JP2015031197A - 内燃機関のブリーザ構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】クラッチカバー(7)のカバー外側壁(7v)に中央部位(P)から周縁部位(Q)に放射方向に指向して穿孔された挿通孔(60b)にクラッチレリーズシャフト(39)が挿通される内燃機関のブリーザ構造において、挿通孔(60b)の中央部位(P)の近傍に変速機室(2M)側に開口するブリーザ導入口(60a)が形成され、挿通孔(60b)の周縁部位(Q)からカバー外周壁(7s)およびクランクケース(2)を穿孔してクランクケース(2)内の上部後方空間に形成されたブリーザ室(61)に連通するブリーザ通路(60c,60d)が形成されるブリーザ構造である。
【選択図】図5
Description
そこで、特許文献1のようにブリーザ通路をACGカバー側に設けるようにし、クラッチカバー側にクラッチレリーズシャフトを残す構成とすると、双方のクランクケースカバーをそれぞれ加工成形し、配置しなければならず、コスト高となるとともに内燃機関全体の拡大を招く。
クランクケース(2)にクランクシャフト(10)が軸支されるとともに変速機(M)が収容され、
ブローバイガスを気液分離するブリーザ室(61)が前記クランクケース(2)内の上部後方空間に形成され、
前記変速機(M)のメインシャフト(12)における前記クランクケース(2)の側方に突出した端部に変速クラッチ(30)が設けられ、
前記クランクケース(2)の側方に設けられる前記変速クラッチ(30)がカバー外側壁(7v)とカバー外周壁(7s)とから概ね椀状に形成されたクラッチカバー(7)により覆われ、
前記クラッチカバー(7)のカバー外側壁(7v)に前記メインシャフト(12)の軸方向に対向する中央部位(P)から周縁部位(Q)に放射方向に指向して挿通孔(60b)が穿孔され、
前記変速クラッチ(30)を断接するクラッチレリーズシャフト(39)が前記挿通孔(60b)に挿通される内燃機関のブリーザ構造において、
前記挿通孔(60b)の前記中央部位(P)の近傍に変速機室(2M)側に開口するブリーザ導入口(60a)が形成され、
前記挿通孔(60b)の前記周縁部位(Q)から前記カバー外周壁(7s)および前記クランクケース(2)を穿孔して前記ブリーザ室(61)に連通するブリーザ通路(60c,60d)が形成されることを特徴とする内燃機関のブリーザ構造である。
前記挿通孔(60b)の前記周縁部位(Q)は、前記クランクシャフト(10)の軸方向視で前記ブリーザ室(61)と重なる位置にあることを特徴とする。
前記ブリーザ通路(60c,60d)は、前記挿通孔(60b)と前記周縁部位(Q)で直交することを特徴とする。
前記挿通孔(60b)の前記ブリーザ導入口(60a)は、前記変速クラッチ(30)の側面に対向して形成されることを特徴とする。
前記挿通孔(60b)は、前記中央部位(P)から前記周縁部位(Q)に斜め上方に指向して形成されることを特徴とする。
クラッチカバー(7)のカバー外側壁(7v)に形成されるクラッチレリーズシャフト(39)の挿通孔(60b)を、ブリーザ通路として利用しているので、特別にブリーザ通路を形成する必要がなく、コストの低減を図ることができるとともに、クラッチカバー(7)のカバー外側壁(7v)に新たにブリーザ通路を形成することによるクラッチカバー(7)の軸方向への拡張が避けられ、内燃機関全体の拡大を防止することができる。
図1は、本実施の形態に係る内燃機関1を搭載した鞍乗型自動二輪車90の全体側面図である。
本実施の形態においては、自動二輪車90の前進方向を向いた状態を基準にして前後左右を決めることとする。
またヘッドパイプ92aから斜め急角度に下方へ左右一対のダウンフレーム92c,92cが、側面視でメインフレーム92bの急傾斜部92baに略平行に延出している。
メインフレーム92b,92bには燃料タンク98が架設され、燃料タンク98の後方にシート99がシートレール92d,92dに支持されて設けられている。
車体フレーム92のダウンフレーム92c,92cの上部を左右両側からフロントカバー101が覆い、内燃機関1とシート99との間の左右両側をサイドカバー102が覆い、シートレール92d,92dの後半をリヤカバー103が覆っている。
前輪94の上方はフロントフェンダ104が覆い、後輪96の上方はリヤフェンダ105が覆っている。
図2を参照して、左右方向に指向したクランクシャフト10を回転自在に軸支するクランクケース2の斜め上方にはシリンダブロック3およびシリンダヘッド4が順次重ねられて一体に締結され、シリンダヘッド4の上にはシリンダヘッドカバー5が被せられ、シリンダブロック3,シリンダヘッド4,シリンダヘッドカバー5はクランクケース2から僅かに前方に前傾して突設している。
シリンダヘッド4の下部でピストン18の上方には、燃焼室20が形成されている。
この燃焼室20の吸排気ポート開口を開閉する吸排気弁を駆動する動弁機構(図示せず)がシリンダヘッド20に設けられている。
シリンダヘッド4から前方に延出した排気管75は、下方に屈曲し、さらに後方に屈曲してクランクケース2の下面に沿って後方にかつ右側に寄って後輪96の右側に配置されたマフラー76に連結している。
ケース内空間は、互いに対面する左右鉛直軸受壁2Lv,2Rv間にケース外周壁2Ls,2Rsに囲まれて形成される空間であり、クランクシャフト10のカウンタウエイトを構成するクランクウエブ10wが収容されるクランク室2Cと常時噛合い式歯車変速機Mが収容される変速機室2Mとが互いに前後に位置して連通して1つの空間を構成している。
クラッチ室8は変速機室2Mと連通している。
この左側のメタルベアリング11より左方に突出したクランクシャフト10の左側部にACジェネレータ29が設けられ、同ACジェネレータ29は左クランクケースカバー6により覆われる。
カウンタシャフト13は、左鉛直軸受壁2Lvを左方に貫通して外部に突出した左端部に出力スプロケット16が嵌着されている。
出力スプロケット16には後輪駆動用チェーン17が巻き掛けられている。
なお、クランクシャフト10の前方にバランサ軸15が互いに平行に設けられている。
カムチェーン駆動スプロケット22は、シリンダヘッド4の上部に設けられた動弁機構に動力を伝達すべくカムチェーン22cが巻き掛けられている。
プライマリ駆動ギヤ23は前記メインシャフト12の右側部に設けられた変速クラッチ30のクラッチアウタ31に支持されたプライマリ被動ギヤ24に噛合して動力伝達される(図4参照)。
クラッチインナ32は、クラッチアウタ31の底部31bに対面する受圧部32bと円筒部31cに対向する同心の円筒部32cとを有し、クラッチアウタ31の円筒部31cの内側でクラッチインナ32の円筒部32cの外側の環状空間に複数のフリクションディスク33とクラッチディスク34が交互に嵌挿される。
また、フリクションディスク33と交互に嵌挿されるクラッチディスク34は、クラッチインナ32の円筒部32cに軸方向に摺動自在に嵌合し、クラッチインナ21と一体に回転する。
このリフタロッド37の先端部のくびれ部37aに、リフタロッド37と直交して右クランクケースカバー7に回動自在に軸支されるクラッチレリーズシャフトに相当するクラッチカムシャフト39の内端部のカム39aが係合する。
このクラッチ作動レバー40の揺動する先端部にクラッチケーブル41の端部が結合されている。
クラッチケーブル41はクラッチ作動レバー40の先端部から右クランクケースカバー7のカバー外周壁7sに沿って上方に延び、右クランクケース2Rの環状枠壁2Rssの後方上部に取り付けられた掛止ブラケット42の突出した掛止め部に支持されて前方に延出する。
メインシャフト12の下方でクランクシャフト10と略同じ高さ位置にフォークシャフト51、さらにフォークシャフト51の下方にシフトドラム52が、クランクケース2の左右鉛直軸受壁2Lv,2Rv間に架設され、フォークシャフト51に軸支されたシフトフォーク53a,53b,53cが、シフトドラム52の回動により軸方向に移動して常時噛合い式歯車変速機Mの駆動歯車列12gと被動歯車列13gの各噛合う歯車対のうち有効に動力伝達する歯車対を選択して変速を行う。
図9は、右クランクケース2Rを省略して左クランクケース2Lを内側から視た内燃機関1の右側面図であり、左クランクケース2Lの右クランクケース2Rとの合わせ面2Lf(格子ハッチで示す部分)が環状(一部シリンダ部分が切り欠かれている)に示されている。
ケース外周壁2Ls,2Rsの互いの内側端面が合わせ面2Lf,2Rfである。
ブリーザ室61は、ラビリンス構造をしており、ブローバイガスを気液分離し、油分が分離されたブローバイガスは、左クランクケース2L側のブリーザ室61に上方から嵌入されたブリーザ導出管62(図9参照)から外部へ導出される。
右クランクケース2Rのブリーザ室61を形成する仕切り壁2Rtが、右側合わせ面2Rgまで延長してブリーザ通路60dを構成しており(図5参照)、環状の右側合わせ面2Rgの後部の上寄りにブリーザ通路60dの開口が形成されている。
右クランクケースカバー7のカバー外側壁7vの内面の変速クラッチ30に対向する円板状部分には、中心部分にリフタロッド37の先端部のくびれ部37aが挿入される前記円筒部7aが形成されるとともに、中心の円筒部7aから後方に若干後ろ上がりに傾斜した放射方向にクラッチカムシャフト39が延出して設けられている。
クラッチカムシャフト39は、円筒部7aと直交して内側軸受ボス部7bを貫通しており、カム部39aが円筒部7aに挿入されたリフタロッド37のくびれ部37aに係合する。
クラッチカムシャフト39の外側軸受ボス部7cを外側に貫通した端部にクラッチ作動レバー40の基端部が嵌着されている。
ブリーザ通路60cをクラッチカムシャフト39が貫通している。
すなわち、挿通孔60bは、メインシャフト12の軸方向に対向する中央部位Pから周縁部位Qに放射方向に指向して穿設されており、挿通孔60bを形成する筒壁7dの中央部位Pの内側軸受ボス部7bに接する部分が切り欠かれて内側の挿通孔60bに開口したブリーザ導入口60aが形成されている(図5,図6参照)。
挿通孔60bの周縁部位Qは、ブリーザ通路60cに達して略直交して連通している。
円筒壁7fは、ブリーザ導入口60aを内側に位置させる径を有し、円筒部7aから放射方向に延びる筒壁7dの存在する部分を切り欠いている。
また、図5に示すように、ブリーザ通路60c,60dが挿通孔60bと周縁部位Qで直交するので、ブリーザ通路60c,60dとともに、挿通孔60bの穿設加工が容易である。
なお、ブリーザ室61で気液分離され油分が除かれたブローバイガスは、上方のブリーザ導出管62から導出され、ブリーザ導出管62に接続されたブリーザホース(図示せず)によりエアクリーナ73に導かれて再び内燃機関1の吸気系に吸引されて燃焼に供される。
30…変速クラッチ、31…クラッチアウタ、32…クラッチインナ、35…プレッシャプレート、36…クラッチスプリング、37…リフタロッド、39…クラッチカムシャフト(クラッチレリーズシャフト)、40…クラッチ作動レバー、41…クラッチケーブル、
60a…ブリーザ導入口、60b…挿通孔、60c,60d…ブリーザ通路、61…ブリーザ室、62…ブリーザ導出管。
Claims (5)
- クランクケース(2)にクランクシャフト(10)が軸支されるとともに変速機(M)が収容され、
ブローバイガスを気液分離するブリーザ室(61)が前記クランクケース(2)内の上部後方空間に形成され、
前記変速機(M)のメインシャフト(12)における前記クランクケース(2)の側方に突出した端部に変速クラッチ(30)が設けられ、
前記クランクケース(2)の側方に設けられる前記変速クラッチ(30)がカバー外側壁(7v)とカバー外周壁(7s)とから概ね椀状に形成されたクラッチカバー(7)により覆われ、
前記クラッチカバー(7)のカバー外側壁(7v)に前記メインシャフト(12)の軸方向に対向する中央部位(P)から周縁部位(Q)に放射方向に指向して挿通孔(60b)が穿孔され、
前記変速クラッチ(30)を断接するクラッチレリーズシャフト(39)が前記挿通孔(60b)に挿通される内燃機関のブリーザ構造において、
前記挿通孔(60b)の前記中央部位(P)の近傍に変速機室(2M)側に開口するブリーザ導入口(60a)が形成され、
前記挿通孔(60b)の前記周縁部位(Q)から前記カバー外周壁(7s)および前記クランクケース(2)を穿孔して前記ブリーザ室(61)に連通するブリーザ通路(60c,60d)が形成されることを特徴とする内燃機関のブリーザ構造。 - 前記挿通孔(60b)の前記周縁部位(Q)は、前記クランクシャフト(10)の軸方向視で前記ブリーザ室(61)と重なる位置にあることを特徴とする請求項1記載の内燃機関のブリーザ構造。
- 前記ブリーザ通路(60c,60d)は、前記挿通孔(60b)と前記周縁部位(Q)で直交することを特徴とする請求項1または請求項2記載の内燃機関のブリーザ構造。
- 前記挿通孔(60b)の前記ブリーザ導入口(60a)は、前記変速クラッチ(30)の側面に対向して形成されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の内燃機関のブリーザ構造。
- 前記挿通孔(60b)は、前記中央部位(P)から前記周縁部位(Q)に斜め上方に指向して形成されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の内燃機関のブリーザ構造。
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