JP2015034403A - 帯電防止塗り床材 - Google Patents
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Abstract
【課題】十分な帯電防止性能を得られる帯電防止塗り床材を提供する。
【解決手段】この帯電防止塗り床材は、帯電防止性能を持ち、建物の床に流し延べによって塗布されるエポキシ樹脂系の塗り床材であって、エポキシ樹脂と、例えば脂環式アミン系イオン液体である脂環式系イオン液体と、例えば脂肪族アミン系イオン液体である脂肪族系イオン液体とを含むエポキシ樹脂系塗り床材に対し、さらに導電性フィラーを混入することにより、例えば、温度23℃、相対湿度30%、印加電圧500Vでの電気抵抗値が、107Ω未満となる帯電防止性能を有する。
【選択図】図4
【解決手段】この帯電防止塗り床材は、帯電防止性能を持ち、建物の床に流し延べによって塗布されるエポキシ樹脂系の塗り床材であって、エポキシ樹脂と、例えば脂環式アミン系イオン液体である脂環式系イオン液体と、例えば脂肪族アミン系イオン液体である脂肪族系イオン液体とを含むエポキシ樹脂系塗り床材に対し、さらに導電性フィラーを混入することにより、例えば、温度23℃、相対湿度30%、印加電圧500Vでの電気抵抗値が、107Ω未満となる帯電防止性能を有する。
【選択図】図4
Description
本発明は、建物の床に塗布するための帯電防止塗り床材に関し、より詳細には、帯電防止性能を有する帯電防止塗り床材に関する。
帯電防止性能を持ち、流し述べによって施工されるエポキシ樹脂系塗り床材(以下、「帯電防止塗り床材」ともいう)は、硬化後の仕上がりが平滑で光沢があり、しかも厚みがあることから耐久性に富むという特徴があり、各種構成のものが提案されている(特許文献1参照)。
帯電防止塗り床材は、図5に示すように、例えば、下地となる高い導電性を持ったカーボン層102と、エポキシ樹脂に導電性フィラーを混合したトップコート層104とで構成され、床基盤100の表面に流し延べによって施工される。この構成により、帯電防止塗り床材は、塗り床上を歩行する人が履く靴の底と床との摩擦によって発生する静電気を逃がすことができる。
図6に、上記した従来構成の帯電防止塗り床材における印加電圧と抵抗値との関係を示す。図6に示すように、従来の帯電防止塗り床材では、その抵抗値は、印加電圧が500Vでは測定位置によって1011Ωオーダーであったり、106Ωオーダーであったりと値にばらつきがあり、また印加電圧1000Vでは106Ωオーダーとなっている。一方、印加電圧が10V〜500V未満では通電しにくく、抵抗値は1011Ωオーダーとなっている。すなわち、この帯電防止塗り床材のトップコート層104は、電気を通しにくいエポキシ樹脂の中に導電性フィラーが分散しているため、フィラーの間に樹脂が僅かに入り込んでいることになり、ある程度の電圧をかけないと通電しにくいものとなっている。
従って、このような帯電防止塗り床材上で歩行試験(測定環境は、室温23℃、相対湿度25%とした)を行うと、図7に示すように、静電靴を履いていても人体帯電電位は、波形の頂点で600V以上となり、十分な帯電防止効果があるとは言い難いという結果が得られた。この問題を解決するには、トップコート層104でのエポキシ樹脂に対する導電性フィラーの割合を増やすことが考えられるが、導電性フィラーの量を増やし過ぎると樹脂の流動性が悪くなり、光沢のある表面仕上げが難しくなり、また、塗り床材の耐摩耗性等の基本物性の低下も生じることになり、好ましくない。しかも、導電性フィラーは高価であるため、塗り床材のコストアップにつながるという問題もある。
本発明は、上記従来の問題を考慮してなされたものであり、十分な帯電防止性能を得られる帯電防止塗り床材を提供することを目的とする。
本発明に係る帯電防止塗り床材は、エポキシ樹脂と、脂環式系イオン液体と、脂肪族系イオン液体と、導電性フィラーとを含むことを特徴とする。
このような構成によれば、エポキシ樹脂と、脂環式系イオン液体と、脂肪族系イオン液体と、導電性フィラーとを含むことにより、高い帯電防止性能を有し、人体帯電電位の高い抑制効果を持ったエポキシ樹脂系の帯電防止塗り床材を得ることができる。また、エポキシ樹脂に脂環式系イオン液体と脂肪族系イオン液体とを配合することである程度の帯電防止性能を持ったエポキシ樹脂系塗り床材が生成されると共に、さらにこの塗り床材に導電性フィラーが混合されているため、導電性フィラーの配合量を最小限に抑えつつ、十分な帯電防止性能と良好な特性とを有する塗り床材が得られ、さらに材料コストや製造コストを抑えることができる。
この場合、前記エポキシ樹脂と、前記脂環式系イオン液体と、前記脂肪族系イオン液体とを含むエポキシ樹脂系塗り床材に対して、前記導電性フィラーを、3〜50質量%の配合量で混入させることが好ましい。
前記脂環式系イオン液体は、脂環式アミン系イオン液体であり、前記脂肪族系イオン液体は、脂肪族アミン系イオン液体であると、エポキシ樹脂の塗膜物性をほとんど低下させることなく基材となるエポキシ樹脂系塗り床材に帯電防止性能を付与することができ、その結果、当該帯電防止塗り床材の帯電防止性能を一層高めることができる。
前記脂環式アミン系イオン液体と前記脂肪族アミン系イオン液体との重量比が、30:70〜10:90であると、十分な導電性を有しつつ、当該帯電防止塗り床材の塗膜性状への影響を一層少なくすることができる。
前記脂環式系イオン液体と前記脂肪族系イオン液体の合計含有量が、前記エポキシ樹脂に対して、3質量%〜10質量%であるとよい。そうすると、高い耐久性や製品品質を有しつつ、十分な帯電防止性能を持つことができる。
また、当該帯電防止塗り床材は、温度23℃、相対湿度30%、印加電圧500V以上での電気抵抗値が、107Ω未満であるように構成すれば、より確実な人体帯電電位の抑制効果を発揮することができるため好ましい。
本発明によれば、エポキシ樹脂に、脂環式系イオン液体と脂肪族系イオン液体と導電性フィラーとを配合することで、高い帯電防止性能を有し、より確実な人体帯電電位の抑制効果が期待できる帯電防止塗り床材を生成することができる。
以下、本発明に係る帯電防止塗り床材について好適な実施の形態を挙げて詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る帯電防止塗り床材は、エポキシ樹脂と、脂環式系イオン液体と、脂肪族系イオン液体と、導電性フィラーとを含む帯電防止塗り床材(エポキシ樹脂系塗り床材)であり、産業施設等の各種建物に設けられるコンクリートや木材等の床基盤上に流し述べによって塗布されることで帯電防止塗り床を形成する、流し延べ帯電防止塗り床材(流し延べエポキシ樹脂系塗り床材)である。
本実施形態に係る帯電防止塗り床材は、ある程度の帯電防止性能を持ったエポキシ樹脂系塗り床材を基材とし、この基材に対して導電性フィラーを混入させることで構成され、高い帯電防止性能を有する。
基材となるエポキシ樹脂系塗り床材は、例えば、従来より一般的に用いられている帯電防止性能を持たないエポキシ樹脂系塗り床材をベースとし、これに脂環式系イオン液体と脂肪族系イオン液体の混合物を配合することで帯電防止性能を付与した組成物である。
エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、一般的に用いられるエポキシ樹脂系塗り床材と同様なものを用いればよく、分子内にエポキシ基を有する化合物であって、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型等の公知のエポキシ樹脂を用いればよい。
イオン液体とは、イオンのみから構成される塩、特に液体化合物をいい、支持電解質を加えなくても電流を流すことができて広い電位窓を示すものである。イオン液体の中でも、脂環式系イオン液体と脂肪族系イオン液体が好ましい。イオン液体には、アミン系、ピリジン系、ハロゲン系、ホウ素系、リン系等があるが、特にアミン系のもの(脂環式アミン系イオン液体、脂肪族アミン系イオン液体)は、エポキシ樹脂の塗膜物性(例えば、製品強度や耐久性)を低下させにくいため本実施形態に係る帯電防止塗り床材に好適に用いることができる。
脂環式アミン系イオン液体としては、特に限定されないが、例えば、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムブロマイド、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムクロライド、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムテトラフルオロボレート、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムヘキサフルオロホスフェート、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムブロマイド、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムクロライド、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N−メチルーN−プロピルピロリジニウムヘキサフルオロホスフェート、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−メチル−N−ブチルピロリジニウムブロマイド、N−メチル−N−ブチルピロリジニウムクロライド、N−メチルーN−ブチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N−メチル−N−ブチルピロリジニウムヘキサフルオロホスフェート、N−メチル−N−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、等、またこれら脂環式アミンの混合物等が挙げられる。
脂肪族アミン系イオン液体としては、特に限定されないが、例えば、N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムブロマイド、N,N,N−トリメチルーN−プロピルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリメチルーN−プロピルアンモニウムテトラフルオロボレート、N,N,N−トリメチルーN−プロピルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N,N,N−トリメチルーN−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ヘキシルトリメチルビスアミド等、またこれら脂肪族アミンの混合物等が挙げられる。
なお、一般に、脂肪族系イオン液体は脂環式系イオン液体を含む概念として用いられるが、本発明では、互いに混合される脂肪族系イオン液体と脂環式系イオン液体とを区別するため、脂肪族系イオン液体は脂環式イオン液体を含まず、鎖状の脂肪族系イオン液体を示すものとする。
導電性フィラーとしては、特に限定されないが、従来より塗り床材や接着剤等に帯電防止目的で用いられているものでよく、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛等の導電性金属やその酸化物の粉末、酸化チタンやチタン酸カリウム等を酸化錫、酸化アンチモン等で表面処理を行った粉末、導電性カーボン、グラファイト等の粉末の導電性無機物等、又はそれらの混合物を用いればよい。導電性フィラーの形状は任意であり、例えば、フレーク状、球状(粒状)、繊維状等とすればよい。
当該帯電防止塗り床材は、必要に応じて、硬化剤や充填材等をさらに含有してもよい。硬化剤としては、例えば、アミン化合物等の一般に知られているエポキシ樹脂用の硬化剤を用いるとよい。充填材としては、例えば、シリカ粉等の無機充填材を用いるとよく、さらに顔料等を混合してもよい。
また、当該帯電防止塗り床材は、硬化剤を含んだ1液型であってもよく、硬化剤を含まない帯電防止塗り床材と硬化剤との2液型であってもよい。
当該帯電防止塗り床材の基材となるエポキシ樹脂系塗り床材では、脂環式系イオン液体(例えば、脂環式アミン系イオン液体)と脂肪族系イオン液体(例えば、脂肪族アミン系イオン液体)との混合物の合計含有量が、無溶剤型エポキシ樹脂に対して、3質量%〜10質量%、好ましくは、5質量%となるように配合することが好ましい。この配合量とすることで、高い耐久性や製品品質を有しつつ、十分な帯電防止性能を有する基材(エポキシ樹脂系塗り床材)が生成され、この基材に導電性フィラーを混入することで当該帯電防止塗り床材の導電性をさらに高いものとしている。なお、イオン液体の合計配合量が3質量%より低いと、基材の導電性が低くなり十分な帯電防止性能を得ることができないことがあり、また、イオン液体の合計配合量が10質量%より高いと、塗り床材としての塗膜物性が低下して耐久性等に問題を生じることがある。
ここで、エポキシ樹脂に対するイオン液体の配合量を変化させた場合における基材の特性について図1の実験結果に基づき説明する。図1は、エポキシ樹脂に対するイオン液体の配合量(添加量)と、生成される基材であるエポキシ樹脂系塗り床材の抵抗値(接地抵抗)と、の関係(実験結果)を示す表である。この実験は、JIS C 61340−4−1、に規定された測定方法に基づき行っており、温度(室温)23℃、相対湿度30%にて、無溶剤型エポキシ樹脂系塗り床材に対して、イオン液体(脂環式アミン系イオン液体:脂肪族系イオン液体=45:55。重量比)の配合量を0質量%(ブランク)から13質量%まで1質量%刻みで変化させて抵抗値(MΩ)を測定したものである。抵抗値は、2点間表面抵抗(接地抵抗。分銅間30cm、印加電圧100V)によって測定した。
図1に示すように、無溶剤型エポキシ樹脂系塗り床材に対するイオン液体の配合量が0質量%〜2質量%では、抵抗値が1000MΩを超える値となり、導電性が低すぎて十分な帯電防止性能を得ることができない。一方、配合量が3質量%〜10質量%では、十分な導電性(例えば、抵抗値が500MΩ以下)を備えた基材としてのエポキシ樹脂系塗り床材を得ることができた。
また、基材となるエポキシ樹脂系塗り床材としては、図2に示すように、印加電圧10V〜1000V(室温23℃、相対湿度30%)での抵抗値(電気抵抗値)を、109Ωオーダー、すなわち1010Ω未満となるようにするとよい。イオン液体を配合した後の塗り床材の電気抵抗値が、上記条件下で1010Ω未満となるようにすると、基材での帯電防止性能を、人が痛みを感じる静電気放電を抑えることができる程度に高いものとすることができ、導電性フィラーを混入させた最終的な製品としての帯電防止塗り床材での帯電防止性能をより高性能なものとすることができる。基材について、この1010Ω未満の抵抗値を実現するためには、例えば、無溶剤型エポキシ樹脂系塗り床材に対して、3質量%〜10質量%となるように、脂環式系イオン液体と脂肪族系イオン液体を配合するとよい。
脂環式系イオン液体と脂肪族系イオン液体との混合比としては、その重量比(脂環式系イオン液体:脂肪族系イオン液体。例えば、脂環式アミン系イオン液体:脂肪族アミン系イオン液体)が、30:70〜90:10程度、好ましくは、45:55であると、当該帯電防止塗り床材の塗膜性状や導電性への影響を少なくすることができる。脂環式系イオン液体の脂肪族系イオン液体に対する重量比が30:70より低いと(例えば、20:70)、塗膜の強度低下、導電性の低下を生じることがあり、重量比が90:10より高いと(例えば、95:5)、導電性が低くなり十分な帯電防止性能を得ることができないことがある。
ここで、このような脂環式系イオン液体と脂肪族系イオン液体の混合比を変化させた場合における基材の特性について図3の実験結果に基づき説明する。図3は、脂環式系イオン液体と脂肪族系イオン液体の混合比(重量比)と、このイオン液体の混合物を無溶剤型エポキシ樹脂系塗り床材に5質量%で配合して生成される基材となるエポキシ樹脂系塗り床材の抵抗値(接地抵抗)と、の関係(実験結果)を示す表である。この実験は、JIS C 61340−4−1、に規定された測定方法に基づき行っており、温度(室温)23℃、相対湿度30%にて、無溶剤型エポキシ樹脂系塗り床材に対して5質量%で配合する脂環式アミン系イオン液体と脂肪族アミン系イオン液体との重量比を0:0(ブランク)から95:5まで変化させて抵抗値(MΩ)を測定したものである。抵抗値は、2点間表面抵抗(接地抵抗。分銅間30cm、印加電圧100V)によって測定した。
図3に示すように、脂環式系イオン液体の脂肪族系イオン液体に対する重量比が0:0〜20:80、95:5では、抵抗値が1000MΩを超える値となる場合があり、導電性が低すぎて十分な帯電防止性能を得ることができず、また塗膜強度も低下する傾向にある。一方、重量比が30:70〜90:10では、十分な導電性(例えば、抵抗値が500MΩ以下)を備えたエポキシ樹脂系塗り床材を得ることができ、特に重量比が30:70〜70:30の範囲で導電性が良好な値を示した。なお、重量比が20:80のものは、抵抗値が820MΩとなり、1000MΩ未満であることから、得られた基材に対する導電性フィラーの配合量や、当該帯電防止塗り床材の使用対象(例えば、床面の性状や種類、使用される建物の使用環境等)によっては、帯電防止用の塗り床材として十分に利用可能であると言える。
このような基材となるエポキシ樹脂系塗り床材に導電性フィラーを混入させた当該帯電防止塗り床材は、印加電圧10V〜500V(室温23℃、相対湿度30%)での抵抗値を、109Ωオーダー、すなわち1010Ω未満となるようにし、印加電圧500V以上(室温23℃、相対湿度30%)での抵抗値を、106Ωオーダー、すなわち107Ω未満となるようにするとよい。当該帯電防止塗り床材の印加電圧500V以上での電気抵抗値が、上記条件下で107Ω未満となるようにすると、より確実な人体帯電電位の抑制効果を発揮することができるため好ましい。
これら1010Ω未満(印加電圧10V〜500V)、107Ω未満(印加電圧500V以上)の抵抗値を実現するためには、例えば、エポキシ樹脂と脂環式系イオン液体と脂肪族系イオン液体とを含むエポキシ樹脂系塗り床材(基材)に対して、導電性フィラーを、3〜50質量%の配合量で混入させるとよい。
本実施形態に係る帯電防止塗り床材の製造方法としては、先ず、公知のエポキシ樹脂系塗り床材をベースとし、これに脂環式系イオン液体と脂肪族系イオン液体との混合物を配合して生成するとよく、例えば、脂環式アミン系イオン液体と脂肪族アミン系イオン液体とを混合したイオン液体を、ベースとなるエポキシ樹脂系塗り床材に対して均一となるように混合することで帯電防止性能を持ったエポキシ樹脂系塗り床材(基材)を生成する。次に、このような基材となるエポキシ樹脂系塗り床材に対して、所定量の導電性フィラーを均一となるように混合することで当該帯電防止塗り床材を生成するとよい。勿論、基材を構成するエポキシ樹脂、脂環式系イオン液体、及び脂肪族系イオン液体と、導電性フィラーとを、一まとめに又は上記以外の任意の順に混合してもよい。
本実施形態に係る帯電防止塗り床材の床基盤上への塗布方法としては、所定量を床基盤上に流し述べによって塗布した後、乾燥・硬化させるとよい。例えば、図4に示すように、床基盤10の表面上に、トップコート層として、基材となるエポキシ樹脂系塗り床材に導電性フィラーを配合した本実施形態の帯電防止塗り床材12を施工する。このように、床基盤10上にトップコート層として帯電防止塗り床材12を施工することにより、例えば、印加電圧が10V〜500V未満では抵抗値が109Ωオーダーであり、印加電圧が500V以上では抵抗値が106Ωオーダーとなり、高い帯電防止性能を実現することができ、またコストも従来の帯電防止塗り床材と同等程度に抑えることができる。
この際、当該帯電防止塗り床材の床基盤上への塗布量は、特に限定されないが、例えば、乾燥・硬化後(施工完了後)の塗布厚みが0.5mm〜2mm程度、好ましくは、1mm程度となるようにするとよい。塗布方法としては、例えば金ゴテによる流し延べ工法等、通常の塗り床材と同様の施工方法でよく、一般的な使用量としては0.8〜1.2Kg/m2程度となる。
なお、図4では、省略しているが、本実施形態の場合にも、図5に示す従来構成の場合と同様に、床基盤10上に下地(下塗材)となるカーボン層(図5中のカーボン層102と同様なもの)等を塗布し、その上にトップコート層として本実施形態の帯電防止塗り床材12を施工する構成としてもよい。この場合、下地(下塗材)としては、溶剤系若しくは水系のエポキシ樹脂に銀、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛等の導電性金属やその酸化物の粉末、酸化チタンやチタン酸カリウム等を酸化錫、酸化アンチモン等で表面処理を行った粉末、導電性カーボン、グラファイト等の粉末の導電性無機物等、又はそれらの混合物を用いて、硬化塗膜の表面抵抗値が、1×104Ω〜1×105Ωとなるように配合したものとするとよく、その塗膜厚みは特に限定されないが、50μm〜200μm程度であることが好ましい。
以上のように、本実施形態に係る帯電防止塗り床材によれば、エポキシ樹脂と、脂環式系イオン液体と、脂肪族系イオン液体と、導電性フィラーとを含むことにより、印加電圧が10V〜500V未満では抵抗値が109Ωオーダーであり、印加電圧が500V以上では抵抗値が106Ωオーダーとなり、高い帯電防止性能を有し、より確実な人体帯電電位の抑制効果を得ることができる。すなわち、当該帯電防止塗り床材では、基材となるエポキシ樹脂系塗り床材として、エポキシ樹脂に脂環式系イオン液体と脂肪族系イオン液体とを配合することである程度の帯電防止性能を持ったものを用い、この基材中で導電性フィラーが分散される。これにより、導電性フィラーの配合量を最小限に抑えることができるため、樹脂の流動性を良好に保ち、且つ光沢のある表面仕上げを確保することができ、さらに塗り床材の耐摩耗性等の基本物性の低下を生じることも防止しつつ、十分な帯電防止性能を得ることができる。しかも材料コストや製造コストも従来の帯電防止塗り床材と同等程度に抑えることができる。
本実施形態に係る帯電防止塗り床材は、一般的な帯電防止塗り床材と同様に施工することができるため、例えば、はつり工事が困難な工場等において、既存の塗り床の上から塗り重ねるような改修工事についても有効に用いることができ、これによっても高い帯電防止効果を得ることができるようになる。なお、このように既存の塗り床の上から塗り重ねる施工の場合において、より確実に帯電防止性能を発揮させたい場合には、当該帯電防止塗り床材を塗布した塗り床表面を導線等で接地するとよい。
本実施形態に係る帯電防止塗り床材では、基材となるエポキシ樹脂系塗り床材を、脂環式系イオン液体として脂環式アミン系イオン液体を用い、脂肪族系イオン液体として脂肪族アミン系イオン液体を用いて生成することにより、高い帯電防止性能を有しつつ、その塗膜物性を低下させることを防止でき、より均一な塗布が可能となり、また、塗布後の塗り床の耐久性を向上させることができる。
10,100 床基盤
12 帯電防止塗り床材
102 カーボン層
104 トップコート層
12 帯電防止塗り床材
102 カーボン層
104 トップコート層
Claims (6)
- エポキシ樹脂と、脂環式系イオン液体と、脂肪族系イオン液体と、導電性フィラーとを含むことを特徴とする帯電防止塗り床材。
- 請求項1記載の帯電防止塗り床材において、
前記エポキシ樹脂と、前記脂環式系イオン液体と、前記脂肪族系イオン液体とを含むエポキシ樹脂系塗り床材に対して、前記導電性フィラーを、3〜50質量%の配合量で混入させたことを特徴とする帯電防止塗り床材。 - 請求項1又は2記載の帯電防止塗り床材において、
前記脂環式系イオン液体は、脂環式アミン系イオン液体であり、
前記脂肪族系イオン液体は、脂肪族アミン系イオン液体であることを特徴とする帯電防止塗り床材。 - 請求項3記載の帯電防止塗り床材において、
前記脂環式アミン系イオン液体と前記脂肪族アミン系イオン液体との重量比が、30:70〜10:90であることを特徴とする帯電防止塗り床材。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の帯電防止塗り床材において、
前記脂環式系イオン液体と前記脂肪族系イオン液体の合計含有量が、前記エポキシ樹脂に対して、3質量%〜10質量%であることを特徴とする帯電防止塗り床材。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の帯電防止塗り床材において、
温度23℃、相対湿度30%、印加電圧500V以上での電気抵抗値が、107Ω未満であることを特徴とする帯電防止塗り床材。
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