JP2015040456A

JP2015040456A - 塩化ビニル樹脂製床材

Info

Publication number: JP2015040456A
Application number: JP2013173447A
Authority: JP
Inventors: 浩司戸高; Koji Todaka; 力甲田; Tsutomu Koda; 太志新居; Futoshi Arai; 野原實川; Nohara Jitsukawa
Original assignee: Tajima Inc
Current assignee: Tajima Inc
Priority date: 2013-08-23
Filing date: 2013-08-23
Publication date: 2015-03-02

Abstract

【課題】耐光性に優れ、着色層を用いずに従来よりも優れたセラミックタイル調の意匠を発現させた塩化ビニル樹脂製床材の提供。【解決手段】（１）塩化ビニル樹脂製床材用シートの上に、透明な塩化ビニル樹脂コンパウンド、顔料、模様材、及び紫外線吸収剤を含有する半透明の表層を積層した塩化ビニル樹脂製床材。（２）前記模様材がアクリル樹脂チップである（１）に記載の塩化ビニル樹脂製床材。（３）前記紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である（１）又は（２）に記載の塩化ビニル樹脂製床材。【選択図】なし

Description

本発明は、マンションの解放廊下、ベランダ、プールサイドなどの屋外用途に使用する床材に関する。更に詳しくは耐光性が良好で経年による色の変化が小さく、且つセラミックタイル調の意匠を有する塩化ビニル樹脂製床材に関する。

塩化ビニル樹脂製床材の耐光性を向上させる手段として、光安定剤、紫外線吸収剤等を適宜添加することは公知である（特許文献１）。特にサリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系紫外線吸収剤が広く用いられている。また、床材の意匠性を向上させる為に、表面の透明樹脂層の中に無機フィラー、フレーク、繊維等の模様材を混入させることも従来から行われている（特許文献２）。
また、セラミックタイル調の意匠を創出する為、表面に透明樹脂層を設け、この透明樹脂層に模様材を混入させる方法は公知であるが、透明樹脂層中の模様材の輪郭が明瞭に見えてしまう為、この方法でセラミックタイル調を表現することには限界があった。また、模様材を練り込んだ透明樹脂層の下に着色層を積層して色調を調整する必要があった。更に、耐光性を付与する目的で、透明樹脂層に紫外線吸収剤を添加した場合には、紫外線が透明樹脂層の深部まで到達する為、模様材や着色層が退色するという欠点があった。

特開平０８−２４５８４９号公報特開平０９−１３６３９２号公報

本発明は、これらの問題点を解決し、耐光性に優れ、着色層を用いずに従来よりも優れたセラミックタイル調の意匠を発現させた塩化ビニル樹脂製床材の提供を目的とする。

本発明者らは、半透明の表層に顔料と模様材を練りこみ、且つ紫外線吸収剤を添加することにより、着色層を用いることなく、耐光性に優れ且つ従来よりも優れたセラミックタイル調の塩化ビニル樹脂製床材を提供できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、上記課題は、次の１）〜３）の発明によって解決される。
１）塩化ビニル樹脂製床材用シートの上に、透明な塩化ビニル樹脂コンパウンド、顔料、模様材、及び紫外線吸収剤を含有する半透明の表層を積層したことを特徴とする塩化ビニル樹脂製床材。
２）前記模様材がアクリル樹脂チップであることを特徴とする１）に記載の塩化ビニル樹脂製床材。
３）前記紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であることを特徴とする１）又は２）に記載の塩化ビニル樹脂製床材。

本発明によれば、耐光性が良好で経年による色の変化が小さく、且つ着色層を用いずに従来よりも優れたセラミックタイル調の意匠を発現させた塩化ビニル樹脂製床材を提供できる。

以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明の塩化ビニル樹脂製床材は、周知の塩化ビニル樹脂製床材用シート（下層）の上に前記特定組成の半透明の表層を積層した点に特徴を有する。
下層となる塩化ビニル樹脂製床材用シートは周知であって特に説明するまでもないが、塩化ビニル樹脂コンパウンドを用いて常法によりシート状に成形したものである。
なお、塩化ビニル樹脂コンパウンドとは、塩化ビニル樹脂に可塑剤、充填剤、着色剤、安定剤などの添加材を混合した塩化ビニル樹脂成形材料を意味する。該コンパウンドには更に必要に応じて、加工助剤、抗菌剤、帯電防止剤等の他の添加剤を加えてもよい。
また、塩化ビニル樹脂製床材用シートは、単層でもよいが、必要に応じて２層〜３層を積層して用いてもよい。

半透明の表層は、可塑剤、充填剤、安定剤等の添加材を混合した透明な塩化ビニル樹脂コンパウンドに、顔料、模様材及び紫外線吸収剤を配合した材料で形成する。なお、該透明な塩化ビニル樹脂コンパウンドにも、更に必要に応じて加工助剤、抗菌剤、帯電防止剤等の他の添加剤を加えてもよい。
顔料は、透明な塩化ビニル樹脂コンパウンドを半透明にし、且つ所望の色に着色するために添加する。顔料の例としては、酸化チタン、弁柄、鉄黒、亜鉛華、群青、ケイ酸カルシウムなどの無機顔料、及び、アゾ系、フタロシアニン系、建染染料系、染付レーキ系、キナクリドン系、ジオキサジン系等の有機顔料が挙げられる。
顔料の添加量は、半透明にさえなれば特に限定されないが、通常は、透明な塩化ビニル樹脂コンパウンド１００重量部に対して、０．２〜０．８重量部程度であり、好ましくは０．３〜０．６重量部である。０．２重量部未満では、紫外線から模様材を守る効果が低下するし、表面近傍の模様材と深部の模様材が同様に見える為、模様混練位置の遠近感が乏しく平面的な意匠となる。一方、０．８重量部を超えると、紫外線から模様材を守る効果は高まるが、表面近傍の模様材しか見えなくなる為、平面的な意匠となる。
また、無機顔料と有機顔料を混合して用いる場合は、隠蔽性の高い無機顔料の添加量を有機顔料の半分以下とすることが好ましい。

模様材はセラミックタイル調の意匠を創出する為に添加するものであり、無機フィラー、フレーク、樹脂チップ、繊維等が挙げられるが、耐色性の点でアクリル樹脂チップが好ましい。また耐色性、意匠性の点で、着色されたポリメチルメタクリレート（ＰＭＭＡ）樹脂をロートプレックス粉砕機等の粉砕機で粒径１６ｍｅｓｈ以下に粉砕したものが好ましい。複数の粒度のチップを混合して用いたり、多色混合しても良い。
模様材の添加量は、通常、透明な塩化ビニル樹脂コンパウンド１００重量部に対して、０．２〜０．８重量部程度であり、好ましくは０．４〜０．６重量部である。添加量が前記範囲を外れると何れの場合も意匠が無地模様に近づくので好ましくない。

紫外線吸収剤は特に限定されず、公知のものの中から適宜選択して用いることができ、例えば、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系紫外線吸収剤などが挙げられる。中でもベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましく、具体例として、２−（２′−ヒドロキシ−５′−メチルフェニル）ベンゾトリアゾール、２−（２Ｈ−ベンゾトリアゾール−２−イル）パラクレゾール、２−（５−クロロ−２Ｈ−ベンゾトリアゾール−２−イル）−６−ｔ−ブチル−４−メチルフェノールなどが挙げられる。
紫外線吸収剤の添加量は、通常、透明な塩化ビニル樹脂コンパウンド１００重量部に対して、２〜６重量部程度であり、好ましくは３〜５重量部である。添加量が２重量部より少ないと所望する耐光性が得られず、また、６重量部を超えても効果の向上が見られず、コスト高となる。

半透明表層の厚みは特に限定されないが、例えばＪＩＳＡ５７０５の分類「ＦＳ」の塩化ビニル樹脂製床材を製造する場合は、０．３〜１．５ｍｍの半透明表層を作製し、塩化ビニル樹脂１００重量部に対して充填剤を１００重量部以上混合した塩化ビニル樹脂コンパウンドからなる下層シートと積層して、全厚が２．５ｍｍ程度の塩化ビニル樹脂製床材とすることが好ましい。
また、半透明表層と塩化ビニル樹脂製床材用シートの間又は該床材用シートの裏側に、床材の寸法安定性を良くする為、ガラス不織布、スパンボンド等を積層しても良い。

以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。

実施例１〜６、比較例１〜３
表１、表２の実施例及び比較例の各欄に示す表層材料をバンバリーミキサーで混練し、カレンダーで０．５ｍｍ厚のシート状に加工し、表層シートを作製した。
これとは別に、塩化ビニル樹脂コンパウンドと調色顔料を用いた０．５ｍｍ厚の着色層と、塩化ビニル樹脂コンパウンドを用いた０．５ｍｍ厚の塩化ビニル樹脂製下層シートを、同様にカレンダーで作製した。
次いで、ラミネーターを用いて、上記表層シート、着色層、下層シートを、加熱融着により積層し、全厚２．０〜２．５ｍｍの塩化ビニル樹脂製床材を作製した。なお、着色層がある場合は、下層シートを２層積層して合計４層の積層体とし、着色層がない場合は、下層シートを３層積層して合計４層の積層体とした。

上記実施例及び比較例の塩化ビニル樹脂製床材について、以下のようにして模様の状態及び耐光性を評価した。結果を纏めて表１、表２に示す。

＜模様の状態＞
実施例の着色層を有しない２層構造の床材及び比較例の着色層を有する３層構造の床材について、同色系の磁器タイル（ＴＯＴＯ社製の内装タイル）と比較し、セラミックタイル調の意匠の類似の程度を目視で比較し、次の基準で評価した。
〔評価基準〕
○：同色系の磁器タイルに似ている印象を受ける。
×：同色系の磁器タイルとは異なる印象を受ける。

＜耐光性＞
耐光性はキセノン光源によるＪＩＳＫ７３５０−２Ａ法に準拠して３０００時間照射を行い、ミノルタ社製の色差計を用いて外観の変化を観察し、次の基準で評価した。
〔評価基準〕
○：色差（ΔＥ）１．５未満
△：色差（ΔＥ）１．５以上、３．０未満
×：色差（ΔＥ）３．０以上

上記表１、表２中の材料の詳細は次のとおりである。
・塩化ビニル樹脂：ＴＨ−１０００（大洋塩ビ社製）
・可塑剤：ＤＯＰ（シージーエステル社製のフタル酸ジオクチル）
・充填剤：ミクロカル１５０（有鉱鉱業社製の炭酸カルシウム）
・安定剤：アデカスタブＲＸ−２１（アデカ社製のＣａ／Ｚｎ系安定剤）
・顔料：調色顔料１〔日弘ビックス（登録商標）社製の＃５０００ベースカラーマスターバッチ〕
・顔料：調色顔料２〔日弘ビックス（登録商標）社製の＃９０００ベースカラーマスターバッチ〕
・紫外線吸収剤：アデカＬＡ−３２（アデカ社製ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤）
・紫外線吸収剤：アデカＬＡ−３６（アデカ社製ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤）
・模様材：レーヨン模様材（ダイワボウ社製のレーヨン糸チップ）
・模様材：アクリルチップ模様材（高木工業社製のＰＭＭＡチップ）

Claims

塩化ビニル樹脂製床材用シートの上に、透明な塩化ビニル樹脂コンパウンド、顔料、模様材、及び紫外線吸収剤を含有する半透明の表層を積層したことを特徴とする塩化ビニル樹脂製床材。
前記模様材がアクリル樹脂チップであることを特徴とする請求項１に記載の塩化ビニル樹脂製床材。
前記紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であることを特徴とする請求項１又は２に記載の塩化ビニル樹脂製床材。