JP2015031245A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の状態量を共通の予測モデルを用いて予測する場合において、制御状態の変更の際に生じる探索段差を解消する。
【解決手段】実施の形態においては、2つの目標値を同時に最適化するため、勾配法探索を用いる。運転条件が変更されてEGRカット領域から過給・EGR協調制御領域に遷移する場合は、EGR率方向の勾配をゼロから徐変させながら復帰させる。これにより、探索段差を事前に回避可能となるので、2つの目標値rを最適化する場合においても、修正目標値gの探索を適切に行うことができる。
【選択図】図4
【解決手段】実施の形態においては、2つの目標値を同時に最適化するため、勾配法探索を用いる。運転条件が変更されてEGRカット領域から過給・EGR協調制御領域に遷移する場合は、EGR率方向の勾配をゼロから徐変させながら復帰させる。これにより、探索段差を事前に回避可能となるので、2つの目標値rを最適化する場合においても、修正目標値gの探索を適切に行うことができる。
【選択図】図4
Description
本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
一般的な内燃機関の制御装置は、内燃機関の制御量に関して目標値が与えられた場合、同制御量の出力値を目標値に追従させるようにフィードバック制御によって内燃機関の制御入力を決定するように構成されている。ただし、実際の内燃機関の制御においては、内燃機関の状態量に関してハード上或いは制御上の様々な制約が存在している場合が多い。それらの制約が充足されない場合、ハードの破損や制御性能の低下が生じるおそれがある。制約の充足性は、目標値に対する出力値の追従性と同じく、内燃機関の制御において求められる重要な性能の1つである。
リファレンスガバナは上記要求を満たすための1つの有効な手段である。リファレンスガバナは制御対象である内燃機関とフィードバックコントローラとを含む閉ループシステム(フィードバック制御システム)をモデル化した予測モデルを備え、ある目標値に従って制御量が制御された場合に、当該制御量および内燃機関の状態量の将来値を予測モデルによって予測する。そして、予測された制御量および状態量と、課せられた制約とに基づいて内燃機関の制御量の目標値を修正する。
リファレンスガバナを内燃機関の制御に適用した先行技術の例としては、下記の特許文献1に開示された先行技術を挙げることができる。この先行技術では、上記制御量および状態量としての過給圧が予測され、この予測値に課せられた制約を満たす範囲内の制御量の目標値が探索され、排気タービンのベーンの制御量が修正される。
ところで、リファレンスガバナで複数の状態量、例えば過給圧とEGR率を予測する場合は、EGRカット領域とEGR領域の間、或いは、非過給領域と過給領域の間の様に内燃機関の制御状態の推移に応じて単出力用と多出力用の間で予測モデルを切り替える必要がある。しかし、このような切り替え構造を採用する場合は、各予測モデルのパラメータのチューニングが不可欠となるので開発工数が増えてしまうという問題がある。
推移する複数の制御状態に対して多出力用の予測モデルを共用すれば、上記問題を解決できる。ところが、単出力領域では目標値の一方が固定保持されており、多出力領域ではその目標値が可変に変更されることになる。そのため、単出力領域から多出力領域に推移する際に、探索段差が生じてしまうという新たな問題が生じる。
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたものである。すなわち、複数の状態量を共通の予測モデルを用いて予測する場合において、制御状態の変更の際に生じる探索段差を解消することを目的とする。
本発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の制御装置であって、
内燃機関に関する複数の制御量の出力値を対応する複数の目標値に近付けるようにフィードバック制御によって前記内燃機関の制御入力を決定するフィードバックコントローラと、
前記内燃機関と前記フィードバックコントローラとを含む閉ループシステムのモデルを用いて前記内燃機関の特定の複数の状態量の将来の予測値を計算し、前記予測値のそれぞれに課せられた制約に基づいて前記フィードバックコントローラに与えられる前記複数の目標値を当該目標値の数に応じた多次元探索により修正するリファレンスガバナと、を備え、
前記内燃機関は、前記複数の目標値のうちの少なくとも1つが固定保持される状態と可変にされる状態とに制御状態を変更可能に構成され、
前記リファレンスガバナは、前記固定保持状態においては当該固定保持される目標値の軸方向の探索の勾配をゼロとし、前記固定保持状態から前記可変状態に変更された場合は前記探索勾配をゼロから所定の探索勾配まで複数回の演算ステップに亘って漸変させることを特徴とする。
内燃機関に関する複数の制御量の出力値を対応する複数の目標値に近付けるようにフィードバック制御によって前記内燃機関の制御入力を決定するフィードバックコントローラと、
前記内燃機関と前記フィードバックコントローラとを含む閉ループシステムのモデルを用いて前記内燃機関の特定の複数の状態量の将来の予測値を計算し、前記予測値のそれぞれに課せられた制約に基づいて前記フィードバックコントローラに与えられる前記複数の目標値を当該目標値の数に応じた多次元探索により修正するリファレンスガバナと、を備え、
前記内燃機関は、前記複数の目標値のうちの少なくとも1つが固定保持される状態と可変にされる状態とに制御状態を変更可能に構成され、
前記リファレンスガバナは、前記固定保持状態においては当該固定保持される目標値の軸方向の探索の勾配をゼロとし、前記固定保持状態から前記可変状態に変更された場合は前記探索勾配をゼロから所定の探索勾配まで複数回の演算ステップに亘って漸変させることを特徴とする。
本発明に係る制御装置によれば、内燃機関に関する複数の制御量の目標値のうちの少なくとも1つが固定保持される固定保持状態においては当該固定保持される目標値の軸方向の探索の勾配をゼロとし、この固定保持状態から可変状態に変更された場合は探索勾配をゼロから所定の探索勾配まで複数回の演算ステップに亘って漸変させるので、探索段差を事前に回避できる。従って、複数の制御量の目標値を適切に修正できる。
以下、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
本実施の形態に係る制御装置は、自動車に搭載されるディーゼルエンジンの制御装置である。制御対象であるディーゼルエンジンは、詳しくは、可変容量ターボチャージャーとEGR装置とを備えるディーゼルエンジンである。図1は本実施の形態の制御装置が適用されるディーゼルエンジン(DE)の入出力を示す図である。ディーゼルエンジンの制御入力(操作量)は可変ノズル開度(VN開度)、EGR弁開度、及び、ディーゼルスロットル開度(Dスロ開度)であり、ディーゼルエンジンの制御出力(状態量)は過給圧とEGR率である。EGR率及び過給圧にはハード上の制約として上限値及び下限値が設定されている。本実施の形態に係る制御装置は、EGR率及び過給圧を上限値以上かつ下限値以下に維持しながら、EGR率と過給圧のそれぞれを目標値に追従させるようにディーゼルエンジンの制御入力を決定する。
図2は本実施の形態に係る制御装置が有するディーゼルエンジンの目標値追従制御構造を示す図である。本実施の形態に係る目標値追従制御構造は、目標値マップ、リファレンスガバナ(RG)、及び、フィードバックコントローラを備える。目標値マップは、ディーゼルエンジン(DE)の運転条件を示す外生入力d=[エンジン回転数;燃料噴射量]が与えられるとディーゼルエンジンの制御量の目標値r=[EGR率目標値;過給圧目標値]を出力する。
リファレンスガバナは、制御量の目標値r=[EGR率目標値;過給圧目標値]が与えられると、EGR率及び過給圧に関する制約が満たされるように目標値rを修正し、修正目標値g=[EGR率修正目標値;過給圧修正目標値]を出力する。リファレンスガバナの詳細については後述する。
フィードバックコントローラは、リファレンスガバナから修正目標値gが与えられると、ディーゼルエンジンの各状態量x=[EGR率;過給圧]を修正目標値gに近づけるように、フィードバック制御によってディーゼルエンジンの制御入力u=[ディーゼルスロットル開度;EGR弁開度;可変ノズル開度]を決定する。フィードバックコントローラの仕様に限定はなく、公知のフィードバックコントローラを用いることができる。
図3は図2に示す目標値追従制御構造を等価変形して得られたフィードフォワード構造である。図2において破線で囲まれた閉ループシステムは既に設計済みであるとして、図3に示すフィードフォワード構造では1つのモデル(P)とされている。閉ループシステムのモデルは次のモデル式(1)で表される。式(1)において、f,hはモデル式の関数である。また、kは離散時間ステップを表している。
リファレンスガバナは、与えられた目標値rに基づいて修正目標値gの候補を複数用意する。具体的には、過給圧とEGR率とを軸とする2次元平面上に格子状に探索点を配列し、各探索点を修正目標値候補(g1,g2,...,gNg)として設定する。Ngは修正目標値候補の個数を表している。リファレンスガバナは、修正目標値候補のそれぞれを閉ループシステムのモデルに入力してEGR率及び過給圧の状態量xや出力zを予測する。リファレンスガバナが用いる予測モデルは式(1)で表されるので、EGR率及び過給圧の将来状態量x及び将来予測値zは次の式(2)で表される。式(2)においてNhは予測ステップ数(予測ホライズン)である。予測ステップ数に離散時間ステップの時間間隔を乗じた値が現在から将来にかけての予測長となる。また、ここでは、予測区間の間、時刻kにおける外生入力の値d(k)が継続すると仮定されている。
この将来予測を目標値の最大変域g(k)=(gmin,gmax)と、外生入力の最大変域d(k)={dmin,dmax}に対してモデル予測を行う。これにより、状態量xの最大変域が得られる。
本実施の形態においては、2つの目標値を同時に最適化するため、勾配法を用いる。図4は、勾配法を用いた場合の探索イメージを示した図である。図4の矢印A,Bは最急降下方向の探索パスである。矢印Aに示すように、過給・EGR協調制御領域では、通常の2変数修正となるので、2次元の勾配の降下方向に目標値rが修正されることになる。即ち、EGR率目標値及び過給圧目標値の両者が同時に修正、変更される。
これに対し、EGRカット領域ではEGR率方向の探索が不要となる。即ち、矢印Bで示すように、勾配のうちのEGR率方向の成分は0にリセットされ、過給圧方向にのみ探索がなされる。即ち、過給圧目標値のみが修正、変更される。
運転条件が変更されてEGRカット領域から過給・EGR協調制御領域に遷移する場合は、EGR率方向の成分のリセットが停止される。しかし、目標値修正方向のうちEGR率方向の成分が突然発生する場合があり、これが探索段差の原因となる。そこで、本実施の形態においては、このような遷移の際にEGR率方向の勾配をゼロから徐変させながら復帰させることとしている。これにより、探索段差を事前に回避可能となるので、2つの目標値rを最適化する場合においても、修正目標値gの探索を適切に行うことができる。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
図1に示す目標値追従制御構造は、制御対象のディーゼルエンジンが低圧EGRシステムと高圧EGRシステムとを有する場合には、図5の(a)〜(d)に示すような制御入力と制御出力との組み合わせにも適用することができる。図5の(a)及び(b)では、低圧EGRシステムのEGR弁開度(LPL−EGR弁開度)と高圧EGRシステムのEGR弁開度(HPL−EGR弁開度)とが制御入力に含まれている。図5の(c)及び(d)では、低圧EGRシステムのEGR量(LPL−EGR量)と高圧EGRシステムのEGR量(HPL−EGR量)とが制御出力に含まれている。
図1に示す目標値追従制御構造は、制御対象のディーゼルエンジンが低圧EGRシステムと高圧EGRシステムとを有する場合には、図5の(a)〜(d)に示すような制御入力と制御出力との組み合わせにも適用することができる。図5の(a)及び(b)では、低圧EGRシステムのEGR弁開度(LPL−EGR弁開度)と高圧EGRシステムのEGR弁開度(HPL−EGR弁開度)とが制御入力に含まれている。図5の(c)及び(d)では、低圧EGRシステムのEGR量(LPL−EGR量)と高圧EGRシステムのEGR量(HPL−EGR量)とが制御出力に含まれている。
さらに、本発明に係る制御装置が適用される内燃機関はディーゼルエンジンのみに限定されない。例えば、ガソリンエンジンやハイブリッドシステム等の他の車載動力の他、燃料電池システムにも適用することができる。
Claims (1)
- 内燃機関に関する複数の制御量の出力値を対応する複数の目標値に近付けるようにフィードバック制御によって前記内燃機関の制御入力を決定するフィードバックコントローラと、
前記内燃機関と前記フィードバックコントローラとを含む閉ループシステムのモデルを用いて前記内燃機関の特定の複数の状態量の将来の予測値を計算し、前記予測値のそれぞれに課せられた制約に基づいて前記フィードバックコントローラに与えられる前記複数の目標値を当該目標値の数に応じた多次元探索により修正するリファレンスガバナと、を備え、
前記内燃機関は、前記複数の目標値のうちの少なくとも1つが固定保持される状態と可変にされる状態とに制御状態を変更可能に構成され、
前記リファレンスガバナは、前記固定保持状態においては当該固定保持される目標値の軸方向の探索の勾配をゼロとし、前記固定保持状態から前記可変状態に変更された場合は前記探索勾配をゼロから所定の探索勾配まで複数回の演算ステップに亘って漸変させることを特徴とする内燃機関の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013163248A JP2015031245A (ja) | 2013-08-06 | 2013-08-06 | 内燃機関の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013163248A JP2015031245A (ja) | 2013-08-06 | 2013-08-06 | 内燃機関の制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2015031245A true JP2015031245A (ja) | 2015-02-16 |
Family
ID=52516771
Family Applications (1)
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JP2013163248A Pending JP2015031245A (ja) | 2013-08-06 | 2013-08-06 | 内燃機関の制御装置 |
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JP (1) | JP2015031245A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017101627A (ja) * | 2015-12-03 | 2017-06-08 | トヨタ自動車株式会社 | 内燃機関制御装置 |
-
2013
- 2013-08-06 JP JP2013163248A patent/JP2015031245A/ja active Pending
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