JP6582390B2 - ガス拡散層用撥水ペースト、燃料電池用ガス拡散層及び燃料電池 - Google Patents

ガス拡散層用撥水ペースト、燃料電池用ガス拡散層及び燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、ガス拡散用撥水ペーストに関する。
燃料電池は、電気化学システムを用いて化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換できるシステムであり、高効率であるため次世代エネルギーとして期待されている。特に、固体高分子形燃料電池は自動車用、定置用、小型モバイル用に活発に開発が進められている。
一般に固体高分子形燃料電池においては、高分子電解質膜の両面にカソード側電極及びアノード側電極を形成しており、通常、これらのカソード側電極及びアノード側電極は、白金等の触媒を担持したカーボンブラックとイオン交換樹脂からなる電極触媒層と、この触媒層に反応ガスを供給すると共に触媒層に発生する電荷を集電するガス拡散層によって構成されている。ガス拡散層には、一般的に、ガス拡散能および導電性を兼ね備えた導電性多孔質基材が用いられる。具体的には、カーボンクロスやカーボンペーパー等のカーボン基材が用いられる。
このような固体高分子形燃料電池に用いられるガス拡散層においては、当該ガス拡散層と触媒層との間の電気抵抗を下げると共に、ガス拡散層基材の繊維ほつれによる電解質膜の損傷を未然に防止し、また、さらなる撥水性を付与するための中間層として、ガス拡散層を構成する導電性多孔質基材の上に、カーボンブラックなどの炭素粉末およびフッ素樹脂分散液を主成分とする微細多孔質層(Micro Porous Layer。以下、「MPL」と略記することがある)を設けることが知られている(例えば、特許文献1)。
このようなMPLを形成する方法としては、水を溶媒としてカーボンブラックなどの炭素粉末からなるペーストを作製し、スプレー法または印刷法、バーコーター、ドクターブレードなどを用いて、このペーストを導電性多孔質基材上に塗工する方法などが挙げられる。
カーボンクロスやカーボンペーパー等の導電性多孔質基材は、反応ガスや過剰な水が内部を通過しやすくするために多孔質であり、したがって、MPLを形成するためのMPL形成用ペーストを基材に塗工すると、ペーストの一部が基材内部に染み込むが、染み込んだペーストの量が多いと、基材中の細孔が塞がり、反応に必要なガスを触媒層に供給する性能や、過剰な水を排出する性能が低下してしまい、電池特性を低下させる恐れがある。
そこで、MPL形成用のペーストとして、塗工後のタレや導電性基材への染み込みを防止するために、ペーストの降伏値を調整することを目的として、特許文献2においては、カーボンブラックスラリーとフッ素樹脂ディスパージョンと界面活性剤とを混合した特定の降伏値を示すガス拡散層用撥水ペーストが開示されている。
また、特許文献3においては、ガス拡散層用撥水ペーストの粘性を調整することを目的として、カーボンブラックスラリーにフッ素樹脂ディスパージョンとともに水に溶け難い溶剤及び溶け易い溶剤とを混合した基材への適度の浸透性を有するガス拡散層用撥水ペーストが開示されている。
特開2002−056851号公報 特開2009−301792号公報 特開2004−247148号公報
しかしながら、上記特許文献2に記載された技術においては、ガス拡散層用撥水ペーストの塗工部位の裏面への染み込みは防止できるものの、塗工部位からの滲みが生じ易く、そのようなガス拡散層を用いて燃料電池を作製した場合、発電性能が劣るという欠点がある。また、25℃における降伏値が6Pa〜20Paと高い降伏値を持つために、ガス拡散層用撥水ペーストの分散方法が限定されるだけでなく、分散粒度も十分に小さくできないため、ペースト中の粗大粒子に起因する塗工ムラやピンホールが発生してしまうという問題点があった。塗工ムラやピンホールのあるMPL付きガス拡散層を用いた燃料電池は、その発電性能が劣ることは言うまでもない。
また、上記特許文献3に記載された技術においては、水に溶け難い溶剤として分子量が70以上の直鎖または側鎖のアルコール、エステル、ケトン、エーテルのいずれかを用い、水に溶け易い溶剤としてHLB値が8〜13のアルコールのエチレンオキサイド付加界面活性剤を用いることでガス拡散層用撥水ペーストの粘性を調整しているが、ペーストの基材への染み込みを完全には防げないという問題点があった。また、使用する溶剤の種類によってはガス拡散層用撥水ペーストの塗工時における塗工ムラやピンホールが発生するという問題点もある。
本発明が解決しようとする課題は、流動特性(粒度、粘度、TI値等)と基材への塗工性(染み込み量の抑制、ピンホールの発生)に優れたMPL形成に適したガス拡散層用撥水ペーストと、それを用いた発電特性が良好な燃料電池を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。
すなわち、本発明の実施態様は、カーボンブラックと、フッ素系樹脂分散液と、界面活性剤と、水とを含有してなり、前記界面活性剤は、HLB値が14〜20の非イオン系界面活性剤であることを特徴とするガス拡散層用撥水ペーストであって、前記カーボンブラック100質量部に対して、前記フッ素系樹脂分散液中のフッ素系樹脂固形分が、15〜60質量部、前記界面活性剤が、50〜150質量部を含有してなるガス拡散層用撥水ペーストガス拡散層用撥水ペーストに関する。
また、本発明の実施態様は、JIS Z 8803:2011に規定された単一円筒形回転粘度計により測定される25℃における6回転/分での粘度が、1500mPa・s以上であり、且つ、次式より得られるチキソトロピックインデックス(TI値)が、1.5〜6である前記ガス拡散層用撥水ペーストに関する。
TI値=6回転/分の粘度÷60回転/分の粘度
また、本発明の実施態様は、前記カーボンブラックのDBP吸油量が、100〜250mL/100gである前記ガス拡散層用撥水ペーストに関する。
また、本発明の実施態様は、前記ガス拡散用撥水ペーストを導電性多孔質基材に塗工してなる燃料電池用ガス拡散層に関する。
さらに、本発明の実施態様は、前記燃料電池用ガス拡散層を備えてなる燃料電池に関する。
本発明によれば、カーボンブラックと、フッ素系樹脂分散液と、特定の界面活性剤と、水とを主成分とする簡単な組成によって、流動特性と基材への塗工性に優れたMPL形成に適したガス拡散層用撥水ペーストを提供することが可能となる。これにより、発電特性が良好な燃料電池を提供することが可能となる。
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。
1.ガス拡散層用撥水ペースト
本発明のペースト中に含まれるカーボンブラック、フッ素系樹脂分散液、界面活性剤、及び水の割合は、特に限定されるものではなく、広い範囲内で適宜選択され得る。フッ素系樹脂分散液の含有量は、ガス拡散層用撥水ペースト中のカーボンブラックに対し、フッ素系樹脂固形分で15〜60質量部、好ましくは20〜50質量部、より好ましくは30〜40質量部である。また、界面活性剤は、ガス拡散層用撥水ペースト中のカーボンブラックに対し、50〜150質量部、好ましくは65〜135質量部、80〜120質量部であることがより好ましい。
<カーボンブラック>
本発明におけるガス拡散層用撥水ペーストの構成成分であるカーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ミディアムサーマルカーボンブラック等が挙げられる。カーボンブラックは、種類やメーカーによって、粒子径、形状、BET比表面積、DBP吸油量、表面酸塩基度、表面親水度、導電性など様々な物性やコストが異なるため、使用する用途や要求性能に合わせて最適な材料を選択することができる。カーボンブラックのDBP吸油量としては、JIS K 6217−4:2008に準拠して測定された値が100〜250mL/100gであることが好ましい。
市販のカーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラックEC−300J、及びEC−600JD等のアクゾ社製ケッチェンブラック;トーカブラック#4300、#4400、#4500、及び#5500等の東海カーボン社製ファーネスブラック;PrinteX L等のオリオン・エンジニアド カーボンズ社製ファーネスブラック;Raven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULTRA、Conductex SC ULTRA、975ULTRA、PUER BLACK100、115、205等のコロンビヤン社製ファーネスブラック;#2350、#2400B、#2600B、#30050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、及び#5400B等の三菱化学社製ファーネスブラック;MONARCH1400、1300、1000、900、VulcanXC−72R、及びBlackPearls2000等のキャボット社製ファーネスブラック;Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、及びSuperP−Li等のTIMCAL社製ファーネスブラック;デンカブラック、デンカブラックHS−100、FX−35等の電気化学工業社製アセチレンブラック等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
<界面活性剤>
本発明におけるガス拡散層用撥水ペーストの構成成分である界面活性剤は、非イオン系界面活性剤であり、HLB値が14〜20、好ましくは15.5〜19、より好ましくは17.0〜18.5である。なお、本明細書での非イオン系界面活性剤のHLB値は、下記式で示されるグリフィン法に基づく値である。
HLB値=20×親水部の式量の総和/分子量
そのような界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアリールエーテル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル等の非イオン系界面活性剤が挙げられる。なかでも、カーボンブラックの分散能と、ペースト乾燥・焼成時の負荷を低減できる点から、ポリオキシアルキレンアリールエーテルが好ましい。以下に、HLB値が14〜20の非イオン系界面活性剤の具体例を挙げる(カッコ内の数値はHLB値を表す)。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えば、エマルゲン120(15.3)、123P(16.9)、147(16.3)、150(18.4)、220(14.2)、350(17.8)、430(16.2)、1118S−70(16.4)、1135S−70(17.9)、1150S−60(18.5)、4085(18.9)(以上、花王社製)、ニューコール2312(14.5)、2314(15.1)、2318(16.0)、2320(16.4)、2327(20)(17.2)、2330(17.5)、2344(18.2)、2360(18.6)、2399−S(19.2)、2399−S(25)(19.2)、NT−12(14.5)、NT−15(15.3)、NT−20(16.3)、NT−30(17.4)、NT−40(18)、NT−50(18.3)、1008(14.6)、1020(17.4)、1500−S(16.6)、1820(15.3)、1860(18.1)3520−C(17.0)、2308−Y(14.2)、2314−Y(19)(以上、日本乳化剤社製)、エマルミンNL−100(14.0)、NL−110(14.4)、140(14.2)、180(15.1)、200(15.5)、240(16.1)(以上、三洋化成工業社製)等が挙げられる。
ポリオキシアルキレンアリールエーテルとしては、例えば、エマルゲン120(15.3)、123P(16.9)、147(16.3)、150(18.4)、220(14.2)、350(17.8)、430(16.2)、エマルゲンA−90(14.5)、A−500(18.0)(以上、花王社製)、ニューコール711(14.1)、712(14.5)、714(80)(15.0)、719(16.0)、723(16.6)、723(60)(16.6)、729(17.2)、733(17.5)、740(17.9)、740(60)(17.9)、747(18.2)、780(60)(18.9)、2614(14.7)、714−F(14.1)、B10(15.2)、B13(16.0)(以上、日本乳化剤社製)等が挙げられる。
ポリアルキレングリコール脂肪酸エステルとしては、例えば、エマノーン3199V(19.4)、3299V(18.9)、3299RV(19.2)、CH−60(K)(14.0)(以上、花王社製)、ニューコール25(16.3)、20−MF(18.3)、65(15.0)、85(15.1)、80−FL(16.7)、95−FJ(15.6)等のポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル(以上、日本乳化剤社製)、エマルミン862(18.0)、イオネットMS−1000(15.7)(以上、三洋化成工業社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
<フッ素系樹脂分散液>
本発明におけるガス拡散層用撥水ペーストの構成成分であるフッ素系樹脂分散液としては、撥水性を付与するために用いられ、例えば、フッ素系樹脂の水性分散液、フッ素系樹脂のアルコール分散液などがあげられる。なかでも、乾燥時の排ガス処理の容易さからは、フッ素系樹脂の水性分散液であることが好ましい。
フッ素樹脂としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等が挙げられる。中でも、撥水性に優れることからPTFEが好ましい。市販のフッ素系樹脂分散液としては、例えば、ポリフロンPTFE D−210C等のダイキン工業社製PTFE水分散液;フルオンPTFEディスパージョン AD911E等の旭硝子社製PTFE水分散液等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
<ガス拡散層用撥水ペーストのその他構成成分>
本発明の効果を損なわない範囲であれば、例えば増粘剤、有機溶剤などの添加剤をガス拡散層用撥水ペーストに混合してもよい。
<増粘剤>
増粘剤としては、例えばメチルセルロース、及びエチルセルロース等のセルロース系水溶性高分子、ノニオン系ポリウレタン等のウレタン会合型増粘剤等が挙げられる。
<有機溶剤>
有機溶剤としては、水と親和性が高い水溶性有機溶剤が挙げられる。水溶性有機溶剤としては、アルコールが好適に使用できる。アルコールとしては、1価または多価アルコールが挙げられる。沸点が80〜200℃のアルコールが好ましく、炭素数が4以下のアルコールが好ましい。具体的には、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール等が挙げられる。1価アルコールとしては、2−プロパノール、1−ブタノール、t−ブタノールが好ましい。これらの有機溶剤は、1種または2種以上を混合して使用することができる。
<本発明のガス拡散層用撥水ペーストの製造方法>
次に、本発明のガス拡散層用撥水ペーストの製造方法について説明する。ガス拡散層用撥水ペーストの構成成分であるカーボンブラックを界面活性剤で水に分散し、フッ素系樹脂分散液と混合するための装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機が使用できる。例えば、ディスパー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー等のミキサー類、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」、PRIMIX社「フィルミックス」等、シルバーソン社製「アブラミックス」等)類、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル等のメディア型分散機、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、分散装置は、1種のみを使用しても良いし、複数種の装置を組み合わせて使用しても良い。
2.燃料電池用ガス拡散層
次に、上記で説明した本発明のガス拡散層用撥水ペーストを用いた燃料電池用ガス拡散層について説明する。
<燃料電池用ガス拡散層の製造方法>
本発明のガス拡散層用撥水ペーストを基材上に塗布し、その後焼成することで燃料電池用ガス拡散層を得られる。ガス拡散層用撥水ペーストの塗布方法については、特に制限はなく公知の方法を用いることができる。具体的には、ダイコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、スプレーコティング法、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
基材上にガス拡散層用撥水ペーストを塗布した後の焼成は、界面活性剤を完全に除去するという理由から、250〜400℃の温度雰囲気下、さらには300〜380℃の温度雰囲気下で焼成することが好ましい。また、焼成時間としては、焼成温度によって異なるが、界面活性剤を完全に除去できる程度の時間という点から、30〜120分間程度あればよい。
<基材>
基材としては、特に制限されるわけではないが、燃料又は酸化剤を透過させることができ、かつ導電性を有する導電性多孔質基材が好ましい。一般に、その材質は、金属材料、炭素材料等が選択されるが、耐久性、価格等の観点から、好ましくは炭素繊維からなるカーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト、カーボン不織布等がよい。基材の厚みは特に制限されるわけではなく、燃料電池用ガス拡散層として一般的に採用される範囲とすれば良い。具体的には、通常50〜1000μm程度、好ましくは100〜400μm程度である。
3.燃料電池
上記のようにして得られる本発明のガス拡散層用撥水ペーストが塗布された燃料電池用ガス拡散層に触媒層を形成してアノードおよびカソードに用いれば、燃料電池を得ることができる。
<触媒層>
燃料電池用触媒層は、燃料電池用として一般的に使用されるものであれば特に制限はなく、一般的には、触媒担持炭素粒子(触媒を担持させた炭素粒子)及び水素イオン伝導性ポリマーを含むものが使用される。触媒担持炭素粒子と水素イオン伝導性ポリマーとの含有割合は、触媒担持炭素粒子を100質量部に対して、水素イオン伝導性ポリマーが10〜300質量部程度、好ましくは20〜250質量部程度とすればよい。
<触媒担持炭素粒子>
触媒担持炭素粒子は炭素粒子に触媒が担持したものであり、公知又は市販のものを使用することができる。触媒担持炭素粒子を構成する炭素粒子は、特に制限されず、例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、黒鉛、活性炭、カーボン繊維、カーボンナノチューブ等が挙げられる。炭素粒子に担持する触媒としては、燃料電池の燃料極又は空気極における電池反応を起こさせるものであれば特に限定されないが、白金及び遷移金属からなるものが好ましく、遷移金属としては、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、銅、マンガン、チタン、ジルコニウム、バナジウム、及び亜鉛等から選択される1種以上が挙げられる。
<水素イオン伝導性ポリマー>
水素イオン伝導性ポリマーとしては、パーフルオロスルホン酸系等のフッ素系イオン交換樹脂、スルホン酸基などの強酸性官能基を導入したオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂等が挙げられる。例えば電気陰性度の高いフッ素原子を導入する事で化学的に非常に安定し、スルホン酸基の乖離度が高く、高いイオン導電性が実現できる。このような水素イオン伝導性ポリマーの具体例としては、デュポン社製の「Nafion」、旭硝子(株)製の「Flemion」、旭化成(株)製の「Aciplex」、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」等が挙げられる。通常、水素イオン伝導性ポリマーは、ポリマーを5〜30重量%程度含むアルコール水溶液として使用される。アルコールとしては、例えば、メタノール、プロパノール、エタノールジエチルエーテル等が使用される。
<触媒層形成用ペースト>
触媒層形成用ペーストとしては、例えば、触媒担持炭素粒子、水素イオン伝導性ポリマー、及び粘度調整用溶剤を混合して得られるものがあげられる。触媒層形成用ペースト中に含まれる上記触媒担持炭素粒子、水素イオン伝導性ポリマー、及び粘度調整用溶剤の割合は、限定されるものではなく、広い範囲内で適宜選択され得る。触媒担持炭素粒子及び水素イオン伝導性ポリマーは、上記のものを使用することができる。触媒層を形成する方法としては、例えば、触媒層形成用ペーストをガス拡散層用撥水ペーストが塗布された燃料電池用ガス拡散層上に塗布及び乾燥する方法があげられる。
<粘度調整用溶剤>
粘度調整用溶剤としては、水または水と親和性が高い水溶性有機溶剤が挙げられる。水溶性有機溶剤としては、アルコールが好適に使用できる。アルコールとしては、1価または多価アルコールが挙げられる。沸点が80〜200℃のアルコールが好ましく、炭素数が4以下のアルコールが好ましい。具体的には、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール等が挙げられる。1価アルコールとしては、2−プロパノール、1−ブタノール、t−ブタノールが好ましい。多価アルコールとしては、水素イオン伝導性ポリマーとの相溶性及び触媒インキ組成物とした場合の乾燥効率の問題から、プロピレングリコール、エチレングリコールが好ましく、プロピレングリコールがより好ましい。これらの粘度調整用溶剤は、1種または2種以上を混合して使用することができる。
<触媒層形成用ペーストの調製方法>
触媒層形成用ペーストの調製方法も特に制限は無い。調製は、各成分を同時に分散しても良いし、触媒担持炭素粒子を分散後、水素イオン伝導性ポリマー成分や撥水性材料を添加してもよく、使用する触媒担持炭素粒子、水素イオン伝導性ポリマー、及び溶剤種により最適化することができる。但し、触媒担持炭素粒子を先に分散し、水素イオン伝導性ポリマーを後添加して触媒層形成用ペーストを作製すると、分散時間の短縮などコストダウンに大きく貢献することができる。
<触媒層の形成方法>
燃料電池用触媒層は、上記触媒層形成用ペーストを上記ガス拡散層用撥水ペーストが塗布された燃料電池用ガス拡散層に直接塗布及び乾燥することにより形成されてもよく、また触媒層形成用ペーストをテフロン(登録商標)シート等の剥離可能な転写シート(基材)に塗布乾燥して形成した触媒層転写シートを作製し、その後、固体高分子電解質膜に転写することにより形成されてもよい。
燃料電池用触媒層は、上記触媒層形成用ペーストを転写シート(テフロン(登録商標)シートなど)に塗布するか、または上記触媒層形成用ペーストを上記ガス拡散層用撥水ペーストが塗布された燃料電池用ガス拡散層に直接塗布し、その後乾燥することにより製造する場合、塗布方法は通常の塗布方法を用いることができる。塗布方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スプレー、ディップコーター、スピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷等の一般的な方法を適用できる。
塗布した後、乾燥することにより、塗膜(燃料電池用触媒層)が形成される。乾燥温度は、通常40〜120℃程度、好ましくは75〜95℃程度である。また、乾燥時間は、乾燥温度にもよるが、通常5分〜2時間程度、好ましくは30分〜1時間程度である。塗布乾燥後の燃料電池用触媒層の厚みは、通常5〜80μm程度、好ましくは10〜70μm程度がよい。
上記の燃料電池用触媒層を固体高分子電解質膜に転写する場合の加圧レベルは、転写不良を避けるために、通常0.5Mpa〜20Mpa程度、好ましくは1Mpa〜10Mpa程度がよい。また、この加圧操作の際に、転写不良を避けるために、加圧面を加熱するのが好ましい。加熱温度は、固体高分子電解質膜の破損、変性等を避けるために、通常200℃以下、好ましくは120〜150℃程度がよい。
<膜電極接合体>
燃料電池用膜電極接合体とは、水素イオン伝導性の固体高分子電解質膜の片面もしくは両面に、燃料電池用触媒層が密着して形成され、さらに、その片面もしくは両面に、上記ガス拡散層用撥水ペーストが塗布された燃料電池用ガス拡散層が密着して具備したものを意味する。
燃料電池用膜電極接合体の製造方法としては、上記ガス拡散層用撥水ペーストが塗布された燃料電池用ガス拡散層上に予め形成された燃料電池用触媒層を、固体高分子電解質膜の片面もしくは両面に熱圧着することで燃料電池用膜電極接合体を作製してもよいし、転写基材上に予め形成された燃料電池用触媒層を、転写によって固体高分子電解質膜上に形成後、上記ガス拡散層用撥水ペーストが塗布された燃料電池用ガス拡散層を熱圧着することで燃料電池用膜電極接合体を作製してもよい。この際、使用する上記ガス拡散層用撥水ペーストが塗布された燃料電池用ガス拡散層は、予め燃料電池触媒層が形成されたものを使用することもできる。
上記の燃料電池用膜電極接合体において、上記ガス拡散層用撥水ペーストが塗布された燃料電池用ガス拡散層と燃料電池用触媒層及び固体高分子電解質膜間を熱圧着する場合の加圧レベルは、通常0.1〜100Mpa程度、好ましくは1〜20Mpa程度がよい。また、加熱温度としては、固体高分子電解質膜の破損、変性等を避けるために、通常200℃以下、好ましくは120〜150℃程度がよい。
<固体高分子電解質膜>
固体高分子電解質膜としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系のフッ素イオン交換樹脂等が挙げられる。電気陰性度の高いフッ素原子を導入する事で化学的に非常に安定し、スルホン酸基の乖離度が高く、高いイオン導電性が実現できる。このような水素イオン伝導性高分子電解質の具体例としてはデュポン社製の「Nafion」、旭硝子社製の「Flemion」、旭化成社製の「Aciplex」、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」等を用いて形成した膜が挙げられる。電解質膜の膜厚は、通常20〜250μm程度、好ましくは20〜80μm程度である。
<転写基材>
転写基材は触媒層形成用ペーストを塗布することで燃料電池用触媒層を形成し、転写基材上にある触媒層をナフィオンなどの固体高分子電解質膜に転写するためのフィルム基材である。転写基材としては、安価で入手が容易な高分子フィルムが好ましく、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート等がより好ましい。転写基材の厚さは、取り扱い性及び経済性の観点から、通常6〜100μm程度、好ましくは10〜50μm程度、より好ましくは15〜30μm程度とするのがよい。
<燃料電池>
本発明の燃料電池は、従来の燃料電池と比べ、上記ガス拡散層用撥水ペーストが塗布された燃料電池用ガス拡散層を用いることで、通常、トレードオフ関係にあるガス拡散層の低抵抗と高拡散とを両立することができ、性能が向上する。
以下に、燃料電池の性能を評価する方法の一例を示す。燃料電池用膜電極接合体を4cm角の試料とし、その両側からガスケットを2枚、次いでグラファイトプレートであるセパレータを2枚はさみ、更に両側から集電板を2枚装着して単セルとして作製する。カソード(空気極)側から加湿した酸素ガスを供給し、アノード(燃料極)側から加湿した水素ガスを供給して電池特性を測定する。
以上述べたように、本発明のガス拡散層用撥水ペーストは、簡単な成分組成で製造することができ、流動特性を改善することで、導電性多孔質基材へのガス拡散層用撥水ペーストの染み込み量を制御するとともに、基材への塗工時の生産効率を向上させられるという利点がある。その結果、本発明のガス拡散層用撥水ペーストが塗布された燃料電池用ガス拡散層は、通常、トレードオフ関係にあるガス拡散層の低抵抗と高拡散とを両立することができる。したがって、本発明のガス拡散層用撥水ペースト及び燃料電池用ガス拡散層を用いて製造された燃料電池は、従来の燃料電池と比べて発電性能に優れるという長所を有する。
次に実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に特に限定されるものではない。各例において、特に断りのない限り、「部」とは質量部を、「%」とは質量%をそれぞれ表す。
(ガス拡散層用撥水ペーストおよびガス拡散層の作成)
[実施例1]
カーボンブラックA100部、HLB値が18である非イオン系界面活性剤A100部、増粘剤(ダイセルファインケム社製、DN−10L)20部、及び水780部を、高圧ホモジナイザーを用いて混合、分散した後、更にフッ素系樹脂分散液A58部添加して、10分間攪拌を行い、ガス拡散層用撥水ペーストを得た。得られたガス拡散層用撥水ペーストを、アプリケーターを用いて基材であるカーボンペーパー(東レ社製、TGP−H090、厚み280μm)に塗工膜厚10μmで塗工し、その後330℃で10分間乾燥・焼成してガス拡散層を作製した。
[実施例2〜14、比較例1〜4]
ガス拡散層用撥水ペーストを構成する材料の種類、組成を、表1の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、それぞれガス拡散層用撥水ペーストおよびガス拡散層を作製した。
尚、例中で使用した材料を下記に列挙する。
<カーボンブラック>
カーボンブラックA:電気化学工業社製、デンカブラックHS−100、DBP吸油量140mL/100g
カーボンブラックB:電気化学工業社製、デンカブラックFX−35、DBP吸油量220mL/100g
カーボンブラックC:キャボット社製、MONARCH1000、DBP吸油量105mL/100g
カーボンブラックD:キャボット社製、REGAL99R、DBP吸油量66mL/100g
<界面活性剤>
界面活性剤A:花王社製、エマルゲンA−500、HLB値18
界面活性剤B:三洋化成工業社製、エマルミン862、HLB値18
界面活性剤C:花王社製、エマノーン3299V、HLB値18.9
界面活性剤D:日本乳化剤社製、ニューコールB13、HLB値16
界面活性剤E:花王社製、エマルゲンA−90、HLB値14.5
界面活性剤F:ダウケミカル社製、Triton X−100、HLB値13.5
界面活性剤G:エアープロダクツ社製、サーフィノール440、HLB値8
界面活性剤H:ADEKA社製、プルロニックL−64、HLB値12.5
<フッ素系樹脂分散液>
フッ素系樹脂分散液A:ダイキン社製、ポリフロン PTFE D−210C 固形分60%
フッ素系樹脂分散液B:三井・デュポン フロロケミカル社製、PTFEディスパージョン31−JR 固形分60%
フッ素樹脂分散液C:旭硝子社製、Fluon AD911E 固形分60%
<ガス拡散層用撥水ペーストの粒度の測定>
上記各実施例及び比較例により得られたガス拡散層用撥水ペーストの粒度の測定結果を表1に示す。測定は、100μm粒ゲージを用いて、JIS K5600−2−5に規定された方法により測定した。分散が良好な状態である程、低い粒度を示す。
<ガス拡散層用撥水ペーストの粘度の測定>
上記各実施例及び比較例により得られたガス拡散層用撥水ペーストの粘度は、JIS Z 8803:2011に規定された方法により測定した。単一円筒形回転粘度計(東機産業株式会社製、型番:TVB10M)により、25℃における6回転/分での粘度を測定した後、引き続き60回転/分の粘度を測定した。なお、測定にあたってはスピンドルM4を使用し、スピンドルM4の測定範囲内に満たない場合には、スピンドルM3に変更して測定を実施した。その結果を表1に併せて示す。
<ガス拡散層用撥水ペーストのチキソトロピックインデックス(TI値)の算出>
上記方法により測定されたガス拡散層用撥水ペーストの6回転/分での粘度および60回転/分の粘度を用いて、次式に従いTI値を算出した。その結果を表1に併せて示す。
TI値=6回転/分の粘度÷60回転/分の粘度
表1から明らかなように、非イオン系界面活性剤として、HLB値が14〜20の非イオン系界面活性剤を用いた場合(実施例1〜14)、HLB値が14よりも小さい非イオン系界面活性剤を用いた場合(比較例1〜4)と比較して、いずれも粒度が小さく十分な分散ができており、流動特性に優れていることが明らかとなった。比較例2については、ガス拡散層用撥水ペーストがゲル化してしまい、基材への塗工ができなかったため、ガス拡散層を作成することはできなかった。
<ガス拡散層用撥水ペーストを基材へ塗工した際の評価>
上記実施例および比較例で得たガス拡散層用撥水ペーストをカーボンペーパーに塗工してガス拡散層を作製した際の塗工性、塗面のピンホールの発生の有無、及び基材への染み込みについて、下記の基準に基づいて判定した。その結果を表2に示す。
<ガス拡散層用撥水ペーストの塗工性>
○:均一な塗膜(層)を作製でき、塗膜に濃淡(塗りムラ)が観察されない(良好)。
△:均一な塗膜(層)を作製できるが、塗膜に縞の長さが5mm未満の濃淡(塗りムラ)が1〜3箇所観察される(実用上問題ない)。
×:均一な塗膜(層)を作製できず、塗膜に縞の長さが5mm未満の濃淡(塗りムラ)が4箇所以上観察される、または縞の長さが5mm以上の濃淡が1箇所以上観察される(不良)。
<塗面のピンホールの発生の有無>
○:ピンホールが全く観察されない(良好)。
△:直径1mm未満のピンホールが1〜3箇所観察される(不良)。
×:直径1mm未満のピンホールが4箇所観察される、または直径1mm以上のピンホールが1箇所観察される(極めて不良)。
<ガス拡散層用撥水ペーストの基材への染み込み>
5:塗工部位からの滲みがなく、塗工部位の裏面を指で擦ってもペーストが付着しない(極めて良好)。
4:塗工部位からの滲みが塗工部位端から2mm以内に見られるが、塗工部位の裏面を指で擦ってもペーストが付着しない(良好)。
3:塗工部位からの滲みが塗工部位端から2mm以内に見られ、塗工部位の裏面を指で擦るとペーストが付着する(実用上問題ない)。
2:塗工部位からの滲みが塗工部位端から2mmを越えて4mm未満の範囲まで見られ、塗工部位の裏面に指で触れただけでペーストが付着する(不良)。
1:塗工部位からの滲みが塗工部位端から4mm以上まで広がり、塗工部位の裏面に指で触れただけでペーストが大量に付着する(極めて不良)。
表2からも明らかなように、非イオン系界面活性剤として、HLB値が14〜20の非イオン系界面活性剤を使用した実施例1〜14では、全ての項目で実用上問題ない結果が得られた。これに対して比較例1、3、4では、塗工性に関してはいずれも実用上問題なかったが、塗面のピンホール発生が認められ、基材への染み込みも不良であった。
<燃料電池用触媒層形成用ペーストの作製>
燃料電池用膜電極接合体の作成に使用する燃料電池用触媒層の作製方法について以下に述べる。白金触媒担持カーボン4質量部(田中貴金属社製、白金量46%)、溶剤としてブタノール(キシダ化学社製)56質量部、および水20質量部をディスパー(プライミクス社製、TKホモディスパー)にて攪拌混合し調製した。次いで、20質量%ナフィオン(Nafion)溶液(水素イオン伝導性ポリマー、デュポン社製、溶剤:水及び1−プロパノール)20質量部を添加し、ディスパー(プライミクス社製、T.Kホモディスパー)にて攪拌混合することで触媒層形成用ペースト(固形分濃度8質量%、触媒層形成用ペースト100質量%とした触媒層形成用ペースト)を作製した。
<燃料電池用触媒層の作製>
上記触媒層形成用ペーストを白金触媒担持カーボンの目付け量が0.46mg/cm2になるようにテフロン(登録商標)フィルム上に塗布し、大気雰囲気中95℃の条件で15分間乾燥することにより、燃料電池用触媒層を作製した。
<燃料電池用膜電極接合体の作製>
上記燃料電池用触媒層を、固体高分子電解質膜(デュポン社製、Nafion212、膜厚50μm)の両面に密着して、150℃、5MPaの条件で狭持した後、テフロン(登録商標)フィルムを剥離した。次いで、更に両側から本発明の上記撥水層付きガス拡散層を密着させ、本発明の燃料電池用電極膜接合体(ガス拡散層/触媒層/固体高分子電解質膜/触媒層/ガス拡散層)を作製した。
<燃料電池(単セル)の作製>
上記で得られた燃料電池用電極膜接合体を4cm角の試料とし、その両側からガスケット2枚、次いでグラファイトプレートであるセパレータ2枚ではさみ、更に両側から集電板を2枚装着して燃料電池(単セル)として作製した。測定はAuto PEMシリーズ「PEFC評価システム」(東陽テクニカ社製)で実施した。カソード(空気極)側から加湿した酸素ガスを供給し、アノード(燃料極)側から加湿した水素ガスを供給して電池特性を測定した。
上記により得られた小型単セルの電流−電圧特性を測定することにより、電池特性を評価した。なお、電池特性は比較例1を用いて作製した小型単セルを1.00とする相対値で判定した。本評価において、0.03A/cm2以上の差が認められれば、明らかに顕著な電池特性に差があるといえる。この結果を以下に示す。
表3からも明らかなように、HLB値が14〜20の非イオン系界面活性剤を使用した実施例1〜14のガス拡散層用撥水ペーストを用いて作製した小型単セルは、いずれの比較例よりも著しく優れた電池特性を示すことが明らかとなった。
Figure 0006582390
Figure 0006582390
Figure 0006582390

Claims (5)

  1. カーボンブラックと、フッ素系樹脂分散液と、界面活性剤と、水とを含有してなり、前記界面活性剤は、HLB値が14〜20の非イオン系界面活性剤であることを特徴とするガス拡散層用撥水ペーストであって、
    前記カーボンブラック100質量部に対して、前記フッ素系樹脂分散液中のフッ素系樹脂固形分が、15〜60質量部、前記界面活性剤が、50〜150質量部を含有してなるガス拡散層用撥水ペースト。
  2. JIS Z 8803:2011に規定された単一円筒形回転粘度計により測定される25℃における6回転/分での粘度が、1500mPa・s以上であり、且つ、次式より得られるチキソトロピックインデックス(TI値)が、1.5〜6である請求項1に記載のガス拡散層用撥水ペースト。
    TI値=6回転/分の粘度÷60回転/分の粘度
  3. 前記カーボンブラックのDBP吸油量が、100〜250mL/100gである請求項1または2に記載のガス拡散層用撥水ペースト。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか記載のガス拡散用撥水ペーストを導電性多孔質基材に塗工してなる燃料電池用ガス拡散層
  5. 請求項4に記載の燃料電池用ガス拡散層を備えてなる燃料電池。
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