JP2015016589A - 繊維ボード及び繊維成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】型から取り出した後の変形量を小さく抑えることができ、型により忠実に成形できる繊維ボード及びこれを用いた繊維成形体を提供する。【解決手段】繊維ボード1は、その一面3側に配置された第1層5と、その他面7側に配置された第2層9と、を有し、第1層5及び第2層9は、ともに、複数の天然繊維11が熱可塑性樹脂13によって結着された構造を有し、第1層に含まれた天然繊維と熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に、第1層に含まれた熱可塑性樹脂の割合が35〜55質量%であり、同様に、第2層に含まれた熱可塑性樹脂の割合が45〜85質量%であり、第2層に含まれた熱可塑性樹脂の割合が第1層に含まれた熱可塑性樹脂の割合より大きい。繊維成形体は、本繊維ボードを成形した繊維成形体であって、第2層9の側が凹み、第1層5の側へ突き出た形状である。【選択図】図1
Description
本発明は、繊維ボード及び繊維成形体に関する。更に詳しくは、複数の天然繊維が結着された構造を有する繊維ボード及びこの繊維ボードを成形した繊維成形体に関する。
近年、天然材料と合成材料とを用いた複合材料の開発が進められている。そのなかで、天然繊維を含んだ繊維マットを利用して繊維成形体を得る方法が知られている。この方法では、先ず、天然繊維と熱可塑性樹脂繊維とを混繊した繊維マットを作製する。その後、この繊維マットを加熱、圧縮することで熱可塑性樹脂繊維を溶融し、その熱可塑性樹脂で天然繊維同士を仮結着した繊維ボードを得る。次いで、この繊維ボードを成形することで所望の形状を有した繊維成形体を得ることができる。このような技術に関して下記特許文献1が知られている。
上記特許文献1には、上述した繊維成形体を得るための繊維ボード等に関して開示がある。即ち、表面層及び裏面層で熱可塑性樹脂の含有割合が高く、中心層で熱可塑性樹脂の含有割合が低くされた繊維ボード等を、より簡便に製造できる方法が開示されている。このように、一般に、繊維ボード等は表裏面の熱可塑性樹脂の割合が同程度となるように調整される。
しかしながら、これらの天然繊維を含んだ繊維ボードは、所望の形状に正確に成形し難いという問題がある。特に曲げて成形された部位では、天然繊維の弾性力で離型後にその曲げが戻るように変形してしまうことがある。
しかしながら、これらの天然繊維を含んだ繊維ボードは、所望の形状に正確に成形し難いという問題がある。特に曲げて成形された部位では、天然繊維の弾性力で離型後にその曲げが戻るように変形してしまうことがある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、型から取り出した後の変形を小さく抑えることができ、型により忠実に成形できる繊維ボード及びこれを用いた繊維成形体を提供することを目的とする。
上記問題を解決するために、請求項1に記載の繊維ボードは、繊維ボードであって、
その一面側に配置された第1層と、その他面側に配置された第2層と、を有し、
前記第1層及び前記第2層は、ともに、複数の天然繊維が熱可塑性樹脂によって結着された構造を有し、
前記第1層に含まれた天然繊維と熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に、前記第1層に含まれた熱可塑性樹脂の割合が35〜55質量%であり、
前記第2層に含まれた天然繊維と熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に、前記第2層に含まれた熱可塑性樹脂の割合が45〜85質量%であり、
前記第2層に含まれた熱可塑性樹脂の割合が、前記第1層に含まれた熱可塑性樹脂の割合より大きいことを要旨とする。
請求項2に記載の繊維成形体は、請求項1に記載の繊維ボードを成形した繊維成形体であって、
前記第2層の側が凹み、前記第1層の側へ突き出た形状であることを要旨とする。
請求項3に記載の繊維成形体は、請求項2に記載の繊維成形体において、前記第2層の側が凹むように、105〜135度の角度で曲げられた部位を有することを要旨とする。
その一面側に配置された第1層と、その他面側に配置された第2層と、を有し、
前記第1層及び前記第2層は、ともに、複数の天然繊維が熱可塑性樹脂によって結着された構造を有し、
前記第1層に含まれた天然繊維と熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に、前記第1層に含まれた熱可塑性樹脂の割合が35〜55質量%であり、
前記第2層に含まれた天然繊維と熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に、前記第2層に含まれた熱可塑性樹脂の割合が45〜85質量%であり、
前記第2層に含まれた熱可塑性樹脂の割合が、前記第1層に含まれた熱可塑性樹脂の割合より大きいことを要旨とする。
請求項2に記載の繊維成形体は、請求項1に記載の繊維ボードを成形した繊維成形体であって、
前記第2層の側が凹み、前記第1層の側へ突き出た形状であることを要旨とする。
請求項3に記載の繊維成形体は、請求項2に記載の繊維成形体において、前記第2層の側が凹むように、105〜135度の角度で曲げられた部位を有することを要旨とする。
本発明の繊維ボードは、一面側に配置された第1層と、他面側に配置された第2層と、を有する。そして、第1層及び第2層は、ともに、複数の天然繊維が熱可塑性樹脂によって結着された構造を有している。更に、第1層に含まれた天然繊維と熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に、第1層に含まれた熱可塑性樹脂の割合は35〜55質量%である。一方、第2層に含まれた天然繊維と熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に、第2層に含まれた熱可塑性樹脂の割合は45〜85質量%である。更に、第2層に含まれた熱可塑性樹脂の割合は、第1層に含まれた熱可塑性樹脂の割合より大きくされている。
このように構成することで、熱可塑性樹脂の配合量で天然繊維の弾性力を保持し繊維ボードを成形して繊維成形体とした後、型から取り出した繊維成形体の変形を小さく抑えることができる。即ち、型に対してより忠実に成形できる繊維ボードが得られる。
このように構成することで、熱可塑性樹脂の配合量で天然繊維の弾性力を保持し繊維ボードを成形して繊維成形体とした後、型から取り出した繊維成形体の変形を小さく抑えることができる。即ち、型に対してより忠実に成形できる繊維ボードが得られる。
本発明の繊維成形体は、前述の繊維ボードにおいて、第2層の側が凹み、第1層の側へ突き出た形状となっている。また、請求項3に記載の繊維成形体は、第2層の側が凹むように、105〜135度の角度で曲げられた部位を有している。
このように構成することで、型から取り出した後の変形を小さく抑えた繊維成形体とすることができる。即ち、型に対してより忠実に成形された繊維成形体が得られる。
このように構成することで、型から取り出した後の変形を小さく抑えた繊維成形体とすることができる。即ち、型に対してより忠実に成形された繊維成形体が得られる。
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
繊維ボードを説明する説明図である。
繊維成形体を説明する説明図である。
繊維マットの製造方法を説明する説明図である。
繊維ボードの製造方法を説明する説明図である。
繊維成形体の製造方法を説明する説明図である。
実施例で測定した変形量の測定方法を説明する説明図である。
実施例及び比較例の各繊維成形体の変形量をプロットしたグラフである。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
本発明について以下詳細に説明する。
[1]繊維ボード
本発明の繊維ボード(1)(図1参照)は、一面(3)側に配置された第1層(5)と、他面(7)側に配置された第2層(9)と、を有する。
これらの第1層(5)及び第2層(9)は、ともに、複数の天然繊維(11)が熱可塑性樹脂(13)によって結着された構造を有する。
更に、第1層(5)に含まれた天然繊維(11)と熱可塑性樹脂(13)との合計を100質量%とした場合に、熱可塑性樹脂(13)の割合は35〜55質量%である。
また、第2層(9)に含まれた天然繊維(11)と熱可塑性樹脂(13)との合計を100質量%とした場合に、熱可塑性樹脂(13)の割合は45〜85質量%である。
そして、第2層(9)に含まれた熱可塑性樹脂(13)の割合は、第1層(5)に含まれた熱可塑性樹脂(13)の割合よりも大きくされている。
[1]繊維ボード
本発明の繊維ボード(1)(図1参照)は、一面(3)側に配置された第1層(5)と、他面(7)側に配置された第2層(9)と、を有する。
これらの第1層(5)及び第2層(9)は、ともに、複数の天然繊維(11)が熱可塑性樹脂(13)によって結着された構造を有する。
更に、第1層(5)に含まれた天然繊維(11)と熱可塑性樹脂(13)との合計を100質量%とした場合に、熱可塑性樹脂(13)の割合は35〜55質量%である。
また、第2層(9)に含まれた天然繊維(11)と熱可塑性樹脂(13)との合計を100質量%とした場合に、熱可塑性樹脂(13)の割合は45〜85質量%である。
そして、第2層(9)に含まれた熱可塑性樹脂(13)の割合は、第1層(5)に含まれた熱可塑性樹脂(13)の割合よりも大きくされている。
前述のように、繊維ボード(1)を成形した後、得られた繊維成形体(15)を型から取り出すと、成形によって曲げられた部位は、その曲げが戻るように変形することがある。具体的には、後述の比較例1で示す(表1参照)ように、天然繊維及び熱可塑性樹脂が均等に含まれた繊維成形体であると、その端部では1mm以上の変形(曲げ戻り)を生じることがある。このため、従来は、その曲げ戻りを補正し、所望の曲げ角度を得るための矯正を行う場合があった。
この曲げ戻りを生じる理由は定かではないが、本発明者は、成形後の天然繊維に直線的な形状になろうとする力が働き(スプリングバック)、その力が曲げ戻りを引き起こしているのではないかと考えた。一方、熱可塑性樹脂には、成形後の温度低下に伴い収縮する力が働いていることも分かった。そこで、熱可塑性樹脂の収縮による力を利用し、天然繊維が直線的形状に戻ろうとする力を緩和することを試みた。その結果、所定の構成であれば本目的を達成できることを知見した。即ち、第1層(5)の熱可塑性樹脂(13)の割合を35〜55質量%、第2層(9)の熱可塑性樹脂(13)の割合を45〜85質量%、且つ、熱可塑性樹脂(13)の割合は第2層(9)が大きいという構成である。本発明はこの知見に基づいて完成された。
本繊維ボードに含まれる天然繊維は、特に限定されず種々のものを利用できる。即ち、天然繊維としては、植物繊維、動物繊維等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、植物繊維が好ましい。
植物繊維は、植物に由来する繊維であり、植物から取り出した繊維や、これを加工した繊維が含まれる。植物繊維を得る植物としては、ケナフ、ヘンプ、ジュート麻、ラミー、亜麻(フラックス)、マニラ麻、サイザル麻、雁皮、三椏、楮、バナナ、パイナップル、ココヤシ、トウモロコシ、サトウキビ、バガス、ヤシ、パピルス、葦、エスパルト、サバイグラス、麦、稲、竹、各種針葉樹(スギ及びヒノキ等)、広葉樹及び綿花等の各種植物が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、靭皮植物、即ち、ケナフ、ヘンプ、ジュート麻、ラミー、亜麻(フラックス)が好ましい。靭皮植物は、一般に、成長が早く、優れた二酸化炭素吸収性を有する。このため、大気中の二酸化炭素量の削減、森林資源の有効利用等に貢献できる。更に、靭皮植物のなかでもケナフが好ましく、更には、ケナフの靭皮から採取されるケナフ繊維がより好ましい。
植物繊維は、植物に由来する繊維であり、植物から取り出した繊維や、これを加工した繊維が含まれる。植物繊維を得る植物としては、ケナフ、ヘンプ、ジュート麻、ラミー、亜麻(フラックス)、マニラ麻、サイザル麻、雁皮、三椏、楮、バナナ、パイナップル、ココヤシ、トウモロコシ、サトウキビ、バガス、ヤシ、パピルス、葦、エスパルト、サバイグラス、麦、稲、竹、各種針葉樹(スギ及びヒノキ等)、広葉樹及び綿花等の各種植物が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、靭皮植物、即ち、ケナフ、ヘンプ、ジュート麻、ラミー、亜麻(フラックス)が好ましい。靭皮植物は、一般に、成長が早く、優れた二酸化炭素吸収性を有する。このため、大気中の二酸化炭素量の削減、森林資源の有効利用等に貢献できる。更に、靭皮植物のなかでもケナフが好ましく、更には、ケナフの靭皮から採取されるケナフ繊維がより好ましい。
天然繊維の繊維長は特に限定されないが、通常、平均繊維長が10mm以上であり、10〜150mmが好ましく、20〜100mmがより好ましく、30〜80mmが更に好ましい。この平均繊維長は、JIS L1015に準拠して、直接法にて無作為に単繊維を1本ずつ取り出し、伸張させずにまっすぐに伸ばし、置尺上で繊維長を測定し、合計200本について測定した値の平均値である。以下、平均繊維長については同様である。
本繊維ボードに含まれる熱可塑性樹脂は、天然繊維同士を結着するバインダとして機能する。熱可塑性樹脂の種類は特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂及びABS樹脂等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
このうち、ポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂等が挙げられる。また、脂肪族ポリエステル樹脂としては、ポリカプロラクトン及びポリブチレンサクシネート等が挙げられる。更に、芳香族ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。また、アクリル樹脂としては、メタクリレート、アクリレート等を用いて得られた各種樹脂が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂のなかでも、ポリオレフィン樹脂が好ましい。ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィン単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
即ち、ポリオレフィン樹脂としては、エチレン単独重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−へキセン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体等のポリエチレン樹脂が挙げられる。これらのポリエチレン樹脂は、全構成単位数のうちの50%以上がエチレンに由来する単位の樹脂である。更に、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体(プロピレン・エチレンランダム共重合体等)、プロピレン・1−ブテン共重合体等のポリプロピレン樹脂が挙げられる。これらのポリプロピレン樹脂は、全構成単位数のうちの50%以上がプロピレンに由来する単位の樹脂である。
即ち、ポリオレフィン樹脂としては、エチレン単独重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−へキセン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体等のポリエチレン樹脂が挙げられる。これらのポリエチレン樹脂は、全構成単位数のうちの50%以上がエチレンに由来する単位の樹脂である。更に、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体(プロピレン・エチレンランダム共重合体等)、プロピレン・1−ブテン共重合体等のポリプロピレン樹脂が挙げられる。これらのポリプロピレン樹脂は、全構成単位数のうちの50%以上がプロピレンに由来する単位の樹脂である。
本繊維ボードに含まれる熱可塑性樹脂は、非変性の熱可塑性樹脂のみであってもよいが、変性された熱可塑性樹脂を含んでもよい。変性された熱可塑性樹脂(以下、単に「変性熱可塑性樹脂」という)は、上述の各種熱可塑性樹脂が主鎖となり、主鎖に対して変性基が導入された樹脂である。変性によって導入される変性基の種類は限定されないが、極性基が好ましい。極性基としては、無水カルボン酸基(−CO−O−OC−)、カルボン酸基(−COOH)、カルボニル基(−CO−)、ヒドロキシル基(−OH)、アミノ基(−NH2)、ニトロ基(−NO2)、ニトリル基(−CN)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、無水カルボン酸基、カルボン酸基、カルボニル基のうちの少なくとも1種が好ましく、無水カルボン酸基又はカルボン酸基が特に好ましい。
極性基はどのような化合物を用いて導入してもよいが、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸等を用いて導入できる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、無水マレイン酸及び無水イタコン酸が好ましく、無水マレイン酸が特に好ましい。
尚、熱可塑性樹脂として、非変性熱可塑性樹脂と変性熱可塑性樹脂とが含まれる場合、これらの樹脂の主鎖は異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。即ち、非変性熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂(非変性ポリオレフィン樹脂)である場合、変性熱可塑性樹脂は変性ポリオレフィン樹脂であることが好ましい。
更に、変性ポリオレフィン樹脂は、無水カルボン酸基、カルボン酸基、及び、カルボニル基のうちの少なくとも1種が導入された酸変性ポリオレフィン樹脂であることがより好ましい。そのなかでも、無水カルボン酸基又はカルボン酸基が導入された酸変性ポリオレフィン樹脂であることが更に好ましく、特に無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂であることが好ましい。
更に、変性ポリオレフィン樹脂は、無水カルボン酸基、カルボン酸基、及び、カルボニル基のうちの少なくとも1種が導入された酸変性ポリオレフィン樹脂であることがより好ましい。そのなかでも、無水カルボン酸基又はカルボン酸基が導入された酸変性ポリオレフィン樹脂であることが更に好ましく、特に無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂であることが好ましい。
熱可塑性樹脂として、非変性熱可塑性樹脂と変性熱可塑性樹脂とが含まれる場合、変性熱可塑性樹脂の割合は、これらの合計を100質量%として、1〜12質量%であることが好ましい。この範囲では、天然繊維に対する結着性能を向上させることができる。この割合は2〜9質量%がより好ましく、3〜7質量%が更に好ましく、4〜6質量%が特に好ましい。
本繊維ボード(1)は、第1層(5)と、第2層(9)と、を備える。これらの各層に含まれる天然繊維及び熱可塑性樹脂は、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。即ち、第1層(5)及び第2層(9)の両層が、同じ種類の天然繊維を含み、同じ種類の熱可塑性樹脂含むことが好ましい。
本繊維ボード(1)が備える第1層(5)は、天然繊維(11)と熱可塑性樹脂(13)との合計を100質量%とした場合に、熱可塑性樹脂(13)の割合が35〜55質量%である。この割合は、36〜54質量%であることが好ましく、37〜53質量%であることがより好ましい。
一方、第2層(9)は、天然繊維(11)と熱可塑性樹脂(13)との合計を100質量%とした場合に、熱可塑性樹脂(13)の割合が45〜85質量%である。この割合は、46〜82質量%であることが好ましく、47〜75質量%であることがより好ましい。
一方、第2層(9)は、天然繊維(11)と熱可塑性樹脂(13)との合計を100質量%とした場合に、熱可塑性樹脂(13)の割合が45〜85質量%である。この割合は、46〜82質量%であることが好ましく、47〜75質量%であることがより好ましい。
更に、熱可塑性樹脂(13)の割合は、第1層(5)よりも第2層(9)が大きくされている。即ち、第1層(5)における熱可塑性樹脂の割合をTR1(質量%)とし、第2層(9)における熱可塑性樹脂の割合をTR2(質量%)とした場合に、TR1<TR2である。従って、TR2とTR1との差は、TR2−TR1>0を満たしている。この差は、0<TR2−TR1≦35が好ましく、3≦TR2−TR1≦35がより好ましく、5≦TR2−TR1≦34が更に好ましく、7≦TR2−TR1≦33が特に好ましい。
本繊維ボード(1)は、第1層(5)と、第2層(9)と、を備える。この第1層(5)と第2層(9)とは、通常、互いに同等の厚さを有していることが好ましい。具体的には、第1層(5)の厚さに対する第2層(9)の厚さの割合は、0.7〜1.3であることが好ましく、0.8〜1.2であることが好ましい。
また、第1層(5)と第2層(9)とは、互いに接して積層されていてもよいが、これらの間に他層を介在してもよい。他層を介在する場合、繊維ボード(1)全体の厚さを100%とした場合に、第1層(5)及び第2層(9)の厚さの合計の割合は50%以上(通常99%以下)であることが好ましい。この割合は、60%以上がより好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が特に好ましい。
尚、上記各厚さは無作為に選択された異なる10点の平均厚さである
また、第1層(5)と第2層(9)とは、互いに接して積層されていてもよいが、これらの間に他層を介在してもよい。他層を介在する場合、繊維ボード(1)全体の厚さを100%とした場合に、第1層(5)及び第2層(9)の厚さの合計の割合は50%以上(通常99%以下)であることが好ましい。この割合は、60%以上がより好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が特に好ましい。
尚、上記各厚さは無作為に選択された異なる10点の平均厚さである
本繊維ボード(1)は、どのように製造されてもよいが、例えば、第1層(5)となる第1ウェブと、第2層(9)となる第2ウェブと、を製造し、これらを積層した繊維マットを用いて得ることができる。即ち、この繊維マットを、その後、加熱加圧して本繊維ボード(1)を得ることができる。
この場合、第1ウェブは、天然繊維と熱可塑性樹脂繊維とが混繊されて含まれたウェブとすることができる。そして、天然繊維と熱可塑性樹脂繊維との合計を100質量%とすると、前述の第1層(5)に含まれる熱可塑性樹脂の割合から、第1ウェブに含まれる熱可塑性樹脂繊維の割合も35〜55質量%とされる。
同様に、第2ウェブは、天然繊維と熱可塑性樹脂繊維とが混繊されて含まれたウェブとすることができる。そして、天然繊維と熱可塑性樹脂繊維との合計を100質量%とすると、前述の第2層(9)に含まれる熱可塑性樹脂の割合から、第2ウェブに含まれる熱可塑性樹脂繊維の割合も45〜85質量%とされる。
更に、本繊維ボード(1)における第1層(5)及び第2層(9)の相関と同様に、第2ウェブに含まれた熱可塑性樹脂の割合は、第1ウェブに含まれた熱可塑性樹脂の割合より大きくされる。
同様に、第2ウェブは、天然繊維と熱可塑性樹脂繊維とが混繊されて含まれたウェブとすることができる。そして、天然繊維と熱可塑性樹脂繊維との合計を100質量%とすると、前述の第2層(9)に含まれる熱可塑性樹脂の割合から、第2ウェブに含まれる熱可塑性樹脂繊維の割合も45〜85質量%とされる。
更に、本繊維ボード(1)における第1層(5)及び第2層(9)の相関と同様に、第2ウェブに含まれた熱可塑性樹脂の割合は、第1ウェブに含まれた熱可塑性樹脂の割合より大きくされる。
各ウェブに利用される熱可塑性樹脂繊維については特に限定されないが、例えば、その繊度は、0.1〜50dtexが好ましい。この範囲では、天然繊維との混繊がし易く、また、繊維同士を均一に分散させ易い。この繊度は0.5〜25dtexがより好ましく、1〜10dtexが特に好ましい。
また、繊維マットを加熱加圧して繊維ボードとする場合、どのように行ってもよいが、例えば、ダブルベルトプレス装置を用いることができる。具体的には、繊維マットを、ダブルベルトプレス装置のプレスベルトで表裏両面から押圧しながら、この装置の加熱ゾーンへ搬送する。加熱ゾーンでは、繊維マットを加熱して、繊維マットに含まれた熱可塑性樹脂繊維を溶融する。その後、繊維マット(熱可塑性樹脂繊維が溶融された繊維マット)を、プレスベルトで表裏両面から押圧したまま、繊維マットをこの装置の冷却ゾーンへ搬送する。冷却ゾーンでは、繊維マット内で溶融された熱可塑性樹脂が冷却されて固化し、天然繊維同士を結着する。こうして、繊維ボード(1)を得ることができる。
[2]繊維成形体
本発明の繊維成形体(15)は、本発明の繊維ボード(1)を成形した成形体である。従って、繊維成形体(15)(図2参照)は、繊維ボード(1)と同様に、その一面側(17)に配置された第1層(19)と、その他面側(21)に配置された第2層(23)と、を有する。また、第1層(19)及び第2層(23)は、ともに、複数の天然繊維(25)が熱可塑性樹脂(27)によって結着された構造を有している。更に、第1層(19)に含まれた天然繊維(25)と熱可塑性樹脂(27)との合計を100質量%とした場合に、第1層(19)に含まれた熱可塑性樹脂(27)の割合が35〜55質量%である。また、第2層(23)に含まれた天然繊維(25)と熱可塑性樹脂(27)との合計を100質量%とした場合に、第2層(23)に含まれた熱可塑性樹脂(27)の割合が45〜85質量%である。更に、第2層(23)に含まれた熱可塑性樹脂(27)の割合が、第1層(19)に含まれた熱可塑性樹脂(27)の割合より大きくされている。
本発明の繊維成形体(15)は、本発明の繊維ボード(1)を成形した成形体である。従って、繊維成形体(15)(図2参照)は、繊維ボード(1)と同様に、その一面側(17)に配置された第1層(19)と、その他面側(21)に配置された第2層(23)と、を有する。また、第1層(19)及び第2層(23)は、ともに、複数の天然繊維(25)が熱可塑性樹脂(27)によって結着された構造を有している。更に、第1層(19)に含まれた天然繊維(25)と熱可塑性樹脂(27)との合計を100質量%とした場合に、第1層(19)に含まれた熱可塑性樹脂(27)の割合が35〜55質量%である。また、第2層(23)に含まれた天然繊維(25)と熱可塑性樹脂(27)との合計を100質量%とした場合に、第2層(23)に含まれた熱可塑性樹脂(27)の割合が45〜85質量%である。更に、第2層(23)に含まれた熱可塑性樹脂(27)の割合が、第1層(19)に含まれた熱可塑性樹脂(27)の割合より大きくされている。
この繊維成形体(15)では、第2層(23)の側が凹んでいる一方、第1層(19)の側へ突き出した形状となっている(図2参照)。更には、第2層(23)の側が凹み、その形状に対応した形状で、第1層(19)の側へ突き出す形状とされていることが好ましい。更に、繊維成形体(15)は、第2層(23)の側が凹むように、150度以下の鈍角となるように曲げられた部位を有することができる。更に、この角度は、105〜135度であることが好ましい。
即ち、第2層(23)の側に凹むように、内角θ(図2参照)が105〜135度とされた曲げ部を有することが好ましい。内角θがこの角度範囲では、本発明による効果をより得易い。即ち、従来、内角θを105〜135度に成形しようとすると、その内角θが135度よりも更に大きくなるように、天然繊維のスプリングバックによって変形されることがあった。しかし、本発明の繊維成形体では、内角θを105〜135度に成形する場合に、この内角θの変形量を従来に比べて特に小さくできる。
本発明の繊維成形体の形状、大きさ及び厚さ等は特に限定されない。また、その用途も特に限定されない。この繊維成形体は、例えば、自動車、鉄道車両、船舶及び飛行機等の内装材及び外装材等として用いられる。このうち自動車用品としては、自動車用内装材、自動車用インストルメントパネル、自動車用外装材等が挙げられる。具体的には、ドア基材、パッケージトレー、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クオーターパネル、アームレスト、自動車用ドアトリム、シート構造材、シートバックボード、天井材、コンソールボックス、自動車用ダッシュボード、各種インストルメントパネル、デッキトリム、サイドガーニッシュ、バンパー、スポイラー及びカウリング等が挙げられる。更に、例えば、建築物及び家具等の内装材及び外装材等が挙げられる。即ち、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥など)の表装材等が挙げられる。その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材及びパーティション部材等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[1]繊維成形体の製造
〈1〉実施例1
(1)繊維マット用繊維の調製
天然繊維11としてケナフ繊維(平均繊維長70mm)を用いた。
熱可塑性樹脂繊維として、ポリプロピレン(非変性熱可塑性樹脂)と酸変性ポリプロピレン(三菱化学株式会社製、品名「Modic P908」)とを、質量比95:5(非変性:変性)で混合した樹脂から紡糸された熱可塑性樹脂繊維を用いた(6dtex、平均繊維長51mm)を用いた。
[1]繊維成形体の製造
〈1〉実施例1
(1)繊維マット用繊維の調製
天然繊維11としてケナフ繊維(平均繊維長70mm)を用いた。
熱可塑性樹脂繊維として、ポリプロピレン(非変性熱可塑性樹脂)と酸変性ポリプロピレン(三菱化学株式会社製、品名「Modic P908」)とを、質量比95:5(非変性:変性)で混合した樹脂から紡糸された熱可塑性樹脂繊維を用いた(6dtex、平均繊維長51mm)を用いた。
(2)繊維マットの製造
図3に示す繊維マット製造装置50を利用して、実施例1の繊維マット51を製造した。
即ち、天然繊維11と熱可塑性樹脂繊維29とを、質量比50:50となるように混繊した混合繊維53Aを、繊維供給部55Aへ投入した。そして、繊維供給部55Aへ投入した混合繊維53Aをエアレイ装置57Aへ送り、コンベア上に繊維を堆積させてウェブ59Aを形成した。
一方、天然繊維11と熱可塑性樹脂繊維29とを、質量比40:60となるように混繊した混合繊維53Bを、繊維供給部55Bへ投入した。そして、繊維供給部55Bへ投入した混合繊維53Bをエアレイ装置57Bへ送り、コンベア上に繊維を堆積させてウェブ59Bを形成した。
次いで、これらのウェブ59A及び59Bを積層して積層ウェブ61とした後、交絡手段(ニードルパンチ装置)63を用いて、積層ウェブ61を交絡した。その後、カッター65により裁断して繊維マット51を得た。
図3に示す繊維マット製造装置50を利用して、実施例1の繊維マット51を製造した。
即ち、天然繊維11と熱可塑性樹脂繊維29とを、質量比50:50となるように混繊した混合繊維53Aを、繊維供給部55Aへ投入した。そして、繊維供給部55Aへ投入した混合繊維53Aをエアレイ装置57Aへ送り、コンベア上に繊維を堆積させてウェブ59Aを形成した。
一方、天然繊維11と熱可塑性樹脂繊維29とを、質量比40:60となるように混繊した混合繊維53Bを、繊維供給部55Bへ投入した。そして、繊維供給部55Bへ投入した混合繊維53Bをエアレイ装置57Bへ送り、コンベア上に繊維を堆積させてウェブ59Bを形成した。
次いで、これらのウェブ59A及び59Bを積層して積層ウェブ61とした後、交絡手段(ニードルパンチ装置)63を用いて、積層ウェブ61を交絡した。その後、カッター65により裁断して繊維マット51を得た。
(3)繊維ボードの製造
上記(2)で得られた繊維マット51を、ダブルベルトプレス装置70に供給して、実施例1の繊維ボード1を製造した(図4参照)。
ダブルベルトプレス装置70は、駆動ローラ71A及び71Bと、従動ローラ73A及び73Bに掛け回されて、上下に対向されたステンレスベルト75A及び75Bを有している。更に、第1のローラ群77A及び77B、並びに、第2のローラ群79A及び79B、を有している。第1のローラ群77A及び77B内には加熱油が流通され、これらのローラ間を通過した繊維マット51は、その熱可塑性樹脂繊維29が溶融される。更に、第2のローラ群79A及び79B内には冷却水が流通され、これらのローラ間を通過する繊維マット51は、冷却されて、熱可塑性樹脂13(図1参照)が固化されて繊維ボード1となる。
上記(2)で得られた繊維マット51を、ダブルベルトプレス装置70に供給して、実施例1の繊維ボード1を製造した(図4参照)。
ダブルベルトプレス装置70は、駆動ローラ71A及び71Bと、従動ローラ73A及び73Bに掛け回されて、上下に対向されたステンレスベルト75A及び75Bを有している。更に、第1のローラ群77A及び77B、並びに、第2のローラ群79A及び79B、を有している。第1のローラ群77A及び77B内には加熱油が流通され、これらのローラ間を通過した繊維マット51は、その熱可塑性樹脂繊維29が溶融される。更に、第2のローラ群79A及び79B内には冷却水が流通され、これらのローラ間を通過する繊維マット51は、冷却されて、熱可塑性樹脂13(図1参照)が固化されて繊維ボード1となる。
(4)繊維成形体の製造
上記(3)で得られた繊維ボード51を、ヒータを備えた油圧プレス装置80に挟んで加熱圧締した。その後、油圧プレス装置80の圧締を開放して、温度210℃に加熱された繊維ボード1を取り出した。
次いで、この加熱された状態の繊維ボード1を、プレス成形装置81に供給し、320トンの圧力を加えて20秒間成形し、繊維ボード1の賦形を行った。即ち、プレス成形装置81の型内で冷却しながら、熱可塑性樹脂27(図2参照)を固化して、実施例1の繊維成形体15を得た。この繊維成形体15は、図6に示すように、自動車用ドアトリムの形状に成形されている。
上記(3)で得られた繊維ボード51を、ヒータを備えた油圧プレス装置80に挟んで加熱圧締した。その後、油圧プレス装置80の圧締を開放して、温度210℃に加熱された繊維ボード1を取り出した。
次いで、この加熱された状態の繊維ボード1を、プレス成形装置81に供給し、320トンの圧力を加えて20秒間成形し、繊維ボード1の賦形を行った。即ち、プレス成形装置81の型内で冷却しながら、熱可塑性樹脂27(図2参照)を固化して、実施例1の繊維成形体15を得た。この繊維成形体15は、図6に示すように、自動車用ドアトリムの形状に成形されている。
〈2〉実施例2−6及び比較例1−2
上記〈2〉(1)−(4)と同様にして、表1に示す、実施例2−6及び比較例1−2の繊維成形体を各々製造した。
上記〈2〉(1)−(4)と同様にして、表1に示す、実施例2−6及び比較例1−2の繊維成形体を各々製造した。
〈3〉変形量の評価
上記〈1〉及び〈2〉で得られた実施例1−6及び比較例1−2の各繊維成形体について、変形量を測定した。即ち、図6に示すように、自動車用ドアトリムの形状に成形された繊維成形体15の測定箇所31における変形量を以下のようにして測定した。
即ち、プレス成形装置の型内の当該箇所の形状が全く変形されず維持された場合の、繊維成形体の先端部の位置を基準位置33とした。そして、この基準位置33から、実施例1−6及び比較例1−2の各繊維成形体の先端部が、どの程度、変形しているかを測定した。図6に示すように、曲げ部の角度が開くように左へ変形された場合の変形量をプラス(+)とした。一方、曲げ部の角度が狭まるように右へ変形された場合の変形量をマイナス(−)とした。このようにして、基準位置33からの各繊維成形体の先端部の位置を測定した。そして、この測定では、実施例1−6及び比較例1−2の各繊維成形体を各々8枚製造し、各8枚についての変形量を測定し、その平均値を算出し、表1に「変形量」として示した。更に、図7に、実施例1−6及び比較例1−2の各繊維成形体の変形量をグラフにして示した。
上記〈1〉及び〈2〉で得られた実施例1−6及び比較例1−2の各繊維成形体について、変形量を測定した。即ち、図6に示すように、自動車用ドアトリムの形状に成形された繊維成形体15の測定箇所31における変形量を以下のようにして測定した。
即ち、プレス成形装置の型内の当該箇所の形状が全く変形されず維持された場合の、繊維成形体の先端部の位置を基準位置33とした。そして、この基準位置33から、実施例1−6及び比較例1−2の各繊維成形体の先端部が、どの程度、変形しているかを測定した。図6に示すように、曲げ部の角度が開くように左へ変形された場合の変形量をプラス(+)とした。一方、曲げ部の角度が狭まるように右へ変形された場合の変形量をマイナス(−)とした。このようにして、基準位置33からの各繊維成形体の先端部の位置を測定した。そして、この測定では、実施例1−6及び比較例1−2の各繊維成形体を各々8枚製造し、各8枚についての変形量を測定し、その平均値を算出し、表1に「変形量」として示した。更に、図7に、実施例1−6及び比較例1−2の各繊維成形体の変形量をグラフにして示した。
〈4〉実施例の効果
上記〈3〉の結果から、従来の繊維成形体である比較例1(全ての部位で、天然繊維と熱可塑性樹脂との質量比が50:50である)の変形量は+1.31mmであり、その絶対値は1.31であった。これに対して、実施例1−6の繊維成形体の変形量は、−0.95〜+0.71mmであり、変形量の絶対値は0.21〜0.95であった。即ち、実施例1−6の繊維成形体は、いずれも従来の繊維成形体に比べて変形量が小さかった。一方、本発明の範囲を外れる比較例1の変形量の絶対値は、1.61と、比較例1よりも大きいものであった(図7参照)。
上記〈3〉の結果から、従来の繊維成形体である比較例1(全ての部位で、天然繊維と熱可塑性樹脂との質量比が50:50である)の変形量は+1.31mmであり、その絶対値は1.31であった。これに対して、実施例1−6の繊維成形体の変形量は、−0.95〜+0.71mmであり、変形量の絶対値は0.21〜0.95であった。即ち、実施例1−6の繊維成形体は、いずれも従来の繊維成形体に比べて変形量が小さかった。一方、本発明の範囲を外れる比較例1の変形量の絶対値は、1.61と、比較例1よりも大きいものであった(図7参照)。
1;繊維ボード、3;一面、5;第1層、7;他面、9;第2層、11;天然繊維、13;熱可塑性樹脂、
15;繊維成形体、17;一面、19;第1層、21;他面、23;第2層、25;植物性繊維、27;熱可塑性樹脂、29;熱可塑性樹脂繊維、31;測定箇所、33;基準位置、
50;繊維マット製造装置、51;繊維マット、53A及び53B;混合繊維、55A及び55B;繊維供給部、57A及び57B;エアレイ装置、59A及び59B;ウェブ、61;積層ウェブ、63;交絡手段、65;カッター、
70;ダブルベルトプレス装置、71A及び71B;駆動ローラ、73A及び73B;従動ローラ、75A及び75B;ステンレスベルト、77A及び77B;第1のローラ群、79A及び79B;第2のローラ群、
80;油圧プレス装置、81;プレス成形装置。
15;繊維成形体、17;一面、19;第1層、21;他面、23;第2層、25;植物性繊維、27;熱可塑性樹脂、29;熱可塑性樹脂繊維、31;測定箇所、33;基準位置、
50;繊維マット製造装置、51;繊維マット、53A及び53B;混合繊維、55A及び55B;繊維供給部、57A及び57B;エアレイ装置、59A及び59B;ウェブ、61;積層ウェブ、63;交絡手段、65;カッター、
70;ダブルベルトプレス装置、71A及び71B;駆動ローラ、73A及び73B;従動ローラ、75A及び75B;ステンレスベルト、77A及び77B;第1のローラ群、79A及び79B;第2のローラ群、
80;油圧プレス装置、81;プレス成形装置。
Claims (3)
- 繊維ボードであって、
その一面側に配置された第1層と、その他面側に配置された第2層と、を有し、
前記第1層及び前記第2層は、ともに、複数の天然繊維が熱可塑性樹脂によって結着された構造を有し、
前記第1層に含まれた天然繊維と熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に、前記第1層に含まれた熱可塑性樹脂の割合が35〜55質量%であり、
前記第2層に含まれた天然繊維と熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に、前記第2層に含まれた熱可塑性樹脂の割合が45〜85質量%であり、
前記第2層に含まれた熱可塑性樹脂の割合が、前記第1層に含まれた熱可塑性樹脂の割合より大きいことを特徴とする繊維ボード。 - 請求項1に記載の繊維ボードを成形した繊維成形体であって、
前記第2層の側が凹み、前記第1層の側へ突き出た形状であることを特徴とする繊維成形体。 - 前記第2層の側が凹むように、105〜135度の角度で曲げられた部位を有する請求項2に記載の繊維成形体。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017039219A (ja) * | 2015-08-17 | 2017-02-23 | トヨタ紡織株式会社 | 繊維ボードの製造方法 |
JP2017039220A (ja) * | 2015-08-17 | 2017-02-23 | トヨタ紡織株式会社 | ボード部材の製造方法 |
JP6996288B2 (ja) | 2017-12-26 | 2022-01-17 | トヨタ紡織株式会社 | 複合成形体 |
US11566378B2 (en) | 2019-11-27 | 2023-01-31 | Seiko Epson Corporation | Fiber assembly-forming method and fiber assembly-forming apparatus |
-
2013
- 2013-07-09 JP JP2013143912A patent/JP2015016589A/ja active Pending
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