JP2015035589A - セラミック電子部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】積層セラミックコンデンサ10のセラミック本体12の端面12e、12f側には、内部電極16a、16bの露出部18a、18bと電気的に接続される外部電極20a、20bが形成される。セラミック本体12の主面12a、12b同士を結んだ方向における長さが、セラミック本体12の主面12a、12bに形成される外部電極20a(20b)の長さであってセラミック本体12の端面12e、12f同士を結んだ方向における長さよりも短く形成される。外部電極20a、20bには、セラミック本体12の主面12a、12b側において、窪み部22a1、22a2、22b1、22b2が形成される。外部電極20a、20bは、セラミック本体12の主面12a、12b側において、断面形状が2つの山なり形状を有する。
【選択図】図3
Description
すなわち、外部電極の焼成の際の脱脂工程において、樹脂や溶剤を構成する有機物が炭化した後に酸素と結合して炭酸ガスが発生する。この炭酸ガスは、通常、外部電極の端部の膜厚が薄い部分から外部電極の外に排出されることになるが、外部電極が1つの山なり形状で形成されている場合、その中央部の膜厚が一番厚い部分においては、炭酸ガスが上手く外部電極の外に排出されず、外部電極の膨れ、つまりブリスタという問題が発生することがある。
このようにブリスタが発生する問題は、上述の積層セラミックコンデンサだけでなく、そのような積層セラミックコンデンサの外部電極と同様な構造の外部電極を有する積層セラミックインダクタなどの他のセラミック電子部品においても発生することがある。
この発明にかかるセラミック電子部品では、例えば、セラミック本体の主面に形成される外部電極において、最も厚い部分に対する窪んだ部分の厚みが12%以上である。
また、この発明にかかるセラミック電子部品では、例えば、セラミック本体の主面に形成される外部電極の断面形状は、外部電極の中央部で窪んでおり、2つの山なり形状を有している。
すなわち、内部電極の露出部を有するセラミック本体の端面においても、セラミック本体の主面における外部電極と同様に、外部電極の断面形状を複数の山なり形状として、炭酸ガスの逃げ道を増やす方策を取ることが考えられる。
しかしながら、セラミック本体の端面において、外部電極を複数の山なり形状にすると、外部電極の中央部において外部電極の厚みが薄くなるため、その部分からめっき液や大気中の水分が内部電極側に侵入しやすくなり、耐湿性の低下が懸念される。
そこで、この発明では、上記のような設計を取り、耐湿信頼性を維持しながらブリスタの発生を抑制する。そのため、この発明では、耐湿信頼性を維持しつつ、ブリスタの発生を抑制することができる。
なお、この実施の形態の積層セラミックコンデンサ10では、セラミック本体12が直方体状に形成されているが、セラミック本体12の形状は特に限定されない。
また、セラミック本体12は、コーナー部および稜部に丸みがつけられていることが好ましい。
セラミック本体12の寸法は、特に限定されないが、セラミック本体12は、図1に示すように、セラミック本体12の厚み寸法をDT、長さ寸法をDL、幅寸法をDWとしたときに、DT<DW<DL、(1/5)DW≦DT≦(1/2)DW、または、DT<0.3mmが満たされるような薄型のものであってもよい。特に、DT<DW<DLの場合、セラミック本体12の幅に比べて、セラミック本体12の厚みが薄く、セラミック本体12の長さが長い。また、(1/5)DW≦DT≦(1/2)DWの場合、セラミック本体12の厚みがセラミック本体12の幅の1/5〜1/2と薄い。具体的には、0.05mm≦DT<0.3mm、0.4mm≦DL≦1mm、0.3mm≦DW≦0.5mmであってもよい。
また、セラミック本体12のセラミック層14の厚みは、0.5μm〜10μmであることが好ましい。
第1および第2の内部電極16a、16bの一端部には、セラミック本体12の端面12e、12fに露出した露出部18a、18bを有する。具体的には、第1の内部電極16aの一端部の露出部18aは、セラミック本体12の第1の端面12eに露出している。また、第2の内部電極16bの一端部の露出部18bは、セラミック本体12の第2の端面12fに露出している。
さらに、第1および第2の内部電極16a、16bのそれぞれは、セラミック本体12の第1および第2の主面12a、12bと平行である。また、第1および第2の内部電極16a、16bは、セラミック本体12の厚み方向において、セラミック層14を介して、互いに対向している。
第1および第2の内部電極16a、16bのそれぞれの厚さは、例えば、0.2μm〜2μmとすることができる。しかしながら、第1および第2の内部電極16a、16bのそれぞれの厚さも、特に限定されない。
第1および第2の内部電極16a、16bは、適宜の導電材料により構成することができる。第1および第2の内部電極16a、16bは、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Auなどの金属や、これらの金属の1種を含む例えばAg−Pd合金などの合金により構成することができる。
第1の外部電極20aは、セラミック本体12の第1の端面12eから一対の主面12a、12bおよび一対の側面12c、12dにわたって形成されている。この場合、第1の外部電極20aは、第1の内部電極16aの露出部18aと電気的に接続される。
また、第2の外部電極20bは、セラミック本体12の第2の端面12fから一対の主面12a、12bおよび一対の側面12c、12dにわたって形成されている。この場合、第2の外部電極20bは、第2の内部電極16bの露出部18bと電気的に接続される。
セラミック本体12の主面12a、12bに形成される外部電極20a(20b)の長さ寸法DE(電極部分寸法DE1(電極部分寸法DE2))と、セラミック本体12の一対の主面12a、12b同士を結んだ方向における長さ寸法すなわちセラミック本体12の厚み寸法DTとについては、DE/DTの値が、1.5〜3.5であることが好ましい。これは、DE/DTが1.5より小さいと外部電極20a(20b)の端面でブリスタが発生しやすくなり、DE/DTが3.5を超えると、セラミック本体12と外部電極20a(20b)との間でマイグレーションが発生しやすくなるからである。
同様に、セラミック本体12の主面12a、12bに形成される第2の外部電極20bの中央部にも、耐湿信頼性を維持しながらブリスタの発生を抑制するために、窪み部22b1、22b2がそれぞれ形成されている。それによって、セラミック本体12の主面12a(12b)に形成される第2の外部電極20bの断面形状が、外部電極20bの中央部で窪んでおり、全体で見たときに2つの山なり形状を有している。
なお、外部電極20a、20bの窪み部22a1、22a2、22b1、22b2の直径は、外部電極20a、20bの表面について、表面粗さ測定機で2次元の凹凸像を示し、高低差が1.5μm以上のものを窪み部として判断し、その直径を1次元化したデータから測定した。
第1、第2の外部電極20a、20bの金属としては、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Auなどを用いることができる。
第1、第2の外部電極20a、20bの金属成分を構成する金属粉の粒子径は、1μm〜2.5μmであることが好ましい。なお、本願において、金属粉の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒子径をいう。
なお、この実施の形態では、セラミック本体12の厚みが薄いため、セラミック本体12の側面および端面では、外部電極20a、20bに窪み部ができない。
また、第1および第2のめっき膜24a、24bは、それぞれ1層のめっき膜のみにより構成されていてもよいし、2層以上のめっき膜により構成されていてもよい。めっき膜24a(24b)は、好ましくは、Niめっき膜およびSnめっき膜の2層構造であるとよい。この場合、Niめっき膜はバリア層として機能し、Snめっき膜ははんだ付け性を向上させるように機能する。
第1および第2のめっき膜24a、24bを構成するめっき層1層あたりの厚みは、例えば1μm〜15μm程度であることが好ましい。
なお、めっき膜24a、24bには、外部電極20a、20bの窪み部22a1、22a2、22b1、22b2に対応して、同様な窪み部26a1、26a2、26b1、26b2が形成される。しかしながら、めっき膜24a、24bには、窪み部は形成されなくてもよい。
なお、外部電極の焼成時の昇温速度は、150〜250℃/分であることが好ましい。
すなわち、内部電極16a、16bの露出部18a、18bを有するセラミック本体12の端面12e、12fにおいても、セラミック本体12の主面12a、12bにおける外部電極20a(20b)と同様に、外部電極20a(20b)の断面形状を2つの山なり形状として、炭酸ガスの逃げ道を増やす方策を取ることが考えられる。
しかしながら、セラミック本体12の端面12e、12fにおいて、外部電極20a(20b)を2つの山なり形状にすると、外部電極20a(20b)の中央部において外部電極20a(20b)の厚みが薄くなるため、その部分からめっき液や大気中の水分が外部電極20a(20b)内に侵入しやすくなり、耐湿性の低下が懸念される。
そこで、この積層セラミックコンデンサ10では、上記のような設計を取り、耐湿信頼性を維持しながらブリスタの発生を抑制する。そのため、この積層セラミックコンデンサ10では、耐湿信頼性を維持しつつ、ブリスタの発生を抑制することができる。
まず、実施例1、実施例2、実施例3として、上述の積層セラミックコンデンサ10において以下の電子部品の仕様となり、外部電極を構成する導電性ペーストをセラミック本体の両端面に塗布・乾燥し、焼き付けた後の形状が本発明の範囲内になるものを準備した。この場合、実施例1では外部電極の窪み部の高低差を1.5μmに狙い、実施例2では外部電極の窪み部の高低差を4μmに狙い、実施例3では外部電極の窪み部の高低差を6μmに狙って、実施例1〜3を準備した。
チップサイズ:DL×DW×DT=1.0mm×0.5mm×0.15mm
外部電極の折り返し部分の寸法DE(セラミック本体の主面および側面上に形成される外部電極の電極部分寸法DE):200μm〜400μm(狙い値は300μm)
外部電極を構成する導電性ペースト中の金属:Cu
Cu(Cu粉)の平均粒子径:表1の金属粒子径を参照
Cu粉のアスペクト比:10(上記の粒子径のCu粉を叩いてこのアスペクト比にした)
外部電極を構成する導電性ペーストの乾燥条件:100℃で10分間の熱風乾燥
外部電極の焼成条件:昇温速度が196℃/分で焼成温度が835℃
外部電極の折り返し部分の厚み:8μm〜13μm(最厚部)(狙いは10μm)
外部電極の端面厚み:6μm〜12μm(最厚部)(狙いは9μm)
めっき膜:Niめっき(狙い3μm)およびSnめっき(狙い4μm)の2層
また、本発明の実施例1〜3においては、金属粒子径の値を振って窪み部の高低差を振った。
窪み部の高低差の測定方法は、まず、サンプル(積層セラミックコンデンサ)の幅が1/2となる位置まで側面を研磨し、その研磨した断面における外部電極の2つの山の頂点を線で結ぶ。その後、その線を基準線として、基準線と平行になるように外部電極の窪み部の最下点を通る線を引く。最後に、基準線から窪み部の最下点を通る線までの距離を測定し、窪み部の高低差ないしは窪んだ部分の高低差とする。なお、測定値は、第1および第2の外部電極の4点を測った平均値とした。また、表1の窪み部の高低差の値は、各サンプル20個の平均値とした。
まず、外部電極膜厚として、サンプル(積層セラミックコンデンサ)の側面を長さ方向に沿って、サンプルの幅方向における中央位置まで研磨し、その研磨した断面における外部電極の最大厚みとなる部分を光学顕微鏡によって測定した。言い換えれば、外部電極膜厚は、セラミック本体の表面から外部電極の一番遠い部分(例えば2つの山のうちの高い方)までの距離、すなわち最大に厚い部分の厚みである。そして、外部電極についての上述の窪み部の高低差を外部電極膜厚の測定値で割って、高低差/外部電極膜厚とした。表1の高低差/外部電極膜厚の値は、各サンプル20個の平均値とした。
まず、外部電極の表面について、表面粗さ測定機で2次元の凹凸像を示し、高低差が1.5μm以上のものを窪み部として判断した。そして、表1の電極の山の数は、窪み部がないものを1とし、1つの窪み部があるものを2とした。
金属粒子径として、外部電極を構成する導電性ペースト中の金属粉の平均粒子径を測定した。金属粉の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒子径をいう。
実体顕微鏡を用いて、積層セラミックコンデンサの両主面の外部電極を倍率10倍で観察し、ブリスタの有無を確認した。なお、ブリスタの定義としては、直径が5μm以上のものをブリスタとした。サンプル数は20個であり、それらのついてのブリスタの発生率を調べた。
次の方法で耐湿負荷試験を行って耐候性を評価した。
サンプルを、共晶はんだを用いてガラスエポキシ基板に実装した。その後、各サンプルを、85℃、相対湿度85%RHの高温高湿槽内において、DC4V、500時間の条件で耐湿加速試験を行い、絶縁抵抗値(IR値)がLogIR<7のものを、IRないしは耐湿性が劣化したと判断した。サンプル数は20個であり、それらのついてのIRの劣化率を調べた。
なお、チップサイズがDL×DW×DT=0.6mm×0.3mm×0.15mmであって、外部電極の折り返しの寸法(セラミック本体の主面および側面上に形成される外部電極の長さ(電極部分寸法DE)が180μm〜320μm(狙い値は250μm)である、この発明の範囲内のサンプルにおいても、同様の実験を行ったが、同様な効果を得ることができた。
セラミック電子部品のセラミック本体として、圧電体セラミックを用いた場合は圧電部品として機能し、半導体セラミックを用いた場合はサーミスタとして機能し、磁性体セラミックを用いた場合はインダクタとして機能する。ただし、インダクタとして機能させる場合には、内部電極はコイル状の導体となる。
12 セラミック本体
12a、12b 主面
12c、12d 側面
12e、12f 端面
14 セラミック層
16a、16b 内部電極
18a、18b 露出部
20a、20b 外部電極
22a1、22a2、22b1、22b2 窪み部
24a、24b めっき膜
26a1、26a2、26b1、26b2 窪み部
Claims (3)
- 互いに対向する一対の主面、互いに対向する一対の側面および互いに対向する一対の端面を有するセラミック本体と、
前記セラミック本体の内部に配置され、前記セラミック本体の前記端面に露出した露出部を有する内部電極と、
前記内部電極の前記露出部と電気的に接続されるようにして、前記セラミック本体の前記一対の端面側において前記端面から少なくとも前記一対の主面にわたって形成される一対の外部電極と、
前記外部電極上に形成されるめっき膜と、を有するセラミック電子部品であって、
前記セラミック本体の前記一対の主面同士を結んだ方向における長さが、前記セラミック本体の前記主面に形成される前記外部電極の長さであって前記セラミック本体の前記一対の端面同士を結んだ方向における長さよりも短く形成され、
前記セラミック本体の前記主面に形成される前記外部電極の中央部に窪みを有していることを特徴とする、セラミック電子部品。 - 前記セラミック本体の前記主面に形成される前記外部電極において、最も厚い部分に対する窪んだ部分の厚みが12%以上であることを特徴とする、請求項1に記載のセラミック電子部品。
- 前記セラミック本体の前記主面に形成される前記外部電極の断面形状は、前記外部電極の中央部で窪んでおり、2つの山なり形状を有していることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のセラミック電子部品。
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