JP5916528B2 - インク、該インクを用いて形成される電極触媒層およびその用途 - Google Patents
インク、該インクを用いて形成される電極触媒層およびその用途 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5916528B2 JP5916528B2 JP2012137617A JP2012137617A JP5916528B2 JP 5916528 B2 JP5916528 B2 JP 5916528B2 JP 2012137617 A JP2012137617 A JP 2012137617A JP 2012137617 A JP2012137617 A JP 2012137617A JP 5916528 B2 JP5916528 B2 JP 5916528B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electrode catalyst
- catalyst
- transition metal
- conductive material
- electrode
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/30—Hydrogen technology
- Y02E60/50—Fuel cells
Landscapes
- Catalysts (AREA)
- Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
- Inert Electrodes (AREA)
- Fuel Cell (AREA)
Description
また、特許文献3及び特許文献4に記載された触媒は、高い酸素還元触媒活性を示すが、燃料電池運転条件下での安定性が非常に低いことが問題点である。
特許文献5及び特許文献6に記載された触媒は、従来の貴金属代替触媒に比べてきわめて高性能であるが、その製造工程の一部において1600℃〜1800℃という高温下での加熱処理が必要であった(例えば特許文献5 実施例1または特許文献6 実施例1)。
しかしながら、特許文献7に記載されている製造方法では、カーボン含有チタンオキシナイトライドを製造するために、窒素含有有機化合物とチタン前駆体との反応によるチタンオキシナイトライドの製造とフェノール樹脂とチタンオキシナイトライド前駆体との反応によるカーボン含有チタンオキシナイトライド製造の二段階合成が必要であり、工程が複雑である。特に、チタンオキシナイトライド前駆体の製造は80℃での攪拌、過熱、および還流、ならびに冷却および減圧濃縮などの複雑な工程が必要であるため、製造コストが高い。
(1) 電極触媒、電子伝導性材料、プロトン伝導性材料および溶媒を含む、電極触媒層を形成するためのインクであって、
前記電極触媒が、遷移金属元素、炭素、窒素および酸素を構成元素として含み、前記各元素の原子数の比を、遷移金属元素:炭素:窒素:酸素=1:x:y:z(ただし、遷移金属元素の原子数は、遷移金属元素が複数種である場合、それらの合計の原子数。)とした場合に、0.5<x≦7、 0.01<y≦2、 0.1<z≦3であり、
前記電極触媒の含有量Aと前記電子伝導性材料の含有量Bとの質量比(A/B)が、1〜6であり、
前記電極触媒と前記電子伝導性材料との合計含有量Cと、プロトン伝導性材料の含有量Dとの質量比(D/C)が、0.1〜0.9であることを特徴とするインク。
(3) 前記遷移金属元素が、チタン、ジルコニウム、銅、およびニオブから選ばれる少なくとも1種および鉄からなる(1)または(2)に記載のインク。
(5) (4)に記載の電極触媒層とガス拡散層とを有する電極。
(7) (6)に記載の膜電極接合体を備えることを特徴とする燃料電池。
本発明のインクは、電極触媒層を形成するためのインクであって、電極触媒、電子伝導性材料、プロトン伝導性材料および溶媒を含む。
前記質量比が前記範囲内であるインクを用いて形成される電極触媒層は、高い触媒能を有する傾向がある。
以下、本発明に用いる電極触媒、電子伝導性材料、プロトン伝導性材料および溶媒について説明する。
本発明に用いる電極触媒は、遷移金属元素、炭素、窒素および酸素を構成元素として含む。
200m2/g以上、さらに好ましくは300m2/g以上である。
本発明に適用できる電極触媒の製造方法は、少なくとも遷移金属含有化合物、窒素含有有機化合物および溶媒を混合して溶液(本明細書において「触媒前駆体溶液」とも記す。)を得る工程1、前記触媒前駆体溶液から溶媒を除去する工程2、および工程2で得られた固形分残渣を500〜1100℃の温度で熱処理して電極触媒を得る工程3を含む。なお本明細書において、特段の事情がない限り、原子およびイオンを、厳密に区別することなく「原子」と記載する。
工程1では、少なくとも遷移金属含有化合物、窒素含有有機化合物および溶媒を混合して触媒前駆体溶液を得る。ここで、ホウ素、リンおよび硫黄からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、ならびにフッ素を含有する化合物をさらに混合するのが好ましい。具体例としては、フッ素を含有するホウ酸誘導体、フッ素を含有するリン酸誘導体、フッ素を含有するスルホン酸誘導体が挙げられる。
前記遷移金属含有化合物は、チタン、鉄、ジルコニウム、銅、およびニオブから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素を含有する化合物であることが好ましい。前記遷移金属含有化合物は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記遷移金属含有化合物の具体例としては、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラアセチルアセトナート、ニオブペンタエトキシド、ニオブペンタイソプロポキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、銅(II)メトキシド、銅(II)イソプロポキシドおよび、銅(II)アセチルアセトナートが挙げられる。
第2の遷移金属含有化合物の具体例としては、フェロセン、酢酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、クエン酸鉄(III)等の鉄化合物が挙げられる。
前記窒素含有有機化合物としては、前記遷移金属含有化合物中の金属原子に配位可能な配位子となり得る化合物(好ましくは、単核の錯体を形成し得る化合物)が好ましく、多座配位子(好ましくは、2座配位子または3座配位子)となり得る(キレートを形成し得る)化合物がさらに好ましい。
前記窒素含有有機化合物は、好ましくは、アミノ基、ニトリル基、イミド基、イミン基、ニトロ基、アミド基、アジド基、アジリジン基、アゾ基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、オキシム基、ジアゾ基、ニトロソ基などの官能基、またはピロール環、ポルフィリン環、イミダゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環などの環(これらの官能基および環をまとめて「含窒素分子団」ともいう。)を有する化合物であり、さらに好ましくは、アミノ基、イミン基、ピロール環およびピラジン環から選択される少なくとも一種の含窒素分子団を有する化合物であり、特に好ましくは、アミノ基およびピラジン環から選択される少なくとも一種の含窒素分子団を有する化合物である。これら化合物であれば、得られる触媒の活性が特に高くなる。
前記含窒素分子団および前記含酸素分子団を有する化合物としては、アミノ酸、ならびにその誘導体が好ましい。前記アミノ酸としては、タンパク質構成アミノ酸およびそれらの異性体が挙げられ、得られる触媒の活性が高いことから、アラニン、グリシン、リシン、メチオニン、チロシンが好ましく、得られる触媒が極めて高い活性を示すことから、アラニン、グリシンおよびリジンが特に好ましい。
前記電極触媒の製造に用いられる溶媒としては、例えば、水、酢酸およびアルコール類が挙げられる。アルコール類としては、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノールおよびエトキシエタノールが好ましく、エタノールおよびメタノールがさらに好ましい。溶解性を増すために、前記溶媒に酸が含まれることが好ましい。前記酸としては、酢酸、硝酸、塩酸、リン酸およびクエン酸が好ましく、酢酸および硝酸がさらに好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記遷移金属含有化合物が金属錯体であって、かつ前記溶媒として水を単独でまたは水と他の化合物とを用いる場合には、沈殿抑制剤を用いることが好ましい。この場合の沈殿抑制剤としては、ジケトン構造を有する化合物が好ましく、ジアセチル、アセチルアセトン、2,5−ヘキサンジオンおよびジメドンがより好ましく、アセチルアセトンおよび2,5−ヘキサンジオンがさらに好ましい。
工程2では、工程1で得られた前記触媒前駆体溶液から溶媒を除去する。
溶媒の除去は大気下で行ってもよく、不活性ガス(例えば、アルゴン、ヘリウム)雰囲気下で行ってもよい。
溶媒の除去の方法、あるいは前記遷移金属含有化合物または前記窒素含有有機化合物の性状によっては、工程2で得られた固形分残渣の組成または凝集状態が不均一であることがある。このような場合に、固形分残渣を、混合し、解砕して、より均一、微細な粉末としたものを工程3で用いると、粒径がより均一な触媒を得ることができる。
工程3では、工程2で得られた固形分残渣を熱処理して電極触媒を得る。
この熱処理の際の温度は、500〜1100℃であり、好ましくは600〜1050℃であり、より好ましくは700〜950℃である。
ただし、前記熱処理の雰囲気中に後述する反応性ガスが存在すると、得られる電極触媒がより高い触媒性能を発現することがある。
本発明に用いる電子伝導性材料は、電極触媒層を形成するために一般的に用いられているものであれば特に限定されない。
本発明に用いるプロトン伝導性材料としては、電極触媒層を形成するために一般的に用いられているものであれば特に限定されない。
本発明に用いる溶媒としては、電極触媒層を形成するために一般的に用いられているものであれば特に限定されないが、揮発性の有機溶媒または水等が挙げられる。
本発明のインクは、例えば、上述した電極触媒、電子伝導性材料、プロトン伝導性材料および溶媒を混合することによって製造される。電極触媒、電子伝導性材料、プロトン伝導性材料および溶媒の混合順序は、特に制限されない。例えば、電極触媒、電子伝導性材料、プロトン伝導性材料および溶媒を順次又は同時に混合し、電極触媒等を溶媒に分散させることにより、インクを調製できる。また、固体のプロトン伝導性材料を、水および/またはメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール溶媒に予備混合した溶液を調製してから、その予備混合した溶液を、電極触媒、電子伝導性材料および溶媒と混合してもよい。
混合手段としては、ホモジナイザーなどの撹拌装置を用いてもよく、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、超音波分散装置、混練脱泡装置などを用いてもよく、これらの手段を組み合わせてもよい。中でも、超音波分散装置、ホモジナイザー、ボールミル、混練脱泡装置を用いる混合手段が好ましい。また、必要であれば、インクの温度を一定範囲に維持する機構、装置などを用いながら混合してもよい。
インク中の固形分濃度は、塗布方法等に合わせて適宜調整すればよく、通常、0.1質量%〜25質量%の範囲内である。
本発明の電極触媒層は、上述したインクを用いて形成されることを特徴としている。上述したインクを用いて形成される電極触媒層を備えた燃料電池等は、極めて優れた発電特性を有する。また、本発明の電極触媒層は耐久性にも優れる傾向がある。
前記乾燥する方法としては、特に限定されないが、例えば、自然乾燥やヒーターで加熱する方法などが挙げられる。
前記塗布および前記乾燥は、同時に行ってもよい。この場合、塗布量および乾燥温度を調節することにより、塗布直後に乾燥が完了することが好ましい。
本発明の電極触媒層は、白金触媒層の一部またはすべてを代替する触媒層として、特に燃料電池用電極触媒層として有効に使用することができる。
本発明の電極はカソードまたはアノードのいずれの電極にも用いることができる。本発明の電極は、酸素還元能が大きいので、カソードに用いるとより産業上の優位性が高い。
まず、前記膜電極接合体をシール材(ガスケット)、ガス流路付きセパレーターと、集電板を挟んでボルトで固定し、所定の面圧(4N)になるように締め付けて、固体高分子形燃料電池の単セルを作成する。
燃料電池の電極反応はいわゆる3相界面(電解質−電極触媒−反応ガス)で起こる。燃料電池は、使用される電解質などの違いにより数種類に分類され、溶融炭酸塩型(MCFC)、リン酸型(PAFC)、固体酸化物型(SOFC)、固体高分子型(PEFC)等がある。中でも、本発明の膜電極接合体は、固体高分子型燃料電池に使用することが好ましい。
また、実施例および比較例における各種測定は、下記の方法により行なった。
1.元素分析
炭素:試料約0.01gを量り取り、炭素硫黄分析装置(堀場製作所製EMIA−920V)にて測定を行った。
金属(ニオブ、チタン、鉄、ランタン、銅、ジルコニウム):試料約0.1gを石英ビーカーに量り取り、硫酸,硝酸およびフッ酸を用いて試料を完全に加熱分解する。冷却後、この溶液を100mlに定容する。この溶液を適宜希釈しICP−OES(SII社製VISTA−PRO)またはICP−MS(Agilent社製HP7500)を用いて定量を行った。
島津製作所株式会社製 マイクロメリティクス ジェミニ2360を用いてBET比表面積を測定した。
1.アノード用インクの調製
Pt担持カーボン(TEC10E60E、田中貴金属工業製)0.6gを純水50mlに加え、さらにプロトン伝導性材料(NAFION(登録商標);0.25g)を含有する水溶液(Nafion5%水溶液、和光純薬工業製)5gを入れて、超音波分散機(UT−106H型シャープマニファクチャリングシステム社製)で1時間混合することにより、アノード用インク(1)を調製した。
ガス拡散層(カーボンペーパーTGP−H−060、東レ社製)を、アセトンに30秒間浸漬し、脱脂を行った。乾燥後、10%のポリテトラフルオロエチレン(以下「PTFE」とも記す。)水溶液に30秒間浸漬した。室温乾燥後、350℃で1時間加熱することにより、カーボンペーパー内部にPTFEを分散させ、撥水性を持たせたガス拡散層(以下「GDL」とも記す。)を得た。
1.触媒(1)の製造
チタンテトライソプロポキシド(純正化学(株)製)5mL及びアセチルアセトン(純正化学(株)製)5mLをエタノール(和光純薬(株)製)15mLと酢酸(和光純薬(株)製)5mLとの溶液に加え、室温で攪拌しながらチタン含有混合物溶液を作製した。
触媒(1)の元素分析結果を表1に示す。触媒(1)のBET比表面積は181m2/gであった。
ビーカーに、アセチルアセトン2.60g(25.94mmol)を入れ、これを攪拌しながらチタンテトライソプロポキシド5ml(17.59mmol)を加え、さらに酢酸28ml(490.0mmol)を2分間かけて滴下し、チタン溶液を調製した。ビーカーに水60ml、エタノール50ml、および酢酸60mlを入れ、ここにピラジンカルボン酸8.74g(70.36mmol)を加えて完全に溶解させた。得られた溶液に、これを攪拌しながら、5%ナフィオン(NAFION(登録商標))分散溶液(DE521、デュポン社)を10mlを加え、さらに酢酸鉄290mg(1.67mmol)を少量ずつ加えて溶解させた。次に温度を室温に保ちながら、かつ攪拌しながら、上記のチタン溶液を10分間かけて滴下し、滴下後さらに30分間攪拌を行い、触媒前駆体溶液を得た。
触媒(2)の元素分析結果を表1に示す。また、触媒(2)のBET比表面積は296.6m2/gであった。
ビーカーに、アセチルアセトン2.60g(25.94mmol)を入れ、これを攪拌しながらニオブエトキシド4.80g(17.59mmol)を加え、ニオブ溶液を調製した。
触媒(3)の元素分析結果を表1に示す。また、触媒(3)のBET比表面積は220m2/gであった。
ビーカーに、メタノール50mlを入れ、これを撹拌しながら二塩化銅2.75g(20.45mmol)、5%ナフィオン(NAFION(登録商標))分散溶液(DE521、デュポン社)10.0ml、酢酸鉄(II)355mg(2.045mmol)を順次加えた。得られた溶液にピラジンカルボン酸10.15g(81.80mmol)を少量ずつ加えた後、3時間の攪拌を行い触媒前駆体溶液(4)を得た。ロータリーエバポレーターを用い、窒素雰囲気の減圧下で、ホットスターラーの温度を約100℃に設定し、前記触媒前駆体溶液(4)を加熱かつ撹拌しながら、溶媒をゆっくり蒸発させ、さらに窒素気流下、300℃で1時間の加熱を行うことにより、塩化物残渣などを除去し、3.56gの焼成用粉末(4)を得た。1.2gの焼成用粉末(4)を、ロータリーキルン炉に水素ガスを4体積%含む窒素ガス(すなわち、水素ガス:窒素ガス=4体積%:96体積%の混合ガス)を20ml/分の速度で流しながら、昇温速度10℃/分で890℃まで加熱し、890℃で0.5時間焼成し、自然冷却することにより、粉末状の触媒(4)562mgを得た。
触媒(4)の元素分析結果を表1に示す。また、触媒(4)のBET比表面積は213m2/gであった。
ニオブエトキシドに替えてジルコニウムブトキシド7.94g(17.59mmol)を用いた以外は前記触媒(3)の製造と同様の操作を行い、粉末状の触媒(5)341mgを得た。触媒(5)の元素分析結果を表1に示す。また、触媒(5)のBET比表面積は245m2/gであった。
炭化ニオブ(NbC、添川理化学株式会社製)5.88g(56mmol)、酢酸鉄(Fe(CH3CO2)2、ALDRICH社製)0.87g(5mmol)および窒化ニオブ(NbN、高純度化学研究所製)5.14g(48mmol)を充分に混合し、この混合粉末を管状炉において、1600℃で3時間、窒素雰囲気中で加熱することにより、焼結体10.89gを得た。得られた焼結体を乳鉢で粉砕し、これを1.05gを、0.75容量%の酸素ガスおよび4容量%の水素ガスを含む窒素ガスを流しながら、ロータリーキルンで、900℃、7時間加熱することにより、焼成物1.18gを得た。これを遊星ボールミル(フリッチェ社製 Premium7、自転半径:2.3cm、公転半径:16.3cm)により以下のとおり解砕した。密閉可能なジルコニアミル容器(容量45ml、内径45mm)の内部に、焼成物0.9g、直径0.5mmのジルコニアボール(ニッカトー社製)40g、アセトニトリル(分散溶媒)7mlを入れた。前記ジルコニアミル容器を密閉し、容器内部を充分にアルゴン置換した。次に、自転回転数:700rpm、公転回転数:350rpm、自転遠心加速度:12.6G、公転遠心加速度:22.3G、解砕時間:5分間で解砕した。当該解砕後、アセトニトリルおよびジルコニアボールを分離し、粉末状の触媒(6)を得た。触媒(6)の元素分析結果を表1に示す。また、触媒(6)のBET比表面積は30m2/gであった。
酸化チタン(TiO2)4g(50mmol)、カーボンブラック(キャボット社製、XC−72)1.5g(125mmol)および酸化ランタン(La2O3)0.16g(0.5mmol)を充分に混合した。この混合物を、1700℃で3時間、窒素雰囲気中で加熱することにより、焼結体2.7gを得た。この焼結体を乳鉢で粉砕し、この1.0gを、1容量%の酸素ガスおよび1容量%の水素ガスを含む窒素ガスを流しながら、管状炉で、900℃で4時間加熱することにより、焼成物1.18gを得た。以降、前記触媒(6)の製造と同様の操作を行い、粉末状の触媒(7)を得た。
触媒(7)の元素分析結果を表1に示す。また、触媒(7)のBET比表面積は45m2/gであった。
燃料電池用膜電極接合体の製造とその発電特性の評価
各実施例および各比較例ごとに、表2に記載した触媒を用い、表2に記載した触媒の含有量、電子伝導性材料の含有量、およびプロトン伝導材料の含有量で、以下の操作を行った。
2−プロパノール(和光純薬工業製)25mlとイオン交換水25mlの混合溶媒に、触媒と、電子伝導性材料としてカーボンブラック(ケッチェンブラックEC300J、LION社製)とを加え、さらにプロトン伝導性材料としてナフィオン(NAFION(登録商標)を5%水溶液(和光純薬工業製)として加え、超音波分散機(UT−106H型シャープマニファクチャリングシステム社製)で1時間混合することにより、カソード用インクを調製した。
ガス拡散層(カーボンペーパー(TGP−H−060、東レ社製))を、アセトンに30秒間浸漬して脱脂した後、乾燥させ、次いで10%のPTFE水溶液に30秒間浸漬した。浸漬物を、室温乾燥後、350℃で1時間加熱することにより、カーボンペーパー内部にPTFEが分散し撥水性を有するガス拡散層(以下「GDL」とも記す。)を得た。次に、5cm×5cmの大きさとした前記GDLの表面に、自動スプレー塗布装置(サンエイテック社製)により、80℃で、上記カソード用インクを塗布し、カソード触媒層をGDL表面に有する電極(以下「カソード」ともいう。)を作製した。
電解質膜としてナフィオン(NAFION(登録商標))膜(N−212、DuPont社製)を、カソードとして上記カソード)を、アノードとして参考例1で作製したアノード触媒層(1)を有する電極(以下「アノード」ともいう。)をそれぞれ準備した。前記カソードと前記アノードとの間に前記電解質膜を配置した燃料電池用膜電極接合体(以下「MEA」ともいう。)を以下のように作製した。
上記MEAを、2つのシール材(ガスケット)、2つのガス流路付きセパレーター、2つの集電板および2つのラバーヒータで挟んでボルトで固定し、これらを所定の面圧(4N)になるように締め付けて、固体高分子形燃料電池の単セル(以下「単セル」ともいう。)(セル面積:25cm2)を作製した。
上記単セルを90℃、アノード加湿器を90℃、カソード加湿器を50℃に温度調節した。アノード側に燃料として水素を流量1リットル/分で供給し、カソード側に酸化剤として酸素を流量2リットル/分で供給し、両側ともに300kPaの背圧をかけながら、単セルにおける電流―電圧特性を測定した。得られた電流―電圧特性曲線から最大出力密度を算出し、測定結果を表2に示した。当該最大出力密度が大きいほど、MEAにおける触媒能が高いことを示す。
燃料電池用膜電極接合体の製造とその発電特性の評価
各実施例および各比較例ごとに、表2に記載した触媒を用い、表2に記載した触媒の含有量、電子伝導性材料の含有量、およびプロトン伝導材料の含有量で、以下の操作を行った。
水0.87mlに触媒と、電子伝導性材料としてカーボンブラック(ケッチェンブラックEC300J、LION社製)とを加え、さらにプロトン伝導性材料としてナフィオン(NAFION(登録商標)を20%水溶液(和光純薬工業製)として加え、混練脱泡装置(あわとり練太郎,株式会社シンキー製)で脱泡混合することにより、カソード用インクを調製した。
ガス拡散層(カーボンペーパー(GDL24BC、SGLカーボングループ社製))の表面に、バーコーター(テクノサプライ社製)により、上記カソード用インクを塗布し、これを乾燥して、カソード触媒層をGDL表面に有する電極(以下「カソード」ともいう。)を作製した。
実施例1と同様に(3)燃料電池用膜電極接合体の作製、(4)単セルの作製および(5)発電特性の評価(触媒能の測定)を行い、単セルにおける電流―電圧特性を測定した。得られた電流―電圧特性曲線から最大出力密度を算出し、測定結果を表2に示した。
Claims (6)
- 電極触媒、電子伝導性材料、プロトン伝導性材料および溶媒を含む、電極触媒層を形成するためのインクであって、
前記電極触媒が、チタン、ジルコニウム、銅、およびニオブから選ばれる少なくとも1種および鉄からなる遷移金属元素、炭素、窒素および酸素を構成元素として含み、前記各元素の原子数の比を、遷移金属元素:炭素:窒素:酸素=1:x:y:z(ただし、遷移金属元素の原子数は、遷移金属元素が複数種である場合、それらの合計の原子数。)とした場合に、0.5<x≦7、 0.01<y≦2、 0.1<z≦3であり、
前記電極触媒の含有量A(g)と前記電子伝導性材料の含有量B(g)との質量比(A/B)が、1〜6であり、
前記電極触媒と前記電子伝導性材料との合計含有量C(g)と、プロトン伝導性材料の含有量D(g)との質量比(D/C)が、0.1〜0.9であることを特徴とするインク。 - 電極触媒、電子伝導性材料、およびプロトン伝導性材料を含む、電極触媒層であって、
前記電極触媒が、チタン、ジルコニウム、銅、およびニオブから選ばれる少なくとも1種および鉄からなる遷移金属元素、炭素、窒素および酸素を構成元素として含み、前記各元素の原子数の比を、遷移金属元素:炭素:窒素:酸素=1:x:y:z(ただし、遷移金属元素の原子数は、遷移金属元素が複数種である場合、それらの合計の原子数。)とした場合に、0.5<x≦7、 0.01<y≦2、 0.1<z≦3であり、
前記電極触媒の含有量A(g)と前記電子伝導性材料の含有量B(g)との質量比(A/B)が、1〜6であり、
前記電極触媒と前記電子伝導性材料との合計含有量C(g)と、プロトン伝導性材料の含有量D(g)との質量比(D/C)が、0.1〜0.9であることを特徴とする電極触媒層。 - 請求項2に記載の電極触媒層とガス拡散層とを有する電極。
- アノードと、請求項3に記載の電極であるカソードと、前記アノードおよびカソードの間に配置された電解質膜を有する膜電極接合体。
- 請求項4に記載の膜電極接合体を備えることを特徴とする燃料電池。
- 請求項4に記載の膜電極接合体を備えることを特徴とする固体高分子型燃料電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012137617A JP5916528B2 (ja) | 2011-06-24 | 2012-06-19 | インク、該インクを用いて形成される電極触媒層およびその用途 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011140269 | 2011-06-24 | ||
JP2011140269 | 2011-06-24 | ||
JP2012137617A JP5916528B2 (ja) | 2011-06-24 | 2012-06-19 | インク、該インクを用いて形成される電極触媒層およびその用途 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013030470A JP2013030470A (ja) | 2013-02-07 |
JP5916528B2 true JP5916528B2 (ja) | 2016-05-11 |
Family
ID=47787287
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012137617A Expired - Fee Related JP5916528B2 (ja) | 2011-06-24 | 2012-06-19 | インク、該インクを用いて形成される電極触媒層およびその用途 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5916528B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3089248B1 (en) | 2013-12-27 | 2018-07-25 | Showa Denko K.K. | Electrode catalyst ink composition |
JP6506924B2 (ja) * | 2014-07-30 | 2019-04-24 | 地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所 | 電極形成用導電性ダイヤモンド粉末含有塗料、電極及び歯科治療器具 |
CN111715287B (zh) * | 2020-04-20 | 2022-12-06 | 上海师范大学 | Zif-67/go光催化-光热复合薄膜及其制备方法和应用 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20070254206A1 (en) * | 2006-01-17 | 2007-11-01 | Gillan Edward G | Methods for production of metals on carbon nitride powders and composites and their use as catalysts in fuel cell electrochemistry |
EP2258475B1 (en) * | 2008-03-24 | 2016-11-02 | Showa Denko K.K. | Catalyst and manufacturing method and use therefor |
JP2010033741A (ja) * | 2008-07-25 | 2010-02-12 | Sony Corp | プロトン伝導性電極、膜−電極接合体、及び電気化学装置 |
WO2010041650A1 (ja) * | 2008-10-06 | 2010-04-15 | 昭和電工株式会社 | 触媒およびその製造方法ならびにその用途 |
-
2012
- 2012-06-19 JP JP2012137617A patent/JP5916528B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2013030470A (ja) | 2013-02-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US9640801B2 (en) | Process for producing catalyst carrier, process for producing composite catalyst, composite catalyst, and fuel cell using same | |
JP6061998B2 (ja) | 燃料電池用電極触媒、遷移金属炭窒酸化物およびその用途 | |
JP5766138B2 (ja) | 燃料電池用電極触媒の製造方法、燃料電池用電極触媒およびその用途 | |
CN108780900B (zh) | 燃料电池用碳粉末以及使用该燃料电池用碳粉末的催化剂、电极催化剂层、膜电极接合体及燃料电池 | |
JP5126864B1 (ja) | 燃料電池用触媒層及びその用途 | |
JP5819280B2 (ja) | 燃料電池用電極触媒およびその用途 | |
JP5255160B1 (ja) | 燃料電池用電極触媒およびその製造方法 | |
JP5755177B2 (ja) | インク、該インクを用いて形成される燃料電池用触媒層およびその用途 | |
JP5916528B2 (ja) | インク、該インクを用いて形成される電極触媒層およびその用途 | |
JP2014026790A (ja) | 電極膜接合体および燃料電池 | |
US9379390B2 (en) | Process for producing catalyst for direct-liquid fuel cell, catalyst produced by the process and uses thereof | |
JP5854967B2 (ja) | 燃料電池用触媒層及びその用途 | |
JP4944281B1 (ja) | 燃料電池用電極触媒の製造方法、燃料電池用電極触媒およびその用途 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20150317 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20151216 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20160105 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160302 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20160322 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20160405 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5916528 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |