JP7150265B2 - 片末端修飾ポリチオフェンの製造方法 - Google Patents

片末端修飾ポリチオフェンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、片末端修飾ポリチオフェンの製造方法に関し、さらに詳述すれば、片末端を選択的に修飾した、ブロックコポリマーの合成原料として好適に利用可能な片末端修飾ポリチオフェンの製造方法に関する。
近年、材料科学の分野では、新規な物理的および化学的性質を有する微細構造を制御するために、π共役ブロックコポリマーの自己組織化が注目されている(非特許文献1~3)。
例えば、π共役ポリマーの1つであるポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)は、太陽電池、電界効果型トランジスタ、発光素子やセンサーなどへの適用可能性について研究されてきている。
また、例えば、ポリスチレンとのブロックコポリマー、ポリ(2-または4-ビニルピリジン)とのブロックコポリマー、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)とのブロックコポリマー、ポリエチレングリコールとのブロックコポリマー等の多くの種類のπ共役P3HTセグメントを用いたブロックコポリマーが設計され、合成されてきている(非特許文献5~8)。
一方、銅によって触媒されるアルキンとアジドとの環化反応(クリック反応)は、穏和かつ低温な条件で進行し、水酸基、酸基、アミノ基等の極性基にも安定なため、上記のようなブロックコポリマーの簡便な製造方法として有用である(非特許文献9)。しかも、この反応で生成するトリアゾール環は、高温、強酸性あるいは強塩基性など多くの特殊な条件下で安定であるという特徴がある。
十分に制御された末端アルキニルP3HTは、新たな特性を達成するための規則的なブロックコポリマーの製造原料として重要である。
ここで、2,5-ジブロモ-3-ヘキシルチオフェンのグリニャールメタセシス重合(GRIM)において、臭化エチニルマグネシウムを過剰に用いることで、末端にエチニル基を導入した例がある(非特許文献10)。
この手法によって、Br-エチニル末端を有する片末端封止P3HTが得られるものの、この片末端封止P3HTには、エチニル-エチニル末端を有する両末端封止P3HTが15%も含まれている。
したがって、上記反応で得られたP3HTをクリック反応に供した場合、ジブロックコポリマーとトリブロックコポリマーの混合物が得られ、これらのコポリマーは非常に分離が困難であるため、自己組織化材料としては適用が難しかった。
Nano Lett. 2010, 10, 2609-2612 J. Mater. Chem. 1996, 6, 1763-1766 Science 1998, 280, 1741-1744 Solar Energy Materials and Solar Cells 2010, 94, 1333-1337 Macromolecules 2008, 41, 7033-7040 Macromolecules 2012, 45, 3070-3077 J. Polym. Sci., Part A: Polym. Chem. 2016, 54, 1785-1794 J. Polym. Sci., Part B: Polym. Phys. 2016, 54, 544-551 J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 210-216 Adv. Mater. 2004, 16, 1017-1019
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、自己組織化材料として有用なブロックコポリマーの製造方法、およびその原料となる片末端を選択的に封止したポリチオフェンの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、3位および/または4位に所定の置換基を有する2,5-ジハロチオフェン化合物から片末端にハロゲン原子を有するポリチオフェンを合成した後、このハロゲン原子をさらに末端修飾することで、片末端を選択的に封止したポリチオフェンが得られることを見出すとともに、この片末端修飾ポリチオフェンを用いることで、ブロックコポリマーを効率的に合成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1. 下記式(1)
Figure 0007150265000001
(式中、X1およびX2は、それぞれ独立にハロゲン原子を表し、R1およびR2は、それぞれ独立に、重合反応の前後で変化しない1価の有機基または水素原子を表すが、R1およびR2が同時に水素原子となることはない。)
で表される2,5-ジハロチオフェン化合物を、下記式(2)
Figure 0007150265000002
(式中、R3は、炭素数1~5のアルキル基を表し、X3は、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。)で表されるグリニャール試薬と反応させ、続いて重合触媒の存在下で重合させた後、塩酸でクエンチして下記式(3)
Figure 0007150265000003
(式中、X2、R1およびR2は、前記と同じ意味を表し、mは、1以上の整数を表し、nは、2以上の整数を表す。)
で表される重合体を得、次いで、これをトリアルキルシリルアセチレンと、カップリング触媒の存下でカップリング反応させた後、脱シリル化することを特徴とする、下記式(A)
Figure 0007150265000004
(式中、R1、R2、mおよびnは、前記と同じ意味を表す。)
で表される片末端修飾ポリチオフェンの製造方法、
2. 前記X1が、ヨウ素原子であり、X2が、臭素原子である1の片末端修飾ポリチオフェンの製造方法、
3. 前記重合反応の前後で変化しない1価の有機基が、炭素数1~20の一価炭化水素基である1または2の片末端修飾ポリチオフェンの製造方法、
4. 前記R1およびR2のいずれか一方が、炭素数1~10の直鎖アルキル基であり、他方が、水素原子である1または2の片末端修飾ポリチオフェンの製造方法、
5. 前記R3が、イソプロピル基である1~4のいずれかの片末端修飾ポリチオフェンの製造方法、
6. 前記トリアルキルシリルアセチレンが、トリメチルシリルアセチレンである1~5のいずれかの片末端修飾ポリチオフェンの製造方法、
7. 前記重合触媒が、ニッケル触媒である1~6のいずれかの片末端修飾ポリチオフェンの製造方法、
8. 1~7のいずれかの製造方法で得られた前記式(A)で表される片末端修飾ポリチオフェンを、下記式(4)
Figure 0007150265000005
(式中、R4は、炭素数1~10のアルキル基または炭素数7~20のアラルキル基を表し、pは、2以上の整数を表す。)
で表される末端アジド基を有するポリ2-オキサゾリンと反応させる、下記式(B)
Figure 0007150265000006
(式中、R1、R2、R4、n、mおよびpは、前記と同じ意味を表す。)
で表されるブロック共重合体の製造方法、
9. 前記式(A)で表される片末端修飾ポリチオフェンと、前記式(4)で表される末端アジド基を有するポリ2-オキサゾリンとの反応によって生じた式(B)で表されるブロック共重合体を含む反応液を、中性酸化アルミニウムを充填したカラムで濾過する第1の工程と、前記第1の工程で得られた濾液から溶媒を留去して得られた残渣をメタノールに溶かした後、このメタノール溶液中にジエチルエーテルを加えて生じた析出物を濾過する第2の工程と、前記第2の工程で得られた濾過物をテトラヒドロフランに溶かし、この溶液に、ヘキサンを加えて前記式(B)で表されるブロック共重合体を析出させる第3の工程とを含む8のブロック共重合体の製造方法、
10. 下記式(A)で表される片末端修飾ポリチオフェン、
Figure 0007150265000007
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、重合反応の前後で変化しない1価の有機基または水素原子を表すが、R1およびR2が同時に水素原子となることはない。mは、1以上の整数を表し、nは、2以上の整数を表す。)
11. 下記式(B)で表されるブロック共重合体
Figure 0007150265000008
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、重合反応の前後で変化しない1価の有機基または水素原子を表すが、R1およびR2が同時に水素原子となることはなく、R4は、炭素数1~10のアルキル基または炭素数7~20のアラルキル基を表し、mは、1以上の整数を表し、nは、2以上の整数を表し、pは、2以上の整数を表す。)
を提供する。
本発明によれば、片方の末端を選択的に封止したポリ(3-置換または3,4-ジ置換チオフェン)(以下、片末端修飾ポリチオフェンまたは単にポリチオフェンともいう)を得ることができる。
この片末端修飾ポリチオフェンを用いることで、ブロックコポリマーを効率的に製造でき、また、得られたブロックコポリマーは、自己組織化材料として有用である。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係る片末端修飾ポリチオフェンの製造方法は、下記式(1)で表される2,5-ジハロチオフェン化合物を、下記式(2)で表されるグリニャール試薬と反応させ、続いて重合触媒の存在下で重合させた後、塩酸でクエンチして下記式(3)で表される重合体を得、次いで、これをトリアルキルシリルアセチレンと、カップリング触媒の存下でカップリング反応させた後、脱シリル化して下記式(A)で表される片末端修飾ポリチオフェンを得るものである。
Figure 0007150265000009
上記式(1)において、X1およびX2は、それぞれ独立にハロゲン原子を表し、R1およびR2は、それぞれ独立に、重合反応の前後で変化しない1価の有機基または水素原子を表し(ただし、R1およびR2が同時に水素原子となることはない)、式(2)において、R3は、炭素数1~5のアルキル基を表し、X3は、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、式(3)および(A)において、mは、1以上の整数を表し、nは2以上の整数を表す。
1およびX2のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、反応性を考慮すると、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、X1は、ヨウ素原子がより好ましく、X2は、塩素原子、臭素原子がより好ましく、臭素原子がより好ましい。
1およびR2の重合反応の前後で変化しない1価の有機基とは、本発明の製造方法に対して安定である置換基のことであり、より具体的には、ハロゲン原子が置換した芳香族環構造を含まず、末端にC=CH2基を有さず、末端にエチニル基を有さず、かつ、ハロゲン原子でもない置換基のことである。
このような重合反応の前後で変化しない1価の有機基としては、例えば、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~20のアラルキル基等の炭素数1~20の一価炭化水素基;炭素数1~20のアルキルオキシ基、炭素数6~20のアリールオキシ基、炭素数7~20のアラルキルオキシ基等の炭素数1~20の一価炭化水素オキシ基;ヒドロキシ基、スルホ基、ポリエーテル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
アルキル基としては、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル基等の炭素数1~20の直鎖または分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル基等の炭素数3~20の環状アルキル基などが挙げられる。当該アルキル基の任意の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。
アリール基としては、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル、フェニルエチル基等が挙げられる。当該アリール基の任意の水素原子は、ハロゲン原子ではない置換基、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、スルホ基、シアノ基およびニトロ基から選ばれる置換基で置換されていてもよい。
ポリエーテル基としては、末端が水酸基、炭素数1~10のアルコキシ基またはフェノキシ基であり、チオフェンとの結合が酸素原子であればよい。より具体的には、-O-((CH2rO)q-R5基で表され、rは2か3で同一置換基内ではすべて同じであり、末端の置換基R5が水素原子、炭素数1~10のアルキル基、またはフェニル基であって、炭素数の合計が2~20の置換基等が挙げられる。
これらの中でも、R1,R2としては、一方が水素原子、他方が炭素数1~10のアルキル基またはポリエーテル基、双方が炭素数1~10のアルキル基、および双方がポリエーテル基が好ましく、一方が水素原子で、他方が炭素数1~10の直鎖アルキル基がより好ましく、R2が水素原子で、R1が炭素数1~8の直鎖アルキル基がより一層好ましい。
3の炭素数1~5のアルキル基としては、上記R1で例示したアルキル基のうち、炭素数1~5のものが挙げられるが、中でも、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、イソプロピル基がより好ましい。
3としては、塩素原子、臭素原子が好ましい。
mは1以上の整数、nは2以上の整数であれば特に限定はないが、後述するポリマーの数平均分子量を考慮すると、nは、2~1,000が好ましく、10~500がより好ましい。
また、m+nは、3~1,000が好ましく、10~500がより好ましい。
[1]式(1)で表される2,5-ジハロチオフェン化合物の重合
式(1)で表される2,5-ジハロチオフェン化合物の重合反応条件は、McCulloughのグリニャールメタセシス反応を用いたポリチオフェン合成法に準じる。
具体的には、上記式(1)で表される2,5-ジハロチオフェン化合物を、溶媒中、式(2)で示されるグリニャール試薬、すなわち、有機マグネシウムハロゲン化合物と反応させて、上記式(1)で表される2,5-ジハロチオフェン化合物の有機マグネシウムハロゲン化合物を調製した後、重合触媒を加えて重合させる。
式(2)で表される有機マグネシウムハロゲン化合物の具体例としては、メチルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、i-プロピルマグネシウムクロリド、i-プロピルマグネシウムブロミド、t-ブチルマグネシウムクロリド、t-ブチルマグネシウムブロミド等の炭素数1~5のアルキルマグネシウムハライドが挙げられるが、中でも、i-プロピルマグネシウムクロリド、i-プロピルマグネシウムブロミドが好ましい。
有機マグネシウムハロゲン化合物の使用量は、特に限定されるものではないが、基質である2,5-ジハロチオフェン化合物1モルに対し、0.8~2モル倍の範囲が好ましく、その後の重合反応の選択性および反応効率を考慮すると、0.9~1.5モル倍の範囲がより好ましく、0.95~1.0モル倍の範囲がより一層好ましい。
上記グリニャールメタセシス反応に用いられる溶媒は、反応に悪影響を及ぼさない限り特に限定されるものではなく、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、o-エチルトルエン、m-エチルトルエン、p-エチルトルエン等の芳香族炭化水素類;ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル類などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。中でも、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサンが好ましい。
上記グリニャールメタセシス反応の温度は、特に限定されるものではないが、副反応を抑制することを考慮すると、-20~50℃程度が好ましく、-10~30℃程度が好ましく、-5~10℃程度がより好ましい。
上記グリニャールメタセシス反応で得られた中間体である2,5-ジハロチオフェン化合物の有機マグネシウムハロゲン化合物は、反応操作の簡略化の観点から精製せず、そのまま重合反応に用いることが好ましく、ワンポットで重合反応させることがより好ましい。
本発明で用いる重合触媒としては、例えばR.D. McCullough, Adv.Mater., 1998, 10(2), 93-116およびその引用文献に列挙されているような、位置選択的重合に好適に使用されるパラジウム触媒またはニッケル触媒を用いることができ、その具体例としては、ビス(トリフェニルホスフィノ)パラジウムジクロリド(Pd(PPh3)Cl2)、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc)2)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh34)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(Ni(PPh34)、ニッケル(II)アセチルアセトネート(Ni(acac)2)、ジクロロ(2,2’-ビピリジン)ニッケル、ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(Ni(PPh32Br2)や、配位子含有ニッケルおよびパラジウム触媒、例えばトリ-t-ブチルホスフィン、トリアダマンチルホスフィン、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)イミダゾリジニウムクロリド、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾリジニウムクロリドまたは1,3-ジアダマンチルイミダゾリジニウムクロリドを含有するニッケルおよびパラジウム触媒などが挙げられるが、ニッケル触媒が好ましく、特に、ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンニッケルジクロリド(Ni(dppp)Cl2)、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンニッケルジクロリド(Ni(dppe)Cl2)がより好ましい。
なお、配位子が上記されたものの組み合わせからなる、パラジウムおよびニッケルの触媒も同様に用いることができる。
重合触媒の使用量は、特に限定されるものではないが、2,5-ジハロチオフェン化合物の量に基づいて、典型的には0.1~20mol%であり、好ましくは10~20mol%、より好ましくは10~15mol%の範囲である。
なお、上記式(1)で表される2,5-ジハロチオフェン化合物、式(2)で表されるグリニャール試薬および重合触媒は、市販品を用いても、従来公知の方法によって調製したものを用いてもよい。
上記重合反応に使用される有機溶媒としては、有機金属化合物と反応せず、重合反応に悪影響を与えないものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンまたはヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、アミルエーテル、1,4-ジオキサンおよびTHF等のエーテル類などが挙げられ、これらは1種単独で用いても、THFとトルエンとの混合溶媒等2種以上混合して用いてもよい。
これらの中でも、本発明では、エーテル類が好ましく、THFがより好ましい。
重合反応の温度は、特に限定されるものではなく、-10~200℃程度が採用できるが、重合時の温度は、10~100℃程度が好ましく、20~50℃程度がより好ましい。また、重合触媒添加時の温度は、-10~20℃程度が好ましく、-5~10℃程度がより好ましい。
重合反応時の圧力は特に限定されるものではなく、大気下で行うことができる。
重合反応後、塩酸でクエンチすることで、上記式(3)で表される末端にハロゲン原子を有する重合体が得られる。
この場合、塩酸の濃度は、特に限定されるものではなく、1~12M程度、好ましくは、3~10M程度、より好ましくは、4~7M程度である。
塩酸によるクエンチ後は、常法に従って後処理および精製をすることで純粋な式(3)で表される重合体を得ることができる。
なお、上記重合反応では、重合開始時に下記式で示されるチオフェン2量体の金属錯体が生成して反応が進行する。
Figure 0007150265000010
(式中、R1、R2およびX2は上記と同じ意味を表し、Mは、触媒金属を、Lはリガンドを表す。)
したがって、得られた重合体の分子鎖末端または分子鎖中には、上記2量体由来の構造が必ず含まれることになり、末端に含まれる場合、得られる重合体は式(3-1)の構造となり、主鎖中に含まれる場合、得られる重合体は式(3-2)の構造となるが、本発明では、これらを併せて上記式(3)で表している。
Figure 0007150265000011
(式中、R1、R2およびX2は上記と同じ意味を表す。)
[2]式(A)で表される片末端修飾ポリチオフェンの合成
式(A)で表されるポリチオフェンは、上記式(3)で表される重合体の末端に残存するハロゲン原子を足掛かりに、トリアルキルシリルアセチレンと、カップリング触媒存在下で、薗頭反応などのカップリング反応を行った後、脱シリル化して得ることができる。
トリアルキルシリルアセチレンの具体例としては、トリメチルシリルアセチレン、トリエチルシリルアセチレン、トリイソプロピルシリルアセチレン等が挙げられるが、トリメチルシリルアセチレンが好ましい。
カップリング触媒としては、金属錯体触媒が通常用いられる。
金属錯体としては、パラジウム錯体やニッケル錯体が挙げられるが、パラジウム錯体が好ましく、また、反応によっては銅触媒を助触媒として共存させることが好ましい。
金属錯体触媒としては、種々の構造のものを用いることができるが、いわゆる低原子価の金属錯体を用いることが好ましく、特に、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子とするゼロ価金属錯体触媒が好ましい。
また、反応系中で容易にゼロ価金属錯体触媒に変換される適当な前駆体を用いることもでき、さらに、反応系中で、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子として含まない金属錯体と、配位子である3級ホスフィンや3級ホスファイトとを混合し、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子とする低原子価金属錯体触媒を生成させることもできる。
配位子である3級ホスフィンまたは3級ホスファイトの具体例としては、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、フェニルジメチルホスフィン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト等が挙げられ、これらの配位子は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子として含むパラジウム錯体の具体例としては、(エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム等が挙げられる。
また、金属錯体触媒として、3級ホスフィンや3級ホスファイトを含まないパラジウム錯体と、3級ホスフィンまたは3級ホスファイトを配位子として含むパラジウム錯体とを組み合わせて用いることもでき、この場合、上記配位子をさらに組み合わせてもよい。
3級ホスフィンや3級ホスファイトを含まないパラジウム錯体の具体例としては、ビス(ベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム、ビス(ベンゾニトリル)ジクロロパラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、パラジウム-活性炭等が挙げられる。
カップリング触媒の使用量は、いわゆる触媒量でよく、原料である式(3)で表される重合体に対し、20モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましい。
また、助触媒としての銅触媒は1価のものが好ましく、その具体例としては、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)、酢酸銅(I)等が挙げられる。
助触媒の使用量は特に限定されるものではないが、原料である式(A)で表される重合体に対し、10モル%以下が好ましく、5モル%以下がより好ましい。
なお、上記カップリング反応では塩基を用いることもでき、その具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、燐酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム等の無機塩基;メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、イミダゾール、キノリン、コリジン、ピロリジン、ピペリジン、モルフォリン、N-メチルモルフォリン等のアミン類;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム等が挙げられる。
塩基を用いる場合、その使用量は特に限定されるものではないが、原料である式(3)で表される重合体1モルに対し、1~10モル倍程度が好ましい。
反応溶媒としては、当該反応条件下で安定であって、反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されるものではなく、例えば、水;メタノール、エタノール等のアルコール類;トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等の非プロトン性極性有機溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、THF、1,4-ジオキサン等のエーテル類;ペンタン、へキサン、ヘプタン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素類、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン等のハロゲン系炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等の低級脂肪酸エステル類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類などが使用できる。これらの溶媒は、反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択することができ、1種単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
なお、上記溶媒は、適当な脱水剤や乾燥剤を用いて水を含有しない溶媒として用いることもできる。
反応温度は、-100℃から使用する反応溶媒の沸点までを採用できるが、-50~200℃が好ましく、20~150℃がより好ましい。
反応時間は、通常、0.1~1,000時間程度であるが、0.5~100時間が好ましい。
反応終了後は、常法に従って後処理および必要に応じて精製することで、末端にトリアルキルシリルエチニル基を有する重合体を得ることができる。
得られたトリアルキルシリルエチニル基を有する重合体を、テトラブチルアンモニウムフルオライド(TBAF)等の脱シリル化剤で処理した後、常法に従って後処理することで、目的とする式(A)で表される片末端修飾ポリチオフェンが得られる。
本発明で得られる片末端修飾ポリチオフェンの分子量は特に限定されるものではないが、数平均分子量で、1,000~500,000程度が好ましく、3,000~100,000程度が好ましく、5,000~50,000程度がより好ましい。なお、数平均分子量は、GPCによるポリスチレン換算値である。
[3]クリック反応
以上で得られた式(A)で表される片末端修飾ポリチオフェンは、片末端のみにエチニル基を有しているため、当該ポリチオフェンと下記式(4)で表される、末端にアジド基を有するポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)と反応させることで、効率的にブロックコポリマーを製造することができる。
Figure 0007150265000012
上記R4は、炭素数1~10のアルキル基または炭素数7~20のアラルキル基を表し、このアルキル基としては、上記と同様の基が挙げられ、アラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられるが、ベンジル基が好ましい。
pは、2以上の整数を表すが、2~1,000が好ましく、10~500がより好ましい。
クリック反応の条件は、公知の条件を採用することができ、例えば、上記各ポリマーを、CuI等の銅触媒およびジイソプロピルアミン等の塩基存在下、0~100℃程度で、0.1~500時間程度反応させる手法を採用できる。
上記各ポリマーの反応比率は任意であり、所望のブロックコポリマーに応じて適宜設定することができる。
反応終了後、固体の銅触媒や未反応のポリマーを効率的に除去するため、複数の精製を組み合わせることが好ましい。
例えば、まず、中性酸化アルミニウムを充填したカラムで濾過し、固体の同触媒を除去した後、濾液から溶媒を留去して得られた残渣をメタノールに溶かし、未反応のポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)を除去し、このメタノール溶液中に、ジエチルエーテルを加えてブロックコポリマーと未反応の片末端修飾ポリチオフェンを析出させ、これを濾過後、濾過物をTHFに溶かし、この溶液に、ヘキサンを加えてブロックコポリマーを析出させることで、純粋なブロックコポリマーを得ることができる。
なお、上記クリック反応に用いる末端にアジド基を有するポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)は、公知の方法で製造することができる。
例えば、重合開始剤として臭化ベンジルを用いて、2-エチル-2-オキサゾリンを重合させた後、反応液にアジ化ナトリウムを加えて反応させることで、上記式(4)で表される末端にアジド基を有するポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)が得られる。
以下、合成例、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、実施例で用いた各測定装置は以下のとおりである。
[GPC]
装置:Shodex GPC-101(昭和電工(株)製)
カラム:Shodex KF-804L 2本(昭和電工(株)製)
カラム温度:40℃
溶媒:クロロホルム 1mL/分
検出器:UV(254nm)、RI
検量線:標準ポリスチレン
1H-NMR]
装置:JEOL ECA-500 and ECA-600
[TG-DTA]
装置:Seiko Instruments Inc. TG/DTA 6200
[MALDI-TOFF]
装置:AXIMA-CFR plus Shimadzu/Kratos
Reflection ion mode:レーザー(λ=337nm)
Matrix:1,8-dihydroxy-9[10H]-anthracenone
[合成例1]PEtOxの合成
Figure 0007150265000013
(式中、pは上記と同じ意味を表す。)
よく乾燥させた耐圧封管を減圧下で加熱し、室温に冷却した後、アルゴンで置換した。この中に、アルゴン雰囲気下で、臭化ベンジル(0.1mL,0.8mmol)と2-エチル-2-オキサゾリン(2mL,20mmol)の乾燥ジメチルアセトアミド(5.0mL)溶液を加え、100℃で12時間撹拌した。室温まで放冷した後、アジ化ナトリウム(650.1mg,10mmol)を加え、80℃で12時間撹拌した。反応液を水でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗い、無水MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣にジエチルエーテルを加え、不溶物を吸引ろ過で回収してジエチルエーテルで洗浄することにより、PEtOx(20.3g,収率98.2%)を得た。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 3.33-3.46 (b, 4H), 2.26-2.40(b, 2H), 1.08-1.11 (b, 3H).
GPC(溶離液:クロロホルム、ポリスチレン標準):RIシグナル、Mn=3,700、Mw/Mn=1.06.
[実施例1]P3HTPの合成
(1)P3HTBの合成
Figure 0007150265000014
(式中、m、nは、上記と同じ意味を表す。)
三方コックを装着し、内部をアルゴンで置換した200mLナスフラスコに、アルゴン雰囲気下、乾燥THF20mLに溶解した2-ブロモ-3-n-ヘキシル-5-ヨードチオフェン(943.2mg,2.53mmol)を0℃で加えた。そこへ、イソプロピルマグネシウムクロリド(2.0MのTHF溶液、1.23mL,2.45mmol)をシリンジで加え、0℃で2時間攪拌した。反応液にNi(dppp)Cl2(34.3mg,0.063mmol)を乾燥THF(10mL)に懸濁させた液を0℃で加えた後、室温で2時間撹拌した。反応液に5M塩酸を加えた後、クロロホルムで抽出した。有機層を水で洗い、無水MgSO4で乾燥させ、減圧濃縮した。残渣にメタノールを加え、不溶物を吸引ろ過で回収してメタノールで洗浄し、純粋なP3HTB(331mg、収率78.5%)を得た。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 6.98 (s, 1H), 2.81 (t, 2H), 1.71 (quint, 2H), 1.44-1.30 (m, 6H), 0.91 (t, 3H).
GPC(溶離液:クロロホルム、ポリスチレン標準):RIシグナル、Mn=10,200、Mw/Mn=1.04.UVシグナル、Mn=9,190、Mw/Mn=1.10.
(2)P3HTSの合成
Figure 0007150265000015
(式中、m、nは、上記と同じ意味を表す。)
よく乾燥させた200mLナスフラスコに、窒素雰囲気下、乾燥THF20mLに溶解したP3HTB(331mg,0.036mmol)、Pd(PPh32Cl2(4.74mg,6.76μmol)、CuI(0.7mg,3.75μmol)、トリメチルシリルアセチレン(0.022mL,0.157mmol)、ジイソプロピルアミン(20mL)を加え、凍結脱気サイクルを3回繰り返した。反応混合物を60℃にて終夜撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、1Mの希塩酸でクエンチし、クロロホルムで抽出した。有機層を水で洗い、無水MgSO4で乾燥させ、減圧濃縮した。残渣にメタノールを加え、不溶物を吸引ろ過で回収してメタノールで洗浄することにより、純粋なP3HTS(319mg,収率96.4%)を得た。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 6.98 (s, 1H), 2.81 (t, 2H), 1.71 (quint, 2H), 1.44-1.30 (m, 6H), 0.91 (t, 3H), 0.27(s, 0.21H).
GPC(溶離液:クロロホルム、ポリスチレン標準):RIシグナル、Mn=9,340、Mw/Mn=1.09.UVシグナル、Mn=8,710、Mw/Mn=1.14.
(3)P3HTPの合成
Figure 0007150265000016
(式中、m、nは、上記と同じ意味を表す。)
よく乾燥させた200mLナスフラスコ中に、乾燥THF20mLに溶解したP3HTS(105mg)を加え、窒素雰囲気下、フッ素化テトラブチルアンモニウム(1mL、水とTHFの混合溶媒に23mg/mL)を0℃で加え、30分間撹拌した。反応液を大量のメタノールに注いだ後、不溶物を吸引ろ過で回収してメタノールで洗浄することにより、P3HTP(100mg,収率95.2%)を得た。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 6.98 (s, 1H), 3.53(s, 0.01H), 2.81 (t, 2H), 1.71 (quint, 2H), 1.44-1.30 (m, 6H), 0.92 (t, 3H).
GPC(溶離液:クロロホルム、ポリスチレン標準):RIシグナル、Mn=8,450、Mw/Mn=1.14.UVシグナル、Mn=8,670、Mw/Mn=1.12.
[実施例2]P3HT-b-PEtOxの合成
Figure 0007150265000017
(式中、m、n、pは、上記と同じ意味を表す。)
三方コックを取り付けた丸底フラスコを、減圧下で加熱した後、アルゴン雰囲気下で室温まで冷却した。その中に、P3HTP(9.83μmol)、PEtOx(49.3μmol)、CuI(37mg,0.196mmol)、およびジイソプロピルアミン(99.45mg,0.983mmol)をアルゴン雰囲気下で加えた後、乾燥THF(20mL)をシリンジで加えた。得られた混合物に対し、凍結乾燥脱気を3回繰り返した後、60℃で48時間撹拌した。
反応終了後、中性酸化アルミニウムを充填したカラムで濾過し、固体触媒であるCuを除去し、濾液を集め、減圧下で溶媒を留去した。続いて、得られた固体ポリマーをメタノール(100mL)に溶かし、未反応のPEtOxを除去した後、メタノール溶液中に、ブロック共重合体と未反応のP3HTPが析出するまでジエチルエーテルをゆっくりと加えた。濾過後、析出したポリマーをTHFで集め、このポリマーのTHF溶液200mLに、ブロック共重合体が析出するまでヘキサンをゆっくりと加えた。最終析出物をTHFにて集め、純粋なP3HT-b-PEtOx(105mg,収率63.6%)を得た。
[比較例1]P3HTQの合成
Figure 0007150265000018
(式中、m、nは、上記と同じ意味を表す。)
三方コックを装着し、内部をアルゴンで置換した200mLナスフラスコに、アルゴン雰囲気下、乾燥THF35mLに溶解した2-ブロモ-3-n-ヘキシル-5-ヨードチオフェン(1.51g,4.05mmol)を0℃で加えた。そこへ、イソプロピルマグネシウムクロリド(2.1MのTHF溶液、1.87mL,3.93mmol)をシリンジで加え、0℃で2時間撹拌した。反応液にNi(dppp)Cl286.8mg、0.160mmol)を乾燥THF(6mL)に懸濁させた液を0℃で加えた後、室温で1時間撹拌した。反応液にエチニルマグネシウムクロリド(0.5MのTHF溶液、1.4mL,0.696mmol)を0℃でシリンジにて加え、0℃で15分間撹拌した後、反応液を大量の冷メタノールに注いだ。不溶物を吸引ろ過で回収してメタノールとヘキサンで洗浄し、P3HTQ(441mg,収率65.7%)を得た。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 6.98 (s, 30.8H), 3.53 (s, 1H), 2.80 (t, 62.0H), 1.71 (quint, 63.5H), 1.44-1.30 (m, 191.8H), 0.91 (t, 94.6H).
GPC(溶離液:クロロホルム、ポリスチレン標準):RIシグナル、Mn=6,700、Mw/Mn=1.12.UVシグナル、Mn=6,730、Mw/Mn=1.12.
なお、MALDI-TOFF分析の結果、両末端エチニル体の存在が確認され、その含有割合は、1H-NMR分析の結果から17.6%であることが確認された。

Claims (8)

  1. 下記式(1)
    Figure 0007150265000019
    (式中、X1およびX2は、それぞれ独立にハロゲン原子を表し、R1およびR2は、それぞれ独立に、重合反応の前後で変化しない1価の有機基または水素原子を表すが、R1およびR2が同時に水素原子となることはなく、前記重合反応の前後で変化しない1価の有機基は、炭素数1~20の一価炭化水素基である。)
    で表される2,5-ジハロチオフェン化合物を、下記式(2)
    Figure 0007150265000020
    (式中、R3は、炭素数1~5のアルキル基を表し、X3は、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。)で表されるグリニャール試薬と反応させ、続いて重合触媒の存在下で重合させた後、塩酸でクエンチして下記式(3)
    Figure 0007150265000021
    (式中、X2、R1およびR2は、前記と同じ意味を表し、mは、1以上の整数を表し、nは、2以上の整数を表す。)
    で表される重合体を得、次いで、これをトリアルキルシリルアセチレンと、カップリング触媒の存下でカップリング反応させた後、脱シリル化することを特徴とする、下記式(A)
    Figure 0007150265000022
    (式中、R1、R2、mおよびnは、前記と同じ意味を表す。)
    で表される片末端修飾ポリチオフェンの製造方法。
  2. 前記X1が、ヨウ素原子であり、X2が、臭素原子である請求項1記載の片末端修飾ポリチオフェンの製造方法。
  3. 前記R1およびR2のいずれか一方が、炭素数1~10の直鎖アルキル基であり、他方が、水素原子である請求項1または2記載の片末端修飾ポリチオフェンの製造方法。
  4. 前記R3が、イソプロピル基である請求項1~3のいずれか1項記載の片末端修飾ポリチオフェンの製造方法。
  5. 前記トリアルキルシリルアセチレンが、トリメチルシリルアセチレンである請求項1~4のいずれか1項記載の片末端修飾ポリチオフェンの製造方法。
  6. 前記重合触媒が、ニッケル触媒である請求項1~5のいずれか1項記載の片末端修飾ポリチオフェンの製造方法。
  7. 請求項1~6のいずれか1項記載の製造方法により前記式(A)で表される片末端修飾ポリチオフェンを得る工程と、前記工程で得られた前記式(A)で表される片末端修飾ポリチオフェンを、下記式(4)
    Figure 0007150265000023
    (式中、R4は、炭素数1~10のアルキル基または炭素数7~20のアラルキル基を表し、pは、2以上の整数を表す。)
    で表される末端アジド基を有するポリ2-オキサゾリンと反応させる工程とを有する、下記式(B)
    Figure 0007150265000024
    (式中、R1、R2、R4、n、mおよびpは、前記と同じ意味を表す。)
    で表されるブロック共重合体の製造方法。
  8. 前記式(A)で表される片末端修飾ポリチオフェンと、前記式(4)で表される末端アジド基を有するポリ2-オキサゾリンとの反応によって生じた式(B)で表されるブロック共重合体を含む反応液を、中性酸化アルミニウムを充填したカラムで濾過する第1の工程と、
    前記第1の工程で得られた濾液から溶媒を留去して得られた残渣をメタノールに溶かした後、このメタノール溶液中にジエチルエーテルを加えて生じた析出物を濾過する第2の工程と、
    前記第2の工程で得られた濾過物(固体)をテトラヒドロフランに溶かし、この溶液に、ヘキサンを加えて前記式(B)で表されるブロック共重合体を析出させる第3の工程とを含む請求項7記載のブロック共重合体の製造方法。
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