JP2013246942A - 非水二次電池用電解液及び二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
〔1〕下式(I)で表される化合物と電解質とを有機溶媒中に含有し、粘度が20mPa・s(25℃)以下である非水二次電池用電解液。
〔2〕式(I)の構造中に芳香族構造を有している〔1〕記載の非水二次電池用電解液。
〔3〕更に重合性化合物を含有している〔1〕または〔2〕記載の非水二次電池用電解液。
〔4〕式(I)で表される化合物が、下記式(I−1)〜(I−4)のいずれかで表される化合物である〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
(式中、R1、R2は炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、または(環状)アミノ基を表す。nは0〜5の整数を表す。nが2以上のとき、R1およびR2はそれぞれ異なっていてもよい。)
(Rb1およびRc1は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。Xa1は、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、またはアルコキシ基を表す。)
(Rb2は、水素原子または炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。Rc2は、ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、またはアシルオキシ基を表す。)
(Rb3は、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、またはアルコキシ基を表す。Cyは、5〜7員の非芳香族環を表す。)
(Rb4およびRc4は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアラルキル基を表す。Rg4は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、−N(Rg4)2で2つのRg4が結合してヘテロ原子を含んでもよい5〜7員環構造を形成していてもよい。)
〔5〕式(I)で表される化合物が、下記式(Ia)〜(Ie)のいずれかで表される化合物である〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
〔6〕重合性化合物が、式(3−a)〜(3−d)のいずれかで表される〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
〔7〕式(I)で表される化合物を0.0001〜0.1mol/Lで含有させる〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
〔8〕重合性化合物を0.001〜0.1mol/Lで含有させる〔6〕または〔7〕に記載の非水二次電池用電解液。
〔9〕含まれる各有機成分の平均分子量が1000以下である〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の非水二次電池用電解液。
〔10〕〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液を用いた非水二次電池。
〔11〕二次電池が正極を構成する材料として、ニッケル原子及び/又はマンガン原子を含有するリチウム金属複合酸化物を含有する〔10〕に記載の非水二次電池。
本明細書において、隣接する置換基は特に断らなくても互いに結合ないし縮合して環を形成していてもよい。
本発明の非水二次電池用電解液は下式(I)で表される化合物を含有する。この化合物は、一般に光重合開始剤として知られる化合物を含んでいる。本発明者らが非水二次電池用の電解液に含有させる機能性添加剤について探索を進めた結果、この化合物を添加することで、低温から高温までの広い温度領域における電池性能の良化が見られることが判明した。この光重合開始剤に代表される化合物は、重合性化合物と併用してもその効果が得られるが、単独で用いても電池性能の向上が達成された。また、本願においては一般に光重合開始剤を作用させる場合に必須である光照射を必要としない。すなわち、既知の光重合開始剤としての作用ではなく、この種の液体電解質を利用する非水二次電池において特有の作用を呈し所望の効果を達成したものと考えられる。この点について推定を含めて言うと、式(I)の化合物が電極近傍で酸化あるいは還元反応し、生成した反応物あるいは生成した反応物と後述の重合性化合物とが反応した反応物が、例えば電極保護膜として機能し、電池性能劣化を抑制しているものと考えられる。以下、本発明についてその好ましい実施形態を中心に詳細に説明する。
式中、Raは有機基を表す。有機基としては、特に限定されないが、後記置換基Tの例が挙げられる。なかでも、Raとしては、芳香族基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
Rbは水素原子または置換基を表す。置換基としては、特に限定されないが、後記置換基Tの例が挙げられる。なかでも、有機基としては好ましくはアルキル基(好ましくはメチル基、エチル基)、アラルキル基(好ましくはベンジル基、4−メチルベンジル基)、アリール基(好ましくはフェニル基)である。無機基としては好ましくはヒドロキシル基が挙げられる。
Rcは水素原子または置換基を表す。置換基としては、特に限定されないが、後記置換基Tの例が挙げられる。なかでも、有機基としては好ましくはアルキル基(好ましくはメチル基、エチル基)、アラルキル基(好ましくはベンジル基、4−メチルベンジル基)、アリール基(好ましくはフェニル基)、アルコキシ基(好ましくはメトキシ基)である。無機基としては好ましくはヒドロキシル基が挙げられる。
RbとRcが結合して環を形成していてもよい。環を形成する場合5〜7員環が好ましい。より好ましくはピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環を形成しているのが好ましい。
Xaは前記式(a)または(b)の置換基を表す。
Rdは、水素原子または有機基を表す。有機基としては、特に限定されないが、後記置換基Tの例が挙げられる。なかでも、好ましくはアルキル基(好ましくはメチル基、エチル基)、アシル基(好ましくは炭素数2〜10の脂肪族アシル基、炭素数7〜15の芳香族アシル基)である。
Re、Rfは、水素原子または有機基を表す。有機基としては、特に限定されないが、後記置換基Tの例が挙げられる。なかでも、炭素数1〜8のアルキル基が好ましい。ReとRfが結合して環を形成していてもよい。この環としては、環を形成する場合5〜7員環が好ましい。より好ましくはピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環を形成しているのが好ましい。
nは0〜5の整数を表す。ただし、環Cyに置換する場合には置換可能数を上限とする。
はアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜8)を表す。
Rgはアルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ジアルキルアミノ基、または環状アミノ基(モルホリノ基、ピペリジル基)を表す。
n1は0〜5を表す。n1が2以上の場合、複数存在するRgは同一でも異なっていてもよい。
RhはRgと同義である。
本発明に用いられる有機溶媒としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレンなどの環状炭酸エステル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピルなどの鎖状炭酸エステル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどの環状エステル、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどの鎖状エーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチルなどの鎖上エステル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリルなどのニトリル化合物、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、燐酸トリメチル、ジメチルスルホキシドあるいはジメチルスルホキシド燐酸などが挙げられる。これらは、一種単独で用いても2種以上を併用してもよい。中でも、環状炭酸エステル(好ましくは炭酸エチレン、炭酸プロピレン)、鎖状炭酸エステル(好ましくは炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸エチルメチル)、環状エステル(好ましくはγ−ブチロラクトン)からなる群のうちの少なくとも1種を含有していることが好ましく、より好ましくは環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルを含む溶剤、または環状炭酸エステルと環状エステルを含む溶剤であり、特に好ましくは、炭酸エチレンあるいは炭酸プロピレンなどの高粘度(高誘電率)溶媒(例えば、比誘電率ε≧30)と炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルあるいは炭酸ジエチル、γ−ブチロラクトンなどの低粘度溶媒(例えば、粘度≦1mPa・s)との組み合わせである。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するからである。
しかしながら、本発明に用いられる有機溶媒(非水溶媒)は、上記例示によって限定されるものではない。
本発明の電解液に用いることができる電解質としては金属イオンもしくはその塩が挙げられ、周期律表第一族又は第二族に属する金属イオンもしくはその塩が好ましい。電解液の使用目的により適宜選択される、例えば、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられ、二次電池などに使用される場合には、出力の観点からリチウム塩が好ましい。本発明の電解液をリチウム二次電池用非水系電解液の電解質として用いる場合には、金属イオンの塩としてリチウム塩を選択すればよい。リチウム塩としては、リチウム二次電池用非水系電解液の電解質に通常用いられるリチウム塩であれば特に制限はないが、例えば、以下に述べるものが好ましい。
これらのなかで、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6、LiClO4、Li(Rf1SO3)、LiN(Rf1SO2)2、LiN(FSO2)2、及びLiN(Rf1SO2)(Rf2SO2)2が好ましく、LiPF6、LiBF4、LiN(Rf1SO2)2、LiN(FSO2)2、及びLiN(Rf1SO2)(Rf2SO2)2などのリチウムイミド塩がさらに好ましい。ここで、Rf1、Rf2はそれぞれパーフルオロアルキル基を示す。
なお、電解液に用いるリチウム塩は、1種を単独で使用しても、2種以上を任意に組み合わせてもよい。
電解液における周期律表第一族又は第二族に属する金属のイオンもしくはその金属塩の含有量は、以下に電解液の調製法で述べる好ましい塩濃度となるよう量で添加される。塩濃度は電解液の使用目的により適宜選択されるが、一般的には電解液全質量中10質量%〜50質量%であり、さらに好ましくは15質量%〜30質量%である。なお、イオンの濃度として評価するときには、その好適に適用される金属との塩換算で算定されればよい。
本発明の電解液において、式(I)の化合物に加えて重合性化合物を用いると更に効果が顕著である。本発明で用いることのできる重合性化合物の種類は本発明の趣旨を逸脱しない限り特に定めるものではないが、例えば、ラジカル重合性化合物、アニオン重合性化合物、カチオン重合性化合物があげられ、ラジカル重合性化合物及び/又はアニオン重合性化合物が好ましい。
ラジカル重合性化合物及びアニオン重合性化合物として好ましくは、炭素−炭素多重結合を有する化合物である。炭素−炭素多重結合を有する化合物としては、ビニル化合物、スチレン誘導体、(メタ)アクリレート誘導体、環状オレフィン(環内にヘテロ原子を含んでいても良い)等が挙げられる。更に好ましくは炭素−炭素多重結合及び極性官能基を有する化合物であり、極性官能基としては、エステル基、カーボネート基、ニトリル基、アミド基、ウレア基、スルホラン基、スルホキシド基、スルホン基、スルホン酸エステル、環状エーテル基、ポリアルキレンオキサイド基などが挙げられる。これら極性基は鎖状構造でも環状構造を形成していてもよい。
カチオン重合性化合物としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物;ビニルエーテル化合物が挙げられる。
それらの中で特に、下記式(3−a)〜(3−d)で示される構造の化合物を用いることが好ましい。
R3は水素原子またはアルキル基を表す。R3として好ましいアルキル基は、炭素数1〜10のアルキル基(メチル、エチル、ヘキシル、シクロヘキシルなど)であり、R3は水素原子であることがさらに好ましい。
R4は芳香族基、複素環基、ニトリル基、アルコキシ基、またはアシルオキシ基を表す。R4の芳香族基としては炭素数6〜10の2π系芳香族基(フェニル、ナフチルなど)が好ましく、複素環基としては炭素数4〜9の複素芳香族基(フリル、ピリジル、ピラジル、ピリミジル、キノリルなど)が好ましく、アルコキシ基としては炭素数1〜10のアルコキシ基(メトキシ、エトキシ、ブトキシなど)が好ましく、アシルオキシ基としては炭素数1〜10のアシルオキシ基(アセチル基、ヘキサノイルオキシ基など)が好ましく、R4としては、フェニル基がより好ましい。
R5は水素かアルキル基、シアノ基を表し、好ましいアルキル基としては炭素数1〜10のアルキル基(メチル、エチル、ヘキシル、シクロヘキシルなど)であり、水素またはメチル基であることがより好ましい。
R6はアルキル基またはアルコキシ基、アミノ基を表し、アルコキシ基、すなわち式(3−b)はアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルであることがより好ましい。この場合のエステルのアルコール部分に相当するアルコキシ基は炭素数1〜10のアルコキシ基(メトキシ、エトキシ、ブトキシなど)が好ましく、メトキシ基あるいはエトキシ基がより好ましい。
R7及びR8は水素、アルキル基または芳香族基を表す。R7及びR8が水素であるか、R7が水素でありR8が芳香族基であることが好ましい。この場合の好ましい芳香族基としては炭素数6〜10の芳香族基(フェニル、ナフチルなど)がより好ましい。
X、Y、Zは、5または6員環を形成することができる−O−、−S−、−(C=O)−、−C(=S)−、−NR−、−SO−、−SO2−から選択される2価連結基を表すが、XとYが−O−、Zが−(C=O)−であることが好ましい。前記Rはアルキル基または芳香族基を表す。アルキル基の好ましいものとしてはR3と同義であり、芳香族基の好ましいものとしてはR4と同義である。
R9は水素原子又はアルキル基を表し、水素原子か炭素数1〜10のアルキル基(メチル、エチル、ヘキシル、シクロヘキシルなど)が好ましく、水素またはメチル基であることがより好ましい。
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、好ましくは、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5または6員環のヘテロ環基が好ましく、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルホンアミド基、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル等)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシル基、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ベンゾイル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホンアミド基((好ましくは炭素原子数0〜20のスルファモイル基、例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−メチルメタンスルスルホンアミド、N−エチルベンゼンスルホンアミド等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ、1−ナフチルチオ、3−メチルフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ等)、アルキルもしくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルもしくはアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、ベンゼンスルホニル等)、ヒドロキシル基、シアノ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基またはヒドロキシル基である。
また、これらの置換基Tで挙げた各基は、上記の置換基Tがさらに置換していてもよい。
本発明による電解液には、電池の性能を向上させるため、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じて各種の添加剤を用いることができる。このような添加剤として、過充電防止剤、負極被膜形成剤、正極保護剤、難燃剤等のこのような機能性添加剤を用いてもよい。
分子量は特に断らない限りGPC(ゲルろ過クロマトグラフィー)法を用いて測定した値とし、分子量はポリスチレン換算の重量平均分子量とする。GPC法に用いるカラムに充填されているゲルは芳香族化合物を繰り返し単位に持つゲルが好ましく、例えばスチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなるゲルが挙げられる。カラムは2〜6本連結させて用いることが好ましい。用いる溶媒は、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、N−メチルピロリドンのアミド系溶媒、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、1,2−ジクロロベンゼン等の芳香族系溶媒が挙げられる。測定は、溶媒の流速が0.1〜2mL/minの範囲で行うことが好ましく、0.5〜1.5mL/minの範囲で行うことが最も好ましい。この範囲内で測定を行うことで、装置に負荷がかからず、さらに効率的に測定ができる。測定温度は10〜50℃で行うことが好ましく、20〜40℃で行うことが最も好ましい。使用可能温度が高いカラムを用いて50℃〜200℃で測定を行うこともできる。なお、使用するカラム及びキャリアは測定対象となる化合物の物性に応じて適宜選定することができる。
本発明の非水二次電池用電解液は、金属イオンの塩としてリチウム塩を用いた例を含め、前記各成分を前記非水電解液溶媒に溶解して、常法により調製される。
本発明においては前記非水電解液を含有する非水二次電池とすることが好ましい。好ましい実施形態として、リチウムイオン二次電池についてその機構を模式化して示した図1を参照して説明する。本実施形態のリチウムイオン二次電池10は、上記本発明の非水二次電池用電解液5と、リチウムイオンの挿入放出が可能な正極C(正極集電体1,正極活物質層2)と、リチウムイオンの挿入放出又は溶解析出が可能な負極A(負極集電体3,負極活物質層4)とを備える。これら必須の部材に加え、電池が使用される目的、電位の形状などを考慮し、正極と負極の間に配設されるセパレータ9、集電端子(図示せず)、及び外装ケース等(図示せず)を含んで構成されてもよい。必要に応じて、電池の内部及び電池の外部の少なくともいずれかに保護素子を装着してもよい。このような構造とすることにより、電解液5内でリチウムイオンの授受a,bが生じ、充電α、放電βを行うことができ、回路配線7および動作機構6を介して運転あるいは蓄電を行うことができる。以下、本発明の好ましい実施形態であるリチウム二次電池の構成について、さらに詳細に説明する。
本実施形態のリチウム二次電池が適用される電池形状には、特に制限はなく、例えば、有底筒型形状、有底角型形状、薄型形状、シート形状、及び、ペーパー形状などが挙げられ、これらのいずれであってもよい。また、組み込まれるシステムや機器の形を考慮した馬蹄形や櫛型形状等の異型のものであってもよい。なかもで、電池内部の熱を効率よく外部に放出する観点から、比較的平らで大面積の面を少なくとも一つを有する有底角型形状や薄型形状などの角型形状が好ましい。
本実施形態のリチウム二次電池は、図1に基づいて言うと、電解液5、正極及び負極の電極合剤C,A、セパレータの基本部材9を具備して構成される。以下、これらの各部材について述べる。本発明の非水二次電池は、電解液として、少なくとも前記本発明の非水電池用電解液を含む。
(電極合材)
電極合材は、集電体(電極基材)上に活物質と導電剤、結着剤、フィラーなどの分散物を塗布したものであり、リチウム電池においては、活物質が正極活物質である正極合材と活物質が負極活物質である負極合材が使用されることが好ましい。次に、電極合材を構成する分散物(電極用組成物,電極合剤)中の各成分等について説明する。
正極活物質には、粒子状の正極活性物質を用いてもよい。具体的に、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できる遷移金属酸化物を用いることができるが、リチウム含有遷移金属酸化物を用いるのが好ましい。正極活物質として好ましく用いられるリチウム含有遷移金属酸化物としては、リチウム含有Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Wを含む酸化物等が好適に挙げられる。またリチウム以外のアルカリ金属(周期律表の第1(Ia)族、第2(IIa)族の元素)、及び/又はAl、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどを混合してもよい。混合量としては、遷移金属に対して0〜30mol%が好ましい。
LiCoO2、LiNi0.5Mn0.5O2、LiNi0.85Co0.01Al0.05O2、
LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2、LiMn1.8Al0.2O4、
LiMn1.5Ni0.5O4等が挙げられる。
負極活物質としては、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できるものであれば、特に制限はなく、炭素質材料、酸化錫や酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、及び、SnやSi等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。なかでも炭素質材料又はリチウム複合酸化物が安全性の点から好ましく用いられる。
また、金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵、放出可能であれば特には制限されないが、構成成分としてチタン及び/又はリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
導電材は、構成された二次電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何を用いてもよく、公知の導電材を任意に用いることができる。通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維や金属粉(銅、ニッケル、アルミニウム、銀(特開昭63−10148,554号に記載)等)、金属繊維あるいはポリフェニレン誘導体(特開昭59−20,971号に記載)などの導電性材料を1種又はこれらの混合物として含ませることができる。その中でも、黒鉛とアセチレンブラックの併用がとくに好ましい。前記導電剤の添加量としては、1〜50質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましい。カーボンや黒鉛の場合は、2〜15質量%が特に好ましい。
本発明では、前記電極合材を保持するための結着剤を用いることが好ましい。
結着剤としては、多糖類、熱可塑性樹脂及びゴム弾性を有するポリマーなどが挙げられ、その中でも、例えば、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルフェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート、スチレン−マレイン酸共重合体等の水溶性ポリマー、ポリビニルクロリド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)あるいはサスペンジョンが好ましく、ポリアクリル酸エステル系のラテックス、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデンがより好ましい。
電極合材は、フィラーを含んでいてもよい。フィラーを形成する材料は、本発明の二次電池において、化学変化を起こさない繊維状材料であれば何でも用いることができる。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの材料からなる繊維状のフィラーが用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、分散物中、0〜30質量%が好ましい。
正・負極の集電体としては、非水電解質二次電池において化学変化を起こさない電子伝導体が用いられる。正極の集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他にアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、その中でも、アルミニウム、アルミニウム合金がより好ましい。
これらの材料から適宜選択した部材によりリチウム二次電池の電極合材が形成される。
非水二次電池に用いられるセパレータは、正極と負極を電子的に絶縁する機械的強度、イオン透過性、及び正極と負極の接触面で酸化・還元耐性のある材料であれば特に限定されることはない。このような材料として多孔質のポリマー材料や無機材料、有機無機ハイブリッド材料、あるいはガラス繊維などが用いられる。これらセパレータは安全性確保のためのシャットダウン機能、すなわち、80℃以上で隙間を閉塞して抵抗を上げ、電流を遮断する機能、を持つことが好ましく、閉塞温度は90℃以上、180℃以下であることが好ましい。
本発明の非水二次電池の形状としては、既述のように、シート状、角型、シリンダー状などいずれの形にも適用できる。正極活物質や負極活物質の合剤は、集電体の上に、塗布(コート)、乾燥、圧縮されて、主に用いられる。
本発明によればサイクル性が良好な二次電池を作製することができるため、種々の用途に適用される。適用態様には特に限定はないが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
電解液の調整
1M LiBF4の炭酸エチレン/γ−ブチロラクトンの体積比3対7電解液に、表1に示した成分を、表中に記載の量で加え実施例用電解液、及び比較例用電解液を調製した。調製した電解液の25℃における粘度は全て5mPa・s以下であった。
<電池(1)の作製>
正極は活物質:ニッケルマンガンコバルト酸リチウム(LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2) 85質量%、導電助剤:カーボンブラック 7質量%、バインダー:PVDF 8質量%で作製し、負極は活物質:チタン酸リチウム(Li4Ti5O12) 94質量%、導電助剤:カーボンブラック 3質量%、バインダー:PVDF 3質量%で作製した。セパレータはポリプロピレン製25μm厚である。上記の正負極、セパレータを使用し、各試験用電解液について、2032形コイン電池を作製し、下記項目の評価を行った。結果を表1に示している。
30℃の恒温槽中電池電圧が2.75Vになるまで0.1C定電流充電した後、2.75V定電圧において電流値が0.12mAになる、または2時間充電を行い、次に30℃の恒温槽中、電池電圧が1.2Vになるまで1C定電流放電を行い、放電容量を測定した。この測定を後述の高温サイクル試験の前後で行い下記式にて放電容量維持率を算出した。値が大きい程、高温下で充放電を繰り返しても放電容量劣化が小さく、良好である。
{(サイクル試験後の放電容量)/(サイクル試験前の放電容量)}×100
前記放電容量維持率試験において放電時の温度を30℃に替えて−10℃とした際の放電容量維持率を低温放電容量維持率(LTratio(%))とした。
前記2032形コイン電池を45℃の恒温槽中、電池電圧が2.75Vになるまで1C定電流充電した後、2.75V定電圧において電流値が0.12mAになる、または2時間充電を行い、次に電池電圧が1.2Vになるまで1C定電流放電を行い、1サイクルとした。これを500サイクルに達するまで繰り返した。
*cで始まるものは比較例。それ以外は本発明例(電解液ないし二次電池のサンプル番号)。
式(I)で表される化合物
Comp.:化合物
Conc.:濃度(M)
比較用化合物
BP:ベンゾフェノン
AP:アセトフェノン
・電解液の調製
1M LiPF6の炭酸エチレン/炭酸ジエチルの体積比1対2電解液に、表2に示した成分を、表中に記載の量で加え各試験No.に対応した電解液を調製した。調製した電解液の25℃における粘度は全て5mPa・s以下であった。
正極は活物質:コバルト酸リチウム(LiCoO2) 85質量%、導電助剤:カーボンブラック 7質量%、バインダー:PVDF(ポリフッ化ビニリデン) 8質量%で作製し、負極は活物質:黒鉛 86質量%、導電助剤:カーボンブラック 6質量%、バインダー:PVDF 8質量%で作製した。セパレータはポリプロピレン製25μm厚である。上記の正負極、セパレータを使用し、各試験No.の電解液について、2032形コイン電池を作製し、下記項目の評価を行った。結果を表2に示している。
充電時の上限電圧を4.3V、放電時の下限電圧を2.75Vとした以外は電池1で行った評価と同一条件で行った。
充電時の上限電圧を4.3V、放電時の下限電圧を2.75Vとした以外は電池1で行った評価と同一条件で行った。
2 正極活物質
3 負極導電材
4 負極活物質
5 電解液
6 動作手段
7 配線
9 セパレータ
10 リチウムイオン二次電池
12 セパレータ
14 正極シート
16 負極シート
18 負極を兼ねる外装缶
20 絶縁板
22 封口板
24 正極集電
26 ガスケット
28 圧力感応弁体
30 電流遮断素子
100 有底筒型形状リチウム二次電池
Claims (11)
- 式(I)の構造中に芳香族構造を有している請求項1記載の非水二次電池用電解液。
- 更に重合性化合物を含有している請求項1または2記載の非水二次電池用電解液。
- 前記式(I)で表される化合物が、下記式(I−1)〜(I−4)のいずれかで表される化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
(Rb1およびRc1は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。Xa1は、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、またはアルコキシ基を表す。)
(Rb2は、水素原子または炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。Rc2は、ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、またはアシルオキシ基を表す。)
(Rb3は、ヒドロシル基、アシルオキシ基、またはアルコキシ基を表す。Cyは、5〜7員の非芳香族環を表す。)
(Rb4およびRc4は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアラルキル基を表す。Rg4は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、−N(Rg4)2で2つのRg4が結合してヘテロ原子を含んでもよい5〜7員環構造を形成していてもよい。) - 前記重合性化合物が、式(3−a)〜(3−d)のいずれかで表される請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
- 前記式(I)で表される化合物を0.0001〜0.1mol/Lで含有させる請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
- 前記重合性化合物を0.001〜0.1mol/Lで含有させる請求項6または7に記載の非水二次電池用電解液。
- 含まれる各有機成分の平均分子量が1000以下である請求項1〜8のいずれかに記載の非水二次電池用電解液。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液を用いた非水二次電池。
- 前記二次電池が正極を構成する材料として、ニッケル原子及び/又はマンガン原子を含有するリチウム金属複合酸化物を含有する請求項10に記載の非水二次電池。
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