JP2007237680A - 構造材及び構造用接着剤の塗布方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の接着力を維持しつつ、耐衝撃性能を向上させる構造用接着剤を用いた構造材及び構造用接着剤の塗布方法を提供する。
【解決手段】構造用接着剤を用いて基材と基材とを接着させた構造材であって、前記構造材は前記構造用接着剤により形成される物性の異なる複数の接着領域を有し、前記接着領域が前記基材との接着表面において、並列に存在する。
【選択図】図1
【解決手段】構造用接着剤を用いて基材と基材とを接着させた構造材であって、前記構造材は前記構造用接着剤により形成される物性の異なる複数の接着領域を有し、前記接着領域が前記基材との接着表面において、並列に存在する。
【選択図】図1
Description
本発明は構造用接着剤を用いた構造材及び構造用接着剤の塗布方法に関する。
構造用接着剤は、溶接、はんだ、ねじ、かしめ等の接合手法に代わって接着接合に使用されるものであり、利用分野は、自動車、航空機等の車輌関係に用いられる構造用接着剤、また屋根、壁、床等の建造物関係等に用いられる構造用接着剤、さらに電気機器、事務機器、家庭用品等に用いられる構造用接着剤に至るまで広範囲なものがある。特に車輌関係に用いられる構造用接着剤は、気温、湿度、振動等の過酷な条件下で使用されるため、各種基材に対する接着性、耐衝撃性、耐熱性、耐薬品性、電気特性等に優れた性質が要求される。
特許文献1には、金属間同士を接着させる場合、金属の表面酸化被膜が剥離層として働き接着強度を低下させること、また従来の構造用接着剤では防錆機能が低いために、苛酷環境において接着力の耐久性が劣ることから、構造用接着剤として用いられるエポキシ樹脂に潜在性硬化剤及び防錆剤としてリン酸塩と亜鉛化合物との混合物を用いることによって、金属の表面酸化被膜及び過酷環境での接着性不良を改善する方法が提案されている。
また、特許文献2には、エネルギ線硬化特性を持つ構造用接着剤の一部にエネルギ線を照射し、その照射部を走査して構造用接着剤を硬化させて、接着剤が硬化するときの硬化収縮による接着剤内部応力を抑えることによって、接着力の向上を図る方法が提案されている。
また、特許文献3には、接着層と被着体の剥離面における汚染を抑制又は防止するために、多層構造の接着層を有することによって、接着力の向上を図る方法が提案されている。
しかし、特許文献1,2の方法では、金属等の各種基材に対する接着力は向上するものの、各種基材を接着させるために用いられる構造用接着剤の硬化物は、均一なマトリックスを形成しているため、外部からの衝撃に対して、その衝撃によるエネルギ分散が少なく、一旦硬化物の破壊が始まれば一気に破壊が進行してしまい、耐衝撃性能は低い。
また、特許文献3の方法では、外部からの衝撃に対するエネルギ分散を考慮していないため、耐衝撃性能は低く、また特許文献3のような積層構造では、構造用接着剤が有する本来の接着性を維持できない。
本発明は、従来の接着力を維持しつつ、耐衝撃性能を向上させる構造用接着剤を用いた構造材及び構造用接着剤の塗布方法を提供する。
本発明は、構造用接着剤を用いて基材と基材とを接着させた構造材であって、前記構造材は前記構造用接着剤により形成される物性の異なる複数の接着領域を有する。
また、前記構造材であって、前記接着領域が前記基材との接着表面において、並列に存在することが好ましい。
また、前記構造材であって、前記物性が、前記接着領域の伸び率であることが好ましい。
また、前記構造材であって、前記接着領域が、1〜10%の伸び率を示す接着領域Xと、50〜300%の伸び率を示す接着領域Yと、を有していることが好ましい。
また、本発明は、基材と基材とを接着させる構造用接着剤の塗布方法であって、物性の異なる複数の構造用接着剤を前記基材との接着表面において、並列になるように塗布する。
また、前記構造用接着剤の塗布方法であって、前記物性が、前記構造用接着剤の伸び率であることが好ましい。
また、前記構造用接着剤の塗布方法であって、前記物性の異なる複数の構造用接着剤が、1〜10%の伸び率を示す接着剤Aと、50〜300%の伸び率を示す接着剤Bと、であることが好ましい。
本発明に係る構造材では物性の異なる複数の接着領域が基材との接着表面において並列に存在することにより、基材間の接着力を維持しつつ、耐衝撃性能を向上させることができる。また本発明に係る構造用接着剤の塗布方法では、物性の異なる複数の接着剤を基材との接着表面において並列になるように塗布することにより、基材間の接着力を維持しつつ、耐衝撃性能を向上させることができる。
本発明の実施の形態について以下説明する。
まず、本発明に係る構造材について以下説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る構造材の一例を示す概略図である。図2(イ)に、構造材の幅方向(図1矢印a方向)から見た概略断面図を示し、図2(ロ)に、構造材の厚さ方向(図1矢印b方向)から見た概略断面図を示している(図2(ロ)において一方の基材14は省略)。図1に示すように、構造材1は、接着領域X10と接着領域Y12と基材14とを有し、2つの基材14の間に接着領域Xと接着領域Yとが、基材14との接着表面において並列に存在している。本明細書において並列とは、接着領域X10と接着領域Y12の接触界面が直線状でも曲線状でも、また接触せず間隔を空けたものでも、さらに接着領域X10及び接着領域Y12と基材14との接触表面が直線状でも曲線状でもよい。構造材1の耐衝撃性能の点から、接着領域X10と接着領域Y12の接触界面が直線状で間隔が密のものであり、接着領域X10及び接着領域Y12と基材14との接触表面が直線状であることが好ましい。
さらに並列とは、接着領域X10と接着領域Y12を構造材1の長さ方向(図1矢印c方向)または幅方向(図1矢印a方向)に対して平行に交互に並べたものでも、長さ方向及び幅方向に対して斜め方向に交互に並べたものであっても、サークル状に交互に並べたものであってもよい。さらに、上記のように並べたものを構造材1の厚さ方向(図1矢印b方向)に対して複数積層したものであってもよい。
接着領域X10は、接着領域Y12と物性が異なるものであれば特に制限されるものではなく、主に基材14間の接着力を確保するものである。接着領域X10は構造用接着剤により形成され、その構造用接着剤としては、例えば熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、エネルギ線硬化型樹脂等から選択される少なくとも1種の樹脂により構成されている構造用接着剤であればよく、作業性の面から熱硬化性樹脂を含むものであることが好ましい。
接着領域X10に使用される構造用接着剤において、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、不飽和エステル系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、尿素系樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂等であることが好ましく、熱可塑性樹脂としては、例えば塩化ビニル樹脂等であることが好ましく、エネルギ線硬化型樹脂としては、アクリル系オリゴマー、エポキシ系オリゴマー等であることが好ましい。特に車輌関係に使用される構造用接着剤は、基材14として金属同士の接着接合に用いられるため、接着領域X10に使用される構造用接着剤としてエポキシ系樹脂、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂であることが好ましい。これはエポキシ系樹脂の硬化反応によって生じた水酸基が金属表面と水素結合を形成するため、金属界面における接着力が良好であること、またエポキシ系樹脂自身の強度に優れているからである。
接着領域Y12は、接着領域X10と物性が異なるものであれば特に制限されるものではなく、主に構造材1に受けた衝撃を緩和するものである。接着領域Y12は、構造用接着剤により形成され、その構造用接着剤としては、例えば熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、エネルギ線硬化型樹脂等から選択される少なくとも1種の樹脂により構成されている接着剤であることが好ましい。
接着領域Y12に使用される構造用接着剤において、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシウレタン系樹脂等であることが好ましく、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂等であることが好ましく、エネルギ線硬化型樹脂として、アクリル系オリゴマー等であることが好ましい。基材14が例えば金属である場合に、接着領域X10に使用される構造用接着剤が、例えばエポキシ系樹脂であれば、エポキシ系樹脂と接着領域Y12との接着性、硬化条件等の点において、また金属と接着領域Y12との接着性等の点において、ポリ塩化ビニル樹脂であることが好ましい。
接着領域X10および接着領域Y12の1層の幅L(図2に示す)は、基材14の接着面の大きさに応じて決定されればよく特に制限されるものではないが、特に自動車関係に使用される場合は1mm〜20mm、好ましくは5mm〜10mmである。接着領域X10及び接着領域Y12の1層の幅Lが、1mm未満であると強度が低くなり、20mmを超えると重量増となる。接着領域X10及び接着領域Y12の1層の幅Lは、同じ幅でも異なる幅でも良いが、耐衝撃性能の点から、実質的に同じ方が好ましい。また接着領域X10と接着領域Y12の並べ層数も、特に制限されるものではないが、接着領域X10は、少なくとも1層、好ましくは2層以上であり、接着領域Y12は、少なくとも1層、好ましくは2層以上である。さらに接着領域X10及び接着領域Y12の厚さd(図2に示す)は、基材14の接着面の大きさに応じて決定されればよく特に制限されるものではないが、特に自動車関係に使用される場合は0.1mm〜5mm、好ましくは0.2mm〜1mmである。接着領域X10及び接着領域Y12の厚さが、0.1mm未満であると接着力の低下又は接着領域Xと接着領域Yとの混層が生じ、5mmを超えると接着領域Xの強度が低下する。
接着領域X10及び接着領域Y12は物性が異なるものであるが、その物性としては、伸び率、ガラス転移温度(Tg)、弾性率等が挙げられ、耐衝撃性能を向上させる点から伸び率であることが好ましい。接着領域X10の伸び率が1〜10%、好ましくは2〜5%であり、接着領域Y12の伸び率が50〜300%、好ましくは80〜250%である。また、ガラス転移温度を前記物性とする場合は、例えば、接着領域X10のTgが50℃〜200℃、好ましくは80℃〜130℃であり、接着領域Y12のTgが−60℃〜40℃、好ましくは−40℃〜30℃である。弾性率を前記物性とする場合は、例えば、接着領域X10の弾性率が500N/mm2〜3500N/mm2、好ましくは1000N/mm2〜3000N/mm2であり、接着領域Y12の弾性率が5〜50N/mm2、好ましくは10〜30N/mm2である。また、接着領域は接着領域X及び接着領域Yの2領域に限られるものではなく、その2領域の各物性と異なる物性の接着領域(Z)を有する3領域またはそれ以上の領域を有するものであってもよい。その場合例えば、接着領域X、接着領域Y、接着領域Zを、X−Y−Z、X−Z−Y,Y−X−Z,Y−Z−X,Z−X−Y,Z−Y−Xの組み合わせから少なくとも1つ選択されるように配置されればよい。
基材14は、特に制限されるものではないが、具体的には金属、木材、プラスチックフィルム、紙等を使用することができる。特に車輌関係に使用される場合には、基材14が接着される際の、金属等の熱処理により機械的物性を損なわない耐熱性を有するものが好ましい。例えば接着領域Xに使用される接着剤としてエポキシ系樹脂が使用される場合においては、基材14とエポキシ系樹脂との界面における接着力を考慮すると、金属、例えば冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、アルミニウム板等であることが好ましい。
次に、本発明に係る構造用接着剤の塗布方法について以下説明する。
構造用接着剤の塗布方法は、図1に示す基材14の表面上に、接着領域X10を形成するための接着剤Aを充填した塗布装置を用い、また接着領域Y12を形成するための接着剤Bを充填した別の塗布装置を用いて、接着剤A及びBを硬化することによって形成される接着領域X10及び接着領域Y12のそれぞれ一層の幅Lは、基材14の接着面の大きさに応じて決定されるものであればよく、特に制限されるものではないが、特に自動車関係に使用される場合は1mm〜20mm、好ましくは5mm〜10mmとなるように、また接着領域X10及び接着領域Y12の厚さが、0.1mm〜5mm、好ましくは0.2mm〜1mmとなるように接着剤A及びBを塗布する。塗布後、他方の基材14を重ね合わせた後、接着剤A及びBを硬化させ、基材14間を接着させる。硬化条件は、例えば接着剤Aがエポキシ系樹脂、接着剤Bがポリ塩化ビニル樹脂である場合、100℃〜250℃、好ましくは150℃〜220℃の温度範囲で、10分〜120分、好ましくは20分〜60分で熱硬化させることが好ましい。硬化温度が100℃未満であると基材14との接着力が低下し、250℃より高いと接着剤が分解し接着力が低下して、耐衝撃性能が劣る。また硬化時間が10分未満であると、接着剤A及びBは完全に硬化されず、基材14との接着力が低下し、120分を超えると接着剤が分解し、接着力が低下して耐衝撃性能が劣る。
接着剤Aは、接着剤Bと物性の異なるものであれば特に制限されるものではなく、例えば硬化後の伸び率が1〜10%であって、基材14間の接着力を確保するものとして上記で述べた接着領域X10を形成するものである。特に車輌関係に使用される接着剤としては、作業性、接着性の点からエポキシ系樹脂、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂であることが好ましい。また接着剤Bは、接着剤Aと物性の異なるものであれば特に制限されるものではなく、例えば硬化後の伸び率が50〜300%であって、構造材1に受けた衝撃を緩和するものとして上記で述べた接着領域Y12を形成するものである。接着剤Aが例えばエポキシ系樹脂であれば、硬化条件、塗布等の作業性の点において、ポリ塩化ビニル樹脂であることが好ましい。
接着剤の塗布装置は、ディスペンサ、アプリケータ、スクリーン印刷、スプレー、ロールコート、フローコート等、特に制限されるものではないが、塗布面積の小さい、例えば2cm幅以下であれば、ディスペンサが好ましく、塗布面積の大きい、例えば10cm幅を超えるものであれば、スクリーン印刷が好ましい。
従来のような1種の構造用接着剤、例えばエポキシ系樹脂を硬化させることによって形成される接着領域は、均一なマトリックスを形成するため、構造材1に衝撃が加わると、衝撃によるエネルギ分散が少なく破壊が始まれば一気に接着領域の破壊が進行してしまう。また特に車輌関係で使用される基材14は、めっき処理されている場合が多く(例えば合金化溶融亜鉛めっき鋼板)、めっき処理された基材14上に形成される上記均一なマトリックスの接着領域のみを有する場合では、衝撃によるエネルギを分散、緩和することができず、接着領域はめっき処理された基材14上に接着したまま、接着領域下の基材14のめっき部(例えば合金化溶融亜鉛めっき鋼板脆弱層(γ層))で破壊がされ易いため、従来使用されている構造用接着剤は本来の接着性能を発揮できていない。しかし本実施形態に係る構造材1のように、例えば伸び率の異なる接着領域X10及びY12を有することにより、伸び率の低い接着領域X10により基材14間の接着力を維持し、伸び率の高い接着領域Y12により、衝撃によるエネルギを分散、緩和することにより、接着領域の破壊及びめっき部での破壊を防止することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜10の耐衝撃性試験)
基材14として冷延鋼板(SPC)を使用し、接着領域X10を形成する構造用接着剤としてエポキシ系接着剤(アイシン化工社製、伸び率2%)、接着領域Y12を形成する構造用接着剤としてポリ塩化ビニル系接着剤(アイシン化工社製、伸び率150%)を使用した。エポキシ系接着剤が充填された塗布装置とポリ塩化ビニル系接着剤が充填された塗布装置とを用い、塗布厚を1mm、塗布面積を横20mm×縦30mmに設定して、SPC(寸法:厚さ0.8mm×幅20mm×長さ95mm)の表面上に接着領域X10と接着領域Y12が同じ幅Lとなるように塗布した。図3に実施例1〜10の塗布パターンを示す(図1矢印b方向から見たものである)。塗布後、同寸法のもう一方のSPCを重ね合わせ、170℃×20分で加熱硬化を行い、SPC同士を接着させ構造材1を作製した。耐衝撃性試験はJIS K 6853により行い、平均割裂力(N/mm2)を求めた。
基材14として冷延鋼板(SPC)を使用し、接着領域X10を形成する構造用接着剤としてエポキシ系接着剤(アイシン化工社製、伸び率2%)、接着領域Y12を形成する構造用接着剤としてポリ塩化ビニル系接着剤(アイシン化工社製、伸び率150%)を使用した。エポキシ系接着剤が充填された塗布装置とポリ塩化ビニル系接着剤が充填された塗布装置とを用い、塗布厚を1mm、塗布面積を横20mm×縦30mmに設定して、SPC(寸法:厚さ0.8mm×幅20mm×長さ95mm)の表面上に接着領域X10と接着領域Y12が同じ幅Lとなるように塗布した。図3に実施例1〜10の塗布パターンを示す(図1矢印b方向から見たものである)。塗布後、同寸法のもう一方のSPCを重ね合わせ、170℃×20分で加熱硬化を行い、SPC同士を接着させ構造材1を作製した。耐衝撃性試験はJIS K 6853により行い、平均割裂力(N/mm2)を求めた。
(比較例1,2)
エポキシ系接着剤単体をSPCの表面上に塗布したものを比較例1とし、またポリ塩化ビニル系接着剤単体をSPCの表面上に塗布したものを比較例2として、上記同様の塗布面積及び硬化条件の下、SPC同士を接着させた。耐衝撃性試験はJIS K 6853により行い、平均割裂力(N/mm2)を求めた。
エポキシ系接着剤単体をSPCの表面上に塗布したものを比較例1とし、またポリ塩化ビニル系接着剤単体をSPCの表面上に塗布したものを比較例2として、上記同様の塗布面積及び硬化条件の下、SPC同士を接着させた。耐衝撃性試験はJIS K 6853により行い、平均割裂力(N/mm2)を求めた。
上記作製した実施例1〜10と比較例1,2における耐衝撃性試験の結果を表1に示す。
(実施例11〜20の引っ張り剪断強度試験)
基材14として冷延鋼板(SPC)を使用し、接着領域X10を形成する構造用接着剤としてエポキシ系接着剤(アイシン化工社製、伸び率2%)、接着領域Y12を形成する構造用接着剤としてポリ塩化ビニル系接着剤(アイシン化工社製、伸び率150%)を使用した。エポキシ系接着剤が充填された塗布装置とポリ塩化ビニル系接着剤が充填された塗布装置とを用い、塗布厚を0.3mm、塗布面積を横25mm×縦25mmに設定して、SPC(寸法:厚さ1.6mm×幅25mm×長さ100mm)の表面上に接着領域X10と接着領域Y12が同じ幅になるように塗布した。図3に実施例11〜20の塗布パターンを示す(図1矢印b方向から見たものである)。塗布後、同寸法のもう一方のSPCを重ね合わせ、170℃×20分で加熱硬化を行い、SPC同士を接着させ、構造材1を作製した。引っ張り剪断強度試験はJIS K 6850により行い、常態時剪断強度及び80℃加熱時剪断強度を求めた。
基材14として冷延鋼板(SPC)を使用し、接着領域X10を形成する構造用接着剤としてエポキシ系接着剤(アイシン化工社製、伸び率2%)、接着領域Y12を形成する構造用接着剤としてポリ塩化ビニル系接着剤(アイシン化工社製、伸び率150%)を使用した。エポキシ系接着剤が充填された塗布装置とポリ塩化ビニル系接着剤が充填された塗布装置とを用い、塗布厚を0.3mm、塗布面積を横25mm×縦25mmに設定して、SPC(寸法:厚さ1.6mm×幅25mm×長さ100mm)の表面上に接着領域X10と接着領域Y12が同じ幅になるように塗布した。図3に実施例11〜20の塗布パターンを示す(図1矢印b方向から見たものである)。塗布後、同寸法のもう一方のSPCを重ね合わせ、170℃×20分で加熱硬化を行い、SPC同士を接着させ、構造材1を作製した。引っ張り剪断強度試験はJIS K 6850により行い、常態時剪断強度及び80℃加熱時剪断強度を求めた。
(比較例3,4)
エポキシ系接着剤単体をSPCの表面上に塗布したものを比較例3とし、またポリ塩化ビニル系接着剤単体をSPCの表面上に塗布したものを比較例4として、上記同様の塗布面積及び硬化条件の下、SPC同士を接着させた。引っ張り剪断強度試験はJIS K 6850により行い、常態時剪断強度及び80℃加熱時剪断強度を求めた。
エポキシ系接着剤単体をSPCの表面上に塗布したものを比較例3とし、またポリ塩化ビニル系接着剤単体をSPCの表面上に塗布したものを比較例4として、上記同様の塗布面積及び硬化条件の下、SPC同士を接着させた。引っ張り剪断強度試験はJIS K 6850により行い、常態時剪断強度及び80℃加熱時剪断強度を求めた。
上記作製した実施例11〜20と比較例3,4における剪断強度試験の結果を表2に示す。
上記表1の耐衝撃性試験結果から、従来構造用接着剤として使用されている比較例1のエポキシ系接着剤の平均割裂力よりも、実施例1〜10の平均割裂力のほうが10〜20倍ほどの大きい値を示した。比較例2のポリ塩化ビニル系接着剤の平均割裂力は実施例1〜10よりも高い値を示しているが、上記表2の引っ張り剪断強度試験の結果から明らかなように、剪断強度は弱いため、従来の構造用接着剤としての使用に適さないものである。実施例11〜20における引っ張り剪断強度は、従来構造用接着剤として使用されている比較例3のエポキシ系接着剤引っ張り剪断強度に近い値を示している。従って伸び率の異なる接着領域を有することにより従来の接着力を維持しつつ、耐衝撃性能を向上させることができた。
1 構造材、10 接着領域X、12 接着領域Y、14 基材。
Claims (7)
- 構造用接着剤を用いて基材と基材とを接着させた構造材であって、
前記構造材は前記構造用接着剤により形成される物性の異なる複数の接着領域を有することを特徴とする構造材。 - 請求項1記載の構造材であって、前記接着領域が前記基材との接着表面において、並列に存在することを特徴とする構造材。
- 請求項1又は2記載の構造材であって、前記物性が、前記接着領域の伸び率であることを特徴とする構造材。
- 請求項3記載の構造材であって、前記接着領域が、1〜10%の伸び率を示す接着領域Xと、50〜300%の伸び率を示す接着領域Yと、を有していることを特徴とする構造材。
- 基材と基材とを接着させる構造用接着剤の塗布方法であって、
物性の異なる複数の構造用接着剤を前記基材との接着表面において、並列になるように塗布することを特徴とする構造用接着剤の塗布方法。 - 請求項5記載の構造用接着剤の塗布方法であって、前記物性が、前記構造用接着剤の伸び率であることを特徴とする構造用接着剤の塗布方法。
- 請求項6記載の構造用接着剤の塗布方法であって、前記物性の異なる複数の構造用接着剤が、1〜10%の伸び率を示す接着剤Aと、50〜300%の伸び率を示す接着剤Bと、であることを特徴とする構造用接着剤の塗布方法。
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