JP2015028932A - 燃料電池用水性触媒ペースト組成物、及び燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】非白金系炭素系触媒材料の分散性が良好で低粘度であり、優れた電気化学的特性、保存安定性、塗工性を備えた燃料電池用水性触媒ペースト組成物及び水性触媒インキ組成物を提供する。また、これらの組成物を用いることにより、塗工した際の塗工ムラやピンホールの発生が極めて少ない燃料電池用触媒層もしくは撥水層とそれを具有する燃料電池用触媒電極ならびに電極膜接合体と、電池性能に優れた燃料電池を提供する。【解決手段】非白金系炭素系触媒材料と、酸性官能基を有し、酸価が50〜720mgKOH/gの水性樹脂型分散剤(A)と、水性液状媒体とを含有する燃料電池用水性触媒ペースト組成物。【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池用の水性触媒ペースト組成物、触媒インキ組成物に係り、それらを用いた触媒層もしくは撥水層及びそれらを具備する触媒電極ならびに電極膜接合体および燃料電池に関する。
燃料電池は、電気化学システムを用いて化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換できるシステムであり、高効率であるため次世代エネルギーとして期待されている。燃料電池には、水素を利用する固体高分子形燃料電池や、電子供与微生物を利用する微生物燃料電池等が知られているほか、負極活物質として金属を用いる金属‐空気電池も、金属を負極側に補給することにより放電性能を維持することができるため、広義には燃料電池の1種として捉えることができる。中でも、固体高分子形燃料電池は作動温度が低く、高効率である点から自動車用、定置用、小型モバイル用に活発に開発が進められている。
従来より、これら燃料電池の電極触媒には、正極側活物質である酸素を水もしくは水酸化物イオンへ変換するため、高い酸素還元活性を有する白金や白金合金等を用いる白金系触媒が用いられているが、コスト、資源量、供給安定性の面から、白金系触媒以外の触媒(非白金系触媒と呼ぶ)の開発が求められている。しかし、現状の非白金系触媒の性能は、白金系触媒に比べて十分ではないため、白金の使用量を大幅に低減した触媒や、白金を使用しない非白金系触媒の技術開発が進められている。(非特許文献1、特許文献1〜3など)
そのような非白金系触媒として、例えば、特許文献2では、高分子金属錯体に炭素添加物を混合し熱処理した炭素化物に、窒素をドープした炭素材料が提案されている。このような窒素をドープした炭素材料は、酸素還元活性を有する非白金系触媒として利用することができる。また、特許文献3では、表面処理した炭素材料にイオン交換性官能基をグラフト化反応により導入した炭素材料が、非白金系触媒として使用できることが提案されている。
非白金系触媒は、白金系触媒よりも、経済的でコスト優位性が高いため積極的な開発が進められているが、その性能はまだ十分ではなく、白金系触媒を使用した場合に近い電池性能を得るためには、触媒層の厚みを増加させ、触媒層中の触媒粒子を増加させる必要がある。また、非白金系触媒を分散して組成物とする際、非白金系触媒が凝集を引き起こし易いため、組成物中の分散安定性を高める必要がある。また、これら組成物を塗工する場合、触媒の凝集が起こると塗膜にピンホールが生じたり、好適な電極膜を得ることができず、電流量の低下や起電力の低下を引き起こしてしまうという問題がある。このような技術課題があるが、これを解決する手段が見出せていなかった。
特開2011−6283号公報 特開2008−282725号公報 特開2009−295441号公報
SCIENCE(VOL.332、第443〜447頁、2011年)
本発明が解決しようとする課題は、非白金系炭素系触媒材料の分散性が良好で低粘度であり、保存安定性、塗工性を備えた燃料電池用水性触媒ペースト組成物及び触媒インキ組成物を提供することである。また、これらの組成物を用いることにより、塗工した際の塗工ムラやピンホールの発生が極めて少ない燃料電池用触媒層もしくは撥水層と、それを具備する燃料電池用触媒電極ならびに燃料電池用電極膜接合体と、電池性能に優れた燃料電池を提供することである。
本発明者らは、前記諸問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。
第一の発明は、非白金系炭素系触媒材料と、水性樹脂型分散剤(A)と、水性液状媒体とを含有する燃料電池用水性触媒ペースト組成物であって、
水性樹脂型分散剤(A)が、酸性官能基を有し、酸価が50〜720mgKOH/gである燃料電池用水性触媒ペースト組成物に関する。
第二の発明は、水性樹脂型分散剤(A)が下記不飽和単量体を共重合して得られる共重合体である、上記燃料電池用水性触媒ペースト組成物に関する。
芳香環及び脂肪族骨格の少なくとも一方を有するエチレン性不飽和単量体(a1):10〜90重量%
酸性官能基を有するエチレン性不飽和単量体(a2):10〜90重量%
前記(a1)〜(a2)以外のエチレン性不飽和単量体(a3):0〜80重量%
(但し、前記(a1)〜(a3)の合計を100重量%とする。)
第三の発明は、水性樹脂型分散剤(A)の酸性官能基の少なくとも一部が塩基性化合物で中和されている上記燃料電池用水性触媒ペースト組成物に関する。
第四の発明は、上記燃料電池用水性触媒ペースト組成物と、バインダーを含んでなる燃料電池用水性触媒インキ組成物に関する。
第五の発明は、上記バインダーがプロトン伝導性ポリマーもしくは撥水性材料のうち少なくとも一方である燃料電池用水性触媒インキ組成物に関する。
第六の発明は、上記燃料電池用水性触媒インキ組成物から形成されてなる燃料電池用触媒層もしくは燃料電池用撥水層に関する。
第七の発明は、上記燃料電池用触媒層もしくは燃料電池用撥水層のうち少なくとも一方と、導電性支持体とを具備してなる燃料電池用触媒電極に関する。
第八の発明は、固体高分子電解質膜と、上記燃料電池用触媒電極を具備してなる燃料電池用電極膜接合体に関する。
第九の発明は、上記燃料電池用触媒電極もしくは上記燃料電池用電極膜接合体のうち少なくとも一方を具備してなる燃料電池に関する。
本発明によれば、非白金系炭素系触媒材料の分散性が良好で低粘度であり、優れた保存安定性、塗工性を備えた燃料電池用水性触媒ペースト組成物及び触媒インキ組成物を提供することが可能となるため、これらの組成物を用いることにより、塗工した際の塗工ムラやピンホールの発生が極めて少ない燃料電池用触媒層もしくは撥水層と、それを具有する燃料電池用燃料電池用触媒電極もしくは燃料電池用電極膜接合体を得ることが可能となる。したがって、電池性能に優れた燃料電池を提供することが可能となる。
以下、詳細に本発明について説明する。尚、本明細書では、「燃料電池用水性触媒ペースト組成物」を、「触媒ペースト組成物」あるいは「ペースト組成物」、「燃料電池用水性触媒インキ組成物」を「触媒インキ組成物」あるいは「インキ組成物」ということがある。また、これら「燃料電池用水性触媒ペースト組成物」と「燃料電池用水性触媒インキ組成物」を併せて、単に「組成物」ということがある。また、「水性樹脂型分散剤」を「樹脂型分散剤」あるいは「樹脂」ということがある。
<燃料電池用水性触媒ペースト組成物>
本発明の燃料電池用水性触媒ペースト組成物は、少なくとも非白金系炭素系触媒材料と、水性樹脂型分散剤(A)と、水性液状媒体とを含有するものである。非白金系炭素系触媒材料、水性樹脂型分散剤、及び水性液状媒体の割合は、特に限定されるものではなく、広い範囲内で適宜選択され得る。
水性樹脂型分散剤の含有量は、触媒ペースト組成物中の非白金系炭素系触媒材料に対し、好ましくは0.01〜25重量%、より好ましくは0.02〜10重量%である。この範囲の含有量とすることにより、非白金系炭素系触媒材料の分散安定性を十分に達成できると同時に、非白金系炭素系触媒材料の凝集を効果的に防止でき、かつ触媒層表面へ水性樹脂型分散剤の析出を防止できる。
また、水性液状媒体は、触媒ペースト組成物を100重量%としたとき、好ましくは60〜99重量部%、より好ましくは65〜97重量%である。
<非白金系炭素系触媒材料>
非白金系炭素系触媒材料(以下、炭素系触媒材料ともいう)とは、炭素(C)原子の集合体を主体とした多成分系からなり、それらの構成単位間に物理的・化学的な相互作用(結合)を有し、異種元素、たとえば窒素(N)、ホウ素(B)、リン(P)などのヘテロ原子や卑金属元素が含まれる触媒材料で、1種または2種以上の、炭素材料または窒素元素および卑金属元素を有する化合物を混合、熱処理して、得ることができ、従来公知のものを使用することができる。
ヘテロ原子と卑金属元素を含有することは、酸素還元活性を有するうえで重要な意味をなす。一般的に炭素系触媒材料の場合、その触媒活性点として、炭素材料表面に卑金属元素を中心に、例えば、4個の窒素が平面上に並んだ構造(卑金属−N4構造と呼ぶ)部分における卑金属元素や、炭素材料表面のエッジ部に導入されたヘテロ原子近傍の炭素原子などが挙げられる。
このような炭素系触媒材料は、従来公知の白金を担持させた炭素材料と同様に、酸素還元触媒能を有し、燃料電池用電極触媒として好適に使用することができる。炭素系触媒材料は、正極、負極の両方に使用することができるが、正極として通常用いられることが多い。
本発明に係る炭素系触媒材料においては、窒素やホウ素、リンなどのドープ量(炭素系触媒材料中の窒素やホウ素、リンなどの含有量)が、それぞれ0.1〜40モル%であるときに、酸素還元に関して良好な触媒活性を示す。また、窒素とホウ素とを同時にドープしたときには、両者の相互作用により、より一層高い電極活性を示す。また、窒素とホウ素の双方をドープする場合には、原子比(B/N)は、0.2〜0.4、好ましくは0.06〜1.5であり、またモル比((B+N)/C)は、好ましくは0.03〜0.4である。これらの範囲内において、活性の高い炭素系触媒材料を得ることができる。
<炭素系触媒材料の製造方法>
炭素系触媒材料の製造方法は特に限定されず、炭素材料表面に大環状化合物を担持させ炭化させる方法、大環状化合物と有機材料との混合物を炭化させる方法、大環状化合物を含まない有機材料を炭化させる方法、無機炭素材料由来の炭素粒子を用いる方法など、従来公知の方法を使用できる。好ましい製造方法としては、無機炭素材料由来の炭素粒子と窒素元素および卑金属元素を含有する化合物とを混合後に不活性ガス雰囲気中で熱処理して炭素系触媒材料を得る方法である。前記熱処理は、複数の温度で多段階に行ってもよく、また、熱処理工程の後若しくは途中に、酸で洗浄、及び乾燥する工程を含んでも良い。
炭素系触媒材料を製造する際に、原料を混合する場合では、原料同士が均一に混合・複合されている方が好ましく、混合法としては、乾式混合及び湿式混合が挙げられる。混合装置としては、以下のような乾式混合装置や湿式混合装置を使用できる。
乾式混合装置としては、例えば、2本ロールや3本ロール等のロールミル、ヘンシェルミキサーやスーパーミキサー等の高速攪拌機、マイクロナイザーやジェットミル等の流体エネルギー粉砕機、アトライター、ホソカワミクロン社製粒子複合化装置「ナノキュア」、「ノビルタ」、「メカノフュージョン」、奈良機械製作所社製粉体表面改質装置「ハイブリダイゼーションシステム」、「メカノマイクロス」、「ミラーロ」等が挙げられる。
乾式混合装置を使用する際には、母体となる原料粉体に他の原料を粉体のまま直接添加してもよいが、より均一な混合物を作製するために、前もって他の原料を少量の溶媒に溶解、又は分散させておき、母体となる原料粉体の凝集粒子を解しながら添加する方法が好ましい。更に、処理効率を上げるために、加温することが好ましい場合もある。
原料の中には、常温では固体であるが、融点、軟化点、又はガラス転移温度が100℃未満と低い材料がある。それらの材料を用いる場合、常温で混合するより、加温下で溶融させて混合する方がより均一に混合できる場合もある。
湿式混合装置としては、例えば、ディスパー、ホモミキサー、若しくはプラネタリーミキサー等のミキサー類;
エム・テクニック社製「クレアミックス」、若しくはPRIMIX社製「フィルミックス」等のホモジナイザー類;
ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、若しくはコボールミル等のメディア型分散機;
湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、奈良機械製作所社製「マイクロス」等のメディアレス分散機;
その他ロールミル、ニーダー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。又、湿式混合装置としては、装置からの金属混入防止処理を施したものを用いることが好ましい場合がある。
例えば、メディア型分散機を使用する場合は、アジテーター及びベッセルがセラミック製又は樹脂製の分散機を使用する方法や、金属製アジテーター及びベッセル表面がタングステンカーバイド溶射又は樹脂コーティング等で処理された分散機を用いることが好ましい。メディアは、ガラスビーズ、又は、ジルコニアビーズ、若しくはアルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましい。また、ロールミルを使用する場合は、セラミック製ロールを用いることが好ましい。分散装置は、1種のみを使用してもよいし、複数種の装置を組み合わせて使用してもよい。また、原料の溶媒への濡れ性、分散性を向上させるために、一般的な親水性官能基を有する分散剤を一緒に添加し、分散、及び混合することができる。
湿式混合する際、各原料が均一に溶解しないケースにおいては、各原料の溶媒への濡れ性、及び分散性を向上させるために、市販の分散剤を一緒に添加し、分散して混合してもよい。
湿式混合の場合、混合前駆体を乾燥させる工程が必要となる。この場合、乾燥装置としては、棚式乾燥機、回転乾燥機、気流乾燥機、噴霧乾燥機、撹拌乾燥機、凍結乾燥機などを好適に使用することが出来る。
炭素材料と窒素元素および卑金属元素を有する化合物の混合物を熱処理する方法においては、原料となる炭素材料、窒素元素および卑金属元素有する化合物によって異なるが、加熱温度は500〜1100℃が好ましい。熱処理における加熱温度が500℃を下回る場合、炭素材料や化合物の融解や熱分解が生じにくいため、触媒活性が低いことがある。一方、加熱温度が1100℃を超える場合、炭素材料や化合物の熱分解や昇華が激しくなる。その結果、得られる炭素系触媒材料表面の活性点ができにくくなり触媒活性が低いことがある。
熱処理における雰囲気は、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気や、不活性ガスに水素が混合された還元性ガス雰囲気が好ましい。原料をできるだけ不完全燃焼により炭化させ、窒素元素、卑金属元素等を炭素系触媒材料表面に残存させる必要性があるためである。また、熱処理における炭素系触媒材料中の窒素元素の低減を抑制するために、窒素元素を多量に含むアンモニアガス雰囲気下で熱処理を行うこともできる。
また、熱処理は、一定の温度下、1段階で処理を行う方法に限定されない。例えば、分解温度の異なる炭素材料または窒素元素および卑金属元素を有する化合物を2種類以上混合する場合は、各成分の熱分解温度に合わせて、加熱温度の異なる数段階に分けて熱処理を行なうことも可能である。これにより、活性点をより効率的に多く残存させられることがある。
炭素系触媒材料の製造方法としては、更に、前記熱処理により得られた炭素系触媒材料を酸で洗浄、及び乾燥する工程を含む方法が挙げられる。ここで用いる酸は、前記熱処理により得られた炭素系触媒材料の表面に存在する活性点として作用しない卑金属成分を溶出させることができるものであれば特に限定されない。炭素系触媒材料との反応性が低く、卑金属成分の溶解力が強い濃塩酸や希硫酸等が好ましい。具体的な洗浄方法としては、ガラス容器内に酸を加え、炭素系触媒材料を添加し、分散させながら数時間撹拌させた後、静置し、上澄みを除去する。そして、上澄みの着色が確認されなくなるまで上記方法を繰り返し行い、最後に、ろ過、水洗により酸を除去し、乾燥する方法が挙げられる。触媒活性点としてエッジ部の窒素元素近傍の炭素元素を有する炭素系触媒材料は、酸で洗浄することにより、表面の活性点として作用しない卑金属成分が除去され触媒活性が向上するため好ましい場合がある。
<炭素材料>
本発明における炭素系触媒材料の主構成成分である炭素材料としては、無機材料由来の炭素粒子および/または有機材料を熱処理して得られる炭素粒子であれば特に限定されない。
無機材料由来の炭素粒子としては、カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ミディアムサーマルカーボンブラック)、活性炭、黒鉛、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、グラフェンナノプレートレット、ナノポーラスカーボン、炭素繊維等が挙げられる。炭素材料は、種類やメーカーによって、粒子径、形状、BET比表面積、細孔容積、細孔径、嵩密度、DBP吸油量、表面酸塩基度、表面親水度、導電性など様々な物性やコストが異なるため、使用する用途や要求性能に合わせて最適な材料を選択する。
熱処理して炭素粒子となる有機材料としては、熱処理後炭素粒子となる材料であれば特に限定されない。熱処理後の炭素粒子に活性点となるヘテロ元素を含有させるため、予め同へテロ元素を含有する有機材料の使用が好ましい場合がある。具体的な有機材料としては、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアニリン系樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂系樹脂、ポリイミダゾール系樹脂、ポリピロール系樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂、メラミン系樹脂、ピッチ、褐炭、ポリカルボジイミド、バイオマス、タンパク質、フミン酸等やそれらの誘導体などが挙げられる。
これら炭素材料は、一種類または二種類以上で用いられる。
市販の炭素材料としては、例えば、
ケッチェンブラックEC−300J、及びEC−600JD等のアクゾ社製ケッチェンブラック;
トーカブラック#4300、#4400、#4500、及び#5500等の東海カーボン社製ファーネスブラック;
プリンテックスL等のデグサ社製ファーネスブラック;
Raven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULT
RA、Conductex SC ULTRA、975 ULTRA、PUER BLACK100、115、及び205等のコロンビヤン社製ファーネスブラック;
#2350、#2400B、#2600B、#30050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、及び#5400B等の三菱化学社製ファーネスブラック;
MONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、及びBlackPearls2000等のキャボット社製ファーネスブラック;
Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、及びSuperP−Li等のTIMCAL社製ファーネスブラック;
デンカブラック、デンカブラックHS−100、FX−35等の電気化学工業社製アセチレンブラック;
VGCF、VGCF−H、VGCF−X等の昭和電工社製カーボンナノチューブ;
名城ナノカーボン社製カーボンナノチューブ;
xGnP−C−750、xGnP−M−5等のXGSciences社製グラフェンナノプレートレット;
Easy−N社製ナノポーラスカーボン;
カイノール炭素繊維、カイノール活性炭繊維などの群栄化学工業社製炭素繊維;
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
<窒素元素および卑金属元素を含有する化合物>
窒素元素および卑金属元素を含有する化合物は、窒素元素および卑金属元素を1種又は2種以上含有する化合物であればよく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において特に限定されない。例えば、金属を含有する色素やポリマー等の有機化合物、金属単体、金属酸化物、金属塩等の無機化合物が挙げられる。前記化合物は、1種類または2種類以上を併用して用いることができる。卑金属元素とは、遷移金属元素のうち貴金属元素(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金)を除く金属元素であり、卑金属元素としては、コバルト、鉄、ニッケル、マンガン、銅、チタン、バナジウム、クロム、亜鉛、スズ、アルミニウム、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、及びマグネシウムから選ばれる一種以上を含有することが好ましい。
炭素系触媒材料中に効率的に窒素元素や卑金属元素を導入する観点から、卑金属元素を分子中に含有することが可能な窒素を含有した芳香族化合物が好ましい。具体的には、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、テトラアザアヌレン系化合物等が挙げられる。上記芳香族化合物は、電子吸引性官能基や電子供与性官能基が導入されたものであってもよい。特に、フタロシアニン系化合物は、様々な卑金属元素を含んだ化合物が入手可能であり、コスト的にも安価であるため、原料として特に好ましい。具体的には、コバルトフタロシアニン系化合物、ニッケルフタロシアニン系化合物、鉄フタロシアニン系化合物などの金属フタロシアニン系化合物が挙げられる。これらの原料を用いることにより、安価であって、かつ、高い酸素還元活性を有する炭素系触媒材料を提供できる。
<金属フタロシアニン>
金属フタロシアニンは、大環状金属錯体の一種であり、フタロシアニン構造の中心に金属イオンが配位した分子構造である。中心の金属イオンには、窒素原子が平面上に4配位しており、この構造は一般的に「金属−N4構造」と呼ばれる。同構造は酸素還元反応の活性点として作用することが知られており、本発明における炭素系触媒材料においても、表面上に金属−N4構造が高密度に存在することが、高い触媒活性の発現に有利となる場合がある。そのため、炭素系触媒材料の合成における熱処理工程においては、金属−N4構造が分解しない温度以下で行う必要がある。
前記フタロシアニンの中心金属としては、アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛などが挙げられ、中心金属が鉄またはコバルトで形成される「Fe−N4構造またはCo−N4構造」は、熱に対する構造安定性や酸素分子の吸着能が優れているなどの特性より、高い触媒活性を示すため好ましい。
<水性樹脂型分散剤>
本発明において使用する水性樹脂型分散剤(A)は、炭素系触媒材料に対して分散剤として有効に機能し、炭素材料の凝集を緩和することができる。
本発明における水性樹脂型分散剤(A)は、酸性官能基を有し、酸価が50〜720mgKOH/gである、水溶性ないし水分散性の樹脂型分散剤である。
また、好ましい酸性官能基としてはカルボキシル基、スルホ基、及リン酸基等を挙げることができ、これらのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩も使用することができる。
酸性官能基を有する水性樹脂型分散剤(A)としては、前述の酸性官能基を有した水溶性ないし水分散性の樹脂型分散剤であれば特に限定されないが、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシエチルセルロース等のセルロース系化合物が挙げられる。
また、本発明における水性樹脂型分散剤(A)としては、芳香環、及び脂肪族骨格の少なくとも一方を有するエチレン性不飽和単量体(a1)と、酸性官能基を有するエチレン性不飽和単量体(a2)と、を必須成分とする共重合体を使用することもできる。
水性樹脂型分散剤(A)は、酸性官能基の少なくとも一部を塩基性化合物で中和したものであることが好ましい。
共重合体の中和に使用される塩基性化合物としては、下記のものが挙げられる。
例えば、アンモニア水、ジメチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各種有機アミン、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等の無機アルカリ剤、有機酸や鉱酸等を使用することができる。上記したような共重合体は、水性液状媒体中に、分散又は溶解される。
<不飽和単量体(a1)>
芳香環、または脂肪族骨格の少なくとも一方を有するエチレン性不飽和単量体(a1)としては、芳香環を有するエチレン性不飽和単量体(a1−1)、脂肪族骨格を有するエチレン性不飽和単量体(a1−2)、及び、芳香族と脂肪族骨格の両方を有するエチレン性不飽和単量体が挙げられる。これらは単独もしくは2種類以上を併用して使用することができる。
芳香環を有するエチレン性不飽和単量体(a1−1)としては、芳香環を有しているものであれば特に限定されない。例えば、スチレン、α−メチルスチレンもしくはベンジル(メタ)アクリレート等を例示することが出来る。
脂肪族骨格を有するエチレン性不飽和単量体(a1−2)としては、脂肪族骨格を有しているものであれば特に限定されない。脂肪族骨格としては、飽和または不飽和の炭化水素基、及び1つ以上のヘテロ原子によって結合された飽和または不飽和の炭化水素である脂肪族基等があげられるが、その中でも、飽和炭化水素基、及びエーテル結合を有する飽和脂肪族基が好ましい。
飽和炭化水素基としては、鎖式飽和炭化水素基と環式飽和炭化水素基が挙げられる。
鎖式飽和炭化水素基を有する不飽和単量体としては、具体的に例示すると、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートがあり、好ましくは炭素数2〜12、さらに好ましくは炭素数3〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらのアルキル基は分岐していてもよく、具体例としては、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ブチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、α−オレフィン化合物としては、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン等が挙げられる。
環状飽和炭化水素基を有する不飽和単量体としては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エーテル結合を有する飽和脂肪族基としてはポリオキシアルキレン構造が挙げられる。ポリオキシアルキレン構造を有する不飽和単量体の具体例としては、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の、末端に水酸基を有し、ポリオキシアルキレン鎖を有するモノアクリレートまたはモノメタアクリレート等、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、及びメトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等、末端にアルコキシ基を有し、ポリオキシアルキレン鎖を有するモノアクリレートまたはモノメタアクリレートがある。また、アルキルビニルエーテル化合物としては、ブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等が挙げられる。
また、エーテル結合を有する飽和脂肪族化合物は環式でもよく、具体例としては、グリシジル(メタ)クリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
<不飽和単量体(a2)>
酸性官能基を有するエチレン性不飽和単量体(a2)が有する酸性官能基としては、例えばカルボキシル基、スルホ基、リン酸基等を挙げることができ、これらのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩も使用することができる。
カルボキシル基を有する不飽和単量体としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸等を例示することが出来る。特にメタクリル酸、アクリル酸が好ましい。
スルホ基を有する不飽和単量体としては、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸等が挙げられる。
リン酸基を有する不飽和単量体としては、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジフェニル(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、ジフェニル(2−メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート、フェニル(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、アシッド・ホスホオキシエチルメタクリレート、メタクロイル・オキシエチルアシッドホスフェート・モノエタノールアミン塩、3−クロロ−2−アシッド・ホスホオキシプロピルメタクリレート、アシッド・ホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート、アシッド・ホスホオキシポリオキシプロピレングリコールメタクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシプロピルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアシッドホスフェート、アリルアルコールアシッドホスフェート等が挙げられる。
<不飽和単量体(a3)>
前記(a1)〜(a2)以外のその他の単量体(a3)は、例えば下記のものが挙げられる。
水酸基含有の不飽和単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、アリルアルコール等が挙げられる。
窒素含有不飽和単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド等のモノアルキロール(メタ)アクリルアミド、
N,N−ジ(メチロール)アクリルアミド、N−メチロール−N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド等のジアルキロール(メタ)アクリルアミドといったアクリルアミド系不飽和化合物や、
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン等のアミノ基を有するエチレン性不飽和単量体が挙げられる。
更にその他の不飽和単量体としては、パーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロアルキルアルキル(メタ)アクリレート類;
パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、パーフルオロデシルエチレン等のパーフルオロアルキル、アルキレン類等のパーフルオロアルキル基含有ビニルモノマー、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシラノール基含有ビニル化合物及びその誘導体などを挙げることができ、これらの群から複数用いることができる。
その他の不飽和単量体(a3)の中でも、好ましくはアミノ基を有するエチレン性不飽和単量体である。
<不飽和単量体(a1)〜(a3)の構成比、及び機能>
本発明で用いられる水性樹脂型分散剤(A)中の共重合体を構成する不飽和単量体の比率は、不飽和単量体(a1)〜(a3)の合計を100重量%とした場合に、
芳香環及び脂肪族骨格の少なくとも一方を有するエチレン性不飽和単量体(a1):10〜90重量%
酸性官能基を有するエチレン性不飽和単量体(a2):10〜90重量%
前記(a1)〜(a2)以外のその他の不飽和単量体(a3):0〜80重量%
好ましくは、(a1):15〜70重量%、(a2):15〜70重量%、(a3):1〜70重量%である。
より好ましくは、(a1):30〜70重量%、(a2):15〜50重量%、(a3):1〜40重量%である。
芳香環及び脂肪族骨格の少なくとも一方を有するエチレン性不飽和単量体(a1)由来の芳香環や脂肪族骨格が、前述の炭素系触媒材料への主たる吸着部位となると推測している。
また、酸性官能基を有するエチレン性不飽和単量体(a2)は、共重合体を水性液状媒体に溶解ないし分散させる機能を担う。酸性官能基を中和した場合、その効果がより大きくなるため好ましい。
そして、炭素系触媒材料に、芳香環や脂肪族骨格を介してコポリマーが吸着し、好ましくは中和され、イオン化された酸性官能基の電荷反発により、炭素系触媒材料の水性液状媒体中における分散状態を安定に保つことが出来るようになったものと考察される。
上記不飽和単量体(a1)〜(a3)を共重合してなる共重合体の分子量は特に制限はないが、水性樹脂型分散剤(A)の固形分20%水溶液における粘度が、好ましくは5〜100,000mPa・sであり、さらに好ましくは10〜50,000mPa・sである。所定範囲の粘度より低く、水性樹脂型分散剤(A)の分子量が小さすぎる場合、あるいは所定範囲の粘度より高く、水性樹脂型分散剤(A)の分子量が大きすぎる場合には、炭素系触媒材料の分散不良を引き起こす可能性がある。
尚、本発明における粘度とは、B型粘度計を用いて25℃の条件下で測定した値である。
<分散剤の酸価>
水性樹脂型分散剤(A)は、酸性官能基を有する不飽和単量体を重合もしくは縮合して製造されるが、水性樹脂型分散剤(A)の分子全体における酸性官能基を有する不飽和単量体の構成比率を酸価で表すと下記のようであることが好ましい。即ち、使用する水性樹脂型分散剤(A)の酸価が、50mgKOH/g以上720mgKOH/g以下の範囲であることが好ましく、更には80mgKOH/g以上600mgKOH/g以下の範囲であることが好ましい。
水性樹脂型分散剤(A)の酸価が上記した範囲よりも低いと分散体の分散安定性が低下し、粘度が増加する傾向がある。また、酸価が上記した範囲より高いと、炭素系触媒材料表面に対する水性樹脂型分散剤(A)の付着力が低下し、分散体の保存安定性が低下する傾向がある。
なお、酸価は、JIS K 0070の電位差滴定法に準拠して測定した酸価(mgKOH/g)を固形分換算した値である。
<製造方法>
水性樹脂型分散剤(A)は、種々の製造方法で得ることができる。
例えば、上記不飽和単量体(a1)〜(a3)を、水と共沸し得る有機溶剤中で重合する。その後、水に代表される水性液状媒体と、好ましくは中和剤とを加えて酸性官能基の少なくとも一部を中和し、共沸可能な溶剤を留去し、水性樹脂型分散剤(A)の水溶液ないし水性分散液を得ることができる。
重合時の有機溶剤としては、水と共沸するものであれば良いが、コポリマーに対し溶解性の高いものが良く、好ましくはエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールがあり、さらに好ましくは1−ブタノールがある。
あるいは、親水性有機溶剤中で共重合し、水と、好ましくは中和剤を加えて中和し、親水性有機溶剤は留去せず、親水性有機溶剤と水とを含む水性液状媒体に、水性樹脂型分散剤(B)が溶解ないし分散した液を得ることができる。
この場合、用いられる親水性有機溶剤としては、コポリマーに対し溶解性の高いものが良く、好ましくはグリコールエーテル類、ジオール類、さらに好ましくは(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル、炭素数3〜6のアルカンジオール類が良い。
コポリマーの中和に使用される中和剤としては、下記のものが挙げられる。
例えば、アンモニア水、ジメチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各種有機アミン、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等の無機アルカリ剤、有機酸や鉱酸等を使用することができる。上記したようなコポリマーは、水性液媒体中に、分散又は溶解される。
本発明における水溶性樹脂型分散剤(A)は、炭素系触媒材料の分散剤として機能し、触媒活性や導電性を阻害することなく、分散安定性に優れた水性触媒ペースト組成物を提供することができる。本発明の水性触媒ペースト組成物は、優れた分散安定性を示すだけでなく、保存安定性に優れ、プロトン伝導性ポリマーや撥水性材料を添加する際にも、その分散状態を維持したまま混合分散することができる。また、プロトン伝導性ポリマーとの濡れ性を改善できる。よって、塗膜中での炭素系触媒材料とプロトン伝導性ポリマーとの密着性や、触媒活性点へのプロトン伝導性も向上できるため、水性触媒インキ組成物に好適に使用できる。
<水性液状媒体>
本発明に使用する水性液状媒体としては、水を使用することが好ましいが、必要に応じて、例えば、電極基材もしくは転写基材への塗工性向上のために、水と相溶する液状媒体を使用しても良い。
水と相溶する液状媒体としては、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、エーテル類、ニトリル類等が挙げられ、水と相溶する範囲で使用しても良い。特に、プロトン伝導性ポリマーとの相溶性及び触媒インキ組成物とした場合の乾燥効率の問題から、アルコール類が好適に使用できる。アルコール類としては、例えば、沸点80〜200℃程度の1価のアルコールないし多価アルコールが利用でき、好ましくは炭素数が4以下のアルコール系溶剤が挙げられる。具体的には、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール等が挙げられる。これらの1価のアルコールの中でも、2−プロパノール、1−ブタノール及びt−ブタノールが好ましい。多価アルコールとしては具体的には、プロピレングリコール、エチレングリコール等が好ましく、中でもプロピレングリコールが特に好ましい。
<燃料電池用水性触媒インキ組成物>
本発明の水性触媒インキ組成物中に含まれる炭素系触媒材料、水性樹脂型分散剤(A)およびバインダーの割合は、限定されるものではなく、広い範囲内で適宜選択され得る。
水性触媒インキ組成物の調製方法も特に制限は無い。調製は、各成分を同時に分散しても良いし、触媒ペースト組成物を分散後、バインダーを添加してもよく、使用する炭素系触媒材料、バインダー、水性液状媒体により最適化することができる。但し、水性触媒ペースト組成物を先に作製し、バインダーを後添加して水性触媒インキ組成物を作製すると、分散時間の短縮などコストダウンに大きく貢献することができる。
例えば、本発明の水性触媒インキ組成物では、炭素系触媒材料を100重量部に対して、樹脂が0.01〜25重量部、好ましくは0.02〜10重量部、バインダーが5〜300重量部、好ましくは10〜250重量部である。
<バインダー>
本発明におけるバインダーとは、炭素系触媒材料などの粒子を結着させるために使用されるものであり、それら粒子を溶媒中へ分散させる効果は小さいものである。
バインダーとしては、従来公知のものを使用することができ、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、カルボキシメチルセルロース等のセルロース樹脂、スチレン−ブタジエンゴムやフッ素ゴム等の合成ゴム、ポリアニリンやポリアセチレン等の導電性樹脂等、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、及びテトラフルオロエチレン等のフッ素原子を含む高分子化合物が挙げられる。又、これらの樹脂の変性物、混合物、又は共重合体でも良く、水溶性の樹脂であっても、水分散型の樹脂であっても良い。これらバインダーは、1種または複数を組み合わせて使用することも出来る。
燃料電池用触媒層のバインダーとしては、膜中にプロトンを伝導する観点からプロトン伝導性を有するポリマーがより好ましいが、金属−空気電池や微生物燃料電池でもみられるように、液体電解質が使用される場合はこの限りではない。
燃料電池用撥水層のバインダーとしては、正極側の触媒層において酸素と水素イオンが反応して生じる水、この余剰水の排水という観点から、撥水性材料がより好ましい。
<プロトン伝導性ポリマー>
プロトン伝導性ポリマーとしては、親水性官能基を有するバインダーを指し、プロトン伝導度として100%RH、25℃で10-3Scm-1以上を示すものが好ましい。
ここで、親水性官能基としては、スルホ基、カルボキシル基、りん酸基等の酸性官能基、水酸基、アミノ基等の塩基性官能基が挙げられるが、プロトン解離性の観点から、スルホ基、カルボキシル基、りん酸基、及び水酸基がより好ましい。
プロトン伝導性を示すポリマーとしては、スルホン酸基を導入した、オレフィン系樹脂(ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸等)、ポリイミド系樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリベンズイミダゾール系樹脂、及びポリスチレン系樹脂、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体のスルホン酸ドープ品、パーフルオロスルホン酸系樹脂等のスルホン酸を有する樹脂;
ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース等のカルボン酸を有する樹脂;
ポリビニルアルコール等の水酸基を有する樹脂;
ポリアリルアミン、ポリジアリルアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウム塩、イミダゾール部分で酸と塩形成したポリベンズイミダゾール系樹脂等のアミノ基を有する樹脂;
ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール等の、その他の親水性官能基を有する樹脂が挙げられる。特に、パーフルオロスルホン酸系樹脂は、電気陰性度の高いフッ素原子を導入する事で化学的に非常に安定し、スルホ基の解離度が高く、高いプロトン導電性が実現できる。このようなプロトン伝導性ポリマーの具体例としては、デュポン社製の「Nafion」等が挙げられる。通常、プロトン伝導性ポリマーは、ポリマーを5〜30重量%程度含むアルコール水溶液として使用される。アルコールとしては、例えば、メタノール、プロパノール、エタノールジエチルエーテル等が使用される。
<撥水性材料>
撥水性材料としては、親水性官能基を含まないバインダーを指し、表面張力が水の表面張力(約72dyn/cm)より低いものが好ましい。例えば、フッ素系樹脂や、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂、ポリジメチルシロキサン等のシリコン樹脂が使用できるが、中でもフッ素系樹脂が好ましい。フッ素系樹脂としてはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などが挙げられる。
<燃料電池用触媒層>
燃料電池用触媒層は、前述の水性触媒インキ組成物を導電性支持体(カーボンペーパなど)に直接塗布及び乾燥することにより形成されてもよく、また触媒インキ組成物をテフロン(登録商標)シート等の剥離可能な転写基材に塗布乾燥後、固体高分子電解質膜に転写することにより形成されてもよい。
燃料電池用水性触媒インキ組成物の塗布方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スプレー、ディップコーター、スピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷等の一般的な方法を適用できる。
塗布した後、乾燥することにより、塗膜(燃料電池用触媒層)が形成される。乾燥温度は、通常40〜120℃程度、好ましくは75〜95℃程度である。また、乾燥時間は、乾燥温度にもよるが、通常5分〜2時間程度、好ましくは30分〜1時間程度である。塗布乾燥後の燃料電池用触媒層の厚みは、通常5μm〜80μm程度、好ましくは10μm〜70μm程度がよい。
上記の燃料電池用触媒層を固体高分子電解質膜に転写する場合の加圧レベルは、転写不良を避けるために、通常0.5MPa〜30MPa程度、好ましくは1MPa〜20MPa程度がよい。また、この加圧操作の際に、加圧面を加熱することがより好ましい。加熱温度は、固体高分子電解質膜の破損、変性等を避けるために、通常200℃以下、好ましくは120〜150℃程度がよい。
<燃料電池用触媒材料>
本発明における、正極側の燃料電池用触媒層の触媒材料は、前述のとおり、非白金系の炭素系触媒材料を使用する。一方で、負極側の燃料電池用触媒層に用いられる触媒材料としては、公知もしくは市販のものを使用することができる。
固体高分子形燃料電池用の触媒材料としては、触媒粒子が、触媒担持体上に担持してなるものが挙げられる。
触媒粒子としては、水素の酸化を促進するものであれば特に限定されないが、例えば、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム又はこれらの合金が挙げられる。
触媒担持体としては、例えば、炭素粒子、酸化物粒子、窒化物粒子が挙げられる。
炭素粒子としては、上述の炭素系触媒材料の主構成成分に使用される炭素材料の説明で例示したものと同様のものが挙げられる。
酸化物粒子としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカ、アルミナ等が挙
げられる。
窒化物粒子としては、例えば、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ニオブ、窒化タンタル、窒化クロム、窒化バナジウム等が挙げられる。
触媒粒子の触媒担持体上への担持率は特に限定されない。触媒粒子として白金、触媒担持体として炭素粒子を用いた場合は、触媒粒子100重量%に対して、通常1〜70重量%程度までの担持が可能である。
市販の燃料電池用触媒材料としては、例えば、
TEC10E50E、TEC10E70TPM、TEC10V30E、TEC10V50E等の白金担持炭素粒子;
TEC66E50、TEC62E58等の白金−ルテニウム合金担持炭素粒子;
をいずれも田中貴金属工業社より購入することができるが、これらに限定されるものではない。
<燃料電池用電極膜接合体>
本発明における燃料電池用電極膜接合体とは、プロトン伝導性の固体高分子電解質膜の片面もしくは両面に、燃料電池用触媒層が密着して形成され、さらに、その片面もしくは両面に、カーボンペーパ等の導電性支持体が密着して具備したものを意味する。
燃料電池用電極膜接合体の製造方法としては、固体高分子電解質膜の片面もしくは両面に、転写基材上に予め形成された燃料電池用触媒層を転写後、導電性支持体を熱圧着することで燃料電池用電極膜接合体を作製する方法が挙げられる。また、固体高分子電解質膜の片面もしくは両面に、導電性支持体上に予め形成された燃料電池用触媒層を、熱圧着することで燃料電池用電極膜接合体を作製してもよい。
上述の燃料電池用電極膜接合体において、導電性支持体と燃料電池用触媒層及び固体高分子電解質膜間を熱圧着する場合の、加圧レベルは、通常0.1MPa〜50MPa程度、好ましくは1MPa〜30MPa程度がよい。また、加熱温度としては、固体高分子電解質膜の破損、変性等を避けるために、通常200℃以下、好ましくは120〜150℃程度がよい。
<燃料電池用撥水層>
燃料電池用撥水層は、導電性支持体上に形成された微多孔質の層である。この層は、燃料電池の構成上、導電性支持体と触媒層の間に位置するため、触媒層の一部として取り扱われたり、あるいは撥水層やMPL(micro porous layer、マイクロポーラスレイヤー)とも呼ばれ、触媒層へのガス供給の均一化や、導電性の向上に加え、正極側で発電時に発生する水の排水性を向上させる等の役割を持つ。撥水層あるいはMPLは、例えば、炭素材料もしくは炭素系触媒材料と、撥水性材料を含むインキ組成物をカーボンペーパ基材上に塗工後、300℃程度で焼成することにより形成でき、本発明の水性触媒ペースト組成物も好適に使用することができる。
<固体高分子電解質膜>
固体高分子電解質膜としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系のフッ素イオン交換樹脂等が挙げられる。電気陰性度の高いフッ素原子を導入する事で化学的に非常に安定し、スルホ基の解離度が高く、高いイオン導電性が実現できる。具体例としてはデュポン社製の「Nafion」、旭硝子社製の「Flemion」、旭化成社製の「Aciplex」、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」等が挙げられる。電解質膜の膜厚は、通常20μm〜250μm程度、好ましくは10μm〜80μm程度である。
<導電性支持体>
導電性支持体は、負極又は正極を構成する各種の導電性支持体を使用できるが、固体高分子形燃料電池に代表される多くの燃料電池では、正極側では空気中の酸素を取り入れ、負極側では水素を取り込めるように気体が通過および拡散できるような多孔質または繊維状の支持体であることが好ましい。更に電子の出し入れが必要なため導電性を有する材料を用いらなければならない。好ましくは炭素素材からなるカーボンペーパや、カーボンフェルト、カーボンクロスなどがよい。具体例としては東レ社製の「TGP−H−090」等が挙げられる。これら導電性支持体は、燃料電池ではガス拡散層あるいはGDLとも呼ばれる。
<燃料電池用触媒電極>
本発明における燃料電池用触媒電極は、前述の燃料電池用触媒層もしくは燃料電池用撥水層のうち少なくとも一方の層が導電性支持体上に形成されたものや、導電性支持体上に形成された燃料電池用撥水層上に、さらに燃料電池用触媒層が形成されたものを意味し、前述の水性触媒インキ組成物を導電性支持体に直接塗布及び乾燥することにより形成することができる。
<転写基材>
転写基材は水性触媒インキ組成物を塗布することで燃料電池用触媒層を形成し、転写基材上にある触媒層をナフィオンなどの固体高分子電解質膜に転写するためのフィルム基材である。転写基材としては、安価で入手が容易な高分子フィルムが好ましく、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート等がより好ましい。具体例としてはテフロン(登録商標)シート等が挙げられる。転写基材の厚さは、取り扱い性及び経済性の観点から、通常6μm〜100μm程度、好ましくは10μm〜50μm程度、より好ましくは15μm〜30μm程度とするのがよい。
<燃料電池>
燃料電池は使用する電解質により、いくつかのタイプに分類することができるが、本発明の燃料電池には、固体高分子形燃料電池、微生物燃料電池、金属‐空気電池が好ましい。
<固体高分子形燃料電池>
固体高分子形燃料電池は、固体高分子電解質4を挟むように、対向配置されたセパレータ1、ガス拡散層2、負極触媒層(燃料極)3、正極触媒層(空気極)5、ガス拡散層6、及びセパレータ7とから構成される。
上記セパレータ1、7は、燃料ガス(水素)や酸化剤ガス(酸素)等の反応ガスの供給、排出を行う。そして、負極及び正極触媒層3、5に、ガス拡散層2、6を通じてそれぞれ均一に反応ガスが供給されると、両電極に備えられた触媒と固体高分子電解質4との境界において、気相(反応ガス)、液相(固体高分子電解質膜)、固相(両電極が持つ触媒)の三相界面が形成される。そして、電気化学反応を生じさせることで直流電流が発生する。
上記電気化学反応において、
正極側:O2+4H++4e-→2H2
負極側:H2→2H++2e-
の反応が起こり、負極側で生成されたH+イオン(プロトン)は固体高分子電解質4中を正極側に向かって移動し、e-(電子)は外部の負荷を通って正極側に移動する。
一方、正極側では酸化剤ガス中に含まれる酸素と、負極側から移動してきたH+イオン及びe-とが反応して水が生成される。この結果、上述の燃料電池は、水素と酸素とから直流電力を発生し、水を生成することになる。
<微生物燃料電池>
微生物燃料電池は、微生物が有機物を嫌気分解する代謝活動から生成される電子を回収しつつ有機物の分解を促進させる電池である。負極には、電子供与微生物が保持されており、有機排水中などに含まれる有機物を利用して代謝を行い、e-(電子)およびH+イオン(プロトン)を発生させる。正極側では発生したe-(電子)およびH+イオン(プロトン)を利用した酸素還元反応により発電することができる。
微生物燃料電池の構成としては、電子供与微生物が保持された負極となる導電性支持体と、燃料電池用触媒材料を塗布した正極となる導電性支持体を、有機排水等を含む液槽に差し込んだ一槽型構成や、固体高分子形燃料電池のように、固体高分子膜を利用して、負極槽と正極槽を隔てた二槽型構成でもよい。
正極としては、本発明における燃料電池用水性触媒ペースト組成物やインキ組成物を導電性支持体に塗布した燃料電池用触媒電極、燃料電池用電極膜接合体も好適に使用することができる。
<微生物燃料電池用電子供与微生物>
微生物燃料電池用の電子供与微生物としては、Shewanella属、Pseudomonas属、Rhodoferax属、Geobacter属等を用いることができる。
<金属‐空気電池>
金属‐空気電池は、負極活物質として金属を使用し、発生したe-(電子)および金属イオンにより、正極側の酸素還元反応を利用して発電することができ、充放電させることで2次電池としても機能する。
金属‐空気電池の構成としては、負極活物質としての金属を有する負極と、燃料電池用触媒材料等を塗布した正極となる導電性支持体、前記正極と負極の間で金属イオンの伝導を担う電解質層、及びセパレータよりなる。
正極としては、本発明における燃料電池用水性触媒ペースト組成物やインキ組成物を導電性支持体に塗布した燃料電池用触媒電極、燃料電池用電極膜接合体も好適に使用することができる。
<金属‐空気電池用負極>
金属‐空気電池用負極は、負極活物質を有する負極槽と接触するように電解質層が配置されている。負極活物質は、通常、伝導するイオンとなる金属元素を有している。上記金属元素としては、例えば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、クロム(Cr)及びバナジウム(V)などを挙げることができる。中でも、エネルギー密度が高い電池を得ることができるため、Liであることが好ましい。また、金属単体だけでなく、合金や金属酸化物、金属窒化物なども挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、金属-空気電池に適用される従来公知のものを適用することができる。
<電解質層>
電解質層は、上記の金属-空気電池の正極と負極の間で金属イオンの伝導を行うものである。金属イオンの種類は、上述した負極活物質の種類によって異なり、その形態も金属イオン伝導性が有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、水溶液や非水溶液を適用することもできるし、それらをポリマーマトリクスで保持したゲル状高分子電解質や、ポリマー電解質及び無機固体電解質を使用してもよい。また、固体電解質やセパレータを使用して、正極側、負極側で異なる電解液を使用してもよい。
リチウムイオンの伝導を考えた場合、電解液としては、リチウムを含んだ電解質を水または非水系の溶剤に溶解したものを用いる。
電解質としては、LiBF4、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiCF3SO3、Li(CF3SO22N、LiC49SO3、Li(CF3SO23C、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF2、LiSCN、又はLiBPh4等が挙げられるがこれらに限定されない。
非水系の溶剤としては特に限定はされないが、例えば、
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネート等のカーボネート類;
γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、及びγ−オクタノイックラクトン等のラクトン類;
テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,2−メトキシエタン、1,2−エトキシエタン、及び
1,2−ジブトキシエタン等のグライム類;
メチルフォルメート、メチルアセテート、及びメチルプロピオネート等のエステル類;
ジメチルスルホキシド、及びスルホラン等のスルホキシド類;並びに、
アセトニトリル等のニトリル類等が挙げられる。又これらの溶剤は、それぞれ単独で使用しても良いが、2種以上を混合して使用しても良い。
さらに上記電解液を、ポリマーマトリクスに保持しゲル状とした高分子電解質とする場合、ポリマーマトリクスとしては、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するアクリレート系樹脂、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリホスファゼン系樹脂、及びポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリシロキサン等が挙げられるがこれらに限定されない。
<セパレータ>
セパレータとしては、例えば、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリアミド不織布及びそれらに親水性処理を施したものが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
以下に、燃料電池の性能を評価する方法の一例を示す。燃料電池用電極膜接合体を5cm角の試料とし、その両側からガス漏えい防止のため、ガスケットを2枚、次いでセパレータとしてグラファイトプレート2枚ではさみ、更に両側から集電板を2枚装着して単セルとして作製する。正極(空気極)側から加湿した酸素ガスを供給し、負極(燃料極)側から加湿した水素ガスを供給して電池特性を測定する。
なお、本発明における水性触媒ペースト組成物、水性触媒インキ組成物、触媒層、撥水層、触媒電極の用途は、上述の燃料電池に限定するものではなく、排ガス浄化、水処理浄化等にも用いることが可能である。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中、特に断りの無い限り、「部」とは「重量部」、「%」とは「重量%」を意味する。
(合成例1)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、n−ブタノール200.0部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱して、スチレン140.0部、アクリル酸60.0部、および重合開始剤としてV−601(和光純薬製)12.0部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させた後、V−601(和光純薬製)0.6部を添加し、さらに110℃で1時間反応を続けて、共重合体(1)溶液を得た。また、共重合体(1)の酸価は219.1(mgKOH/g)であった。
さらに、室温まで冷却した後、ジメチルアミノエタノール74.2部添加し中和した。これは、共重合体中のカルボキシル基を100%中和する量である。さらに、水を400部添加して水性化した後、100℃まで加熱し、ブタノールを水と共沸させてブタノールを留去した。
水で希釈し、不揮発分20%の水性樹脂型分散剤(1)の水溶液を得た。また、不揮発分20%の水性樹脂型分散剤(1)の水溶液の粘度は、40mPa・sであった。
(合成例2〜15)
表1に示す配合組成、中和剤、中和率に変更した以外は、合成例1と同様の方法で合成、中和を行い、合成例2〜15の水性樹脂型分散剤の水溶液を得た。
Figure 2015028932
St:スチレン
BA:ブチルアクリレート
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
2−SEMA:2−スルホエチルメタクリレート
HEMA:ヒドロキシルエチルメタクリレート
DM:ジメチルアミノエチルメタクリレート
DMAE:ジメチルアミノエタノール
NaOH:水酸化ナトリウム
<炭素系触媒材料の合成>
炭素系触媒材料の分析は、以下の測定機器を使用した。
・窒素元素の検出;CHN元素分析(パーキンエルマー社製 2400型CHN元素分析装置)
・卑金属元素の検出;ICP発光分光分析(SPECTRO社製 SPECTRO
ARCOS FHS12)
・粒子形状の観察;SEM走査型電子顕微鏡(日立製作所社製 SEM S−4300)
・平均粒子径の測定;粒度分布計(Malvern Instruments社製 マスターサイザー2000)にて求めたD50の値である。具体的な測定方法は、炭素系触媒材料の粉末を測定セル内へ投入し、信号レベルが最適値を示したところで測定した。
・BET比表面積の測定;ガス吸着量測定(日本ベル社製 BELSORP−mini)
・タップ密度の測定;(ホソカワミクロン社製 USPタップ密度測定装置)
[製造例1:炭素系触媒材料(X1)]
コバルトフタロシアニン(東京化成社製)とケッチェンブラック(ライオン社製EC−600JD)を、重量比1:1で秤量し、乳鉢にて乾式混合を行い前駆体とした。上記前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間熱処理を行い、得られた炭化物を乳鉢にて粉砕し炭素系触媒材料(X1)を得た。
炭素系触媒材料(X1)は、CHN元素分析より、モル比N(窒素)/C(炭素)は0.06であり、ICP発光分光分析とCHN元素分析より、モル比Co(コバルト)/C(炭素)は0.012であり、BET比表面積は398m2/g、タップ密度は0.08g/cm3であった。
[製造例2:炭素系触媒材料(X2)]
鉄フタロシアニン(山陽色素社製)とケッチェンブラック(ライオン社製EC−600JD)を、重量比1:1で秤量し、乳鉢にて乾式混合を行い前駆体とした。上記前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、700℃で2時間熱処理を行い、得られた炭化物を乳鉢にて粉砕し炭素系触媒材料(X2)を得た。
炭素系触媒材料(X2)は、CHN元素分析より、モル比N(窒素)/C(炭素)は0.13であり、ICP発光分光分析とCHN元素分析より、モル比Fe(鉄)/C(炭素)は0.013であり、BET比表面積は295m2/g、タップ密度は0.08g/cm3であった。
[製造例3:炭素系触媒材料(X3)]
フェノール樹脂(群栄化学社製PSM−4326)と鉄フタロシアニン(山陽色素社製)を重量比3.3/1で秤量し、アセトン中で湿式混合した。上記混合物を減圧留去した後、乳鉢で粉砕し、前駆体とした。上記前駆体粉末をアルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、600℃で2時間熱処理を行い、炭素焼結体(1)を得た。上記炭素焼結体(1)を濃塩酸中でリスラリーし、静置させ、炭素燒結体沈殿後、上澄み液を除去した。上記操作を上澄みの着色がなくなるまで、繰り返し行い、ろ過、水洗、乾燥した後、乳鉢で粉砕し、アルミナ製るつぼに充填、電気炉にてアンモニア雰囲気下、800℃で1時間熱処理し、炭素焼結体(2)を得た。上記炭素焼結体(2)を濃塩酸中でリスラリーし、静置させ、炭素焼結体沈殿後、上澄み液を除去した。上記操作を上澄みの着色がなくなるまで、繰り返し行った後、ろ過、水洗、乾燥し、乳鉢で粉砕し、炭素系触媒材料(X3)を得た。
炭素系触媒材料(X3)は、CHN元素分析より、モル比N(窒素)/C(炭素)は0.02であり、ICP発光分光分析とCHN元素分析より、モル比Fe(鉄)/C(炭素)は0.002であり、BET比表面積は440m2/g、タップ密度は0.13g/cm3であった。
[製造例4:炭素系触媒材料(X4)]
ポリビニルピリジン(PVP アルドリッチ社製)をジメチルホルムアミドに溶解させ、PVPに対して重量比2/1の塩化鉄六水和物を加え、室温で24時間攪拌し、ポリビニルピリジン鉄錯体を得た。上記ポリビニルピリジンとケッチェンブラック(ライオン社製EC−600JD)を、重量比1:1で秤量し、乳鉢にて乾式混合を行い前駆体とした。上記前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間熱処理を行い、得られた炭化物を乳鉢にて粉砕し炭素系触媒材料(X4)を得た。
炭素系触媒材料(X4)は、CHN元素分析より、モル比N(窒素)/C(炭素)は0.25であり、ICP発光分光分析とCHN元素分析より、モル比Fe(鉄)/C(炭素)は0.01であり、BET比表面積は200m2/g、タップ密度は0.08g/cm3であった。
<触媒ペースト組成物の調製>
[実施例1−a]
炭素系触媒材料(X1)を9重量部、水性液状媒体として水58.75重量部、合成例(1)に記載の水性樹脂型分散剤(1)の水溶液を2.25重量部(炭素系触媒材料を100重量部に対して樹脂固形分で5重量部)を配合し、ディスパー(プライミクス社製、T.Kホモディスパー)にて攪拌混合し、本発明の触媒ペースト組成物(1)(固形分濃度12.9重量%)を調製した。
[実施例2−a〜実施例25−a、比較例1−a〜7−a]
炭素系触媒材料、水性液状媒体、および分散剤の種類と組成を、表2の様に変更した以外は、実施例1−aと同様にして触媒ペースト組成物(2)〜(32)を調製した。
<触媒ペースト組成物の評価>
触媒ペースト組成物は、粘度と分散粒径によって分散性を評価した。
粘度は、E型粘度計(東機産業社製、「RE80型粘度計」)を使用し、6rpmの回転速度で、温度25℃において測定した。
粒径は、動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)を用いて体積粒度分布を測定し、粒径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していったときに50%となるところの平均粒径(D50)とした。
表2に触媒ペースト組成物の分散性評価の結果を示す。粘度が低く、粒径が小さいものほど、分散性が優れていることを示す。
Figure 2015028932
CMC:カルボキシメチルセルロース 酸価:255〜500mgKOH/g
HEC:ヒドロキシエチルセルロース
2−PrOH:2−プロパノール
BuOH:ブタノール
PGM:プロピレングリコールモノメチルエーテル
表2において、水/2−PrOH=1/1とは、水と2−プロパノールを重量比で同量混合した、混合溶剤を表す。水/BuOH=1/1、水/PGM=1/1に関しても同様である。
[実施例1−b 触媒インキ組成物の調製]
触媒ペースト組成物(1)70重量部に、バインダーとして20重量%ナフィオン(Nafion(登録商標))分散溶液(デュポン社製、CStypeDE2020)30重量部を添加し、ディスパー(プライミクス社製、T.Kホモディスパー)にて攪拌混合することで触媒インキ組成物(1)(固形分濃度15重量%、触媒インキ組成物100重量%としたときの炭素系触媒材料とプロトン伝導性ポリマーの合計した割合)を調製した。
[実施例2−b〜実施例25−b、比較例1−b〜比較例7−b]
触媒ペースト組成物(1)の代わりに、触媒ペースト組成物(2)〜(32)に変更した以外は、実施例1―bと同様にして、触媒インキ組成物(2)〜(32)を調製した。
<触媒インキ組成物の評価>
触媒インキ組成物は、下記に示す保存安定性評価によって評価した。
(保存安定性評価)
触媒インキ組成物の保存安定性は、調製直後の粘度(初期粘度)と、50℃、10日保存後の粘度(経時粘度)をそれぞれ測定し、それらの粘度変化率(経時粘度/初期粘度)によって評価した。粘度は、いずれもE型粘度計(東機産業社製、「RE80型粘度計」)を使用し、6rpmの回転速度で、温度25℃において測定した。
粘度変化率が小さいもの程、保存安定性が優れていることを示す。評価結果を表3に示す。
Figure 2015028932
<正極用燃料電池用触媒層の作製>
[実施例1−c 正極用燃料電池用触媒層(1)の作製]
触媒インキ組成物(1)を、ドクターブレードにより、乾燥後の炭素系触媒材料の目付け量が2mg/cm2になるようにテフロン(登録商標)フィルム上に塗布し、大気雰囲気下、95℃で60分間乾燥することにより、本発明の正極用燃料電池用触媒層(1)を作製した。
[実施例2−c〜実施例25−c、比較例1−c〜比較例7−c]
触媒インキ組成物(1)の代わりに、触媒インキ組成物(2)〜(32)に変更した以外は、実施例1−cと同様にして、それぞれ、正極用燃料電池用触媒層(2)〜(25)及び(27)〜(33)を作製した。
[実施例26−c]
触媒インキ組成物(5)を、ドクターブレードにより、乾燥後の炭素系触媒材料の目付け量が4mg/cm2になるようにテフロン(登録商標)フィルム上に塗布し、大気雰囲気下、95℃で60分間乾燥することにより、本発明の正極用燃料電池用触媒層(26)を作製した。
[比較例8−c]
触媒インキ組成物(5)の代わりに、触媒インキ組成物(30)に変更した以外は、実施例26−cと同様にして、正極用燃料電池用触媒層(34)の作製を試みたが、塗工ムラ、ピンホールが多数発生し、続く燃料電池(単セル)発電試験を実施できなかった。
<正極用燃料電池用触媒層の評価>
正極用燃料電池用触媒層は、下記に示す塗工性評価及び燃料電池(単セル)発電試験によって評価した。
(塗工性評価)
テフロン(登録商標)フィルム上に形成された正極用燃料電池用触媒層を、ビデオマイクロスコープVHX−900(キーエンス社製)にて500倍で観察し、塗工ムラ(ムラ:触媒層の濃淡により評価)およびピンホール(触媒層が塗布されていない欠陥の有無により評価)について、下記の基準で判定した。結果を表4に示す。
(ムラ)
○:触媒層の濃淡が確認されない(良好)。
△:触媒層の濃淡が2〜3箇所あるが極めて微小領域である(実用上問題ない)。
×:触媒層の濃淡が多数確認される、または濃淡の縞の長さが5mm以上のもの1個以上(不良)。
(ピンホ−ル)
○:ピンホールが1つも確認されない(良好)。
△:ピンホールが2〜3個あるが極めて微小である(不良)。
×:ピンホールが多数確認される、または直径1mm以上のピンホールが1個以上(極めて不良)。
(燃料電池(単セル)の作製)
正極用燃料電池用触媒層と、負極用燃料電池用電極(ケミックス社製;東レ社製カーボンペーパ基材TGP−H−090へ、Pt/Ru触媒を目付け量が0.5mg/cm2となるように塗布後、乾燥した電極)とを、それぞれ固体高分子電解質膜(Nafion NR−212、デュポン社製、膜厚51μm)の両面に密着して、150℃、5MPaの条件で狭持した後、正極用燃料電池触媒層のテフロン(登録商標)フィルムを剥離し、その表面にカーボンペーパ基材(TGP−H−090、東レ社製)を密着することで、燃料電池用電極膜接合体を作製した。
得られた燃料電池用電極膜接合体を2.5cm角の試料とし、その両側からガスケット2枚、次いでセパレータであるグラファイトプレート2枚ではさみ、更に両側から集電板を2枚装着して燃料電池(単セル)として作製した。
(燃料電池(単セル)発電試験)
得られた燃料電池(単セル)を用いて、セル温度を80℃とし、正極側から温度80℃、相対湿度100%で加湿した空気を流量300mL/minで供給し、負極側からも同様に、温度80℃、相対湿度100%で加湿した水素ガスを流量300mL/min供給し、発電特性を測定した。結果を表4に示す。
Figure 2015028932
<燃料電池用触媒層電極の作製>
以下では、導電性支持体に本発明の触媒インキ組成物を直接塗工して燃料電池用触媒電極を作製する方法について例示する。
[実施例27]
触媒インキ組成物(5)を、ドクターブレードにより、乾燥後の炭素系触媒材料の目付け量が4mg/cm2になるように導電性支持体として炭素繊維からなるカーボンペーパ基材(TGP−H−090、東レ社製)上に塗布し、大気雰囲気中95℃、60分間乾燥して、正極用燃料電池用触媒電極(1)を作製した。塗工ムラなく、またカーボンペーパからの液だれもなく良好な触媒電極を形成できた。
(燃料電池(単セル)の作製)
正極用燃料電池用触媒電極(1)(カーボンペーパ上に触媒インキ組成物が固着)と負極用燃料電池用電極(ケミックス社製;東レ社製カーボンペーパ基材TGP−H−090へ、Pt/Ru触媒を目付け量が0.5mg/cm2となるように塗布後、乾燥した電極)を用いて、固体高分子電解質膜(Nafion212、デュポン社製、膜厚51μm)と接触するようにして150℃、5MPaの条件で狭持することで、燃料電池用電極膜接合体を作製した。
得られた燃料電池用電極膜接合体を2.5cm角の試料とし、その両側からガスケット2枚、次いでセパレータであるグラファイトプレート2枚ではさみ、更に両側から集電板を2枚装着して燃料電池(単セル)として作製した。
(燃料電池(単セル)発電試験)
実施例1−cと同様の方法にて発電特性を測定したところ、最大出力密度0.23W/cm2、開放電圧0.85V、短絡電流密度1600mA/cm2であった。
<導電撥水層が形成された燃料電池(単セル)>
以下では、導電性支持体上に撥水性材料を含む触媒インキ組成物を直接塗工して導電撥水層を形成し、燃料電池(単セル)を作製する方法について例示する。
[実施例28−b 撥水性材料を含む触媒インキ組成物の調製]
触媒ペースト組成物(1)70重量部に、撥水性材料として20重量%PTFE分散溶液(PTFE 30−J;三井・デュポンフロロケミカル社製、60%ポリテトラフルオロエチレン水系分散体をイオン交換水にて希釈して使用)30重量部を添加し、ディスパー(プライミクス社製、T.Kホモディスパー)にて攪拌混合することで撥水性材料を含む触媒インキ組成物(33)(固形分濃度15重量%、触媒インキ組成物100重量%としたときの炭素系触媒材料と撥水性材料の合計した割合)を調製した。粘度は28mPa・sであった。また、10日経過後の粘度は29mPa・sであった。
[実施例28−c 正極用燃料電池用触媒電極(2)の作製]
触媒インキ組成物(33)を、ドクターブレードにより、乾燥後の炭素系触媒材料の目付け量が2mg/cm2になるように導電性支持体として炭素繊維からなるカーボンペーパ基材(TGP−H−090、東レ社製)上に塗布し、大気雰囲気中300℃、60分間焼成して、カーボンペーパ基材上に正極用燃料電池用撥水層が形成された、燃料電池用触媒電極(2)を作製した。塗工ムラなく良好な正極用燃料電池用撥水層を具備する触媒電極を形成できた。
(燃料電池(単セル)の作製)
実施例1−cで作製した正極用燃料電池用触媒層(1)と、負極用燃料電池用電極(ケミックス社製;東レ社製カーボンペーパ基材TGP−H−090へ、Pt/Ru触媒を目付け量が0.5mg/cm2となるように塗布後、乾燥した電極)とを、それぞれ固体高分子電解質膜(Nafion212、デュポン社製、膜厚51μm)の両面に密着して、150℃、5MPaの条件で狭持した後、正極用燃料電池触媒層のテフロン(登録商標)フィルムを剥離した。次いで、その表面に燃料電池用触媒電極(2)を密着させることで、燃料電池用電極膜接合体を作製した。
(燃料電池(単セル)発電試験)
実施例1−cと同様の方法にて発電特性を測定したところ、最大出力密度0.21W/cm2、開放電圧0.83V、短絡電流密度1500mA/cm2であった。
<微生物燃料電池>
以下では、本発明の触媒インキ組成物より作製した触媒電極を用いて、微生物燃料電池を作製する方法ついて例示する。
[実施例29 微生物燃料電池用電解槽の調製]
30mLの容量を持つ電解槽内で、電子供与微生物として、Shewanella oneidenis MR−1(単一培養、105cells/mL)と水田土壌の混合液を30℃で3日間嫌気的に培養した後、電解質溶液としてK2HPO4/KH2PO4(pH7.0)の緩衝溶液を使用し、栄養基質としてグルコースを含む生活廃水を2.0gCOD/L/日(COD;化学的酸素要求量)を連続的に流入させた。負極の導電性支持体として、カーボンクロスを、正極としては燃料電池用触媒電極(1)をそれぞれ電解槽へ挿入した。
(微生物燃料電池の発電試験)
ポテンショ・ガルバノスタット(VersaSTAT3、Princeton Applied Research社製)を用いて電流−電圧測定を行い、評価したところ、約0.15W/m2であった。
<金属‐空気電池>
以下では、本発明の触媒インキ組成物より作製した触媒電極を用いて、金属‐空気電池を作製する方法ついて例示する。
[実施例30 空気電池用評価セルの作製]
Li箔上へ、非水系電解液(1M LiPF6、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=1/1、体積比)を含ませたセパレータ(多孔質ポリプロピレンフィルム)、固体電解質(オハラ社製、LiCGC Plate 1inch×150μmt)を配置し、アルミラミネートフィルムにて固定した。この際、固体電解質側のアルミラミネートフィルムを16mm角の大きさに切り抜き、固体電解質の露出面を作製し、空気電池用負極電極を作製した。
空気電池用負極電極の固体電解質上に、水性電解液として、1MのLiCl水溶液を含浸した不織布を、次いで、燃料電池用触媒電極(1)を配置し、アルミラミネートフィルムにより固定、熱圧着することで、空気電池用評価セルを得た。
(空気電池の特性評価:容量維持率)
得られた空気電池評価セルを用いて、2.0V―4.8Vのカット電圧、0.5mA/cm2の電流密度の条件で、3サイクルの慣らし運転を行った。その後、同条件にて、30サイクルの充放電テストを行うことで、容量保持率を求めたところ、容量維持率94.5%であった。
以上より、本発明の燃料電池用触媒層もしくは撥水層およびそれらを具有する燃料電池用触媒電極ならびに電極膜接合体を用いた燃料電池は、燃料電池の最大出力密度が優れていることがわかった。加えて、微生物燃料電池や金属-空気電池にも好適に適用できることがわかった。また、水性触媒ペースト組成物の分散性が良好なほど、水性触媒インキ組成物の保存安定性が良好で、さらには、燃料電池用触媒層もしくは撥水層の塗工性だけでなく、燃料電池の発電特性も良好であることがわかった。
本発明の燃料電池用触媒ペースト組成物や燃料電池用触媒インキ組成物を用いて作製される燃料電池用触媒層及び触媒電極は、酸素ガスなどの気体との接触が起こりやすくなることが考えられ、その結果、開放電圧や短絡電流密度が向上し、最大出力密度も向上しているものと考えられる。
図1は、燃料電池の構造の模式図である。
1 セパレータ
2 ガス拡散層
3 負極電極触媒(燃料極)
4 固体高分子電解質
5 正極電極触媒(空気極)
6 ガス拡散層
7 セパレータ

Claims (10)

  1. 非白金系炭素系触媒材料と、水性樹脂型分散剤(A)と、水性液状媒体とを含有する燃料電池用水性触媒ペースト組成物であって、
    水性樹脂型分散剤(A)が、酸性官能基を有し、酸価が50〜720mgKOH/gである燃料電池用水性触媒ペースト組成物。
  2. 水性樹脂型分散剤(A)が下記単量体を共重合して得られる共重合体である、請求項1に記載の燃料電池用水性触媒ペースト組成物。
    芳香環または脂肪族骨格の少なくとも一方を有するエチレン性不飽和単量体(a1):10〜90重量%
    酸性官能基を有するエチレン性不飽和単量体(a2):10〜90重量%
    前記(a1)および(a2)以外のエチレン性不飽和単量体(a3):0〜80重量%
    (但し、前記(a1)、(a2)および(a3)の合計を100重量%とする。)
  3. 水性樹脂型分散剤(A)の酸性官能基の少なくとも一部が、塩基性化合物で中和されてなる請求項1または2記載の燃料電池用水性触媒ペースト組成物。
  4. 請求項1〜3記載の燃料電池用水性触媒ペースト組成物と、バインダーを含んでなる燃料電池用水性触媒インキ組成物。
  5. バインダーが、プロトン伝導性ポリマーまたは撥水性材料のうち少なくとも一方である請求項4記載の燃料電池用水性触媒インキ組成物。
  6. 請求項4または5いずれか記載の燃料電池用水性触媒インキ組成物から形成されてなる燃料電池用触媒層。
  7. 請求項4または5いずれか記載の燃料電池用水性触媒インキ組成物から形成されてなる燃料電池用撥水層。
  8. 請求項6記載の燃料電池用触媒層または請求項7記載の燃料電池用撥水層のうち少なくとも一方と、導電性支持体とを具備してなる燃料電池用触媒電極。
  9. 固体高分子電解質膜と、請求項8記載の燃料電池用触媒電極を具備してなる燃料電池用電極膜接合体。
  10. 請求項8記載の燃料電池用触媒電極または請求項9記載の燃料電池用電極膜接合体のうち少なくとも一方を具備してなる燃料電池。
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