JP2015017199A - インクジェットインク、インクジェット画像形成方法及びインクジェット画像形成装置 - Google Patents
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Description
このような染料の褪色に対して、特許文献1〜特許文献4などに示されているように高耐侯性染料が開発され耐侯性に大きな進歩が得られている。
特にレッドからオレンジ領域は人の顔色を形成する色相のため発色性を強く求められており、また褪色の影響が顔色の変化として強く認識されてしまう問題がある。また耐候性、発色性のよい染料インクの吐出信頼性を確保することが困難で、ノズル目詰まりや噴射曲がりを起こしやすく、全てを満足することは出来ていない。
本発明はノズルの目詰まりや噴射曲がりの少ない吐出信頼性に優れ、耐候性、発色性も両立させたインクジェットインクを提供することを目的とする。
すなわち、本発明は下記(1)に記載する通りのインクジェットインクに係るものである。
(1)着色剤、水および水溶性溶剤を含有するインクジェットインクにおいて、前記着色剤として、1質量%水溶液の25℃における、最大泡圧法の泡寿命1sでの動的表面張力が、50mN/m以上であるC.I. Acid Orange 33を含有することを特徴とするインクジェットインク。
さらに本発明のインクジェットインクと特定のノズル部材とを組合せることにより効果的な撥インク性を発現しノズル面のワイピング性を良好にし、吐出信頼性はもとより、信頼性維持機構のメンテナンス性にも優れた画像形成方法、装置を得ることができる。
1質量%水溶液の25℃における、最大泡圧法の泡寿命1sでの動的表面張力を50mN/m以上とすることで、ノズル部材に対する撥インク性を確保することができ、噴射曲がりを改善することができる。25℃における1質量%水溶液染料の泡寿命1sでの動的表面張力の上限は、分離、精製のために要する工数の制約がなければ特にないが、実質的には70mN/mを超えることは困難である。このため、最大泡圧法の泡寿命1sでの動的表面張力は50〜70mN/mの範囲が好ましい。さらに添加量に応じた精製度を水溶液の動的表面張力で調整した染料とすることで、フィルター通液性を確保することができ、長期吐出信頼性や装置寿命の改善となる。添加量に応じた染料水溶液の25℃における泡寿命1sでの動的表面張力上限は、添加量次第のため水と同等であり、52〜72mN/mの範囲が好ましく、実質的な添加量では52〜70mN/mの範囲がさらに好ましい。
・協和界面科学社製 動的表面張力計BPシリーズ
・クルス社製 バブルプレッシャー動的表面張力計BP100、BP50
・シータ社製 動的表面張力計 t60、t15、Dynotester
測定は温度を25℃に調整した染料水溶液の、泡寿命1sでの動的表面張力を測定すればよいが、その前後の泡寿命での測定からも近似が可能である。
染料の精製は、脱塩処理、活性炭処理などが工業的には一般的であり、少量であれば抽出、各種クロマトグラフィー、再結晶などの操作を組み合わせても可能であるが、これらに限定されるものではない。
本発明のインクには着色剤としてその他の水溶性染料を用いることも可能である。
本発明に用いるその他の染料としては、プロセスカラーであるシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックに対しては耐候性が高い染料を用いることで、画像の耐久性を高めることが出来る。このような高耐候性の染料としては、特開2007−224274号公報(以下「特許文献5」という)及び特許文献2009−62515号公報(以下「特許文献6」という。)に詳細な記述があるので、イエロー染料、マゼンタ染料、シアン染料及びブラック染料に関しては特許文献5及び特許文献6の記載箇所を挙げることにより、説明に変える。
特許文献5の段落[0016]〜[0118]参照
特許文献6の段落[0063]〜[0130]参照
(マゼンタ染料)
特許文献6の段落[0152]〜[0183]参照
(シアン染料)
特許文献5の段落[0189]〜[0231]参照
特許文献6の段落[0025]〜[0063]参照
(ブラック染料)
特許文献5の段落[0132]〜[0189]参照
特許文献6の段落[0189]〜[0259]参照
一例としては、
C.I.Direct Orange 6、8、10、26、29、39、41、49、51、62、102
C.I.Acid Orange 7、8、10、56、64
C.I.Food Yellow 3、4、5
等が上げられ、色相と発色面からC.I.Acid Orange 33やC.I.Food Yellow 5を用いることが好ましい。
またこれら以外に以下の染料を、各色の補色として添加することも可能である。
C.I..アシッド・イエロー 17、23、42、44、79、142
C.I..アシッド・レッド 1、8、13、14、18、26、27、35、37、42、52、82、87、89、92、97、106、111、114、115、134、186、249、254、289
C.I..アシッド・ブルー 9、29、45、92、249
C.I..アシッド・ブラック 1、2、7、24、26、94
C.I..フード・イエロー 2、3、4
C.I..フード・レッド 7、9、14
C.I..フード・ブラック 1、2
C.I..ダイレクト・イエロー 1、12、24、26、33、44、50、120、132、142、144、86
C.I..ダイレクト・レッド 1、4、9、13、17、20、28、31、39、80、81、83、89、225、227
C.I..ダイレクト・ブルー 1、2、6、15、22、25、71、76、79、86、87、90、98、163、165、199、202
C.I..ダイレクト・ブラック 19、22、32、38、51、56、71、74、75、77、154、168、171
C.I..ベーシック・イエロー 1、2、11、13、14、15、19、21、23、24、25、28、29、32、36、40、41、45、49、51、53、63、465、67、70、73、77、87、91
C.I..ベーシック・レッド 2、12、13、14、15、18、22、23、24、27、29、35、36、38、39、46、49、51、52、54、59、68、69、70、73、78、82、102、104、109、112
C.I..ベーシック・ブルー 1、3、5、7、9、21、22、26、35、41、45、47、54、62、65、66、67、69、75、77、78、89、92、93、105、117、120、122、124、129、137、141、147、155
C.I..ベーシック・ブラック 2、8
C.I..リアクティブ・ブラック 3、4、7、11、12、17
C.I..リアクテイブ・イエロー 1、5、11、13、14、20、21、22、25、40、47、51、55、65、67
C.I..リアクティブ・レッド 1、14、17、25、26、32、37、44、46、55、60、66、74、79、96、97
C.I..リアクティブ・ブルー 1、2、7、14、15、23、32、35、38、41、63、80、95
以上のことを鑑みて、インクへの染料総添加量は2〜6質量%がより好ましい。
本発明に用いる画像保存性向上剤としては、ヒンダートアミン、紫外線吸収剤、酸化防止剤などがある。インクジェット記録画像は光やガスによる影響が大きいため、ヒンダートアミンや紫外線吸収剤を添加することが好ましい。
本発明に用いるヒンダートアミンとしては、N−CH3タイプ、N−Hタイプ、N−ORタイプの何れも利用可能であるが、好ましくはN−CH3タイプ、N−ORタイプである。このようなヒンダートアミンはブチルカルビトールやブチルセルソルブと混合することで水混和可能なものもあるが、好ましくは水難溶性の液体、もしくは粉体を分散させたものである。
このように水分散されたヒンダートアミンは、BASF社のTINUVIN 123DW、ADEKA社のアデカノールUC−5225、アデカノールUC−606があり、樹脂分散を行っているTINUVIN 123DWが特に好ましい。
これらヒンダートアミンのインクへの添加量は、保護するべき染料濃度に依存しており、染料の固形分に対して有効成分量が1質量%〜10質量%が望ましく、2質量%〜7質量%がより好ましい。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、などが挙げられる。
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、ブチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、等が挙げられる。
これらの中でヒドロキシフェニルトリアジン系、ベンゾトリアゾール系が良く、これらの水分散品が水系インクに添加する上で好ましい。
これら紫外線吸収剤のインクへの添加量は、保護するべき染料濃度に依存しており、染料の固形分に対して有効成分量が1質量%〜10質量%が望ましく、2質量%〜7質量%がより好ましい。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、などが挙げられる。
前記フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)としては、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトライキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、などが挙げられる。
酸化防止剤のインクへの添加量は、0質量%〜10質量%が望ましく、必要に応じて添加することが出来る。
水溶性有機溶剤としては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレンが挙げられる。
好ましい水溶性有機溶剤としては、23℃、80%環境中の平衡水分量が30質量%以上の多価アルコール類が挙げられる。その具体例としては、1,2,3−ブタントリオール(38質量%)、1,2,4−ブタントリオール(41質量%)、グリセリン(49質量%)、ジグリセリン(38質量%)、トリエチレングリコール(39質量%)、テトラエチレングリコール(37質量%)、ジエチレングリコール(43質量%)、1,3−ブタンジオール(35質量%)等が挙げられる。中でもグリセリン、1,3−ブタンジオールは水分を含んだ場合に低粘度化することができるため特に好適に用いられる。
水溶性有機溶剤のインク中含有量は10〜50質量%程度とすることが好ましい。水溶性有機溶剤のインク中の含有量が前記範囲であることにより水溶解性の高い染料に対しても、染料の析出による吐出不良を防止できる溶解性を確保することが可能となる。
前記環状エーテル類としては、エポキシ類、オキセタン類、テトラヒドロフラン類、テトラヒドロピラン類、クラウンエーテル等が挙げられる。本発明としてはオキセタン類、テトラヒドロフラン類が好ましく、水溶性の面からオキセタン類が望ましい。
前記含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジグリコールなどが挙げられる。
このような水溶性有機溶剤はインクに対して0〜30質量%添加することが好ましい。
インクに用いられる界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤またはノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤が用いられる。色材の種類や水溶性有機溶剤の組合せによって、分散安定性を損なわない界面活性剤を選択する。
このような界面活性剤は日光ケミカルズ(株)、日本エマルジョン(株)、日本触媒(株)、東邦化学(株)、花王(株)、アデカ(株)、ライオン(株)、青木油脂(株)、三洋化成(株)などの界面活性剤メーカより容易に入手できる。
該市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越シリコーン株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社などから容易に入手できる。
前記ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(いずれも、信越化学工業株式会社製)、などが挙げられる。
インクに用いる浸透剤としては、20℃の水に対する溶解度が0.2質量%以上5.0質量%未満のポリオールの少なくとも1種を含有することが望ましい。
このようなポリオールのうち、脂肪族ジオールとしては
2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールなど
が具体例として挙げられる。
これらのなかで最も望ましいものは2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及びまたは2、2、4−トリメチル−1、3−ペンタンジオールである。
ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、エタノール等の低級アルコール類など
が挙げられるが、インク中に溶解し、所望の物性に調整できるものであれば、これらに限らない。
本発明のインクジェットインクに水分散性樹脂を添加しても構わない。
インクに用いられる水分散性樹脂としては、造膜性(画像形成性)に優れ、かつ高撥水性、高耐水性、高耐候性を備えたものが、高耐水性で高画像濃度(高発色性)の画像記録に有用であり、例えば、縮合系合成樹脂、付加系合成樹脂、天然高分子化合物などが挙げられる。
その他の成分としては特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えばpH調整剤、防腐防黴剤、キレート試薬、防錆剤、酸素吸収剤、光安定化剤、などが挙げられる。
前記pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼすことなくpHを7〜11に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルコールアミン類、アルカリ金属元素の水酸化物、アンモニウムの水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、などが挙げられる。
前記アンモニウムの水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物などが挙げられる。
前記ホスホニウム水酸化物としては、第4級ホスホニウム水酸化物などが挙げられる。
前記アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
前記キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
インクは、染料、水溶性有機溶剤、界面活性剤、浸透剤、水、必要に応じて他の成分を水性媒体中に分散又は溶解し、適宜攪拌混合して製造する。攪拌混合は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシャイカー、超音波分散機等により行なうことができ、通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行なうことができる。
インクの物性には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、粘度や表面張力が下記の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は2〜20mPa・sが好ましい。吐出時のインク粘度を2mPa・s以上とすることによって、インクの吐出時の残留振動が起こりにくくなる効果があり、駆動波形による吐出後の振動抑制を行いやすくでき、短時間で次の吐出が出来るようになるため高速印字に適するようになる。一方、インク粘度を20mPa・s以下に抑えることで、吐出性を安定しやすくなる。使用環境に応じて粘度は変化するため、使用想定範囲でインク粘度が上記範囲を満たす事が好ましく、25℃における粘度は5〜10mPa・sがより好ましい。粘度は、例えば、粘度計(RE−550L、東機産業社製)を使用して各温度に調温することで測定することができる。
上記インクは、例えば印字時又は印字前後に記録媒体及び前記インクを50〜200℃で加熱し、印字定着を促進する機能を有するプリンター等に使用することもできる。
本発明の画像形成方法の対象となる記録媒体としては、支持体上に少なくとも1層以上のインク受容層を有する記録媒体であって、支持体上に、シリカ、ポリビニルアルコール及び架橋剤を含む下層をもち、アルミナもしくはコロイダルシリカとポリビニルアルコールを含み、かつ、ポリビニルアルコールの架橋剤を実質的に含有しない上層からなるインクジェット用記録媒体が好ましい。
このような記録媒体の上層が記録媒体印字面となるが、この表面のベック平滑度が300秒以上であることが好ましい。300秒未満であると、画素が不均一に拡がったり、真円度を損ない易くなり、写真階調のノイズになりやすいため好ましくない。
また記録媒体表面に当たる上層は一次粒子径は小さく二次粒子径の大きなコロイダルシリカやアルミナを用いる事が好ましく、特にアルミニウム塩で処理したコロイダルシリカ粒子も好ましく使用することができる。
本発明の画像形成方法は、インクに刺激を印加し、記録媒体にインクを飛翔させて画像を形成する画像形成工程を有する。
―画像形成工程(インク飛翔工程)―
画像形成工程は、インクに刺激(エネルギー)を印加し、処理液を塗布した記録媒体にインクを飛翔させて記録媒体に画像を形成する工程である。
インクを飛翔させて記録媒体に画像を形成する方法としては、公知のあらゆるインクジェット記録方法を適用できる。このような方法としては、ヘッドを走査する方式のインクジェット記録方法や、ライン化されたヘッドを用いることにより、ある枚葉の記録媒体に画像記録を行うインクジェット記録方法が挙げられる。
インクジェット記録装置は、インクジェットヘッドとして、インク流路内のインクを加圧する圧力発生手段として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの(特公平2−51734号公報参照)、あるいは、発熱抵抗体を用いてインク流路内で熱エネルギーでインクを加熱して気泡を発生させるいわゆるサーマル型のもの(特公昭61−59911号公報参照)、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで、インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のもの(特開平6−71882号公報参照)などいずれの場合も含まれる。
特に、振動板を変形させるピエゾ型のもの、熱エネルギーで吐出させるサーマル型のものが効果的である。
キャリッジ133にはイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のインク滴を吐出する4個のインクジェットヘッドからなる記録ヘッド134を複数のインク吐出口を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
ノズル孔内壁面がシリコーン樹脂またはフッ素系撥水付与剤により形成された層に覆われている場合にも非常に効果的である。
そしてサブタンク135内のインクの残量ニアーエンドが検知されると、インクカートリッジから所要量のインクがサブタンク135に補給される。
試料として未精製のアシッドオレンジ33染料(Haihang Industry社製:以下「未精製品」という)及び非インクジェットグレード品(以下、「染色用原体」という)を用意した。
未精製のアシッドオレンジ33染料(Haihang Industry社製)7.0gを水100gに溶解し、約200gのベンジルアルコールで4回抽出した。エバポレータと減圧乾燥によりそれぞれ水相およびベンジルアルコール相の染料固体(水相、ベンジルアルコール相それぞれに抽出され、溶媒を除去したあとに残留する固体)を得た。これらをそれぞれ「水相精製品」及び「ベンジルアルコール抽出品」という。
同様に未精製のアシッドオレンジ33染料(Haihang Industry社製)7.0gを水100gに溶解し、これに50gの活性炭素(粒状)を入れ、1日攪拌した。濾過で活性炭を除いた後、エバポレータと減圧乾燥により染料固体(以下、「活性炭精製品」という)を得た。
また、活性炭精製品の作製における活性炭素(粒状)の量を50gから100gにかえた以外は、同様にして染料固体(以下、「活性炭2倍精製品」という)を得た。
未精製品、水相精製品、ベンジルアルコール抽出品、活性炭精製品及び活性炭2倍精製品について、25℃における1.0質量%及び5.5質量%水溶液の泡寿命1sでの動的表面張力、およびプレート法5s後の表面張力を測定した結果を表1に示す。
また、染色用原体についても表面張力を測定しようとしたが、水に溶解しなかったため、測定できなかった。
なお、動的表面張力の測定にはSITA社製DynoTesterを用い、プレート法による表面張力の測定には協和界面科学社製自動表面張力計CBVP−Zを用いた。
表1の結果から分かるように、プレート法による5s後の比較的静的な表面張力では、1質量%と5.5質量%とに表面張力の値に違いが見られないが、最大泡圧法による1s後の動的表面張力では表面張力の値が異なり染料の精製度を感度よく測定することができる。
インクの調製は表2、3に従って、以下の手順で行った。まず水溶性溶剤、界面活性剤、水を混合し30分間攪拌を行い均一に混合する。この混合液に対して表1で得られた各染料の水溶液を添加し、合計95質量%となるように残量の水を添加し、30分間撹拌した。その混合液に対し水酸化リチウム10%水溶液を加えpHが9になるように調整し、合計100質量%となるように残量の水を添加し、30分間撹拌した。その後0.2μmセルロースアセテートメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子を除去し評価インクとした。
(ノズル部材への撥インク性評価)
Ni電鋳ノズル表面上に、シリコーンレジン(東レダウコーニングシリコーン社製SR−2411)をディスペンサーにて塗布して大気中250℃1h熱処理して膜厚が約0.5μmのシリコーン層を形成した。前記ノズル部材を各インクに50℃で7日間浸漬した。浸漬後純水ですすぎ、自然乾燥させたノズル部材を、更に25℃にて各インクに30秒浸漬し引上げた後の撥インク性を評価した。
評価基準は以下の通りとした。
○ : 引上げ後90秒以内にほぼ撥インクするもの
△ : 引き上げ90秒後に浸漬した半分程度インクが残るもの
× : 引き上げ90秒後に浸漬した部分に全体的にインクが残っているもの
各インクの再濾過性を0.2μmセルロースアセテートメンブランフィルターφ50にて空気圧1kgf/cm2にて加圧濾過を行い、濾過通液量に対する濾過速度の低下を直線近似した傾き(減衰率)と最大濾過速度より評価した。
評価基準は以下の通りとした。
◎ : 減衰率が15[×10−4/秒]未満で、最大濾過速度が1.0[g/秒]を超えるもの
○ : 減衰率が15[×10−4/秒]未満で、最大濾過速度が1.0[g/秒]未満のもの
△ : 減衰率が15〜25[×10−4/秒]のもの
× : 減衰率が25[×10−4/秒]より大きいもの
(画像発色性評価)
プリンターで、各インク1200dpi×1200dpiで単色ベタ画像を印字した。 出力した画像は23℃40%RHの環境下で24時間乾燥させ、反射分光測色計X−Rite 939にて測色し画像の色特性を測定した。
評価基準は最高彩度の数値に基づいて以下の通りとした。
○ : 115以上
△ : 100以上115未満
× : 100未満
プリンターを改造し、動作中にキャッピング、クリ−ニング等が行われないでどれだけ印字休止しても復帰できるかを調べ、どれだけの時間で噴射方向がずれるか、あるいは吐出液滴の質量が変化するかでその信頼性を評価した。
<評価ランク>
23℃、50%RH環境に10min放置した場合について以下の評価基準で評価した。
5 : 特に問題なし
4 : 滴質量の変化が小で噴射方向曲がり限度内
3 : 噴射方向曲がり小
2 : 滴質量変化大であるが目詰まり発生はない
1 : 顕著な目詰まり発生
評価結果を表4に示す。
21 フレーム
23 供給ポンプユニット
33 キャリッジ
34 ヘッド
35 サブタンク
36 チューブ
42 用紙
51 搬送ベルト
91 維持装置
92a〜92d キャップ
93 ワイパーブレード
94 空吐出受け/ワイパークリーナー
96 クリーナーコロ
101 装置本体
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
104 インクカートリッジ装填部
105 装置部
111 上カバー
112 前カバー
115 インクカートリッジ装填部カバー
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 記録ヘッド
135 サブタンク
141 用紙積載部(圧板)
142 用紙
143 半月コロ(給紙コロ)
144 分離パッド
145 ガイド
151 搬送ベルト
152 カウンタローラー
153 搬送ガイド
154 押さえ部材
155 先端加圧コロ
156 帯電ローラー
157 搬送ローラー
158 テンションローラー
162ガイド部材
171 分離爪
172 排紙ローラー
173 排紙コロ
181 両面給紙ユニット
182 手差し給紙部
Claims (5)
- 着色剤、水および水溶性溶剤を含有するインクジェットインクにおいて、前記着色剤として、1質量%水溶液の25℃における、最大泡圧法の泡寿命1sでの動的表面張力が、50mN/m以上であるC.I. Acid Orange 33を含有することを特徴とするインクジェットインク。
- 水溶液の25℃における最大泡圧法の泡寿命1sでの動的表面張力が、52mN/m以上となる添加量の前記C.I. Acid Orange 33を含有する請求項1記載のインクジェットインク。
- インクにエネルギーを作用させてノズルから液滴を吐出するインクジェット画像形成方法において、請求項1又は請求項2に記載のインクジェットインクを用い、少なくとも一部がシリコーン樹脂で被覆されたノズル部材を用いることを特徴とするインクジェット画像形成方法。
- インクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、前記インクとして請求項1又は請求項2に記載のインクジェットインクを用いることを特徴とするインクジェット記録用インクカートリッジ。
- インクを収容するインク収容部を有するインクカートリッジを備え、エネルギーを作用させてノズルから液滴を吐出するインクジェット画像形成装置において、前記インクとして、請求項1又は請求項2に記載のインクジェットインクを用い、ノズル部材として請求項3に記載のノズル部材を用い、インクカートリッジとして請求項4に記載のインクカートリッジを用いることを特徴とするインクジェット画像形成装置。
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- 2013-07-12 JP JP2013145978A patent/JP2015017199A/ja active Pending
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