JP6597067B2 - 繊維基材 - Google Patents

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Description

本発明は、軽量化と剛性の向上とが両立された繊維基材に関する。本発明の繊維基材は、車両、住宅、日用品等の分野において、好ましく用いられる。
天然繊維を含む多数本の繊維を結合材により結合させてなる繊維基材は、環境の観点から、広く利用され、各種産業において、応用されている。
例えば、自動車の内装部品用の基材等に関して、次の技術が知られている。特許文献1には、植物性繊維どうしが熱可塑性樹脂により結着された構造を有し、植物性繊維及び熱可塑性樹脂の合計を100質量%とした場合に植物性繊維が30〜95質量%含まれた植物性繊維複合材の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、天然繊維(ケナフ繊維等)と、熱可塑性樹脂(ポリプロピレン等)の配合比率が厚さ方向に徐々に変化する繊維層状体が開示されている。
特開2009−234129号公報 特開2002−105824号公報
基材の繊維材料を含む繊維基材を自動車の内装部品用の基材として用いる場合、自動車の燃費性能を向上させるべく、基材の更なる軽量化が求められている。しかしながら、繊維基材の目付を低減することで基材を軽量化させることが可能である一方、特許文献1の記載から明らかなように、植物性繊維複合材の目付を低減すると、最大曲げ荷重も低下する傾向にある。そこで、剛性を確保したままで目付を低減することができる繊維基材が求められていた。
本発明の目的は、軽量化と剛性の向上とが両立された繊維基材を提供することである。
本発明者らは、天然繊維と、熱可塑性樹脂を含む筒状本体部の内部に気孔が形成されている繊維であって、天然繊維より比重の小さい中空繊維とを併用することで、上記の課題が解決されるという知見を得た。
本発明は、以下に示される。
(1)天然繊維と、結合材となる樹脂とを含有する繊維基材において、合成樹脂を含む中空繊維を含有することを特徴とする繊維基材。
(2)上記繊維基材が板状であり、上記樹脂、上記天然繊維及び上記中空繊維の含有割合が厚さ方向に徐々に変化している上記(1)に記載の繊維基材。
(3)上記繊維基材が板状であり、上記中空繊維を主とする中心領域と、該中心領域の両面側に位置する、上記天然繊維を主とする中間領域と、該中間領域の外側面に位置する、上記樹脂を主とした表面領域とを備え、上記中心領域から上記表面領域に向かって、上記中空繊維、上記天然繊維及び上記樹脂の含有割合が厚さ方向に徐々に変化している上記(1)に記載の繊維基材。
(4)上記繊維基材を100質量%とした場合に、上記天然繊維の含有量が40〜60質量%であり、上記樹脂の含有量が25〜55質量%であり、上記中空繊維の含有量が5〜15質量%である上記(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の繊維基材。
(5)上記樹脂が熱可塑性樹脂を含む上記(1)乃至(4)のいずれか一項に記載の繊維基材。
(6)目付が0.5〜1.0kg/mである上記(1)乃至(5)のいずれか一項に記載の繊維基材。
本発明の繊維基材によれば、天然繊維と中空繊維とを組み合わせることにより、基材の軽量化だけでなく、天然繊維のみの場合よりも優れた剛性を得ることができる。
以下において、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ、詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
本発明の繊維基材として、板状基材の1例を示す模式的断面図である。 本発明の繊維基材として、板状基材の他の例を示す模式的断面図である。 本発明の繊維基材として、板状基材の他の例を示す模式的断面図である。 本発明の繊維基材として、板状基材の他の例を示す模式的断面図である。 〔実施例〕における剛性の評価結果を示すグラフである。
ここで示される事項は、例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
本明細書において、特定成分の含有割合を表現する「主とする」とは、特定成分が対象物に対して、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上含まれることを意味する。尚、単位は、質量%又は体積%である。
繊維の長さ(繊維長)は、形状を問わず、全長を意味し、外径(繊維径)は、繊維長の半分長さに相当する位置における最大径を意味する。これらは、光学顕微鏡等により測定された長さであり、平均値は、繊維200本に対して算出された値である。
本発明は、天然繊維と、合成樹脂を含む中空繊維とを含有する繊維基材であり、含まれる多数本の繊維が、樹脂からなる結合材により結合された一体化物である。
上記天然繊維は、植物又は動物に由来する繊維である。本発明においては、植物繊維及び動物繊維が組み合わされた繊維であってもよい。
本発明に係る天然繊維は、植物繊維を含むことが好ましい。
上記植物繊維は、植物における、幹、茎、枝、葉、根等に由来する繊維が、そのまま含まれてよいし、これらが、熱処理、乾燥処理、粉砕処理、化学処理等により加工されていてもよい。
本発明において、好ましい植物繊維は、ケナフ、ジュート麻、マニラ麻、サイザル麻、雁皮、三椏、楮、バナナ、パイナップル、ココヤシ、トウモロコシ、サトウキビ、バガス、ヤシ、パピルス、葦、エスパルト、サバイグラス、麦、稲、竹、針葉樹(杉、檜等)、広葉樹、綿花等に由来する線状繊維体である。このうち、木質茎を有し、成長が極めて早い一年草であり、優れた二酸化炭素吸収性を有し、大気中の二酸化炭素量の削減、森林資源の有効利用等に貢献するアオイ科植物であるケナフに由来する線状繊維体(ケナフ繊維)であることが特に好ましい。このケナフとしては、学名におけるhibiscus cannabinus及びhibiscus sabdariffa等、通称名における紅麻、キューバケナフ、洋麻、タイケナフ、メスタ、ビムリ、アンバリ麻及びボンベイ麻等が挙げられる。
上記動物繊維としては、ヒト、豚、羊、山羊、馬、鹿、兎、猪、駱駝等の体毛等が、そのまま含まれてよいし、これらが、化学処理、熱処理、乾燥処理、粉砕処理等により加工されていてもよい。
上記天然繊維は、通常、中実体であり、その長さ(繊維長)及び外径(繊維径)は、特に限定されない。繊維長の上限は、好ましくは100mmである。尚、上記繊維長の平均値は、好ましくは50〜90mm、より好ましくは60〜80mmである。また、繊維径の上限は、好ましくは150μmである。尚、上記繊維径の平均値は、好ましくは70〜110μm、より好ましくは85〜100μmである。
本発明の繊維基材に含まれる天然繊維の形状は、特に限定されない。長さ方向の形状は、直線状、折れ線状、曲線状、螺旋状又はこれらの変形形状とすることができる。断面の外形は、円形、楕円形、多角形又はこれらの変形形状とすることができる。
上記中空繊維は、合成樹脂を含む本体部の内部に気孔又は中空部(以下、両者を合わせて「気孔」という)を備える繊維であり、気孔が一端側から他端側に貫通している繊維、気孔が断続している繊維、気孔が連続的に分布している繊維等とすることができる。
上記中空繊維の本体部を構成する合成樹脂は、特に限定されず、熱可塑性樹脂及び硬化樹脂のいずれでもよい。また、上記本体部は、合成樹脂のみからなるものであってよいし、更に、酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、防かび剤、着色剤等の添加剤を含んでもよい。
上記中空繊維としては、いずれも、気孔を有する、ポリエステル繊維、ポリアリレート繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン系繊維、アセテート繊維、ポリスルホン繊維、セルロース繊維等が挙げられる。これらの中空繊維は、本発明の繊維基材の中に、単独で含まれてよいし、2種以上の組み合わせで含まれてもよい。
本発明に係る中空繊維としては、熱可塑性樹脂を含む本体部の内部に気孔を有する、ポリエステル繊維、ポリアリレート繊維、ポリアミド繊維等が好ましい。
上記中空繊維の長さ(繊維長)及び外径(繊維径)は、特に限定されない。繊維長の上限は、通常、100mmである。尚、上記繊維長の平均値は、好ましくは10mm以上、より好ましくは30〜70mmである。また、繊維径の上限は、通常、150μmである。尚、上記繊維径の平均値は、好ましくは20〜100μm、より好ましくは25〜80μmである。
本発明の繊維基材に含まれる中空繊維の形状は、繊維基材を製造する際に用いた中空繊維の形状がそのまま保持されている場合や、加圧等により変形した場合があり、特に限定されない。長さ方向の形状は、直線状、折れ線状、曲線状、螺旋状等の定形体又はこれらの変形体とすることができる。また、断面の外形は、円形、楕円形、多角形又はこれらの変形形状とすることができる。
また、本発明の繊維基材に含まれる中空繊維の気孔率は、本発明の繊維基材における剛性の観点から、好ましくは15〜80体積%、より好ましくは20〜60体積%である。
本発明の繊維基材は、必要に応じて、合成樹脂を含む中実繊維、無機材料からなる中実繊維又は中空繊維等の他の繊維や、発泡粒子、ゴム粒子等の他の成分を含んでもよい。他の繊維又は他の成分を含む場合のその含有量の上限は、上記天然繊維の含有量を100質量部とした場合に、通常、100質量部である。
本発明の繊維基材は、天然繊維及び中空繊維を主とするものであり、他の成分を含む場合にも、全ての繊維及び粒子等が、結合材により結合されている。この結合材の主成分は、特に限定されないが、好ましくは、熱可塑性樹脂及び硬化樹脂であり、特に好ましくは熱可塑性樹脂である。
上記熱可塑性樹脂は、中空繊維を構成する合成樹脂(熱可塑性樹脂である場合)と同じであっても、異なってもよく、ポリオレフィン系樹脂、飽和ポリエステル樹脂、芳香族ビニル樹脂、アクリル系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ウレタン系樹脂や、これらの変性物等が挙げられる。そして、変性物の場合、酸変性、アミノ変性、エポキシ変性等とすることができる。
上記ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン(ランダム)共重合体等のプロピレン系重合体;ポリエチレン等が挙げられる。また、その変性物は、好ましくは、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の、カルボキシル基又はその誘導体(酸無水物基等)を有する化合物による酸変性物(酸変性ポリオレフィン)である。
上記飽和ポリエステル樹脂は、特に限定されず、脂肪族ポリエステル樹脂、脂環式ポリエステル樹脂及び芳香族ポリエステル樹脂のいずれでもよい。これらのうち、脂肪族ポリエステル樹脂が好ましく、例えば、乳酸、リンゴ酸、グルコース酸、3−ヒドロキシ酪酸等のヒドロキシカルボン酸の単独重合体;これらのヒドロキシカルボン酸のうちの少なくとも1種を用いた共重合体等のヒドロキシカルボン酸系ポリエステル;ポリカプロラクトン、上記ヒドロキシカルボン酸のうちの少なくとも1種と、カプロラクトンとの共重合体等のカプロラクトン系ポリエステル;ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート等の二塩基酸ポリエステル等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂は、中空繊維を構成する合成樹脂の融点又は分解点より低い融点を有するものが好ましい。この場合の、熱可塑性樹脂の融点と、中空繊維を構成する合成樹脂の融点又は分解点との温度差は、好ましくは30℃以上、より好ましくは50℃以上である。尚、この温度差の上限は、通常、150℃である。
上記熱可塑性樹脂は、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂であり、天然繊維と中空繊維との間の接着性の観点から、より好ましくはポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のプロピレン系重合体又はその変性物である。変性物としては、酸変性ポリプロピレンが好ましく、無水マレイン酸による酸変性ポリプロピレンが特に好ましい。
尚、上記ポリオレフィン系樹脂を用いる場合、非変性の樹脂と、変性樹脂とを併用することが好ましい。このときの非変性樹脂及び変性樹脂の割合は、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは80〜99質量%及び1〜20質量%、より好ましくは85〜98.5質量%及び1.5〜15質量%、更に好ましくは90〜97質量%及び3〜10質量%である。
一方、上記硬化樹脂は、架橋構造等を有するものとすることができ、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等に由来するものとすることができる。
上記結合材は、熱可塑性樹脂又は硬化樹脂以外に、酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、防かび剤等を含有していてもよい。
本発明の繊維基材に含まれる天然繊維の含有割合は、繊維基材の構成に依存することなく、上記繊維基材を100質量%とした場合に、好ましくは40〜60質量%、より好ましくは45〜60質量%、更に好ましくは50〜60質量%である。
本発明の繊維基材に含まれる中空繊維の含有割合は、繊維基材の構成に依存することなく、上記繊維基材を100質量%とした場合に、好ましくは5〜15質量%、より好ましくは5〜14質量%、更に好ましくは5〜10質量%である。
本発明の繊維基材に含まれる結合材(樹脂)の含有割合は、特に限定されないが、一体化物としての形状安定性及び剛性の観点から、上記繊維基材を100質量%とした場合に、好ましくは25〜55質量%、より好ましくは26〜50質量%、更に好ましくは30〜45質量%である。
本発明の繊維基材において、少なくとも天然繊維及び中空繊維が結合材により結合されており、上記のように、隣り合う繊維どうしが結合材により結合されている。尚、繊維基材の製造方法を後述するが、その方法又は中空繊維の種類によっては、気孔に結合材が充填された中空繊維を含む場合がある。
本発明の繊維基材の目付は、軽量化と剛性の向上との両立の観点から、好ましくは0.5〜1.2kg/m、より好ましくは0.55〜1.0kg/m、更に好ましくは0.6〜0.8kg/mである。
本発明の繊維基材の形状は、目的、用途等に応じて、平面板(図1、図2、図3、図4)、曲面板、ブロック、棒、不定形状等とすることができ、実質的に、高密度成形品である。本発明においては、いずれの形状においても、優れた剛性を有する。尚、繊維基材が薄肉体であるか、あるいは、薄肉部を有する物品の場合、薄肉部の厚さは、1.5mm以上であることが好ましいが、薄肉部の厚さは、全体に渡って同一である必要はない。
本発明の繊維基材に含まれる繊維の配向性は、特に限定されず、全ての繊維が、主としてその長さ方向に配向していてよいし、ランダムであってもよい。また、天然繊維及び中空繊維の分布形態も特に限定されない。
本発明においては、繊維基材の全体に渡って、天然繊維及び中空繊維が均一に分布している態様(以下、「第1態様」という)、並びに、繊維基材の1部から他部に向かって、天然繊維の含有量と中空繊維の含有量との比が変化している部分を備える態様(以下、「第2態様」という)のいずれにおいても、軽量化を実現し、優れた剛性を有する。一般に、複数種の繊維を含む複合材料においては、全体に渡って、各繊維が均一に分布している方が、優れた物性を備えるが、本発明においては、天然繊維及び中空繊維が均一分布でない第2態様であっても、剛性に優れる。
以下、本発明の繊維基材の具体例としての板状基材について、説明する。
第1態様の構成を有する板状基材は、例えば、図1に示される。図1は、天然繊維11及び中空繊維13を均一に含み、繊維どうしが、樹脂からなる結合材15により結合している平面板からなる板状基材10の断面図である。尚、図示していないが、図1の板状基材10は、他の繊維又は他の成分を含んでもよく、この場合も、他の繊維又は他の成分は、樹脂(結合材)15により、天然繊維11、中空繊維13等と結合されたものとすることができる。樹脂からなる結合材15は、通常、1面側から他面側の各繊維の隙間に入り込むとともに繊維どうしを結合しており、樹脂部は、連続相状に形成されている。
図1の板状基材10の厚さは、剛性の観点から、好ましくは1.5〜6.0mm、より好ましくは1.8〜4.0mm、更に好ましくは2.3〜3.5mmである。
第2態様の構成を有する板状基材は、好ましくは、1面側から他面側への厚さ方向において、天然繊維の含有量と中空繊維の含有量との比が変化している部分を備える基材であり、特に好ましくは、1面側から他面側に、樹脂(結合材)、天然繊維及び中空繊維の含有割合が徐々に変化している、傾斜構造を有する基材である。
第2態様の板状基材は、図2〜図4に例示される。
図2の板状基材10は、実質的に、樹脂(結合材)15からなる樹脂層16、天然繊維11を主とする天然繊維層17、及び、中空繊維13を主とする中空繊維層18を、順次、備える基材である。天然繊維層17においては、隣り合う天然繊維11どうしが、樹脂からなる結合材15により結合されており、中空繊維層18においても、隣り合う中空繊維13どうしが、樹脂からなる結合材15により結合されている。天然繊維層17と中空繊維層18の界面では、隣り合う天然繊維11及び中空繊維13が結合材15により結合されている。樹脂からなる結合材15は、通常、1面側から他面側の各繊維の隙間に入り込むとともに繊維どうしを結合しており、樹脂部は、連続相状に形成されている。
図2の板状基材は、他の繊維又は他の成分を含むことができ、これらは、均一に含まれてよいし、偏在していてもよい。
図2の板状基材10の厚さは、剛性の観点から、好ましくは1.5〜3.5mm、より好ましくは2.5〜3.2mm、更に好ましくは2.8〜3.2mmである。
図3の板状基材10は、中空繊維13を主とする中空繊維層(中心領域)21と、この層(中心領域)21の両面側に位置し、天然繊維11を主とする天然繊維層23とを備える基材である。中空繊維層(中心領域)21においては、隣り合う中空繊維13どうしが、樹脂からなる結合材15により結合されており、天然繊維層23においても、隣り合う天然繊維11どうしが、樹脂からなる結合材15により結合されている。中空繊維層(中心領域)21と天然繊維層23との界面では、隣り合う天然繊維11及び中空繊維13が結合材15により結合されている。樹脂からなる結合材15は、通常、1面側から他面側の各繊維の隙間に入り込むとともに繊維どうしを結合しており、樹脂部は、連続相状に形成されている。
図3の板状基材10においては、より優れた剛性が得られることから、中空繊維層(中心領域)21から表層側の天然繊維層23に向かって、天然繊維11及び中空繊維13の含有割合が徐々に変化している構成であることが好ましい。
図3の板状基材は、他の繊維又は他の成分を含むことができ、これらは、均一に含まれてよいし、偏在していてもよい。
図3の板状基材10の厚さは、剛性の観点から、好ましくは1.5〜3.5mm、より好ましくは2.5〜3.2mm、更に好ましくは2.8〜3.2mmである。
また、図4の板状基材10は、中空繊維13を主とする中空繊維層(中心領域)21と、この中空繊維層(中心領域)21の両面側に位置し、天然繊維11を主とする天然繊維層(中間領域)24と、この天然繊維層(中間領域)24の外側に位置する、実質的に、樹脂(結合材)15からなる樹脂層(表面領域)26とを備える基材である。中空繊維層(中心領域)21においては、隣り合う中空繊維13どうしが、樹脂からなる結合材15により結合されており、天然繊維層(中間領域)24においても、隣り合う天然繊維11どうしが、樹脂からなる結合材15により結合されている。中空繊維層(中心領域)21と天然繊維層(中間領域)24との界面では、隣り合う天然繊維11及び中空繊維13が結合材15により結合されている。樹脂からなる結合材15は、通常、1面側から他面側の各繊維の隙間に入り込むとともに繊維どうしを結合しており、樹脂部は、連続相状に形成されている。
図4の板状基材10においても、より優れた剛性が得られることから、中空繊維層(中心領域)21から天然繊維層(中間領域)24に向かって、天然繊維11及び中空繊維13の含有割合が徐々に変化している構成であることが好ましい。
図4の板状基材は、他の繊維又は他の成分を含むことができ、これらは、均一に含まれてよいし、偏在していてもよい。
図4の板状基材10の厚さは、剛性の観点から、好ましくは1.5〜3.5mm、より好ましくは2.5〜3.2mm、更に好ましくは2.8〜3.2mmである。
第2態様の板状基材としては、図3及び図4の板状基材が特に好ましい。
本発明の繊維基材を製造する方法は、特に限定されず、形状、層構成等に応じて、適宜、選択することができる。上記のように、本発明においては、種々の形状を有する繊維基材とすることができるが、サーマルボンド法又はケミカルボンド法を利用することが好ましい。
第1態様の繊維基材として、図1に示した板状基材10を製造する場合、以下の方法とすることができる。
(A1)天然繊維と、中空繊維と、溶融により繊維どうしの結合作用を有する樹脂繊維であって、中空繊維を構成する合成樹脂の融点又は分解点より低い融点の樹脂組成物からなる繊維(熱融着性樹脂繊維)とを混合した後、得られた繊維混合物を、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)は溶融する一方、中空繊維は溶融及び分解しない温度で加熱プレスし、天然繊維及び/又は中空繊維の隣り合う繊維どうしを樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)の溶融物により結合させつつ成形する方法
(A2)天然繊維と、中空繊維とを混合した後、得られた繊維混合物に、液状の結着剤組成物を付着させ、次いで、乾燥、加熱、加圧等を行って、繊維混合物に含まれる隣り合う繊維どうしを結合させつつ成形する方法
第2態様の繊維基材として、実質的に、樹脂(結合材)15からなる樹脂層16、天然繊維11を主とする天然繊維層17、及び、中空繊維13を主とする中空繊維層18を、順次、備える、図2に示す板状基材10の態様において、1面側から他面側に、天然繊維11の含有量と中空繊維13の含有量との比が徐々に変化した、傾斜構造を有する平面板からなる板状基材を製造する場合、以下の方法とすることができる。
(B1)溶融により繊維どうしの結合作用を有する樹脂繊維であって、中空繊維の本体部を構成する合成樹脂の融点又は分解点より低い融点の樹脂組成物からなる繊維(熱融着性樹脂繊維)のみを堆積させた後、その上に、天然繊維の含有量と、中空繊維の含有量との比が徐々に小さくなるようにこれらを堆積させて繊維集積物を作製し、次いで、得られた繊維集積物を、熱融着性樹脂繊維層を上面側とした状態で、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)は溶融する一方、中空繊維は溶融及び分解しない温度で加熱プレスし、天然繊維及び/又は中空繊維の隣り合う繊維どうしを樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)の溶融物により結合させつつ成形する方法
(B2)溶融により繊維どうしの結合作用を有する樹脂繊維であって、中空繊維の本体部を構成する合成樹脂の融点又は分解点より低い融点の樹脂組成物からなる繊維(熱融着性樹脂繊維)と、天然繊維と、中空繊維とを用い、少なくとも、天然繊維の含有量と、中空繊維の含有量との比が徐々に小さくなるように、且つ、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)が均一に含まれるように、これらを堆積させて繊維集積物を作製し、その後、得られた繊維集積物を、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)は溶融する一方、中空繊維は溶融及び分解しない温度で加熱プレスし、天然繊維及び/又は中空繊維の隣り合う繊維どうしを樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)の溶融物により結合させつつ成形する方法
(B3)天然繊維及び中空繊維を用いて、天然繊維の含有量と、中空繊維の含有量との比が徐々に小さくなるようにこれらを堆積させて繊維集積物を作製し、その後、得られた繊維集積物に液状の結着剤組成物を付着させ、次いで、乾燥、加熱、加圧等を行って、繊維集積物に含まれる隣り合う繊維どうしを結合させつつ成形する方法
第2態様の繊維基材として、中空繊維13を主とする中空繊維層(中心領域)21と、この中空繊維層(中心領域)21の両面側に位置し、天然繊維11を主とする天然繊維層23とを備える、図3に示す板状基材10の態様において、中空繊維層(中心領域)21から表層側の天然繊維層23に向かって、天然繊維及び中空繊維の含有割合が徐々に変化した、傾斜構造を有する平面板、又は、中空繊維13を主とする中空繊維層(中心領域)21と、この中空繊維層(中心領域)21の両面側に位置し、天然繊維11を主とする層(中間領域)24と、この天然繊維層(中間領域)24の外側に位置する、実質的に、樹脂(結合材)15からなる樹脂層(表面領域)26とを備える、図4に示す板状基材10の態様において、中空繊維層(中心領域)21から天然繊維層(中間領域)24に向かって、天然繊維11及び中空繊維13の含有割合が徐々に変化した、傾斜構造を有する平面板を製造する場合、以下の方法とすることができる。
(C1)溶融により繊維どうしの結合作用を有する樹脂繊維であって、中空繊維の本体部を構成する合成樹脂の融点又は分解点より低い融点の樹脂組成物からなる繊維(熱融着性樹脂繊維)と、天然繊維と、中空繊維とを用い、少なくとも、天然繊維の含有量と、中空繊維の含有量との比が徐々に小さくなるように、且つ、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)が均一に含まれるように、これらを堆積させて繊維集積物を作製し、その後、2体の繊維集積物を、中空繊維の含有割合の高い層どうしが面するように重ねて積層物とし、次いで、この積層物を、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)は溶融する一方、中空繊維は溶融及び分解しない温度に加熱プレスし、天然繊維及び/又は中空繊維の隣り合う繊維どうしを樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)の溶融物により結合させつつ成形する方法
(C2)溶融により繊維どうしの結合作用を有する樹脂繊維であって、中空繊維の本体部を構成する合成樹脂の融点又は分解点より低い融点の樹脂組成物からなる繊維(熱融着性樹脂繊維)のみを堆積させた後、その上に、天然繊維の含有量と、中空繊維の含有量との比が徐々に小さくなるようにこれらを堆積させて第1繊維集積物を作製し、一方、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を用いずに、天然繊維と、中空繊維とを用い、天然繊維の含有量と、中空繊維の含有量との比が徐々に小さくなるようにこれらを堆積させて第2繊維集積物を作製し、次いで、第1繊維集積物及び第2繊維集積物を、中空繊維の含有割合の高い層どうしが面するように重ねて積層物とし、その後、この積層物を、第1繊維集積物を上層側とした状態で、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)は溶融する一方、中空繊維は溶融及び分解しない温度に加熱プレスし、天然繊維及び/又は中空繊維の隣り合う繊維どうしを樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)の溶融物により結合させつつ成形する方法
(C3)溶融により繊維どうしの結合作用を有する樹脂繊維であって、中空繊維の本体部を構成する合成樹脂の融点又は分解点より低い融点の樹脂組成物からなる繊維(熱融着性樹脂繊維)のみを堆積させた後、その上に、天然繊維の含有量と、中空繊維の含有量との比が徐々に小さくなるようにこれらを堆積させて第1繊維集積物を作製し、一方、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)のみを堆積させた後、その上に、天然繊維の含有量と、中空繊維の含有量との比が徐々に大きくなるようにこれらを堆積させて第3繊維集積物を作製し、次いで、第1繊維集積物及び第3繊維集積物を、中空繊維の含有割合の高い層どうしが近接するように重ねて積層物とし、その後、この積層物を、第1繊維集積物を上層側とした状態で、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)は溶融する一方、中空繊維は溶融及び分解しない温度に加熱プレスし、天然繊維及び/又は中空繊維の隣り合う繊維どうしを樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)の溶融物により結合させつつ成形する方法
(C4)天然繊維及び中空繊維を用いて、天然繊維の含有量と、中空繊維の含有量との比が徐々に小さくなるようにこれらを堆積させ、繊維集積物を得た後、2体の繊維集積物を、中空繊維の含有割合の高い層どうしが面するように重ねて積層物とし、次いで、この積層物に液状の結着剤組成物を付着させ、乾燥、加熱、加圧等を行って、積層物に含まれる隣り合う繊維どうしを結合させつつ成形する方法
上記全ての方法において、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を溶融させる前、及び、繊維混合物、繊維集積物又は積層物に液状の結着剤組成物に接触させる前、に、予め、繊維混合物、繊維集積物又は積層物を交絡しておいてもよい。交絡方法は、特に限定されないが、ニードルパンチングが一般的である。
上記全ての方法で用いる天然繊維の種類は、上記の通りである。天然繊維を使用する場合には、予め、従来、公知の前処理(例えば、付着物の除去又は臭気低減のための、アルカリ性水溶液との接触等)を施しておいてもよい。
上記天然繊維の形状は、特に限定されず、長さ方向の形状は、直線状、折れ線状、曲線状、螺旋状等とすることができる。断面の外形は、円形、楕円形、多角形等とすることができる。
上記天然繊維の長さ(繊維長)は、得られる繊維基材における剛性の観点から、好ましくは10〜150mm、より好ましくは30〜100mmである。また、上記天然繊維の外径(繊維径)は、得られる繊維基材における剛性の観点から、10〜200μm、より好ましくは50〜150μmである。
上記全ての方法で用いる中空繊維の構成材料は、上記の通りである。中空繊維を使用する場合には、予め、従来、公知の表面処理(例えば、酸化処理、粗化処理等)を施しておいてもよい。また、気孔率は、得られる繊維基材における剛性の観点から、好ましくは15〜80体積%、より好ましくは20〜60体積%である。
上記中空繊維の形状は、特に限定されず、長さ方向の形状は、直線状、折れ線状、曲線状、螺旋状等とすることができる。断面の外形は、円形、楕円形、多角形等とすることができる。
上記中空繊維の長さ(繊維長)は、得られる繊維基材における剛性の観点から、好ましくは10mm以上、より好ましくは10〜150mmである。また、上記中空繊維の外径(繊維径)は、得られる繊維基材における剛性の観点から、10〜300μm、より好ましくは20〜150μmである。
天然繊維、中空繊維及び樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を用いて板状の繊維基材を製造する方法(A1)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)及び(C3)において、中空繊維の本体部を構成する合成樹脂の融点又は分解点と、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を構成する樹脂の融点との温度差は、繊維基材の製造が効率的であることから、好ましくは30℃以上、より好ましくは50℃以上である。尚、この温度差の上限は、通常、150℃である。
また、天然繊維、中空繊維及び樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)の使用量の割合は、これらの合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは30〜60質量%、5〜30質量%及び30〜50質量%である。
尚、天然繊維、中空繊維及び樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)からなる繊維混合物を用いる場合、この繊維混合物の製造方法は、特に限定されず、カード機、エアレイ等を用いた方法とすることができる。
上記方法(A1)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)及び(C3)で用いる樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)は、熱可塑性樹脂又は硬化性樹脂を含むことができる。これらのうち、繊維基材の製造が容易であることから、熱可塑性樹脂が好ましい。この熱可塑性樹脂は、中空繊維を構成する合成樹脂と同じであっても、異なってもよいが、ポリオレフィン系樹脂、飽和ポリエステル樹脂、芳香族ビニル樹脂、アクリル系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ウレタン系樹脂又はこれらの変性物が好ましい。樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)に含まれる熱可塑性樹脂は、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。また、互いに構成の異なる複数の樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を用いてもよい。
上記熱可塑性樹脂は、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂であり、天然繊維どうし、中空繊維どうし、及び、天然繊維と中空繊維との間の接着性の観点から、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン(ランダム)共重合体等のプロピレン系重合体、ポリエチレン等の非変性樹脂や、これらの樹脂を、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の、カルボキシル基又はその誘導体(酸無水物基等)を有する化合物により変性させてなる酸変性物(酸変性ポリオレフィン)等が特に好ましい。
上記のように、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)に含まれる熱可塑性樹脂は、2種以上であってもよいので、例えば、非変性のポリオレフィン系樹脂と、変性樹脂とを併含する樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を用いることができ、この場合、天然繊維と中空繊維とをより効率よく結合することができる。また、非変性のポリオレフィン系樹脂及び変性樹脂の含有量の割合は、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは80〜99質量%及び1〜20質量%、より好ましくは85〜98.5質量%及び1.5〜15質量%、更に好ましくは90〜97質量%及び3〜10質量%である。樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)の場合、複数の樹脂を溶融混練後、紡糸させて得られた樹脂繊維とすることができる。
また、互いに構成の異なる複数の樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を用いてもよいので、例えば、非変性のポリオレフィン系樹脂からなる樹脂繊維と、変性樹脂からなる樹脂繊維とを併用することができ、この場合、両者の使用量の割合は、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは80〜99質量%及び1〜20質量%、より好ましくは85〜98.5質量%及び1.5〜15質量%、更に好ましくは90〜97質量%及び3〜10質量%である。
上記樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)の形状は、特に限定されないが、長さ方向の形状は、直線状、折れ線状、曲線状、螺旋状等とすることができる。また、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)は、溶融により繊維どうしの結合作用を有する樹脂成分からなる中実繊維であることが好ましいが、中空繊維の本体部を構成する合成樹脂の融点又は分解点より低い融点を有する部分を含む限りにおいて、芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維等の複合型繊維であってもよい。
上記樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)の長さ(繊維長)は、天然繊維、中空繊維等の効率よい接着性の観点から、好ましくは10mm以上、より好ましくは10〜150mm、更に好ましくは20〜100mm、特に好ましくは30〜80mmである。繊度は、好ましくは1〜50dtex、より好ましくは2〜20dtex、更に好ましくは3〜10dtexである。また、上記樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)の外径(繊維径)は、好ましくは0.001〜1.0mm、より好ましくは0.005〜0.7mm、更に好ましくは0.007〜0.5mmである。本発明における特に好ましい態様は、繊維径が0.001〜1.0mmである樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)の全体に対して、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上含むように用いるものである。
上記方法(A2)、(B3)及び(C4)で用いる液状の結着剤組成物は、水系組成物、有機溶剤系組成物、又は、媒体を不使用とした液状組成物とすることができる。水系組成物の場合、接着性を有する樹脂(ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ウレタン系樹脂若しくはこれらの変性物等)又はその前駆体を、水を主とする媒体に溶解させてなる溶液、又は、水を主とする媒体に分散させてなるエマルション等を用いることができる。有機溶剤系組成物の場合、接着性を有する樹脂(ポリオレフィン系樹脂、飽和ポリエステル樹脂、芳香族ビニル樹脂、アクリル系樹脂、ポリアセタール樹脂若しくはこれらの変性物、ウレタン系樹脂、エポキシ樹脂等)又はその前駆体を、有機溶剤に溶解させてなる溶液を用いることができる。また、媒体を不使用とした液状組成物としては、アクリル系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。
上記のように、本発明の繊維基材は、他の繊維を含むことができるが、上記の各方法を適用する場合、他の繊維は、合成樹脂を含む中実繊維、無機材料からなる中実繊維又は中空繊維とすることができる。
上記方法(A1)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)及び(C3)において、他の繊維として、合成樹脂を含む中実繊維を用いる場合、合成樹脂は、熱可塑性樹脂又は硬化樹脂とすることができる。この合成樹脂は、中空繊維を構成する合成樹脂の融点及び分解点より高い成分を主とすることが必須であり、残部は、結合材となり得る樹脂とすることができる。また、上記方法(A2)、(B3)及び(C4)においては、中空繊維を構成する合成樹脂の融点及び分解点より高い成分を主とする合成樹脂からなる中実繊維に加えて、融点に限定されない中実繊維を用いることもできる。
製造原料として、他の繊維を用いる場合、その使用量の上限は、上記天然繊維の使用量を100質量部とした場合に、通常、40質量部である。
以下、各製造方法について詳述する。
上記方法(A1)において、加熱プレスを行う前の繊維混合物は、予め、ニードルパンチング等により交絡しておくことが好ましく、厚さを10〜50mm程度とする。そして、交絡物を、必要に応じて、切削加工等に供することにより所定のサイズに調整した後、加熱プレスを行う。加熱プレスは、交絡物を加熱して、結合材用の樹脂繊維(方法(A1)の場合)を溶融させ、圧縮して、少なくとも天然繊維及び中空繊維を溶融樹脂により結合させ、平板状のプレボードを得る工程である。
加熱プレスは、2枚の耐熱性金属板を用いる加熱プレス装置、加熱カレンダー装置等により行うことができる。加熱及び圧縮の順序は、特に限定されず、これらを同時に行ってもよい。加熱プレスの際の温度は、結合材用の樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)が溶融し、且つ、中空繊維が溶融しない温度であり、好ましくは、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を構成する熱可塑性樹脂の溶融温度より40℃程度高い温度と、中空繊維の溶融温度又は分解温度より30℃程度低い温度との間である。
尚、圧縮の際の圧力は、交絡物の厚さ、目付等により、適宜、設定され、特に限定されないが、好ましくは0.8〜3.2MPaである。
結合材用の樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を構成する熱可塑性樹脂がプロピレン系重合体又はその変性物であり、中空繊維が、気孔を有するポリエステル繊維の場合、加熱プレスの温度は、好ましくは、170℃〜250℃、より好ましくは180℃〜240℃、更に好ましくは190℃〜230℃である。
上記加熱プレスにより得られたプレボードは、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)の溶融物が結合材となって、天然繊維及び/又は中空繊維の隣り合う繊維どうしを結合した一体化物であり、通常、プレボードの内部の、繊維どうしの結合部を除く領域においては、隣り合う繊維どうしの間に空隙が形成されている。また、プレボードの内部の天然繊維及び中空繊維は、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)の溶融物に被覆されていてよいし、繊維の表面の一部が露出していてもよい。
プレボードの密度は、好ましくは0.15〜1.5g/cm、より好ましくは0.2〜1.0g/cmである。
本発明においては、上記加熱プレスにより得られたプレボードを、そのまま、繊維基材とすることができるが、余熱状態の平板状プレボードを冷却プレスに供し、その後、必要に応じて、切削加工等により所定のサイズに調整することにより得られた板状の繊維基材とすることもできる。尚、冷却プレスの際の圧力は、平板状プレボードの厚さ、目付等により、適宜、設定され、特に限定されないが、好ましくは0.8〜3.2MPaである。
上記方法(A1)を変形して、他の繊維を含む板状基材を製造することができる。即ち、天然繊維と、中空繊維と、芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維等の複合型繊維であって、中空繊維を構成する合成樹脂の融点又は分解点より低い融点の、結合材となり得る熱可塑性樹脂を含む部分(低融点部分)、及び、中空繊維を構成する合成樹脂の融点又は分解点より高い融点を有する熱可塑性樹脂を含む部分(高融点部分)を備える複合型繊維とを混合した後、得られた繊維混合物を、複合型繊維の低融点部分は溶融する一方、高融点部分は溶融しない温度で加熱プレスし、天然繊維及び/又は中空繊維及び/又は高融点部分の繊維の隣り合う繊維どうしを低融点部分の溶融物により結合させつつ成形する方法である。
上記複合型繊維の長さ(繊維長)は、天然繊維、中空繊維等の効率よい接着性の観点から、好ましくは10mm以上、より好ましくは10〜150mm、更に好ましくは20〜100mm、特に好ましくは30〜80mmである。また、上記複合型繊維の外径(繊維径)は、好ましくは0.001〜1.0mm、より好ましくは0.005〜0.7mm、更に好ましくは0.007〜0.5mmである。本発明における特に好ましい態様は、繊維径が0.001〜1.0mmである複合型繊維を、複合型繊維の全体に対して、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上含むように用いるものである。
上記方法(A2)において、液状の結着剤組成物を付着する前の繊維混合物は、予め、交絡しておいてもよい。その後、液状の結着剤組成物の展着を行い、組成物を繊維の表面に付着させる。展着方法は、特に限定されず、浸漬、スプレー、パディング等により行うことができる。そして、繊維どうしを結合するために、組成物の種類に応じて、乾燥、加熱等を行う。これらの操作と同時又は直後に、必要に応じて、加圧してもよい。これにより、天然繊維及び/又は中空繊維の隣り合う繊維どうしが熱可塑性樹脂又は硬化樹脂を含む結合材により結合された板状基材を得ることができる。
上記方法(B1)において、繊維集積物を得る方法は、特に限定されず、例えば、ベルトコンベアの搬送面に、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を主とする第1繊維原料、天然繊維を主とする第2繊維原料、天然繊維及び中空繊維を主とし、天然繊維の含有量と、中空繊維の含有量との比が徐々に小さくなるようにこれらを混合した第3繊維原料〜第n−1繊維原料、並びに、中空繊維を主とする第n繊維原料(n≧4)を、順次、供給して、これらを堆積させる方法;天然繊維、中空繊維及び樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を、各々、独立して収容する貯蔵部から、エアブロー装置等を用いて、ベルトコンベアの搬送面に飛散させ、各繊維の比重の差を利用して、搬送面側から、比重の低い順に、即ち、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)及び天然繊維の混合繊維、天然繊維及び中空繊維の混合繊維、並びに、中空繊維の順に、堆積させる方法;天然繊維、中空繊維及び樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を含む繊維混合物を、エアブロー装置等を用いて、ベルトコンベアの搬送面に飛散させ、各繊維の比重の差を利用して、搬送面側から、比重の低い順に、即ち、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)及び天然繊維の混合繊維、天然繊維及び中空繊維の混合繊維、並びに、中空繊維の順に、堆積させる方法等が挙げられる。
上記の第2繊維原料及び第3繊維原料は、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を含んでもよい。
また、上記方法(B2)において、繊維集積物を得る方法は、特に限定されず、例えば、ベルトコンベアの搬送面に、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を主とする第1繊維原料、天然繊維を主とする第2繊維原料、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)の含有割合を一定とし、天然繊維の含有量と中空繊維の含有量との比が徐々に小さくなるようにこれらを混合した第3繊維原料〜第n−1繊維原料、並びに、中空繊維を主とする第n繊維原料(n≧4)を、順次、供給して堆積させる方法等が挙げられる。
上記の第2繊維原料及び第n繊維原料は、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を含んでもよい。
上記方法(B1)及び(B2)において、加熱プレスを行う前の繊維集積物は、予め、交絡しておくことが好ましく、厚さを10〜50mm程度とする。そして、交絡物を、必要に応じて、切削加工等に供することにより所定のサイズに調整した後、上記方法(A1)と同様にして、加熱プレス等に供することにより、板状の繊維基材を得ることができる。尚、特に、上記方法(B2)においては、接着性樹脂繊維層を上面側とした状態で加熱プレスすることにより、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)が溶融し、溶融樹脂が、繊維どうしの隙間を流下し、一体化する。
上記方法(B3)において、繊維集積物を得る方法は、特に限定されず、例えば、ベルトコンベアの搬送面に、天然繊維を主とする第1繊維原料、天然繊維の含有量と、中空繊維の含有量との比が徐々に小さくなるようにこれらを混合した第2繊維原料〜第n−1繊維原料、並びに、中空繊維を主とする第n繊維原料(n≧3)を、順次、供給して堆積させる方法;天然繊維及び中空繊維を、各々、独立して収容する貯蔵部から、エアブロー装置等を用いて、ベルトコンベアの搬送面に飛散させ、各繊維の比重の差を利用して、搬送面側から、比重の低い順に、即ち、天然繊維、天然繊維及び中空繊維の混合繊維、並びに、中空繊維の順に、堆積させる方法;天然繊維及び中空繊維を含む繊維混合物を、エアブロー装置等を用いて、ベルトコンベアの搬送面に飛散させ、各繊維の比重の差を利用して、搬送面側から、比重の低い順に、即ち、天然繊維、天然繊維及び中空繊維の混合繊維、並びに、中空繊維の順に、堆積させる方法等が挙げられる。
上記方法(B3)において、液状の結着剤組成物を付着する際の繊維集積物は、予め、交絡しておいてもよい。その後、上記方法(A2)と同様の操作により、天然繊維及び中空繊維が熱可塑性樹脂又は硬化樹脂を含む結合材により結合された板状基材を得ることができる。
次に、上記方法(C1)では、上記方法(B2)におけると同じ繊維集積物を2体用い、積層物を得る。加熱プレスする際の積層物は、交絡されたものであることが好ましく、2体の交絡物を用いてよいし、交絡していない繊維集積物を2体積層した後、交絡したものであってもよい。
積層物の厚さは、交絡の有無に関わらず、好ましくは10〜400mm、より好ましくは15〜300mmである。そして、積層物を、必要に応じて、切削加工等に供することにより所定のサイズに調整した後、上記方法(A1)と同様にして、加熱プレス等に供することにより、板状の繊維基材を得ることができる。
上記方法(C2)において、第1繊維集積物を得る方法は、特に限定されず、上記方法(B1)における、繊維集積物を得る方法を適用することができる。
また、第2繊維集積物を得る方法も、特に限定されず、上記方法(B3)における、繊維集積物を得る方法を適用することができる。
上記の第1繊維集積物及び第2繊維集積物からなる積層物は、第1繊維集積物及び第2繊維集積物を、中空繊維の含有割合の高い層どうしが面するように重ねて得られたものであるので、加熱プレスに供する積層物の構成は、下方側から、天然繊維を主とする層と、天然繊維及び中空繊維の混合繊維を主とする層と、中空繊維を主とする層と、天然繊維及び中空繊維の混合繊維を主とする層と、天然繊維を主とする層と、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を主とする層とからなる。
上記方法(C3)において、第1繊維集積物を得る方法は、特に限定されず、上記方法(B1)における、繊維集積物を得る方法を適用することができる。
また、第3繊維集積物を得る方法も、特に限定されず、例えば、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を主とする第1繊維原料、中空繊維を主とする第2繊維原料、天然繊維及び中空繊維を主とし、天然繊維の含有量と、中空繊維の含有量との比が徐々に大きくなるようにこれらを混合した第3繊維原料〜第n−1繊維原料、並びに、天然繊維を主とする第n繊維原料(n≧4)を、順次、供給して、これらを堆積させる方法等が挙げられる。
上記の第1繊維集積物及び第3繊維集積物からなる積層物は、第1繊維集積物及び第3繊維集積物を、中空繊維の含有割合の高い層どうしが近接するように重ねて得られたものであるので、加熱プレスに供する積層物の構成は、下方側から、天然繊維を主とする層と、天然繊維及び中空繊維の混合繊維を主とする層と、中空繊維を主とする層と、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を主とする層と、中空繊維を主とする層と、天然繊維及び中空繊維の混合繊維を主とする層と、天然繊維を主とする層と、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)を主とする層とからなる。
上記方法(C2)及び(C3)において、加熱プレスを行う前の積層物は、予め、交絡しておくことが好ましく、厚さを10〜50mm程度とする。そして、交絡物を、必要に応じて、切削加工等に供することにより所定のサイズに調整した後、上記方法(B2)と同様に、接着性樹脂繊維層を上面側とした状態で加熱プレスに供することにより、樹脂繊維(熱融着性樹脂繊維)が溶融し、溶融樹脂が、繊維どうしの隙間を流下し、一体化した板状の繊維基材を得ることができる。
上記方法(C4)では、上記方法(B3)におけると同じ繊維集積物を2体用い、積層物を得る。この積層物は、交絡されていてもよいし、交絡されていなくてもよい。その後、上記方法(A2)と同様の操作により、天然繊維及び中空繊維が熱可塑性樹脂又は硬化樹脂を含む結合材により結合された板状基材を得ることができる。
上記の各方法で得られた平面板からなる板状基材を、更に、冷間プレス加工等に供することにより、曲面板からなる繊維基材又は深絞り部を有する繊維基材とすることができる。
本発明の繊維基材は、同じ質量割合の結合材を含み、ほぼ同一のサイズ(縦、横及び厚さ)又は目付で見た場合に、天然繊維のみを、結合材により結合して得られた一体化物と比較して、15〜25%の軽量化を実現し、剛性を、15〜30%向上させることができる。
以下、実施例により、繊維基材の製造及びその性能について、具体的に説明する。
下記において使用した原料は以下の通りである。
(1)天然繊維
平均繊維長70mm及び平均繊維径約100μmのケナフ繊維を用いた。
(2)中空繊維
平均繊維長51mm及び外径約37μmであり、一端側から他端側へ内径約16μmの気孔が貫通した形状を有し、気孔率が20体積%であり、本体部が、融点が約264℃のポリエチレンテレフタレート樹脂を含む繊維を用いた。
(3)熱融着性樹脂繊維
繊維基材の製造時に、加熱溶融させて結合材として作用させる熱融着性樹脂繊維として、5質量%の三洋化成工業社製酸変性ポリプロピレン「ユーメックス1001」(商品名)と、95質量%の日本ポリプロ社製エチレン・プロピレンブロック共重合樹脂「ノバテックSA01」(商品名)とからなる混合物を溶融紡糸して得られた、繊度6.6dtex、平均繊維長51mm及び平均繊維径29μmの樹脂繊維を用いた。この熱融着性樹脂繊維の融点は、150℃〜180℃である。
実施例1
60質量%の天然繊維と、10質量%の中空繊維と、30質量%の熱融着性樹脂繊維とを混合して繊維混合物(A)を得た後、この繊維混合物(A)をカーディング装置に投入し、厚さ約200mmのウェブを作製した。そして、ニードルパンチングによる交絡を行い、厚さ約20mmのマットを得た。
次に、このマットを、金型温度が235℃に設定されたプレス機を用い、圧縮中のマットの内部温度が180℃以上となるまで圧力32kgf/cmで圧縮し、厚さ2.5mmの板状繊維基材を得た(図1参照)。この方法により、目付が0.674g/m、0.692g/m、0.712g/m、0.731g/m及び0.740g/mの5サンプルを得た。
得られた板状繊維基材の剛性を、曲げ弾性勾配により評価した。この曲げ弾性勾配は、JIS K 7171に準ずる最大曲げ荷重の測定において、大きさが50mm×150mmである試験片を、100mmの間隔で設定した2つの支点(曲率半径3.2mm)で支持し、支点間の中心に配置した作用点(曲率半径3.2mm)から速度50mm/分で荷重を負荷することにより得られた荷重・たわみ曲線の初期直線部分より10mm変形したときの荷重である。各サンプルの曲げ弾性勾配を図5に示す。
実施例2
厚さを3.0mmとした以外は、実施例1と同様にして板状繊維基材を得た。そして、目付が0.672g/m、0.689g/m、0.697g/m、0.712g/m及び0.735g/mの5サンプルについて、曲げ弾性勾配を得た。その結果を図5に示す。
比較例1
繊維混合物(A)に代えて、60質量%の天然繊維と、40質量%の熱融着性樹脂繊維とを混合して得られた繊維混合物(B)を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚さ2.5mmの板状繊維基材を得た。そして、目付が0.674g/m、0.692g/m、0.712g/m、0.731g/m及び0.740g/mの5サンプルについて、曲げ弾性勾配を得た。その結果を図5に示す。
図5から明らかなように、0.60〜0.80kg/mの範囲の目付を有する繊維基材において、実施例1及び2は、比較例1よりも曲げ弾性勾配が高く、剛性に優れることが分かる。
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述及び図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく、説明的及び例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料及び実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
本発明の繊維基材は、剛性、強度、防音、断熱等が求められる、車両、船舶、航空機、住宅、日用品等の分野において好適である。本発明の繊維基材は、植物繊維のみを用いてこれらが熱可塑性樹脂により結合されてなる基材に比べて、高剛性であるので、上記分野における内装材又は外装材に用いられる基材、構造材等として好適である。以下、本発明の繊維基材を用いた応用製品を例示する。これらの応用製品の中には、表層を備えるものがある。
車両分野では、自動車用で、ドア基材、パッケージトレー、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クオーターパネル、アームレストの芯材、ドアトリム、シートバックボード等のシート構造材、コンソールボックス、ダッシュボード、インストルメントパネル、デッキトリム、バンパー、スポイラー、カウリング等が挙げられる。
船舶分野及び航空機分野では、パッケージトレー、アームレストの芯材、シートバックボード等のシート構造材、コンソールボックス、ダッシュボード、インストルメントパネル等が挙げられる。
また、住宅分野では、家具用で、机、椅子、棚、箪笥等の表装材又は構造材、ドアの表装材又は構造材、壁又はその構造材等が挙げられる。
その他、包装体、収容体、保護部材、パーティション部材、靴の中芯又は中敷き等に適用することもできる。
10:繊維基材、11:天然繊維、13:中空繊維、15:結合材、16:樹脂層、17:天然繊維層、18:中空繊維層、21:中空繊維層(中心領域)、23:天然繊維層、24:天然繊維層(中間領域)、26:樹脂層(表面領域)

Claims (6)

  1. 天然繊維と、結合材となる樹脂と、合成樹脂を含む中空繊維とを含有する繊維基材において、
    前記天然繊維はケナフ繊維であり、
    前記結合材はポリオレフィン系樹脂を含み、
    前記ポリオレフィン系樹脂がプロピレン系重合体であり、且つ、非変性の樹脂と、変性樹脂とからなり、該非変性樹脂及び該変性樹脂の割合が、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、80〜99質量%及び1〜20質量%であることを特徴とする繊維基材。
  2. 前記ケナフ繊維の平均繊維長が50〜90mmである請求項1に記載の繊維基材。
  3. 前記繊維基材が板状であり、前記樹脂、前記天然繊維及び前記中空繊維の含有割合が厚さ方向に徐々に変化している請求項1又は2に記載の繊維基材。
  4. 前記繊維基材が板状であり、前記中空繊維を主とする中心領域と、該中心領域の両面側に位置する、前記天然繊維を主とする中間領域と、該中間領域の外側面に位置する、前記樹脂を主とした表面領域とを備え、前記中心領域から前記表面領域に向かって、前記中空繊維、前記天然繊維及び前記樹脂の含有割合が厚さ方向に徐々に変化している請求項1又は2に記載の繊維基材。
  5. 前記繊維基材を100質量%とした場合に、前記天然繊維の含有量が40〜60質量%であり、前記樹脂の含有量が25〜55質量%であり、前記中空繊維の含有量が5〜15質量%である請求項1乃至のいずれか一項に記載の繊維基材。
  6. 目付が0.5〜1.0kg/mである請求項1乃至5のいずれか一項に記載の繊維基材。
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