JP2015035978A - ガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法、ハイドロゲル材料の製造方法、ガラス化後のハイドロゲル膜、ガラス化後のハイドロゲル膜の乾燥体、細胞シート、およびガラス化後のハイドロゲル膜の製造装置 - Google Patents

ガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法、ハイドロゲル材料の製造方法、ガラス化後のハイドロゲル膜、ガラス化後のハイドロゲル膜の乾燥体、細胞シート、およびガラス化後のハイドロゲル膜の製造装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2015035978A
JP2015035978A JP2013168393A JP2013168393A JP2015035978A JP 2015035978 A JP2015035978 A JP 2015035978A JP 2013168393 A JP2013168393 A JP 2013168393A JP 2013168393 A JP2013168393 A JP 2013168393A JP 2015035978 A JP2015035978 A JP 2015035978A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrogel
vitrification
membrane
film
mold
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013168393A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6240997B2 (ja
Inventor
俊明 竹澤
Toshiaki Takezawa
俊明 竹澤
歩 宮▲崎▼
Ayumi Miyazaki
歩 宮▲崎▼
誠一 横尾
Seiichi Yokoo
誠一 横尾
史郎 天野
Shiro Amano
史郎 天野
聡 山上
Satoshi Yamagami
聡 山上
絢子 吉田
Ayako Yoshida
絢子 吉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Agrobiological Sciences
Original Assignee
National Institute of Agrobiological Sciences
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Agrobiological Sciences filed Critical National Institute of Agrobiological Sciences
Priority to JP2013168393A priority Critical patent/JP6240997B2/ja
Publication of JP2015035978A publication Critical patent/JP2015035978A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6240997B2 publication Critical patent/JP6240997B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)

Abstract

【課題】適度な強度を有しつつ高い透明度を併せ持つガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法、ハイドロゲル材料の製造方法、ガラス化後のハイドロゲル膜、ガラス化後のハイドロゲル膜の乾燥体、細胞シート、およびガラス化後のハイドロゲル膜の製造装置の提供。【解決手段】1)ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体に紫外線を照射した後に再水和する工程Dを含むことを特徴とするガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法。2)前記工程Dの前に、ガラス化工程を経ていないハイドロゲルから自由水を除去してガラス化させて、ハイドロゲル乾燥体を得る工程Aを含むガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法。3)前記工程Aは半球状凸面を有する鋳型と半球状凹面を有する鋳型との間に完全にはゲル化していない状態のハイドロゲルを配置させて、前記ハイドロゲル乾燥体を得る工程であるガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法、ハイドロゲル材料の製造方法、ガラス化後のハイドロゲル膜、ガラス化後のハイドロゲル膜の乾燥体、細胞シート、およびガラス化後のハイドロゲル膜の製造装置に関する。
細胞外マトリックス成分を含有したハイドロゲルを、低温でゆっくりと乾燥させ、ガラス化工程を経た後に、このハイドロゲル乾燥体を再水和して得られるガラス化後のハイドロゲルが開示されている。ハイドロゲルをガラス化させることにより、適度な強度を保持したハイドロゲル乾燥体を得ることができる。また、ワイヤ、針金、ナイロン繊維等の支持体と一体化させて取り扱い性を高めたガラス化後のハイドロゲルが開示されている(特許文献1)。
またハイドロゲルに重力を利用した自由水の除去工程を導入することで得られる、糸状、管状、および棒状のハイドロゲル乾燥体、ならびに再水和して得られるガラス化後のハイドロゲルが報告されている(特許文献2)。
さらに、壁面鋳型を用いて、ハイドロゲル内の自由水の一部を基盤と壁面鋳型の隙間から流出させてハイドロゲルからの自由水の除去を促進させ、ゲル内の自由水を除去する時間を短縮させる技術が報告されている(特許文献3)。
特開平8−228768号公報 特開2007−204881号公報 国際公開第2012/026531号
従来のガラス化した後に再水和して得られるガラス化後のハイドロゲルも、ある程度の強度と透明性を有していた。しかし、ハイドロゲルの強度を高める目的で細胞外マトリックス成分濃度を高めた場合などでは、ガラス化後のハイドロゲルが白濁する場合があった。したがって、適度な強度を有しつつも、従来よりもさらに高い透明度を併せ持つガラス化後のハイドロゲルの製造については、未だ検討の余地があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、適度な強度を有しつつ高い透明度を併せ持つガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法、ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体に紫外線照射を施したハイドロゲル材料の製造方法、ガラス化後のハイドロゲル膜、ガラス化後のハイドロゲル膜の乾燥体、該ガラス化後のハイドロゲル膜を用いた細胞シート及びガラス化後のハイドロゲル膜の製造に用いる製造装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体に紫外線を照射した後に再水和する工程を有することで、高い強度及び透明性を有するガラス化後のハイドロゲル膜が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記の特徴を有する、紫外線を照射した後に再水和する工程を含むガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法、ハイドロゲル材料の製造方法、ガラス化後のハイドロゲル膜、ガラス化後のハイドロゲル膜の乾燥体、細胞シート、およびガラス化後のハイドロゲル膜の製造装置を提供するものである。
(1)ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体に紫外線を照射した後に再水和する工程Dを含むことを特徴とするガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法。
(2)前記工程Dの前に、ガラス化工程を経ていないハイドロゲルから自由水を除去してガラス化させて、ハイドロゲル乾燥体を得る工程Aを含む前記(1)に記載のガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法。
(3)前記工程Aは半球状凸面を有する鋳型と半球状凹面を有する鋳型との間に完全にはゲル化していない状態のハイドロゲルを配置させて、前記ハイドロゲル乾燥体を得る工程である前記(2)に記載のガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法。
(4)前記工程Aと前記工程Dの間に、前記ハイドロゲル乾燥体を再水和させてガラス化後のハイドロゲルを得る工程Bと、
前記工程Bの後に、前記ガラス化後のハイドロゲルを再びガラス化させてガラス化後のハイドロゲル再乾燥体を得る工程Cと、を含む前記(2)又は(3)に記載のガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法。
(5)前記紫外線の総照射量が100〜6000mJ/cmである前記(1)〜(4)のいずれか一つに記載のガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法。
(6)前記半球状凸面及び前記半球状凹面が、哺乳動物の眼球の角膜に対応する曲率半径を有する前記(3)〜(5)のいずれか一つに記載のガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法。
(7)前記ハイドロゲルが細胞外マトリックス成分を含有する前記(1)〜(6)のいずれか一つに記載のガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法。
(8)前記細胞外マトリックス成分がブタ由来アテロコラーゲンである前記(7)に記載のガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法。
(9)前記(1)〜(8)のいずれか一つに記載のガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法を用いて得られることを特徴とするガラス化後のハイドロゲル膜。
(10)400nmにおける吸光度が0.05〜0.3である前記(9)に記載のガラス化後のハイドロゲル膜。
(11)細胞外マトリックス成分を1cmあたり0.1〜10.0mg含有する前記(9)又は(10)に記載のガラス化後のハイドロゲル膜。
(12)膜の厚さが1〜1000μmである前記(9)〜(11)のいずれか一つに記載のガラス化後のハイドロゲル膜。
(13)ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体に紫外線を照射する工程D1を含むことを特徴とするガラス化後のハイドロゲル再乾燥体に紫外線照射を施したハイドロゲル材料の製造方法。
(14)前記(9)〜(12)のいずれか一つに記載のガラス化後のハイドロゲル膜を乾燥して得られることを特徴とするガラス化後のハイドロゲル膜の乾燥体。
(15)前記(9)〜(12)のいずれか一つに記載のガラス化後のハイドロゲル膜に細胞が付着してなることを特徴とする細胞シート。
(16)半球状凹面を有する鋳型と、該半球状凹面に対向して配置される半球状凸面を有する鋳型と、該凹面又は凸面を囲んで配置される壁面鋳型とを備えたことを特徴とする、ガラス化後のハイドロゲル膜の製造装置。
本発明のガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法によれば、適度な強度と透明度を併せ持つガラス化後のハイドロゲル膜が得られる。
また、本発明のガラス化後のハイドロゲル膜は適度な強度と透明度を有しているので、生体移植材料をはじめとする優れた新規材料として利用できる。
本明細書中における各工程、並びに各工程を経た後のゲル及びゲル乾燥体の呼称を説明した図である。 ガラス化後のハイドロゲル膜の製造装置の一例を示す断面図である。 ガラス化後のハイドロゲル膜の製造装置の一例を示す斜視図である。 本発明のガラス化後のハイドロゲル膜の製造工程の第一実施形態を、模式的に示した図である。 実施例1〜5において得られたガラス化後のハイドロゲル膜(図中で「水和体」と表示した)及びそれを乾燥して得られた乾燥体(図中で「乾燥体」と表示した)、並びに比較例1において得られたガラス化後のハイドロゲル(図中で「水和体」と表示した)およびガラス化後のハイドロゲル再乾燥体(図中で「乾燥体」と表示した)の吸光度の測定結果を示した図である。 実施例1〜5において得られた各「ガラス化後のハイドロゲル膜」および比較例1において得られたガラス化後のハイドロゲルの透明度を比較した画像である。 実施例6における、半球面状のガラス化後のハイドロゲル膜の製造工程(工程A)の一部を模式的に説明した図である。 実施例6における、半球面状のガラス化後のハイドロゲル膜の製造工程(工程A)の一部を模式的に説明した図である。 実施例6における、半球面状のガラス化後のハイドロゲル膜の製造工程(工程B)を模式的に説明した図である。 実施例6における、半球面状のガラス化後のハイドロゲル膜の製造工程(工程C〜D)を模式的に説明した図である。 実施例6における、半球面状のガラス化後のハイドロゲル膜の製造工程(工程C〜D)を模式的に説明した図である。 実施例7および実施例8における、ガラス化後のハイドロゲル膜の角膜上皮面への移植結果を示す画像である。 実施例9および実施例10における、ガラス化後のハイドロゲル膜の角膜実質層間への移植結果を示す画像である。 実施例11および実施例12における、ガラス化後のハイドロゲル膜の角膜内皮面への移植結果を示す画像である。 実施例13における、平面状のガラス化後のハイドロゲル膜上、比較例2におけるガラス化後のハイドロゲル上、での角膜上皮細胞の培養結果を示す画像である。 実施例14における、半球面状のガラス化後のハイドロゲル膜上での角膜内皮細胞の培養結果を示す画像である。
本発明において、「ハイドロゲル」とは、高分子が化学結合によって網目状構造をとり、その網目に多量の水を保有した物質を指し、より具体的には、天然物由来の高分子や合成高分子の人工素材に架橋を導入してゲル化させたものをいう。
本明細書中において、「ガラス化後のハイドロゲル」とは、ガラス化(vitrification)の工程を経て作製されたハイドロゲルのことを指す。
尚、本明細書中においては、ハイドロゲル膜の作製工程を詳細に説明するにあたり、当該ガラス化工程の直後であり再水和の工程を経ていないハイドロゲルの乾燥体に対しては、単に「ハイドロゲル乾燥体」とした。そして、当該ガラス化工程の後に再水和の工程を経て得られたゲルを「ガラス化後のハイドロゲル」として区別して表し、そのゲルをガラス化させて得られた乾燥体を「ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体」とした。また、ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体に紫外線照射する工程(後述の工程D1)を施して得られるものを「ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体に紫外線照射処理を施したハイドロゲル材料」とし、該ハイドロゲル材料に再水和する工程(後述の工程D2)を施して得られるゲルを「ガラス化後のハイドロゲル膜」とし、ガラス化後のハイドロゲル膜を乾燥させて得られた乾燥体を「ガラス化後のハイドロゲル膜の乾燥体」とした。従って、「ガラス化後のハイドロゲル」及び「ガラス化後のハイドロゲル膜」は水和体である。本明細書中における各工程、並びに各工程を経た後のゲル及びゲル乾燥体の呼称を図1に示す。
《ガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法》
以下、実施形態を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではない。
[第1実施形態]
本実施形態のガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法は、
半球状凸面を有する鋳型と半球状凹面を有する鋳型との間に完全にはゲル化していない状態のハイドロゲルを配置させて、前記ハイドロゲル乾燥体を得る工程A、を含む。
(工程A)
ここで、半球状凸面を有する鋳型および半球状凹面を有する鋳型として、該鋳型を備えた製造装置の一例を図2に示す。図2左に示す製造装置10は、下方に半球状凹面を有する半球状凹面鋳型1aと、半球状凹面鋳型1aの上方に半球状凹面鋳型1aに対向して配置され、該凹面と対応する形状の半球状凸面を有する半球状凸面鋳型2aと、該凹面を囲んで配置される壁面鋳型3とを備える。又は、下方と上方に配置される鋳型の凹面と凸面の組み合わせは逆でもよく、図2右に示すように、下方に半球状凸面鋳型2bと、半球状凸面鋳型2bの上方に配置され該凸面と対応する形状の凹面を有する半球状凹面鋳型1bとの組み合わせであってもよい。
壁面鋳型3は、上面、底面を有していない筒状の枠体とすることができ、壁面鋳型の形状は、所望のガラス化後のハイドロゲル膜の形状と同形状に設計することができる。具体的には、例えば円形のガラス化後のハイドロゲル膜を作製する場合には、壁面(枠)が環状のもの(円筒状)を使用することができる。また、矩形のガラス化後のハイドロゲル膜を作製する場合には、壁面(枠)が矩形上のもの(角筒状)とすることができる。図3に本発明の製造装置の一例である製造装置10の斜視図を示す。
以下、工程Aについて説明する。図4は、本実施形態のガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法の一実施形態を例示した模式図である。
例えば、下方に半球状凹面鋳型1aを配置し、該凹面を囲むように半球状凹面鋳型1aの上に壁面鋳型3を配置し、壁面鋳型内部にゾルを注入して、完全にはゲル化していない状態のハイドロゲルを保持させ、上方に半球状凸面鋳型2aを配置することで、半球状凸面鋳型2aと半球状凹面鋳型1aとの間に完全にはゲル化していない状態のハイドロゲルを配置させることができる。
このとき半球状凸面鋳型2aと半球状凹面鋳型1aとの間に、さらに支持体を配置してもよい。支持体としては、ナイロン膜、ワイヤ、針金等によって成形した環状体や、ガーゼ、その他の織成体等からなる網状体等の適宜なものであってよく、生体吸収体としてもよい。その使用態様に応じてその形状、大きさ、素材等を選択すればよい。
ガラス化後のハイドロゲル膜の作製に用いられる細胞外マトリックス成分としては、例えば、コラーゲン(I型、II型、III型、V型、XI型など)、マウスEHS腫瘍抽出物(IV型コラーゲン、ラミニン、ヘパラン硫酸プロテオグリカンなどを含む)より再構成された基底膜成分(商品名:マトリゲル)、ゼラチン、寒天、アガロース、フィブリン、グリコサミノグリカン、ヒアルロン酸、プロテオグリカンなどを例示することができる。それぞれのゲル化に至適な塩等の成分、その濃度、pHなどを選択しハイドロゲルを作製することが可能である。複数種の原料を組み合わせることで、様々な生体内組織を模倣したガラス化後のハイドロゲル膜を得ることができる。
また、ハイドロゲルの作製に用いられる合成高分子としては、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、poly(II−hydroxyethylmethacrylate)/polycaprolactoneなどが挙げられる。また、これらの高分子を2種以上用いてハイドロゲルを作製することも可能である。ハイドロゲルの量は、作製するガラス化後のハイドロゲル膜の厚さを考慮して調節することができる。
なかでも、ハイドロゲルの原料はコラーゲンが好ましく、コラーゲンゲルを用いる場合には、コラーゲンゾルを、半球状凹面鋳型1a上に配置された壁面鋳型3内部に注入し、保温してゲル化を誘導させたものを使用することができる。
更に、コラーゲンのなかでもより好ましいハイドロゲルの原料として、ブタ由来アテロコラーゲンを例示できる。ブタ由来のコラーゲンのゾルは、同濃度のウシ由来のネイティブコラーゲンのゾルよりも粘性が低いため、ゾルの濃度を高めた場合でも均一な状態のゲルを製造することができ、さらにウシ由来のコラーゲンのように反芻動物由来基準に抵触する恐れも無い。また、アテロコラーゲンは、ネイティブコラーゲンよりも、炎症反応やアレルギー反応を起こしにくいコラーゲンである。そのため、ブタ由来アテロコラーゲンを用いることで、生体移植材料として非常に優れたガラス化後のハイドロゲル膜を製造することができる。
ブタアテロコラーゲンゾルを使用する場合を例に説明すると、コラーゲンゾルは、至適な塩濃度を有するものとして、生理食塩水、PBS(Phosphate Buffered Saline)、HBSS(Hank’s Balanced Salt Solution)、基礎培養液、無血清培養液、あるいは血清含有培養液などで調製することができる。また、コラーゲンゲル化の際の溶液のpHは、6から8程度が好ましい。
特に無血清培養液を用いる場合、他動物血清成分中に含まれる移植に適さない物質(抗原、病原因子等)がゲル膜に含まれることを回避できるため、生体移植材料としてより好ましいガラス化後のハイドロゲル膜とすることができる。
ここで、コラーゲンゾルの調製は4℃で行うのが望ましい。その後、ゲル化する際の保温は、用いるコラーゲンの動物種に依存したコラーゲンの変性温度より低い温度でなければならないが、一般的には20℃〜37℃の温度で数分から数十分でゲル化できる温度に保温して行うことができる。
また、コラーゲンの濃度が0.2%以上のアテロコラーゲンゾルはゲル化が弱すぎることがなく、コラーゲンの濃度が0.8%以下のアテロコラーゲンゾルは均一化も容易となる。したがって、アテロコラーゲンゾルのコラーゲンの濃度は0.4〜0.6%が好ましく、より好ましくは0.5%程度である。
このように調整されたアテロコラーゲンゾルを壁面鋳型3内部に注入する。前記濃度のアテロコラーゲンゾルは粘性を有しているため、アテロコラーゲンゾルを壁面鋳型3内部に注入して迅速に保温すれば、アテロコラーゲンゾルは半球状凹面鋳型1aと壁面鋳型3との間隙から流出することなく数分以内にゲル化することができる。
そして、上記のように、下方に半球状凹面鋳型1aを配置し、該凹面を囲むように半球状凹面鋳型1aの上に壁面鋳型3が配置されると、両者は当接状態となるが、物理的には半球状凹面鋳型1aと壁面鋳型3の表面が当接する面の細かな凸凹により、自由水を流出させることができる程度のわずかな隙間が形成されることになる。そうすると、前記の完全にはゲル化していない状態のハイドロゲルがゲル化された後、当該ハイドロゲル内の自由水を除去することができる。
このとき、上方に配置される半球状凸面鋳型2aおよび半球状凹面鋳型1bは、図2及び図3中で示されるように、壁面鋳型3の筒内に挿入可能な棒状の形態であってもよい。このような形態とすることで、棒状の半球状凸面鋳型2a又は半球状凹面鋳型1bが筒内を自重により落下し、ハイドロゲルに一定の圧力をかけることができ、より効率的に自由水を流出させることが可能となる。上方に配置される棒状の鋳型の重さは、ハイドロゲルの種類や濃度により適宜定められる。
次いで、ハイドロゲル乾燥体を得るため、ハイドロゲルを乾燥させ、ハイドロゲル内の自由水を完全に除去し、さらに結合水の部分除去を進行させる。この際、ゲルの乾燥を促進させるため、半球状凹面鋳型1a上にハイドロゲルを残して、上方に配置された半球状凸面鋳型2aおよび壁面鋳型3を取り除くことが好ましい。ハイドロゲルは自由水が流出しているために、半球状凹面鋳型1a上で変形等することなく、半球状凸面鋳型2aおよび壁面鋳型3に保持された形状を維持することができる。
このガラス化工程(ハイドロゲル内の自由水を完全に除去した後に、結合水の部分除去を進行させる工程)の期間を長くするほど、再水和した際には透明度、強度に優れたガラス化後のハイドロゲル膜を得ることができる。なお、必要に応じて短期間のガラス化後に再水和して得たガラス化後のハイドロゲル膜をPBS等で洗浄し、再度ガラス化することもできる。
乾燥方法としては、例えば、風乾、密閉容器内で乾燥(容器内の空気を循環させ、常に乾燥空気を供給する)、シリカゲルを置いた環境下で乾燥する等、種々の方法を用いることができる。例えば、風乾の方法としては、10℃40%湿度で無菌に保たれたインキュベーターで2日間乾燥させる、もしくは無菌状態のクリーンベンチ内で一昼夜、室温で乾燥する等の方法を例示することができる。
前記半球状凸面及び前記半球状凹面は、哺乳動物の眼球の角膜に対応する曲率半径を有していることが好ましい。これにより、製造されたガラス化後のハイドロゲル膜を哺乳動物の眼球の角膜に対応する曲率半径を有するゲル膜とすることができる。哺乳動物の眼球の角膜に対応する曲率半径を有するゲル膜は、該動物の眼球の角膜移植材料として好適に用いることができる。前記曲率半径は、移植先の眼球の形状に合わせて適宜定めることができるため、移植時のゲル膜と眼球との適合性を格段に高めることが可能である。ここでいう「角膜に対応する」とは、角膜の層の全ての部分に対応することを指し、角膜前面に対してでも、角膜後面に対してでもよい。またここでいう「対応する」とは、移植先の眼球において、本来の角膜の曲率半径とほぼ一致していることを意味し、「ほぼ一致」するとは、角膜移植材料として用いた場合、移植先の任意の眼球部分の面に沿って良好に付着できる一致の状態を指す。
本実施形態のガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法は、工程Aの後に、
前記ハイドロゲル乾燥体を再水和させてガラス化後のハイドロゲルを得る工程Bと、
前記工程Bの後に、前記ガラス化後のハイドロゲルを再びガラス化させてガラス化後のハイドロゲル再乾燥体を得る工程Cと、
ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体に紫外線を照射する工程D1と該工程D1を経て作製されたガラス化後のハイドロゲル再乾燥体に紫外線照射を施したハイドロゲル材料を再水和する工程D2と、を含む。なお、以下の本実施形態の説明では、工程D1および工程D2からなる工程を工程Dとして説明する。
本実施形態において、工程Dにおいて紫外線を照射する対象の「ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体」は、工程A、工程B及び工程Cの順で作製された「ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体」、或いはその後、更に、工程D及び工程Cの順を経て作製された「ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体」である。
以下、各工程について説明する。
(工程B)
ハイドロゲル乾燥体をPBSや使用する培養液などで再水和することでガラス化後のハイドロゲルを得ることができる。ここで、再水和する液体には、生理活性物質などの各種の成分が含まれていてもよく、例えば、生理活性物質としては、抗生物質をはじめとする各種医薬品、細胞増殖因子、分化誘導因子、細胞接着因子、抗体、酵素、サイトカイン、ホルモン、レクチン、またはゲル化しない細胞外マトリックス成分としてファイブロネクチン、ビトロネクチン、エンタクチン、オステオポエチン等が挙げられる。また、これらを複数含有させることも可能である。
(工程C)
乾燥方法は、工程Aと同様に、風乾、密閉容器内で乾燥(容器内の空気を循環させ、常に乾燥空気を供給する)、シリカゲルを置いた環境下で乾燥する等、種々の方法を用いることができる。ガラス化後のハイドロゲルを再乾燥させることで、ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体を得ることができる。
(工程D)
紫外線の照射には、公知の紫外線照射装置を使用することができる。
ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体への紫外線の照射エネルギーは、単位面積あたりの総照射量が、100〜6000mJ/cmであることが好ましく、1000〜4000mJ/cmであることがより好ましく、2200〜3200mJ/cmであることがさらに好ましい。この範囲の照射量であると、ガラス化後のハイドロゲル膜の透明度および強度を特に好ましいものとすることができる。
また、ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体への紫外線の照射は、複数回繰り返し行ってもよい。ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体への紫外線の照射を繰り返す場合、1度目の紫外線の照射を行った後に、ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の再水和および再ガラス化の工程を行い、その後2度目以降のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体への紫外線の照射を行うことが好ましい。
単位面積あたりの紫外線総照射量が同一であるとき、ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体への紫外線の照射を、複数回に分割して繰り返して行うことで、ガラス化後のハイドロゲル膜の透明度および強度をより高めることができる。また分割の回数は多いほど好ましい。例えば、ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体への紫外線の照射の単位面積あたりの総照射量が、1000〜4000mJ/cmの範囲であるとき、該範囲内での照射回数が2〜10回であることが好ましく、2〜6回であることがより好ましい。
また、ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体への紫外線の照射を繰り返す場合、紫外線の照射部位を、ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の一方の面と他方の面(上面と下面)とに分けて照射して、その総照射量を、ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体への単位面積あたりの紫外線総照射量としてもよい。
紫外線の照射を、ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体に行うことで、ガラス化後のハイドロゲル膜の強度と透明度が高まることは、ガラス化後のハイドロゲル膜内の高分子化合物同士が、紫外線によって架橋されるからと考えられる。つまり、当該操作により、高い透明度と強度をガラス化後のハイドロゲル膜に維持させることができると考えられる。
本実施形態によれば、適度な強度と透明度を併せ持つ半球面状のガラス化後のハイドロゲル膜が得られる。
《ガラス化後のハイドロゲル膜》
本発明のガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法によって得られる本発明のガラス化後のハイドロゲル膜は、以下に説明するような物性を有することが好ましい。
本発明のガラス化後のハイドロゲル膜は、400nmにおける吸光度が0.05〜0.3であることが好ましく、0.05〜0.2であることがより好ましく、0.05〜0.12であることがさらに好ましい。前記吸光度が上記範囲にあるガラス化後のハイドロゲル膜は、透明度が非常に高いため、高い透明度が要求される材料、例えば、角膜代替物や角膜細胞移植用キャリアとして特に好適である。
さらに、本発明のガラス化後のハイドロゲル膜が優れる点として、物質透過性を挙げることができる。角膜には血管が存在せず、角膜への酸素、栄養等の物質交換は角膜の周囲の涙や前眼房水より行われる。したがって、角膜への移植に相応しい材料の条件としては、物質透過性に優れることが挙げられる。その点、本発明のガラス化後のハイドロゲル膜は、分子量200kDa以上の高分子を透過することができるため、角膜の細胞への物質交換を妨げることのない、角膜への移植に大変適した材料である。
本発明のガラス化後のハイドロゲル膜は、使用時に破れる恐れが低く、実用上大変優れるものである。特に上記のような角膜代替物や角膜細胞移植用キャリアとして用いる場合、本発明のガラス化後のハイドロゲル膜の強度は、移植操作に耐え得る強度であり角膜本来の強度とも近しいとの観点から好ましい。
本発明のガラス化後のハイドロゲル膜は、細胞外マトリックス成分を該膜の単位面積1cm2あたり0.1〜10.0mg含有することが好ましく、0.5〜5.0mg含有することがより好ましく、1.0〜4.0mg含有することがさらに好ましい。特に、アテロコラーゲンを1cm2あたり0.25〜5.0mg含有することで、強度および透明性において、好ましいガラス化後のハイドロゲル膜とすることができ、1.5〜2.5mg含有させることで、強度および透明性において、より好ましいガラス化後のハイドロゲル膜とすることができる。なお、「該膜の単位面積1cm2あたり」とは、膜の厚さを任意として、該膜片1cm2あたりに含有される成分を指す。
本発明のガラス化後のハイドロゲル膜の厚さは特に制限されないが、1〜1000μmであることが好ましく、1〜500μmであることがより好ましく、2.5〜100μmであることがさらに好ましく、5.0〜50.0μmであることが特に好ましい。このようなゲル膜の厚さは、本発明のガラス化後のハイドロゲル膜を角膜代替物や角膜細胞移植用キャリアとして用いる場合にも、好適な厚さであるため好ましい。
《細胞シート》
本発明の細胞シートは、本発明のガラス化後のハイドロゲル膜に細胞が付着してなるものである。本発明のガラス化後のハイドロゲル膜は、紫外線照射により強度および透明性が増すことに加え、細胞付着性も上昇する。そのため、細胞が付着してなる細胞シートとしても、従来品より優れるものである。当該細胞は、細胞シート上で培養されてもよい。本発明のガラス化後のハイドロゲル膜は生体適合性に優れるので、例えば、ゲル膜に自己由来の細胞が付着した細胞シートは、移植材料として用いることができる。
細胞シートに付着する細胞の種類や状態は特に限定されず、例えば、被蓋上皮細胞、腺上皮細胞、線維芽細胞、脂肪細胞、筋芽細胞、心筋細胞、平滑筋細胞、神経細胞、グリア細胞等が挙げられる。また、本発明の細胞シートに含まれるゲル膜が角膜代替物や角膜細胞移植用キャリアとして好適であるとの観点からは、当該細胞は角膜上皮細胞、角膜内皮細胞等の角膜由来の細胞であることが好ましい。ここで、用いる細胞は正常な成熟分化細胞に限定されるものではなく、胚性幹(ES;Embryonic Stem)細胞や体性幹(Somatic Stem)細胞や人工多能性幹(iPS;Induced pluripotent Stem)細胞などの未分化細胞、癌細胞などの病巣由来細胞、あるいは外来性遺伝子を導入したような形質転換細胞であってもよい。また、2種類以上の異なった種類や状態の細胞を組み合わせて用いてもよい。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
《ブタ由来アテロコラーゲンを含有する平面状のガラス化後のハイドロゲル膜の製造》
[実施例1]
<支持体の準備>
ナイロンメンブレン (Amersham Pharmacia Cat#RPN1782B)を支持体くり抜き機(森下製版、刃:直径24mm〜33mm)でくり抜き、外径33mm、内径24mmの支持体を製作した。直径35mmペトリディッシュ(BD Falcon、Cat#351008)に、70%エタノールを入れ、ペトリディッシュ中に作製した支持体を10分程度浸し、支持体を滅菌した。70%エタノールをペトリディッシュから取り除き、代わりに3mLのPBS(SIGMA、D8537、Lot#RNBB9236)を入れ、支持体を洗浄した。このPBSによる洗浄は計3回繰り返した。ペトリディッシュからPBSを取り除き、代わりに3mLの無血清培養液(Serum−Free Media、以下SFMと云う)(DMEM Dulbecco’s Modified Eagle Medium, Low glucose(GIBCO Cat.#11885, Lot#1036000), 20mM HEPES(GIBCO Cat#15630−080), 100units/mL Penicilin and 100ug/mL Streptomycin (GIBCO Cat#15104))を入れ使用するまでの数10分間SFMに浸しておいた。
<平面状のブタ由来アテロコラーゲンゲル乾燥体の準備>
<工程A>
氷上で冷却した50mLコニカルチューブに3mLの前記SFMと、3mLの1.0%ブタ由来アテロコラーゲン溶液(NMP コラーゲンPS 溶液、1.02%,Lot#PSBJC05S, cica lot. I3X05)を加え、均一に混合した混合液を作製した。直径60mmの疎水性ポリスチレン製培養シャーレ(BD FALCON、#353002)の底表面を基板とし、その上面に直径50mmの円形に切断したシート状のポリエチレンビニルを乗せた。その上に内径が34mmの筒状壁面鋳型を設置した。さらに筒状壁面鋳型内のポリエチレンビニル上に、SFMで平衡化した前記支持体を乗せた。すなわち、底面が基板上に乗せたポリエチレンビニル、壁面が前記筒状壁面鋳型である容器とした。その容器の中に前記SFMと1.0%ブタ由来アテロコラーゲンとの等量混合液4mLを流し入れ、クリーンベンチ内に30分間静置させた。
5%CO/95%空気存在下、37℃の条件で2時間静置した。
壁面鋳型を上下にわずかに動かすことでアテロコラーゲンゲルと壁面鋳型間の接着を解除し、ゲル内の自由水を鋳型の外側に流出させた。ゲルから流出した自由水を回収したのち、再び壁面鋳型を元に戻して、基板上に乗せたポリエチレンビニル上のゲルを鋳型ごとカルチャーパルCO(コアフロント、CO 2.5L)で満たした2.5L標準型気密角形ジャーに入れ、4℃で2日間静置し、当該ゲルから自由水と気泡を除去した。なお、当該自由水は基板上に乗せたポリエチレンビニルと壁面鋳型の隙間から流出し、ゲルは鋳型の筒内部に保持されていた。
再度コラーゲンゲルと壁面鋳型間の接着を解除し、ゲルから流出した自由水を回収した。次いで、壁面鋳型を完全に取り外し、ゲルを10℃、湿度40%(40%RH)の条件下で2日間静置し、乾燥させ、平面状のブタ由来アテロコラーゲンゲル乾燥体を得た。
実施例1においては、ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体に紫外線を照射した後に再水和する工程(工程D)を4回に分けて繰り返し行った。それに伴い、工程Cも4回繰り返した。なお、各工程Cにおいてガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の上面と下面を逆さにし、当該ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の両表面に等量のUVが照射されるようにした。
(工程B〜D:1回目)
<工程B>
前記基板上に乗せたポリエチレンビニルと、その上面に形成された前記平面状のブタ由来アテロコラーゲンゲル乾燥体とを前記直径60mmペトリディッシュに入れ、さらに37℃に加温した前記PBSを5mL注いで当該アテロコラーゲンゲル乾燥体を浸し、10分間静置し、当該乾燥体を再水和させ、さらに、前記PBSの5mLを新しいPBSに交換して同様に10分間静置する操作を2回繰り返し、PBSで平衡化された、ブタ由来アテロコラーゲンを含有する平面状のガラス化後のハイドロゲルを得た。
<工程C>
得られたブタ由来アテロコラーゲンを含有する平面状のガラス化後のハイドロゲルを10℃、40%RHの条件下で1日間静置して乾燥させ、ブタ由来アテロコラーゲンを含有するガラス化後のハイドロゲル再乾燥体を得た。
<工程D>
UVリンカー(フナコシ、FS−1500)を用いて、ブタ由来アテロコラーゲンを含有するガラス化後のハイドロゲル再乾燥体に1回目のUV照射(600mJ/cm)を行った。このUV照射後の当該乾燥体を、前記PBSを5mL入れた前記直径60mmペトリディッシュに移し、10分間静置し、再水和を行った。
(工程C〜D:2回目)
1回目のUV照射後に得られたブタ由来アテロコラーゲンを含有する平面状のガラス化後のハイドロゲル膜を10℃、40%RHの条件下で1日間静置して乾燥させ、ブタ由来アテロコラーゲンを含有するガラス化後のハイドロゲル再乾燥体を得た(工程C)。その後、1回目と同様にして、工程Dを行った。
(工程C〜D:3回目)
2回目と同様にして工程Cを、1回目と同様にして工程Dを行った。
(工程C〜D:4回目)
2回目と同様にして工程Cを、1回目と同様にして工程Dを行い、ブタ由来アテロコラーゲンを含有する実施例1の平面状のガラス化後のハイドロゲル膜を得た。さらに、工程Cを行い、ブタ由来アテロコラーゲンを含有する実施例1の平面状のガラス化後のハイドロゲル膜の乾燥体を得た。
[実施例2]紫外線の総照射量2400mJ/cm(1200mJ/cm×2回)
実施例2においては、ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体に紫外線を照射する工程(工程D)を1200mJ/cmずつ2回に分けて繰り返し行い、それに伴い、工程Cも2回繰り返し、ブタ由来アテロコラーゲンを含有する実施例2の平面状のガラス化後のハイドロゲル膜を得た。さらに、工程Cを行い、ブタ由来アテロコラーゲンを含有する実施例2の平面状のガラス化後のハイドロゲル膜の乾燥体を得た。なお、実施例1と同様、各工程Cにおいてガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の上面と下面を逆さにし、該ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の両表面に等量のUVが照射されるようにした。
[実施例3]紫外線の総照射量1600mJ/cm(800mJ/cm×2回)
実施例3においては、ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体に紫外線を照射する工程(工程D)を800mJ/cmずつ2回に分けて繰り返し行い、それに伴い、工程Cも2回繰り返し、ブタ由来アテロコラーゲンを含有する実施例3の平面状のガラス化後のハイドロゲル膜を得た。さらに、工程Cを行い、ブタ由来アテロコラーゲンを含有する実施例3の平面状のガラス化後のハイドロゲル膜の乾燥体を得た。なお、実施例1と同様、各工程Cにおいてガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の上面と下面を逆さにし、当該ハイドロゲル再乾燥体の両表面に等量のUVが照射されるようにした。
[実施例4]紫外線の総照射量3200mJ/cm(800mJ/cm×4回)
実施例4においては、ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体に紫外線を照射する工程(工程D)を800mJ/cmずつ4回に分けて繰り返し行い、それに伴い、工程Cも4回繰り返し、ブタ由来アテロコラーゲンを含有する実施例4の平面状のガラス化後のハイドロゲル膜を得た。さらに、工程Cを行い、ブタ由来アテロコラーゲンを含有する実施例4平面状のガラス化後のハイドロゲル膜の乾燥体を得た。なお、実施例1と同様、各工程Cにおいてガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の上面と下面を逆さにし、当該ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の両表面に等量のUVが照射されるようにした。
[実施例5]紫外線の総照射量3200mJ/cm(1600mJ/cm×2回)
実施例5においては、ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体に紫外線を照射する工程(工程D)を1600mJ/cmずつ2回に分けて繰り返し行い、それに伴い、工程Cも2回繰り返し、ブタ由来アテロコラーゲンを含有する実施例5の平面状のガラス化後のハイドロゲル膜を得た。さらに、工程Cを行い、ブタ由来アテロコラーゲンを含有する実施例5の平面状のガラス化後のハイドロゲル膜の乾燥体を得た。なお、実施例1と同様、各工程Cにおいてガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の上面と下面を逆さにし、当該ハイドロゲル再乾燥体の両表面に等量のUVが照射されるようにした。
[比較例1]
実施例1と同様に工程A及び工程Bを行い、ブタ由来アテロコラーゲンを含有する比較例1のガラス化後のハイドロゲルを得た。さらに、工程Cを行い、ブタ由来アテロコラーゲンを含有する比較例1の平面状のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体を得た。
《ブタ由来アテロコラーゲンを含有する平面状のガラス化後のハイドロゲル膜の透明度の測定》
実施例1〜5で作製したガラス化後のハイドロゲル膜及びそれらの乾燥体、並びに比較例1で作製したガラス化後のハイドロゲル及びガラス化後のハイドロゲル再乾燥体に対して、分光光度計(日本分光、V−550)を用い、フィルムフォルダ(日本分光、FLH−267)に挿入して、400nmにおける吸光度を測定した。
実施例1〜5のガラス化後のハイドロゲル膜及びそれらの乾燥体、並びに比較例1のガラス化後のハイドロゲル及びガラス化後のハイドロゲル再乾燥体における透明度の測定結果を図5に示す。また、測定に用いた各実施例のガラス化後のハイドロゲル膜及び比較例のガラス化後のハイドロゲル(上段:背景が黒紙、下段:背景の右上が黒紙、左上が白紙、下半分が文字)の画像を図6に示す。
図5に示された吸光度の値から明らかなように、工程Dの紫外線照射を経て製造された実施例1〜5のガラス化後のハイドロゲル膜の乾燥体は、工程Dの紫外線照射を経ずに製造された比較例1のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体と比較し、著しく透明度が上昇していた。また、図5に示された吸光度の値および図6に示された画像から明らかなように、工程Dの紫外線照射を経て製造された実施例1〜5のガラス化後のハイドロゲル膜は、工程Dの紫外線照射を経ずに製造された比較例1のガラス化後のハイドロゲルと比較して、著しく透明度が上昇していた。
また、特に、実施例1及び実施例2の結果から、ブタ由来アテロコラーゲンを含有するガラス化後のハイドロゲル再乾燥体に対する紫外線の総照射量が2400mJ/cm付近の値の時に最もガラス化後のハイドロゲル膜の透明度が高いことがわかる。
さらに、意外なことに、実施例1と実施例2との比較、及び実施例4と実施例5との比較によれば、同量の紫外線の照射エネルギーを与えた場合には、紫外線の照射を複数回に分けて行った場合の方が、よりブタ由来アテロコラーゲンを含有するガラス化後のハイドロゲル膜の透明度を高められることが判明した。
以上の結果から明らかなように、透明性に優れたガラス化後のハイドロゲル膜及びその乾燥体を製造する方法が確立できた。
《ブタ由来アテロコラーゲンを含有する半球面状のガラス化後のハイドロゲル膜の製造》
[実施例6]紫外線の総照射量2400mJ/cm(600mJ/cm×4回)
<鋳型の準備>
図3で示したものと同様の半球状凸面鋳型、半球状凹面鋳型、および壁面鋳型を、70%エタノールを吹き付けて滅菌し、その後クリーンベンチ内で風乾させた。
<支持体の準備>
ナイロンメンブレンを支持体くり抜き機(森下製版、刃:直径11mm〜14mm)でくり抜き、外径14mm、内径11mmの支持体を製作した。直径35mmペトリディッシュに、70%エタノールを入れ、ペトリディッシュ中に作製した支持体を10分程度浸し、支持体を滅菌した。70%エタノールをペトリディッシュから取り除き、代わりに3mLのPBSを入れ、支持体を洗浄した。このPBSによる洗浄は計3回繰り返した。ペトリディッシュからPBSを取り除き、代わりに3mLのSFMを入れ使用するまでの数10分間SFMに浸しておいた。
次いで、氷上で冷却した50mLコニカルチューブに、1mLの前記SFMと、1mLの1.0%ブタ由来アテロコラーゲン溶液を加え、均一に混合した混合液に前記支持体を浸し、支持体をSFMとブタ由来アテロコラーゲンの均一混合液でコーティングした。
<工程A>
前記のとおり作製し、SFMとブタ由来アテロコラーゲンの均一混合液でコーティングされた支持体を半球状凹面鋳型の上面に、半球状凹面鋳型の凹面部分を支持体で囲むようにして乗せた。
前記半球状凹面鋳型に乗せられた支持体の外径(14mm)よりも大きな内径(15mm)を有する筒状の壁面鋳型を前記半球状凹面鋳型の凹面を囲むように設置させた。すなわち、底面が半球状凹面鋳型、壁面が筒状の壁面鋳型であって、底面と壁面が分離可能な容器とした。その容器中に0.7mLの前記SFMとブタ由来アテロコラーゲンの均一混合液を流し入れ、クリーンベンチ内に15分間静置させた。この様子を図7に示す。15分の静置後、完全にはゲル化せずにゲル化進行状態のブタ由来アテロコラーゲンゲルが得られたことを確認した。
次いで、この完全にはゲル化せずにゲル化進行状態のブタ由来アテロコラーゲンゲルが入った筒内部に凸面を有する棒状の自重落下型の半球状凸面鋳型を入れ、底面に配置した前記半球状凹面鋳型と該凹面にかみ合う自重落下型の半球状凸面鋳型とで完全にはゲル化せずにゲル化進行状態のブタ由来アテロコラーゲンゲルを挟み込むようにして当該ゲルを加圧し、5%CO/95%空気存在下、37℃の条件で2時間静置することで完全にゲル化した。次いで、自重落下型の半球状凸面鋳型を取り外し、ゲルを半球状凹面鋳型および壁面鋳型ごとカルチャーパルCO(コアフロント、CO 2.5L)で満たした2.5L標準型気密角形ジャー(コアフロント)に入れ、4℃で一晩(約16時間)静置し、当該ゲルから自由水と気泡を除去した。なお、当該自由水は半球状凹面鋳型と壁面鋳型の隙間から流出し、ゲルは鋳型の筒内部に保持されていた。
壁面鋳型を上下にわずかに動かすことで当該ゲルと壁面鋳型間の接着を解除し、当該ゲルから自由水を鋳型の外側に流出させた。当該ゲルから流出した自由水を回収したのち、壁面鋳型を元に戻して、当該ゲルを鋳型ごと前記カルチャーパルCOで満たした2.5L標準型気密角形ジャーに入れ、4℃で3日間静置し、当該ゲルから自由水と気泡をさらに除去した。この様子を図7に示す。
再度当該ゲルと壁面鋳型間の接着を解除して壁面鋳型を除去した後、当該ゲルから流出した自由水を回収した。次いで、半球状凹面鋳型上の当該ゲルを10℃、40%RHの条件下で1日間風乾機(エスペック,PDR−3KP)を用いて乾燥させ、ガラス化後の半球面状のブタ由来アテロコラーゲンゲル乾燥体を得た。この様子を図8に示す。
実施例6においては、ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体に紫外線を照射した後に再水和する工程(工程D)を4回に分けて繰り返し行った。それに伴い、工程Cも4回繰り返した。
(工程B〜D:1回目)
<工程B>
前記半球状凹面鋳型と、半球状凹面鋳型上面に形成された前記ガラス化後の半球面状のブタ由来アテロコラーゲンゲル乾燥体(工程Aで作製)とを前記直径35mmペトリディッシュに入れ、さらに37℃に加温した前記PBSを4mL注いで当該ゲル乾燥体を浸し、10分間静置し、当該ゲル乾燥体を再水和させた。半球状凹面鋳型から剥がれた再水和された半球面状のガラス化後のハイドロゲルを、前記PBSの4mLを新しいPBSに交換して同様に10分間静置する操作を2回繰り返すことで、PBSで平衡化された、半球面状のガラス化後のハイドロゲルを得た。この様子を図9に示す。
<工程C>
得られた半球面状のガラス化後のハイドロゲルを半球状凸面鋳型上に乗せ10℃、40%RHの条件下で1日間静置し当該ゲルを乾燥させ、ブタ由来アテロコラーゲンを含有する半球面状のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体を得た。
<工程D>
UVリンカー(フナコシ、FS−1500)を用いて、ブタ由来アテロコラーゲンを含有する半球面状のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体に1回目のUV照射(600mJ/cm)を行った。なお、当該再乾燥体へのUV照射は、当該再乾燥体を半球状凸面鋳型上に乗せた状態で行った。この様子を図10に示す。このUV照射後の当該再乾燥体を、前記PBSを5mL入れた前記直径60mmペトリディッシュに移し、10分間静置し、再水和を行った。
(工程C〜D:2回目)
1回目のUV照射後に得られたブタ由来アテロコラーゲンを含有する半球面状のガラス化後のハイドロゲル膜を半球状凹面鋳型上に静置し、10℃、40%RHの条件下で1日間静置して乾燥させ、ブタ由来アテロコラーゲンを含有する半球面状のガラス化後のハイドロゲル膜再乾燥体を得た(工程C)。
その後、今度は半球状凹面鋳型上に当該ゲル膜を載せて行った以外は、1回目と同様にして、工程Dを行った。この様子を図10に示す。
(工程C〜D:3回目)
2回目と同様にして工程Cを、今度は半球状凸面鋳型上にて1回目と同様にして工程Dを行った。この様子を図11に示す。
(工程C〜D:4回目)
2回目と同様にして工程Cを、今度は半球状凹面鋳型上にて1回目と同様にして工程Dを行い、実施例6のブタ由来アテロコラーゲンを含有する半球面状のガラス化後のハイドロゲル膜を得た。この様子を図11に示す。さらに、工程Cを行い、実施例6のブタ由来アテロコラーゲンを含有する半球面状のガラス化後のハイドロゲル膜の乾燥体を得た。
以上の結果から明らかなように、半球面状であって透明性に優れた、ブタ由来アテロコラーゲンを含有するガラス化後のハイドロゲル膜及びその乾燥体を製造する方法を確立できた。
《ブタ由来アテロコラーゲンを含有するガラス化後のハイドロゲル膜のウサギ眼球角膜への移植》
実施例1〜6のガラス化後のハイドロゲル膜は、比較例1の従来のガラス化後のハイドロゲルよりも遥かに高い透明度を有していた。したがって、生体移植材料のなかでも、特に高い光透過性と強度が要求される眼球への移植材料として特に好適であると考えられた。
<ウサギ角膜上皮面へのブタ由来アテロコラーゲンを含有するガラス化後のハイドロゲル膜の移植>
[実施例7]
ウサギ角膜上皮面へ、ブタ由来アテロコラーゲンを含有する平面状のガラス化後のハイドロゲル膜(実施例1で作製)の移植手術を行った。角膜実質から前方(直径5mmの円状、厚み約200μm)を切除、PBS(−)を用いて37℃で5〜10分放置し再水和し支持体から切り離した直径8mmの当該ゲル膜を移植した。
[実施例8]
ウサギ角膜上皮面へ、ブタ由来アテロコラーゲンを含有する半球面状のガラス化後のハイドロゲル膜(実施例6で作製)の移植手術を行った。角膜実質から前方(直径5mmの円状、厚み約200μm)を切除、PBS(−)を用いて37℃で5〜10分放置し再水和し支持体から切り離した直径8mmの当該ゲル膜を移植した。
移植から1ヶ月後の、実施例7および実施例8でのウサギ角膜の様子を図12に示す。
実施例1で作製した平面状のゲル膜は、移植先の眼球面と形状が異なるためにゲル膜に皺が発生してしまっていた。
一方、実施例6で作製した半球面状のゲル膜は、被験者動物の眼球の角膜に対応する曲率半径を有し角膜形状に適合しているため、ゲル膜に皺が発生することが無く、眼球により良好に付着していた。
<ウサギ角膜実質層間へのブタ由来アテロコラーゲンを含有するガラス化後のハイドロゲル膜の移植>
[実施例9]
ウサギ角膜実質層間へ、ブタ由来アテロコラーゲンを含有する平面状のガラス化後のハイドロゲル膜(実施例1で作製)の移植手術を行った。角膜実質を深さ約200μmで層間剥離し、PBS(−)を用いて37℃で5〜10分放置し再水和し支持体から切り離した直径8mmの当該ゲル膜を層間に移植した。
[実施例10]
ウサギ角膜実質層間へ、ブタ由来アテロコラーゲンを含有する半球面状のガラス化後のハイドロゲル膜(実施例6で作製)の移植手術を行った。角膜実質を深さ約200μmで層間剥離し、PBS(−)を用いて37℃で5〜10分放置し再水和し支持体から切り離した直径8mmの当該ゲル膜を層間に移植した。
移植から4ヶ月後の、実施例9と実施例10のウサギ角膜の様子を図13に示す。
実施例9と実施例10で移植された両ゲル膜ともに、透明性が維持されており、炎症惹起も見られなかった。したがって、実施例1及び実施例6のガラス化後のハイドロゲル膜は、生体移植材料として大変優れていることがわかる。
<ウサギ角膜内皮面へのブタ由来アテロコラーゲンを含有するガラス化後のハイドロゲル膜の移植>
[実施例11]
ウサギ角膜内皮面へ、ブタ由来アテロコラーゲンを含有する平面状のガラス化後のハイドロゲル膜(実施例1で作製)の移植手術を行った。角膜切開層より、支持体から切り離した直径6mm、厚み20μmの当該ゲル膜を挿入し、エアタンポナーデにより角膜後面に付着させた(n=4)。
[実施例12]
ウサギ角膜内皮面へ、ブタ由来アテロコラーゲンを含有する半球面状のガラス化後のハイドロゲル膜(実施例6で作製)の移植手術を行った。角膜切開層より、支持体から切り離した直径6mm、厚み20μmの当該ゲル膜を挿入し、エアタンポナーデにより角膜後面に付着させた(n=4)。
角膜内皮面への移植に際しては、ゲル膜をストロー状の器具内で折りたたむようにして保持し、内皮面へ付着させる際には再び展開するようにして移植させた。実施例1および実施例6のガラス化後のハイドロゲル膜はこのような手術操作における一定の物理的ストレスに耐えうる十分な強度を有しており、眼科手術の実用性の観点からも大変優れた材料である。
移植直後の、実施例11および実施例12でのウサギ角膜の様子を図14に示す。
実施例11および実施例12で移植された両ゲル膜ともに、透明性が維持されており、炎症惹起も見られなかった。したがって、ブタ由来アテロコラーゲンを含有する実施例1及び実施例6のガラス化後のハイドロゲル膜は、生体移植材料として大変優れていることがわかる。
角膜内皮の細胞は一旦障害を受けると、自然には治癒されない。水疱性角膜症に代表される角膜内皮障害の患者数は多く、内皮細胞の移植技術への期待は大変高い。実施例1および実施例6のゲル膜は角膜内皮再生医療に使用可能な、大変有用な材料であることが確認された。
ただし、実施例1で作製した平面状のゲル膜は、移植先の角膜内皮面との形状が異なるために後面付着時にゲル膜に皺が発生してしまっていた。また、実施例1で作製した平面状のゲル膜は術後角膜後面より剥離した。
一方、実施例6で作製した半球面状のゲル膜は、被験動物の眼球の角膜に対応する曲率半径を有し角膜形状に適合しているため、ゲル膜に皺が発生することが無く角膜後面に付着していた。また、実施例6で作製した半球面状のゲル膜は術一ヵ月後においても剥離せず角膜後面に沿って付着していることが確認された。
ウシ由来のコラーゲンは、反芻動物由来でありBSE(牛海綿状脳症)のほか未知の異種感染症リスクの存在が指摘されており、厳重な管理が必要である。また、コラーゲンがネイティブコラーゲンである場合は、抗原となり得るテロペプチドが分子端に存在するために移植後に炎症がより強く引き起こされる可能性がある。一方で、実施例1〜6のハイドロゲル膜は、抗原性がより弱いと考えられるブタ由来アテロコラーゲンを用いて作製可能であり、ウシ由来と比較して反芻動物に存在するBSEのリスクが存在しないため人への生体移植材料として産業化するにあたり、大変好適である。
アテロコラーゲンを用いてゲル膜を作製した場合、ネイティブコラーゲンを用いた場合と比べ、ゲルの強度が弱くなるという問題があった。しかし、本発明のガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法では、ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体に紫外線を照射する工程を含むことにより、角膜への移植材料としても十分利用可能な程度まで、強度を高めることができた。
従来、実施例7〜12で行ったような角膜手術では、移植材料として羊膜を用いていた。羊膜は完全には透明ではない。また1人のドナーから得られる羊膜の面積では、最大20人程度の移植しかできず、医療機器として実用化するためには小ロットであり、安全性や有効性を保証するための検査を施すと移植に使える枚数が極めて少なくなり費用が過大になる問題があった。また移植用の小片とするとほぼ平面状の膜となるため、角膜形状に適合していなかった。
実施例6で作製したブタ由来アテロコラーゲンを含有する半球面状のガラス化後のハイドロゲル膜は、被移植者の眼球面に合わせてゲル膜を大量に作製可能であり、さらにブタ由来アテロコラーゲン以外の他個体由来の生体物質を用いなくともよい。したがって、本発明に係るガラス化後のハイドロゲル膜は、従来用いられてきた羊膜にある欠点を持たない優れた移植材料である。
《ブタ由来アテロコラーゲンを含有する平面状のガラス化後のハイドロゲル膜上での上皮細胞培養》
ガラス化後のハイドロゲル膜の乾燥体(実施例1で作製)を再水和させ、チャンバー(トランズウェル12ウェルプレート3460、コーニング)上のメンブレンに付着させ、いったん乾燥させることでメンブレンにガラス化後のハイドロゲル膜を固定させた。チャンバーをセットし、1.5mLの細胞培養液をチャンバー外側に、チャンバー上に0.5mLの細胞懸濁液(2×104 /mL)を播種して、5%CO2 /95%空気存在下の37℃の保湿インキュベーター内で培養した。細胞は、ヒト角膜上皮細胞を用いた。約1カ月間培養の後、ホルマリンで固定し、直接ヘマトキシリン・エオシン(HE)染色した。
[実施例13]
ブタ由来アテロコラーゲンを含有する平面状のガラス化後のハイドロゲル膜(実施例1で作製)を用い、上記の方法で、ゲル膜上で角膜上皮細胞の培養を行い、実施例11の細胞シートを得た。
[比較例2]
ブタ由来アテロコラーゲンを含有する平面状のガラス化後のハイドロゲル(比較例1で作製)を用い、ゲル上で角膜上皮細胞の培養を行った。培養方法および培養条件は、実施例13と同様に行い、比較例2の細胞シートを得た。
図15は実施例13と比較例2の細胞シート切片のヘマトキシリン・エオシン(HE)染色結果の画像である。
比較例2のゲル上には、角膜上皮細胞の培養状態は不良であり、良好なシート化ができなかった。一方、図15の画像から明らかなように、工程Dを経て製造された実施例1のゲル膜には、角膜上皮細胞が良好な状態で培養されていた。
《ブタ由来アテロコラーゲンを含有する半球面状のガラス化後のハイドロゲル膜上での角膜内皮細胞培養》
[実施例14]
ブタ由来アテロコラーゲンを含有する半球面状のガラス化後のハイドロゲル膜(実施例6で作製)を用い、ゲル膜上で角膜内皮細胞の培養を行った。しかし、半球面状のゲル膜上で単に細胞を培養しても、膜の凹面の中心に細胞が溜まってしまう。そこで、12ウェルプレート(住友ベークライト社製 MS−80120)底面に再水和させた実施例6のゲル膜を張り付けたのち、一旦乾燥させ、当該ゲル膜に130万個/ウェル(4000個/mm)でヒト正常角膜内皮細胞を播種し、一晩(約16時間)培養した。ヒト正常角膜内皮細胞が播種された当該ゲル膜を、ウェルの底から丁寧にはがし、別のウェルに用意したテフロン(登録商標)製O-リングの上に当該ゲル膜の支持部を浮かせるようにのせ一週間培養を継続し、実施例14の細胞シートを得た。なお、その他の培養条件および操作は実施例13と同様に行った。図16に得られた実施例14の細胞シートを示す。図16の画像からも明らかなように、角膜内皮細胞がブタ由来アテロコラーゲンを含有する半球面状のガラス化後のハイドロゲル膜上に均一に生着していることがHE染色にて確認された。また、内皮細胞密度は約2800/mmであった。
以上で説明した各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は各実施形態によって限定されることはなく、請求項(クレーム)の範囲によってのみ限定される。
高い強度及び透明性を有する本発明のガラス化後のハイドロゲル膜は、角膜由来の上皮細胞、内皮細胞等を培養でき、その後生体への移植が可能であるため、角膜上皮の外傷のみならず、水疱性角膜症に代表される角膜内皮障害など角膜再生が必要とされる治療に幅広く利用できる。
1…半球状凹面鋳型、2…半球状凸面鋳型、3…壁面鋳型、10…製造装置

Claims (16)

  1. ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体に紫外線を照射した後に再水和する工程Dを含むことを特徴とするガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法。
  2. 前記工程Dの前に、ガラス化工程を経ていないハイドロゲルから自由水を除去してガラス化させて、ハイドロゲル乾燥体を得る工程Aを含む請求項1に記載のガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法。
  3. 前記工程Aは半球状凸面を有する鋳型と半球状凹面を有する鋳型との間に完全にはゲル化していない状態のハイドロゲルを配置させて、前記ハイドロゲル乾燥体を得る工程である請求項2に記載のガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法。
  4. 前記工程Aと前記工程Dの間に、前記ハイドロゲル乾燥体を再水和させてガラス化後のハイドロゲルを得る工程Bと、
    前記工程Bの後に、前記ガラス化後のハイドロゲルを再びガラス化させてガラス化後のハイドロゲル再乾燥体を得る工程Cと、を含む請求項2又は3に記載のガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法。
  5. 前記紫外線の総照射量が100〜6000mJ/cmである請求項1〜4のいずれか一項に記載のガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法。
  6. 前記半球状凸面及び前記半球状凹面が、哺乳動物の眼球の角膜に対応する曲率半径を有する請求項3〜5のいずれか一項に記載のガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法。
  7. 前記ハイドロゲルが細胞外マトリックス成分を含有する請求項1〜6のいずれか一項に記載のガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法。
  8. 前記細胞外マトリックス成分がブタ由来アテロコラーゲンである請求項7に記載のガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法を用いて得られることを特徴とするガラス化後のハイドロゲル膜。
  10. 400nmにおける吸光度が0.05〜0.3である請求項9に記載のガラス化後のハイドロゲル膜。
  11. 細胞外マトリックス成分を1cmあたり0.1〜10.0mg含有する請求項9又は10に記載のガラス化後のハイドロゲル膜。
  12. 膜の厚さが1〜1000μmである請求項9〜11のいずれか一項に記載のガラス化後のハイドロゲル膜。
  13. ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体に紫外線を照射する工程D1を含むことを特徴とするガラス化後のハイドロゲル再乾燥体に紫外線照射を施したハイドロゲル材料の製造方法。

  14. 請求項9〜12のいずれか一項に記載のガラス化後のハイドロゲル膜を乾燥して得られることを特徴とするガラス化後のハイドロゲル膜の乾燥体。
  15. 請求項9〜12のいずれか一項に記載のガラス化後のハイドロゲル膜に細胞が付着してなることを特徴とする細胞シート。
  16. 半球状凹面を有する鋳型と、該半球状凹面に対向して配置される半球状凸面を有する鋳型と、該凹面又は凸面を囲んで配置される壁面鋳型とを備えたことを特徴とする、ガラス化後のハイドロゲル膜の製造装置。
JP2013168393A 2013-08-13 2013-08-13 ガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法、ハイドロゲル材料の製造方法、ガラス化後のハイドロゲル膜、ガラス化後のハイドロゲル膜の乾燥体および細胞シート Active JP6240997B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013168393A JP6240997B2 (ja) 2013-08-13 2013-08-13 ガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法、ハイドロゲル材料の製造方法、ガラス化後のハイドロゲル膜、ガラス化後のハイドロゲル膜の乾燥体および細胞シート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013168393A JP6240997B2 (ja) 2013-08-13 2013-08-13 ガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法、ハイドロゲル材料の製造方法、ガラス化後のハイドロゲル膜、ガラス化後のハイドロゲル膜の乾燥体および細胞シート

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015035978A true JP2015035978A (ja) 2015-02-23
JP6240997B2 JP6240997B2 (ja) 2017-12-06

Family

ID=52686712

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013168393A Active JP6240997B2 (ja) 2013-08-13 2013-08-13 ガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法、ハイドロゲル材料の製造方法、ガラス化後のハイドロゲル膜、ガラス化後のハイドロゲル膜の乾燥体および細胞シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6240997B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017147951A (ja) * 2016-02-23 2017-08-31 国立大学法人 新潟大学 細胞培養方法及び培養組織
WO2018003858A1 (ja) 2016-06-28 2018-01-04 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 細胞封入用デバイス及びその使用
WO2018135252A1 (ja) 2017-01-18 2018-07-26 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 半透膜及びその使用
WO2018211877A1 (ja) * 2017-05-18 2018-11-22 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 糸及びその製造方法
WO2019116699A1 (ja) 2017-12-12 2019-06-20 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 吸引管付き細胞封入用デバイス及びその使用
WO2020004646A1 (ja) * 2018-06-29 2020-01-02 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 細胞培養用ハイドロゲル、ゲルキット、細胞培養物の製造方法、及び細胞培養用ハイドロゲルの製造方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005014774A1 (ja) * 2003-08-11 2005-02-17 National Institute Of Agrobiological Sciences 動物細胞の培養担体と、該培養担体を用いた動物細胞の培養方法および移植方法
JP2009285155A (ja) * 2008-05-29 2009-12-10 Tohoku Univ 強膜透明化による角膜移植材料調製方法
WO2011021706A1 (ja) * 2009-08-19 2011-02-24 国立大学法人東北大学 角膜移植用シート
WO2012026531A1 (ja) * 2010-08-25 2012-03-01 独立行政法人農業生物資源研究所 ハイドロゲル乾燥体、ビトリゲル膜乾燥体およびこれらの製造方法
US20120199995A1 (en) * 2011-02-04 2012-08-09 Pugh Randall B Apparatus and method for formation of an energized ophthalmic device for light therapy

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005014774A1 (ja) * 2003-08-11 2005-02-17 National Institute Of Agrobiological Sciences 動物細胞の培養担体と、該培養担体を用いた動物細胞の培養方法および移植方法
JP2009285155A (ja) * 2008-05-29 2009-12-10 Tohoku Univ 強膜透明化による角膜移植材料調製方法
WO2011021706A1 (ja) * 2009-08-19 2011-02-24 国立大学法人東北大学 角膜移植用シート
WO2012026531A1 (ja) * 2010-08-25 2012-03-01 独立行政法人農業生物資源研究所 ハイドロゲル乾燥体、ビトリゲル膜乾燥体およびこれらの製造方法
US20120199995A1 (en) * 2011-02-04 2012-08-09 Pugh Randall B Apparatus and method for formation of an energized ophthalmic device for light therapy

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
TOSHIAKI TAKEZAWA,KATSUYUKI OZAKI, ETC: "Collagen Vitrigel:A Novel Scaffold That Can Facilitated a Threee-Dimensional Culuture for Reconstruc", CELL TRANSPLANTATION, vol. 13,4, JPN6017020105, 2004, pages 463 - 473, ISSN: 0003568670 *

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017147951A (ja) * 2016-02-23 2017-08-31 国立大学法人 新潟大学 細胞培養方法及び培養組織
WO2018003858A1 (ja) 2016-06-28 2018-01-04 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 細胞封入用デバイス及びその使用
KR20190022563A (ko) 2016-06-28 2019-03-06 고쿠리츠겐큐가이하츠호징 노우교 · 쇼쿠힝 산교기쥬츠 소고겐큐기코 세포 봉입용 디바이스 및 그 사용
WO2018135252A1 (ja) 2017-01-18 2018-07-26 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 半透膜及びその使用
JPWO2018211877A1 (ja) * 2017-05-18 2020-03-19 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 糸及びその製造方法
WO2018211877A1 (ja) * 2017-05-18 2018-11-22 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 糸及びその製造方法
JP7168937B2 (ja) 2017-05-18 2022-11-10 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 糸及びその製造方法
CN110678587A (zh) * 2017-05-18 2020-01-10 国立研究开发法人农业·食品产业技术综合研究机构 线及其制备方法
KR20200079540A (ko) 2017-12-12 2020-07-03 고쿠리츠겐큐가이하츠호징 노우교 · 쇼쿠힝 산교기쥬츠 소고겐큐기코 흡인관을 구비한 세포 봉입용 디바이스 및 그 사용
WO2019116699A1 (ja) 2017-12-12 2019-06-20 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 吸引管付き細胞封入用デバイス及びその使用
WO2020004646A1 (ja) * 2018-06-29 2020-01-02 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 細胞培養用ハイドロゲル、ゲルキット、細胞培養物の製造方法、及び細胞培養用ハイドロゲルの製造方法
JPWO2020004646A1 (ja) * 2018-06-29 2021-08-05 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 細胞培養用ハイドロゲル、ゲルキット、細胞培養物の製造方法、及び細胞培養用ハイドロゲルの製造方法
JP7414224B2 (ja) 2018-06-29 2024-01-16 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 細胞培養用ハイドロゲル、ゲルキット、細胞培養物の製造方法、及び細胞培養用ハイドロゲルの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6240997B2 (ja) 2017-12-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6240997B2 (ja) ガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法、ハイドロゲル材料の製造方法、ガラス化後のハイドロゲル膜、ガラス化後のハイドロゲル膜の乾燥体および細胞シート
Mahdavi et al. Bioengineering approaches for corneal regenerative medicine
JP5892611B2 (ja) ハイドロゲル乾燥体、ビトリゲル膜乾燥体およびこれらの製造方法
US8734827B2 (en) Bioengineered intervertebral discs and methods for their preparation
Colle et al. Bioprinting predifferentiated adipose-derived mesenchymal stem cell spheroids with methacrylated gelatin ink for adipose tissue engineering
WO2019198086A1 (en) Bioengineered corneal graft and methods of preparation thereof
JPWO2005014774A1 (ja) 動物細胞の培養担体と、該培養担体を用いた動物細胞の培養方法および移植方法
CN109758606A (zh) 一种rgd多肽修饰壳聚糖/羟基磷灰石复合支架及其制备方法
Lai Influence of solvent composition on the performance of carbodiimide cross-linked gelatin carriers for retinal sheet delivery
WO2016049625A1 (en) Novel biofabrication techniques for the implementation of intrinsic tissue geometries to an in vitro collagen hydrogel
CN114606189A (zh) 一种促进神经干细胞增殖分化的脱细胞脊髓- GelMA水凝胶复合材料支架
CN112972760A (zh) 一种负载内皮细胞外基质的3d打印骨缺损修复支架及其制备方法
CN111450319B (zh) 一种仿生的预脉管化材料及其制备方法和应用
Isaeva et al. The use of collagen with high concentration in cartilage tissue engineering by means of 3D-bioprinting
CN106924817A (zh) 一种超薄载体细胞片及其制备方法
CN111925984A (zh) 细胞共培养体系及其构建方法和应用
Pal et al. Biofabrication paradigms in corneal regeneration: bridging bioprinting techniques, natural bioinks, and stem cell therapeutics
Thomas et al. Print me a cornea-Are we there yet?
JP2011512133A (ja) 再構築角膜および粘膜
JP2015223108A (ja) 細胞培養チャンバーとその製造方法、細胞培養チャンバーを利用した細胞培養方法および細胞培養キット
Jodat et al. hiPSC-derived 3D bioprinted skeletal muscle tissue implants regenerate skeletal muscle following volumetric muscle loss
Sasseville et al. Biomaterials used for tissue engineering of barrier-forming cell monolayers in the eye
CN108175874A (zh) 基于静电纺丝纱线和水凝胶的复合支架材料及其制备方法
JP7344525B2 (ja) 管状ビトリゲル及びその使用
CN109876187B (zh) 球状蛋白作致孔剂的组织工程软骨修复支架及其制备方法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20160428

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160727

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20160810

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170525

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170606

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170727

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20170727

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171003

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171019

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6240997

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250