JP2015026590A - 非水電解液および非水二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】非水溶剤、電解質、および燃焼抑制剤を含有する非水電解液であって、前記燃焼抑制剤はホスファゼン化合物を含有し、燃焼抑制剤の沸点および溶剤の沸点等で規定される特定の条件を満たす非水電解液。
【選択図】図1
Description
本発明はかかる課題認識およびそれに基づく新たな知見に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、電池性能の低下を抑制しつつ、難燃性を向上させることができる非水電解液および二次電池の提供を目的とする。第2の目的は、Ni及び/又はMnを含有する高電位まで使用可能な正極材料を用いた電池に適合し、上記の優れた性能を発揮する非水電解液および二次電池の提供を目的とする。
〔1〕非水溶剤、電解質、および燃焼抑制剤を含有する非水電解液であって、燃焼抑制剤はホスファゼン化合物を含有し、下記条件(I)〜(III)の少なくとも1つの条件を満たす非水電解液。
(I)非水溶剤が沸点120℃以下の溶剤を含有してなる。燃焼抑制剤として、1気圧における沸点x1(単位 ℃)を有するホスファゼン化合物X1と、1気圧における沸点y1(単位 ℃)を有するリン含有化合物Y1とを少なくとも用いる。燃焼抑制剤の沸点x1およびy1について、下記式(i)を満たす。
x1≦120<y1≦220 ・・・(i)
(II)燃焼抑制剤として1気圧における沸点x2(単位 ℃)を有するホスファゼン化合物X2と、1気圧における沸点y2(単位 ℃)を有するリン含有化合物Y2とを少なくとも用いる。燃焼抑制剤の沸点x2およびy2と、非水溶剤のうち最も沸点の低い溶剤Aの1気圧における沸点a(単位 ℃)とについて、下式(ii)を満たす
x2≦a<y2≦a+90 ・・・式(ii)
(III)非水溶剤が、沸点100℃以下の溶剤を全非水溶剤に対し20〜80体積%含有し、下記式(X3)で表される燃焼抑制剤X3を全電解液に対し1〜20質量%含有する。
〔2〕燃焼抑制剤Y1およびY2が、それぞれ独立に、リン酸エステル化合物、リン酸アミド化合物、およびホスファゼン化合物から選ばれる〔1〕に記載の非水電解液。
〔3〕燃焼抑制剤X1、X2、X3、Y1、およびY2が、それぞれ独立に、環状ホスファゼン化合物である〔1〕に記載の非水電解液。
〔4〕Y1およびY2が、それぞれ独立に、アミノ基を有する環状ホスファゼン化合物である〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の非水電解液。
〔5〕非水溶剤がジメチルカーボネートおよび/またはエチルメチルカーボネートを全溶剤に対し20〜80体積%含有する〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の非水電解液。
〔6〕非水溶剤がジメチルカーボネートを全溶剤に対し20〜80体積%含有する〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の非水電解液。
〔7〕燃焼抑制剤X1、X2、X3、Y1、およびY2のうち少なくとも1種が、それぞれ独立に、下式(F1)で表される環状ホスファゼン化合物である〔1〕、〔3〕、〔5〕および〔6〕のいずれか1項に記載の非水電解液。
〔9〕正極と負極と〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の非水電解液とを具備する非水二次電池。
〔10〕正極の活物質が、Niおよび/またはMn原子を含有する〔9〕に記載の非水二次電池。
〔11〕正極の活物質が、Niおよび/またはMn原子を含有する〔10〕に記載の非水二次電池。
〔12〕負極の活物質が、炭素、Si、チタン、およびスズから選ばれる少なくとも1種を含有する〔9〕〜〔11〕のいずれか1項に記載の非水二次電池。
〔13〕〔9〕〜〔12〕のいずれか1項に記載の二次電池を充放電に用いる方法であって、4.3V以上の正極電位(Li/Li+基準)で用いる二次電池の使用方法。
非水電解液において、低温条件および/または大電流で放電を行う際には、低粘度の溶剤を用いることが電池性能の観点から有利である。これにより、イオン伝導度を高くし、容量の劣化を抑えることができるためである。低温で且つ大電流放電のような更に過酷な放電条件においては低粘度溶剤の効果はより顕著である。しかしながら低粘度の溶剤は、同時に、通常低沸点であり引火点が低い。特にリチウムイオン電池に一般的に用いられる溶剤のうち低沸点(例えば120℃以下)の溶剤は、引火点が低い(例えば25℃未満)ものが多い。このような溶剤は着火源があれば室温でも容易に着火・延焼してしまう。こうした観点から、本発明では、溶剤の沸点と燃焼抑制剤との沸点や化学構造とを下記条件(I)〜(III)の特定の範囲に分けて規定している(当該条件以外の規定では上記課題の解決手段を過不足なく特定することは困難である。)。
条件(III)は、なかでも特に高電位まで使用可能な正極材料と組み合わせて使用し、正極電位4.3V以上(より好ましくは4.4V以上)という高電位で充放電を行うものに適している。具体的には、通常このような高電位条件では添加剤の分解による性能劣化が顕著であるところ、条件(III)の電解液は安定であり、良好な性能を維持することができる。これは、ホスファゼン化合物X3の酸化電位が高いことに加え、所定の非水溶剤と組み合わせることで、その安定性が一層高められたためと考えられる。
本実施形態においては、非水溶剤が、沸点120℃以下の溶剤を含有する。さらに、そこに含有させる燃焼抑制剤として、1気圧における沸点x1を有するホスファゼン化合物X1と、1気圧における沸点y1を有するリン含有化合物Y1とを少なくとも用いる。このとき、燃焼抑制剤として、その他の化合物を用いてもよい。なお、本明細書においてリン含有化合物にホスファゼン化合物は含まれる。
x1≦120<y1≦220 ・・・(i)
非水溶剤Lの濃度は全溶剤中20体積%以上の場合に本願の効果が顕著に現れ好ましく、50体積%以上がより好ましく、60体積%以上が特に好ましい。上限は特にないが、非水溶剤Lが100体積%(全溶剤)であってもよいが、高沸点溶剤との組合せ効果を考慮すると、90体積%以下が好ましく、80体積%以下がより好ましく、70体積%以下が特に好ましい。
非水溶剤Lの沸点の範囲は120℃以下であり、50℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることが特に好ましい。
具体的な溶剤の例でみると下記が示される。
EC−DMC=238−90=148
EC−EMC=238−108=130
EC−DEC=238−127=111
EC:エチルカーボネート
DMC:ジメチルカーボネート
EMC:エチルメチルカーボネート
DEC:ジエチルカーボネート
Ra1〜Ra6のうち少なくとも4つがフッ素原子であることが好ましく、少なくとも5つがフッ素原子であることが更に好ましい。
Rb1〜Rb8のうち少なくとも6つがフッ素原子であることが好ましく、少なくとも7つがフッ素原子であることが更に好ましい。
溶剤Lの沸点Tlとホスファゼン化合物X1の沸点x1との差の絶対値|Tl−x1|は、0℃以上であることが好ましい。上限側の規定としては、80℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましく、30℃以下であることが特に好ましい。
溶剤Hの沸点Thとリン含有化合物Y1の沸点y1との差の絶対値|Th−Y1|は、10℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることが特に好ましい。上限側の規定としては、180℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましく、130℃以下であることが特に好ましい。
このとき、リン含有化合物が3種以上ある場合には、その最低沸点をx1、最高沸点をy1と定義する。溶剤についても同様であり3種以上ある場合には、その最低沸点をTl、最高沸点をThと定義する。以下では、特に断らない限り、3種以上のものが対象となるときには、その沸点の最高値と最低値を比較対象とする。
本実施形態においては、燃焼抑制剤として、1気圧における沸点x2を有するホスファゼン化合物X2と、1気圧における沸点y2を有するリン含有化合物Y2とを少なくとも用いる。さらに、燃焼抑制剤の沸点x2、y2と、前記非水溶剤のうち最も沸点の低い溶剤Aの1気圧における沸点aとについて、下記式(ii)を満たす。
x2≦a<y2≦a+90 ・・・式(ii)
a−40≦x2≦a<y2≦a+70 ・・・式(iia)
溶剤Aの沸点aとリン含有化合物X2の沸点x2との差の絶対値|a−x2|は、0℃以上であることがより好ましい。上限側の規定としては、80℃以下であることが好ましく、70℃以下であることがより好ましく、40℃以下であることが特に好ましい。
本実施形態においては、非水溶剤が、沸点100℃以下の溶剤を全非水溶剤に対し20〜80体積%(好ましくは、30〜70体積%)含有する。また、下記式(X3)で表される燃焼抑制剤X3を全電解液(電解質を含む)に対し1〜20質量%含有する。下記式(X3)で表される燃焼抑制剤の量は、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましく、7質量%以下が特に好ましい。本実施形態3においては、燃焼抑制剤を複数用いず、1種のみで用いることが好ましい。このような、単独使用の際に、下記式(X3)の限定された化合物を用いることが意義を有し、特に顕著な効果が発揮される。また、本実施形態(条件(III))の電解液は、高電位まで使用可能な正極材料との組合せにおいて顕著な効果を発揮する。
Raは炭素数1〜3の有機基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1である。好ましいRaとしては−Me、−OMe、−SMe、−CN、−NCO、−NCS、−OCH2CF3、−OCF3、−OCH(CF3)3、−OCH2CF2CF3、−OCH2CF2CF2Hが挙げられ、特に好ましくは−OMe、−OCH2CF3、−OCH(CF3)3である。ここで、Meはメチル基を表す。
本発明の電解液に用いる電解質は周期律表第一族又は第二族に属する金属イオンの塩であることが好ましい。その材料は電解液の使用目的により適宜選択される。例えば、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられ、二次電池などに使用される場合には、出力の観点からリチウム塩が好ましい。本発明の電解液をリチウム二次電池用非水系電解液として用いる場合には、金属イオンの塩としてリチウム塩を選択すればよい。リチウム塩としては、リチウム二次電池用非水系電解液の電解質に通常用いられるリチウム塩が好ましく、例えば、以下に述べるものが好ましい。
これらのなかで、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6、LiClO4、Li(Rf1SO3)、LiN(Rf1SO2)2、LiN(FSO2)2、及びLiN(Rf1SO2)(Rf2SO2)が好ましく、LiPF6、LiBF4、LiN(Rf1SO2)2、LiN(FSO2)2、及びLiN(Rf1SO2)(Rf2SO2)などのリチウムイミド塩がさらに好ましい。ここで、Rf1、Rf2はそれぞれパーフルオロアルキル基を示す。
なお、電解液に用いる電解質は、1種を単独で使用しても、2種以上を任意に組み合わせてもよい。
電解液における電解質(好ましくは周期律表第一族又は第二族に属する金属のイオンもしくはその金属塩)は、以下に電解液の調製法で述べる好ましい塩濃度となるような量で添加されることが好ましい。塩濃度は電解液の使用目的により適宜選択されるが、一般的には電解液全質量中10質量%〜50質量%であり、さらに好ましくは15質量%〜30質量%である。モル濃度としては0.5M〜1.5Mが好ましい。なお、イオンの濃度として評価するときには、その好適に適用される金属との塩換算で算定されればよい。
本発明の非水電解液においては前記で挙げた非水溶剤に加えて更に他の溶剤を含有していても良い。用いられる溶剤としては、非プロトン性有機溶媒であることが好ましく、エーテル基、カルボニル基、エステル基、またはカーボネート基を有する化合物であることが好ましい。当該化合物は置換基を有していてもよく、その例として後記置換基Tが挙げられる。
本発明の電解液には、各種の機能性添加剤を含有させることが好ましい。この添加剤により発現させる機能としては、例えば、難燃性の向上、サイクル特性の良化、容量特性の改善が挙げられる。以下に、本発明の電解質に適用することが好ましい機能性添加剤の例を示す。
芳香族性化合物としては、ビフェニル化合物、アルキル置換ベンゼン化合物が挙げられる。ビフェニル化合物は2つのベンゼン環が単結合で結合している部分構造を有しておりベンゼン環は置換基を有してもよく、好ましい置換基は、炭素原子数1〜4のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、t−ブチルなど)、炭素原子数6〜10のアリール基(例えば、フェニル、ナフチルなど)である。
ビフェニル化合物としては、具体的に、ビフェニル、o−テルフェニル、m−テルフェニル、p−テルフェニル、4−メチルビフェニル、4−エチルビフェニル、及び4−tert−ブチルビフェニルを挙げることができる。
アルキル置換ベンゼン化合物は、炭素数1〜10のアルキル基で置換されたベンゼン化合物が好ましく、具体的には、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、t−アミルベンゼン、t−ブチルベンゼン、テチラヒドロナフタレンを挙げることができる。
ハロゲン含有化合物が有するハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、または、臭素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。ハロゲン原子の数としては1〜6個が好ましく、1〜3個が更に好ましい。ハロゲン含有化合物としてはフッ素原子で置換されたカーボネート化合物、フッ素原子を有するポリエーテル化合物、フッ素置換芳香族化合物が好ましい。
ハロゲン置換カーボネート化合物は鎖状、または、環状いずれでもよいが、イオン伝導性の観点から、電解質塩(例えばリチウムイオン)の配位性が高い環状カーボネート化合物が好ましく、5員環環状カーボネート化合物が特に好ましい。
ハロゲン置換カーボネート化合物の好ましい具体例を以下に示す。この中でもBex1〜Bex4の化合物が特に好ましく、Bex1が特に好ましい。
重合性化合物としては炭素−炭素二重結合を有する化合物が好ましく、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートなどの二重結合を有するカーボネート化合物、アクリレート基、メタクリレート基、シアノアクリレート基、αCF3アクリレート基から選ばれる基を有する化合物、スチリル基を有する化合物が好ましく、二重結合を有するカーボネート化合物、あるいは重合性基を分子内に2つ以上有する化合物が更に好ましい。
リン含有化合物としては、前記X1〜X3、Y1,Y2以外のリン含有化合物であり、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物が好ましい。リン酸エステル化合物の好ましい例としては、リン酸トリフェニル、リン酸トリベンジルなどが挙げられる。リン含有化合物としては、下記式(D2)または(D3)で表される化合物も好ましい。
含硫黄化合物としては−SO2−、−SO3−、−OS(=O)O−結合を有する化合物が好ましく、プロパンサルトン、プロペンサルトン、エチレンサルファイトなどの環状含硫黄化合物、スルホン酸エステル類が好ましい。
ケイ素含有化合物としては、下記式(F1)または(F2)で表される化合物が好ましい。
RF2はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又はアルコキシ基を表す。
なお、1つの式に複数あるRF1及びRF2はそれぞれ異なっていても同じであってもよい。
ニトリル化合物としては、下記式(G)で表される化合物が好ましい。
金属錯体化合物としては、遷移金属錯体もしくは希土類錯体が好ましい。なかでも、下記式(H−1)〜(H−3)のいずれかで表される錯体が好ましい。
MH−(NR1HR2H)qH ・・・ 式(H−4)
qHは1〜4の整数を表し、2〜4の整数が好ましい。更に好ましくは2または4である。qHが2以上のとき、そこで規定される複数の基は互いに同じでも異なっていてもよい。
中心金属Mhは、Ti、Zr、ZrO、Hf、V、Cr、Fe、Ceが特に好ましく、Ti、Zr、Hf、V、Crが最も好ましい。
これらは置換基を表す。なかでも、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アルケニル基、ハロゲン原子が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜6のアルケニル基がより好ましく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル、パーフルオロメチル、メトキシ、フェニル、エテニルであることが好ましい。
R33h、R55hは水素原子またはR3hの置換基を表す。
Yhは、炭素数1〜6のアルキル基またはビス(トリアルキルシリル)アミノ基が好ましく、メチル基またはビス(トリメチルシリル)アミノ基がより好ましい。
lh、mh、ohは0〜3の整数を表し、0〜2の整数が好ましい。lh、mh、ohが2以上のとき、そこで規定される複数の構造部は互いに同じであっても、異なっていてもよい。
Lhはアルキレン基、アリーレン基が好ましく、炭素数3〜6のシクロアルキレン基、炭素数6〜14のアリーレン基がより好ましく、シクロヘキシレン、フェニレンがさらに好ましい。
イミド化合物としては、耐酸化性の観点よりパーフルオロ基を有するスルホンイミド化合物が好ましく、具体的にはパーフルオロスルホイミドリチウム化合物が挙げられる。
イミド化合物として、具体的には下記の構造が挙げられ、より好ましくはCex1、Cex2である。
置換基Tとしては、下記のものが挙げられる。
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、好ましくは、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5または6員環のヘテロ環基が好ましく、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルホンアミド基、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル等)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシル基、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ベンゾイル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホンアミド基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルファモイル基、例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−メチルメタンスルホンアミド、N−エチルベンゼンスルホンアミド等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ、1−ナフチルチオ、3−メチルフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ等)、アルキルもしくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルもしくはアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、ベンゼンスルホニル等)、ヒドロキシル基、シアノ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基またはヒドロキシル基である。
また、これらの置換基Tで挙げた各基は、上記の置換基Tがさらに置換していてもよい。
[電解液の調製方法等]
本発明の非水電解液は、金属イオンの塩としてリチウム塩を用いた例を含め、前記各成分を前記非水電解液溶媒に溶解して、常法により調製される。
本明細書において粘度は以下の方法で測定した値を言うこととする。サンプル1mLをレオメーター(CLS 500)に入れ、直径4cm/2°のSteel Cone(共に、TA Instrumennts社製)を用いて測定する。サンプルは予め測定開始温度にて温度が一定となるまで保温しておき、測定はその後に開始する。測定温度は25℃とする。
本発明においては前記非水電解液を含有する非水二次電池とすることが好ましい。好ましい実施形態として、リチウムイオン二次電池についてその機構を模式化して示した図1を参照して説明する。本実施形態のリチウムイオン二次電池10は、上記本発明の非水二次電池用電解液5と、リチウムイオンの挿入放出が可能な正極C(正極集電体1,正極活物質層2)と、リチウムイオンの挿入放出又は溶解析出が可能な負極A(負極集電体3,負極活物質層4)とを備える。これら必須の部材に加え、電池が使用される目的、電位の形状などを考慮し、正極と負極の間に配設されるセパレータ9、集電端子(図示せず)、及び外装ケース等(図示せず)を含んで構成されてもよい。必要に応じて、電池の内部及び電池の外部の少なくともいずれかに保護素子を装着してもよい。このような構造とすることにより、電解液5内でリチウムイオンの授受a,bが生じ、充電α、放電βを行うことができ、回路配線7を介して動作機構6を介して運転あるいは蓄電を行うことができる。以下、本発明の好ましい実施形態であるリチウム二次電池の構成について、さらに詳細に説明する。
本実施形態のリチウム二次電池が適用される電池形状には、特に制限はなく、例えば、有底筒型形状、有底角型形状、薄型形状、シート形状、及び、ペーパー形状などが挙げられ、これらのいずれであってもよい。また、組み込まれるシステムや機器の形を考慮した馬蹄形や櫛型形状等の異型のものであってもよい。なかもで、電池内部の熱を効率よく外部に放出する観点から、比較的平らで大面積の面を少なくとも一つを有する有底角型形状や薄型形状などの角型形状が好ましい。
本実施形態のリチウム二次電池は、図1に基づいて言うと、電解液5、正極及び負極の電極合剤C,A、セパレータの基本部材9を具備して構成される。以下、これらの各部材について述べる。
(電極合材)
電極合材は、集電体(電極基材)上に活物質と導電剤、結着剤、フィラーなどの分散物を塗布したものであり、リチウム電池においては、活物質が正極活物質である正極合材と活物質が負極活物質である負極合材が使用されることが好ましい。次に、電極合材を構成する分散物(電極用組成物)中の各成分等について説明する。
正極活物質には遷移金属酸化物を用いることが好ましく、中でも、遷移元素Ma(Co、Ni、Fe、Mn、Cu、Vから選択される1種以上の元素)を有することが好ましい。また、混合元素Mb(リチウム以外の金属周期律表の第1(Ia)族の元素、第2(IIa)族の元素、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなど)を混合してもよい。この、遷移金属酸化物として例えば、下記式(MA)〜(MC)のいずれかで表されるものを含む特定遷移金属酸化物、あるいはその他の遷移金属酸化物としてV2O5、MnO2等が挙げられる。正極活物質には、粒子状の正極活性物質を用いてもよい。具体的に、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できる遷移金属酸化物を用いることができるが、前記特定遷移金属酸化物を用いるのが好ましい。
リチウム含有遷移金属酸化物としては中でも下式で表されるものが好ましい。
LiaM1Ob ・・・ (MA)
(MA−1) LigCoOk
(MA−2) LigNiOk
(MA−3) LigMnOk
(MA−4) LigCojNi1−jOk
(MA−5) LigNijMn1−jOk
(MA−6) LigCojNiiAl1−j−iOk
(MA−7) LigCojNiiMn1−j−iOk
(i)LigNixMnyCozO2(x>0.2,y>0.2,z≧0,x+y+z=1)
代表的なもの:
LigNi1/3Mn1/3Co1/3O2
LigNi1/2Mn1/2O2
(ii)LigNixCoyAlzO2(x>0.7,y>0.1,0.1>z≧0.05,x+y+z=1)
代表的なもの:
LigNi0.8Co0.15Al0.05O2
リチウム含有遷移金属酸化物としては中でも下記式(MB)で表されるものも好ましい。
LicM2 2Od ・・・ (MB)
(MB−1) LimMn2On
(MB−2) LimMnpAl2−pOn
(MB−3) LimMnpNi2−pOn
(a) LiCoMnO4
(b) Li2FeMn3O8
(c) Li2CuMn3O8
(d) Li2CrMn3O8
(e) Li2NiMn3O8
高容量、高出力の観点で上記のうちNiを含む電極が更に好ましい。
リチウム含有遷移金属酸化物としてはリチウム含有遷移金属リン酸化物を用いることも好ましく、中でも下記式(MC)で表されるものも好ましい。
LieM3(PO4)f ・・・ (MC)
なお、Liの組成を表す前記a,c,g,m,e値は、充放電により変化する値であり、典型的には、Liを含有したときの安定な状態の値で評価される。前記式(a)〜(e)では特定値としてLiの組成を示しているが、これも同様に電池の動作により変化するものである。
なかでも本発明においては、Niおよび/またはMn原子を含有する正極活物質を用いることが好ましく、NiおよびMn原子両方を含有する正極活物質を用いることが更に好ましい。
特に好ましい正極活物質の具体例としては下記が挙げられる。
LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2
LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2
LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2
LiNi0.5Co0.3Mn0.2O2
LiNi0.5Mn0.5O2
LiNi0.5Mn1.5O4
これらは高電位で使用できるため電池容量を大きくすることができ、また高電位で使用しても容量維持率が高いため特に好ましい。
ここで通常使用を維持できるとは、その電圧で充電を行ったときでも電極材料が劣化して使用不能になることがないことを意味し、この電位を通常使用可能電位ともいう。
充放電時の正極電位(Li/Li+基準)は
(正極電位)=(負極電位)+(電池電圧)である。負極としてチタン酸リチウムを用いた場合、負極電位は1.55Vとする。負極として黒鉛を用いた場合は負極電位は0.1Vとする。充電時に電池電圧を観測し、正極電位を算出する。
・負極活物質
負極活物質としては、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できるものが好ましく、特に制限はなく、炭素質材料、酸化錫や酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、及び、SnやSi等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。なかでも炭素質材料又はリチウム複合酸化物が安全性の点から好ましく用いられる。
また、金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵、放出可能であることが好ましく、構成成分としてチタン及び/又はリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
本発明においては、なかでも、炭素、Si、チタン、およびスズから選ばれる少なくとも1種を含有する負極活物質を用いることが好ましい。
本発明の非水電解液は、高電位の負極と組み合わせて用いることが特に好ましい。高電位の負極は前記の高電位まで使用可能な正極材料と組み合わせて用いられることが多く、大容量の充放電にも好適に対応することができ、そのような条件下で前記条件(I)〜(III)で設定された特有の配合を有する本発明好ましい実施形態に係る利点を発揮することは、前記正極活物質の項で述べたことと同様である。
導電材は、構成された二次電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料が好ましく、公知の導電材を任意に用いることができる。通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維や金属粉(銅、ニッケル、アルミニウム、銀(特開昭63−10148,554号に記載)等)、金属繊維あるいはポリフェニレン誘導体(特開昭59−20,971号に記載)などの導電性材料を1種又はこれらの混合物として含ませることができる。その中でも、黒鉛とアセチレンブラックの併用がとくに好ましい。前記導電剤の添加量としては、11〜50質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましい。カーボンや黒鉛の場合は、2〜15質量%が特に好ましい。
結着剤としては、多糖類、熱可塑性樹脂及びゴム弾性を有するポリマーなどが挙げられ、その中でも、例えば、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルフェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート、スチレン−マレイン酸共重合体等の水溶性ポリマー、ポリビニルクロリド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)あるいはサスペンジョンが好ましく、ポリアクリル酸エステル系のラテックス、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデンが、より好ましい。
電極合材は、フィラーを含んでいてもよい。フィラーを形成する材料は、本発明の二次電池において、化学変化を起こさない繊維状材料でが好ましい。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの材料からなる繊維状のフィラーが用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、分散物中、0〜30質量%が好ましい。
正・負極の集電体としては、本発明の非水電解質二次電池において化学変化を起こさない電子伝導体が用いられる。正極の集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他にアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、その中でも、アルミニウム、アルミニウム合金がより好ましい。
これらの材料から適宜選択した部材によりリチウム二次電池の電極合材が形成される。
本発明の非水二次電池に用いられるセパレータは、正極と負極を電子的に絶縁する機械的強度、イオン透過性、及び正極と負極の接触面で酸化・還元耐性のある材料で構成されていることが好ましい。このような材料として多孔質のポリマー材料や無機材料、有機無機ハイブリッド材料、あるいはガラス繊維などが用いられる。これらセパレータは安全性確保のためのシャットダウン機能、すなわち、80℃以上で隙間を閉塞して抵抗を上げ、電流を遮断する機能を持つことが好ましく、閉塞温度は90℃以上、180℃以下であることが好ましい。
本発明の非水二次電池の形状としては、既述のように、シート状、角型、シリンダー状などいずれの形にも適用できる。正極活物質や負極活物質の合剤は、集電体の上に、塗布(コート)、乾燥、圧縮されて、主に用いられる。
本発明の非水二次電池はサイクル性良好な二次電池を作製することができるため、種々の用途に適用される。適用態様には特に限定はないが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
電解液の調製
表1の非水溶剤にリン含有化合物X、Yを表中に示した量となるように添加し、これにLiPF6を1Mの濃度となるように添加して各試験用の電解液を調製した。調製した電解液の25℃における粘度は全て5mPa・s以下、カールフィッシャー法(JISK0113)により測定した水分量は20ppm以下であった。
<難燃性>
調製した電解液の難燃性を大気下25℃において以下のように評価した。
UL−94HB水平燃焼試験を参考に、以下の試験系にて評価実施した。幅13mm、長さ110mmのガラス濾紙(ADVANTEC GA−100)を切り出し、調製した電解液1.5mlをガラス濾紙上に満遍なく滴下した。十分にガラス濾紙内に電解液が染み込んだ後、余剰の電解液を拭い、水平になるように吊るした。全炎長2cmに調整したブタンガスバーナーの内炎がガラス濾紙先端に触れる位置から3秒着火し、炎を離した後の挙動で着火の有無、着火後の消炎、着火点から他方の端まで炎が到達する時間を以下のように評価した。燃焼抑制剤を添加していない電解液は着火点から他方の端まで炎が到達する時間が10秒未満であった。
5・・・着火が見られず、不燃であった。
4・・・着火したがすぐに消炎した
3・・・着火したが着火点から他方の端まで炎が到達する前に消炎した
2・・・着火点から他方の端まで炎が到達する時間が15秒以上で、燃焼抑制効果が見られるが、不燃、消炎には至らないレベル
1・・・着火点から他方の端まで炎が到達する時間が15秒未満で、燃焼抑制効果なし。
EC:エチレンカーボネート
EMC:エチルメチルカーボネート
DMC:ジメチルカーボネート
DEC:ジエチルカーボネート
<電池(1)の作製>
正極は活物質:LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2(NMC)85質量%、導電助剤:カーボンブラック7.5質量%、バインダー:PVDF 7.5質量%で作製し、負極は活物質:黒鉛85質量%、導電助剤:カーボンブラック7.5質量%、バインダー:PVDF 7.5質量%で作製した。セパレータはポロプロピレン製多孔質膜24μm厚である。上記の正負極、セパレータを使用し、作成した各試験用電解液にビニレンカーボネートを1質量%となるように溶解させ、この電解液を用いて、2032形コイン電池(1)を作製した。
30℃の恒温槽中電池電圧が4.3V(正極電位4.4V)になるまで0.2C定電流充電した後、電池電圧が4.3V定電圧において電流値が0.12mAになるまで充電を行った。ただし、その時間の上限を2時間とした。次に30℃の恒温槽中、電池電圧が2.75Vになるまで0.2C定電流放電を行った。この操作を2回繰り返した。上記の方法で作製した2032形電池を用いて下記項目の評価を行った。結果を表1に示している。
ここで1Cとは電池の容量を1時間で放電または充電する電流値を表し、0.2Cはその0.2倍、0.5Cはその0.5倍、2Cは2倍の電流値を表す。大電流で充放電を行うほど、負荷が大きいため、容量劣化しやすく、過酷な条件となる。
この電池を30℃の恒温槽中電池電圧が4.3Vになるまで0.7C定電流充電した後、電池電圧4.3Vの定電圧において電流値が0.12mAになるまで充電を行った。ただし、その時間の上限を2時間とした。
次に放電条件を30℃の恒温槽中正極電位が2.75Vになるまで0.5C定電流放電を行い、30℃/0.5C放電容量(I)を測定した。
次いで、充電1の条件で再度充電し、次に放電条件を30℃の恒温槽中電池電圧が2.75Vになるまで2C定電流放電を行い、30℃/2C放電容量(II)を測定した。
次いで、充電1の条件で再度充電し、次に放電条件を15℃の恒温槽中電池電圧が2.75Vになるまで2C定電流放電を行い、15℃/2C放電容量(III)を測定した。
次いで、充電1の条件で再度充電し、次に放電条件を0℃の恒温槽中電池電圧が2.75Vになるまで2C定電流放電を行い、0℃/2C放電容量(IV)を測定した。
(なお、非水溶剤としてEC/DMC(3/7)を用いた際は、溶剤が凍結してしまうため、0℃/2C放電容量(IV)の測定は実施しなかった。)
下式により大電流放電における放電容量維持率を算出した。
値が大きいほど大電流放電においても容量が維持されており、良好な結果である。
30℃/2C放電容量維持率 =(II)/(I)
下式により更に低温条件での大電流放電における放電容量維持率を算出した。
値が大きいほど低温/大電流放電という厳しい条件においても容量が維持されており、良好な結果である。
15℃/2C放電容量維持率 =(III)/(I)
0℃/2C放電容量維持率 =(IV)/(I)
A:0.9以上
B:0.8以上0.9未満
C:0.6以上0.8未満
D:0.4以上0.6未満
E:0.2以上0.4未満
F:0.2未満
結果は実施例1で得られた難燃試験の結果とともに表1中に併記した。
実施例2で作成した電池(正極活物質NMC)および正極活物質としてLiCoO2(LCO)またはマンガン酸リチウムLiMn2O4(LMO)を用い、実施例2と同様の方法で2032電池を作成、初期化した。充電1の条件で充電し、放電条件を30℃の恒温槽中正極電位が2.75Vになるまで0.5C定電流放電を行い、30℃/0.5C放電容量(I)を測定した。この電池を50℃の恒温槽中電池電圧が4.3になるまで0.7C定電流充電した後、電池電圧4.3Vの定電圧において100時間連続充電した。その後、30℃の恒温槽中電池電圧が2.75Vになるまで0.5C定電流放電を行い連続充電後の30℃/0.5C放電容量(Ia)を測定した。
連続充電後の放電容量維持率を下式により算出した。値が大きいほど連続充電を行っても容量劣化が抑制され、良好である。
連続充電後の放電容量維持率=(Ia)/(I)
得られた連続充電後の放電容量維持率を以下のように評価した
A:0.9以上
B:0.8以上0.9未満
C:0.6以上0.8未満
D:0.4以上0.6未満
E:0.2以上0.4未満
F:0.2未満
<電池(2)の作製>
正極は活物質:ニッケルマンガンコバルト酸リチウム(LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2) 85質量%、導電助剤:カーボンブラック 7質量%、バインダー:PVDF 8質量%で作製し、負極は活物質:チタン酸リチウム(Li4Ti5O12) 94質量%、導電助剤:カーボンブラック 3質量%、バインダー:PVDF 3質量%で作製した。セパレータはポリプロピレン製25μm厚である。上記の正負極、セパレータを使用し、作成した各試験用電解液にフロロエチレンカーボネート1質量%、スクシノニトリルを1質量%となるように溶解させ、この電解液を用いて、2032形コイン電池(2)を作製した。
30℃の恒温槽中電池電圧が2.85V(正極電位4.4V)になるまで0.2C定電流充電した後、電池電圧が2.85V定電圧において電流値が0.12mAになるまで充電を行った。ただし、その時間の上限を2時間とした。次に30℃の恒温槽中、電池電圧が1.2V(正極電位(2.75V)になるまで0.2C定電流放電を行った。この操作を2回繰り返した。上記の方法で作製した2032形電池を用いて下記項目の評価を行った。結果を表1に示している。
この電池を30℃の恒温槽中電池電圧が2.85Vになるまで1C定電流充電した後、正極電位2.85Vの定電圧において電流値が0.12mAになるまで充電を行った。ただし、その時間の上限を2時間とした。
(放電容量)
次に放電条件を30℃の恒温槽中正極電位が1.2V(正極電位(2.75V)になるまで1C定電流放電を行い、30℃/1C放電容量(V)を測定した。
次いで、充電2の条件で再度充電し、次に放電条件を30℃の恒温槽中電池電圧が1.2Vになるまで4C定電流放電を行い、30℃/4C放電容量(VI)を測定した。
次いで、充電1の条件で再度充電し、次に放電条件を15℃の恒温槽中電池電圧が1.2Vになるまで2C定電流放電を行い、15℃/4C放電容量(VII)を測定した。
次いで、充電1の条件で再度充電し、次に放電条件を0℃の恒温槽中電池電圧が1.2Vになるまで2C定電流放電を行い、0℃/4C放電容量(VIII)を測定した。
(なお、非水溶剤としてEC/DMC(3/7)を用いた際は、溶剤が凍結してしまうため、0℃/4C放電容量(VIII)の測定は実施しなかった。)
(大電流放電維持率)
下式により大電流放電における放電容量維持率を算出した。
値が大きいほど大電流放電においても容量が維持されており、良好な結果である。
30℃/4C放電容量維持率 =(VI)/(V)
(低温/大電流放電維持率)
下式により更に低温条件での大電流放電における放電容量維持率を算出した。
値が大きいほど低温/大電流放電という厳しい条件においても容量が維持されており、良好な結果である。
0℃/4C放電容量維持率 =(VIII)/(V)
A:0.9以上
B:0.8以上0.9未満
C:0.6以上0.8未満
D:0.4以上0.6未満
E:0.2以上0.4未満
F:0.2未満
1 正極導電材(集電体)
2 正極活物質層
A 負極(負極合材)
3 負極導電材(集電体)
4 負極活物質層
5 非水電解液
6 動作手段
7 配線
9 セパレータ
10 リチウムイオン二次電池
12 セパレータ
14 正極シート
16 負極シート
18 負極を兼ねる外装缶
20 絶縁板
22 封口板
24 正極集電
26 ガスケット
28 圧力感応弁体
30 電流遮断素子
100 有底筒型形状リチウム二次電池
Claims (13)
- 非水溶剤、電解質、および燃焼抑制剤を含有する非水電解液であって、前記燃焼抑制剤はホスファゼン化合物を含有し、下記条件(I)〜(III)の少なくとも1つの条件を満たす非水電解液。
(I)非水溶剤が沸点120℃以下の溶剤を含有してなる。燃焼抑制剤として、1気圧における沸点x1(単位 ℃)を有するホスファゼン化合物X1と、1気圧における沸点y1(単位 ℃)を有するリン含有化合物Y1とを少なくとも用いる。燃焼抑制剤の沸点x1およびy1について、下記式(i)を満たす。
x1≦120<y1≦220 ・・・(i)
(II)燃焼抑制剤として1気圧における沸点x2(単位 ℃)を有するホスファゼン化合物X2と、1気圧における沸点y2(単位 ℃)を有するリン含有化合物Y2とを少なくとも用いる。燃焼抑制剤の沸点x2およびy2と、前記非水溶剤のうち最も沸点の低い溶剤Aの1気圧における沸点a(単位 ℃)とについて、下式(ii)を満たす
x2≦a<y2≦a+90 ・・・式(ii)
(III)非水溶剤が、沸点100℃以下の溶剤を全非水溶剤に対し20〜80体積%含有し、下記式(X3)で表される燃焼抑制剤X3を全電解液に対し1〜20質量%含有する。
- 前記燃焼抑制剤Y1およびY2が、それぞれ独立に、リン酸エステル化合物、リン酸アミド化合物、およびホスファゼン化合物から選ばれる請求項1に記載の非水電解液。
- 前記燃焼抑制剤X1、X2、X3、Y1、およびY2が、それぞれ独立に、環状ホスファゼン化合物である請求項1に記載の非水電解液。
- Y1およびY2が、それぞれ独立に、アミノ基を有する環状ホスファゼン化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解液。
- 前記非水溶剤がジメチルカーボネートおよび/またはエチルメチルカーボネートを全溶剤に対し20〜80体積%含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解液。
- 前記非水溶剤がジメチルカーボネートを全溶剤に対し20〜80体積%含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水電解液。
- 電解液が更に、芳香族性化合物(A)、ハロゲン含有化合物(B)、重合性化合物(C)、リン含有化合物(D)、硫黄含有化合物(E)、ケイ素含有化合物(F)、ニトリル化合物(G)、および金属錯体化合物(H)、およびイミド化合物(I)から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の非水電解液。
- 正極と負極と請求項1〜8のいずれか1項に記載の非水電解液とを具備する非水二次電池。
- 前記正極の活物質が、Niおよび/またはMn原子を含有する請求項9に記載の非水二次電池。
- 前記正極の活物質が、Niおよび/またはMn原子を含有する請求項10に記載の非水二次電池。
- 前記負極の活物質が、炭素、Si、チタン、およびスズから選ばれる少なくとも1種を含有する請求項9〜11のいずれか1項に記載の非水二次電池。
- 請求項9〜12のいずれか1項に記載の二次電池を充放電に用いる方法であって、4.3V以上の正極電位(Li/Li+基準)で用いる二次電池の使用方法。
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