JP2012208399A - 蓄光表示板および蓄光表示体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】蓄光表示体10を、金属基板11と、金属基板11の上に積層された可とう性を有するエポキシ系樹脂からなる接着樹脂層12と、接着樹脂層12の上に積層された60質量%以上95質量%以下の蓄光顔料を含む蓄光塗膜層13と、を備える。この蓄光表示板10を作製するためにプレス加工される蓄光表示体は、JIS Z2247に定められるエリクセン試験を行ったときに蓄光塗膜層に割れが生じる高さが6.5mm以上である。そのため、通常のプレス態様ではできあがった蓄光表示体10の蓄光塗膜層13に割れ等が生じることはない。
【選択図】図3
Description
また蓄光表示体の下面に、接合手段となる溝を設けておき、建設現場などでの取り付けを容易にする試みもなされている。
しかし、円柱形の柱の外面に取り付ける蓄光表示体については、その外面に沿うように湾曲したものが好ましいなど、取り付け対象の構造等に応じて、蓄光表示体を凹凸の大きな立体形状としたい要請もある。
しかし、基板が立体形状である場合には、平面形状に比して塗装ムラが発生しやすい問題があった。
塗装ムラがあると、外観上好ましくないうえ、蓄光表示体の発光にもムラが生じるおそれがあり安全面等でも問題が生じうる。
しかし、従来の蓄光層では強度的に不充分であり、加工時の基板の変形に追従することができず、その塗膜に割れや剥離が生じてしまう。
塗膜に割れやはく離が生じると、蓄光表示体につき所望の発光状態が得られないため、かかる方法は現実的には採用困難であった。
このような場合には、建築現場等で蓄光表示体の形状の修正加工を適宜行う必要があるが、上述したように、加工時の基板の変形に蓄光塗膜が追従しないため、蓄光層の塗膜に割れや剥離が生じてしまう。
すなわち本発明の解決すべき課題は、平面形状の蓄光表示板をプレス加工等により立体形状を有する蓄光表示体に加工する際に、蓄光塗膜層の割れや剥離が生じないような、加工性に優れた蓄光表示板および蓄光表示体を提供することである。
そして、本発明の蓄光表示板を、JIS Z2247に定められるエリクセン試験を行ったときに当該蓄光塗膜層に割れが生じる高さが6.5mm以上であるものとしたのである。
ここで前記エポキシ系樹脂からなる接着樹脂層は、軟質形エポキシ樹脂の品質規格(JIS A6024)における標準条件での引張試験で、50%以上の引張破断伸びを示すものであることが好ましい。
このような構成とすることで、プレス加工等により蓄光表示板に通常想定される大きさの凹凸を付与したりしても、蓄光塗膜層が割れたり剥がれ落ちたりすることがない。
これらの樹脂を含むことで、蓄光塗膜層が良好な可とう性を有することとなるとともに金属基板と蓄光塗膜層の接着力がより一層向上するため、プレス加工等の加工時に蓄光塗膜層の割れや剥離をより一層防止することができる。
このような輝度を有することで、消防法の規定を満足することとなり、地下鉄等の誘導表示板として採用可能となる。
当該蓄光表示体は、プレス加工等による加工によっても蓄光塗膜層の割れや剥離が生じないので、所望の形状の蓄光表示体を容易に得ることができる。
図1(b)および図3に示すように、実施形態の蓄光表示体10は、積層体であって、基板11と、基板11の上に積層された接着樹脂層12と、接着樹脂層12の上に積層された蓄光塗膜層13と、蓄光塗膜層13の上に積層されたオーバーコート層14と、を備える。
この蓄光表示体10は、フラットな平坦部10aと盛り上がった矢印の模様をなす立体部10bとからなり、平坦な積層板である実施形態の蓄光表示板に金型によるプレス成型を施すことで、立体部10bが浮き上がるよう加工したものである。
蓄光表示体10の矢印部分は、周囲から凸状に盛り上がっているため、暗所での発光による斜め方向からの視認性にも優れたものとなっている。
また蓄光塗膜層13とアルミニウム合金の基板11の接着性を増すために、その間にはエポキシ系樹脂からなる接着樹脂層12が介在している。
蓄光塗膜層13のさらに外層には、蓄光塗膜層13を保護するためにオーバーコート層14が積層されている。なおオーバーコート層14は、省略可能である。
基板の厚みも特に限定されず、使用する材質にもよるが0.3mm以上5.0mm以下の範囲内がプレス加工等のプレス成形性の面で好ましい。
加工が容易であること、軽量であること、材料コストが低廉であることから、金属基板はアルミニウム製であることが特に好ましく、厚みが約3.0mmのAA5052アルミニウム基板が一層好ましい。
エポキシ系樹脂からなる接着樹脂層としては、軟質形エポキシ樹脂の品質規格(JIS A6024)における標準条件での引張試験で、50%以上の引張破断伸びを示すものであることが好ましい。当該引張試験で50%以上の引張破断伸びを示すものであれば、接着樹脂層とその上に形成される蓄光塗膜層との密着性を確保しつつ基板の変形に追従して塗膜の割れや剥離が生じない点でよい。
具体的には、接着樹脂層に用いるエポキシ系樹脂としては、市販のボンド(コニシ株式会社製 エポキシ系樹脂 商品名E2420)を主剤2に対し硬化剤1の割合で混合したものが挙げられる。
別のエポキシ系樹脂として、市販のボンド(株式会社テスク製C−1163A/B)を主剤2に対し硬化剤1の割合で混合したものも準備し、同様に基板上に接着樹脂層12を形成してもよい。
これらエポキシ系樹脂は可とう性に優れ、アルミニウムをはじめとする金属基板とも良く接着するため蓄光塗膜層と基板のプライマーとして機能する。
なお、接着樹脂層の厚みは特に限定されないが、乾燥時の厚みが30μm以上1.0mm以下の範囲内であれば、プレス成形性の点で有利であり、約0.3mmが一層好ましい。
なお、蓄光塗膜層の厚みは特に限定されないが、乾燥時の厚みが300μm以上1.0mm以下の範囲内であれば、消防法で定める「高輝度蓄光式誘導標識」の判定基準であるC−200級をクリアできる点で有利である。
蓄光塗料は、少なくとも蓄光顔料、樹脂成分および溶剤を含むものであれば特に限定されないが、乾燥後の蓄光塗膜層中に含有する蓄光顔料の含有量が60質量%から95質量%の範囲内となるようにしている。この範囲内であることにより、JIS Z8716に規定する常用光源蛍光ランプD65を使用して20分間光を照射したのち、20分経過した時点での残光輝度が100mcd/m2以上を有し、かつ60分経過した時点での残光輝度が30mcd/m2以上を有するという効果を奏する。
なお蓄光塗料A〜Dは適宜溶剤を用いて、粘度が16000cps〜18000cpsになるように調節されているものとする。
表1からわかるように、本実施の形態では蓄光塗料中の蓄光顔料の配合割合は、約74質量部となるようにしている。
本実施の形態では、その一例として、表1に示すように、市販のウレタン系樹脂として大日本インキ化学工業製(商品名NT−258)、市販のポリエステル系樹脂として日立化成ポリマー製(商品名ハイボン7663)、市販のアクリル系樹脂として互応化学株式会社製(商品名KS−790)、市販の塩化ビニル系樹脂として十条ケミカル株式会社製(商品名EXG−3500)を所定の割合にて配合している。
本実施の形態においてはその一例として、表1に示すように、架橋剤としてDIC株式会社製(商品名DN−950)を使用している。
この残光輝度の条件を満たす場合には、消防法で定められた規格を満たすこととなり、視認性の良い蓄光性を有する誘導表示板として機能することができる。
なお、蓄光塗膜層は1回の塗布により残光輝度が上記残光輝度条件を満たさない場合には複数回の塗布により残光輝度条件を満たすようにすればよい。
なお、上述のエリクセン試験を行ったときに当該蓄光塗膜層に割れが生じる高さは、7.0mm以上であるとより好ましい。
この蓄光表示体10は、建物のコーナー部Cの壁に施工・設置されるものであり、上述した実施形態の蓄光表示板をプレス成型等によりL字型に屈曲加工して形成されている。
建物のコーナー部Cの向かい合うタイル数枚をあらかじめ抜いておけば、このL字型の蓄光表示体10をその箇所にはめ込んで容易に取り付けることができる。
この蓄光表示体10は、円柱状の柱Pに設置されるものであり、上述した実施形態の蓄光表示板をプレス成型等により円弧形に湾曲加工して形成されている。
円柱状の柱Pのタイルを適当な範囲であらかじめ抜いておけば、この円弧形の蓄光表示体10をその箇所にはめ込んで容易に取り付けることができる。
本発明の蓄光表示板の蓄光塗膜層の可とう性を評価するために、以下に示す方法により実施例および比較例を評価した。
厚み1.00mm、幅100mm×100mmのアルミニウム合金板(AA5052)に接着樹脂層(厚み0.3μm程度)を形成した後に、蓄光塗料をスクリーン印刷で塗布することにより蓄光塗膜層を形成して実施例および比較例の蓄光表示板を準備した。
ここで接着樹脂層は、実施の形態に記載したものと同様に2種類のエポキシ系樹脂を使用して形成した。
また蓄光塗膜層は、実施の形態と同様に表1に記載される配合で調整されたA〜Dの4種類の蓄光塗料をそれぞれ使用することにより形成した。
2種類のエポキシ系樹脂と4種類の蓄光塗料を組み合わせることにより、合計8種類の実施例1〜8の蓄光表示板を準備した。
一方比較例では、接着樹脂層としては、従来汎用されているエポキシ系樹脂接着剤であり、JIS A6024における標準条件での引張破断伸びが、50%以下のものを使用し、実施例と同様の膜厚で形成した。
こうして、合計4種類の比較例1〜4の蓄光表示板を準備した。
この試験は、JIS Z2247に定められるエリクセン試験に準じるものである。ここで塗膜に欠陥(割れ、剥がれ等)が生じる最小押し込み深さが6.5mm以上のものを「○」と評価し、6.5mm未満のものを「×」と評価した。
なお、本試験での深さが6.5mm以上、より好ましくは7.0mm以上であればプレス成形性の点で優れる。
その結果を表2に示す。この結果から、実施例の蓄光表示板が比較例の蓄光表示板よりもプレス加工等の際に蓄光塗膜層の剥離等が生じにくいことがわかる。
10a 平坦部
10b 立体部
11 基板
12 接着樹脂層
13 蓄光塗膜層
14 オーバーコート層
F 床
C コーナー部
P 柱
Claims (5)
- 金属基板と、
当該金属基板の上に積層された可とう性を有するエポキシ系樹脂からなる接着樹脂層と、
当該接着樹脂層の上に積層された60質量%以上95質量%以下の蓄光顔料を含む蓄光塗膜層と、を備え、
JIS Z2247に定められるエリクセン試験を行ったときに当該蓄光塗膜層に割れが生じる高さが6.5mm以上である、蓄光表示板。 - 前記接着樹脂層は、軟質形エポキシ樹脂の品質規格(JIS A6024)における標準条件での引張試験で、50%以上の引張破断伸びを示すものである、請求項1に記載の蓄光表示板。
- 前記蓄光塗膜層は、樹脂成分としてウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、シリコン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂およびこれらの混合物ならびにこれらの樹脂を構成成分として含む共重合体樹脂の少なくとも1つを含む請求項1または2に記載の蓄光表示板。
- JIS Z8716 に規定する常用光源蛍光ランプD65を使用して20分間光を照射した後、
20分経過した時点での残光輝度が100mcd/m2以上であり、
60分経過した時点での残光輝度が30mcd/m2以上である、請求項1から3のいずれかに記載の蓄光表示板。 - 請求項1から4のいずれかに記載の蓄光表示板を立体形状に加工することにより得られる蓄光表示体。
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