JP2015037614A - 基材付き生体接着用薄膜フィルム及びその製造方法 - Google Patents

基材付き生体接着用薄膜フィルム及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】汎用可能な基材付き薄膜フィルム及びその製造方法を提供すること。【解決手段】本発明は、基材と、基材上に形成された薄膜フィルムとを備え、薄膜フィルムが、ポリカチオンを含む溶液を用いて形成されるA層と、ポリアニオンを含み、pHが1.6〜5.4である溶液を用いて形成されるB層と、を有する、基材付き生体接着用薄膜フィルムに関する。【選択図】図1

Description

本発明は、基材付き薄膜フィルム及びその製造方法に関する。
外科手術用の組織接着材として、フィブリノーゲン、血液凝固第XIII因子及びトロンビンからなる、いわゆるフィブリン糊等が知られている。しかしながら、フィブリン糊は、ヒト血漿由来のフィブリノーゲンを用いているため、ウィルス等の感染性病原体が混入する可能性があるという問題点、及び使用直前に数種類の材料を混合する必要があり操作性に劣るという問題点がある。
また、外科手術用の組織接着材として、シアノアクリレート系の組織接着材が市販されている。シアノアクリレート系の組織接着材は、硬化速度が早く接着強度も高い反面、硬化後の柔軟性に欠けること、及び生体内で分解した場合に有害なホルムアルデヒドを生成する可能性があることが問題点として指摘されている。
一方、カチオン性ポリマーとアニオン性ポリマーを水の共存化で混合すると、速やかにポリイオンコンプレックスが形成されることはよく知られており、ポリイオンコンプレックスは医薬品、医療用具をはじめ広い分野で利用されている。
例えば、特許文献1には、ポリカチオン性物質とポリアニオン性物質から形成されるポリイオンコンプレックスのフィルムを積層してなる医療用接着材が記載されている。また、非特許文献1には、キトサン及びアルギン酸を交互に積層した生体接着性薄膜フィルムが記載されている。
特許第4241985号公報
T.Fujie et al.,Adv.Funct.Mater.,2009年,19巻,2560−2568頁
非特許文献1に記載の生体接着性薄膜フィルムは、医用材料としての実績があり、生体適合性及び生分解性の高い多糖類であるキトサン及びアルギン酸塩を交互に積層して作られたものであり、強靭性及び透明性に優れ、かつ高い密着性を有している。また、生体接着性薄膜フィルムの厚さは75nm程度と極めて薄く、肺等の柔らかい生体組織が損傷を受けた際に、生体接着性薄膜フィルムを貼付するだけでくしゃみ程度の負荷が加わっても安定に閉鎖できるという効果がある。
しかしながら、非特許文献1に記載の生体接着性薄膜フィルムは、スピンコート法によって製造されるものである。そのため、製造時に多くの薬液を使用しなければならないこと、及び一枚一枚成膜しなければならないことから、経済性及び量産性に課題があり、工業的に生産することが難しく、汎用されるに至っていない。
そこで本発明は、汎用可能な基材付き薄膜フィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、基材と、上記基材上に形成された薄膜フィルムとを備え、上記薄膜フィルムが、ポリカチオンを含む溶液を用いて形成されるA層と、ポリアニオンを含み、pHが1.6〜5.4である溶液を用いて形成されるB層と、を有する、基材付き薄膜フィルムを提供する。
本発明の基材付き薄膜フィルムは、上記構成を備えるため、工業的に生産するのが容易であり、汎用可能である。また、上記薄膜フィルムは、患部に貼付した際に患部と接着し、組織との密着性が高く、組織接着材(生体接着性薄膜フィルム)として十分な強度を有する。さらに、感染等の心配がなく生体安全性に優れることから、組織接着材として、簡便かつ有効に使用することができる。さらに、溶解等の前処理を必要とせず、操作性に極めて優れている。
上記ポリアニオンを含み、pHが1.6〜5.4である溶液は、ポリアニオン及びリンゴ酸を含む溶液であることが好ましい。リンゴ酸を含むことによって、溶液のpHをより安定に維持することができ、薄膜フィルムの製造効率がより向上する。
上記薄膜フィルムは、A層とB層とが交互に積層されたものであることが好ましい。A層とB層とが交互に積層されたものであることによって、機械的強度、自己密着性により優れた薄膜フィルムとなる。なお、A層とB層とが交互に積層されるとは、1層のA層と1層のB層とが交互に積層されている場合に限られず、複数の層からなるA層と、複数の層からなるB層とが交互に積層されている場合も含む。
上記ポリカチオンは、1分子中に2個以上のアミノ基を有するカチオン性ポリマーであることが好ましく、塩基性多糖類若しくはその誘導体又はそれらの塩であることがより好ましく、キトサン若しくはその誘導体又はそれらの塩であることが特に好ましい。これにより、生体吸収性がより優れた薄膜フィルムにすることができる。
上記ポリアニオンは、1分子中に2個以上のカルボキシル基又はカルボキシレート基を有するアニオン性ポリマーであることが好ましく、酸性多糖類若しくはその誘導体又はそれらの塩であることがより好ましく、アルギン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩であることがさらに好ましい。これにより、生体適合性がより優れた薄膜フィルムにすることができる。
本発明はまた、ポリカチオンを含む溶液、又はポリアニオンを含み、pHが1.6〜5.4である溶液に基材を接触させて、基材の表面にポリカチオン又はポリアニオンに由来する層を形成する層形成工程と、
(i)ポリカチオンに由来する層に、ポリアニオンを含み、pHが1.6〜5.4である溶液を接触させて、上記ポリカチオンに由来する層上にポリアニオンに由来する層を形成するステップと、
(ii)ポリアニオンに由来する層に、ポリカチオンを含む溶液を接触させて、上記ポリアニオンに由来する層上にポリカチオンに由来する層を形成するステップと、
を繰り返す積層工程と、を備える、基材付き薄膜フィルムの製造方法を提供する。
本発明の製造方法は、上記構成を有しているため、基材付き薄膜フィルムを簡便かつ迅速に製造することができる。また、工業的に生産するのが容易であり、汎用可能である。
上記製造方法は、上記ポリアニオンを含み、pHが1.6〜5.4である溶液として、ポリアニオン及びリンゴ酸を含む溶液を用いることが好ましい。ポリアニオン及びリンゴ酸を含む溶液を用いることによって、製造効率がより向上する。
上記製造方法は、積層工程を、ポリカチオンに由来する層及びポリアニオンに由来する層がいずれも1〜300層となるまで繰り返すことが好ましい。これにより、薄膜フィルムの透明性を確保しやすくなる。
本発明によれば、汎用可能な基材付き薄膜フィルム及びその製造方法が提供される。本発明に係る薄膜フィルムは、特に、細胞、組織、臓器、血管壁、粘膜、角膜、皮膚、毛髪、爪等に貼付可能な接着材として好適に用いられる。
SiO基板上にカチオン性ポリマーとアニオン性ポリマーを交互に積層(サイクル:30回)したときの、アニオン性ポリマー水溶液のpHと積層膜の膜厚(nm)との関係を示す図である。
〔ポリカチオン〕
本明細書において、ポリカチオンとは、1分子中に2個以上のカチオン性基を有する化合物をいい、カチオン性基とは、カチオン基又はカチオン基に誘導され得る基をいう。カチオン性基としては、例えば、アミノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基等のモノアルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;イミノ基;グアニジノ基等が挙げられる。なお、アミノ基はプロトンが配位結合した−NH であってもよい。
ポリカチオンとしては、カチオン性ポリマーが好ましい。なお、本明細書において、カチオン性ポリマーとは、1分子中に2個以上のカチオン性基を有するポリマーをいう。カチオン性ポリマーとしては、カチオン性基を有するモノマーを重合させたものであることが好ましい。
カチオン性ポリマーとしては、水の存在下で後述するアニオン性ポリマーとゲル状のポリイオンコンプレックスを形成することができ、そのポリイオンコンプレックスが生体組織接着作用を発揮することができ、生体に対して無害のものが好ましい。また、カチオン性ポリマーとしては、患部の組織が治癒した後に生分解して生体内に吸収されるように、生体吸収性を有する物質であることがより好ましい。
カチオン性ポリマーとしては、酸性の水溶液に溶解又は膨潤することが可能な程度の親水性を有し、酸性の水溶液中でカチオン性基がプロトンと結合することにより正電荷を帯びるという特性を有するものが好適に使用される。カチオン性ポリマーとしては、特に1分子中に2個以上のアミノ基を有するポリマーが好ましい。
カチオン性ポリマーの好ましい例としては、コラーゲン、ポリヒスチジン、アイオネン、キトサン、アミノ化セルロース等の塩基性多糖類;ポリリジン、ポリアルギニン、リジンとアルギニンとの共重合体等の塩基性アミノ酸の単独重合体及び共重合体;ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリジビニルピリジン等の塩基性ビニルポリマー;並びにそれらの塩類(塩酸塩、酢酸塩等)、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
さらに、上述のカチオン性ポリマーを架橋することによって得られる架橋ポリマーを用いることもできる。カチオン性ポリマーを架橋する方法としては、公知の方法のいずれも用いることができる。カチオン性ポリマーがアミノ基を有する場合には、カチオン性ポリマーのアミノ基をジカルボン酸と縮合反応させることにより架橋する方法が好適である。
カチオン性ポリマーとしては、塩基性多糖類若しくはその誘導体(例えば、アセチル化物等)又はそれらの塩が好適である。特に、塩基性多糖類としてはキトサンが好ましい。キトサンはキチンの脱アセチル化物であり、その脱アセチル化度としては、生体吸収性、水溶性がより優れることから、40〜100%の範囲内であることが好ましく、45〜90%の範囲内であることがより好ましく、50〜80%の範囲内であることがさらに好ましい。
カチオン性ポリマーの分子量は特に制限されないが、粘度平均分子量が大きくなるにしたがって、基材付き薄膜フィルムの製造時に溶液の粘度が高くなり流延が困難となる傾向があること、及び生体吸収性が低下する傾向があることから、カチオン性ポリマーの粘度平均分子量は1,000〜500,000の範囲内であることが好ましく、10,000〜400,000の範囲内であることがより好ましく、50,000〜200,000の範囲内であることがさらに好ましい。
本明細書において、「粘度平均分子量」とは、一般的な測定方法である粘度法により評価すればよく、例えば、JIS K 7367−3:1999に基づいて測定した極限粘度数[η]からMνを算出すればよい。
ポリカチオンとして、1分子中に2個以上のカチオン性基を有する低分子の化合物であっても好ましく用いることができる。1分子中に2個以上のカチオン性基を有する低分子の化合物としては、例えば、低分子のジアミン、ポリアミンが挙げられる。具体的には、例えば、ジアミノエタン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン等のジアミノアルカン類等のように1分子中に2個のアミノ基を有する化合物、N−(リジル)−ジアミノエタン、N,N’−(ジリジル)−ジアミノエタン、N−(リジル)−ジアミノヘキサン、N,N’−(ジリジル)−ジアミノヘキサン等のモノ又はジリジルアミノアルカン類等のように1分子中に3〜4個のアミノ基を有する化合物、1分子中に5個以上のアミノ基を有する化合物を挙げることができる。
〔ポリカチオンを含む溶液〕
ポリカチオンを含む溶液中のポリカチオンの濃度は、0.01〜5.0質量%が好ましく、0.02〜2.0質量%がより好ましく、0.05〜1.0質量%が特に好ましい。
ポリカチオンを含む溶液の粘度は,0.1〜1000mPa・sの範囲内であることが好ましく、0.5〜500mPa・sの範囲内であることがより好ましく、1〜100mPa・sの範囲内であることがさらに好ましい。本明細書において、粘度とは、A&D社製音叉型振動式粘度計SV−10を用い、サンプル量10mL、20℃で測定した値である。
ポリカチオンを含む溶液には、2種類以上のポリカチオンを併用してもよい。
ポリカチオンを含む溶液の溶媒としては、ポリカチオンを溶解できるものであれば、任意の溶媒を用いることができるが、ポリカチオンの電荷量をより多くすることができるため、水又は無機塩類の水溶液が適当である。
ポリカチオンを含む溶液は、pHを調整する必要はなく、ポリカチオンを溶媒に溶解させたものをそのまま用いることができる。例えば、pHは1.2〜6.6にすることができる。
〔ポリアニオン〕
本明細書において、ポリアニオンとは、1分子中に2個以上のアニオン性基を有する化合物をいい、アニオン性基とは、アニオン基又はアニオン基に誘導され得る基をいう。アニオン性基としては、例えば、カルボキシル基、カルボキシレート基、硫酸基、スルホン酸基及びリン酸基等が挙げられる。
ポリアニオンとしては、アニオン性ポリマーが好ましい。なお、本明細書において、アニオン性ポリマーとは、1分子中に2個以上のアニオン性基を有するポリマーをいう。アニオン性ポリマーとしては、アニオン性基を有するモノマーを重合させたものであることが好ましい。
アニオン性ポリマーとしては、水の存在下で上記カチオン性ポリマーとゲル状のポリイオンコンプレックスを形成することができ、そのポリイオンコンプレックスが生体組織接着作用を発揮することができ、生体に対して有害反応の少ないものが好ましい。また、アニオン性ポリマーとしては、患部の組織が治癒した後に生分解して生体内に吸収されるように、生体吸収性を有する物質であることがより好ましい。
アニオン性ポリマーとしては、水に溶解又は膨潤することが可能な程度の親水性を有し、水中でアニオン性基のプロトン又は金属イオンが解離することにより負電荷を帯びるという特性を有するものが好適に使用される。アニオン性ポリマーとしては、特に1分子中に2個以上のカルボキシル基又はカルボキシレート基を有するポリマーが好ましい。
アニオン性ポリマーの好ましい例としては、アルギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デキストラン硫酸、ペクチン、サクラン等のカルボキシル基、カルボキシレート基又は硫酸基等のアニオン性基を有する天然の酸性多糖類及びその誘導体;セルロース、デキストラン、デンプン等の天然ではカルボキシル基、カルボキシレート基又は硫酸基等のアニオン性基を有しない多糖類にアニオン性基を結合させて人工的に合成された酸性多糖類及びその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデキストラン、カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルキトサン、硫酸化セルロース及び硫酸化デキストラン並びにそれらの誘導体);ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、グルタミン酸とアスパラギン酸との共重合体等の酸性アミノ酸の単独重合体及び共重合体;ポリアクリル酸等の酸性ビニルポリマー;並びにそれらの塩(例えば、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩)が挙げられる。
酸性多糖類の誘導体としては、例えば、水酸基の一部又は全部を、酢酸、硝酸、硫酸、リン酸等と反応させたもの;カルボキシル基又はカルボキシレート基の一部をエチレングリコール、プロピレングリコール等の低分子アルコールでエステル化した化合物が挙げられる。
酸性多糖類の誘導体としては、具体的には、アルギン酸エチレングリコールエステル、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ヒアルロン酸エチレングリコールエステル、ヒアルロン酸プロピレングリコールエステル等が挙げられる。これらの誘導体におけるエステル化度は特に制限されないが、エステル化度が高くなりすぎると、カルボキシル基又はカルボキシレート基の割合、すなわちアニオン性が低下し、上記カチオン性ポリマーとの間に形成されるポリイオンコンプレックスの機械的強度が低下する傾向にある。そこで、上記誘導体におけるエステル化度は40〜100%の範囲内であることが好ましく、45〜90%の範囲内であることがより好ましく、50〜80%の範囲内であることがさらに好ましい。
酸性多糖類又は酸性多糖類の誘導体の塩としては、これらと1価のイオンとの塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩が挙げられる。
さらに上述のアニオン性ポリマーを架橋することによって得られる架橋ポリマーを用いることもできる。アニオン性ポリマーを架橋する方法としては、公知の方法のいずれも用いることができる。アニオン性ポリマーがカルボキシル基又はカルボキシレート基を有する場合には、アニオン性ポリマーのカルボキシル基又はカルボキシレート基をジアミンと縮合反応させることにより架橋する方法が好適である。
アニオン性ポリマーとしては、酸性多糖類若しくはその誘導体又はそれらの塩が好適である。特に、天然の多糖類であり、生体適合性に優れ、かつ入手が容易であることから、アルギン酸若しくはその誘導体(具体的には、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)又はそれらの塩(例えば、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩)が好ましい。
アニオン性ポリマーの分子量は特に制限されないが、粘度平均分子量が大きくなるにしたがって、基材付き薄膜フィルムの製造時に溶液の粘度が高くなり流延が困難となる傾向があること、及び生体吸収性が低下する傾向があることから、アニオン性ポリマーの粘度平均分子量は1,000〜500,000の範囲内であることが好ましく、10,000〜400,000の範囲内であることがより好ましく、50,000〜200,000の範囲内であることがさらに好ましい。
ポリアニオンとして、1分子中に2個以上のアニオン性基を有する低分子の化合物であっても好ましく用いることができる。1分子中に2個以上のアニオン性基を有する低分子の化合物としては、例えば、コハク酸、マロン酸等の1分子中に2個のカルボキシル基又はカルボキシレート基を有する化合物を挙げられる。
カチオン性ポリマーとアニオン性ポリマーの組合せは、水の共存下で混合した場合に、ポリイオンコンプレックスを形成し、ゲル化するものであれば、いずれの組合せでもよい。特に、安全性により優れることから、カチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーのうちの少なくとも1種が生体吸収性ポリマーであるのが好ましい。
生体吸収性ポリマーとは、生分解され得るポリマーを意味する。具体的には、カチオン性ポリマーとして、キトサン、コラーゲン、ポリリシン、ポリアルギニン、ポリヒスチジン、アイオネン等が挙げられ、アニオン性ポリマーとして、アルギン酸、ヒアルロン酸、ポリグルタミン酸、コンドロイチン硫酸及びその誘導体等が挙げられる。
〔ポリアニオンを含み、pHが1.6〜5.4である溶液〕
ポリアニオンを含み、pHが1.6〜5.4である溶液(以下「ポリアニオンを含む溶液」ともいう。)中のポリアニオンの濃度は、0.01〜5.0質量%が好ましく、0.02〜2質量%がより好ましく、0.05〜1.0質量%が特に好ましい。
ポリアニオンを含む溶液の粘度は,0.1〜1000mPa・sの範囲内であることが好ましく、1〜500mPa・sの範囲内であることがより好ましく、10〜100mPa・sの範囲内であることがさらに好ましい。
ポリアニオンを含む溶液のpHは、1.6〜5.4であるが、ポリアニオンの溶解性により優れることから、1.8〜5.0の範囲内であることが好ましく、2.0〜4.5の範囲内であることがより好ましく、2.5〜4.0の範囲内であることが特に好ましい。
ポリアニオンを含む溶液のpHは、酸成分を添加することで調整できる。酸成分としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、マロン酸、シュウ酸、リンゴ酸等の有機酸、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸が挙げられる。
ポリアニオンを含む溶液には、2種類以上のポリアニオンを併用してもよい。
ポリアニオンを含む溶液の溶媒としては、ポリアニオンを溶解できるものであれば、任意の溶媒を用いることができるが、ポリアニオンの電荷量をより多くすることができるため、水又は無機塩類の水溶液が適当である。
ポリアニオンを含む溶液は、ポリアニオン及びリンゴ酸を含む溶液(本明細書中、「溶液C」ともいう。)であることが好ましい。リンゴ酸は刺激臭がより少ないため、取扱い性により優れた溶液を得ることができる。また、リンゴ酸は揮発性がより低いため、溶液のpHをより安定に維持することができる。溶液C中のリンゴ酸の含有量は、ポリアニオンの種類により適宜調整することができるが、例えば、ポリアニオン1質量部に対して0.5〜100質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましく、5〜20質量部が特に好ましい。
溶液Cには、本発明の効果を損なわない範囲内で、リンゴ酸以外の酸成分を加えてもよい。リンゴ酸以外の酸成分としては、例えば、シュウ酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、ピロリン酸、乳酸、安息香酸などの有機酸、フッ化水素、過酸化水素、炭酸、塩酸、過塩素酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸等の無機酸、及びこれらを官能基として有する有機酸等が挙げられる。
溶液Cへのリンゴ酸以外の酸成分の添加量は、溶液C全量に対して、0.01〜10質量%の範囲内であることが好ましく、0.05〜8質量%の範囲内であることがより好ましく、0.1〜6質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
〔基材〕
基材は、基材付き薄膜フィルムを製造する際の支持基板として機能する。基材として使用可能な材料としては、例えば、樹脂、シリコーン等の半導体、金属、セラミックス、ガラス、紙、不織布、無機非金属、木質、粉体等が挙げられる。基材の形状はフィルム、シート、板、曲面を有する形状等任意の形状とすることができる。その中でも量産性を考慮するとフレキシブル性を有する樹脂フィルムが好ましい。
フレキシブル性を有する樹脂フィルムを用いる場合の樹脂フィルムの厚みは、特に制限はないが、実用的な観点から、5μm〜500μmが好ましく、25〜250μmがより好ましい。
樹脂フィルムの樹脂としては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂のいずれでもよく、例えば、ポリエチレン(高密度、中密度又は低密度)、ポロプロピレン(アイソタクチック型又はシンジオタクチック型)、ポリブテン、エチレン−プレピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルベンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体、アクリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオ共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプチレンテレフタレート(PBT)、エチレン−テレフタレート−イソフタレート共重合体、ポリエチレンナフタレート、プリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エボキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ナイロン、ニトロセルロース、酢酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース系樹脂等、又はこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて(例えば2層以上の積層体として)用いることができる。
これらの樹脂フィルムの中でも特に、積層膜の接着性により優れることからポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムがさらに好ましい。
ガラスとしては、例えば、ケイ酸ガラス(石英ガラス)、ケイ酸アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリ石灰ガラス、鉛(アルカリ)ガラス、バリウムガラス、ホウケイ酸ガラス等が挙げられる。
金属としては、例えば、金、クロム、銀、銅、鉄、チタン、ニッケル、タングステン、タンタル、アルミニウム、白金等が挙げられる。また、これらの合金である、SUS316L等のステンレス鋼、Ti−Ni合金若しくはCu−Al−Mn合金等の形状記憶合金、Cu−Zn合金、Ni−Al合金、チタン合金、タンタル合金、プラチナ合金又はタングステン合金等の合金を用いることもできる。
セラミックとしては、例えば、酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ケイ素、ジルコニア、チタン酸バリウム)、窒化物(例えば、窒化ケイ素、窒化ホウ素)、硫化物(例えば、硫化カドミウム)、炭化物(例えば、炭化ケイ素)等が挙げられる。また、これらの混合物を用いることもできる。
紙としては、例えば、薄葉紙、クラフト紙、上質紙、リンター紙、バライタ紙、硫酸紙、和紙等が挙げられる。
不織布としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ナイロン、ビニロン、硝子等の繊維からなる不織布が挙げられる。紙又は不織布は、その繊維間若しくは他層との層間強度を強化したものでもよい。また、ケバ立ち防止のため、又は浸透性抑制のために、更に、アクリル樹脂、スチレンブタジエンゴム、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂を添加(抄造後樹脂含浸、又は抄造時に内填)したものでもよい。
無機非金属としては、例えば、抄造セメント、押出しセメント、スラグセメント、ALC(軽量気泡コンクリート)、GRC(硝子繊維強化コンクリート)、パルプセメント、木片セメント、石綿セメント、硅酸カルシウム、石膏、石膏スラグ等の非陶磁器窯業系材料、土器、陶器、磁器、セッ器、硝子、琺瑯等のセラミックス等の無機質材料等が挙げられる。
木質としては、例えば、杉、檜、樫、ラワン、チーク等からなる単板、合板、パーティクルボード、繊維板、集成材等が挙げられる。
粉体としては、例えば、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、板状酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化クロム、群青、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、マイカ、合成マイカ、セリサイト、タルク、シリカ、板状シリカ、カオリン、シリマナイト、水酸化クロム、亜鉛華、カーボンブラック、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、窒化ホウ素、シリカ−アルミナ粉末、ベントナイト、スメクタイト、フッ化マグネシウム、ハイドロキシアパタイト等の無機顔料、ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレート、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリエチレン粉体、シリコーン樹脂、テフロン(登録商標)パウダー、シリコーンガム、シルクパウダー、カルナバワックス、ライスワックス、デンプン、微結晶セルロース等の有機粉体、ローダミンB等の有機色素、赤色201号、黒色401号、黄色4号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機着色料、雲母チタン、酸化鉄コーティング雲母等の複合粉体、表面処理がなされている粉体等が挙げられる。その形状としては、球状、板状、針状、繊維状等通常化粧料に用いられる形状、粒径であれば構わない。好ましい粉体は無機顔料である。
また、基材の表面に、コロナ放電処理、グロー放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、オゾン処理、アルカリ又は酸等による化学的エッチング処理等を施してもよい。
基材は、基材上に樹脂膜、無機膜又は有機材料と無機材料とを含む膜(有機−無機膜)が積層されていてもよい。それら樹脂膜層、無機膜層又は有機−無機膜層からなる積層構造は基材表面の一部を覆っていればよい。また、積層構造中、最表面層に位置しない膜は、極性基を有する必要はない。
〔薄膜フィルム〕
本実施形態の薄膜フィルムは、ポリカチオンを含む溶液を用いて形成されるA層と、ポリアニオンを含み、pHが1.6〜5.4である溶液を用いて形成されるB層と、を有する。また、本実施形態の薄膜フィルムは、A層とB層が交互に積層された交互積層薄膜であることが好ましい。
A層とB層とが交互に積層されるものである場合、積層の数は特に限定されるものではないが、薄膜フィルムの透明性を確保しやすい傾向にあることから、A層及びB層のそれぞれが1〜300層であることが好ましい。また、薄膜フィルムが、自己密着性を有する程度の膜厚となりやすい傾向にあることから、A層及びB層のそれぞれが10〜100層とすることがより好ましく、20〜80層とすることが特に好ましい。
本実施形態の薄膜フィルムにおけるA層とB層の積層構造は、例えば、薄膜フィルムをIR、NMR、TOF−SIMS等で観察することにより、確認することができる。
本実施形態の薄膜フィルムの厚みは特に制限されないが、自己密着性、吸水性、乾燥状態での柔軟性等の特性がより優れたものとなることから、1nm〜300nmの範囲内であることが好ましく、10nm〜250nmの範囲内であることがさらに好ましく、20nm〜200nmの範囲内であることがより好ましい。
本実施形態の薄膜フィルムは、薬物運搬体(例えば、薬物送達系における機能性担体又は血小板代替物)として用いることもできる。薬物運搬体として用いるときには、(a)薬物、(b)標的組織/細胞を特異的に認識する部位を含む物質(特異的認識物質)、又は(c)構造体を体内で安定化させるための物質(安定化物質)等の機能性物質で修飾されていてもよい。これらの機能性物質の具体例として以下のものが挙げられる。
(a)薬物:抗炎症剤、止血剤、血管拡張薬、血栓溶解剤、抗動脈硬化剤等。
(b)特異的認識物質:コラーゲン、ラミニン、VCAM−1、セレクチン、フィブリン等。
(c)構造体を安定化させる物質:ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、多糖類、ポリグルタミン酸等。
薄膜フィルムを機能性物質で修飾させる方法としては、機能性物質が有する官能基と薄膜フィルムが有する官能基との間で化学結合を形成させる方法が挙げられる。例えば、機能性物質がヒドロキシル基又はアミノ基を有し、薄膜フィルムがイソシアナート基を有する場合、これらの官能基間でウレタン結合又はユリア結合を形成させる方法、機能性物質がカルボキシル基を有し、薄膜フィルムがアミノ基を有する場合、カルボキシル基を活性化させてアミノ基とアミド結合を形成させる方法、機能性物質及び薄膜フィルムが共にアミノ基を有する場合、アミノ基間をグルタルアルデヒドによるシッフ塩基で結合させる方法、機能性物質がカルボキシル基を有し、薄膜フィルムがアミノ基又はヒドロキシル基を有する場合、カルボキシル基と、アミノ基又はヒドロキシル基との間でアミド結合又はエステル結合を形成させる方法、機能性物質が多糖類であり、薄膜フィルムがアミノ基を有する場合、機能性物質のヒドロキシル基に対して臭化シアンによるイミドカルボネートを形成させた後、アミノ基と架橋させる方法、機能性物質及び薄膜フィルムが共にメルカプト基を有する場合、活性化メルカプト基間でジスルフィド結合を形成させる方法等を挙げることができる。
また、架橋剤として、アルキルジイミデート類、アシルジアジド類、ジイソシアネート類、ビスマレイミド類、トリアジニル類、ジアゾ化合物、グルタルアルデヒド、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)アルキオネート、ブロモシアン等を用いて、機能性物質及び薄膜フィルム中の対応する官能基と架橋させてもよい。
さらに、機能性物質が疎水性の場合、薄膜フィルムの疎水性領域に疎水性相互作用にて結合させる方法、機能性物質が水素結合性の場合、薄膜フィルムの水素結合性領域に水素結合にて結合させる方法、機能性物質が電荷を有する場合、薄膜フィルムの反対電荷領域に静電的相互作用にて結合させる方法を用いてもよい。
本実施形態の薄膜フィルムは、生体接着性を有しており、特にシート状の接着材として好適に用いられる。例えば、細胞、組織、臓器、血管壁、粘膜、角膜、皮膚、毛髪、爪、又は皮膚の接着、肝臓、脾臓等の実質臓器の切開部の接着、腸管、卵管等の吻合、硬膜、胸膜、筋膜、腹膜等の膜の接着、実質臓器からの湧出性出血を止める止血用接着材、縫合時の縫合糸穴からの出血等を止める縫合補助材、肺からの空気漏洩の防止用の接着材等として用いられる。
〔基材付き薄膜フィルムの製造方法〕
本実施形態の基材付き薄膜フィルムは、例えば、基材と、ポリカチオンを含む溶液(以下「溶液A」ともいう。)と、ポリアニオンを含み、pHが1.6〜5.4である溶液(以下「溶液B」ともいう。)とから、Langmuir,Vol.13,pp.6195−6203,(1997年)に記載された交互積層法によって製造することができる。
本実施形態の基材付き薄膜フィルムの製造方法は、具体的には、溶液A又は溶液Bに基材を接触させて、基材の表面にポリカチオン又はポリアニオンに由来する層を形成する層形成工程と、
(i)ポリカチオンに由来する層に、溶液Bを接触させて、ポリカチオンに由来する層上にポリアニオンに由来する層を形成するステップと、
(ii)ポリアニオンに由来する層に、溶液Aを接触させて、ポリアニオンに由来する層上にポリカチオンに由来する層を形成するステップと、を繰り返す積層工程と、を備える。
この交互積層法によると、基材上に形成されるポリカチオンに由来する層(又はポリアニオンに由来する層)と、溶液B(又は溶液A)とが接触することで、ポリカチオン及びポリアニオンが交互に吸着して積層膜が形成される。また、上記接触によりポリカチオン又はポリアニオンの吸着が進行して表面電荷が反転すると、さらなる静電吸着は起こらなくなるため、溶液A又は溶液Bとの接触により形成される層の厚さは制御することができる。
層形成工程では、溶液Aに基材を接触させて、基材の表面にポリカチオンに由来する層を形成するか、又は溶液Bに基材を接触させて、基材の表面にポリアニオンに由来する層を形成する。基材の表面が負に帯電している場合は前者を、基材の表面が正に帯電している場合は後者を行うことが好ましい。また、基材の表面の少なくとも一部を、溶液A又は溶液Bに接触させればよい。溶液A又は溶液Bとの接触は、2回以上に分けて行ってもよい。
積層工程では、ステップ(i)又はステップ(ii)において、表面電荷が反転すればよい。また、接触の回数は特に限定されるものではない。例えば、ステップ(i)において、溶液Bとの接触を2回以上に分けて行ってもよく、ステップ(ii)において、溶液Aとの接触を2回以上に分けて行ってもよい。
積層工程において、ステップ(i)又はステップ(ii)を繰り返す回数に特に制限はないが、薄膜フィルムの透明性を確保しやすい傾向にあることから、ポリカチオンに由来する層及びポリアニオンに由来する層のいずれもが1〜300層となるまで繰り返すことが好ましい。また、薄膜フィルムが、自己密着性を有する程度の膜厚となりやすい傾向にあることから、ポリカチオンに由来する層及びポリアニオンに由来する層のいずれもが10〜100層となるまで繰り返すことがより好ましく、20〜80層となるまで繰り返すことが特に好ましい。なお、積層工程における繰り返し回数を制御することによって、薄膜フィルムの膜厚を制御することができる。
上記製造方法においては、積層工程がステップ(i)で終わるよりも、ステップ(ii)で終わることが好ましい。これにより、ポリカチオンとして用いた物質の特性が発現しやすくなる。例えば、ポリカチオンとしてキトサンを用いた場合、キトサンの特性である抗菌性を発現しやすくなる。
上記製造方法においては、層形成工程又は積層工程における溶液A又は溶液Bとの接触後、吸着面をリンスすることが好ましい。これにより、吸着面から余分な材料を除去することができる。
リンスに用いるリンス液としては、水、有機溶媒又は水と水溶性の有機溶媒との混合溶媒が好ましい。水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等が挙げられる。
上記製造方法においては、基材、ポリカチオンに由来する層又はポリアニオンに由来する層を、溶液A又は溶液Bに浸漬することにより接触させることが好ましい。例えば、層形成工程においては、基材を溶液A又は溶液Bに浸漬することにより接触させることが好ましく、積層工程においては、ポリカチオンに由来する層(又はポリアニオンに由来する層)を溶液B(又は溶液A)に浸漬することにより接触させることが好ましい。これにより、より一層工業的に生産するのが容易となり、より一層汎用可能な製造方法とすることができる。
積層膜の形成装置として、J.Appl.Phys.,Vol.79,pp.7501−7509,(1996)、特願2000−568599号に記載されたディッパーと呼ばれる装置を用いてもよい。ディッパーを用いる場合、基材を固定したアームが自動的に動き、プログラムに従って基材を溶液A中、溶液B中又はリンス液中に順次浸漬させることができる。
交互に浸漬する方法(以下「交互浸漬法」ともいう。)によれば、表面電荷が反転する限り、膜の形成を継続することができる。そのため、通常のディップコート法よりも、交互浸漬法で形成した薄膜の膜厚均一性は高く、かつ膜厚制御性も高い。
また、交互浸漬法によれば、基材の一部又は全部が筒状、糸状、繊維、発泡体等の形状を有していても、浸漬することにより溶液が入り込むことができるものであれば、積層膜がその表面に形成されるので使用することができる。また、基材の表面が凹凸形状を有していても、表面の構造に追従して積層膜を形成することができる。さらに、基材表面がナノメートルスケール又はサブミクロンスケールの構造を有していても、その構造に追従して積層膜を形成することができる。
本実施形態の基材付き薄膜フィルムは、基材に溶液A又は溶液Bを滴下又はスプレーするスピンコート法で積層膜を形成することにより製造してもよい。その際、リンス液は滴下、スプレー若しくはシャワー又はそれらを組み合わせた方法で供給されてもよい。基材は、搬送及び回転等の運動を行っていてもよい。しかしながら、スピンコート法は溶液A、溶液B等の使用量が多く、また、一枚一枚の成膜になるため、量産性に優れないというデメリットがある。
いずれの製造方法を用いる場合も、溶液A又は溶液Bの溶媒としては、それぞれ、ポリカチオン又はポリアニオンを溶解できるものであれば、任意の溶媒を用いることができるが、ポリカチオン又はポリアニオンの電荷量をより多くすることができるため、水又は無機塩類の水溶液が適当である。ポリカチオン又はポリアニオンの溶液中の濃度は特に制限されるものではなく、各製造方法に応じて適宜設定すればよい。
さらに、ポリカチオン及びポリアニオンの少なくとも一方が塩であり、その塩におけるカチオン基又はアニオン基の対イオンを除去することによりポリカチオン又はポリアニオンの水への溶解性が低下する場合、基材付き薄膜フィルムを形成した後に薄膜フィルムに含まれる対イオンを除去することによって、薄膜フィルムの力学的強度を向上させることができる。対イオンの除去は、例えば、洗浄工程の回数を増やす、pH調整液に浸す等の方法により行うことができる。
なお、上記製造方法においては、溶液Bとして、ポリアニオン及びリンゴ酸を含む溶液(溶液C)を用いることが好ましい。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
カチオン性ポリマーとしてキトサン水溶液(キミカ社製:粘度平均分子量90,000、粘度12.5mPa・s、濃度:0.1質量%)、アニオン性ポリマーとしてアルギン酸ナトリウム水溶液(キミカ社製:粘度平均分子量100,000、粘度6.7mPa・s、濃度:0.1質量%)を用いた。また、実施例1〜5及び比較例1〜3では、酸成分として酢酸(和光純薬社製)、塩酸(和光純薬社製)又は炭酸水素ナトリウム(和光純薬社製)と炭酸ナトリウム(和光純薬社製)の混合塩基性緩衝液を用いた。実施例6〜9及び比較例4〜5では、酸成分としてリンゴ酸(和光純薬社製)、酢酸(和光純薬社製)、塩酸(和光純薬社製)又は硝酸(和光純薬社製)を用いた。溶液のpHの測定にはpHメータD−50(HORIBA社製)を用いた。
〔実施例1〕
キトサン水溶液は、上記0.1質量%のキトサン水溶液をそのまま使用した。アルギン酸ナトリウム水溶液は、0.1質量%アルギン酸ナトリウム水溶液に酢酸を滴下して、pHを3.0に調整したものを使用した。
SiO基板(旭日産業製、5インチシリコンウエハ:30mm×70mm×1.0mm厚)を、(ア)キトサン水溶液に1分間浸漬した後、リンス用の超純水(比抵抗18MΩ・cm)に1分間浸漬し、(イ)アルギン酸ナトリウム水溶液に1分間浸漬した後、リンス用の超純水に1分間浸漬した。
(ア)と(イ)を順番に行う手順を1サイクルとして、このサイクルを30回繰り返し、SiO基板上にキトサンとアルギン酸ナトリウムの積層膜を得た。得られた積層膜の膜厚をエリプソメータ(溝尻光学社製、光源633nm)によって測定した。その結果、膜厚は80nmであった。
〔実施例2〕
アルギン酸ナトリウム水溶液として、0.1質量%アルギン酸ナトリウム水溶液に酢酸を滴下して、pHを3.5に調整したものを使用したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた積層膜の膜厚は60nmであった。
〔実施例3〕
アルギン酸ナトリウム水溶液として、0.1質量%アルギン酸ナトリウム水溶液に酢酸を滴下して、pHを4.0に調整したものを使用したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた積層膜の膜厚は40nmであった。
〔実施例4〕
アルギン酸ナトリウム水溶液として、0.1質量%アルギン酸ナトリウム水溶液に酢酸を滴下して、pHを5.0に調整したものを使用したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた積層膜の膜厚は10nmであった。
〔実施例5〕
SiO基板に代えてPET(東洋紡社製,A4100,膜厚:125μm)を基材として使用したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた積層膜の膜厚は85nmであった。
基材としてPETを用いた場合、SiO基板を用いた場合よりも膜厚を厚くすることが可能であった。
〔比較例1〕
pH調整剤を添加せず、0.1質量%アルギン酸ナトリウム水溶液(pH5.5)をそのまま使用したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、膜形成には至らなかった。
〔比較例2〕
アルギン酸ナトリウム水溶液として、0.1質量%アルギン酸ナトリウム水溶液に、炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合塩基性緩衝液を滴下して、pHを10に調整したものを使用したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、膜形成には至らなかった。
〔比較例3〕
アルギン酸ナトリウム水溶液として、0.1質量%アルギン酸ナトリウム水溶液に塩酸を滴下して、pHを1.5に調整したものを使用したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、アルギン酸ナトリウムが不溶化して沈殿し、膜形成には至らなかった。
Figure 2015037614
ポリアニオン(アニオン性ポリマー)を含む溶液のpHが1.6〜5.4の範囲に含まれるとき、交互浸漬法により効率よく基材付き薄膜フィルムを製造することができた(図1、表1)。pHが1.6〜5.4であることにより、ポリカチオン(カチオン性ポリマー)中のカチオン性基が効率よく正に荷電し、ポリアニオン(アニオン性ポリマー)の吸着を促進するためではないかと考えられる。
比較例1は、pHを調整していないポリアニオン(アニオン性ポリマー)溶液となっており、従来のスピンコート法で用いられるものである。比較例1の結果から明らかなとおり、当該ポリアニオン溶液を用いる交互浸漬法では、吸着特性に劣り、膜形成に至らなかった。すなわち、ポリアニオンを含み、pHが1.6〜5.4である溶液は吸着特性に優れており、この溶液を用いて製造された薄膜フィルムは、従来の薄膜フィルムとは異なった特性を有する。
〔実施例6〕
キトサン水溶液は、上記0.1質量%のキトサン水溶液をそのまま使用した。アルギン酸ナトリウム水溶液は、0.1質量%アルギン酸ナトリウム水溶液100質量部に対して、リンゴ酸1質量部をアルギン酸ナトリウム水溶液に添加したものを使用した。アルギン酸ナトリウム水溶液のpHは、2.5であった。
SiO基板(旭日産業製、5インチシリコンウエハ:30mm×70mm×1.0mm厚)を(ア)キトサン水溶液に1分間浸漬した後、リンス用の超純水(比抵抗18MΩ・cm)に1分間浸漬し、(イ)アルギン酸ナトリウム水溶液に1分間浸漬した後、リンス用の超純水に1分間浸漬した。
(ア)と(イ)を順番に行う手順を1サイクルとして、このサイクルを30回繰り返し、SiO基板上にキトサンとアルギン酸ナトリウムの積層膜を得た。得られた積層膜の膜厚をフィルメトリスクによって測定した。その結果、膜厚は100nmであった。
〔実施例7〕
サイクルの繰り返し回数を23回にしたこと以外は、実施例6と同様の操作により、積層膜を得た。得られた積層膜の膜厚は75nmであった。
〔実施例8〕
SiO基板に代えてPET(東洋紡社製,A4100,厚み:125μm)を基材として使用したこと以外は実施例6と同様の操作を行った。得られた積層膜の膜厚は110nmであった。
基材としてPETを用いた場合、SiO基板を用いた場合よりも膜厚を厚くすることが可能であった。
〔実施例9〕
アルギン酸ナトリウム水溶液として、0.1質量%アルギン酸ナトリウム水溶液100質量部に対して、酢酸1質量部を滴下したものを使用したこと以外は実施例6と同様の操作を行った。アルギン酸ナトリウム水溶液のpHは、3.5であった。また、得られた積層膜の膜厚は75nmであった。
〔比較例4〕
アルギン酸ナトリウム水溶液として、0.1質量%アルギン酸ナトリウム水溶液100質量部に対して、塩酸1質量部を滴下したものを使用したこと以外は実施例6と同様の操作を行った。アルギン酸ナトリウム水溶液のpHは、1.4であった。その結果、アルギン酸ナトリウムが不溶化して沈殿し、膜形成には至らなかった。
〔比較例5〕
アルギン酸ナトリウム水溶液として、0.1質量%アルギン酸ナトリウム水溶液100質量部に対して、硝酸1質量部を滴下したものを使用したこと以外は実施例6と同様の操作を行った。アルギン酸ナトリウム水溶液のpHは1.3であった。その結果、アルギン酸ナトリウムが不溶化して沈殿し、膜形成には至らなかった。
Figure 2015037614

Claims (12)

  1. 基材と、該基材上に形成された薄膜フィルムとを備え、
    前記薄膜フィルムが、ポリカチオンを含む溶液を用いて形成されるA層と、ポリアニオンを含み、pHが1.6〜5.4である溶液を用いて形成されるB層と、を有する、
    基材付き生体接着用薄膜フィルム。
  2. ポリアニオンを含み、pHが1.6〜5.4である溶液が、ポリアニオン及びリンゴ酸を含む溶液である、請求項1に記載の基材付き生体接着用薄膜フィルム。
  3. 前記薄膜フィルムは、前記A層と前記B層とが交互に積層されたものである、請求項1又は2に記載の基材付き生体接着用薄膜フィルム。
  4. 前記ポリカチオンが、1分子中に2個以上のアミノ基を有するカチオン性ポリマーである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基材付き生体接着用薄膜フィルム。
  5. 前記カチオン性ポリマーが、塩基性多糖類若しくはその誘導体又はそれらの塩である、請求項4に記載の基材付き生体接着用薄膜フィルム。
  6. 前記塩基性多糖類が、キトサンである、請求項5に記載の基材付き生体接着用薄膜フィルム。
  7. 前記ポリアニオンが、1分子中に2個以上のカルボキシル基又はカルボキシレート基を有するアニオン性ポリマーである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の基材付き生体接着用薄膜フィルム。
  8. 前記アニオン性ポリマーが、酸性多糖類若しくはその誘導体又はそれらの塩である、請求項7に記載の基材付き生体接着用薄膜フィルム。
  9. 前記酸性多糖類が、アルギン酸である、請求項8に記載の基材付き生体接着用薄膜フィルム。
  10. ポリカチオンを含む溶液、又はポリアニオンを含み、pHが1.6〜5.4である溶液に基材を接触させて、該基材の表面にポリカチオン又はポリアニオンに由来する層を形成する層形成工程と、
    (i)ポリカチオンに由来する層に、ポリアニオンを含み、pHが1.6〜5.4である溶液を接触させて、前記ポリカチオンに由来する層上にポリアニオンに由来する層を形成するステップと、
    (ii)ポリアニオンに由来する層に、ポリカチオンを含む溶液を接触させて、前記ポリアニオンに由来する層上にポリカチオンに由来する層を形成するステップと、
    を繰り返す積層工程と、
    を備える、基材付き生体接着用薄膜フィルムの製造方法。
  11. ポリアニオンを含み、pHが1.6〜5.4である溶液が、ポリアニオン及びリンゴ酸を含む溶液である、請求項10に記載の製造方法。
  12. 前記積層工程を、ポリカチオンに由来する層及びポリアニオンに由来する層がいずれも1〜300層となるまで繰り返す、請求項10又は11に記載の製造方法。
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