JP2015030789A - ポリ(3−置換チオフェン)化合物並びにその合成中間体及びそれらの製造方法 - Google Patents

ポリ(3−置換チオフェン)化合物並びにその合成中間体及びそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】炭化水素系有機溶剤に可溶なシロキサン結合を有するポリ(3−置換チオフェン)である新しい化合物およびその合成中間体を提供する。
【解決手段】下記一般式(II)で表されるシロキサン結合を有するポリ(3−置換チオフェン)〔式(II)中、R〜Rは、シロキサン結合において、同一又は異なって、水素または炭化水素基,アルコキシを示す。〕。本発明のポリ(3−置換チオフェン)化合物は、従来のアルキル置換基を有するHT型ポリ(3−置換チオフェン)化合物と比べて、シロキサン結合を有しているため、炭化水素系の有機溶剤に溶解することができる。
【化1】

【選択図】なし

Description

本発明は、チオフェン環の3位の置換基にシロキサン結合を有することを特徴とする、炭化水素系溶剤に可溶な、有機電子材料として有用な3―置換ポリチオフェン化合物、およびその合成中間体に関するものである。
チオフェン環がくり返し結合したポリチオフェンは,そのπ共役系の広がりから多様な電子材料として応用が期待されている高分子化合物であり,その簡便な合成方法の開発は有機合成化学,高分子合成における非常に重要な課題である。特に位置規則性が頭−尾型に制御されたポリ(3−置換チオフェン)(以下、HT型ポリ(3−置換チオフェン)という)は、吸収波長の長波長側へのシフトや導電性の向上から機能材料として高い性能を発現することが期待されている。
特許文献1は、高価なrieke亜鉛触媒を用いて重合して得られたHT型ポリ(3−置換チオフェン)として、下記化学式で示されるチオフェン環の3位にアルキル置換基をもつポリ(3−ヘキシルチオフェン)を開示している。
特許文献2には、パラジウム触媒等の存在下、3位に置換基を有するモノハロゲン化チオフェンを重合することを特徴とするポリ(3−置換チオフェン)の製造方法が開示されている。また、チオフェン環の置換基Rとして、直鎖もしくは分岐の炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基または炭素数3〜12のシクロアルキル基が示されている。
特許文献3には、ポリ(3−置換チオフェン)の重合触媒として、(1)第1もしくは第2級アミンと、グリニャール試薬・ハロゲン化アルカリ金属錯体とを反応させて得られる塩基と、(2)ニッケル触媒および/またはパラジウム触媒とを含む触媒が開示されている。
本触媒を使用したポリ(置換チオフェン)が高い位置規則性を有するHT型ポリ(3−置換チオフェン)であることが段落0095に記載されている。また、チオフェン核の置換基Rとして、直鎖もしくは分岐の炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基または炭素数3〜12のシクロアルキル基が示されている。
特許文献4には、高い位置規則性と狭い分子量分布を有するポリ(3−置換チオフェン)の製造法が開示されている。置換基Rとしては、置換又は非置換アルキル基が、好ましくは炭素数1〜18のアルキル基が記載されている。しかしながら、置換基Rがロキサン結合を含むことは記載も示唆もされていない。また、炭化水素系溶剤に可溶とする技術課題の認識も記載されていない。
電子材料の使用工程において、ポリ(3―置換チオフェン)及びその化合物を電子基板上に薄膜を形成させる際には多様な溶剤に可溶な材料が好ましいため、その開発が必要となる。しかし、公知のHT型ポリ(3−置換チオフェン)は一般に,クロロホルムやテトラヒドロフランなど限られた溶媒にしか可溶でないため、簡便な積層工程、高い積層膜形成のためにより多様な溶剤に可溶な性質を示すHT型ポリ(3−置換チオフェン)の開発が求められている。
特表2009−501838号公報 特開2012−025887号公報 特許第5150007号公報 特開2004−115695号公報
ポリ(3−置換チオフェン)の多様な有機溶剤、特に非極性溶剤への溶解性を向上させるには、上記化学式で示されるようにヘキシル基などのアルキル置換基を導入することが必須であるが、炭化水素系のアルキル基では非極性溶剤への溶解性が不十分であり、クロロホルムやテトラヒドロフランなどには可溶であるものの、炭化水素系のヘキサンなどには、ほとんど溶解しないという課題がある。
そこで、発明者は鋭意検討の結果、炭化水素系溶剤と同一または類似の構造を有するアルキル基をポリ(3−置換チオフェン)の置換基に導入する方法ではなく、ポリシロキサン基をポリ(3−置換チオフェン)の置換基に導入することが、炭化水素系溶剤への溶解度を向上させるために、効果的であることを見出した。また、その有効な有機合成法も見出した。
本発明の目的は、位置規則性の高いポリ(3−置換チオフェン)のチオフェン環の側鎖にポリシロキサン基を効率よく導入するための有機合成法及び高分子合成法を確立し、炭化水素系有機溶剤に容易に溶解することができる新しいポリ(3−置換チオフェン)化合物を提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明の化合物とは、下記一般式(I)で表されるポリ(3-置換チオフェン)化合物である。
上記一般式(I)中、Rは直鎖状または分岐状の置換または非置換の炭素数2〜6のアルキレン基を、Rはジアルキルケイ素―酸素結合を含んでも良い、直鎖もしくは分岐の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基または炭素数3〜12のシクロアルキル基を、Rは直鎖もしくは分岐の炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基または水素から構成される同一又は異なった基を、mはRが同一又は異なった基であるケイ素―酸素結合の2〜6の繰り返し単位を、nは10〜200の繰り返し単位をそれぞれ示す。
本発明の更に好ましい化合物とは下記一般式(II)で表されるポリ(3-置換チオフェン)化合物である。
上記一般式(II)中、R〜Rは、同一又は異なって、水素または直鎖もしくは分岐の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基から構成されるいずれかの基を示す。
本発明のポリ(3−置換チオフェン)の繰り返し単位数nは、10〜200の範囲が有機電子材料の物性を満足するために好ましい。
さらに本発明は、上記ポリ(3−置換チオフェン)化合物を製造するのに有用な新規中間体、即ち下記一般式(III)で表されるチオフェン化合物の合成中間体も提供する。
上記一般式(III)中、R〜Rは、チオフェン環上において、同一又は異なって、水素または直鎖もしくは分岐の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基から構成されるいずれかの基を、Xは臭素,塩素またはヨウ素から構成されるいずれかの基を示す。
次に、本発明のポリ(3−置換チオフェン)の製造方法について説明する。
本発明のポリ(3−置換チオフェン)の製造方法は、ニッケル触媒、パラジウム触媒、有機金属アミドから構成される少なくともひとつの触媒と極性非プロトン性有機溶媒の存在下、上述の本発明のポリ(3−置換チオフェン)に対して、上述のモノハロゲン化3−置換チオフェンを重合することにより、位置規則性が頭−尾型に制御されたことを特徴とする。
本発明のポリ(3−置換チオフェン)化合物は、従来のアルキル置換基を有するHT型ポリ(3−置換チオフェン)化合物と比べて、シロキサン結合を有しているため、炭化水素系の有機溶剤に溶解することができる。
本発明のポリ(3−置換チオフェン)化合物は、上記一般式(I)および一般式(II)に示すように、従来のポリチオフェン化合物と比べて、鎖状の飽和アルキルではなくシロキサン結合を有していることを特徴とする。
発明者は本発明のポリ(3−置換チオフェン)の置換基にシロキサン結合を導入する方法の検討の結果、以下の合成方法を見出した。
シロキサン結合は,チオフェン環の3位置換基の側鎖の末端に炭素−炭素二重結合をもつ合成中間体であるチオフェン化合物に対して,ヒドロシランを反応させる(ヒドロシリル化)ことにより炭素−ケイ素の結合を生成することで導入される。ヒドロシリル化に用いるヒドロシランはシロキサン結合を有するヒドロシランであり、シロキサン結合の存在は、直鎖状、分岐状、または炭素を介しての存在のいずれでも良い。シロキサン結合以外の置換基の構造としては、直鎖もしくは分岐の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基または炭素数3〜12のシクロアルキル基、または水素から成る同一又は異なった基から構成される基のいずれかである。そのシロキサン結合を除く炭化水素置換基としては、炭素数1以上12以下である飽和の鎖状炭化水素基またはアルコキシ基であることが更に好ましい。
上記一般式(II)に示すHT型ポリ(3−置換チオフェン)は,合成中間体である上記一般式(III)に示すチオフェン化合物をニッケルまたはパラジウムを触媒として重合することにより合成される。重合に用いる触媒としてはニッケルまたはパラジウムの2価の塩化物を用いることが好ましい。
ニッケルまたはパラジウム触媒が、2座の中性ホスフィン配位子、単座の中性ホスフィン配位子、中性π配位子、一価のアニオン性配位子、二価のアニオン性配位子、単座
の中性アミン配位子、2座の中性アミン配位子、中性ニトリル配位子および中性スルフィニル配位子からなる群より選ばれる少なくとも1種の配位子を有し、ニッケルまたはパラジウムの価数が0価もしくは2価となるように配位構成されているニッケルまたはパラジウム錯体であることが好ましい。
前記2座の中性ホスフィン配位子が1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンまたは1,1`−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンであり、前記単座の中性ホスフィン配位子がトリn―ブチルホスフィン、トリt−ブチルホスフィンまたはトリフェニルホスフィンであり、前記中性π配位子がベンゼン、シクロブタジエンまたはシクロオクタジエンであり、前記一価のアニオン性配位子がメチル、フェニル、ヘキサメチルシクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル、アリル、シクロペンタジエニル、
アルコキシ、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、カルボキシラート、アセチルアセトナート、トリフルオロメタンスルフォネート、1,3−ビス (2,6−ジ−イソプロピルフェニル)―4,5−ジヒドロイミダゾ−ル−2−リデン、1,3−ビス(2,6−ジ−イソプロピルフェニル)イミダゾ−ル
−2−リデンまたは1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾール−2−リデンであり、前記二価のアニオン性配位子がフタロシアニン、ナフタロシアニンまたはポルフィリンであり、前記単座の中性アミン配位子がアンモニア、ピリジンまたは3−クロロピリジンであり、前記2座の中性アミン配位子がN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,10−フェナンソロリンまたは2,2`−ビピリジルであり、前記中性ニトリル配位子がアセトニトリルまたはベンゾニトリルであり、前記中性スルフィニル配位子が1,2−ビス(フェニルスルフィニル)エタンであることが更に好ましい。
本発明のポリチオフェン化合物は、下記実施例に示すような合成法で製造できる。例えば下記に説明する実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5という合成経路で、化合物(II)を原料として合成している。化合物(II)は,2−ブロモ−3−(3−ブテニルチオフェン)(化合物4)のヒドロシリル化により合成される。化合物4は,市販試薬の3−メチルチオフェン(化合物1)を出発原料として、N−ブロモコハク酸イミドによる臭素化,N−ブロモコハク酸イミドとアゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNという)による臭素化,臭化アリルマグネシウムによるアリル化により下記化学反応式で示すような反応で合成される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の詳細な説明の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
なお、下記実施例の説明において、参照する化学反応式中に現れる化学式の下の数字を用いて、「化学式1で表される化合物」等を「化合物1」等と略称する。
市販の化合物1から、下記化学反応式で示す合成経路で化合物2を合成した。
窒素ガス雰囲気下、100 mL二口ナスフラスコ中で化合物1(0.96 mL, 10 mmol, 東京化成;TCI-614-44-4市販試薬)を、テトラヒドロフラン20 mLに溶解させ、氷浴で0 ℃に冷却した。N−ブロモコハク酸イミド(350 mg, 2.0 mmol)をゆっくりと滴下した。0 ℃で2 時間攪拌した後、上記と同量のN―ブロモコハク酸イミドを1時間ごと,5回に分けて加えた。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水を加えて中和し、分液漏斗へ移し、水相をジエチルエーテルで抽出した。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、濃縮した。得られた液体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン)で精製した。濃縮、真空乾燥を行い、化合物2(無色透明液体)1.56 g(8.9 mmol)を収率89%で得た。
[化合物2の物性データ]
1H-NMR (CDCl3) σ:2.20
(2H, s, -CH 3 ), 6.78 (2H, d, -CH, J=5.6Hz), 7.17 (2H,
d, -CH, J=5.6Hz)
化合物2から、下記化学反応式で示す合成経路で化合物3を合成した。
還流冷却管をつけた100 mLの二口ナス型フラスコ中に、化合物2(14.3 g, 81 mmol)を四塩化炭素80 mLに溶解させ、そこへN―ブロモコハク酸イミド(14.4 g, 81 mmol, 1.0当量)、AIBN(133 mg, 2.4 mmol, 1 mol%)を加えた後,80 ℃に昇温させ12 時間加熱還流した。室温に冷却後,反応液を100 mLの水中に注いだところ水層と有機層が分離した。水層をジクロロメタン20 mLで3回抽出後,集めた有機層を無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。溶媒をロータリーエバポレーターを用いて減圧留去した後に,シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物3(無色透明液体)11.9 g(46 mmol)を収率58%で得た。
[化合物3の物性データ]
1H-NMR (CDCl3) σ:4.45
(2H, s, -CH 2 -Br),7.00 (1H, d, =CH-,
J=5.6 Hz),7.26 (1H, d, =CH-, J=5.6 Hz)
化合物3から、下記化学反応式で示す合成経路で化合物4を合成した。
三方コック付き二口フラスコ中、窒素雰囲気下、化合物3(1.1 g, 4.3 mmol)を無水THF4 mLに溶解させ、氷浴を用いて0 ℃に冷却し、塩化アリルマグネシウム(2.0 M, 3.3 mL, 6.5 mmol,
1.5 当量)をゆっくり滴下した。0 ℃で30分間攪拌した後、反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液中に注いだ。水層と有機層を分離し水層をジエチルエーテル20mLで2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後,ロータリーエバポレーターを用いて減圧下濃縮し液状の粗生成物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン)で精製し化合物4(無色透明液体)0.79gを収率85%で得た。
[化合物4の物性データ]
1H-NMR (CDCl3) σ:2.34
(2H, dd, -CH 2 -, J
=15 ,7.3 Hz), 2.67 (2H, t, -CH 2 -,
J=8.8 Hz), 5.03 (2H, m, -CH 2 ), 5.85 (1H, m, -CH= ),
6.81 (1H, d, =CH-, J=5.6 Hz), 7.19 (1H, d, S-CH=, J=5.6 Hz)
化合物4から、下記化学反応式で示す合成経路で化合物5を合成した。
化合物5は、上記一般式(III)のR〜Rがメチル基のものである。
窒素ガス雰囲気下、20mLシュレンク反応管中に化合物4(0.43
g,2.0 mmol)とペンタメチルジシロキサン(0.43
mL, 2.2 mmol, 1.1当量)を加え混合した。白金(0)1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体(0.02%トルエン溶液)を一滴加え,室温で1時間反応させた。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン)で精製したところ化合物5(無色透明液体)0.71 g(2 mmol)を収率98%で得た。
[化合物5の物性データ]
1H-NMR (CDCl3) σ:0.05
(15H, s, Si-CH 3 ), 0.55 (2H, t, Si-CH 2 -
J=8.3 Hz), 1.36 (2H, m, -CH 2 -), 1.60 (2H, m) 2.56 (2H, t, -CH 2 -,
J=7.6 Hz), 6.79 (1H, d, =CH- J=5.8 Hz), 7.18 (1H, d, S-CH=, J=5.8
Hz)
化合物5から、下記化学反応式で示す合成経路で化合物6を合成した。
化合物6は、上記一般式(II)のR〜Rがメチル基のものである。
窒素置換した20 mLシュレンク反応管で化合物50.18 g(0.5 mmol),塩化マグネシウム-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン・塩化リチウム錯体の1.0 M テトラヒドロフラン溶液を室温で混合し1時間撹拌した。反応混合物にテトラヒドロフラン4.5 mLを加えて希釈した後に、塩化ニッケル(II)ジフェニルホスフィノエタン錯体 20.4 mg(前記チオフェンに対して0.5 mol%)、を投入し、室温で一日攪拌した。反応溶液に1:1の1M塩酸とメタノールの混合物(20 mL)を加えることでポリマーを析出させ、吸引濾過により濾別、固形物を水、メタノールで繰り返し洗浄した。減圧下で乾燥したところ87 mgの化合物6を収率68%で得た。
[化合物6の物性データ]
1H-NMR (CDCl3) σ:0.08
(15H, m), 0.61 (2H, m, Si-CH 2 -), 1.48 (2H, m, -CH 2 -),
1.75 (2H, m, -CH 2 -), 2.82 (2H, m, -CH2-), 6.99
(1H, s, =CH-)
(比較例1)
ポリ(3−ヘキシルチオフェン)を特許文献2(特開2012−025887号公報)の明細書段落0098〜0104に記載されている手順に従い合成した。
(比較例2)
ポリ(3−オクチルチオフェン)を特許文献2(特開2012−025887号公報)の明細書段落0098に記載されている中間体としての2−ブロモ−3−ヘキシルチオフェン (2mmol)の代わりに、2−ブロモ−3−オクチルチオフェン(2mmol)を使用する以外は、段落0098〜0104に記載されている手順に従い合成した。
実施例の化合物6と比較例1,2の化合物との溶剤溶解性の対比を下記表1に示す。
上記表1において、溶剤の溶解性の判定基準は以下のとおりである。
2mgのポリ(3-置換チオフェン)を1mlの溶剤に添加し振盪し室温で5分関放置後、目視で未溶解固体粒子の有無を確認した。
○:粒子は存在せず、完全に溶解し透明である。
△:ほとんどの粒子が未溶解で僅かに溶解し溶媒を着色している。
×:粒子が完全に残存し未溶解状態である。
本発明のポリ(3−置換チオフェン)化合物は、広いπ共役系をもつ高分子化合物である。また炭化水素系の有機溶剤に溶解するため、電子基板上の有機薄膜としての成形加工が容易であり、導電性や半導体特性を示す有機電子材料として用いることができる。

Claims (10)

  1. 下記一般式(I)で表される位置規則性が頭−尾型に制御されたポリ(3−置換チオフェン)化合物:
    (式(I)中、Rは炭素数2〜6の直鎖状または分岐状の置換または非置換のアルキレン基を、Rはケイ素上にジアルキル基を有するケイ素―酸素結合を含んでも良い直鎖もしくは分岐の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基または炭素数3〜12のシクロアルキル基を、Rは直鎖もしくは分岐の炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基または水素から構成される同一又は異なった基を、mはRが同一又は異なった基であるケイ素―酸素結合の2〜6の繰り返し単位を、nは10〜200の繰り返し単位をそれぞれ示す。)。
  2. 下記一般式(II)で表される請求項1に記載のポリ(3−置換チオフェン)化合物:
    (式(II)中、R〜Rは、直鎖もしくは分岐の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基または水素から構成される同一又は異なった基を示す。)。
  3. 前記R〜Rは、同一又は異なって、炭素数が1以上12以下である飽和または不飽和の鎖状炭化水素基である請求項1又は2に記載のポリ(3−置換チオフェン)化合物。
  4. 下記一般式(III)で表される3位の置換基にシロキサン結合を有することを特徴とするポリ(3−置換チオフェン)化合物の合成中間体:
    (式(III)中、R〜Rは、チオフェン環上において、同一又は異なって、水素または直鎖もしくは分岐の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基から構成されるいずれかの基を、Xは臭素,塩素またはヨウ素から構成されるいずれかの基を示す。)。
  5. ニッケル触媒、パラジウム触媒、有機金属アミドから構成される少なくともひとつの触媒と極性非プロトン性有機溶媒の存在下、請求項1〜3のいずれかに記載のポリ(3−置換チオフェン)に対して、請求項4に記載のモノハロゲン化3−置換チオフェンを重合することにより、位置規則性が頭−尾型に制御されたことを特徴とするシロキサン基をもつポリ(3−置換チオフェン)の製造方法。
  6. 前記ニッケルまたはパラジウム触媒が、2座の中性ホスフィン配位子、単座の中性ホスフィン配位子、中性π配位子、一価のアニオン性配位子、二価のアニオン性配位子、単座
    の中性アミン配位子、2座の中性アミン配位子、中性ニトリル配位子および中性スルフィニル配位子からなる群より選ばれる少なくとも1種の配位子を有し、
    ニッケルまたはパラジウムの価数が、0価もしくは2価となるように配位構成されているニッケルまたはパラジウム錯体であることを特徴とする請求項5に記載のポリ(3−置換チオフェン)の製造方法。
  7. 前記有機金属アミドが、マグネシウム塩であることを特徴とする請求項5又は6に記載のポリ(3−置換チオフェン)の製造方法。
  8. 前記2座の中性ホスフィン配位子が、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンまたは1,1`−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンであり、
    前記単座の中性ホスフィン配位子が、トリn―ブチルホスフィン、トリt−ブチルホスフィンまたはトリフェニルホスフィンであり、
    前記中性π配位子が、ベンゼン、シクロブタジエンまたはシクロオクタジエンであり、
    前記一価のアニオン性配位子が、メチル、フェニル、ヘキサメチルシクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル、アリル、シクロペンタジエニル、
    アルコキシ、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、カルボキシラート、アセチルアセトナート、トリフルオロメタンスルフォネート、1,3−ビス (2,6−ジ−イソプロピルフェニル)―4,5−ジヒドロイミダゾ−ル−2−リデン、1,3−ビス(2,6−ジ−イソプロピルフェニル)イミダゾ−ル
    −2−リデンまたは1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾール−2−リデンであり、
    前記二価のアニオン性配位子が、フタロシアニン、ナフタロシアニンまたはポルフィリンであり、
    前記単座の中性アミン配位子が、アンモニア、ピリジンまたは3−クロロピリジンであり、
    前記2座の中性アミン配位子が、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,10−フェナンソロリンまたは2,2`−ビピリジルであり、
    前記中性ニトリル配位子が、アセトニトリルまたはベンゾニトリルであり、
    前記中性スルフィニル配位子が、1,2−ビス(フェニルスルフィニル)エタンである、
    ことを特徴とする請求項6又は7に記載のポリ(3−置換チオフェン)の製造方法。
  9. チオフェン環の3位の置換基にシロキサン結合を有するモノハロゲン化3−置換チオフェンに対して、ニッケル触媒またはパラジウム触媒の量が0.01〜50モル%であることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載のポリ(3−置換チオフェン)の製造方法。
  10. 前記モノハロゲン化3−置換チオフェン1当量に対して、前記有機金属アミドの量が0.1〜10当量であることを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載のポリ(3−置換チオフェン)の製造方法。

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