JP2015017384A - 蓄光層構造およびその施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】全体的に高い輝度の燐光が長続きし、さらに、広範囲な施工に適する蓄光層構造およびその施工方法を提供することを目的とする。さらに、例えば、路面の性能を確保することが可能な蓄光層構造およびその施工方法を提供する。【解決手段】基面に対し直接的または間接的に、蓄光性を有する蓄光液を塗装し、硬化させることにより形成された蓄光層が配置される。【選択図】図1

Description

本発明は、基面に対し直接的または間接的に蓄光層が配置される蓄光層構造およびその施工方法に関する。ここで、「基面」とは、塗装される面であって、例えば、土木、建築により造られる物の下地が含まれる。
蓄光層は、光のエネルギーを吸収蓄積して、そのエネルギーを自発的に長波長の光として放出する性質(蓄光性)を有する。なお、蓄光性をもつ物質が発光する際の光を「燐光」または「発光」という場合がある。また、燐光の明るさを「燐光輝度」あるいは「発光輝度」という場合がある。
蓄光層は、太陽光や人工光(蛍光灯など)の下で発光現象を示し、安全・防災など様々な分野に使用される。
わが国において、交通事故による犠牲者が以下の傾向にある。平成24年中の交通事故による死者数は、4,411人で12年連続の減少となり、ピーク時の3割以下となった。交通事故発生件数及び負傷者数も8年連続で減少し、発生件数は平成4年以来19年ぶりに70万件を下回った平成23年よりさらに減少した。しかし、さらなる事故発生抑制対策が求められている。なお、死者数を状態別にみると、歩行中が最も多く、37%程度となっている。
歩行者の安全を守るため、国土交通省や各地方自治体により、歩行エリア(歩行路側帯など)の明色化など様々な対策が採られている。
暗がりでの歩行エリアや自転車道の視認性を高めるため、舗装表面に配置される蓄光層がある。なお、蓄光層は、歩行エリアの他にも、園路等の歩行空間の幻想的な演出や地下鉄などの停電時の誘導など、様々な可能性を有する。
蓄光層は、地震や台風等の災害時に停電が発生しても、停電前に吸収蓄積した光のエネルギーにより発光するため、災害時に暗がりで被災者を避難場所に安全に誘導するための手段として、非常に有効な手段となる。これに対し、電源の供給を受けないと発光することができない一般的な誘導灯や誘導標識は、災害時に停電が発生すると、暗がりで被災者を安全に誘導できないという問題がある。なお、停電に対処するため、非常用電源を別途設けると、設備費用が嵩む。
さらに、蓄光層は、その上に障害物が置かれたとき、その障害物を歩行者に視認させることが可能である。さらに、蓄光層は、駐車エリアの外縁を示す駐車マスの視認性をさらに向上させることが可能である。
従来の蓄光層構造の施工方法としては、次の例がある。
第1の方法として、基面上に加熱アスファルト(asphalt)混合物が施工されるときに、その上に蓄光性を有する骨材を散布し、さらに、その骨材を混合物にローラーなどにより圧入する方法がある。なお、蓄光性を有する骨材を「蓄光石」という場合がある。
さらに、第2の方法として、原材料である蓄光性を有する液状の一次製品を使って作られた加工品であるシートやタイル状の二次製品を壁や床面(下地の面)に貼り付ける方法がある。
さらに、第3の方法として、アスファルト道路のセンターラインに、着色ペンキを焼き付けたのち、蓄光材とガラスビーズ粒とを混合して散布して混合層を形成し、これらの上部に蓄光材固定・接着層を形成する方法がある(例えば、特許文献1)。
特開平11−124817号公報
しかしながら、第1の方法では、蓄光石が点々と存在するだけなので、全体的な燐光輝度が低い。さらに、全体的に高い輝度の燐光が長続きしないという問題点があった。なお、蓄光石を密集させるのは、路面強度の低下を招く。
さらに、第2の方法では、施工面積当たりの製品コストは、一次製品より二次製品が高いことが一般的であるため、二次製品は、施工面積が広くなるほど、コストが嵩む。また、壁や床面を施工するときの作業時間は、液状の一次製品を塗るときより二次製品を貼り付けるときの方が長いため、施工面積が広くなるほど、施工性が低下する。すなわち、第2の方法は、コスト的にも施工性においても広範囲な施工には向いていないという問題点があった。
さらに、第3の方法では、混合層の上に蓄光材固定・接着層を形成すると、その分、コストが嵩むという問題点があった。なお、混合層の上に蓄光材固定・接着層を形成しないと、コストは低減されるが、路面の性能(例えば、強度、すべり止め性能、耐候性、耐久性など)を低下させるという問題点があった。
この発明は、上記の問題を解決するものであり、全体的に高い輝度の燐光が長続きし、さらに、広範囲な施工に適する蓄光層構造およびその施工方法を提供することを目的とする。さらに、例えば、路面の性能を確保することが可能な蓄光層構造およびその施工方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、基面に対し直接的または間接的に、蓄光性を有する蓄光液を塗装し、硬化させることにより形成された蓄光層が配置されること、を特徴とする蓄光層構造である。
さらに、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の蓄光層構造であって、前記蓄光液には、樹脂、蓄光顔料および溶剤が含まれ、前記基面と前記蓄光層との間に中間層が配置され、前記中間層は、後方反射機能を有し、および/または、前記基面側への前記溶剤の滲み込みを阻止する機能を有すること、を特徴とする。
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の蓄光層構造であって、前記蓄光層には骨材が含まれ、前記骨材は、前記蓄光層の外部からの光、および、前記蓄光層の内部から生じた燐光を透過する透光性を有すること、を特徴とする。
さらに、請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の蓄光層構造であって、前記蓄光液における前記蓄光顔料の混入量は、30〜60%重量比であること、を特徴とする。
さらに、請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の蓄光層構造であって、前記蓄光層に対し直接的または間接的にすべり止め層が配置され、前記すべり止め層には、透光性を有するすべり止め骨材、および/または、再帰反射機能を有するすべり止め骨材が含まれ、前記すべり止め骨材の粒径は、0.3〜1.5mmであること、を特徴とする。
さらに、請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の蓄光層構造であって、前記基面は、舗装された路面の標示の上面であって、白色系の塗料を含む明色の液体を塗装し、硬化させることにより形成された面を有すること、を特徴とする。
さらに、請求項7に記載の発明は、基面の外側に、蓄光性を有する蓄光液を塗装し、硬化させることにより蓄光層を形成する第1工程を有すること、を特徴とする蓄光層構造の施工方法である。
さらに、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の蓄光層構造の施工方法であって、前記蓄光液は、樹脂、蓄光顔料および溶剤を含み、前記第1工程の後に、前記基面と前記蓄光層との間に、後方反射機能を有する液体、および/または、前記蓄光層から前記基面側への前記溶剤の滲み込みを阻止する機能を有する液体を塗装し、硬化させることにより中間層を形成する第2工程を有すること、を特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、蓄光性を有する蓄光液を用いて蓄光層が形成されたことにより、全体的に高い輝度の燐光が長続きし、さらに、一次製品である蓄光液を基面に塗装し、硬化させることにより蓄光層が形成されたことにより、広範囲な施工に適する。
さらに、請求項2に記載の発明によれば、下層である基面と上層である蓄光層との間に後方反射機能を有する中間層が配置されるので、蓄光層から基面側に出た光は、中間層により、基面側とは反対の方向に反射するため、燐光輝度が高まる。
また、中間層が基面側への溶剤の滲み込みを阻止する機能を有するので、基面が例えば溶剤によって溶かされるアスファルト舗装の被膜アスファルトのようなものであるとき、基面側への溶剤の滲み込みを、中間層が阻止するため、基面の損傷を防止することが可能となる。
さらに、請求項3に記載の発明によれば、蓄光液に骨材を含ませることにより、例えば、蓄光層の耐摩耗性や強度を向上させることが可能となる。さらに、透光性を有する骨材を用いることにより、蓄光層の外部からの光を骨材が遮らずに、蓄光が進むため、さらに、蓄光層の内部から生じる燐光を骨材が遮らないため、燐光輝度の低下を防止することが可能となる。
さらに、請求項4に記載の発明によれば、蓄光顔料の混入量を30%以上の重量比としたので、十分な燐光輝度を確保することができる。さらに、60%以下の重量比としたので、路面強度の低下を抑えることができる。
さらに、請求項5に記載の発明によれば、すべり止め骨材が透光性を有するので、燐光輝度の低下を防止することができる。また、すべり止め骨材が後方反射機能を有するので、燐光輝度が高まる。さらに、すべり止め骨材の粒径が0.3〜1.5mmであるため、十分なすべり抵抗性を確保することができる。
さらに、請求項6に記載の発明によれば、基面としての路面標示の上面に白色系の塗料を含む明色の液体を塗装し、硬化させたことにより、路面標示の視認性を高めることが可能となる。
さらに、請求項7に記載の発明によれば、一次製品である蓄光液を基面に塗装し、硬化させることにより蓄光層を形成したことにより、広範囲な施工に適する。
さらに、請求項8に記載の発明によれば、中間層を形成するとき、基面に対し後方反射機能および/または蓄光層から基面側への溶剤の滲み込みを阻止する機能を有する一次製品である液体を塗装し、硬化させたので、広範囲な施工に適する。
機能により便宜的に分けられた各層の一例を示す図。 各層の一例を示す断面図。 第1実施形態に係るウレタンタイプの蓄光層構造の断面図。 蓄光層構造の施工方法を示すフローチャート。 試料に対する評価を示す図。 第2実施形態に係るMMAタイプの蓄光層構造の断面図。 蓄光層構造の施工方法を示すフローチャート。
次に、本発明の各種の実施形態に係る蓄光層構造について各図を参照して説明する。
実施形態の蓄光層構造は、基面に対し直接的または間接的に蓄光液を塗布し、硬化させることにより形成される蓄光層が配置される。蓄光層には、蓄光性を有する一次製品である蓄光液が用いられる。
なお、蓄光層構造は、蓄光層を含む複数の層を有している。以下に、各層を、それらが有する機能により便宜的に分け、一つの層が一つの機能を有するものとして説明するが、一つの層が、二以上の機能を有していてもよい。
図1は、それらの機能により便宜的に分けられた各層の一例を示す図、図2は、各層の一例を示す断面図である。図1に、歩道と車道との各層を示すが、これらはあくまでも一例であって、歩道の各層が車道として用いられてもよく、反対に、車道の各層が歩道として用いられてもよい。
図1および図2に示すように、基面1上に形成される複数の層の一例として、レベルコート2、第1中間層3、下塗り層4、第1中間層5、第1蓄光層7、中間骨材層8、第2蓄光層9、および、表面骨材層10がある。
各種の実施形態に係る蓄光層構造は、複数の層のうちの二以上が組み合わされることにより形成される。なお、二以上の層が積層される順番は、図2に示す順番に限定されない。
なお、積層される二以上の層において、中間に位置する層から基面側を「下」または「下方」といい、下(下方)に位置する層を「下層」という場合がある。中間に位置する層から基面とは反対側(表面側)を「上」または「上方」といい、上(上方)に位置する層を「上層」という場合がある。
なお、「基面」としては、例えば、コンクリート塗装された面などがあるが、以下の説明では、「基面」を、アスファルト舗装の被膜アスファルトの上面として説明する。また、「蓄光液」を「蓄光塗料」という場合がある。
蓄光液(蓄光塗料)には蓄光顔料、樹脂、添加剤、及び溶剤が含まれる。蓄光顔料は一般的に加水分解するので、樹脂として水性のものは使えない。そこで、水性でない樹脂として、例えば、溶剤系ウレタン樹脂とMMA(メタクリル酸)樹脂が用いられる。また、ウレタン樹脂の溶剤として、例えば、トルエンやキシレンなどが用いられる。MMA樹脂の溶剤として、例えば、アセトン、ジメチルケトンなどが用いられる。
したがって、第1蓄光層7や第2蓄光層9には、溶剤系ウレタン樹脂が用いられるウレタンタイプと、MMA樹脂が用いられるMMAタイプとがある。一般的に、ウレタンタイプの蓄光層構造は歩道に用いられる。また、MMAタイプの蓄光層構造は、車道に用いられる。
溶剤系ウレタン樹脂は、溶剤(トルエン、キシレン)が被膜アスファルトの上面を溶かす性質を有する。第1蓄光層7や第2蓄光層9に溶剤系ウレタン樹脂が用いられるとき、上層と下層との中間に位置する層として、溶剤の基面1側(下方)への滲み出しを阻止する機能を有する第1中間層3や5が配置されることが好ましい。
なお、中間に位置する層の一つとして、下塗り層4が配置され、下塗り層4に、溶剤系ウレタン樹脂が用いられるとき、下塗り層と基面1との間に、溶剤の滲み出しを阻止する機能を有する第1中間層3が配置されることが好ましい。
すなわち、ウレタンタイプの蓄光層構造は、基面1上に形成される複数の層として、第1中間層3、5、第1蓄光層7、第2蓄光層9が挙げられる。
一方、MMA樹脂は、速乾性を有するため、短時間で硬化し、溶剤が基面1側へ滲み出さない。したがって、第1蓄光層7や第2蓄光層9にMMA樹脂が用いられるとき、溶剤の滲み出しを阻止するための第1中間層3や5を配置する必要がない。すなわち、MMAタイプの蓄光層構造は、基面1上に形成される複数の層として、第1蓄光層7、第2蓄光層9が挙げられる。
以上に、第1中間層3、5が溶剤の滲み出しを阻止する機能を有するものとして説明した(以下も同様に説明する。)。しかし、特別に、中間層を設けず、蓄光層構造を構成する一または二以上の層が、両方の機能またはいずれか一方の機能を有するものとしてもよい。
[第1実施形態]
次に、第1実施形態に係るウレタンタイプの蓄光層構造について図2及び図3を参照して説明する。続いて、MMAタイプの蓄光層構造を第2実施形態として説明する。
図3は蓄光層構造の断面図を示す図である。
図3に示すように、蓄光層構造は、レベルコート2、第1中間層3、下塗り層4、第1中間層5、第1蓄光層7、および、第2蓄光層9を有する。
(レベルコート2)
図3に示すように、レベルコート2は、基面1上に形成される。レベルコート2の材料としては、モルタル(砂(細骨材)、セメント、水を含む)が用いられる。前述したように、基面1はアスファルト舗装の被膜アスファルトの上面である。
レベルコート2が形成される前の基面1には凹凸がある。なお、基面1はポリッシャ研磨されることがある。しかし、研磨された基面1であっても凹凸は残る。レベルコート2は、モルタルを金ゴテで基面1上に塗り伸ばすことにより、基面1の凹凸を平坦化させるように形成される。
(第1中間層3)
第1中間層3は、耐溶剤性を有する樹脂塗料をレベルコート2上に塗布し、硬化させることにより形成される。ここで、耐溶剤性としては、溶剤(キシレンやトルエン)に対して耐性を有することである。第1中間層3より上層に配置される下塗り層4、第1蓄光層7、第2蓄光層9(これらの詳細は後述する)において、この溶剤を使った溶剤系ウレタン樹脂が用いられる。
耐溶剤性を有する樹脂としては、たとえば、ポリビニリデンフルオライド(2フッ化)(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(3フッ化)(PCTFE)、クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)、および、ポリプロピレン、ニトリルゴムラテックスが用いられる。さらに、第1中間層3に、速乾性を有するMMA樹脂系塗料を用いてもよい。
第1中間層3の下層には基面1がある。上層と下層(基面1)との間に配置される第1中間層3には、上層から基面1(被膜アスファルトの上面)への溶剤の滲み出しを阻止する機能を有する耐溶剤性を有する樹脂が用いられる。第1中間層3が配置されることにより、基面1が溶剤で瞬時に溶かされる現象(カットバックと称される)を防止することが可能となる。
(下塗り層4)
下塗り層4に溶剤系(トルエン、キシレン)ウレタン樹脂が用いられる。下塗り層4は、溶剤系ウレタン樹脂の液体を第1中間層3上に塗布し、硬化させることにより形成される。下塗り層4に溶剤系ウレタン樹脂が用いられる理由は、第1蓄光層7、第2蓄光層9に溶剤系ウレタン樹脂が用いられるため、これと同系の樹脂を下塗り層4にも用いることが、強度面などにおいて望ましいからである。
溶剤系ウレタン樹脂は、第1中間層3上にローラー刷毛により塗られる。塗り量は、例えば、約0.3kg/mである。さらに、溶剤系ウレタン樹脂には後方反射機性をもたせるため、白色系あるいは明色系が用いられる。白色系や明色系が用いられることにより、所定のエリア(歩行エリアや自転車道を含む)に塗られる。なお、白色ラインの上に白色系や明色系のものが塗られることで、違和感がなく、暗がりでのエリアの視認性や景観性を向上させることができる。なお、白色系や明色系の塗料では、色が明るすぎる場合、水色などの系統の塗料が用いられてもよい。
なお、下塗り層4上に第1中間層を形成してもよい。これを第1中間層5として、第1中間層3と区別して示す(図1、図2参照)。
(第1蓄光層7)
第1蓄光層7は、第1中間層5上に形成される。なお、第1中間層5が形成されないときは、下塗り層4上に形成される。
第1蓄光層7は、蓄光液(蓄光塗料)がスプレーガンで第1中間層5に吹き付け塗装され、硬化されることにより形成される。前述するように、蓄光液には蓄光顔料、樹脂、添加剤、及び溶剤が含まれる。樹脂にはウレタン樹脂が用いられ、溶剤にはキシレン、トルエンが用いられる。
十分な燐光輝度を確保するために、蓄光液の吹き付け量は、例えば、1.2kg/mである。さらに、第1蓄光層7の厚さは、0.3〜1.0mmである。好ましくは、約0.6mmの厚さである。さらに、蓄光顔料の蓄光液への混入量は、30〜60%重量比である。
さらに、蓄光顔料の粒径は、5〜300μmであることが好ましい。粒径は、5〜300μmの範囲あれば、ほぼ均一であっても、バラツキがあってもよい。粒径が5〜300μmであれば、顔料が蓄光液中に分散し、分離しないので、施工性がよく、また、高い燐光輝度を有し、視認性もよい。
さらに、蓄光液が吹き付け塗装された後に骨材が散布される。骨材の重量比は、蓄光液に対して30〜50%である。散布量は、舗装としての必要なすべり抵抗性から、0.4〜0.6kg/m程度が好ましい。骨材には、比較的透明度の高いシリカ系骨材やホワイトランダムが用いられる。これらの骨材には、第1蓄光層7の内部から生じた燐光を透過し、さらに、第1蓄光層7の強度や耐摩耗性を高め、さらに、骨材が路面に現れるとき、そのすべり抵抗性を高める機能が求められる。
骨材として、通常、舗装に珪砂等の自然砂や白色セラミックなどが用いられる。また、セラミックや黒色のエメリー骨材なども用いられる。骨材の硬さは、モース硬度で7以上とする。
しかし、珪砂は比較的安価であるが、茶色に濁っているものが多い。また、セラミックなども透光性が悪い。そのため、蓄光層の燐光輝度を低下させる要因となるので、蓄光液に混ぜる骨材としては用いられない。なお、第1蓄光層7を構成する樹脂(ここでは、ウレタン樹脂)が透光性を有することはいうまもない(以下、同様)。
骨材の粒径は、蓄光液との混合性やすべり抵抗性(後述する)の確保から、0.3〜1.5mmであることが好ましい。粒径は、0.3〜1.5mmの範囲であれば、ほぼ均一であっても、バラツキがあってもよい。第1蓄光層7内に収まる小さな粒径(例えば、0.3mm)の骨材により、第1蓄光層7の強度や耐摩耗性が高められる。第1蓄光層7に収まらず路面から現れる大きな粒径(例えば、1.5mm)の骨材により、路面のすべり抵抗性が高められる。
なお、骨材の散布量はすべり抵抗性に基づいて決定される。すべり抵抗性は、「舗装調査・試験法便覧」S021−2の振り子式スキッドレジスタンステスタによる方法で確認した。
当該試験方法によるすべり抵抗性の指標値は、「BPN」という値で表される。歩道用のすべり抵抗性(BPN)は、40以上である。骨材の散布量(0.4〜0.6kg/m程度)は、この指標値を満たすものである。なお、第1蓄光層7がスプレーガンにより塗装されるものを示したが、これに限らず、刷毛、ローラー刷毛、鏝(コテ)により塗装されてもよい。
(第2蓄光層9)
第1蓄光層7が第1中間層5(または下塗り層4)上に形成されるのに対し、第2蓄光層9が第1蓄光層7上に形成される。それらが形成される場所を除いて、第2蓄光層9は、第1蓄光層7と同様である。
すなわち、第2蓄光層9は、蓄光液(蓄光塗料)がスプレーガンで第1蓄光層7に吹き付け塗装され、硬化されることにより形成される。蓄光液には蓄光顔料、樹脂、添加剤、及び溶剤が含まれる。樹脂にはウレタン樹脂が用いられ、溶剤にはキシレン、トルエンが用いられる。
第2蓄光層9において、蓄光液の吹き付け量(例えば、1.2kg/m)、第1蓄光層7の厚さ(0.3〜1.0mm)、蓄光顔料の蓄光液への混入量(40〜60%重量比)、および、蓄光顔料の粒径(5〜300μm)も第1蓄光層7と同様である。
さらに、(a)蓄光液を吹き付け塗装した後に骨材を散布してもよいこと、(b)骨材の重量比は、蓄光液に対して30〜50%であること、(c)散布量は、舗装としての必要なすべり抵抗性から、0.4〜0.6kg/m程度が好ましいこと、(d)骨材には、比較的透明度の高いシリカ系骨材やホワイトランダムが用いられること、(e)骨材の粒径は、蓄光液との混合性やすべり抵抗性(後述する)の確保から、0.3〜1.5mmであることが好ましいこと(さらに好ましくは0.6mmであること)、(f)第2蓄光層9を構成する樹脂(ここでは、ウレタン樹脂)が透光性を有することも、第1蓄光層7と同様である。
なお、第1蓄光層7および第2蓄光層9の形成において、蓄光液を吹き付け塗装した後に骨材を散布することで、骨材の層が次のいずれかの態様をとる。
(a)骨材の層が蓄光層(第1蓄光層7や第2蓄光層9)の中に取り込まれる態様
(b)骨材の層が蓄光層(第1蓄光層7や第2蓄光層9)の中に取り込まれない態様
しかし、実施形態では、骨材の層が蓄光層の中に取り込まれるかどうかに関係なく、これらの骨材の層は、構造としては同じものとして扱う(以下、同様)。なお、第2蓄光層9がスプレーガンにより塗装されるものを示したが、これに限らず、刷毛、ローラー刷毛、鏝(コテ)により塗装されてもよい。
(表面骨材層10)
第2蓄光層9の上に骨材の層が現れるとき、これを表面骨材層10と定義すれば、表面骨材層10は、第2蓄光層9の形成において、蓄光液を塗布した後に散布された骨材であって、第2蓄光層9の表面に現れる骨材である(前述する(b)の態様)。なお、表面骨材層10は、第2蓄光層9の一部(表層)であるともいえる。
これに対し、表面骨材層10は、第2蓄光層9と別体に形成されてもよい。このとき、表面骨材層10は、第2蓄光層9上に骨材が散布され、接着剤により固定されることにより形成される。なお、表面骨材層10が第2蓄光層9と別体に形成されるとき、第2蓄光層9の形成において、蓄光液の吹き付け塗装後に骨材を散布しても、散布しなくてもよい。
<蓄光層構造の施工方法>
以上に、蓄光層構造の構成を説明した。
次に、蓄光層構造の施工方法について図4を参照して説明する。図4は蓄光層構造の施工方法を示すフローチャートである。
(レベルコート2の形成:S101)
基面(被膜アスファルトの上面)に樹脂セメント系地下処理材を、金ゴテ等で塗り伸ばすことにより、凸凹した基面を平坦にする。
平坦にされた基面の油分、汚れ等を研磨して除去する。それにより、後工程において、用いられる塗液と基面との密着性を向上させる。レベルコート2の形成時に、コテ塗りで生じた小さな凹凸を、ポリッシャにより研磨してさらに平坦に仕上げる。
(第1中間層3の形成:S102)
レベルコート2上に、耐溶剤性を有する樹脂をスプレーガンで吹き付けることにより、第1中間層3を形成する。
(下塗り層4の形成:S103)
第1中間層3上に、溶剤系ウレタン樹脂をローラー刷毛で塗布することにより下塗り層4を形成する。この溶剤系ウレタン樹脂には白色系のものが用いられる。その使用量は、約0.3kg/mである。
(第1中間層5の形成:S104)
下塗り層4上に接着剤を塗布する。接着剤が塗布された下塗り層4上に、耐溶剤性を有する樹脂をスプレーガンで吹き付けることにより、第1中間層5を形成する。
(第1蓄光層7の形成:S105)
第1中間層5上に蓄光液をスプレーガンで吹き付け、吹き付けられた蓄光液の上から骨材を散布する。それにより、第1蓄光層7を形成する。蓄光液が硬化されることにより、骨材は、全体的にまたは部分的に蓄光液中に取り込まれた状態で固定される。蓄光液の硬化には半日から1日を要する。
第1蓄光層7の形成を「1回目の上塗り」という場合がある。また、後工程である第2蓄光層9の形成を「2回目の上塗り」という場合がある。1回目の上塗りにおいて、吹き付けられる蓄光液の厚みは、約0.6mmである。
第1蓄光層7の膜厚の測定方法は、膜厚計により測定される。なお、第1蓄光層7の膜厚が蓄光液の使用量から計算されるようにしてもよい。
(第2蓄光層9の形成:S106)
第2蓄光層9の形成、および、その膜厚の測定は、第1蓄光層7の形成と同様である。
すなわち、第1蓄光層7上に蓄光液をスプレーガンで吹き付け、吹き付けられた蓄光液の上から骨材を散布する。それにより、第2蓄光層9を形成する。2回目の上塗りにおいても、吹き付けられる蓄光液の厚みは、約0.6mmである。なお、前述したように、第2蓄光層9の表面に現れる骨材が表面骨材層10となる。
なお、施工後は半日から1日程度養生し、十分に蓄光液を乾燥させることにより、硬化させる。
なお、前記第1実施形態では、上層である第1蓄光層7や第2蓄光層9と下層である基面1との間に、溶剤の滲み出しを阻止する機能を有する第1中間層3、5を配置したものを示したが、蓄光層構造上、これらの機能を必ずしも必要でないとき、これらの中間層を配置しなくてもよい。
さらに、第1実施形態では、第2蓄光層9が第1蓄光層7上に形成されるが、第1蓄光層7上に中間骨材層8が形成されるとき、第2蓄光層9が中間骨材層8上に形成される(図2参照)。
第1蓄光層7や第2蓄光層9に骨材を含ませることにより、骨材の粒径が、第1蓄光層7および第2蓄光層9の合わせた厚さより大きいとき(骨材の粒径が例えば,1.5mmで、厚さが例えば、1.2mmのとき)、骨材が路面上に現れるため、路面のすべり抵抗性が高まる。
なお、第1実施形態では、カットバックを防止するための第1中間層3はレベルコート2の上に形成される。これに限らず、第1中間層3は、上層(溶剤が用いられる層のうちの最下層、ここでは下塗り層4等)と下層(ここでは基面1)との間に介在されればよい。それによれば、第1中間層3は、レベルコート2の下に形成されてもよい。さらに、レベルコート2の材料に溶剤の滲み出しを阻止する機能をもたせ、その材料を用いて第1中間層3を形成してもよい。
さらに、第1蓄光層が形成されるとき、蓄光液が塗布された後に骨材が散布されたが、骨材を混ぜた蓄光液が塗布されてもよい。第1蓄光層に用いられる骨材として、透光性を有する骨材とは別に、後方反射機能を有する骨材を用いてもよく、透光性および後方反射機能を有する骨材を用いてもよい。
さらに、第1実施形態では、基面として、アスファルト舗装の被膜アスファルトの上面を示したが、例えば、土木、建築により造られる物の下地であってもよいことはいうまでもない。
(実施例)
以下、実施例について図5を参照して説明する。図5は、試料に対する評価を示す図である。
各試料を作成し、各試料について、施工性および視認性について評価した。施工性が極めて良いものを「◎」、施工性が良いものを「○」、施工性が少し悪いものを「△」、施工性が悪いものを「×」とする。
さらに、視認性が極めて良いものを「◎」、視認性が良いものを「○」、視認性が少し悪いものを「△」、視認性が悪いものを「×」とする。
(試料1)
試料1を次のように作成した。蓄光顔料の粒度を300〜400μmとした。第1蓄光層、第2蓄光層の厚さをそれぞれ0.5mmとした。さらに、蓄光液における蓄光顔料の混入量を40%重量比とした。第1蓄光層、第2蓄光層の形成には、透光性および後方反射性を有する骨材を入れた蓄光液を用いた。
(評価)
試料1では、施工性が悪い。これは、塗料中の分散が悪く、分離しやすくなるためと推量する。
(試料2)
試料2を次のように作成した。蓄光顔料の粒度を0〜5μmとした。第1蓄光層、第2蓄光層の厚さをそれぞれ0.5mmとした。さらに、蓄光液における蓄光顔料の混入量を40%重量比とした。第1蓄光層、第2蓄光層の形成には、透光性および後方反射性を有する骨材を入れた蓄光液を用いた。
(評価)
試料2では、視認性が悪い。粒度が5μm未満では燐光輝度が低くなる傾向にあるためと推量する。これでは、蓄光層を設ける意味がない。
(試料3)
試料3を次のように作成した。蓄光顔料の粒度を5〜300μmとした。第1蓄光層、第2蓄光層の厚さをそれぞれ0.5mmとした。さらに、蓄光液における蓄光顔料の混入量を40%重量比とした。第1蓄光層、第2蓄光層の形成には、透光性および後方反射性を有する骨材を入れた蓄光液を用いた。
(評価)
試料3では、施工性がよく、視認性もよい。
(試料4)
試料4を次のように作成した。蓄光顔料の粒度を5〜50μmとした。第1蓄光層、第2蓄光層の厚さをそれぞれ0.5mmとした。さらに、蓄光液における蓄光顔料の混入量を40%重量比とした。第1蓄光層、第2蓄光層の形成には、透光性および後方反射性を有する骨材を入れた蓄光液を用いた。
(評価)
試料4では、施工性および視認性ともに極めてよい。
(試料5)
試料5を次のように作成した。蓄光顔料の粒度を5〜50μmとした。第1蓄光層、第2蓄光層の厚さをそれぞれ0.5mmとした。さらに、蓄光液における蓄光顔料の混入量を20%重量比とした。第1蓄光層、第2蓄光層の形成には、透光性および後方反射性を有する骨材を入れた蓄光液を用いた。
(評価)
試料5では、施工性はよいが、視認性がよくない。
(試料6)
試料6を次のように作成した。蓄光顔料の粒度を5〜50μmとした。第1蓄光層、第2蓄光層の厚さをそれぞれ0.5mmとした。さらに、蓄光液における蓄光顔料の混入量を30〜60%重量比とした。第1蓄光層、第2蓄光層の形成には、透光性および後方反射性を有する骨材を入れた蓄光液を用いた。
(評価)
試料6では、施工性がよく、視認性がよい。
(試料7)
試料7を次のように作成した。蓄光顔料の粒度を5〜50μmとした。第1蓄光層、第2蓄光層の厚さをそれぞれ0.5mmとした。さらに、蓄光液における蓄光顔料の混入量を70%重量比とした。第1蓄光層、第2蓄光層の形成には、透光性および後方反射性を有する骨材を入れた蓄光液を用いた。
(評価)
試料7では、施工性は低下し、視認性は試料6と同等であった。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るMMAタイプの蓄光層構造の構成について図1及び図6を参照して説明する。図6は蓄光層構造の断面図である。
蓄光層構造の構成において、第1実施形態と第2実施形態とが主に異なる点は4つある。
第1に、第1実施形態では、溶剤(キシレン、トルエン)の滲み出しを阻止する遮断層としての第1中間層3、5が配置されるのに対し、第2実施形態では遮断層は配置されない。蓄光液として速乾性を有するMMA樹脂塗料が用いられる。MMA樹脂塗料は、硬化反応が早く、カットバックが進行する前に硬化するためである。第1中間層3、5が配置されないため、下塗り層4はレベルコート2上に配置される。
第2に、第1蓄光層7および第2蓄光層9に用いられる樹脂が第1実施形態では溶剤系ウレタン樹脂であるのに対し、第2実施形態ではMMA樹脂である。
第3に、第1実施形態では、中間骨材層8が蓄光層7に含まれる(第1蓄光層7の形成において、蓄光液が吹き付け塗装された後に骨材が散布される)のに対し、第2実施形態では中間骨材層8が第1蓄光層7と別体に形成される。
第4に、表面骨材層10が第1実施形態では第2蓄光層9の一部(表層)であるのに対し、第2実施形態では第2蓄光層9と別体に形成される。
以下、蓄光層構造の構成において、第1実施形態と同じ構成については同一番号を付してその説明を省略し、異なる構成について主に説明する。
図6に示すように、蓄光層構造は、レベルコート2、下塗り層4、第1蓄光層7、中間骨材層8、第2蓄光層9、および、表面骨材層10を有する。
(レベルコート2、下塗り層4)
レベルコート2、下塗り層4については、第1実施形態と同様である。
なお、MMA樹脂塗料は硬化反応が早くカットバックが進行する前に硬化するため、基本的にレベルコート2を必要としない。ただし、レベルコート2を形成してもよい。そのときには、MMA樹脂系のレベリング材を用いることが望ましい。
(第1蓄光層7)
第1蓄光層7は、下塗り層4上に形成される。
第1蓄光層7は、蓄光液(蓄光塗料)がスプレーガンで下塗り層4に吹き付け塗装され、硬化されることにより形成される。前述するように、蓄光液には蓄光顔料、樹脂、添加剤、及び溶剤が含まれる。樹脂にはMMA樹脂が用いられ、溶剤にはアセトン、ジメチルケトンが用いられる。
十分な燐光輝度を確保するために、蓄光液の吹き付け量は、例えば、0.5〜1.0kg/mである。さらに、第1蓄光層7の厚さは、後述する中間骨材層8の骨材が埋まらない厚さである。
例えば、第1蓄光層7の厚さは、0.4〜0.6mmが好ましい。骨材の粒径は、0.3〜1.5mmである。したがって、大きな粒径(0.6を超える)の骨材は、第1蓄光層7に埋まらない。第1蓄光層7に埋まらないで、路面上に現れる大きな粒径の骨材は、路面のすべり抵抗性を高まる機能を有する。なお、第1蓄光層7に埋まる小さな粒径の骨材は、第1蓄光層7の強度や耐摩耗性を高める機能を有する。
さらに、蓄光顔料の蓄光液への混入量(30〜60%重量比)、蓄光顔料の粒径(5〜300μm)、第1蓄光層7を構成する樹脂(ここではMMA樹脂)が透光性を有することは、第1実施形態と同様である。
第1実施形態では、蓄光液が吹き付け塗装された後に骨材が散布されるが、第2実施液体では、散布される骨材に代えて、後述する中間骨材層8が第1蓄光層7上に配置される。
(中間骨材層8)
中間骨材層8は、第1蓄光層7上に配置される。中間骨材層8は、ホワイトアランダムを第1蓄光層7上に散布することにより、形成される。ホワイトアランダムの散布量は、例えば、0.4〜0.6kg/mである。さらに、ホワイトアランダムの粒径は、0.3〜1.5mmであることが好ましい。
このとき、骨材の散布量はすべり抵抗性に基づいて決定される。車道用のすべり抵抗性(BPN)は、60以上である。骨材の散布量(0.4〜0.6kg/m程度)は、この指標値を満たすものである。
(第2蓄光層9)
第1蓄光層7が下塗り層4上に形成されるのに対し、第2蓄光層9が中間骨材層8上に形成される。それらが形成される場所を除いて、第2蓄光層9は、第1蓄光層7と同様である。
すなわち、第2蓄光層9は、蓄光液(蓄光塗料)がスプレーガンで中間骨材層8に吹き付け塗装され、硬化されることにより形成される。前述するように、蓄光液には蓄光顔料、樹脂、添加剤、及び溶剤が含まれる。樹脂にはMMA樹脂が用いられ、溶剤にはアセトン、ジメチルケトンが用いられる。
第2蓄光層9において、蓄光液の吹き付け量(例えば、0.5〜1.0kg/m)、蓄光顔料の蓄光液への混入量(30〜60%重量比)、蓄光顔料の粒径(5〜300μm)、第2蓄光層9を構成する樹脂(ここではMMA樹脂)が透光性を有することは、第1蓄光層7と同様である。
(表面骨材層10)
表面骨材層10は、第2蓄光層9上に骨材が散布され、接着剤により固定されることにより形成される。骨材には、ガラスビーズが用いられる。骨材の散布量は、約0.2〜0.4kg/mである。骨材を散布することにより、路面に凹凸がつけられる。
<蓄光層構造の施工方法>
以上に、蓄光層構造の構成を説明した。
次に、蓄光層構造の施工方法について図7を参照して説明する。図7は蓄光層構造の施工方法を示すフローチャートである。
(レベルコート2の形成:S201)
基面(被膜アスファルトの上面)に樹脂セメント系地下処理材を、金ゴテ等で塗り伸ばすことにより、凸凹した基面を平坦にする。
平坦にされた基面の油分、汚れ等を研磨して除去する。それにより、後工程において、用いられる塗液と基面との密着性を向上させる。レベルコート2の形成時に、コテ塗りで生じた小さな凹凸を、ポリッシャにより研磨してさらに平坦に仕上げる。
(下塗り層4の形成:S202)
レベルコート2の上に、MMA樹脂をローラー刷毛で塗布することにより下塗り層4を形成する。このMMA樹脂には白色系のものが用いられる。その使用量は、約0.3kg/mである。
(第1蓄光層7の形成:S203)
下塗り層4上に蓄光液をスプレーガンで吹き付けることにより、第1蓄光層7を形成する。吹き付けられる蓄光液の厚みは、約0.6mmである。
(中間骨材層8の形成:S204)
第1蓄光層7の上に接着剤を塗布し、塗布された接着剤上にホワイトランダムを散布し、ホワイトランダムを第1蓄光層7に固定することにより、中間骨材層8を形成する。
(第2蓄光層9の形成:S205)
第2蓄光層9の形成は、第1蓄光層7の形成と同様である。
すなわち、中間骨材層8上に蓄光液をスプレーガンで吹き付けることにより、第2蓄光層9を形成する。吹き付けられる蓄光液の厚みは、約0.6mmである。
(表面骨材層10の形成:S206)
第2蓄光層9上に接着剤を塗布し、塗布された接着剤上にガラスビーズを散布し、ガラスビーズを第2蓄光層9に固定することにより、表面骨材層10を形成する。
第2実施形態では、基面1上にレベルコート2を形成したが、MMA樹脂タイプの蓄光層構造においては、カットバックの進行前にMMA樹脂が硬化するため、溶剤の滲み出しを阻止する遮断層としてのレベルコート2は必ずしも必要ではない。それでも、もし、レベルコート2を設けるときには、MMA樹脂系の材料を用いることが望ましい。
1 基面
2 レベルコート
3 第1中間層
4 下塗り層
5 第1中間層
7 第1蓄光層
8 中間骨材層
9 第2蓄光層
10 表面骨材層

Claims (8)

  1. 基面に対し直接的または間接的に、蓄光性を有する蓄光液を塗装し、硬化させることにより形成された蓄光層が配置されること、
    を特徴とする蓄光層構造。
  2. 前記蓄光液には、樹脂、蓄光顔料および溶剤が含まれ、
    前記基面と前記蓄光層との間に中間層が配置され、
    前記中間層は、後方反射機能を有し、および/または、前記基面側への前記溶剤の滲み込みを阻止する機能を有すること、
    を特徴とする請求項1に記載の蓄光層構造。
  3. 前記蓄光層には骨材が含まれ、
    前記骨材は、前記蓄光層の外部からの光、および、前記蓄光層の内部から生じた燐光を透過する透光性を有すること、
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の蓄光層構造。
  4. 前記蓄光液における前記蓄光顔料の混入量は、30〜60%重量比であること、
    を特徴とする請求項2または請求項3に記載の蓄光層構造。
  5. 前記蓄光層に対し直接的または間接的にすべり止め層が配置され、
    前記すべり止め層には、透光性を有するすべり止め骨材、および/または、再帰反射機能を有するすべり止め骨材が含まれ、
    前記すべり止め骨材の粒径は、0.3〜1.5mmであること、
    を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の蓄光層構造。
  6. 前記基面は、舗装された路面の標示の上面であって、白色系の塗料を含む明色の液体を塗装し、硬化させることにより形成された面を有すること、
    を特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の蓄光層構造。
  7. 基面の外側に、蓄光性を有する蓄光液を塗装し、硬化させることにより蓄光層を形成する第1工程を有すること、
    を特徴とする蓄光層構造の施工方法。
  8. 前記蓄光液は、樹脂、蓄光顔料および溶剤を含み、
    前記第1工程の後に、
    前記基面と前記蓄光層との間に、後方反射機能を有する液体、および/または、前記蓄光層から前記基面側への前記溶剤の滲み込みを阻止する機能を有する液体を塗装し、硬化させることにより中間層を形成する第2工程を有すること、
    を特徴とする請求項7に記載の蓄光層構造の施工方法。
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