以下、本発明を実施するための形態の一例として、マンションなどの集合住宅において実施するに好適な車両配車システムに関する実施例につき添付図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明を採用した車両配車システムの構成を示している。
本実施例の車両配車システムは、マンションなどの集合住宅(以下、単に「集合住宅」と称する)において、その集合住宅の駐車場に貸出車両を配車するサービスを提供する。車両貸出サービスの配車予約サーバ(501:後述)と連携して貸出車両の配車先の駐車場(303:後述)の管理を行なう制御手段は集合住宅に設置された物品収受装置の制御回路によって構成される。
本実施例の集合住宅に配置される物品収受装置100は、図1の右方に示すように宅配物の授受に用いる宅配ボックス(宅配ロッカー)や郵便受けなどとして構成される。
図1の物品収受装置100は、たとえば集合住宅の(宅配業者や郵便配達員がアクセスできる)公共側に面する側を図示してある。ここでは、まず物品収受装置100の概略構成につき説明する。
物品収受装置100は、複数の物品収受ボックス101、101…から構成され、物品収受ボックス101が郵便受けとして構成される場合には破線で示すように投函口102、102…が設けられ、物品収受ボックス101…の投函口102とは反対側(不図示)の面には郵便物を取り出すための電気錠(あるいは番号キー)により開閉される扉(不図示)が設けられる。
物品収受ボックス101、101…が宅配ボックスとして構成される場合には、図示の公共側の面は宅配業者が宅配物を収容するための扉(この扉は居住者が宅配物を取り出すための扉を兼ねていてもよい)として構成され、その反対側には居住者が宅配物を取り出すための扉(不図示)が設けられ、これらの扉の施錠・開錠は電気錠(不図示)により制御される。
さらに、本実施例では、物品収受装置100には、物品収受ボックスの1種として、レンタカーなどの車両貸出システムから配車された貸出車両のキーを車両を配車させたユーザ(借受人:本実施例では主に集合住宅の居住者)に受け渡すために専用のキーボックス121が設けられている。
キーボックス121、121…の大きさ、配置位置や数は集合住宅の規模などに応じて任意であるが、図1では他の物品収受ボックス101の1つが占める空間を利用して4つのキーボックス121を配置した例を示している。
コンソール103は、物品収受ボックス101およびキーボックス121への物品収受を制御するためのユーザーインターフェース手段を構成する。すなわち、物品収受ボックス101、101…の郵便物を取り出すための扉、あるいは宅配物を収容し、また取り出すための表裏(公共側およびプライベート側)の2つの扉、あるいは上記のキーボックス121の(公共側のみ、あるいは公共側およびプライベート側の)扉の開閉は、コンソール103での居住者、宅配業者あるいは車両貸出システムの配車作業者などの操作に応じて制御部200(後述)により制御される。
ここでは、コンソール103は、便宜上、公共側に配置されたものを図示しているが、ほぼ同じ構造、ほぼ同じ機能のものをプライベート側(図示した側と反対側)に設けることができる。これら公共側およびプライベート側のコンソール103は、いずれも本実施例に関してはほぼ同様に用いることができるものとする。
コンソール103には、LCDパネル(あるいはさらにタッチパネル)などから構成されたディスプレイ104、ファンクションキーやテンキーから成るキーボード105、および認証手段としてのIDカード111の情報を読み取るカードリーダ106が設けられる。
また、コンソール103には、印刷手段として、熱転写方式、インクジェット方式など任意の印刷方式を採用したプリンタ107が設けられる。本実施例では、このプリンタ107はキーボックス121を用いた車両キーの収受(収納および取り出し)に伴ない実行する後述の車両貸渡契約手続において、当該車両貸渡契約の内容を記述した車両貸渡証の印刷出力に用いられる。
IDカード111は、集合住宅の居住者がそれぞれ保有するもので、たとえばその居室番号などがID情報として記録されたICカードなどにより構成される。また、当該集合住宅以外のIDカード111を用いたりできないよう、IDカード111に当該集合住宅で用いることができる正規のカードであることを示す特定の鍵情報を格納したり、あるいは居室番号などのID情報を当該集合住宅のみで通用する鍵情報を用いて暗号化して記録したりすることができる。
さらに本実施例では、IDカード111は、駐車場303の予約の際に、カードリーダ106に提示することにより行なうユーザ認証に用いられる。駐車場303の予約管理は、この認証手続が成功することを条件として、物品収受装置100の制御部200によって制御される。駐車場303は、当該集合住宅の居住者が車両貸出システムの配車先(あるいは来客用の臨時駐車用)として予約することができるよう、当該集合住宅の管理規約などが定められているものとする。
なお、IDカード111は当該集合住宅の特定の居住者のユニークなID情報を記録しているため、たとえばIDカード111を提示して駐車場303の管理区画を車両貸出システムの配車先(あるいは来客用の臨時駐車用)として予約(後述の図4)する場合、制御部200は当該の特定の居住者がその予約操作を行なっている、ということを確実に認識することができる。
また、本実施例では、後述するように制御部200による駐車場303の管理と、車両貸出システム(の配車予約サーバ501)の配車予約処理を連携させる必要があり、たとえば貸出車両の配車先の駐車場予約の際IDカード111の提示により識別される当該集合住宅の特定の居住者と、配車予約サーバ501にネットワーク経由でアクセスして行なう配車予約を申し込んだユーザの一致を保証できる必要がある。
たとえば、この駐車場予約と配車予約、あるいはさらに本実施例において後述のようにその一部が電子的に実行される車両貸渡契約におけるユーザ一致は、免許証提示などの本人(あるいはさらに住所)確認を経て行なわれるレンタカー、カーシェアリングシステムなどの車両貸出システムの会員登録の際に、集合住宅名やその住所、居室番号などの識別情報を申告させ、車両貸出システムの会員情報データベースに格納することなどにより保証することができる。
上述のような集合住宅側および車両貸出システム側のユーザ登録の細部や、認証制御の細部の仕様などは、あらかじめ集合住宅の管理組合(あるいは本システムの運営組織)と、車両貸出システムの運営組織との間の取り決めによって予め決定しておくことができる。
あるいはさらに、IDカード111は、宅配物(あるいは郵便物や郵便小包)を収容するため物品収受ボックス101、101…の公共側の扉を開錠するためだけに用いる(居住者に配布するものとは異なる限定された機能を有する)特別なカードとして特定の宅配業者(あるいは郵便配達人)に配布することもできる。さらに、IDカード111は集合住宅のエントランスの扉(不図示。いわゆるオートロック制御される玄関扉)や、居住者個々の居室を開閉する鍵として機能するカードキーを兼ねていてもよい。
コンソール103のディスプレイ104、キーボード105は、上記の通り物品収受ボックス101およびキーボックス121の操作に用いられる他、物品収受装置100の管理作業や、後述する車両貸出システムの配車予約サーバ(501)にアクセスして車両の貸出予約を行なうためのアプリケーション(たとえば汎用ないしは専用のブラウザなどの形態で実装される)を実行するのにも用いることができる。
物品収受装置100の制御部200は、コンソール103でのIDカード111の提示、操作に応じて、物品収受装置100の物品収受ボックス101、101…を施錠/開錠する電気錠の開閉制御を行なう。
制御部200は、主制御部としてのCPU201、後述のプログラムを格納したROM202、ワークエリアとして用いられるRAM203、検出制御部301と通信するための所定通信方式によるインターフェース205(たとえば IEEE 802.3 ネットワークインターフェース、シリアルインターフェース)などから構成される。
さらに制御部200には、HDDや不揮発メモリカードから成る外部記憶装置207が接続されており、後述のプログラム、および管理データベース情報はこの外部記憶装置207に格納される。
また、制御部200は、ネットワークインターフェース204(たとえば IEEE 802.3 ネットワークインターフェースや所定方式の WAN インターフェースなど)を有し、ネットワーク206(インターネット、またはイントラネット)を介して遠隔地のサーバと通信することができる。
また、本実施例では、駐車場(303)の予約管理を行なうために、時刻に応じたシステム制御を行なえるよう制御部200にはリアルタイムクロック211が設けられている。
図1のシステムが設置された集合住宅は、駐車場303を有し、この駐車場303は駐車区画(図中においてPLと略記する場合がある)3031、3032、3033…から構成される。
駐車区画3031、3032、3033…は集合住宅の居住者に専有的に貸与されるよう利用される他、そのうちのいくつかの区画を来客用駐車場などとして利用することができる。こうした駐車区画3031、3032、3033…の運用の態様は集合住宅の管理規約などに応じて任意であるが、本実施例では駐車区画3031、3032、3033…の内、いくつかの区画をレンタカーや、カーシェアリングシステムなどから配車される貸出車両の配車先として用いることができるものとする。
貸出車両の配車先として用いられる駐車区画は、貸出車両の配車専用であってもよいし、また、来客用の駐車区画などを一部共用するような運用であってもよいが、以下の説明では説明を容易にするため、少なくとも駐車区画3031、3032の2つの区画が貸出車両の配車のために割り当てられているものとする。
駐車区画3031、3032、3033…には、各区画に実際に車両が駐車しているか否かを検出するセンサ3041、3042、3043…を配置することができる。センサ3041、3042、3043…は、たとえば車両により検出光が遮られることにより車両検出を行なう光学式センサなどから構成することができる他、駐車区画3031、3032、3033…がたとえば有料式の駐車区画として構成されコインパーキングなどで用いられるようなフラップ(ロック板)が設けられている場合には、このフラップ(ロック板)を上下させるのに用いられるセンサを流用することも考えられる。センサ3041、3042、3043の出力は検出回路301によって取り込まれ、制御部200のCPU201はインターフェース205を介して各駐車区画3031、3032、3033…のそれぞれの利用状態をリアルタイムで把握することができる。
上述のように、本実施例の駐車場303は、レンタカー、カーシェアリングシステムなどの車両貸出システムの配車先として利用することができるよう運用する。以下では、この車両貸出システムネットワーク(インターネットあるいはイントラネット)206経由で配車予約が可能であるものとする。
このために、車両貸出システムの運営組織(たとえばレンタカー運営会社)はネットワーク206上に配車予約サーバ(以下、配車サーバと記す)501を配置する。そして、この配車サーバ501に対してパーソナルコンピュータや携帯端末などの端末502からインターネットブラウザないしは専用プログラムなどのアプリケーションを用いてアクセスし、配車予約を行なうことができるよう車両貸出システムが構成される。
本実施例においては、インターネット上の端末502(パーソナルコンピュータや携帯端末など)から配車サーバ501が貸出車両予約を受け付け(インターネットないしはイントラネット予約)できるようにする。
しかも、本実施例では配車サーバ501が、特定の集合住宅の駐車場303の駐車区画3031、3032…を配車先として指定された車両貸出予約を受け付けることができるようにするが、いたずら予約などを防止するため、上述のように当該の車両貸出予約を行なっているユーザと、特定の集合住宅の駐車場303の駐車区画3031、3032…を予約したユーザ(当該の特定の居住者)の一致が保証できなければならない。
このため、車両貸出システムの運営組織は、貸出車両のインターネット(イントラネット)予約を希望するユーザに対しては予め利用者登録を要求し、さらに特定の集合住宅の駐車場303の駐車区画3031、3032…を配車先として用いることを希望するユーザに対しては、住所、氏名や連絡先(電話番号および電子メールアドレスなど)の必要事項の他、さらに少なくとも集合住宅の名称や住所、および居室番号の登録を要求することが望ましい。また、規約上、この利用者登録の際、住所や本人確認は免許証の提示などを義務付けるのが望ましい。この利用者登録を行なった後、車両貸出システムの運営組織からユーザに対してはユーザID(会員番号など)およびパスワードなどの認証データを発行する。
そして、貸出車両のインターネット(イントラネット)予約を行なうため、配車サーバ501にアクセスする場合には、ユーザ(本実施例の集合住宅の居住者)はこのユーザIDと認証データを用いてログインすることを要求する。このログイン後は、配車サーバ501は当該ユーザの住所、氏名、連絡先などの通常の会員情報の他、ユーザが配車先の集合住宅駐車場を登録している場合は、当該集合住宅の名称やその住所(あるいはさらに駐車場の駐車区画の数など)を把握した上で配車予約を進めることになる。
さらに、後述の制御例では、配車サーバ501が制御部200の管理するデータベース(後述の図2、図3)の駐車区画予約データにアクセスするとともに、配車サーバ501が制御部200に対して配車先の駐車区画の予約を要求できるようにするが、このために、配車サーバ501が制御部200に対してアクセスする通信手段が必要となる。
このための通信プロトコルとしては、HTTP(S)やSSH、SSLなどの任意のインターネットプロトコルを用いることができるが、その場合、配車サーバ501は、集合住宅の制御部200のアドレス(URI/URLやIPアドレス)を認識している必要がある。
また、この通信のため、集合住宅の制御部200のアドレス(URI/URLやIPアドレス)は、たとえば上記の車両貸出システムの利用者登録の際、ユーザに申告させ、集合住宅名や住所と関連づけて登録する手法が考えられる。あるいは、車両貸出システム、および集合住宅の管理会社、管理組合、あるいは制御部200が管理する物品収受装置100の管理組織との間で配車サービスに関して特定の契約が結ばれるようなケースでは、契約に基づき集合住宅名などから特定の集合住宅の制御部200のアドレス(URI/URLやIPアドレス)を抽出できるようなデータベースを用意できる可能性があり、その場合には配車サーバ501はそのデータベースを用いて車両予約の際、ユーザが申告した集合住宅名などから特定の集合住宅の制御部200のアドレス(URI/URLやIPアドレス)を求めることが可能となる。上記のような構成により、後述の配車予約処理(図5)の際、配車サーバ501から制御部200に対して通信を行なえるようになる。
図2および図3は、図1の物品収受装置および車両貸出システムからなる装置の制御に用いられるデータベースの構成の一例を示している。
図2および図3のデータベースは、制御部200の外部記憶装置、ないしはネットワーク206に配置された不図示の管理サーバの外部記憶装置(不図示)の記憶領域(通常、特定のデータベース方式におけるデータベースファイル)を用いて構成される。
この種のデータベースは、通常、いわゆるリレーショナル形式により構成され、複数の記憶領域を関連づける形で種々のデータレコードを格納する。
図2は、本実施例のシステムにおける主データベースの概要を示しており、このデータベースにおいては、各レコードはフィールド1301の居室ID(居室番号)ごとに1レコードを構成する。この1レコードは符号1301〜1304で示すフィールド、すなわち、居室ID、物品収受ボックスID、物品収受データベースへのポインタ、および駐車場303の予約管理データ(駐車予約データ)をそれぞれ格納するフィールドから構成される。
このうち、居室ID1301のフィールドには、IDカード111によって識別される居住者の居室ID(たとえば居室の部屋番号)を格納する。
物品収受ボックスID1302のフィールドには、物品収受ボックス101が郵便受け、宅配ボックスのいずれの場合であっても、居室ID1301のデータの示す居住者に対応づけられた物品収受ボックス101が存在する場合に、そのボックスのID(ここでは物品収受ボックス101、101…に割り付けられた2桁の番号を例示している)が格納される。
居室ID1301のフィールドには、特定のIDカード111に対して特定の居住者ないし物品収受ボックス101のボックスIDを発行する登録時などにおいてその居住者に対応する居室番号の情報が格納される。また、物品収受ボックス101が各居室に専有割り当てされる場合には、物品収受ボックスID1302のフィールドには当該居室によって専有使用される物品収受ボックス番号が格納される。これらの情報の登録処理は上記のコンソール103、あるいは不図示の別の登録システムを用いて実行する(この登録処理は本発明の本質とはほとんど関係しないのでここでは詳細については説明を省略する)。
物品収受ボックス101が宅配物などの収受に用いられるボックスである場合は、物品収受ボックス101は特定のユーザの専有使用ではなく、共用形態で使用される場合もあるが、その場合にはフィールド1302は、着荷があった場合にのみ、当該ユーザ宛ての荷物が格納されたボックスIDが格納されるよう用いられる。
また、物品収受データベースへのポインタ1303は、当該居住者の物品収受ボックス101を用いた物品収受に関する物品収受データベース(不図示)の格納領域へのポインタ(ファイル名や、メモリアドレス)である。この物品収受データベースには、当該居住者に対して物品収受ボックス101により行なわれた物品(宅配物、郵便物など)の収受に関する情報、たとえば着荷日時や、物品収受サービスに関して課金が行なわれる場合にはその課金情報などが蓄積される。ここでは、この種の物品収受を管理する物品収受データベースについては公知であるから詳細な説明は省略するが、物品収受データベースへのポインタ1303の値として例示したP11〜P13は実際には他の特定のデータベース領域へのポインタ(ファイル名や、メモリアドレス)である。
フィールド1304に格納される駐車予約データは、駐車場303の駐車区画3031、3032、3033…のうち、フィールド1301で示される居室の居住者が駐車場を予約すると生成される。
フィールド1304の予約データは、当該居住者に専有的に割り当てられる駐車区画ではなく、後述の車両貸出システムの配車先として予約されるか、あるいは来客用に予約されるなど、居住者の明示的な操作によって駐車区画が予約される場合に生成され、図示のように少なくともその駐車区画が予約された時間帯(日時)データと、予約された駐車区画の番号などを含む。
図2の例では、居室番号101の居住者が4月12日(2013年)10:00−10:30の時間帯において、1番めの駐車区画(PL1:図1の駐車区画3031に対応)を予約している。この1番めの駐車区画は、上述のように車両貸出システムの配車先として用いられるもので、予約時間は30分間と比較的短い。
また、居室番号103の居住者は4月12日(2013年)11:00−18:00の時間帯において、3番めの駐車区画(PL3:図1の駐車区画3033に対応)を予約している。この3番めの駐車区画は、たとえば車両貸出システムの配車先ではなく、この居住者はたとえば来客用などの目的で7時間の予約時間をとっている。
なお、集合住宅の管理規約によっては、車両貸出システムの配車先や来客用などに臨時に駐車場を使用する場合には、管理組合から駐車場使用料を課金する場合があるが、この課金単価なども必要に応じてフィールド1304(あるいは別途設けたフィールド)に格納することができる。
上記のような主データベースが用意されていれば、物品収受に関しては、IDカード111がコンソール103のカードリーダ106に提示されるなどして認証操作が行なわれると、CPU201が居住者のID情報であるIDカード111に記録されたユーザID(居室ID)を取得すると、その居室IDを用いて図2の居室IDのフィールド1301を有するデータベースレコードを参照することによりその居住者に割り当てられた物品収受ボックスID(フィールド1302)を特定することができる。
また、駐車場303の予約に関しては、IDカード111をコンソール103のカードリーダ106に提示する認証操作を条件として許容するが、この場合、上記同様に居室IDからその居室ID(居室番号)を有するレコードを特定でき、そのフィールド1304の駐車場予約データを参照し、また必要に応じてその内容を更新することができる。
図3は、駐車場303の駐車区画のためのデータベースレコードの構造を示している。図3のデータベースは以下に示すように駐車場303の各駐車区画を管理するデータを格納する。
図3の行方向に配列されたフィールドから成る1レコードは、駐車区画1つごとに割り当てられており、1レコードは駐車区画番号(2301)、その駐車区画の属性(2302)、その駐車区画の予約データ(2303)、およびその他の管理データ(2304)のための各フィールドから構成される。
図示の例では1〜15番の15台分の駐車区画に対応する15レコードが示されており(図示上は途中のレコードを省略)、本実施例では、属性フィールド(2302)が「R」となっている1番と2番の駐車区画(図1の3031、3032)は、車両貸出システムの配車先として用いられるものである。
また、1番と2番以外の駐車区画(図1の3033〜)は、属性フィールド(2302)が「N」となっており、これらの駐車区画は、居住者に専有的な駐車区画として貸し出されるか、あるいは来客用などとして臨時に貸出される形態で使用される。なお、ここでは簡略化のため、居住者に(たとえば集合住宅の管理規約に基づく月極め契約などにより)専有的に貸出される駐車区画と来客用などの臨時の貸出し区画を「N」の属性で示し、両者を区別していないが、もちろんこれらにそれぞれ異なる属性を割り当てて管理してもよい。
図3の例では、1番と3番の駐車区画のフィールド2303に、図2の予約状態に対応する予約データが格納されている。1番めの駐車区画(図1の3031)は車両貸出システムの配車先として4月12日(2013年)10:00−10:30の時間帯において、また、3番めの駐車区画(図1の3033)は来客用などの臨時駐車のために4月12日(2013年)11:00−18:00の時間帯においてそれぞれ予約されている。
なお、図2および図3のデータベースにおいて、駐車区画予約データのフィールド1304、2303は簡略化のため、1つのみ図示しているが、これらのフィールドが可変長である場合、あるいは2つめ以降の予約データフィールドを確保してポインタなどによって参照できるようシステムが構成されていれば、複数の予約データを格納できるのはいうまでもない。
次に上記構成における動作につき説明する。
図4は駐車場303の駐車区画3031、3032…を予約する際のCPU201が実行する制御手順を示している。図示の手順はCPU201のプログラムとして、ROM202や外部記憶装置207に格納しておくことができる。
図4の予約ルーチンは、コンソール103の予約操作に基づき、独立して起動される他、たとえば後述の車両貸出予約処理(図5)における配車サーバ501からの要求などに応じてサブルーチンとして呼び出すこともできる。
図4のステップS41では、駐車場予約操作がコンソール103で行われる。ここでは、居住者のみに予約操作を許可するため、IDカード111をカードリーダ106に提示させる認証操作を操作者に行わせ、その後、駐車予約の希望日時(使用開始および終了の日付と時刻)を少なくとも入力させる。操作者、すなわち駐車場の予約者が誰であるかは、IDカード111から読み取ることができる。
また、本実施例では、駐車区画は車両貸出システムの配車先か、それ以外の用途かで使い分けられるため、ステップS41では操作者は予約する駐車区画が車両貸出システムの配車先か、それ以外の用途かを指定する。この指定には、たとえば駐車区画の見取図を用途別に表示して車両貸出システムの配車用またはそれ以外の駐車区画を操作者に指定させるような方式が考えられる。
なお、車両貸出予約処理(図5)において配車サーバ501からの要求に応じて図4の処理が呼び出される場合には、駐車予約の希望日時などの必要事項は端末502やコンソール103からではなく、配車サーバ501から要求を受け取った上位ルーチンによって入力される。
ステップS42では、図3のデータベースを参照して、ステップS41で入力された予約日時に、操作者が希望する車両貸出システムの配車用の(またはそれ以外の)駐車区画に空きがあるか否かを判定する。車両貸出システムの配車用の駐車区画は、たとえば番号の若い方から順に予約日時と衝突する予約データが既に登録されているか否かが判定され、予約日時(予約期間)に空きとなっている駐車区画があればステップS43に移行して、図3のデータベースにおいて当該の駐車区画の(フィールド2301が目的の駐車区画番号を有する)レコードのフィールド2303に予約データを格納するとともに、図2のデータベースにおいても、ステップS41のIDカード提示によって特定された居住者の居室番号を有するレコードのフィールド1304に対応する予約操作データを格納し、駐車場予約処理を終了する。
一方、ステップS42で予約希望の日時に車両貸出システムの配車用(またはそれ以外の)駐車区画に空きがない場合にはステップS41に戻って他の予約希望日時を入力させる処理を繰り返すが、その際、ステップS44において予約操作を中止するか否かを操作者が選択できるようにしておく。ステップS44で予約操作が中止された場合には図4の予約処理は終了となる。
図5は、配車サーバ501によって行われる車両貸出予約操作の流れを示している。ここでは、特に本システムの集合住宅の駐車場が配車先として用いられる場合の処理を示している。配車サーバ501側の制御手順は、不図示のサーバ側のHDDなどに格納されるものとする。
図5の車両貸出予約と、集合住宅の配車先の駐車場予約との前後関係に関しては、
(1)車両貸出予約に先立ち、集合住宅の居住者が図4の手順によって予め配車先の駐車区画を予約しておく
(2)配車先の駐車区画を予約せずに車両貸出予約操作を開始し、必要に応じて配車サーバ501側から配車先の駐車区画を予約する(後述のステップS54)
といった形態が考えられるが、本実施例では、いずれの場合でも、従来構成とは異なり、配車サーバ501側が配車先として集合住宅の特定の駐車区画を使用できることを確認した上で車両貸出予約処理を完了させることができる。
図5の配車予約操作はたとえばネットワーク206のPCや携帯電話などの端末502から配車サーバ501にアクセスして行なわれる。このとき、端末502と配車サーバ501間の通信プロトコルには、たとえば上述のようにHTTP(S)などの通信手順を利用することができる。また、たとえばコンソール103で端末502と同様のWWWブラウザなどのアプリケーションを実行できるように構成してあれば、コンソール103から配車サーバ501にアクセスすることにより、図5の配車予約操作を行なうこともできる。
図5のステップS51では、配車サーバ501から端末502(あるいはコンソール103)に対して会員IDとパスワードの入力を要求するなどのログイン(認証)処理を行なった上、配車予約処理が開始される。
なお、車両貸出システムのユーザ登録時には、前述のように免許証提示などの本人確認を伴なって住所、氏名、電話番号やメールアドレスなどの連絡先の申告があらかじめ行なわれるものとし、特定のユーザ識別情報(会員番号など)およびパスワード入力などにより行なわれるログイン認証が成功している場合には、配車サーバ501側では、ユーザ(車両の借受人)の名義、住所、氏名、電話番号やメールアドレスなどの連絡先、免許証番号など後述の車両貸渡契約に必要な事項(車両貸渡証に記述(印刷)される)はこのログイン手続を介して特定することができる。
ステップS51における配車予約処理では、まず端末502で予約操作画面がWWWブラウザなどのアプリケーション上に表示され、操作者はその予約操作画面を用いて配車希望の車種、配車日時、さらに集合住宅名および居室番号などのデータを入力(コンソール103からこの配車予約操作を行なっている場合や、上述のように車両貸出システムの会員登録の際、集合住宅名および居室番号などの情報が登録されている場合にはこれらの入力は省略することも可能である)する。また、配車先の駐車区画を既に予約済みである場合には、その配車先の駐車区画の番号などの識別情報を入力させるようにしておく。
ステップS51aでは、車両貸出システムの配車サーバ501が、ステップS51で要求された日時に、要求された車種の貸出車両を配車先に配車できるか否かを判定し、当該の配車が可能であればステップS52に移行し、また当該の配車が不可能であればステップS51bにおいて配車予約の条件変更を伴なう予約操作を端末502側で行なわせ、再度ステップS51aで配車可能か否かの判定を行なう。
なお、ステップS51aの配車可能か否かを判定する処理には、車両貸出システムの運営組織の構成によっても異なるが、たとえば数分以上の所要時間を要する可能性がある。その場合には、たとえば、いったん通信を中止し、配車可能か否かを記載した電子メールなどを端末502のアドレスに送信し、ステップS52またはステップS51b以降の処理は端末502にその電子メールに記載したURLなどにアクセスさせることなどによって続行することができる。
ステップS52では、配車サーバ501から、制御部200との間の通信経路が確立され、制御部200との通信を介して、配車サーバ501は図3(ないしは図2)のデータベース中の全駐車区画予約データを読み取る。配車サーバ501および制御部200との間で用いる通信プロトコルは任意であるが、たとえばSSHやSSLなどの公開鍵暗号通信方式(暗号化通信路)を用いるのが好ましい。配車サーバ501から、制御部200との間でデータやコマンドを授受するためのデータフォーマットは予め適宜定めておく。
続いてステップS53では、配車サーバ501は制御部200から取得した駐車区画予約データを解析し、ステップS51の配車予約操作において指定された日時に該当する有効な駐車区画予約データが存在するか否かを判定する。
この判定は、配車予約操作において指定された配車先の集合住宅の駐車場の駐車区画を配車先として利用できるか否かを確認するために行なうもので、ここではまず配車予約操作を行なっている当該集合住宅の居住者が既に駐車区画を予約しているものとして、当該居住者による駐車区画予約データが確実に存在する(駐車区画予約有効)か否かを判定する。
すなわち、ステップS51で配車先の駐車区画が指定されている場合には、ステップS53では、制御部200から取得した駐車区画予約データ中で、ステップS51で入力された配車先の駐車区画が指定された配車日時に当該の居住者(居室番号により識別する)によって予約されているか否かを判定し、その旨を確認できた場合には、駐車区画予約有効、と判断する。
また、この段階では、予め駐車区画がまだ予約されていない可能性があるが、ステップS53では、ステップS51で配車先の駐車区画が入力されていない場合も駐車区画予約無効、と判断する。
また、ステップS53では、ステップS51で入力された配車先の駐車区画が、取得した駐車区画予約データ中で、指定された配車日時に予約されてはいるが居住者が一致しない場合には、駐車区画予約無効、と判断する。
ステップS53において、駐車区画予約有効と判断された場合には、指定の日時に配車先として指定されたこの集合住宅の駐車区画が確実に利用できることが確認されたことになるので、配車サーバ501はステップS55において、車両貸出予約データを生成し、システムのデータベース(不図示)に登録する。この車両貸出予約データは少なくとも、車種、配車日時、配車先などの可読文字列(配車作業は現在のところ作業者の人力による運転などによって行なわれるため)データなどから構成される。
一方、ステップS53で駐車区画予約無効と判断されるのは、上記のように配車予約を行なっている居住者が単にまだ駐車区画予約を行なっていない場合、あるいは配車予約日時に駐車区画予約はあるが、それが他の居住者による駐車区画予約である場合などがある。
本実施例では、このような場合にも対処すべく、配車サーバ501側から制御部200に対して配車予約者が希望する配車日時に新たな(あるいは他の)駐車区画の予約(下記のステップS54)を要求することができるようにしてある。
しかしながら、駐車区画が配車日時において満杯で空きがない場合には、いずれにしても駐車区画の予約は不可能であるから、ステップS53が否定された場合にはまずステップS53aにおいて、制御部200から取得した駐車区画予約データを参照し、配車日時において駐車区画に空きがあるか否かを判定する。そして、駐車区画に空きがない場合には配車日時変更などの配車条件の変更が必要になるため、上述のステップS51bに分岐し、端末502で配車条件の変更を行なわせる。
一方、ステップS53aで駐車区画に空きがある場合には、ステップS54に移行し、配車サーバ501側から制御部200に対して駐車区画の予約処理を要求する。この予約処理は、図4に示したものと同様の流れによって実行することができ、その場合、希望の予約日時(ステップS41でサーバ501側から入力)としてはステップS51(ないしはS51b)で入力された配車予約日時が用いられる。
続いて、ステップS56ではステップS54の駐車区画予約処理が成功したか否かが判定され、駐車区画予約処理が成功した場合にはステップS55に移行して車両貸出予約データを生成し、システムのデータベース(不図示)に登録する。この際、ステップS51のログイン処理によって、ユーザ(車両の借受人)の名義、住所、氏名、電話番号やメールアドレスなどの連絡先、免許証番号など車両貸渡証で必要な記載事項が生成される。
ステップS56で駐車区画予約処理が成功しなかった場合には、配車日時を変更するなどの条件変更が必要になるため、ステップS57において条件変更を行なうか否かを端末502(あるいはコンソール103)側に確認させ、条件変更を行なう場合にはステップS51bに分岐して異なる配車条件を入力させ、条件変更を行なわない場合には図5の処理を終了する。
なお、上述の図5においては、ステップS52の駐車区画予約データ取得、ステップS53、S53aの駐車区画予約の有効性に係る判定、およびステップS54の駐車区画予約は配車サーバ501側が行なうものとして説明したが、たとえば配車サーバ501から配車日時および端末502を操作している居住者の居室番号などの必要な情報を制御部200に送信して、制御部200側で上述と同等の処理を行なうように構成することも考えられる。
図4および図5に示したような制御を行なうことによって、本実施例の車両配車システムが配置された集合住宅の居住者は、駐車場303の駐車区画3031、3032…を配車先として指定して、レンタカーシステムやカーシェアリングシステムといった車両貸出システムの貸出車両の配車予約を行なうことができる。本実施例の車両配車システムにおける貸出車両の配車はたとえば次のような流れになる。
本実施例の車両配車システムが配置された集合住宅の居住者は、インターネット(イントラネット)などのネットワーク206上の端末502(居住者の携帯端末や、居室に配置されたPCなど)、あるいはコンソール103上で実行されるWWWブラウザや専用アプリケーションを用いて配車サーバ501にアクセスし、貸出車両の配車予約操作(図5ステップS51)を行なう。この際、配車サーバ501に対するログイン操作(あるいはコンソール103からの配車予約を行なう場合には、それに先立つコンソール103に対するIDカード111の提示)などの認証操作が行なわれるので、配車サーバ501は認証操作を介して特定の会員情報に到達でき、当該の車両貸出システム会員の集合住宅、および居室番号などの情報を認識することができる。
配車先の駐車区画は、上述のように予め予約(図4の手順による)しておいてもよく、また、配車先の駐車区画を予め予約しておかなくても配車サーバ501〜制御部200の通信(図5ステップS53〜S54)によって、配車予約中に駐車区画の予約を行なうことができる。
そして、本実施例は、配車サーバ501側から制御部200の駐車区画予約データにアクセスできるよう構成されており、配車予約は配車先の駐車区画が配車時間帯において該当する有効な駐車区画予約データが存在することを条件(図5ステップS53)として成立するため、たとえばレンタカー営業所に車両を受け取りに行く旧来の形態ではなく、居住する集合住宅の駐車場を配車先として指定する形態においても、実際の配車が失敗してしまう可能性を大きく低減することができる。
配車予約登録が正常に終了(図5ステップS55)すると、配車予約登録データが車両貸出システムのデータベースに登録される。車両貸出システムの運営形態によって細部の差異は生じる可能性があるが、実際の配車作業は概ね次のように行なわれる。
たとえば、配車予約登録データが車両貸出システムのデータベースに登録されると、その配車予約内容は車両貸出システムの営業所の社内端末などにおいて表示される配車予定確認画面に表示され、この配車予定確認画面に表示された配車予約内容にしたがって車両貸出システム運営組織の作業者が実際の配車作業を行なう。ただし、将来的に貸出車両の完全な自動運転により無人配車が可能となった場合でも、本実施例の配車予約制御は本質的な変更を要することなく実施できるのはいうまでもない。
上述のように、配車予約時に、集合住宅名(あるいはさらに住所や予約者の電話番号など)、予約者の居室番号、上記のようにして予約された駐車区画などの識別情報は配車サーバ501により認識されており、車両貸出システムの営業所の社内端末の表示などを介して作業者はこれらの情報を知り、それに基づいて配車作業を行なうことになる。
実際の配車時間帯が近づくと、配車作業者は車両貸出システムの営業所の社内端末で配車すべき車両、配車条件などを確認した上、実際に配車する車両の登録ナンバー、ボディの傷の状態、走行距離やガソリン(電気自動車の場合はバッテリー)残量などの現状に応じて、当該車両の貸出しに関する車両貸渡証に必要な未記入の記載事項を記入するか、または端末から入力する。
完成した車両貸渡証の文面は、後述の配車および車両キーの収受(図7および図9)において必要であるから、テキスト形式(たとえば車両貸渡証の記入事項が社内端末から入力されることにより生成される)やPDF(あるいは画像)ファイルなどの形式(この段階で作成された車両貸渡証がたとえば紙などであり、その用紙をスキャナなどにより読み取った場合)で、車両貸出システムのサーバ(たとえば配車サーバ501)に格納される。
その後、配車作業者はレンタカー営業所などの貸出車両の存在する位置から、配車先である集合住宅の駐車場303まで作業者が貸出車両を運転していき、予約されている所定の駐車区画に貸出車両を駐車する。この段階において、本実施例では上述のように配車先の駐車区画が配車時間帯において該当する有効な駐車区画予約データが存在することが確認済みであるから、配車先の駐車区画が他の車によって占有されている、などの理由で配車不可能となってしまう可能性はかなり低くなる。
所定の駐車区画に貸出車両を駐車した後、作業者は貸出車両を施錠し、貸出車両のキーの引き渡しを行なう。本実施例では、後述のようにしてキーボックス121を用いた車両キーの収受を行なうことができる。
ただし、この段階で予約者である当該の居住者が在宅であれば、集合住宅のインターホンなどを介して当該の居住者にコンタクトし、直接、貸出車両のキーを引き渡すようにしてもよい。その場合には、車両貸渡証の手交などの手続きはたとえば配車作業者と予約者である居住者の対面手続きによって遂行することができる。
しかしながら、本実施例では、車両貸出システム(レンタカー、カーシェアリングシステムなど)から配車される車両のキーを収受するためのキーボックス121(図1)を設けており、このキーボックス121を用いることにより、居住者がそのタイミングで不在であっても、また、煩わしい対面手続きを必要とせず、配車した車両のキーを収受することができる。
また、その際、下記のような制御によって、コンソール103(およびプリンタ107)を用いて、電子的に、かつ非対面の手続きによって車両貸渡契約を成立させることができ、また、この車両貸渡契約の成立を条件として車両キーのキーボックス121への収納およびキーボックス121からの取り出しを許容するよう制御することができる。
図7は、配車、貸出車両のキー収受処理の制御手順を示している。図示の手順のうち制御部200の実行する制御については、CPU201のプログラムとして構成され、ROM202や外部記憶装置207に格納される。
図7のステップS71は、貸出車両の配車および駐車作業を示しており、ここではレンタカーなどの車両貸出システムの作業員が上述のようにして予約された駐車区画3031、3032…のいずれかに貸出車両を駐車し、そのドアを車両キーで施錠する。
その後、作業員は車両キーを持ち、物品収受装置100のコンソール103の設置場所まで移動し、ステップS72でコンソール103を介してキーボックス121を用いた車両キーの収受手続を行なう。このステップS72の処理は、たとえばスタートメニューから「貸出車両キー収受」のようなジョブを選択して開始され、作業員はコンソール103を介して、当該の車両貸出に関する固有の識別番号(たとえば車両予約番号など)や、貸出車両(および車両キー)の届け先である居住者の居室番号などの必要事項の入力を求められる。なお、この際、必要であれば、レンタカー会社の名称や作業員の識別情報の入力や、あらかじめ発行されたIDカードの提示などを求める、などの認証手続を介在させることができ、これによりキーボックス121の不法な操作を防止することができる。
ステップS73では、電子的な手続により、車両貸出システム側の車両貸渡契約手続を実行する。この車両貸渡契約手続の形態や、車両貸渡証の取り扱いについては、たとえば、図8に示すようにコンソール103のディスプレイ104に車両貸渡証の文面1043を電子的に表示し、同画面内の車両貸出システム側の契約同意の趣旨を入力させるボタン(あるいはアイコン)1041、または非同意の趣旨を入力させるキャンセルボタン1042を用いて当該の車両貸渡契約に対する車両貸出システム側の同意(または非同意)を求める手続を行なう。
そして、この同意操作が行なわれた場合にはコンソール103のプリンタ107を用いて最終状態の車両貸渡証(図7の処理では車両貸出システム側のための写し、ないし控え)を印刷出力する。
上記の「同意」操作が行なわれたことは印刷出力する車両貸渡証上では文字列(あるいは所定のシンボル)の印刷などによって明示する。たとえば、車両貸渡証の書式上、車両貸出システムの名義(あるいは担当者)およびユーザの氏名などのための所定の署名欄を用意しておき、この欄にそれぞれ該当の氏名をそれぞれ印刷出力することなどにより、記録ないし保存用のプリントアウトに、当該契約の当事者双方の「同意」を記録することができる。
図8に示す車両貸渡証の文面1043は、制御部200と車両貸出システム側(たとえば配車サーバ501)の通信によって、ステップS72において作業者入力した当該車両貸出の固有番号などに基づき、車両貸出システム側から文字テキストやPDF、画像ファイルなどの形式で送信させることができる。
なお、この種の車両貸渡証の記載事項には、業務の性質上、車両貸出の直前まで未定であるものが多い。たとえば、貸出車両の車種は決まっているにしても、配車直前に車両の個体が変更される可能性もあり、したがって車両の登録ナンバー、ボディの傷などの状態は、実際に配車する貸出車両が決定するまでは不明であり、したがってこれらに関する車両貸渡証の記載事項は完全に埋まらない。
車両貸渡証の内容は、配車作業員が配車に出発する段階においてようやく確定することとなり、図7のステップS73においては、車両貸出システム側で記載した(あるいは社内の作業端末で入力した)車両貸渡証の最終的な記載内容を図8のようにして表示することができる。なお、通常、この種の車両貸渡証(ないしはその添付書類)には当該契約の当事者双方が確認できるよう、車両のボディの傷などの状態を記載したスケッチ欄などが設けられる慣例となっているが、図8において、符号1044はこの車両の現状を確認する表示欄となっている。この現状表示欄1044には、たとえば手作業で記載したキズの位置や、車両の当該部位を撮影した画像などを表示することができる。
当然、図8の画面における配車作業者の「同意」ボタン1041の操作は、契約上、車両貸出システム側(の担当者)が、車両貸渡証の内容を確認し、車両貸出システムがその内容で同車両貸渡証に署名した、という意味に取り扱えばよい。
そして、図8のような表示をコンソール103のディスプレイ104で行なった後、ステップS74では手続が正常終了した、すなわち、ステップS73で上記の「同意操作」が行なわれ、プリンタ107で車両貸渡証が印刷されたか否かを判定する。ここでは、たとえばステップS73において配車作業者が図8の同意ボタン1041を操作した場合は処理はステップS75へ、また、非同意ボタン1042を操作した場合(あるいは他の中止操作を行なった場合や、プリンタ107の紙切れなどによって印刷が正常終了しなかった場合も含む)はステップS76に移行する。
また、この段階において、配車作業者が車両貸渡証の記載に誤まりを発見した場合などに備え、ステップS74〜S73への「修正」経路で示したように、車両貸渡証の内容の一部を変更するユーザーインターフェースを用意しておくことが考えられる。たとえば、車両貸渡証の内容がテキストデータである場合には、ステップS73において、コンソール103のキーボードを用いて修正事項を入力させることができる。
また、既に印刷された車両貸渡証を手書きなどで修正して、そのイメージを入力することによって車両貸渡証の内容を修正可能な構成としてもよい。この場合には、カメラやスキャナを用いて修正済みの車両貸渡証のイメージを撮影ないしスキャンすることにより契約内容を修正する。この用途に用いるカメラないしスキャナはコンソール103に設けておくか、あるいは配車作業者が用いる携帯端末、スマートフォン、ハンディターミナルなどに設けられたものを用い、撮影された車両貸渡証のイメージは車両貸出システムのサーバ(たとえば配車サーバ501)に送信し、該サーバ経由で制御部200に送信させるようにしてもよい。
また、上記の修正操作が行なわれた場合には、再度ステップS73において修正後の車両貸渡証のイメージを印刷出力させるものとする。
なお、上記のように携帯端末のカメラやスキャナにより取り込んだ車両貸渡証のイメージをサポートする構成であれば、ステップS73の直前まで車両貸渡証はハードコピー(紙)のまま運用することも考えられる。
このように、配車作業者の「同意」操作に先立って、車両貸渡契約の内容を修正できるようにしておけば、車両貸渡証に誤りが発見された場合など、契約内容に修正が必要になった場合にも容易に対応することができる。
ステップS75では、配車作業者は貸出車両の車両キーを空いているキーボックス121の1つに収容する。このとき、制御部200はコンソール103を介して未使用のキーボックス121を作業者に指定することができる。さらに配車作業者が扉を閉じることにより当該のキーボックス121が施錠され、これにより配車作業者の図7の(配車および)車両キー収受が終了する。
一方、ステップS74で車両貸渡契約手続が正常に終了しなかった場合は、ステップS76においてコンソール103のディスプレイ104などを用いて、車両貸渡契約が非成立となった場合に必要なガイダンス表示(たとえば車両の返送など車両貸渡契約が非成立となった場合に必要な作業についてのガイダンス)を配車作業者に対して行ない、図7の配車および車両キー収受を終了する。
貸出車両の配車を予約したユーザ(居住者)は、図9で後述する手順によって、キーボックス121に収容された車両キーを取り出し、同キーを用いて配車された貸出車両を利用することができる。
次に、図9を参照して、車両の貸出しを受けるユーザ(集合住宅の居住者)側の車両貸渡契約手続につき説明する。図示の手順のうち制御部200の実行する制御については、上記同様にCPU201のプログラムとして構成され、ROM202や外部記憶装置207に格納される。
図7のようにして、配車作業者がキー収容手続を正常に終了した場合は、制御部200がこのことを認識できるから、制御部200が(あるいは通知を受けた配車サーバ501が)当該車両の貸出しを受けるユーザ(居住者)に電子メールやショートメッセージを送信する、あるいは(そのような制御線があらかじめ設けられていれば)当該の居住者のインターホンを介して音声メッセージや通知アラーム音などを再生することにより配車作業および車両キーへのキーボックス収容手続が終了したことを報知することができる(図9のステップS91)。
この通知に応じて(あるいは配車時刻などの条件を認識して自発的に)、ユーザ(居住者)はコンソール103(あるいはプライベート側のコンソール)で車両をキーボックス121から取り出すための所定操作を行なう(ステップS92)。このとき、ユーザ(居住者)はIDカード111を提示することなどにより、ユーザ認証を行なうとともに、車両の予約番号などの必要事項をコンソール103(あるいはプライベート側のコンソール)から入力する。
制御部200では、上記のコンソール操作において認証処理が成功し、かつ車両の予約番号などの識別情報が一致したか否かを判定(ステップS92a)し、これによりコンソールを操作しているユーザが権限のあるユーザであることが確認できた場合にはステップS93においてユーザ側の車両貸渡契約(同意)手続を実行する。
このステップS93では、車両貸出システム側に関して説明した図8の車両貸渡契約(同意)手続画面とほぼ同様のコンソール103を用いたユーザーインターフェースを介してユーザ側の車両貸渡契約に対する同意操作(電子的署名)を求め、この「同意」操作が行なわれた場合に車両貸渡証(図9の場合、ユーザ用の車両貸渡証のハードコピー)をプリンタ107で印刷出力する。
なお、印刷されたユーザ用の車両貸渡証は、上述の「…通達」の〔別記2〕の通り、車両貸出中は当該貸渡契約に係る貸出車両に車載しておくこと、また、その旨が車両貸渡証自体に記載されるべきであることが要請されており、上記「…通達」に基づく車両貸渡証の場合、ユーザは印刷された車両貸渡証をのちほど貸出車両まで持って行き、車載状態で貸出車両を運用する。印刷された車両貸渡証を貸出車両に車載すべきであることは、プリンタ107で車両貸渡証の印刷出力中など、適当なタイミングでコンソール103によってユーザに報知する(画面表示、あるいは音声出力などの手法を用いてもよい)とよい。
ステップS94では、上記の手続が正常終了したか否かを判定し、ステップS93においてユーザが「同意」ボタン1041を操作した場合は処理はステップS95に、非同意ボタン1042を操作した場合(あるいは他の中止操作を行なった場合やプリンタ107の紙切れなどの印刷エラーの場合)はステップS96に移行する。
なお、ユーザ側の手続において車両貸渡証を修正する可能性はより小さいと思われるが、たとえば氏名などの重要な事項を修正しなければならない可能性を考慮し、ステップS94〜S93への「修正」経路で示したように、車両貸渡証の内容の一部を変更するユーザーインターフェースを用意しておいてもよい。
通常、この段階でユーザ側で車両貸渡証の内容を修正する必要があるのは、たとえばユーザの電話番号などの変更などであろうと考えられるので、この修正インターフェースはユーザ側の情報のみが変更できるような規制が加えられていてよい。この車両貸渡証の内容の修正には、上述同様にコンソール103のキーボード105を用いたテキスト入力や、印刷済みの車両貸渡証を撮影、あるいはスキャンするなどの手法を用いることができる。
当然ながら、図9の処理においても、車両貸渡証の内容の修正が行なわれた場合には、再度ステップS93において修正済みの車両貸渡証を印刷出力するとともに、修正事項ないしは修正された車両貸渡証のデータ(テキストデータまたはイメージデータ)は制御部200から車両貸出システム側のサーバに送信される。
さて、ステップS94で車両貸渡契約手続が正常に終了した場合、すなわちユーザ側の「同意」操作が行なわれ、車両貸渡証が印刷出力された場合、制御部200はステップS95において、当該の車両キーの格納されているキーボックス121を開錠する。これによりユーザ(居住者)は貸出車両のキーを受領でき、当該キーを用いて貸出車両を利用することができるようになる。
一方、ステップS94で車両貸渡契約手続が正常に終了しなかった場合は、ステップS96においてコンソール103(あるいはプライベート側のコンソール)を介して車両貸渡契約が非成立となった場合に必要なガイダンス表示を行なう。この場合は、多くのケースでは、なんらかの折衝やキャンセル処理が必要となる筈であるから、当該ガイダンス表示においてはたとえば車両貸出システムへの電話連絡などをユーザに要請することが考えられる。
以上説明したように、本実施例によれば、図7〜図9のような手順を用いることにより、貸出車両の車両キーをキーボックス121を介して車両貸出システム〜貸出車両ユーザ(居住者)の間で非対面で受け渡すことができ、また、法令ないし通達(上述の「…通達」)の要請によってハードコピーによって運用すべき車両貸渡証(の業者側控、ないしは車両貸出中、当該車両に車載すべきユーザ(借受人)側の正本)をプリンタ107で印刷し、発行することができるようになり、貸出車両ユーザは営業所などに出向くことなく、自宅の集合住宅の駐車場から貸出車両を乗り出すことができる。また、貸出車両のユーザは、あたかもネットショッピングの場合とほぼ同様の気軽さをもって、集合住宅の自室からネットワーク経由で貸出車両を予約でき、また完全に非対面の手続で貸出車両およびそのキーを受け取ることができ、便利であり、本実施例のような構成は車両貸出システムの利用促進に大きく寄与するものである。
また、図8に例示したようなユーザーインターフェース画面を用い、車両貸渡証の内容を表示して同意操作を取り込むことを条件として車両キーのキーボックス121への収容またはキーボックスからの取り出しを許容するよう構成することにより、電子的な手続によって、配車作業者および貸出車両ユーザは非対面で車両貸渡契約の手続きの少なくとも一部を容易に実行することができる。
特に、本実施例では、車両貸渡契約(の少なくとも一部)を電子的に実行することができ、この車両貸渡契約が成立するのを条件として、配車作業者の貸出車両のキーボックス121への収容、ユーザのキーボックス121からの取り出しを行なうようにしている。たとえば、図7および図9に示したように配車作業員および貸し出しを受けるユーザ(車両の借受人:本システムの設置された集合住宅の居住者)の電子的な「同意」(車両貸渡証の書面上は、たとえばこの「同意操作は」当事者の署名として取り扱うことができる)操作がなければ車両キーのキーボックス121への収容、ないしは取り出しには進めないように構成されているので、車両貸渡契約に対する当事者双方の「同意」(署名)を車両貸渡証上に(あるいはそのコピーたる貸渡原票上に)確実に記録することができ、適正かつ確実に車両貸渡契約を成立させることができる。
たとえば、特許文献1などに記載のシステムでは、車両貸出システム側が署名済みの車両貸渡証(ハードコピー)を貸出車両の車内に載置して、ユーザに後ほど署名してもらうことを前提としているよう見受けられるが、このような構成では、ユーザが署名を忘れるなどして、形式上不完全な車両貸渡証が残ってしまう可能性があるが、本実施例によればそのような不都合なく、適正かつ確実に車両貸渡契約を成立させることができる。
以上のようにして、本実施例によれば、貸出車両の配車先として集合住宅の駐車場を用いる車両配車システムにおいて、ユーザと車両貸出事業者が非対面の状態で法令ないし関連通達上、適切に車両貸渡契約を交した上で貸出車両をユーザに引き渡すことができる、という優れた効果がある。
なお、以上では、キーボックス121への車両キーの収容、ないしは取り出しに際して、コンソール103とともに設けたプリンタ107を用いて当該車両貸渡契約の内容を記述した車両貸渡証を印刷出力する構成を例示したが、技術的には、必ずしも車両貸渡証を印刷する必要はなく、法令(ないし通達)上の問題がクリアされていれば、たとえば携帯端末(携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末など)やPCなどの通信端末を用い、車両貸出システムおよびユーザが各々同意した車両貸渡証の最終イメージを表示させ、その内容を確認したり、必要に応じて提示したりするような構成も可能である。このためには、車両貸出システムないしユーザの通信端末から車両貸出システムのサーバ501や制御部200にアクセスし、記憶されている車両貸渡証のイメージ(テキストや画像フォーマットによる)をHTTP(S)プロトコルなどを用いて通信端末に転送させ、表示できるよう構成しておけばよい。
さて、前述の図4、図5のような制御を行なう場合、すなわち、配車先の駐車区画が配車時間帯において該当する有効な駐車区画予約データが存在することを確認する構成においても、不法駐車などによって配車先の駐車区画が使用不可能となっている可能性は否定しきれない。この問題に対処するために、駐車区画3031、3032…に配置したセンサ3041、3042…を利用することができる。
図6は、駐車区画3031、3032…に配置したセンサ3041、3042…を利用して配車に係る時間帯において、配車先の駐車区画が空きとなっていることを確認する制御の一例を示している。図示の手順はCPU201のプログラムとして、ROM202や外部記憶装置207に格納しておくことができる。
ステップS61では、制御部200のCPU201は配車に係る時間帯が到来しているか否かをリアルタイムクロック211を用いて判定する。ここでは簡略図示しているが、図6の処理は、実際にはたとえばリアルタイムクロック211を用いたタイマ割り込み処理を図3の駐車区画予約データ(フィールド2303)の1つごとに登録しておき、駐車区画予約時刻の到来に応じてタイマ割り込みを発生させ、ステップS62以降の処理を行なう、といった構成によって実現できる。
その場合、たとえばステップS62以降の処理が、駐車区画予約時刻前30分間などの所定時間帯の間、数分おきなどの所定間隔で実行されるようタイマ割り込みを発生させる構成が考えられる。
ステップS62では、CPU201は駐車区画3031、3032…に配置したセンサ3041、3042…のうち、配車に係る時間帯が到来している当該のセンサの状態を検出回路301を介して取得し、当該の駐車区画が空きとなっているか否かを判定し、当該の駐車区画の空きが確認できた場合は上位ルーチンに復帰(リターン)する。
一方、ステップS62において当該の駐車区画が空いておらず、他の車両が駐車しているなどの場合は、ステップS63においてエラー処理を行なう。このエラー処理では、たとえば、集合住宅の管理人室などに配置した表示器やスピーカなどを用いて、貸出車両の配車(や来客臨時駐車など)のために予約された駐車区画が占有されていることを警告する。この警告に基づいて、たとえば集合住宅の管理人は、駐車車両のナンバーや車両貸出システムのステッカーを確認することなどによって予約された貸出車両が駐車しているか否かを確認したり、あるいは不法駐車である場合には運転者を捜す、などの作業を行なうことができ、障害に対処することができる。