以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さない。
[実施の形態1]
(風呂システムの構成)
図1は、本発明の実施の形態に従う浴槽洗浄システムを適用した風呂システムの全体構成図である。なお、図1は、浴槽洗浄システムにより浴槽を洗浄するときの風呂システムの構成を示している。
図1を参照して、風呂システムは、建物1の内部に設けられた浴室2と、熱源機となる給湯器3とによって構成される。浴室2の内部には、浴槽40および洗浄ユニット10が設置されている。浴室2の外部または建物1の外部には給湯器3が設置されている。浴室2の外部にはさらに、洗浄ユニット10および給湯器3などの負荷に電源を供給するための電源装置4が設置されている。電源装置4は、商用電源から供給される交流電力を負荷の駆動に適した電力に変換し、電源線5を介して各負荷に供給する。
なお、本実施の形態では、電源装置4から洗浄ユニット10および給湯器3などの負荷に電力を供給する構成について例示したが、変更例として、電源装置4を、洗浄ユニット10のみに電力供給する構成とし、給湯器3を、電源装置4から電力供給を受けることなく、給湯器3に商用電源を直接入力し、給湯器3に内蔵される電源装置(図示せず)によって、給湯器3の負荷の駆動に適した電力を供給する構成とすることができる。
給湯器3は、給湯機能、湯張り機能および追い焚き機能を備えた熱源機である。本実施の形態による給湯器3は、1缶2水式に構成される。すなわち、給湯器3は、図示は省略するが、給湯熱交換器および風呂熱交換器が1つの缶体内に配設されて共通の熱源である燃焼バーナにより熱交換加熱されるように構成されている。なお、給湯器3は、湯張り機能および追い焚き機能を備えない構成であってもよい。
給湯器3は、給湯熱交換器に接続された給水管70および出湯管72と、風呂熱交換器および浴槽40内の循環アダプタ42の間に接続された往き管74および戻り管76とを備える。給水管70および出湯管72は給湯管路を構成し、往き管74および戻り管76は追い焚き機能を実現するための循環管路を構成する。
給湯器3は、水道水等の給水を給水管70から受けて給湯熱交換器において燃焼バーナの燃焼熱との熱交換加熱により所定温度まで加熱した湯を出湯管72から出湯させる。出湯管72の端末には、給湯使用するためのカラン73やシャワーヘッド等の給湯栓(図示せず)が接続されている。また、給湯器3は、浴槽40から循環管路を介して給湯器3に戻された浴槽湯水を風呂熱交換器において燃焼バーナの燃焼熱との熱交換加熱により所定温度まで追い焚き加熱し得るようになっている。
給湯器3には、給湯器3の動作を制御するための制御部(図示せず)が設けられており、この制御部によって給湯運転、湯張り運転、追い焚き運転等が制御される。制御部には、給湯器3を遠隔操作するためのリモコンが通信線6により接続されている。図1では一例として、台所リモコン7および浴室リモコン9を示している。台所リモコン7および浴室リモコン9には、運転スイッチ、湯張りスイッチ、追い焚きスイッチ、タッチパネル等が設けられている。タッチパネルには、その画面上をタッチ操作することにより、給湯設定温度、湯張り設定温度等を入力設定するための操作画面が表示される。
浴槽40には、その側壁の最下端近傍位置に循環アダプタ42が設置され、底壁に自動開閉駆動制御式の排水栓44および洗浄ノズル60が設置されている。また、浴槽40の上面側のフランジ壁には、開閉駆動機構46および洗剤タンク50が設置されている。循環アダプタ42には、循環管路の往き管74および戻り管76がそれぞれ接続され、循環アダプタ42を介して浴槽40内の浴槽湯水が戻り管76に吸引される一方、往き管74から浴槽40内に浴槽湯水が吐出される。
排水栓44は、開閉駆動機構46からの開閉駆動力の伝達を受けて開閉動作を行なう。開閉駆動機構46には、排水栓44が開状態か閉状態かを検知するためのセンサが設けられており、当該センサの出力信号およびユーザによる所定指示に基づいて開閉駆動機構46が排水栓44の開閉動作を制御する。開閉駆動機構46によって排水栓44が開状態とされると、浴槽40内の湯水が浴室2の底部に排出され、続いて浴室2の排水口(図示せず)から排水される。
(浴槽洗浄システムの構成)
浴槽洗浄システムは、洗浄ユニット10によって浴槽40内に洗浄水および/または洗剤液を噴出させることにより浴槽40を自動洗浄する浴槽洗浄運転を行なう。なお、洗浄ノズルを浴室2の壁面または上部にさらに設置することにより、浴室2を構成する壁面および床面等の浴室部材も洗浄し得るように構成してもよい。
浴槽洗浄システムは、浴槽40の底壁に設置された洗浄ノズル60と、洗浄ノズル60に洗浄水を供給する洗浄管78と、洗浄水に洗剤液を混入するための洗剤供給管54と、洗剤原液を貯留する洗剤タンク50と、給湯器3と浴槽40との間に設けられた洗浄ユニット10と、洗浄ユニット10を遠隔操作するための洗浄リモコン8とを備える。
本実施の形態による浴槽洗浄システムは、給湯器3との間で情報を相互通信できない構成であるものとする。すなわち、洗浄リモコン8が給湯器3側の通信線6と接続されていないため、洗浄ユニット10は、熱源機(給湯器)側からの情報を必要とすることなく制御される。これにより、浴室リフォーム等によって浴槽洗浄システムが後付け配置された場合、あるいは、給湯器3が故障等により交換された場合にも、本実施の形態による浴槽洗浄システムは、給湯器3側との協調を調整することなく動作することができる。
洗浄ノズル60は、浴槽40の底壁を貫通して設置され先端開口(上面開口)から浴槽40の内側壁や浴槽40外に向けて所定範囲の広がりをもって洗浄水を噴出するように構成されている。なお、洗浄ノズル60として、図1では1つのみを示しているが、浴槽40のサイズや洗浄対象の浴室部材等に応じて、2以上を所定配置にて設置することができる。
洗浄管78は、一端が洗浄ノズル60に接続され、他端が給湯器3の出湯管72から分岐して引き出された接続管75に接続されている。洗剤供給管54は、洗剤タンク50の下部から延出されて洗浄管78の途中に接続される。洗剤タンク50は、浴槽40の上面側のフランジ壁に設置されている。洗剤タンク50の上部にはフランジ壁上に露出された洗剤補給口が設けられている。
洗浄ユニット10は、浴槽40の外周部等に設置され、給湯器3から湯の供給を受けて浴槽40内に洗剤液や洗浄水を噴出させて浴槽40を自動洗浄する。図1において、洗剤液および洗浄水が流れる経路を太線で示している。以下、図2を参照して、洗浄ユニット10についてさらに説明する。
[洗浄ユニットの構成]
図2は、図1に示した洗浄ユニット10の構成図である。
図2を参照して、洗浄管78には、接続管75と接続する上流側から順に、入水金具12、水ガバナ弁14、サーミスタ16、流量センサ18、注湯電磁弁20、逆止弁22,24、逆流防止弁26、大気開放弁28、逆止弁30、洗剤電磁弁32、および洗剤混入部34が介装されている。
入水金具12に接続管75が連結されることにより、洗浄管78および接続管75が接続される。出湯管72を通して給湯器3から供給される洗浄水が洗浄管78に流入する。水ガバナ弁14は、洗浄水の圧力変動を吸収して流量を一定に調整するように動作する。
サーミスタ16は、洗浄管78内を流れる洗浄水(湯または水)の温度を検出して検出信号を制御部36に出力する。流量センサ18は、洗浄管78を流れる洗浄水の流量(以下、「洗浄流量」とも称する)を検出して検出信号を制御部36に出力する。
注湯電磁弁20は、制御部36からの制御指令により作動して洗浄管78の流路を開閉する。具体的には、制御部36からの開指令に応答して注湯電磁弁20を開放することにより、給湯器3の出湯管72から供給された湯または水が、接続管75を介して、洗浄水として洗浄管78内に導入される。洗浄管78に導入された洗浄水は、水ガバナ弁14によって一定流量に調整されて洗浄管78を流れ、洗浄ノズル60から浴槽40内に向けて噴出される。仮に、注湯電磁弁20が開かない故障が生じている場合、制御部36が、注湯電磁弁20に対する開指令を出力したとしても、注湯電磁弁20は開かない。
一方、制御部36からの閉指令に応じて注湯電磁弁20が閉止することにより、洗浄管78への湯の供給が遮断される。仮に、注湯電磁弁20が閉じない故障が生じている場合、制御部36が、注湯電磁弁20に対する閉指令を出力したとしても、注湯電磁弁20は閉じない。注湯電磁弁20は、洗浄管78の流路を開閉可能な「開閉弁」の代表例として用いられる。すなわち、全開と全閉との切替えが可能に構成された弁であれば、任意の形式の開閉弁を注湯電磁弁20に代えて適用することができる。
逆止弁22,24は、接続管75から洗浄管78への方向の湯の通過を可能とし、洗浄管78から接続管75への方向の湯の通過を不能とする。
逆流防止弁26は、風呂の雑水と上水とを縁切りするための安全装置である。逆流防止弁26は、上水の給水元側の圧力(1次圧)と供給先側の圧力(2次圧)との圧力差により通常はオーバーフロー口を閉止するものである。また逆流防止弁26は、断水などで給水元側に負圧が発生すると開弁し、オーバーフロー口から雑水を洗浄ユニット10の外部へ排出する。オーバーフロー口は、図示しない配管を通じて洗浄ユニット10の排水部に接続されている。
大気開放弁28は、洗浄管78に洗浄水が流れていない状態で洗浄管78内を大気に連通し、洗浄管78内に洗浄水が流れている状態で大気との連通を遮断する。逆止弁30は、洗剤混入部34の上流側に設けられている。逆止弁30は、これより上流側に洗剤液が逆流することを防止している。
洗剤混入部34は、ベンチュリ管により構成される。洗剤混入部34には洗剤供給管54の下流端が連通接続されている。洗剤供給管54の上流端は洗剤タンク50に連通接続される一方、洗剤供給管54の途中には洗剤電磁弁32が介装されている。洗剤電磁弁32は、制御部36からの制御指令により作動して洗剤供給管54の流路を開閉する。具体的には、制御部36からの開指令に応答して洗剤電磁弁32が開弁することにより、洗剤タンク50から供給される所定量の洗剤原液が、洗剤混入部34において、洗浄ノズル60に向けて通過する湯水に対して負圧吸引作用により混合されて洗剤液が生成される。そして、この洗剤液が洗浄ノズル60から浴槽40内に向けて噴出される。これにより、浴槽40内の洗剤洗浄が行なわれる。
一方、制御部36からの閉指令に応答して洗剤電磁弁32が閉弁することにより、洗剤混入部34への洗剤原液の供給が遮断される。すなわち、洗剤電磁弁32を開状態にする開弁時間の長短によって1回の洗浄に対する洗剤供給量の調整が可能となっている。なお、洗剤タンク50の内部には、洗剤原液の液位を検知するためのフロートスイッチ52が設けられており、所定の液位まで低下したことを検知して制御部36に出力するように構成されている。
洗浄ユニット10は、図示しないマイクロコンピュータ、メモリおよびタイマ等により構成された制御部36をさらに備える。制御部36がメモリに記憶された洗浄ユニット10の制御用プログラムを該マイクロコンピュータに実行させることにより、浴槽洗浄運転の動作が制御される。なお、制御部36は、洗浄ユニット10の外部、たとえば、電源装置4と同様に浴室2の外部に配置することも可能である。この場合には、制御部36および洗浄ユニット10の間に、双方向通信のための通信線が設けられる。
制御部36には、洗浄ユニット10を遠隔操作するための洗浄リモコン8が接続されている。制御部36は、洗浄リモコン8との間で各種信号の送受信を行なう。ユーザが洗浄リモコン8を用いて浴槽洗浄運転の実行を入力操作することにより、制御部36は浴槽洗浄処理を実行する。なお、給湯器3の制御部には、通信線6を介して台所リモコン7および浴室リモコン9が接続されており、これらのリモコンによって湯張りや追い焚き運転の入力操作を行なうことができる。
図3は、洗浄リモコン8の一例を示す外観図である。
図3を参照して、洗浄リモコン8は、浴槽洗浄運転の入力操作等を行なうためのスイッチ類80,82,84,86と、表示部88と、音声出力部90とを含む。
運転スイッチ80は、洗浄ユニット10の運転/停止を選択するためのスイッチである。運転スイッチ80を「入(ON)」にすることにより、後述の洗浄スイッチ82の操作の受付け可能状態とし、運転スイッチ80を「切(OFF)」にすることにより、後述の洗浄スイッチ82の操作を受付けない状態とする。
洗浄スイッチ82は、浴槽洗浄運転の実行/停止を選択するためのスイッチである。運転スイッチ80をONした状態で洗浄スイッチ82を「入(ON)」すると、浴槽洗浄運転が実行され、洗浄スイッチ82を「切(OFF)」すると、浴槽洗浄運転が停止する。
給湯設定スイッチ84は、浴槽洗浄運転の運転モード(給湯温度および運転時間など)の浴槽洗浄運転に関する各種条件を設定するためのスイッチである。時刻表示スイッチ86は、現在時刻を表示したり設定するためのスイッチである。
表示部88は、浴槽洗浄システムの運転状態(運転/停止)を表示する。表示内容は、ユーザが任意で切り替える、あるいは、一定時間ごとに自動で切り替えることができる。表示部88はさらに、浴槽洗浄システムにエラーが発生した場合にエラーの内容を示すエラーコードを表示する。なお、表示部88およびスイッチ類80,82,84,86の少
なくとも一部は、これらを一体的に構成した入出力装置であるタッチパネルで構成してもよい。このタッチパネルには、その画面上をタッチ操作することにより、浴槽洗浄運転の入力設定を行なうための操作画面が表示される。
音声出力部90は、浴槽洗浄運転の実行/停止などの浴槽洗浄システムの運転状況を知らせるための音声を発生する。音声出力部90はさらに、浴槽洗浄システムにエラーが発生した場合に報知音を吹聴するためのブザーを含んでいる。なお、音声出力部90は、ブザーのみで構成してもよい。
[浴槽洗浄運転]
次に、浴槽洗浄システムによる浴槽洗浄運転の動作を説明する。
浴槽洗浄運転は、すすぎ洗浄と洗剤洗浄との組み合わせにより行なわれる。一例として、予備すすぎ洗浄工程、洗剤洗浄工程、および仕上げすすぎ洗浄工程がこの順に行なわれる。なお、浴槽40の上部には、浴槽蓋(図示せず)が載置されているものとする。
洗浄リモコン8において運転スイッチ80がON状態で洗浄スイッチ82がONされると、浴槽洗浄運転が開始される。最初に、開閉駆動機構46を開作動させることにより排水栓44を開栓する。排水栓44が開状態のままで設定時間だけ待機することにより、浴槽40内に残水があったとしても、その残水が排水されて浴槽40が空になるまで待つ。
次に、予備すすぎ洗浄工程が開始される。予備すすぎ洗浄工程では、洗浄ユニット10の注湯電磁弁20を開放し、給湯器3側から所定温度に熱交換加熱された湯を洗浄管78に流し込み、洗浄ノズル60から浴槽40内に向けて噴出させる。これにより、浴槽40の内壁面に付着している毛、湯垢等の汚れが予備的に洗い流される。
上記のすすぎ洗浄が所定時間行なわれると、予備すすぎ洗浄工程を終了し、次の待機工程に移行させる。待機工程では、注湯電磁弁20を閉止することにより洗浄ノズル60からの噴出を停止し、浴槽40の内壁面に湯が付着した状態で、所定時間が経過するまで放置される。これにより、浴槽40の内壁面に付着した湯垢等の汚れに水分が浸透し、汚れを浮き上がらせて次の洗剤洗浄工程で洗い流されやすくすることができる。所定時間が経過すると、待機工程を終了して次の洗剤洗浄工程に移行する。
洗剤洗浄工程が開始されると、洗浄ユニット10の注湯電磁弁20を開放するとともに、洗剤電磁弁32を開放する。洗剤タンク50内の洗剤原液が洗剤供給管54を介して洗剤混入部34に注入されて洗剤液が生成される。この洗剤液が洗浄ノズル60から浴槽40内に向けて噴出される。これにより、浴槽40の内壁面に付着している湯垢等の汚れが洗浄される。なお、洗剤洗浄を行なう時間および回数は、洗浄リモコン8に対するユーザの入力設定により変更することができる。
洗剤洗浄が所定時間または所定回数行なわれると、洗剤洗浄工程を終了し、次の待機工程に移行させる。この待機工程は、上述した洗剤洗浄工程前の待機工程と同様に、注湯電磁弁20を閉止して洗浄ノズル60からの噴出を停止し、浴槽40の内壁面に洗剤液が付着した状態で所定時間が経過するまで放置される。浴槽40の内壁面に付着した湯垢等の汚れに洗剤液を浸透させるためである。所定時間が経過すると、待機工程を終了して次の
仕上げすすぎ洗浄工程に移行させる。
仕上げすすぎ洗浄工程が開始されると、上記の予備すすぎ洗浄工程と同様に、注湯電磁弁20を開放し、給湯器3側から所定温度に熱交換加熱された湯を洗浄管78に流し込み、洗浄ノズル60から浴槽40内に向けて噴出させる。これにより、浴槽40の内壁面において洗剤液により浮き上がらせた湯垢等の汚れが洗剤液とともに洗い流される。この仕上げすすぎ洗浄工程の終了をもって浴槽洗浄運転が終了される。
(洗浄流量低下時の問題点)
再び図1を参照して、本実施の形態に従う浴槽洗浄システムでは、給湯器3側でカラン73の開栓等によって、給湯器3からの給湯が使用されると、出湯管72から洗浄管78へ分岐供給される洗浄水の圧力および流量が低下する。以下では、カラン73の開栓等による、浴槽洗浄システム以外による出湯管72からの湯/水の使用を、包括的に「他栓使用」とも称する。
他栓使用に応じて洗浄水の圧力および流量が低下すると、十分な洗浄水が確保できなくなるため、浴槽洗浄運転の実行が困難となる。他栓使用が終了すると、洗浄管78への供給水圧が復帰する。しかしながら、図2に示された、水ガバナ弁14によって洗浄管78の流量を一定に調整する構成では、水ガバナ弁14のヒステリシス特性が問題となる。
図4は、図2に示された水ガバナ弁14の水圧−流量特性を示す概念図である。
図4を参照して、水ガバナ弁14は、洗浄水の圧力上昇時には、特性線101に従って流量が変化する。特に、洗浄水の圧力がP1より大きい領域では、圧力が変動しても流量が一定値Q1に維持される。したがって、水ガバナ弁14の配置により、サーボ弁の開度制御による流量調整と比較すると、低コストで流量を安定化することができる。
一方で、水ガバナ弁14は、一旦上昇した洗浄水の圧力が低下すると、以降では、特性線102に従って流量が変化する。すなわち、水ガバナ弁14は、特性線101,102に従うヒステリシス特性を有する。
水ガバナ弁14において、洗浄水の圧力がP2まで上昇して流量Q1が確保された後、他栓使用によって洗浄水の圧力がP0まで低下したケースを考える。この場合には、圧力低下に応じて、特性線102に従って流量がQ3まで低下する。その後、他栓使用の終了によって洗浄水の圧力が再びP2まで復帰しても、特性線102に従うため、水ガバナ弁14の流量はQ2までしか復帰しない。
このようなヒステリシス特性により、水ガバナ弁14では、他栓使用による洗浄水の圧力低下後、他栓使用の終了によって圧力が復帰しても、洗浄流量が十分に確保できなくなるために、浴槽洗浄運転を正常に実行できない虞がある。すなわち、特性線101に従って洗浄流量をQ1に復帰させるためには、注湯電磁弁20を一旦閉止するとともに、他栓使用が終了されて圧力が復帰した状態で注湯電磁弁20を再び開放することが必要である。
しかしながら、上述のように、浴槽洗浄システムと給湯器3との間で情報を相互通信できない構成では、浴槽洗浄システムは、他栓使用が終了した情報を給湯器3側から入手することができない。したがって、他栓使用による洗浄流量低下時における浴槽洗浄運転の中断および再開を、給湯器3側からの情報を必要とすることなく、どのように制御するかが問題となる。
(洗浄流量低下時のリトライ動作)
本実施の形態に従う浴槽洗浄システムでは、他栓使用による洗浄流量低下が検出された場合には、以下に説明するリトライ動作を実行するように注湯電磁弁20の動作を制御する。
図5は、本発明の実施の形態に従う浴槽洗浄システムにおける注湯電磁弁の制御を説明するフローチャートである。図5に示す一連の制御処理は、たとえば、制御部36によって浴槽洗浄運転を構成する各工程の開始時に起動される。
図5を参照して、制御部36は、ステップS100により、リトライ動作回数のカウント値Mおよび動作時間Toを初期化する。すなわち、ステップS100により、M=0およびTo=0に初期化される。続いて、制御部36は、ステップS200により、浴槽洗浄システムの動作モードが噴射モードであるか否かを判定する。噴射モードは、注湯電磁弁20の開放が必要な動作モードである。たとえば、上記の予備すすぎ洗浄工程、洗剤洗浄工程、または、仕上げすすぎ洗浄工程の実行時に、ステップS200はYES判定とされ、それ以外のときに、ステップS200はNO判定とされる。
噴射モードでない場合(S200のNO判定時)には、注湯電磁弁20の開放が必要ないので、以下の処理はスキップされて、今回起動された制御処理は終了される。後述するように、噴射モードの適用時(S200のYES判定時)には、当該工程の動作が正常終了(S650)または異常終了(S560)するまで、図5に示した制御処理が実行される。
制御部36は、噴射モードの適用時(S200のYES判定時)には、ステップS300に処理を進めて注湯電磁弁20を開放する。さらに制御部36は、注湯電磁弁20を開放すると、流量センサ18の出力値に基づいて、ステップS400により、洗浄流量を基準値Qtと比較する。基準値Qtは「第1の基準値」に対応する。
制御部36は、洗浄流量が基準値Qt以上であるとき(S400のYES判定時)には、浴槽洗浄運転に十分な洗浄流量が確保されていると判断する。したがって、制御部36は、ステップS600により、動作時間Toをカウントアップする。さらに、制御部36は、ステップS610に処理を進めて、ステップS600でカウントアップされた動作時間Toを判定時間Tthと比較する。たとえば、判定時間Tthは、噴射モードに属する各工程を正常に完了するのに必要な洗浄水の通流時間に対応して、工程毎に予め設定されることができる。
制御部36は、動作時間Toが判定時間Tthよりも短いときは(S610のNO判定時)、処理をステップS300に戻す。このため、洗浄流量≧Qtの間、ステップS300,S400(YES判定)およびS600の処理が、動作時間Toが判定時間Tthに達するまで繰り返し実行される。
そして、動作時間Toが判定時間Tthに達すると、ステップS610がYES判定とされるので、制御部36は、ステップS650に処理を進めて、浴槽洗浄運転の当該工程の動作を正常終了する。これにより、注湯電磁弁20は閉止される。さらに、制御部36は、ステップS650において、浴槽洗浄運転全体が正常に終了したときには、その情報を、視覚的あるいは聴覚的なメッセージによりユーザに報知することも可能である。たとえば、洗浄リモコン8の表示部88および/または音声出力部90を用いて、上記メッセージをユーザに報知することができる。
制御部36は、注湯電磁弁20が開放された状態での洗浄流量が基準値Qtよりも小さい場合(S400のNO判定時)には、ステップS500によりリトライ動作を実行する。なお、ステップS500によるリトライ動作は、他栓使用中に注湯電磁弁20が開放されることによって、注湯電磁弁20の開放時点で洗浄流量<Qtとなるケースに加えて、注湯電磁弁20の開放により洗浄流量≧Qtの状態が一定期間継続した後、他栓使用が開始されて洗浄流量が低下した場合(洗浄流量<Qtの場合)にも実行されることになる。
リトライ動作のためのステップS500は、以下のステップS510〜S550を有する。制御部36は、ステップS510により、リトライ動作回数Mをカウントアップするとともに、ステップS520により、カウントアップされたリトライ動作回数Mが(Mmax+1)に達しているかどうかを判定する。
リトライ動作回数のカウント値Mが(Mmax+1)に達すると、すなわち、これまでのリトライ動作の実行回数が、上限回数Mmaxに達すると、ステップS520はYES判定とされる。一方で、これまでのリトライ動作の実行回数が上限回数Mmaxに達するまでは、ステップS520がNO判定とされる。
制御部36は、リトライ動作の実行回数が上限回数Mmaxに達していないとき(S520のNO判定時)は、制御部36は、ステップS530により、注湯電磁弁20を閉止する。さらに、制御部36は、ステップS540により、ステップS530によって注湯電磁弁20が閉止されてからの経過時間であるリトライ待機時間Trをカウントアップする。制御部36は、ステップS550により、ステップS540によってカウントアップされたリトライ待機時間Trを閉弁時間T1と比較する。
制御部36は、リトライ待機時間Trが閉弁時間T1に達するまでの間(S550のNO判定時)、ステップS540によるリトライ待機時間Trのカウントアップを繰り返し実行する。
制御部36は、リトライ待機時間Trが閉弁時間T1に達すると(S550のYES判定時)、ステップS300に処理を戻して、注湯電磁弁20を再び開放する。これにより、洗浄流量の低下(<Qt)に応じて注湯電磁弁20を一旦閉止するとともに、T1経過後に注湯電磁弁20を再び開放する「リトライ動作」が実行される。
制御部36は、リトライ動作により注湯電磁弁20が再び開放されると、ステップS400により、流量センサ18の出力値に基づいて、洗浄流量を基準値と比較する。なお、ステップS400において、リトライ動作による注湯電磁弁20の開放後(M≧1のとき)には、洗浄流量は、リトライ動作前(M=0のとき)における基準値Qtよりも高く設定された基準値Qt♯と比較される。基準値Qt♯は「第2の基準値」に対応する。このようにすると、洗浄流量が大きく変化していないにもかかわらず、リトライ動作の要否が頻繁に切り換わることを防止できる。これにより、リトライ動作を安定化することができる。
リトライ動作での洗浄流量が回復すると、ステップS400がYES判定とされて、ステップS600に処理が進められる。したがって、リトライ待機時間中に他栓使用が終了して洗浄流量が復帰した場合には、浴槽洗浄運転を再開することができる。リトライ動作中には、ステップS600の処理は実行されないので、動作時間Toはカウントアップされない。したがって、洗浄流量が確保された状態での動作時間Toが判定時間Tthに達するまで、洗浄流量≧Qt(Qt♯)での浴槽洗浄運転が実行される。すなわち、浴槽洗浄運転の途中で、洗浄流量低下によるリトライ動作が実行され、かつ、洗浄流量が復帰した場合には、リトライ動作の前後を通じた動作時間Toの積算が判定時間Tthに達するまで、浴槽洗浄運転が実行されることが理解される。
制御部36は、リトライ動作による注湯電磁弁20の開放後にも洗浄流量が復帰しない場合には(S400のNO判定時)、リトライ動作の実行回数が上限回数Mmaxに達するまで、リトライ動作のためのS500およびS300を繰り返し実行する。
洗浄流量が復帰しないまま、リトライ動作の実行回数が上限回数Mmaxに達すると、ステップS520がYES判定とされて、ステップS560へ処理が進められる。
制御部36は、ステップS560により、浴槽洗浄運転の動作を異常終了させる。これは、洗浄流量が基準値以上確保された正常な浴槽洗浄運転を完了できなかったことを示す終了態様である。制御部36は、ステップS560において、浴槽洗浄運転が正常に終了しなかった旨の情報を、洗浄リモコン8の表示部88および/または音声出力部90を用いることによって、ユーザに報知することも可能である。
このように、本実施の形態に従う浴槽洗浄システムによれば、他栓使用のために給湯器3からの供給圧力の低下により浴槽洗浄運転のための洗浄流量が低下すると、注湯電磁弁20を一定時間閉止した後に再度開放するリトライ動作を自動的に実行できる。そして、リトライ動作による注湯電磁弁20の開放後における洗浄流量に基づいて、他栓使用の終了により洗浄流量が回復している場合には、浴槽洗浄運転を再開することが可能である。
したがって、他栓使用に関する情報を給湯器3から受けることなく、他栓使用による洗浄流量低下時には浴槽洗浄運転を一旦停止するとともに、他栓使用終了後には、自動的に浴槽洗浄運転を再開することができる。すなわち、給湯器(熱源機)との間で情報を相互通信できない浴槽洗浄システムにおいて、給湯器からの供給圧力低下時における浴槽洗浄運転の中断および再開を適切に制御することができる。
特に、洗浄水の圧力低下による洗浄流量の低下時には、リトライ動作によって注湯電磁弁20が一旦閉止された後に開放されるため、洗浄管78に水ガバナ弁14が介装された構成にも対応することができる。
[実施の形態2]
実施の形態2では、図5に示したリトライ動作のためのステップS500の制御処理の変形例を説明する。なお、実施の形態2において、浴槽洗浄システムの構成を始め、リトライ動作以外については実施の形態1と同様である。以降では、実施の形態1との共通部分については、詳細な説明は繰り返さない。
実施の形態2に従うリトライ動作では、図5に示したフローチャートにおいて、ステップS500に代えて、図6に示したステップS500aが実行される。
図6を参照して、制御部36は、ステップS400のNO判定時、すなわち注湯電磁弁20が開放された状態で洗浄流量が基準値(QtまたはQt♯)よりも小さい場合には、ステップS505により、洗浄流量が、略ゼロであるか否かを判定する。具体的には、ステップS505では、流量センサ18によって検出された洗浄流量が、判定値Qεと比較される。判定値Qεは、洗浄流量が略ゼロであるか否かを判別するためのゼロ近傍の所定値である。すなわち、実施の形態2では、リトライ動作において、洗浄流量が略ゼロであるかどうかがさらに判定される。
洗浄流量が略ゼロである場合には、注湯電磁弁20が故障によって開放不能となっている「閉故障」、または、流量センサ18の故障が発生していることが推定される。一方で、洗浄流量がゼロではなく、基準値(QtまたはQt♯)に達していない場合には、他栓使用による給湯器3からの供給圧力低下によって洗浄流量が低下していることが推定される。
したがって、実施の形態2に従うリトライ動作では、これらの現象の発生回数を別々に管理する。このため、実施の形態1でのリトライ動作のカウント値Mが、洗浄流量が略ゼロであるリトライ動作の回数カウント値M1と、リトライ動作の合計回数カウント値M2とに分割される。したがって、図5のステップS100では、カウント値M1,M2の各々が初期化される(M1=M2=0)。
制御部36は、洗浄流量が略ゼロであるとき(S505のYES判定時)には、ステップS512により、リトライ動作回数M1,M2の両方をカウントアップするとともに、ステップS522により、カウントアップされたカウント値M1が(M1max+1)に達しているかどうかを判定する。
洗浄流量が略ゼロであるリトライ動作の実行回数が上限回数M1maxに達すると、ステップS522はYES判定とされる。一方で、洗浄流量が略ゼロであるリトライ動作の実行回数が上限回数M1maxに達するまでは、ステップS522がNO判定とされる。
制御部36は、洗浄流量が略ゼロの状態が、リトライ動作をM1max回実行しても継続している場合には(S522のYES判定時)、ステップS570に処理を進めて、機器故障を検出する。具体的には、注湯電磁弁20が閉状態から開状態に変化しない閉故障、または、流量センサ18の故障が検出される。さらに、制御部36は、ステップS575により、注湯電磁弁20等の機器故障が発生している旨の情報を、洗浄リモコン8の表示部88および/または音声出力部90を用いてユーザに報知する。そして、制御部36は、ステップS560(図5)に処理を進めて、浴槽洗浄運転の動作を異常終了させる。
これに対して、洗浄流量がゼロでないとき(S505のNO判定時)には、制御部36は、ステップS514に処理を進めて、カウント値M2のみをカウントアップする一方で、カウント値M1=0にクリアする。制御部36は、さらに、ステップS524により、カウントアップされたカウント値M2が(M2max+1)に達しているかどうかを判定する。
カウント値M2は、洗浄流量がゼロでないリトライ動作が実行される毎にカウントアップされる。したがって、洗浄流量がゼロでないリトライ動作の実行回数が上限回数M2maxに達すると、ステップS524はYES判定とされる。一方で、上限回数M2maxに達するまでは、ステップS524がNO判定とされる。
制御部36は、洗浄流量がゼロではないものの、基準値(Qt,Qt♯)に達しない状態が、上限回数M2max回のリトライ動作で継続している場合には(S524のYES判定時)、ステップS580に処理を進めて、給湯器3側での長期間の他栓使用を検出する。制御部36は、さらに、ステップS585により、他栓使用中のため浴槽洗浄運転が未完了であるまま処理が終了される旨の情報を、洗浄リモコン8の表示部88および/または音声出力部90を用いることによってユーザに報知する。この際には、他栓使用終了後、浴槽洗浄運転を再度指示するように促すメッセージを出すことが好ましい。
さらに、制御部36は、ステップS560(図5)に処理を進めて、今回の浴槽洗浄運転については異常処理する。
一方で、ステップS522,S524において、洗浄流量が略ゼロであるリトライ動作の実行回数がM1maxに達していないとき(S522のNO判定時)、または、洗浄流量がゼロではないリトライ動作の実行回数がM2maxに達していないとき(S524のNO判定時)には、制御部36は、図5と同様のステップS530〜S550による処理を実行する。これにより、実施の形態1で説明した、洗浄流量の低下に応じて、注湯電磁弁20を閉止するとともに閉弁時間T1経過後に注湯電磁弁20を再び開放するリトライ動作が、上限回数M1max,M2maxを限度に繰り返し実行される。
なお、実施の形態2に従うリトライ動作において、機器故障の故障検出のための上限回数M1maxは、他栓使用中であることを検出するための上限回数M2maxよりも小さいことが好ましい。注湯電磁弁20等の機器故障時には、同様の現象が他栓の使用状況に係わらず再発するため、早期に故障検出を確定するためである。
このように実施の形態2に従うリトライ動作が適用された浴槽洗浄システムによれば、浴槽洗浄運転中の洗浄流量の低下を、他栓使用中による圧力および流量低下に起因するものと、注湯電磁弁20等の機器故障に起因するものとに判別できる。さらに、機器故障が推定される洗浄流量が略ゼロのときには、リトライ動作の上限回数を少なく設定することにより、注湯電磁弁20等の故障を速やかに検出することができる。
一方で、他栓使用中に起因する洗浄流量低下時には、リトライ動作の上限回数を多く設定することにより、他栓使用終了後における浴槽洗浄運転の機会の確保が容易になる。
[実施の形態3]
実施の形態3では、リトライ動作のさらなる変形例を説明する。実施の形態3においても、浴槽洗浄システムの構成を始め、リトライ動作以外については、実施の形態1と同様である。実施の形態1との共通部分については、詳細な説明は繰り返さない。
実施の形態3に従うリトライ動作では、図5に示したフローチャートにおいて、ステップS500に代えて、図7に示したステップS500bが実行される。
図7を参照して、制御部36は、ステップS400のNO判定時、すなわち注湯電磁弁20が開放された状態で洗浄流量が基準値(QtまたはQt♯)よりも小さい場合には、図6と同様のステップS505を実行する。これにより、流量センサ18によって検出された洗浄流量と判定値Qεとの比較に基づいて、低下した洗浄流量が略ゼロであるか否かが判定される。
制御部36は、低下した洗浄流量が略ゼロである場合(S505のYES判定時)には、ステップS516により、リトライ動作における閉弁時間T1を所定時間Taに設定する。一方で、制御部36は、低下した洗浄流量がゼロでない場合(S505のNO判定時)には、ステップS518により、リトライ動作における閉弁時間T1を所定時間Tbに設定する。ここで、TbはTaよりも長く設定される。これにより、低下した洗浄流量が略ゼロであるとき、すなわち、注湯電磁弁20等の機器故障が推定される場合には、リトライ動作における注湯電磁弁20の閉弁時間は短く設定される。これにより、リトライ動作の実行周期が短縮される。
一方で、洗浄流量がゼロでなく、他栓使用による洗浄流量低下が推定される場合には、リトライ動作における注湯電磁弁20の閉弁時間T1が長く設定されて、リトライ動作の実行周期は長く設定される。
制御部36は、ステップS516またはS518によりリトライ動作における閉弁時間T1が設定されると、ステップS510により、リトライ動作回数をカウントアップする。あるいは、リトライ動作回数は、実施の形態2と同様に、低下した洗浄流量が略ゼロである場合と、ゼロでない場合とに分けてカウントアップしてもよい。この場合には、ステップS510に代えて、図6のステップS512(S505のYES判定時)または、ステップS514(S505のNO判定時)を実行すればよい。
さらに、制御部36は、ステップS520により、リトライ動作回数が上限に達しているかどうかを判定する。リトライ動作回数が上限に達している場合には(S520のYES判定時)、図5のステップS560に処理を進めて、浴槽洗浄運転は異常終了される。なお、実施の形態2と同様に、リトライ動作回数をM1,M2に分けてカウントする場合には、ステップS520に代えて、図6に示したステップS522(S505のYES判定時)または、ステップS524(S505のNO判定時)を実行すればよい。実行されたリトライ動作回数が上限回数M1maxまたはM2maxに達している場合には、図6に示したステップS570またはS580に処理が進められて、浴槽洗浄運転が異常終了される。
一方で、リトライ動作回数が上限に達していない場合(ステップS520、S522またはS524のNO判定時)には、制御部36は、図5と同様のステップS530〜S550による処理を実行する。これにより、実施の形態1で説明した、洗浄流量の低下に応じて、注湯電磁弁20を閉止するとともに閉弁時間T1経過後に注湯電磁弁20を再び開放するリトライ動作が、上限回数(Mmax、M1maxまたはM2max)を限度に繰り返し実行される。この際に、リトライ動作における注湯電磁弁20の閉弁時間T1は、低下した洗浄流量が略ゼロである場合には、短く設定されている。
このように、実施の形態3に従うリトライ動作が適用された浴槽洗浄システムによれば、実施の形態2と同様に、浴槽洗浄運転のための洗浄流量の低下を、他栓使用中による圧力および流量低下に起因するものと、注湯電磁弁20等の機器故障に起因するものとに判別することができる。そして、機器故障が推定される洗浄流量が略ゼロのときには、リトライ動作の周期を短く設定することにより、注湯電磁弁20等の故障を速やかに検出することができる。一方で、他栓使用中に起因する洗浄流量低下時には、リトライ動作の周期を長く設定することにより、他栓使用終了後における浴槽洗浄運転の機会を確保し易くなる。
なお、本実施の形態に従う浴槽洗浄システムでは、熱源機となる給湯器3側からの情報を必要とすることなく、洗浄水の圧力および流量の低下に対応したリトライ動作を制御できる。このため、情報の相互通信による連係が困難である熱源機(給湯器3)と組み合わせて浴槽洗浄ユニットが付設される場合にも、浴槽洗浄運転を適切に実行できるようになるので、浴槽洗浄ユニットの汎用性の向上を図ることができる。すなわち、本実施の形態に従う浴槽洗浄システムは、リフォーム工事や故障交換等によって、異なるメーカーの熱源機(給湯器3)と組み合わせて付設される場合にも、洗浄水の圧力および流量の低下に適切に対応して浴槽洗浄運転を実行することができる。
また、本実施の形態に従う浴槽洗浄システムでは、リトライ動作により注湯電磁弁20が一旦閉止された後に開放されるため、洗浄管78に水ガバナ弁14が介装された構成に好適であるが、本発明の適用はこのような構成に限定されるものではない。すなわち、水ガバナ弁14が設けられていない構成、あるいは、水ガバナ弁14以外の流量調整要素が介装された構成を有する浴槽洗浄システムに対しても、実施の形態1〜3に従うリトライ動作を適用して、洗浄水の圧力および流量の低下に適切に対応して浴槽洗浄運転を実行することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。