面から野地板と平行に軒先に向かって延び、一段軒側の棟側フレーム6の挟持部6aの上面と一段棟側の軒側フレーム7の挟持部7aの上面と面一である。鍔部7bは、第2樋部6bに覆い被さるように延び、一段軒側の棟側フレーム6が有する挟持部6aの棟側面と近接する。鍔部7bの下面は第2樋部6bの先端に近接する。換言すると、第2樋部6bは、鍔部7bの下面間近まで上方に屈曲し、第2樋部6bの先端と鈎部7bとの隙間を極力狭くしている。また、鍔部7bの先端は、野地板側に屈曲し、防風時の雨水の吹き込みを抑止する鈎状部7eが形成されている。
水切り7dは、鍔部7bの裏面を伝って浸入した雨水や第2樋部6bから溢れた雨水を第1樋部6cに効果的に落とす箇所である。この水切り7dは、鍔部7bの裏面に立設し、第1樋部6cに向かって延びる。この水切り7dは、第2樋部6bと物理的障害とならないように、第2樋部6bよりも棟側に立設させ、第2樋部6bを通り越して第1樋部6c側へ延びる。
(サイドフレームの構成)
図4は、サイドフレーム8を軒長さ方向で切断した断面図である。サイドフレーム8は、パネル5の左右辺に沿って延び、アルミニウム等を押出成形することで形成され、延び方向と垂直な略同一断面形状を有する。サイドフレーム8の断面は、挟持部8aと足部8bが形成されている。
挟持部8aはパネル5の左右辺を支持する。支持態様は挟み込みである。すなわち、挟持部8aは、断面がコの字形状である。コの字によって三方より囲まれて画成される内側空間は、軒長さ方向に開き、この内側空間にパネル5の左右辺が差し込まれ、両面テープやブチル、シリコン等の接着材や粘着材等によって固定される。足部8bは、架台2上に載ってモジュール1を野地板上に保持する。この足部8bは、断面がL字形状を有する。すなわち、挟持部8aのコの字形背面から下方向に延長され、且つ、パネル5とは反対の方向に開くように屈曲している。
(作用)
この太陽エネルギー変換モジュール1が雨水の浸入を抑制する態様を図5に示す。まず、図5に示すように、流れ寸法方向に並設されるモジュール1は、パネル5の棟側辺を棟側フレーム6の挟持部6aで挟み込み、パネル5の軒側辺を軒側フレーム7の挟持部7aで挟み込み、一段軒側のモジュール1の棟側フレーム6と一段棟側のモジュール1の軒側フレーム7とを隙間なく対向させる。
このとき、鍔部7bは一段軒側のモジュール1が有する挟持部6aの棟側面まで延びる。そのため、挟持部6aと挟持部7aとの間に生じる隙間に対する蓋となる。そのため、雨水は鍔部7bによってモジュール1の境界からの浸入を阻まれる。一段軒側のモジュール1が有する棟側フレーム6と鍔部7bとは面一となっている。この面一の構成が雨水を境界位置で溜めることなく、スムーズに軒側へ流し、境界からの浸入を更に抑制している。
但し、暴風雨の際は雨水の境界への吹き込み可能性が高くなる。しかし、太陽エネルギー変換モジュール1は、その対策として、鍔部7bの先端に設けられた鈎状部7eを有している。鍔部7bと挟持部6aとの間から角度をもって吹き込もうとする雨水は、その吹き込み角度と交差するように延びる鈎状部7eにぶつかり、一部は外に跳ね返り、吹き込みを阻まれる。
たとえ雨水の浸入を許しても、太陽エネルギー変換モジュール1は、鍔部7bと挟持部6aと隙間直下に第2樋部6bを配置している。吹き込んだ雨水は、この第2樋部6bに阻まれ、第2樋部6bが形成する通路を流れ、左右開口から排水される。
この第2樋部6bは、先端が棟側フレーム6の最高点となっている。すなわち、この上方に屈曲した先端が第2樋部6bの容積を大きくし、第1樋部6cへの雨水到達可能性を低下させている。また、その先端が軒フレーム6の最高点となっているため、第2樋部6bの容積を超過する雨水の浸入があっても、挟持部6aの表面へ溢れ出す可能性が高くなるので、モジュール1の境界深くまで雨水が浸入することを抑制できる。
第2樋部6bの上方へ屈曲した先端側から溢れ出る雨水は、第2樋部6bの先端と鍔部7bとの隙間が狭くなっているため、鍔部7bの裏面に乗り移り、鍔部7bを伝って流れる。また、第2樋部6bに落ちずに鍔部7bの裏面を伝ってくる雨水もある。これら雨水は、鍔部7bに張り付いたまま水切り7dに至る。水切り7dは、第1樋部6cに向かって下方に延びているため、伝ってきた雨水を先端部分で第1樋部6cに効果的に落とし、軒側フレーム7の外面を伝って第1樋部6cと補強分7cとの隙間に至るのを抑制する。さらに、水切り7dは先端を重力方向に向かって鋭角とすることで効果を高めることができる。
ここで、野地板の上には軒から棟にかけて、棟側フレーム6の補強部6d、軒側フレーム6の第1樋部6c、そして棟側フレーム7の補強部7cが並ぶ。棟側フレーム6の補強部6dは、パネル5の裏側に膨出するように厚みを有し、挟持部6aの外側には突き出ていない。そのため、第1樋部6cは、挟持部6aの棟側面の直下から始まり、軒側フレーム7の補強部7cまで拡がる。しかも、軒側フレーム7の補強部7cについても、パネル5の裏側に膨出するように厚みを有し、挟持部7aの外側には突き出ていない。そのため、第1樋部6cは、挟持部7aの軒側面の直下まで延びている。
すなわち、この太陽エネルギー変換モジュール1では、補強部6d及び補強部7cが挟持部6a及び挟持部7aの外側に突き出していないため、モジュール1の境界下には大容積の第1樋部6cが配置される。従って、第1樋部6cに落ちた大抵の雨水は、第1樋部6cの許容容積内に収まり、野地板に漏れることなく、第1樋部6cが形成する通路を流れて棟側フレーム6側部に排水される。
しかも、補強部6d及び補強部7cが挟持部6a及び挟持部7aの外側に突き出していない分だけ容量が大きくなったと捉えることができ、第1樋部6cが大容量となっても一段軒側のパネル5と一段棟側のパネル5の間が拡大することはない。すなわち、モジュール境界は狭いまま、フレームの屋根に対する占有面積が広がることはなく、パネル5の屋根に対する占有面積を広く維持できる。一方で補強部6dや補強部7cの厚みは維持されており、フレームの強度は保たれている。
尚、第1樋部6cは、補強部6dと補強部7cの間に位置すれば足り、軒側フレーム7側に設置可能であり、雨樋の機能及び効果は変わらない。第2樋部6bも同様に、モジュール1の境界に位置すれば足り、軒側フレーム7に設置可能であり、雨樋の機能及び効果は変わらない。第2樋部6bの設置高さについても第1樋部6cよりも高ければ足り、挟持部6aの棟側面に限らず、補強部6dの棟側面に設置可能である。また、鍔部7bについても軒側フレーム7と棟側フレーム6の何れに設置してもよく、モジュール1の境界を蓋をするように設けることで、雨水の浸入抑制効果を発生させることができる。
(効果)
以上のように、本実施形態に係る太陽エネルギー変換モジュール1は、幾多の雨水浸入抑制手段を有し、雨水の野地板への漏れを抑制している。すなわち、本実施形態に係る太陽エネルギー変換モジュール1は、パネル5の四方に軒側フレーム7、棟側フレーム6、及びサイドフレーム8、8を取り付けてなる。そして、軒側フレーム7及び棟側フレーム6の補強部6d、7cは、挟持部6a、7aの下面に形成され、パネル5の裏側に潜り込むように厚みを有する。第1樋部6cは、そのパネル5の裏面に潜り込むように厚みを有する補強部6d、7cの間に位置するように、補強部6d、7cの何れかから延び、浸入する雨水を棟側フレーム6、軒側フレーム7の何れかの側部に流す。
これにより、モジュール1の境界では、補強部6d、7cが挟持部6a及び挟持部7aの外側に突き出していないので、第1樋部6cを広く延ばすことができ、大容量の第1樋部6cを配置可能となり、暴風雨等であっても野地板に対する雨水の浸入を良好に抑制することが可能となる。しかも、第1樋部6cを広く延ばしてもパネル5間の距離は狭いままとすることができ、屋根に対するフレームの占有面積は増加せず、屋根に対する受光面積を維持したまま、雨水の浸入を良好に抑制できる。
また、軒側フレーム7又は棟側フレーム6の何れか一方は、補強部6d、7c又は挟持部6a、7aから対向のモジュール1に向かって延び、第1樋部6cの上方に位置する第2樋部6bを更に備えるようにした。これにより、第1樋部6cに加えて雨樋として機能する第2樋部6bが追加され、雨樋としての総計の許容容量を飛躍的に大きくすることができる。すなわち、雨樋を流れ寸法方向に広げるだけでなく、上下方向に複数段設置する立体配置を採用することにより、雨樋としての総計の許容容量を飛躍的に大きくすることができる。
この棟側フレーム6の第2樋部6bは、対向のモジュール1に向かって延びるとともに先端が上方に屈曲して成り、その先端は、傾斜面に沿ってモジュールを設置した際に第2樋部6bが設置されたフレームの挟持部6aの最高部よりも高く延びるようにした。これにより、第2樋部6bは、容積を更に大きくすることができ、大抵の雨水を許容し、野地板に漏らさずに排水可能となる。また、たとえ、第2樋部6bから雨水が溢れても、まずは挟持部6a側へ雨水が流れ出すので、モジュール1の境界深くに雨水が浸入することを抑制する。
軒側フレーム7又は棟側フレーム6の何れか一方は、第1樋部6c及び第2樋部6bの上方に被さり、第1樋部6c及び第2樋部6bを封止する鍔部7bを更に備えるようにした。これにより、雨水のモジュール1の境界からの浸入を抑制することができる。
更に鍔部7bの裏面から続いて、第1樋部6cの内部に向かって延びる水切り7dを更に備えるようにした。これにより、第2樋部6bに落ちずに鍔部7bの裏面を伝って流れ入る雨水、又は第2樋部6bの許容容積を超えた雨水は、水切り7dを伝い、効率的に第1樋部6cに落ちるため、軒側フレーム7の表面を伝って第1樋部6cと補強部7cとの間に至らず、野地板への雨水の漏れを更に抑制できる。
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係る太陽エネルギー変換モジュール1の寸法比率を示す構成図である。図6に示すように、太陽エネルギー変換モジュール1において、棟側フレーム6と軒側フレーム7とを向かい合わせにしたモジュール境界は、構造的に3つの領域に区別可能となる。
第1の領域は、棟側フレーム6の挟持部6a及び補強部6dで画成される領域であり、第2の領域は、鍔部7bと第1樋6cとで囲まれる領域であり、第3の領域は、軒側フレーム7の挟持部7a及び補強部7cで画成される領域である。
第1の領域乃至第3の領域は各々が内角を概略90度とする矩形形状となっている。すなわち、第1の領域において、挟持部6aの上面板と補強部6dの下面板の長さ及び位置は略同一である。換言すると、野地板の流れ寸法方向に沿った一次元座標を考えると、挟持部6aの上面板が有する軒側先端と補強部6dの下面板が有する軒側先端とが概略同位置に相当し、挟持部6aの上面板が有する棟側先端と補強部6dの下面板が有する棟側先端とが概略同位置に相当する。
また、第2の領域において、鍔部7bと第1樋部6cの下面板の長さ及び位置は略同一である。換言すると、野地板の流れ寸法方向に沿った一次元座標を考えると、鍔部7bの屈曲点と第1樋部6cの根元が概略同位置に相当し、挟持部7aから始まる鍔部7bの根元と第1樋部6cの屈曲点とが概略同位置に相当する。
また、第3の領域において、挟持部7aの上面板と補強部7cの下面板の長さ及び位置は略同一である。換言すると、野地板の流れ寸法方向に沿った一次元座標を考えると、挟持部7aの上面板が有する軒側先端と補強部7cの下面板が有する軒側先端とが概略同位置に相当し、挟持部7aの上面板が有する棟側先端と補強部7cの下面板が有する棟側先端とが概略同位置に相当する。
このように、太陽エネルギー変換モジュール1では、補強部6d及び7cを挟持部6a及び7aの直下に位置させたことにより、補強部6d及び7cの底面の両端部の位置と挟持部6a及び7aの上面の両端部の位置は概ね一致させることが可能となった。そのため、太陽エネルギー変換モジュール1に構造的な安定性が付与され、作業員が交換のために乗っても、積雪が生じても、その荷重で太陽エネルギー変換モジュール1にダメージを与えるおそれを低減させることができる。さらに、補強部6d及び7cをパネル5の内側に向けて延長することで、棟側フレーム6及び棟側フレーム7の強度を増すことができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る太陽エネルギー変換モジュール1は、図7に示すように、第1樋部6cの断面が湾曲形状を有する。すなわち、第1樋部6cは、補強部6dの棟側面下部を基端として棟側方向に上方へ湾曲しながら延びる。このように、第1樋部6cは、L字型に限らず、屈曲角が90度でなく鈍角であっても、全体として湾曲するようにしてもよい。更に、第1樋部6cを対向するモジュール1に向かって、鈎状部7eの野地板側の面を略中心とした円弧の一部としてもよい。
図8は、太陽エネルギー変換モジュール1の交換作業の一場面を示す模式図である。モジュール1を取り外す際には、モジュール1の軒側先端を持ち上げ、1つ上段のモジュールが有する軒側フレーム7から棟側フレーム6を引き抜く。このとき、第1樋部6cに角が存在すると、その角が野地板やルーフィングシート4を傷つけるおそれがある。さらに、その角が野地板やルーフィングシート4、架台2に接触することで、交換作業の作業性が低下するおそれがある。
一方、このモジュール1では、第1樋部6cを湾曲形状としたから、モジュール1の引き抜きの際に第1樋部6cが野地板やルーフィングシート4に当接しても其の荷重は分散され、野地板やルーフィングシート4、架台2を傷つけるおそれを低減することができる。更に、第1樋部6cが野地板やルーフィングシート4、架台2に接触する可能性が低下し、交換作業の作業性を向上することができる。
(第4の実施形態)
図9は、第4の実施形態に係る太陽エネルギー変換モジュール1を示す構成図である。図9に示すように、水切り7dは、鍔部7bから先端に至るまで一貫して直立するのではなく、途中から先端までが重力方向に湾曲又は屈曲している。水切り7dは、基端から先端まで一貫して重力方向に延びていてもよい。
この水切り7dによると、水切り7dを伝ってきた雨水が先端で第1樋部6cに落ちやすくなる。換言すると、水切り7bを回り込んで一段棟側の軒側フレーム7と第1樋部6cとの間に至り野地板に漏れ出すおそれを更に低減することができる。
(第5の実施形態)
図10は、第5の実施形態に係る太陽エネルギー変換モジュール1を示す構成図である。図10に示すように、水切り7dは、基端から先端にかけて先細りする形状を有する。この水切り7dは、基端の異なる2枚の板を先端で鋭角に突き合わせた三角形状を有し、鍔部7bの裏面途中を基端として第1樋部6cの上方に設定される先端点へ向けて延びる軒側板と、鍔部7bの根元を基端として挟持部7aの軒側面から先端点へ向けて伸びる棟側板とが先端点で結合して構成される。尚、水切り7dに関しても押出成形による一体成型である。
この水切り7dによると、先端の表面積は極小に設定されているので、水切り7dを伝ってきた雨水が先端で第1樋部6cに落ちやすくなる。換言すると、水切り7bを回り込んで一段棟側の軒側フレーム7と第1樋部6cとの間に至り野地板に漏れ出すおそれを更に低減することができる。
(第6の実施形態)
図11は、第6の実施形態に係る太陽エネルギー変換モジュール1を示す構成図である。図11に示すように、軒側フレーム7には雪留め突起部7gが立設されている。雪留め突起部7gは、モジュール1に積もる雪を堰き止め、或いは抵抗により落雪速度を低下させ、軒先の通行人に対する落雪事故や軒先の設置物に対する破損事故から保護する。尚、雪留め突起部7gは、雪に限らず屋根に積もった粉塵等を堰き止めることも可能である。
この雪留め突起部7gは、鍔部7bの上面に突設され、モジュール1に沿って延設される板部材であり、軒側フレーム7とともに押出成形による一体成型で形成される。突設位置は、鍔部7bと挟持部6aとの隙間よりも棟側が望ましい。雪解け水がモジュール1の境界に浸入しないように配慮するためである。
この雪留め突起部7gの地上高は、雪留め突起部7gの棟側に位置するパネル5の露出領域よりも低く調整される。具体的には、露出領域の軒側先端Dよりも雪留め突起部7gの地上高Cは低い。この雪止め突起部7gにより、雪留め突起部7gの影がパネル5に落ちることはない。そのため、この太陽エネルギー変換モジュール1によれば、落雪事故や破損事故から通行人や設置物を保護するだけでなく、日の出から日の入りまで効率よく太陽エネルギーを享受することが可能となる。
更に、雪留め突起部7gは、一段軒側に位置するパネル5の露出領域と、一段棟側に位置するパネル5の露出領域との略中央に配置される。これにより、年間を通じて日の出から日の入りまで効率良く太陽エネルギーを享受することが可能となる。
(その他の実施の形態)
本明細書においては、本発明に係る複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。具体的には、第1乃至第6の実施形態を全て又はいずれかを組み合わせたものも包含される。以上のような実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
例えば、この太陽エネルギー変換モジュール1は屋根に設置することを前提に説明したが、丘等の傾斜面や、地上に傾斜面を有する架台を設置し、それら傾斜面上に設置することも可能であり、それら傾斜面上に設置する太陽エネルギー変換モジュール1も発明の範囲に含まれる。すなわち、軒側には地上側を包含する意味を有し、棟側には空側を包含する意味を有する。
1 モジュール
2 架台
4 ルーフィングシート
5 パネル
6 棟側フレーム
6a 挟持部
6b 第2樋部
6c 第1樋部
6d 補強部
7 軒側フレーム
7a 挟持部
7b 鍔部
7c 補強部
7d 水切り
7e 鈎状部
7g 雪留め突起部
8 サイドフレーム
8a 挟持部
8b 足部

Claims (15)

  1. 傾斜面上に複数並べられる太陽エネルギー変換モジュールであって、
    パネルと当該パネルの四方を囲む軒側辺、棟側辺、左右辺の各フレームを備え、
    前記軒側辺のフレーム及び前記棟側辺のフレームの両方は、
    前記パネルを挟み込む挟持部と、
    前記挟持部の下面に形成され、前記パネル裏側に潜り込むように厚みを有し、フレームを補強する補強部と、
    をそれぞれ備え、
    前記軒側辺のフレーム又は前記棟側辺のフレームの何れか一方は、
    一方の補強部から他方の補強部に向かって延びて、モジュール境界から浸入する雨水を流す樋部を更に備えること、
    を特徴とする太陽エネルギー変換モジュール。
  2. 前記軒側辺のフレーム又は前記棟側辺のフレームの何れか一方は、
    前記補強部又は前記挟持部から対向のモジュールに向かって延び、前記樋部の上方に位置する第2の樋部を更に備えること、
    を特徴とする請求項1記載の太陽エネルギー変換モジュール。
  3. 前記棟側辺のフレームの第2の樋部は、先端が上方に屈曲して成り、
    前記第2の樋部の先端は、前記傾斜面に沿ってモジュールを設置した際、当該第2の樋部を有するフレームの前記挟持部における最高部よりも高く延びること、
    を特徴とする請求項2記載の太陽エネルギー変換モジュール。
  4. 前記軒側辺のフレーム又は前記棟側辺のフレームの何れか一方は、
    モジュールの境界に被さる鍔部を更に備えること、
    を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の太陽エネルギー変換モジュール。
  5. 前記鍔部は、先端が傾斜面方向に屈曲する鍵状部を更に備えること、
    を特徴とする請求項4記載の太陽エネルギー変換モジュール。
  6. 前記鍔部の裏面から続いて前記樋部の内部に向かって延びる水切りを更に備えること、
    を特徴とする請求項4又は5記載の太陽エネルギー変換モジュール。
  7. 前記水切りは、前記傾斜面に沿ってモジュールを設置した際、先端部が重力方向に延びること、
    を特徴とする請求項6記載の太陽エネルギー変換モジュール。
  8. 前記水切りは、先端に向かって先細り形状を有すること、
    を特徴とする請求項6又は7記載の太陽エネルギー変換モジュール。
  9. 前記樋部は、
    先端が上方に向かう転倒したL字又は湾曲形状を有すること、
    を特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の太陽エネルギー変換モジュール。
  10. 前記補強部の底面の流れ寸法方向に対する両端部と前記挟持部の上面の流れ寸法方向に対する両端部の位置は概ね一致すること、
    を特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の太陽エネルギー変換モジュール。
  11. 前記軒側辺のフレーム又は前記棟側辺のフレームの何れか一方は、
    上面に立設された雪止め突起部を備えること、
    を特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の太陽エネルギー変換モジュール。
  12. 前記雪止め突起部は、地上高が直近棟側のパネルの露出領域よりも低いこと、
    を特徴とする請求項11記載の太陽エネルギー変換モジュール。
  13. 前記パネルは、太陽光を電気エネルギーに変換する太陽電池セルを備えること、
    を特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載の太陽エネルギー変換モジュール。
  14. 透明の前記パネルの裏面側に配置され、太陽熱を熱媒体に移動させる交換器を備えること、
    を特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載の太陽エネルギー変換モジュール。
  15. 傾斜面上に複数並べられる太陽エネルギー変換モジュールのパネル四方を囲む太陽エネルギー変換モジュール用フレームであって、
    軒側辺、棟側辺、左右辺の各フレームを備え、
    前記軒側辺のフレーム及び前記棟側辺のフレームの両方は、
    前記パネルを挟み込む挟持部と、
    前記挟持部の下面に形成され、前記パネル裏側に潜り込むように厚みを有し、フレームを補強する補強部と、
    をそれぞれ備え、
    前記軒側辺のフレーム又は前記棟側辺のフレームの何れか一方は、
    一方の補強部から他方の補強部に向かって延びて、モジュール境界から浸入する雨水を流す樋部を更に備えること、
    を特徴とする太陽エネルギー変換モジュール用フレーム。
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