JP6597067B2 - 繊維基材 - Google Patents
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Description
例えば、自動車の内装部品用の基材等に関して、次の技術が知られている。特許文献1には、植物性繊維どうしが熱可塑性樹脂により結着された構造を有し、植物性繊維及び熱可塑性樹脂の合計を100質量%とした場合に植物性繊維が30〜95質量%含まれた植物性繊維複合材の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、天然繊維(ケナフ繊維等)と、熱可塑性樹脂(ポリプロピレン等)の配合比率が厚さ方向に徐々に変化する繊維層状体が開示されている。
本発明の目的は、軽量化と剛性の向上とが両立された繊維基材を提供することである。
本発明は、以下に示される。
(1)天然繊維と、結合材となる樹脂とを含有する繊維基材において、合成樹脂を含む中空繊維を含有することを特徴とする繊維基材。
(2)上記繊維基材が板状であり、上記樹脂、上記天然繊維及び上記中空繊維の含有割合が厚さ方向に徐々に変化している上記(1)に記載の繊維基材。
(3)上記繊維基材が板状であり、上記中空繊維を主とする中心領域と、該中心領域の両面側に位置する、上記天然繊維を主とする中間領域と、該中間領域の外側面に位置する、上記樹脂を主とした表面領域とを備え、上記中心領域から上記表面領域に向かって、上記中空繊維、上記天然繊維及び上記樹脂の含有割合が厚さ方向に徐々に変化している上記(1)に記載の繊維基材。
(4)上記繊維基材を100質量%とした場合に、上記天然繊維の含有量が40〜60質量%であり、上記樹脂の含有量が25〜55質量%であり、上記中空繊維の含有量が5〜15質量%である上記(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の繊維基材。
(5)上記樹脂が熱可塑性樹脂を含む上記(1)乃至(4)のいずれか一項に記載の繊維基材。
(6)目付が0.5〜1.0kg/m2である上記(1)乃至(5)のいずれか一項に記載の繊維基材。
繊維の長さ(繊維長)は、形状を問わず、全長を意味し、外径(繊維径)は、繊維長の半分長さに相当する位置における最大径を意味する。これらは、光学顕微鏡等により測定された長さであり、平均値は、繊維200本に対して算出された値である。
本発明において、好ましい植物繊維は、ケナフ、ジュート麻、マニラ麻、サイザル麻、雁皮、三椏、楮、バナナ、パイナップル、ココヤシ、トウモロコシ、サトウキビ、バガス、ヤシ、パピルス、葦、エスパルト、サバイグラス、麦、稲、竹、針葉樹(杉、檜等)、広葉樹、綿花等に由来する線状繊維体である。このうち、木質茎を有し、成長が極めて早い一年草であり、優れた二酸化炭素吸収性を有し、大気中の二酸化炭素量の削減、森林資源の有効利用等に貢献するアオイ科植物であるケナフに由来する線状繊維体(ケナフ繊維)であることが特に好ましい。このケナフとしては、学名におけるhibiscus cannabinus及びhibiscus sabdariffa等、通称名における紅麻、キューバケナフ、洋麻、タイケナフ、メスタ、ビムリ、アンバリ麻及びボンベイ麻等が挙げられる。
上記中空繊維としては、いずれも、気孔を有する、ポリエステル繊維、ポリアリレート繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン系繊維、アセテート繊維、ポリスルホン繊維、セルロース繊維等が挙げられる。これらの中空繊維は、本発明の繊維基材の中に、単独で含まれてよいし、2種以上の組み合わせで含まれてもよい。
本発明に係る中空繊維としては、熱可塑性樹脂を含む本体部の内部に気孔を有する、ポリエステル繊維、ポリアリレート繊維、ポリアミド繊維等が好ましい。
また、本発明の繊維基材に含まれる中空繊維の気孔率は、本発明の繊維基材における剛性の観点から、好ましくは15〜80体積%、より好ましくは20〜60体積%である。
上記熱可塑性樹脂は、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂であり、天然繊維と中空繊維との間の接着性の観点から、より好ましくはポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のプロピレン系重合体又はその変性物である。変性物としては、酸変性ポリプロピレンが好ましく、無水マレイン酸による酸変性ポリプロピレンが特に好ましい。
尚、上記ポリオレフィン系樹脂を用いる場合、非変性の樹脂と、変性樹脂とを併用することが好ましい。このときの非変性樹脂及び変性樹脂の割合は、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは80〜99質量%及び1〜20質量%、より好ましくは85〜98.5質量%及び1.5〜15質量%、更に好ましくは90〜97質量%及び3〜10質量%である。
本発明の繊維基材に含まれる中空繊維の含有割合は、繊維基材の構成に依存することなく、上記繊維基材を100質量%とした場合に、好ましくは5〜15質量%、より好ましくは5〜14質量%、更に好ましくは5〜10質量%である。
本発明の繊維基材に含まれる結合材(樹脂)の含有割合は、特に限定されないが、一体化物としての形状安定性及び剛性の観点から、上記繊維基材を100質量%とした場合に、好ましくは25〜55質量%、より好ましくは26〜50質量%、更に好ましくは30〜45質量%である。
本発明の繊維基材に含まれる繊維の配向性は、特に限定されず、全ての繊維が、主としてその長さ方向に配向していてよいし、ランダムであってもよい。また、天然繊維及び中空繊維の分布形態も特に限定されない。
本発明においては、繊維基材の全体に渡って、天然繊維及び中空繊維が均一に分布している態様(以下、「第1態様」という)、並びに、繊維基材の1部から他部に向かって、天然繊維の含有量と中空繊維の含有量との比が変化している部分を備える態様(以下、「第2態様」という)のいずれにおいても、軽量化を実現し、優れた剛性を有する。一般に、複数種の繊維を含む複合材料においては、全体に渡って、各繊維が均一に分布している方が、優れた物性を備えるが、本発明においては、天然繊維及び中空繊維が均一分布でない第2態様であっても、剛性に優れる。
第1態様の構成を有する板状基材は、例えば、図1に示される。図1は、天然繊維11及び中空繊維13を均一に含み、繊維どうしが、樹脂からなる結合材15により結合している平面板からなる板状基材10の断面図である。尚、図示していないが、図1の板状基材10は、他の繊維又は他の成分を含んでもよく、この場合も、他の繊維又は他の成分は、樹脂(結合材)15により、天然繊維11、中空繊維13等と結合されたものとすることができる。樹脂からなる結合材15は、通常、1面側から他面側の各繊維の隙間に入り込むとともに繊維どうしを結合しており、樹脂部は、連続相状に形成されている。
図1の板状基材10の厚さは、剛性の観点から、好ましくは1.5〜6.0mm、より好ましくは1.8〜4.0mm、更に好ましくは2.3〜3.5mmである。
第2態様の板状基材は、図2〜図4に例示される。
図2の板状基材は、他の繊維又は他の成分を含むことができ、これらは、均一に含まれてよいし、偏在していてもよい。
図2の板状基材10の厚さは、剛性の観点から、好ましくは1.5〜3.5mm、より好ましくは2.5〜3.2mm、更に好ましくは2.8〜3.2mmである。
図3の板状基材10においては、より優れた剛性が得られることから、中空繊維層(中心領域)21から表層側の天然繊維層23に向かって、天然繊維11及び中空繊維13の含有割合が徐々に変化している構成であることが好ましい。
図3の板状基材は、他の繊維又は他の成分を含むことができ、これらは、均一に含まれてよいし、偏在していてもよい。
図3の板状基材10の厚さは、剛性の観点から、好ましくは1.5〜3.5mm、より好ましくは2.5〜3.2mm、更に好ましくは2.8〜3.2mmである。
図4の板状基材10においても、より優れた剛性が得られることから、中空繊維層(中心領域)21から天然繊維層(中間領域)24に向かって、天然繊維11及び中空繊維13の含有割合が徐々に変化している構成であることが好ましい。
図4の板状基材は、他の繊維又は他の成分を含むことができ、これらは、均一に含まれてよいし、偏在していてもよい。
図4の板状基材10の厚さは、剛性の観点から、好ましくは1.5〜3.5mm、より好ましくは2.5〜3.2mm、更に好ましくは2.8〜3.2mmである。
(A1)天然繊維と、中空繊維と、溶融により繊維どうしの結合作用を有する樹脂繊維であって、中空繊維を構成する合成樹脂の融点又は分解点より低い融点の樹脂組成物からなる繊維(熱融着性樹脂繊維)とを混合した後、得られた繊維混合物を、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)は溶融する一方、中空繊維は溶融及び分解しない温度で加熱プレスし、天然繊維及び/又は中空繊維の隣り合う繊維どうしを樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)の溶融物により結合させつつ成形する方法
(A2)天然繊維と、中空繊維とを混合した後、得られた繊維混合物に、液状の結着剤組成物を付着させ、次いで、乾燥、加熱、加圧等を行って、繊維混合物に含まれる隣り合う繊維どうしを結合させつつ成形する方法
(B1)溶融により繊維どうしの結合作用を有する樹脂繊維であって、中空繊維の本体部を構成する合成樹脂の融点又は分解点より低い融点の樹脂組成物からなる繊維(熱融着性樹脂繊維)のみを堆積させた後、その上に、天然繊維の含有量と、中空繊維の含有量との比が徐々に小さくなるようにこれらを堆積させて繊維集積物を作製し、次いで、得られた繊維集積物を、熱融着性樹脂繊維層を上面側とした状態で、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)は溶融する一方、中空繊維は溶融及び分解しない温度で加熱プレスし、天然繊維及び/又は中空繊維の隣り合う繊維どうしを樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)の溶融物により結合させつつ成形する方法
(B2)溶融により繊維どうしの結合作用を有する樹脂繊維であって、中空繊維の本体部を構成する合成樹脂の融点又は分解点より低い融点の樹脂組成物からなる繊維(熱融着性樹脂繊維)と、天然繊維と、中空繊維とを用い、少なくとも、天然繊維の含有量と、中空繊維の含有量との比が徐々に小さくなるように、且つ、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)が均一に含まれるように、これらを堆積させて繊維集積物を作製し、その後、得られた繊維集積物を、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)は溶融する一方、中空繊維は溶融及び分解しない温度で加熱プレスし、天然繊維及び/又は中空繊維の隣り合う繊維どうしを樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)の溶融物により結合させつつ成形する方法
(B3)天然繊維及び中空繊維を用いて、天然繊維の含有量と、中空繊維の含有量との比が徐々に小さくなるようにこれらを堆積させて繊維集積物を作製し、その後、得られた繊維集積物に液状の結着剤組成物を付着させ、次いで、乾燥、加熱、加圧等を行って、繊維集積物に含まれる隣り合う繊維どうしを結合させつつ成形する方法
(C1)溶融により繊維どうしの結合作用を有する樹脂繊維であって、中空繊維の本体部を構成する合成樹脂の融点又は分解点より低い融点の樹脂組成物からなる繊維(熱融着性樹脂繊維)と、天然繊維と、中空繊維とを用い、少なくとも、天然繊維の含有量と、中空繊維の含有量との比が徐々に小さくなるように、且つ、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)が均一に含まれるように、これらを堆積させて繊維集積物を作製し、その後、2体の繊維集積物を、中空繊維の含有割合の高い層どうしが面するように重ねて積層物とし、次いで、この積層物を、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)は溶融する一方、中空繊維は溶融及び分解しない温度に加熱プレスし、天然繊維及び/又は中空繊維の隣り合う繊維どうしを樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)の溶融物により結合させつつ成形する方法
(C2)溶融により繊維どうしの結合作用を有する樹脂繊維であって、中空繊維の本体部を構成する合成樹脂の融点又は分解点より低い融点の樹脂組成物からなる繊維(熱融着性樹脂繊維)のみを堆積させた後、その上に、天然繊維の含有量と、中空繊維の含有量との比が徐々に小さくなるようにこれらを堆積させて第1繊維集積物を作製し、一方、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を用いずに、天然繊維と、中空繊維とを用い、天然繊維の含有量と、中空繊維の含有量との比が徐々に小さくなるようにこれらを堆積させて第2繊維集積物を作製し、次いで、第1繊維集積物及び第2繊維集積物を、中空繊維の含有割合の高い層どうしが面するように重ねて積層物とし、その後、この積層物を、第1繊維集積物を上層側とした状態で、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)は溶融する一方、中空繊維は溶融及び分解しない温度に加熱プレスし、天然繊維及び/又は中空繊維の隣り合う繊維どうしを樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)の溶融物により結合させつつ成形する方法
(C3)溶融により繊維どうしの結合作用を有する樹脂繊維であって、中空繊維の本体部を構成する合成樹脂の融点又は分解点より低い融点の樹脂組成物からなる繊維(熱融着性樹脂繊維)のみを堆積させた後、その上に、天然繊維の含有量と、中空繊維の含有量との比が徐々に小さくなるようにこれらを堆積させて第1繊維集積物を作製し、一方、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)のみを堆積させた後、その上に、天然繊維の含有量と、中空繊維の含有量との比が徐々に大きくなるようにこれらを堆積させて第3繊維集積物を作製し、次いで、第1繊維集積物及び第3繊維集積物を、中空繊維の含有割合の高い層どうしが近接するように重ねて積層物とし、その後、この積層物を、第1繊維集積物を上層側とした状態で、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)は溶融する一方、中空繊維は溶融及び分解しない温度に加熱プレスし、天然繊維及び/又は中空繊維の隣り合う繊維どうしを樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)の溶融物により結合させつつ成形する方法
(C4)天然繊維及び中空繊維を用いて、天然繊維の含有量と、中空繊維の含有量との比が徐々に小さくなるようにこれらを堆積させ、繊維集積物を得た後、2体の繊維集積物を、中空繊維の含有割合の高い層どうしが面するように重ねて積層物とし、次いで、この積層物に液状の結着剤組成物を付着させ、乾燥、加熱、加圧等を行って、積層物に含まれる隣り合う繊維どうしを結合させつつ成形する方法
上記天然繊維の形状は、特に限定されず、長さ方向の形状は、直線状、折れ線状、曲線状、螺旋状等とすることができる。断面の外形は、円形、楕円形、多角形等とすることができる。
上記天然繊維の長さ(繊維長)は、得られる繊維基材における剛性の観点から、好ましくは10〜150mm、より好ましくは30〜100mmである。また、上記天然繊維の外径(繊維径)は、得られる繊維基材における剛性の観点から、10〜200μm、より好ましくは50〜150μmである。
上記中空繊維の形状は、特に限定されず、長さ方向の形状は、直線状、折れ線状、曲線状、螺旋状等とすることができる。断面の外形は、円形、楕円形、多角形等とすることができる。
上記中空繊維の長さ(繊維長)は、得られる繊維基材における剛性の観点から、好ましくは10mm以上、より好ましくは10〜150mmである。また、上記中空繊維の外径(繊維径)は、得られる繊維基材における剛性の観点から、10〜300μm、より好ましくは20〜150μmである。
また、天然繊維、中空繊維及び樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)の使用量の割合は、これらの合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは30〜60質量%、5〜30質量%及び30〜50質量%である。
尚、天然繊維、中空繊維及び樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)からなる繊維混合物を用いる場合、この繊維混合物の製造方法は、特に限定されず、カード機、エアレイ等を用いた方法とすることができる。
また、互いに構成の異なる複数の樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を用いてもよいので、例えば、非変性のポリオレフィン系樹脂からなる樹脂繊維と、変性樹脂からなる樹脂繊維とを併用することができ、この場合、両者の使用量の割合は、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは80〜99質量%及び1〜20質量%、より好ましくは85〜98.5質量%及び1.5〜15質量%、更に好ましくは90〜97質量%及び3〜10質量%である。
上記樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)の長さ(繊維長)は、天然繊維、中空繊維等の効率よい接着性の観点から、好ましくは10mm以上、より好ましくは10〜150mm、更に好ましくは20〜100mm、特に好ましくは30〜80mmである。繊度は、好ましくは1〜50dtex、より好ましくは2〜20dtex、更に好ましくは3〜10dtexである。また、上記樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)の外径(繊維径)は、好ましくは0.001〜1.0mm、より好ましくは0.005〜0.7mm、更に好ましくは0.007〜0.5mmである。本発明における特に好ましい態様は、繊維径が0.001〜1.0mmである樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)の全体に対して、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上含むように用いるものである。
上記方法(A1)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)及び(C3)において、他の繊維として、合成樹脂を含む中実繊維を用いる場合、合成樹脂は、熱可塑性樹脂又は硬化樹脂とすることができる。この合成樹脂は、中空繊維を構成する合成樹脂の融点及び分解点より高い成分を主とすることが必須であり、残部は、結合材となり得る樹脂とすることができる。また、上記方法(A2)、(B3)及び(C4)においては、中空繊維を構成する合成樹脂の融点及び分解点より高い成分を主とする合成樹脂からなる中実繊維に加えて、融点に限定されない中実繊維を用いることもできる。
製造原料として、他の繊維を用いる場合、その使用量の上限は、上記天然繊維の使用量を100質量部とした場合に、通常、40質量部である。
上記方法(A1)において、加熱プレスを行う前の繊維混合物は、予め、ニードルパンチング等により交絡しておくことが好ましく、厚さを10〜50mm程度とする。そして、交絡物を、必要に応じて、切削加工等に供することにより所定のサイズに調整した後、加熱プレスを行う。加熱プレスは、交絡物を加熱して、結合材用の樹脂繊維(方法(A1)の場合)を溶融させ、圧縮して、少なくとも天然繊維及び中空繊維を溶融樹脂により結合させ、平板状のプレボードを得る工程である。
加熱プレスは、2枚の耐熱性金属板を用いる加熱プレス装置、加熱カレンダー装置等により行うことができる。加熱及び圧縮の順序は、特に限定されず、これらを同時に行ってもよい。加熱プレスの際の温度は、結合材用の樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)が溶融し、且つ、中空繊維が溶融しない温度であり、好ましくは、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を構成する熱可塑性樹脂の溶融温度より40℃程度高い温度と、中空繊維の溶融温度又は分解温度より30℃程度低い温度との間である。
尚、圧縮の際の圧力は、交絡物の厚さ、目付等により、適宜、設定され、特に限定されないが、好ましくは0.8〜3.2MPaである。
プレボードの密度は、好ましくは0.15〜1.5g/cm3、より好ましくは0.2〜1.0g/cm3である。
上記複合型繊維の長さ(繊維長)は、天然繊維、中空繊維等の効率よい接着性の観点から、好ましくは10mm以上、より好ましくは10〜150mm、更に好ましくは20〜100mm、特に好ましくは30〜80mmである。また、上記複合型繊維の外径(繊維径)は、好ましくは0.001〜1.0mm、より好ましくは0.005〜0.7mm、更に好ましくは0.007〜0.5mmである。本発明における特に好ましい態様は、繊維径が0.001〜1.0mmである複合型繊維を、複合型繊維の全体に対して、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上含むように用いるものである。
上記の第2繊維原料及び第3繊維原料は、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を含んでもよい。
上記の第2繊維原料及び第n繊維原料は、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を含んでもよい。
積層物の厚さは、交絡の有無に関わらず、好ましくは10〜400mm、より好ましくは15〜300mmである。そして、積層物を、必要に応じて、切削加工等に供することにより所定のサイズに調整した後、上記方法(A1)と同様にして、加熱プレス等に供することにより、板状の繊維基材を得ることができる。
また、第2繊維集積物を得る方法も、特に限定されず、上記方法(B3)における、繊維集積物を得る方法を適用することができる。
上記の第1繊維集積物及び第2繊維集積物からなる積層物は、第1繊維集積物及び第2繊維集積物を、中空繊維の含有割合の高い層どうしが面するように重ねて得られたものであるので、加熱プレスに供する積層物の構成は、下方側から、天然繊維を主とする層と、天然繊維及び中空繊維の混合繊維を主とする層と、中空繊維を主とする層と、天然繊維及び中空繊維の混合繊維を主とする層と、天然繊維を主とする層と、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を主とする層とからなる。
また、第3繊維集積物を得る方法も、特に限定されず、例えば、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を主とする第1繊維原料、中空繊維を主とする第2繊維原料、天然繊維及び中空繊維を主とし、天然繊維の含有量と、中空繊維の含有量との比が徐々に大きくなるようにこれらを混合した第3繊維原料〜第n−1繊維原料、並びに、天然繊維を主とする第n繊維原料(n≧4)を、順次、供給して、これらを堆積させる方法等が挙げられる。
上記の第1繊維集積物及び第3繊維集積物からなる積層物は、第1繊維集積物及び第3繊維集積物を、中空繊維の含有割合の高い層どうしが近接するように重ねて得られたものであるので、加熱プレスに供する積層物の構成は、下方側から、天然繊維を主とする層と、天然繊維及び中空繊維の混合繊維を主とする層と、中空繊維を主とする層と、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を主とする層と、中空繊維を主とする層と、天然繊維及び中空繊維の混合繊維を主とする層と、天然繊維を主とする層と、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を主とする層とからなる。
下記において使用した原料は以下の通りである。
(1)天然繊維
平均繊維長70mm及び平均繊維径約100μmのケナフ繊維を用いた。
(2)中空繊維
平均繊維長51mm及び外径約37μmであり、一端側から他端側へ内径約16μmの気孔が貫通した形状を有し、気孔率が20体積%であり、本体部が、融点が約264℃のポリエチレンテレフタレート樹脂を含む繊維を用いた。
(3)熱融着性樹脂繊維
繊維基材の製造時に、加熱溶融させて結合材として作用させる熱融着性樹脂繊維として、5質量%の三洋化成工業社製酸変性ポリプロピレン「ユーメックス1001」(商品名)と、95質量%の日本ポリプロ社製エチレン・プロピレンブロック共重合樹脂「ノバテックSA01」(商品名)とからなる混合物を溶融紡糸して得られた、繊度6.6dtex、平均繊維長51mm及び平均繊維径29μmの樹脂繊維を用いた。この熱融着性樹脂繊維の融点は、150℃〜180℃である。
60質量%の天然繊維と、10質量%の中空繊維と、30質量%の熱融着性樹脂繊維とを混合して繊維混合物(A)を得た後、この繊維混合物(A)をカーディング装置に投入し、厚さ約200mmのウェブを作製した。そして、ニードルパンチングによる交絡を行い、厚さ約20mmのマットを得た。
次に、このマットを、金型温度が235℃に設定されたプレス機を用い、圧縮中のマットの内部温度が180℃以上となるまで圧力32kgf/cm2で圧縮し、厚さ2.5mmの板状繊維基材を得た(図1参照)。この方法により、目付が0.674g/m2、0.692g/m2、0.712g/m2、0.731g/m2及び0.740g/m2の5サンプルを得た。
厚さを3.0mmとした以外は、実施例1と同様にして板状繊維基材を得た。そして、目付が0.672g/m2、0.689g/m2、0.697g/m2、0.712g/m2及び0.735g/m2の5サンプルについて、曲げ弾性勾配を得た。その結果を図5に示す。
繊維混合物(A)に代えて、60質量%の天然繊維と、40質量%の熱融着性樹脂繊維とを混合して得られた繊維混合物(B)を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚さ2.5mmの板状繊維基材を得た。そして、目付が0.674g/m2、0.692g/m2、0.712g/m2、0.731g/m2及び0.740g/m2の5サンプルについて、曲げ弾性勾配を得た。その結果を図5に示す。
車両分野では、自動車用で、ドア基材、パッケージトレー、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クオーターパネル、アームレストの芯材、ドアトリム、シートバックボード等のシート構造材、コンソールボックス、ダッシュボード、インストルメントパネル、デッキトリム、バンパー、スポイラー、カウリング等が挙げられる。
船舶分野及び航空機分野では、パッケージトレー、アームレストの芯材、シートバックボード等のシート構造材、コンソールボックス、ダッシュボード、インストルメントパネル等が挙げられる。
また、住宅分野では、家具用で、机、椅子、棚、箪笥等の表装材又は構造材、ドアの表装材又は構造材、壁又はその構造材等が挙げられる。
その他、包装体、収容体、保護部材、パーティション部材、靴の中芯又は中敷き等に適用することもできる。
Claims (6)
- 天然繊維と、結合材となる樹脂と、合成樹脂を含む中空繊維とを含有する繊維基材において、
前記天然繊維はケナフ繊維であり、
前記結合材はポリオレフィン系樹脂を含み、
前記ポリオレフィン系樹脂がプロピレン系重合体であり、且つ、非変性の樹脂と、変性樹脂とからなり、該非変性樹脂及び該変性樹脂の割合が、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、80〜99質量%及び1〜20質量%であることを特徴とする繊維基材。 - 前記ケナフ繊維の平均繊維長が50〜90mmである請求項1に記載の繊維基材。
- 前記繊維基材が板状であり、前記樹脂、前記天然繊維及び前記中空繊維の含有割合が厚さ方向に徐々に変化している請求項1又は2に記載の繊維基材。
- 前記繊維基材が板状であり、前記中空繊維を主とする中心領域と、該中心領域の両面側に位置する、前記天然繊維を主とする中間領域と、該中間領域の外側面に位置する、前記樹脂を主とした表面領域とを備え、前記中心領域から前記表面領域に向かって、前記中空繊維、前記天然繊維及び前記樹脂の含有割合が厚さ方向に徐々に変化している請求項1又は2に記載の繊維基材。
- 前記繊維基材を100質量%とした場合に、前記天然繊維の含有量が40〜60質量%であり、前記樹脂の含有量が25〜55質量%であり、前記中空繊維の含有量が5〜15質量%である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の繊維基材。
- 目付が0.5〜1.0kg/m2である請求項1乃至5のいずれか一項に記載の繊維基材。
Priority Applications (1)
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