JP6651928B2 - コーティング用組成物、それを使用するコート層付セパレータ及び燃料電池 - Google Patents

コーティング用組成物、それを使用するコート層付セパレータ及び燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、コーティング用組成物、それを使用するコート層付セパレータ及び燃料電池に関する。
燃料電池は、電気化学システムを用いて化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換できるシステムであり、高効率であるため次世代エネルギーとして期待されている。特に、固体高分子型燃料電池は作動温度が低く、高効率である点から自動車用、定置用、小型モバイル用に活発に開発が進められている。
燃料電池の基本的な構成は、固体高分子電解質膜を挟んで、対面するように負極触媒層と正極触媒層が設けられており、該触媒層の表面にガス拡散性を有する導電性支持体、セパレータが順次積層されたものが一般的である。セパレータの表面に凹凸上のガス流路が形成されており、ガス拡散性の導電性支持体を通して、触媒層へ反応ガス(酸素、水素)が供給されることで発電反応が生起する。発生した電力の取り出しのため、構成部材は高い導電性有することが好ましく、従来より、導電性支持体としては炭素繊維が、セパレータとしては黒鉛が使用されてきた。
黒鉛材質のセパレータは、導電性支持体との接触抵抗の低減や、発電時の高温、高湿、酸性雰囲気中での耐食性や耐酸化性に優れているが、その機械加工が難しく、量産性に乏しいという問題があった。そのため、機械加工がより容易で量産性に優れる金属材質の使用が好ましいが、耐酸化性に劣り、導電性支持体との接触抵抗の増加など電池特性へ悪影響を及ぼすという問題があった。
上記課題を解決するために、例えば特許文献1には、金属製セパレータの表面に、黒鉛からなる導電性炭素材料を含有する層を形成する手法が開示されている。また、特許文献2には、イオン性樹脂及び導電性粉末からなる塗料を電着法により金属製セパレータの表面に層形成する方法が開示されているが、これらの発明では、導電性材料の分散性が悪く、金属セパレータ表面の酸化抑制効果は不十分であった。
一方、特許文献3には、バインダー樹脂からなる被覆層が表面に形成された黒鉛粉末を成形加工し、600℃以上で焼成することにより得られることを特徴とする親水性多孔質炭素材を用いてなるセパレータが開示されている。また、特許文献4には、プラズマイオン注入法によって表面にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜が形成されたセパレータが開示されているが、これらの発明では、量産性に乏しく、大型のセパレータを安価に製造することは困難であった。
さらに、特許文献5には、金属製セパレータの表面に、炭素材料、バインダーとして酸変性ポリオレフィンを用いてなる水性導電性塗料を塗布乾燥し、層形成することで、耐酸性、耐熱性を付与する手法が開示されているが、この発明では、導電性塗料中における炭素材料の固形分濃度が非常に高いため、炭素材料の分散性が悪く、層内部が空疎化することに加え、バインダーが少ないことによる、密着性の低下等を招いていた。
このため、さらなる改善により、耐食性や耐酸化性を備え、長期安定性を有する、安価で量産性に優れた燃料電池用セパレータの開発が望まれている。
特開平10−255823号公報 特開2004−31166号公報 特開2005−119923号公報 特開2009−037977号公報 特開2013−206573号公報
本発明の目的は、導電性や密着性に優れる燃料電池用コート層付セパレータに使用するコーティング用組成物であり、また、本発明のコーティング用組成物を使用することで長期耐久性を有するコート層付セパレータと、電池特性に優れた燃料電池を提供することである。
本発明は、燃料電池用のコート層付セパレータに使用する炭素材料(A)と、水性樹脂型分散剤(B)と、オレフィン系エマルションバインダー(C)を含むコーティング用組成物であり、炭素材料(A)の分散性を損なうことなく、導電性やセパレータへの密着性、さらには燃料電池の電池特性を向上出来たものである。
即ち、炭素材料(A)と、水性樹脂型分散剤(B)と、オレフィン系エマルションバインダー(C)と、水性液状媒体(D)とを含有し、
炭素材料(A)、水性樹脂型分散剤(B)およびオレフィン系エマルションバインダー(C)の固形分の合計100質量%中、炭素材料(A)の含有量が、1質量%以上、85質量%以下である燃料電池用コート層付セパレータに使用するコーティング用組成物に関する。
また、本発明は、炭素材料(A)、水性樹脂型分散剤(B)およびオレフィン系エマルションバインダー(C)の固形分の合計100質量%中、炭素材料(A)の含有量が、20質量%以上、65質量%以下である上記のコーティング用組成物に関する。
また、本発明は、水性樹脂型分散剤(B)およびオレフィン系エマルションバインダー(C)の固形分の合計100質量%中、水性樹脂型分散剤(B)の含有量が、1質量%以上、40質量%未満である上記のコーティング用組成物に関する。
また、本発明は上記のコーティング用組成物から形成されたコート層を有する燃料電池用コート層付セパレータに関する。
また、本発明は、上記の燃料電池用コート層付セパレータを使用した、燃料電池に関する。
炭素材料(A)と、水性樹脂型分散剤(B)と、オレフィン系エマルションバインダー(C)とを含むことにより、コーティング用組成物中の炭素材料の分散性を損ねることなく、セパレータへの密着性に優れるコート層を形成でき、燃料電池が使用される環境下においても良好な発電特性を有する燃料電池を提供できる。さらには、炭素材料(A)と、水性樹脂型分散剤(B)と、オレフィン系エマルションバインダー(C)とを特定の比率で含むコーティング用組成物を使用することにより、良好な発電特性を有する燃料電池を提供できる。
<コーティング用組成物>
ここで、本発明で用いられるコート層を形成するコーティング用組成物について説明する。コーティング用組成物は、炭素材料(A)と水性樹脂型分散剤(B)と、オレフィン系エマルションバインダー(C)と、水性液状媒体(D)とを含有する。
コーティング用組成物の総固形分に占める炭素材料(A)の割合は、1質量%以上、85質量%以下であり、好ましくは20質量%以上、65質量%以下、さらに好ましくは30質量%以上、60質量%以下である。上記の範囲であればコート層の導電性及び塗膜密着性が良好に保たれる。また、水性樹脂型分散剤(B)およびオレフィン系エマルションバインダー(C)の固形分の合計に占める水性樹脂型分散剤(B)の割合が、1質量%以上、40質量%未満であり、好ましくは3質量%以上、20%質量以下である。上記の範囲であれば炭素材料(A)の分散性が良好となり、また、塗膜密着性も良好に保たれる。上記特定の比率で、水性樹脂型分散剤(B)とオレフィン系エマルションバインダー(C)とを併用することが良好なコート層を形成する上では大変重要である。
また、コーティング用組成物の適正粘度は、コーティング用組成物の塗工方法によるが、一般には、10mPa・s以上、30,000mPa・s以下とするのが好ましい。
このようなコーティング用組成物は、種々の方法で得ることができる。
炭素材料(A)と水性樹脂型分散剤(B)とオレフィン系エマルションバインダー(C)と水性液状媒体(D)とを含有する、コーティング用組成物の場合を例にとって説明する。
例えば、
(X−1) 炭素材料(A)と水性樹脂型分散剤(B)と水性液状媒体(D)とを含有する炭素材料の水性分散体を得、該水性分散体にオレフィン系エマルションバインダー(C)とを加え、コーティング用組成物を得ることができる。
(X−2) 炭素材料(A)と水性樹脂型分散剤(B)とオレフィン系エマルションバインダー(C)と水性液状媒体(D)と含有する炭素材料の水性分散体を得、コーティング用組成物を得ることができる。
(X−3) 水性樹脂型分散剤(B)とオレフィン系エマルションバインダー(C)と水性液状媒体(D)とを含有する溶液を得、さらに炭素材料(A)を加え、コーティング用組成物を得ることができる。
まず、導電性の炭素材料(A)について説明する。
本発明における炭素材料(A)としては、導電性を有する炭素材料であれば特に限定されるものではないが、グラファイト、カーボンブラック、導電性炭素繊維(カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー)、フラーレン等を単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。導電性、入手の容易さ、およびコスト面から、カーボンブラックの使用が好ましい。
カーボンブラックとしては、気体もしくは液体の原料を反応炉中で連続的に熱分解し製造するファーネスブラック、特にエチレン重油を原料としたケッチェンブラック、原料ガスを燃焼させて、その炎をチャンネル鋼底面にあて急冷し析出させたチャンネルブラック、ガスを原料とし燃焼と熱分解を周期的に繰り返すことにより得られるサーマルブラック、特にアセチレンガスを原料とするアセチレンブラックなどの各種のものを単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。また、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、中空カーボン等も使用できる。
カーボンの酸化処理は、カーボンを空気中で高温処理したり、硝酸や二酸化窒素、オゾン等で二次的に処理したりすることより、例えばフェノール基、キノン基、カルボキシル基、カルボニル基の様な酸素含有極性官能基をカーボン表面に直接導入(共有結合)する処理であり、カーボンの分散性を向上させるために一般的に行われている。しかしながら、官能基の導入量が多くなる程カーボンの導電性が低下することが一般的であるため、酸化処理をしていないカーボンの使用が好ましい。
用いるカーボンブラックの比表面積は、窒素の吸着量から求められる比表面積(BET)で、20m2/g以上、1500m2/g以下、好ましくは50m2/g以上、1500m2/g以下、更に好ましくは100m2/g以上、1500m2/g以下のものを使用することが望ましい。上記の範囲であれば、カーボンブラック粒子どうしの接触が良好となり、導電性も良好に保たれる。
また、用いるカーボンブラックの粒径は、一次粒子径で0.005〜1μmが好ましく、特に、0.01〜0.2μmが好ましい。ただし、ここでいう一次粒子径とは、電子顕微鏡などで測定された粒子径を平均したものである。
炭素材料(A)のコーティング用組成物中の分散粒径は、0.03μm以上、5μm以下に微細化することが望ましい。上記の範囲であれば、コート層塗膜の材料分布のバラつき、抵抗分布のバラつきがなく、良好な塗膜が得られる。
ここでいう分散粒径とは、体積粒度分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していったときに、50%となるところの粒子径(D50)であり、一般的な粒度分布計、例えば、動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)等で測定される。
市販のカーボンブラックとしては、例えば、トーカブラック#4300、#4400、#4500、#5500等(東海カーボン社製、ファーネスブラック)、プリンテックスL等(デグサ社製、ファーネスブラック)、Raven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULTRA等、Conductex SC ULTRA
、Conductex 975 ULTRA等、PUER BLACK100、115、2
05等(コロンビヤン社製、ファーネスブラック)、#2350、#2400B、#2600B、#3050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、#5400B等(三菱化学社製、ファーネスブラック)、MONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、BlackPearls2000等(キャボット社製、ファーネスブラック)、Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、SuperP−Li(TIMCAL社製)、ケッチェンブラックEC−300J、EC−600JD(アクゾ社製)、デンカブラック、デンカブラックHS−100、FX−35(電気化学工業社製、アセチレンブラック)等、グラファイトとしては、例えば人造黒鉛や燐片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛などの天然黒鉛が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
導電性炭素繊維としては石油由来の原料から焼成して得られるものが良いが、植物由来の原料からも焼成して得られるものも用いることができる。例えば石油由来の原料で製造される昭和電工社製のVGCFなどを挙げることができる。
次に、水性樹脂型分散剤(B)について説明する。
本発明の水性樹脂型分散剤(B)とは、25℃の水99g中に水性樹脂型分散剤(B)1g入れて撹拌し、25℃で24時間放置した後、分離・析出せずに水中で分散剤が完全に溶解可能なものである。
本発明において使用する水性樹脂型分散剤(B)は、炭素材料(A)に対して分散剤として有効に機能し、その凝集を緩和することができる。水性樹脂型分散剤(B)は、炭素材料(A)に対して凝集を緩和する効果が得られれば特に限定されるものではないが、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリルアミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、カルボキシメチルセルロース等の多糖類の樹脂を含む高分子化合物が挙げられる。また、これらの樹脂の変性物、混合物、又は共重合体でも良い。これら水性樹脂型分散剤(B)は、1種または複数を組み合わせて使用することも出来る。
水性樹脂型分散剤(B)の分子量は特に限定されないが、好ましくは質量平均分子量が5,000〜2,000,000である。質量平均分子量(Mw)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)におけるポリスチレン換算分子量を示す。
<オレフィン系エマルションバインダー(C)>
次に、オレフィン系エマルションバインダー(C)について説明する。本発明で用いられるオレフィン成分としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、イソブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン等の炭素数2以上、好ましくは炭素数2〜9のオレフィン化合物が挙げられ、これらオレフィン成分の単一の重合体あるいは2成分以上の共重合体を用いることが出来る。また、本発明のオレフィン系エマルションバインダーは、これらオレフィン化合物を40質量%以上、好ましくは60質量%以上含有しており、その他の構成成分としては、不飽和カルボン酸またはその無水物、(メタ)アクリル酸エステル類、マレイン酸エステル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類等を用いることが出来る。
不飽和カルボン酸またはその無水物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、クロトン酸等が挙げられる。不飽和カルボン酸またはその無水物は、オレフィン系エマルション全体の10質量%未満、好ましくは5質量%未満である。
(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸、ジ(メタ)アクリル酸(ジ)エチレングリコ− ル、ジ(メタ)アクリル酸−1 ,4−ブタンジオ−ル、ジ( メタ)アクリル酸−1 ,6−ヘキサンジオ− ル、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロ−ルプロパン、ジ(メタ)アクリル酸グリセリン、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。
マレイン酸エステル類としては、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等が挙げられる。
ビニルエステル類としては、例えば、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジ(メチロール)アクリルアミド、N−メチロール−N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ペントキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N−メトキシメチル−N−(ペントキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
以上のようなオレフィン系エマルションバインダー(C)は市販品を用いることも可能であり、市販品としては東邦化学社製のハイテックS−3121、ユニチカ社製のアローベースSB−1200、SD−1200、SE−1200、TC−4010、TD−4010、住友化学社製のザイクセンAC、A、AC−HW−10,L、NC、Nなど、三井化学社製のケミパールS100、S200、S300、V100、V200、V300、W100、W200、W300、W400、W4005、WP100、東洋紡社製のハードレンNZ−1004、NZ−1015などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
つぎに、水性液状媒体(D)について説明する。
本発明に使用する水性液状媒体(D)としては、水を使用することが好ましいが、必要に応じて、例えば、セパレータへの塗工性向上のために、水と相溶する液状媒体を使用しても良い。
水と相溶する液状媒体としては、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、エーテル類、ニトリル類等が挙げられ、水と相溶する範囲で使用しても良い。
さらに、コーティング用組成物には、成膜助剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、pH調整剤、粘性調整剤などを必要に応じて配合できる。
(分散機・混合機)
本発明のコーティング用組成物を得る際に用いられる装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機、混合機が使用できる。
例えば、ディスパー、ホモミキサー、若しくはプラネタリーミキサー等のミキサー類;エム・テクニック社製「クレアミックス」、若しくはPRIMIX社「フィルミックス」等のホモジナイザー類;ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、若しくはコボールミル等のメディア型分散機;湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、若しくは奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機;または、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、分散機としては、分散機からの金属混入防止処理を施したものを用いることが好ましい。
例えば、メディア型分散機を使用する場合は、アジテーター及びベッセルがセラミック製又は樹脂製の分散機を使用する方法や、金属製アジテーター及びベッセル表面をタングステンカーバイド溶射や樹脂コーティング等の処理をした分散機を用いることが好ましい。そして、メディアとしては、ガラスビーズ、または、ジルコニアビーズ、若しくはアルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましい。また、ロールミルを使用する場合についても、セラミック製ロールを用いることが好ましい。分散装置は、1種のみを使用しても良いし、複数種の装置を組み合わせて使用しても良い。また、強い衝撃で粒子が割れたり、潰れたりしやすい場合は、メディア型分散機よりは、ロールミルやホモジナイザー等のメディアレス分散機が好ましい。
<コート層付セパレータ>
本発明のコート層付セパレータは、セパレータと、前記のコーティング用組成物から形成されたコート層を具備する。
(セパレータ)
燃料電池用のセパレータは、その形状が、通常、シート状もしくは板状であり、その片面もしくは両面に凹凸状の溝が形成されている。燃料電池用のセパレータの該溝部は、後述する燃料電池用電極膜接合体の導電性支持体と密着することで、該溝部をガス流路として、燃料ガス(水素)や酸化剤ガス(酸素)等の反応ガスの供給を行う。通常、溝の深さは0.05〜2.0mmであり、溝の幅やリブ幅も同様である。セパレータの厚さとしては、燃料電池の大きさや用途に応じて特に制限されるものではないが、通常0.1〜3.0mm程度である。
燃料電池用セパレータの材質としては、特に限定されないが、炭素、アルミニウム、チタン、ステンレス、鉄、鋼、銅、亜鉛、スズ、マグネシウム、マンガン、シリコン、ニッケル、鉛、ビスマス、リチウム、バナジウム、モリブデン、ジルコニウム、パラジウム、及びこれらの合金を使用することができる。また、該材質表面には必要応じて表面処理、プライマーなどを施すことができる。
燃料電池用セパレータのガス流路形状としては、燃料電池セルのガス供給口からガス排出口までを一本の蛇行状流路で繋いだサーペンタイン流路が一般的であるが、これに限定するものではない。
(セパレータへのコーティング用組成物の塗工方法)
セパレータ上にコーティング用組成物を塗工する方法としては、特に制限はなく公知の方法を用いることができる。
具体的には、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、ナイフコーティング法、スプレーコティング法、スクリーン印刷法または静電塗装法等が挙げる事ができる。
乾燥方法としては放置乾燥、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機などが使用できるが、特にこれらに限定されるものではない。
又、塗布後に平版プレスやカレンダーロール等による圧延処理を行っても良い。
<燃料電池>
燃料電池は使用する電解質により、いくつかのタイプに分類することができるが、本発明の燃料電池としては、固体高分子形燃料電池がより好ましく、前記のコート層付セパレータも好適に使用することができる。
(固体高分子形燃料電池)
固体高分子形燃料電池は、固体高分子電解質4を挟むように、対向配置されたセパレータ1、ガス拡散層2、負極触媒層(燃料極)3、正極触媒層(空気極)5、ガス拡散層6、及びセパレータ7とから構成される。
上記セパレータ1、7は、燃料ガス(水素)や酸化剤ガス(酸素)等の反応ガスの供給、排出を行う。そして、負極及び正極触媒層3、5に、ガス拡散層2、6を通じてそれぞれ均一に反応ガスが供給されると、両電極に備えられた触媒と固体高分子電解質4との境界において、気相(反応ガス)、液相(固体高分子電解質膜)、固相(両電極が持つ触媒)の三相界面が形成される。そして、電気化学反応を生じさせることで直流電流が発生する。
上記電気化学反応において、
正極側:O2+4H++4e-→2H2
負極側:H2→2H++2e-
の反応が起こり、負極側で生成されたH+イオン(プロトン)は固体高分子電解質4中を正極側に向かって移動し、e-(電子)は外部の負荷を通って正極側に移動する。
一方、正極側では酸化剤ガス中に含まれる酸素と、負極側から移動してきたH+イオン及びe-とが反応して水が生成される。この結果、上述の燃料電池は、水素と酸素とから直流電力を発生し、水を生成することになる。
(燃料電池用触媒材料)
燃料電池用触媒材料は、公知もしくは市販のものを使用することができる。例えば、触媒粒子が、触媒担持体としての炭素粒子、酸化物粒子、あるいは窒化物粒子上に担持してなるものが挙げられる。
触媒粒子としては、例えば、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム又はこれらの合金等が挙げられる。
触媒担持体としては、例えば、下記のものが挙げられる。
炭素粒子としては、炭素材料(A)と同様のものが挙げられる。
酸化物粒子としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカ、アルミナ等が挙げられる。
窒化物粒子としては、例えば、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ニオブ、窒化タンタル、窒化クロム、窒化バナジウム等が挙げられる。
これら触媒担持体は、要求性能に合わせて最適な材料を選択することができる。
触媒粒子の触媒担持体上への担持率は特に限定されない。触媒粒子として白金、触媒担持体として炭素粒子を用いた場合は、触媒粒子100質量%に対して、通常1〜70質量%程度までの担持が可能である。
市販の燃料電池用触媒材料としては、例えば、
TEC10E50E、TEC10E70TPM、TEC10V30E、TEC10V50E、TEC66E50等の白金担持炭素粒子;
TEC66E50、TEC62E58等の白金−ルテニウム合金担持炭素粒子;
をいずれも田中貴金属工業社より購入することができるが、これらに限定されるものではない。
(燃料電池用バインダー)
燃料電池用のバインダーとしては、プロトン伝導性ポリマーが好ましい。プロトン伝導性ポリマーとしては、親水性官能基を有するバインダーを指し、プロトン伝導度として100%RH、25℃で10-3Scm-1以上を示すものが好ましい。
ここで、親水性官能基としては、スルホ基、カルボキシル基、りん酸基等の酸性官能基、水酸基、アミノ基等の塩基性官能基が挙げられるが、プロトン解離性の観点から、スルホ基、カルボキシル基、りん酸基、及び水酸基がより好ましい。
プロトン伝導性を示すポリマーとしては、スルホ基を導入した、オレフィン系樹脂(ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸等)、ポリイミド系樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリベンズイミダゾール系樹脂、及びポリスチレン系樹脂、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体のスルホン酸ドープ品、パーフルオロスルホン酸系樹脂等のスルホン酸を有する樹脂;
ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース等のカルボン酸を有する樹脂;
ポリビニルアルコール等の水酸基を有する樹脂;
ポリアリルアミン、ポリジアリルアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウム塩、イミダゾール部分で酸と塩形成したポリベンズイミダゾール系樹脂等のアミノ基を有する樹脂;
ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール等の、その他の親水性官能基を有する樹脂が挙げられる。特に、パーフルオロスルホン酸系樹脂は、電気陰性度の高いフッ素原子を導入する事で化学的に非常に安定し、スルホ基の解離度が高く、高いプロトン導電性が実現できる。このようなプロトン伝導性ポリマーの具体例としては、デュポン社製の「Nafion」等が挙げられる。通常、プロトン伝導性ポリマーは、ポリマーを5〜30質量%程度含むアルコール水溶液として使用される。アルコールとしては、例えば、メタノール、プロパノール、エタノールジエチルエーテル等が使用される。
(燃料電池用触媒インキ組成物)
燃料電池用触媒インキ組成物は、一般的には燃料電池用触媒材料、燃料電池用バインダー、溶剤を主として構成され、必要に応じて、分散剤等の添加剤を含むものである。
後述する燃料電池用電極膜接合体に使用される燃料電池用触媒層は、燃料電池用触媒インキ組成物を、例えば、後述の転写基材等に塗布・乾燥することで製造することができる。
使用される溶剤としては、特に制限はないが、上述のプロトン伝導性ポリマーをバインダーとして使用する場合は、相溶性の観点から、本発明における水性液状媒体(D)と同様のものが好ましい。
その調製方法もついても特に制限はない。各成分を同時に分散しても良いし、触媒材料を分散後、バインダーを添加してもよく、使用する触媒材料、バインダー、溶剤により最適化することができる。
(燃料電池用電極膜接合体)
燃料電池用電極膜接合体とは、プロトン伝導性の固体高分子電解質膜の片面もしくは両面に、燃料電池用触媒層が密着して形成され、さらに、その片面もしくは両面に、ガス拡散性の導電性支持体が密着して具備したものである。
燃料電池用電極膜接合体の製造方法としては、固体高分子電解質膜の片面もしくは両面に、転写基材上に予め形成された燃料電池用触媒層を転写後、導電性支持体を熱圧着することで燃料電池用電極膜接合体を作製する方法が挙げられる。また、固体高分子電解質膜の片面もしくは両面に、導電性支持体上に予め形成された燃料電池用触媒層を、熱圧着することで燃料電池用電極膜接合体を作製してもよい。
(固体高分子電解質膜)
固体高分子電解質膜としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系のフッ素イオン交換樹脂等が挙げられる。電気陰性度の高いフッ素原子を導入する事で化学的に非常に安定し、スルホ基の解離度が高く、高いイオン導電性が実現できる。具体例としてはデュポン社製の「Nafion」、旭硝子社製の「Flemion」、旭化成社製の「Aciplex」、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」等が挙げられる。電解質膜の膜厚としては、通常20〜250μm、好ましくは10〜80μmである。
(転写基材)
転写基材は触媒インキ組成物を塗布することで燃料電池用触媒層を形成し、転写基材上にある触媒層をナフィオンなどの固体高分子電解質膜に転写するためのフィルム基材である。転写基材としては、安価で入手が容易な高分子フィルムが好ましく、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート等がより好ましい。具体例としてはテフロン(登録商標)シート等が挙げられる。
(導電性支持体)
導電性支持体は、負極又は正極を構成する各種の導電性支持体を使用できるが、固体高分子形燃料電池に代表される多くの燃料電池では、正極側では空気中の酸素を取り入れ、負極側では水素を取り込めるように、気体が通過および拡散できるような多孔質または繊維状の支持体であることが好ましい。更に電子の出し入れが必要なため導電性を有する材料を用いらなければならない。好ましくは炭素素材からなるカーボンペーパや、カーボンフェルト、カーボンクロスなどがよい。具体例としては東レ社製の「TGP−H−090」等が挙げられる。これら導電性支持体は、燃料電池ではガス拡散層あるいはGDLとも呼ばれる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。尚、実施例および比較例における「部」は「質量部」を、「%」とは「質量%」を表す。
<コーティング用組成物>
(実施例1)
導電性の炭素材料としてアセチレンブラック(A−1:デンカブラックHS−100)
10部、水性樹脂型分散剤(B)であるポリアリルアミン20%水溶液(B−1)を7部(固形分として1.4部)、オレフィン系エマルションバインダーであるハイテックS−3121(C−1)を87.7部(固形分として21.9部)、水41.5部、イソプロパノール(IPA)12.5部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、コーティング用組成物(1)を得た。得られた分散体の分散度をグラインドゲージによる判定(JISK5600−2−5に準ず)より求めた。評価結果を表1に示す。表中の数字は粗大粒子の大きさを示し、数値が小さいほど分散性に優れ、均一で良好な状態であることを示している。
(実施例2〜実施例12、比較例1〜4)
表1に示す組成比で、コーティング用組成物(1)と同様の方法により、それぞれ実施例及び比較例のコーティング用組成物(2)〜(16)を得た。

実施例で使用した材料を下記に示す。
IPA:イソプロパノール(2−プロパノール)(キシダ化学社製)
〈導電性の炭素材料(A)〉
A−1:デンカブラックHS−100(電気化学工業社製)
A−2:ミツビシカーボン#3050B(三菱化学社製)
A−3:デンカブラック粒状品(電気化学工業社製)
〈水性樹脂型分散剤(B)〉
B−1:ポリアリルアミンPAA−05(20%水溶液)(日東紡績社製)
B−2:カルボキシルメチルセルロース(和光純薬工業社製)
B−3:ポリアクリル酸(和光純薬工業社製、平均分子量5000)
〈オレフィン系エマルションバインダー(C)〉
C−1:ハイテックS−3121(固形分25%水分散液) (東邦化学社製)
C−2:ケミパールW4005(固形分40%水分散液) (三井化学社製)
表1に示すように、本発明のコーティング用組成物(1)〜(12)は、炭素材料の分散性に優れ、均一なコーティング用組成物であることが明らかとなった。
<コート層付セパレータの作製>
[実施例A−1:コート層付セパレータ(1)]
容器中に燃料電池セパレータコーティング用組成物(1)を加え、その中にセパレータを一定時間浸漬して引き上げた後、120℃で30分間乾燥し、コート層付セパレータ(1)を得た。コート層の厚みは18μmであった。得られたコート層付セパレータのコート層の密着性を後述の方法にて評価した。評価結果を表2の実施例A−1に示す。使用したセパレータは、SUS304を材質とする大きさ8cm角の基材の中心に、5cm角の範囲でサーペンタイン型の一本流路(流路幅1.0mm、リブ幅1.0mm、流路深さ0.6mm)が片面に形成されたものを使用した。
[実施例A−2〜A−12、比較例B−1〜4:コート層付セパレータ(2)〜(16)]
表2に記載の構成で、コート層付セパレータ(1)と同様の方法により、それぞれコート層付セパレータ(2)〜(16)を得た。密着性の評価結果を表2の実施例A−2〜A−12及び比較例B−1〜B−4に示す。
(コート層付セパレータの耐酸密着性評価)
上記で作製したコート層付セパレータ(1)〜(16)を100℃、pH=1の硫酸水溶液中で72時間浸漬後、イオン交換水で十分に洗浄し、100℃、1時間で乾燥した。
その後、ナイフを用いてコート層表面からセパレータに達する深さまでの切込みを2mm間隔で縦横それぞれ6本の碁盤目の切込みを入れた。この切り込みに粘着テープを貼り付けて直ちに引き剥がし、コート層の脱落の程度を目視にて判定した。評価基準を下記に示す。
○:「剥離なし。特に優れている。」
○△:「わずかに剥離。全く問題なし。」
△:「半分程度剥離。実用上問題あり。使用を避けるほうが好ましい。」
×:「ほとんどの部分で剥離。使用不可。」
表1に示すように、本発明のコート層付セパレータ(1)〜(12)は、酸性水溶液への浸漬後も密着性に優れることが明らかであった。燃料電池用のセパレータは、水蒸気を含むガスの流路であり、特に、固体高分子形燃料電池では、高温、酸性条件下での使用が想定されるため、該条件でコート層が維持できていることは非常に重要である。
(燃料電池用触媒インキ組成物の作製)
触媒材料として白金触媒担持カーボン4質量部(田中貴金属社製、白金量46%、TEC10E50E)、溶剤として2−プロパノール56質量部、およびイオン交換水20質量部をディスパーにて攪拌混合することで触媒ペースト組成物(固形分濃度4質量%)を調製した後、プロトン伝導性ポリマーとして20質量%ナフィオン(Nafion)分散溶液(デュポン社製、CStypeDE2020)20質量部を添加し、ディスパーにて攪拌混合することで燃料電池用触媒インキ組成物(固形分濃度8質量%、触媒インキ組成物100質量%としたときの触媒材料とプロトン伝導性ポリマーの合計した割合)を作製した。
(燃料電池用電極膜接合体の作製)
上述の燃料電池用触媒インキ組成物を、白金触媒の目付け量が0.1mg/cm2になるようにテフロン(登録商標)フィルム上に塗布し、加熱真空乾燥することにより、燃料電池用触媒層が形成されたテフロン(登録商標)フィルムを得た。
続いて、燃料電池用触媒層が形成されたテフロン(登録商標)フィルムから5cm角の打ち抜き片を2枚作製し、8cm角の固体高分子電解質膜(Nafion NR−212、デュポン社製、膜厚51μm)の中心に両面から密着して、150℃、5MPaの条件で狭持した後、テフロン(登録商標)フィルムを剥離することで、固体高分子電解質膜上へ触媒層を転写形成した。更に、触媒層の表面へ、5cm角の炭素繊維からなるカーボンペーパ基材(SGL24−BCH、SGLカーボン社製)を密着することで、電極面積が5cm角の燃料電池用電極膜接合体を作製した。
<燃料電池用評価セルの作製>
[実施例13]
上述の燃料電池用電極膜接合体の電極部を、ガスケットを用いて取り囲み、次いでコート層付セパレータ(1)のガス流路部が電極面積と重なるように両面から挟み込んだ。最後に、集電板2枚を両側に装着して燃料電池用評価セルを作製した。
[比較例5]
コーティング用組成物によるコーティングを実施していないセパレータを使用した以外は、実施例13と同様にして燃料電池用評価セルを作製した。
[実施例14〜24、比較例6〜9]
コート層付セパレータ(2)〜(16)を使用した以外は、実施例13と同様にして燃料電池用評価セルを作製した。
(燃料電池の特性評価:抵抗値変化率)
得られた燃料電池用評価セルを用いて、セル温度を80℃とし、正極側から温度60℃、相対湿度42%で加湿した空気を流量800mL/minで供給し、負極側から温度77℃、相対湿度88%で加湿した水素ガスを流量550mL/min供給し、電流密度500mA/cm2で3時間保持した後の抵抗値と、72時間保持後の抵抗値を記録し、それら抵抗値の変化率(72時間後の抵抗値/3時間後の抵抗値の比の百分率)を算出した(値が小さいほど良好)。評価基準を下記に示す。測定はすべてAutoPEMシリーズ「PEFC評価システム」(東陽テクニカ社製)を用いて実施した。評価結果を表3に示す。
○:「変化率が102%以下。特に優れている。」
○△:「変化率が102%より高く、106%以下。全く問題なし。」
△:「変化率が106%より高く、130%以下。問題はあるが使用可能なレベル。」
×:「変化率が130%以上。実用上問題あり、使用不可。」
表3に示すように、本発明のコート層付セパレータを用いた燃料電池は、抵抗値変化率が優れていることが分かった。コート層の密着性と抵抗値変化率に完全な相関がないことから、コート層を構成する水性樹脂型分散剤(B)およびオレフィン系エマルションバインダーの固形分の合計を占めるオレフィン系エマルションバインダーの含有量が本発明の特定の範囲である場合に、燃料電池デバイス全体を通した導電状態が良好となっていることが考えられる。
また、表3に示すように、本発明のコート層付セパレータを用いた燃料電池の場合、コート層を形成しなかった比較例5の評価結果と比較して、抵抗値変化率が良好となっていることが分かる。これは、コート層なしでは、燃料電池の作動条件である高温、高湿、酸性条件下でセパレータ表面に酸化被膜が形成され、導電性が極端に悪化したためである。また、比較例6のように、水性樹脂型分散剤(B)を使用しない場合、コーティング用組成物の分散性が不十分なため、コート層の内部構造が疎になり、セパレータ表面を保護することが出来なくなる。さらに、比較例7のように、オレフィン系エマルションバインダーを使用しない場合、十分な耐酸密着性が得られず、コート層の剥離等によりセパレータ表面が剥き出しとなり、比較例5と同様に、酸化被膜形成による導電性の悪化につながる。一方、比較例8及び9のように、コート層の組成の大部分が炭素材料より構成されている場合、分散不良によるコート層内部の空疎化に加え、耐酸密着性の低下も顕著となり、良好な特性が得られない。
図1は、燃料電池の構造の模式図である。
1 セパレータ
2 ガス拡散層
3 負極電極触媒(燃料極)
4 固体高分子電解質
5 正極電極触媒(空気極)
6 ガス拡散層
7 セパレータ

Claims (5)

  1. 炭素材料(A)と、水性樹脂型分散剤(B)と、オレフィン系エマルションバインダー(C)と、水性液状媒体(D)とを含有し、
    炭素材料(A)、水性樹脂型分散剤(B)およびオレフィン系エマルションバインダー(C)の固形分の合計100質量%中、炭素材料(A)の含有量が、1質量%以上、85質量%以下である燃料電池用コート層付セパレータに使用するコーティング用組成物。
  2. 炭素材料(A)、水性樹脂型分散剤(B)およびオレフィン系エマルションバインダー(C)の固形分の合計100質量%中、炭素材料(A)の含有量が、20質量%以上、65質量%以下である請求項1に記載のコーティング用組成物。
  3. 水性樹脂型分散剤(B)およびオレフィン系エマルションバインダー(C)の固形分の合計100質量%中、水性樹脂型分散剤(B)の含有量が、1質量%以上、40質量%未満である請求項1または2に記載のコーティング用組成物。
  4. 請求項1〜3いずれか記載のコーティング用組成物から形成されたコート層を有する燃料電池用コート層付セパレータ。
  5. 請求項4に記載の燃料電池用コート層付セパレータを使用した、燃料電池。
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