JP7067101B2 - 繊維含有樹脂成形体 - Google Patents

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Description

本明細書に開示の技術は、繊維含有樹脂成形体に関する。
従来、植物繊維及び熱可塑性樹脂(繊維)の混合物を加熱・加圧して得られる繊維含有樹脂成形体は、ドアトリム基材、インナーパネル、ピラーガーニッシュ、リヤパッケージ、天井基材、衝撃吸収材、吸音材等の車両用内装材;壁材、床材、床下の衝撃吸収材、断熱材等の建材:スピーカーボックス、吸音材等の機器材料等として、広く使用されている(例えば、特許文献1等参照)。
特開2001-179716号公報
上記特許文献1に開示のような繊維含有樹脂成形体に曲げ変形可能なヒンジ部を設けた場合に、繰り返しヒンジ部を曲げ変形させることにより、ヒンジ部に割れが生じる場合があった。
本明細書に開示の技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、繊維含有樹脂成形体におけるヒンジ部の耐久性を向上することを目的とする。
上記課題を解決するために、本願明細書に開示の繊維含有樹脂成形体は、曲げ変形可能なヒンジ部を備える繊維含有樹脂成形体であって、熱可塑性樹脂、植物繊維及び高強力繊維を含有する。
このような繊維含有樹脂成形体によれば、ヒンジ部を曲げ変形させた際に、ヒンジ部に作用する荷重の一部を高強力繊維と熱可塑性樹脂との間の摩擦エネルギーとして逃がすことができ、ヒンジ部の耐久性を向上することができる。
上記繊維含有樹脂成形体において、前記ヒンジ部の表面が、表皮材で覆われていてもよい。高強力繊維を含む繊維含有樹脂成形体によれば、ヒンジ部の耐久性が向上することにより、ヒンジ部の割れ等に起因して表皮材が裂け難く、繊維含有樹脂成形体が表皮材で覆われてなる部品の意匠性を向上することができる。
上記繊維含有樹脂成形体において、前記表皮材が、前記熱可塑性樹脂により前記ヒンジ部の前記表面に接着されていてもよい。このような構成では、例えば、繊維含有樹脂成形体と表皮材との間に熱可塑性樹脂とは別の接着層等の介在層を有する構造に比べて、繊維含有樹脂成形体からの力が直接的に表皮材に作用して、ヒンジ部の割れ等に起因して表皮材が裂け易い構造となる。一方、高強力繊維を含む繊維含有樹脂成形体によれば、ヒンジ部の耐久性が向上することにより、表皮材が熱可塑性樹脂によりヒンジ部の表面に接着される構成であっても、表皮材の裂けを抑制することが可能となる。この結果、繊維含有樹脂成形体と表皮材との間に介在する介在層を廃止することができ、繊維含有樹脂成形体の製品価値を向上することができる。
上記繊維含有樹脂成形体において、前記高強力繊維の引張弾性率が27GPa以上であってもよい。
上記繊維含有樹脂成形体において、前記高強力繊維が、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、炭素繊維及びガラス繊維から選ばれた少なくとも1種であってもよい。
上記繊維含有樹脂成形体において、前記植物繊維及び前記高強力繊維の含有割合が、前記繊維含有樹脂成形体の全体に対して、それぞれ、20~95質量%及び1~40質量%であってもよい。
上記繊維含有樹脂成形体において、前記熱可塑性樹脂がオレフィン系樹脂であってもよい。
本明細書に開示の技術によれば、繊維含有樹脂成形体におけるヒンジ部の耐久性を向上することができる。
一実施形態に係るラゲージボードを示す斜視図 ラゲージボードの平面図 (A)図2のIII-III線で切断した、ヒンジ部が曲げ変形していない状態を示す断面図、(B)ヒンジ部が曲げ変形され、第2ボード部が上側に折り曲げられた状態を示す断面図、(C)ヒンジ部が曲げ変形され、第2ボード部が下側に折り曲げられた状態を示す断面図 繊維マット形成工程を説明する説明図 成形工程を説明する説明図 比較例及び実施例における繊維基材の引張弾性率、引張破断伸度、シャルピー衝撃強度、及び耐衝撃性を示す表 比較例及び実施例における繊維基材のヒンジ部の耐久性を示す表 他の実施形態に係る成形工程を説明する説明図 従来例のラゲージボードの断面図
一実施形態を図1ないし図8によって説明する。本実施形態では、繊維含有樹脂成形体として、ラゲージボード110を構成する繊維基材10について例示する。ラゲージボード110は、例えば、車両の後部に設けられた荷室100に設置されるものである。
荷室100は、図1に示されるように、車両のホイールベースに相当する部分が室内側に向かってせり出すことにより、前部の幅が小さく、後部の幅が大きくなる形状を有している。荷室100の後上方には、荷室開口部100Aが形成され、荷室開口部100Aを閉じる図示しないバックドアが設けられている。荷室100は、後部の車幅方向における寸法が、荷室開口部100Aの幅寸法より大きい構成となっている。
ラゲージボード110は、図1に示されるように、荷室100のフロアに凹設された収納室100Bを閉止する形で配されている。具体的には、ラゲージボード110は、その周端部が収納室100Bの周縁に形成された載置面に載置される構成となっている。このような構成により、収納室100B内に収容された荷物(例えばスペアタイヤや工具など)をラゲージボード110によって遮蔽できることに加え、ラゲージボード110上へ荷物を載置することも可能となる。
ラゲージボード110は、図3に示されるように、繊維基材10と、繊維基材10の上面10Aを覆う第1表皮材111(表皮材の一例)と、繊維基材10の下面10Bを覆う第2表皮材112(表皮材の他の例)と、を備えて構成されている。第1表皮材111は、ラゲージボード110の意匠面を構成し、第2表皮材112はラゲージボード110の裏面(収納室100B側の面)を構成する。本実施形態では、第1表皮材111及び第2表皮材112が、例えば、汎用のポリエチレンテレフタラート繊維からなる不織布等で構成されるものを例示する。
繊維基材10は、図2に示されるように、曲げ変形可能なヒンジ部15を備えている。具体的には、繊維基材10は、平面視略方形状の第1ボード部16と、第1ボード部16から車幅方向両側にそれぞれ張り出す第2ボード部17,17と、第2ボード部17の張り出し基端部に形成され、第2ボード部17,17を第1ボード部16に対して回動させるためのヒンジ部15,15を有している。ラゲージボード110は、繊維基材10がヒンジ部15で折り曲げられることによって、全体の幅を小さくすることが可能な構成となっている。このような構成により、ラゲージボード110を荷室開口部100Aから荷室100のフロアに敷設し易く、また、ラゲージボード110を荷室100内で変位させて収納室100Bを開閉し易くなっている。なお、第1ボード部16の車両前方側にも、ヒンジ部15と同様の構成のヒンジ部19が設けられている。
ヒンジ部15は、図3に示されるように、インテグラルヒンジとされ、繊維基材10の一部分により構成されている。ヒンジ部15は、繊維基材10において、一般部(第1ボード部16及び第2ボード部17)よりも薄肉化された部分となっている。具体的には、ヒンジ部15は、繊維基材10の上面10Aと下面10Bにそれぞれ凹設された溝部15A,15Bによって形成されている。溝部15A,15Bは、第2ボード部17の張り出し基端部に沿って直線状に延びており、第2ボード部17に折り曲げ方向に向けて力を加えると、ヒンジ部15に応力が集中して、繊維基材10を折り曲げ易くする構造となっている。ヒンジ部15は、第2ボード部17を図3(A)に示す初期状態から、上面10A側に150°程度まで(図3(B);角度α≦150°)、下面10B側に85°程度まで(図3(C);角度β≦85°)折り曲げ可能に構成されている。
第1表皮材111及び第2表皮材112は、図3に示されるように、繊維基材10に含まれる熱可塑性樹脂により繊維基材10の上面10A及び下面10B(ヒンジ部15の上側及び下側の表面を含む)にそれぞれ接着されている。具体的には、第1表皮材111は、繊維基材10の成形時に、繊維基材10由来の熱可塑性樹脂の一部が第1表皮材111を構成する不織布に含浸され、そのアンカー効果により繊維基材10の上面10Aに貼着されている(図5参照)。本実施形態では、第2表皮材112も同様の態様により、繊維基材10の下面10Bに貼着されている。このような構成では、例えば、後述する他の実施形態(5)のように、繊維マット11からプレボード13を成形する過程で第2表皮材112が繊維基材10に貼着される構成に比べて、第2表皮材112の繊維基材10からの剥離強度は小さいものの、毛倒れ等の外観品質の低下が抑制されるとともに、第2表皮材112が繊維基材10の変形や割れに追従して裂け難い構造となっている。
続いて、繊維基材10の材質について説明する。繊維基材10は、熱可塑性樹脂、植物繊維及び高強力繊維を含有する物品であり、好ましくは、植物繊維どうし、高強力繊維どうし、又は、これらの繊維が熱可塑性樹脂に接合されてなり、熱可塑性樹脂を含む母相に、植物繊維及び高強力繊維が分散されてなる樹脂成形体である。
本発明に係る熱可塑性樹脂は、特に限定されず、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン・プロピレンランダム共重合体等のオレフィン系樹脂;ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂;ポリスチレン;アクリル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアセテート樹脂;ABS樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂は、植物繊維又は高強力繊維の表面に対する親和性を高めるために、変性(酸無水物変性、カルボン酸変性、エポキシ変性又はオキサゾリン変性)されていてもよい。
上記熱可塑性樹脂は、好ましくは、オレフィン系樹脂及びポリエステル樹脂であり、より好ましくは、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂である。
本発明に係る植物繊維は、特に限定されず、植物における、幹、茎、枝、葉、根等に由来する繊維が、そのまま含まれてよいし、これらが、熱処理、乾燥処理、粉砕処理、化学処理等により加工されていてもよい。
上記植物繊維は、好ましくは、ケナフ、ジュート麻、マニラ麻、サイザル麻、雁皮、三椏、椿、バナナ、パイナップル、ココヤシ、トウモロコシ、サトウキビ、バガス、ヤシ、パピルス、葦、エスパルト、サバイグラス、麦、稲、竹、針葉樹(杉、檜等)、広葉樹、綿花等に由来する線状繊維体である。このうち、木質茎を有し、成長が極めて早い一年草であり、優れた二酸化炭素吸収性を有し、大気中の二酸化炭素量の削減、森林資源の有効利用等に貢献するアオイ科植物であるケナフに由来する線状繊維体(ケナフ繊維)であることが特に好ましい。このケナフとしては、学名におけるhibiscuc cannabinus及びhibiscuc sabdariffa等、通称名における紅麻、キューバケナフ、洋麻、タイケナフ、メスタ、ビムリ、アンバリ麻及びボンベイ麻等が挙げられる。
上記植物繊維は、通常、中実体であり、その長さ(繊維長)及び外径(繊維径)は、特に限定されない。繊維長の上限は、好ましくは150mmである。尚、上記繊維長の平均値は、好ましくは10~100mm、より好ましくは30~80mmである。また、繊維径の上限は、好ましくは1500μmである。尚、上記繊維径の平均値は、好ましくは20~500μm、より好ましくは20~200μmである。
繊維基材10に含まれる植物繊維の形状は、特に限定されない。長さ方向の形状は、直線状、折れ線状、曲線状、螺旋状又はこれらの変形形状とすることができる。断面の外形は、円形、楕円形、多角形又はこれらの変形形状とすることができる。
繊維基材10に含まれる植物繊維の含有割合は、成形体の構造保持の観点から、繊維基材10の全体に対して、好ましくは20~95質量%、より好ましくは30~70質量%である。
また、上記植物繊維及び高強力繊維の合計を100質量%とした場合の上記植物繊維の含有割合は、好ましくは40~98質量%、より好ましくは70~90質量%である。
本発明に係る高強力繊維は、JIS L 1015又はJIS L 1013に準じて測定される引張弾性率が好ましくは27GPa以上、より好ましくは40GPa以上、更に好ましくは50GPa以上、特に好ましくは60GPa以上の繊維である。上記高強力繊維としては、アラミド繊維(パラ型又はメタ型)、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維(以下、「PBO繊維」という)、炭素繊維、ガラス繊維、炭化珪素繊維、PBT繊維、ポリアミドイミド繊維、ポリイミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリアゾメチン繊維等が挙げられる。本発明の繊維基材10に含まれる高強力繊維は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。上記高強力繊維は、好ましくは、アラミド繊維、PBO繊維、炭素繊維及びガラス繊維であり、特に好ましくはアラミド繊維及びPBO繊維である。これらの繊維の場合、上記熱可塑性樹脂は、耐衝撃性の観点から、好ましくは、植物繊維と親和性の低い樹脂、即ち、非変性の樹脂であり、特に好ましくは、非変性のオレフィン系樹脂である。例えば、熱可塑性樹脂が、非変性のオレフィン系樹脂を含む場合、繊維基材10が衝撃を受けると、衝撃エネルギーが摩擦エネルギーに変換される一方、残りの衝撃エネルギーを高強力繊維が受け止め、熱可塑性樹脂が十分に接着した高強力繊維を追従するため、繊維基材10は、剛性だけでなく耐衝撃性にも優れる。
上記高強力繊維は、通常、中実体であり、その長さ(繊維長)及び外径(繊維径)は、特に限定されない。繊維長の上限は、好ましくは150mmである。尚、上記繊維長の平均値は、好ましくは10~100mm、より好ましくは30~80mmである。また、繊維径の上限は、好ましくは1000μmである。尚、上記繊維径の平均値は、好ましくは3~500μm、より好ましくは3~100μmである。
繊維基材10に含まれる高強力繊維は、ファイバー状の単繊維、フィラメント状の繊維束、及び、トウ状の撚り繊維のいずれの形態であってもよい。また、上記高強力繊維の形状は、特に限定されない。長さ方向の形状は、直線状、折れ線状、曲線状、螺旋状又はこれらの変形形状とすることができる。断面の外形は、円形、楕円形、多角形又はこれらの変形形状とすることができる。
繊維基材10に含まれる高強力繊維の含有割合は、特に限定されないが、成形体の機械物性の観点から、繊維基材10の全体に対して、好ましくは1~40質量%、より好ましくは2~20質量%である。
繊維基材10は、熱可塑性樹脂、植物繊維及び高強力繊維以外に、更に、他の成分を含有することができる。他の成分としては、従来、公知の熱可塑性樹脂成形品に含まれる添加剤、バルーン等が挙げられる。
繊維基材10を製造する方法は、特に限定されないが、好ましい製造方法は、植物繊維及び高強力繊維と、溶融状態の熱可塑性樹脂との繊維混合物を、従来、公知の成形工程に供する方法である。
上記繊維混合物は、例えば、熱可塑性樹脂の成形体(ペレット、繊維状物等)と、植物繊維と、高強力繊維とを混合(混繊)して得られた、繊維集積体とすることができる。
熱可塑性樹脂の成形体は、好ましくは、熱可塑性樹脂繊維であり、その形状は、直線状、曲線状、螺旋状等のいずれでもよい。
上記熱可塑性樹脂繊維の繊維長は、好ましくは30mm以上、より好ましくは30~100mm、更に好ましくは30~70mmである。この繊維長が30mm以上であると、熱可塑性樹脂繊維どうしの十分な絡み合い、並びに、熱可塑性樹脂繊維と、植物繊維と、高強力繊維との十分な絡み合いを得やすく、その後の成形工程により、植物繊維及び高強力繊維が均一に分散した繊維含有樹脂成形体を効率よく製造することができる。尚、上記熱可塑性樹脂繊維の繊維径は、特に限定されないが、好ましくは5~100μm、より好ましくは20~100μm、更に好ましくは30~100μmである。
上記繊維集積体の形成に用いる植物繊維及び高強力繊維は、既述のとおりである。
上記繊維集積体を形成する場合の熱可塑性樹脂繊維、植物繊維及び高強力繊維の使用量の割合は、これらの合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは4~79質量%、20~95質量%及び1~40質量%、より好ましくは10~68質量%、30~70質量%及び2~20質量%である。
上記繊維集積体を形成する場合、エアレイ法、カード法等を適用することができ、その後、必要に応じて、交絡等を行ってもよい。
熱可塑性樹脂繊維を含む繊維集積体の場合、熱可塑性樹脂繊維は溶融する温度であって、植物繊維及び高強力繊維が溶融しない温度に加熱し、金型等を用いて所定形状の繊維基材10を製造することができる。加熱温度は、熱可塑性樹脂繊維を構成する樹脂の種類により、適宜、選択される。
繊維基材10は、剛性及び耐衝撃性に優れ、耐衝撃性については、シャルピー衝撃強さを指標とした場合、高強力繊維を含有しない成形体に対して、好ましくは30%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは100%以上の性能を発揮する。このように、本発明の繊維含有樹脂成形体は、割れ難い性質を有するため、板体だけでなく、凸部を有するもの等、あらゆる形状の繊維含有樹脂成形体を、広い用途に適用することができる。
続いて、繊維基材10の製造方法の一例について説明する。繊維基材10の製造方法は、植物繊維21と、高強力繊維23と、上記熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂繊維31とを混繊して、繊維マット11を得る繊維マット形成工程と、繊維マット11を熱可塑性樹脂繊維31が溶融する温度以上であって高強力繊維23が繊維状態を維持可能な温度で加熱し、繊維基材10を成形する成形工程と、を備える。植物繊維21、高強力繊維23、及び熱可塑性樹脂繊維31の各々は、公知またはそれに準ずる方法で製造したもの、あるいは、市販の繊維を適宜使用することができる。
上記「混繊」とは、植物繊維21、高強力繊維23、及び熱可塑性樹脂繊維31の繊維どうしを混合して繊維混合物(例えば、マット状物など)を得ることを意味する。この際の混繊方法は特に限定されず種々の方法を用いることができ、通常、乾式法又は湿式法が用いられるが、このうち乾式法が好ましい。本実施形態では、吸湿性を有する植物繊維を用いるために、湿式法(抄紙法など)を用いると高度な乾燥工程を要することになるため、より簡略に製造できる乾式法が好ましい。上記乾式法としては、エアレイ法及びカード法などが挙げられ、以下、カード法による繊維マット形成工程について説明する。
繊維マット形成工程では、図4に示されるように、植物繊維21、高強力繊維23、及び熱可塑性樹脂繊維31を所定の配合比率で混合し、繊維供給部41に投入する。繊維供給部41に投入された各繊維21,23,31は、繊維供給部41からカード機43へ連続的に供給されてウェブにされる。その後、このウェブが交絡手段(ニードルパンチ装置)45で交絡され、次いで、カッター47により裁断されて、繊維マット11が得られる。本明細書に開示の技術では、繊維基材10のヒンジ部15の耐久性及び耐衝撃性を高めるための構造として、繊維状の高強力繊維23を含む構造を採用することで、従来の繊維基材の製造に用いられるカード機43等を利用して、繊維マット11を形成することができる。
成形工程では、繊維マット11内の熱可塑性樹脂繊維31を溶融して、植物繊維21と高強力繊維23との混合繊維同士を熱可塑性樹脂30により結着する。熱可塑性樹脂繊維31を構成している熱可塑性樹脂30が、ポリプロピレンからなる場合には、加熱温度は、170~240℃とすることが好ましく、200~210℃とすることがより好ましい。
成形工程は、上記加熱と同時に(例えば、熱間プレス成形法)又は加熱の後に(例えば、冷間プレス成形法)圧縮を行い、繊維基材10をプレス成形する。圧縮を行うことで圧縮を行わない場合に比べて、より強固に混合繊維同士を熱可塑性樹脂30により結着することができる。この圧縮を行う際の加圧圧力は特に限定されないが1~10MPaとすることが好ましく、1~5MPaとすることがより好ましい。また、この圧縮を行う場合には、その際に同時に賦形を行うことができる。例えば、圧縮に成形装置(ダブルベルトプレス機や後述する金型54,55等)を用いることで、板状やその他の各種形状に賦形することができる。上記板状に賦形を行った場合には、そのまま用いることもできるが、板状のプレボード13に更に本成形を施して、最終形態を得ることもできる。つまり、プレボード13を成形する予備成形工程と、最終形状へ賦形する本成形工程と、を備えることができる。以下、冷間プレス成形法による成形工程について説明する。
成形工程では、繊維マット11を、例えばダブルベルトプレス機により加熱圧縮し、プレボード13を得る。そして、内部の熱可塑性樹脂30が溶融した状態のプレボード13を成形装置53の金型54と金型55との間に配置する。この際、プレボード13の一方の板面と金型54との間に第1表皮材111を配置し、プレボード13の他方の板面と金型55との間に第2表皮材112を配置する(図5参照)。その後、金型54と金型55を型閉じする。金型54と金型55には、ヒンジ部15の溝部15A,15Bを成形する図示しない突部が設けられ、繊維基材10におけるにヒンジ部15と対応する部位においてキャビティが幅狭化されている。繊維マット11が金型54と金型55によってプレスされ、内部の熱可塑性樹脂30が冷却され、固化すると、ヒンジ部15を備えた繊維基材10が得られる。さらに、プレス圧により繊維基材10から染み出した熱可塑性樹脂30によって、繊維基材10の上面10Aに第1表皮材111が接着されるとともに、下面10Bに第2表皮材112が接着される。このようなプレス圧は、一般部(第1ボード部16及び第2ボード部17)よりヒンジ部15において大きくなる。このため、ヒンジ部15における表皮材111,112の接着強度が、一般部における表皮材111,112の接着強度より高くなる傾向にあり、ヒンジ部15への応力集中を招来し、表皮材111,112が裂け易くなる要因の一つとなっている。
続いて、本実施形態の作用及び効果について説明する。本実施形態の繊維基材10によれば、ヒンジ部15を曲げ変形させた際に、ヒンジ部15に作用する荷重の一部を高強力繊維と熱可塑性樹脂との間の摩擦エネルギーとして逃がすことができ、ヒンジ部15の耐久性を向上することができる。
さらに、本実施形態によれば、植物繊維及び高強力繊維を含むことにより高い剛性を有するだけでなく、植物繊維のみを含む場合に比べて、耐衝撃性に優れた繊維基材10を得ることができる。
また、本実施形態では、ヒンジ部15の表面が、第1表皮材111及び第2表皮材112で覆われている。高強力繊維を含む繊維基材10によれば、ヒンジ部15の耐久性が向上することにより、ヒンジ部15の割れ等に起因して第1表皮材111や第2表皮材112が裂け難く、ラゲージボード110の意匠性を向上することができる。
また、本実施形態では、第1表皮材111及び第2表皮材112が、熱可塑性樹脂30によりヒンジ部15の表面に接着されている。このため、例えば、繊維基材10と第1表皮材111との間に熱可塑性樹脂30とは別の接着層等の介在層を有する構造に比べて、繊維基材10からの力が直接的に第1表皮材111に作用して、ヒンジ部15の割れ等に起因して第1表皮材111が裂け易い構造となる。なお、介在層としては、後述する比較例1-2のような、熱可塑性樹脂からなるフィルム2を例示することができる(図9参照)。このようなフィルム2は、ヒンジ部15に割れ等が生じる場合であっても、伸び変形しつつ繊維基材1を覆い、繊維基材1の破断面等が表皮材111,112に当たり難くする作用を奏する。一方、高強力繊維を含む繊維基材10によれば、ヒンジ部15の耐久性が向上することにより、第1表皮材111や第2表皮材112が熱可塑性樹脂30によりヒンジ部15の表面に接着される構成であっても、第1表皮材111や第2表皮材112の裂けを抑制することが可能となる。この結果、繊維基材10と表皮材111,112との間に介在する介在層(フィルム等)を廃止することができ、繊維基材10の製品価値を向上することができる。
また、本実施形態の繊維基材10の製造方法によれば、例えば、高強力繊維を含まない従来の繊維複合材の製造方法において、繊維マット形成工程で高強力繊維を追加して植物繊維及び熱可塑性樹脂繊維とともに混繊し、成形工程の加熱温度を適宜設定することにより繊維基材10を製造することができる。このため、従来製法と同等の工数及び設備で、従来製法で製造した製品よりヒンジ部15の耐久性に優れた繊維基材10を得ることができる。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
[1]原料
1-1.植物繊維
平均径0.05mm及び繊維長70mmのケナフ繊維を用いた。
1-2.高強力繊維
(1)PBO繊維
繊度1.7dtex及び繊維長50mmの東洋紡社製PBO繊維「ザイロン」(商品名)を用いた。JIS L 1013に準ずる引張弾性率は、180GPaである。
(2)アラミド繊維X
繊度1.7dtex及び繊維長50mmの帝人社製パラ型アラミド繊維「テクノーラ」(商品名)を用いた。JIS L 1013に準ずる引張弾性率は、33GPaである。
(3)アラミド繊維Y
繊度1.7dtex及び繊維長50mmの帝人社製パラ型アラミド繊維「トアロン」(商品名)を用いた。JIS L 1013に準ずる引張弾性率は、33GPaである。
1-3.熱可塑性樹脂繊維
(1)ポリプロピレン繊維
日本ポリプロ社製ポリプロピレン樹脂「ノバテックSA01」(商品名)を溶融紡糸して得られた、繊度6.6dtex及び繊維長51mmの樹脂繊維を用いた。
(2)酸変性ポリプロピレン繊維
上記ポリプロピレン樹脂95質量%と、三菱化学社製無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂「モディックP908」(商品名)5質量%とをドライブレンドした後、溶融紡糸して得られた、繊度6.6dtex及び繊維長51mmの樹脂繊維を用いた。
[2]繊維基材の製造及び評価
(1)実施例1
45質量部のケナフ繊維と、5質量部のPBO繊維と、50質量部のポリプロピレン繊維とを、カード機により積層し、繊維集積体を作製した。
次いで、この繊維集積体を熱板プレスにより加熱圧縮(235℃、60秒間)し、厚さが約3mmのマットを得た。その後、このマットの冷却プレスを60秒間行って、その温度を25℃とし、サイズが50mm×150mm×2.5mm、目付が1.5kg/mの板状樹脂成形体(ボード)を得た。
得られたボードについて、シャルピー衝撃強さ(ISO 179-1に準拠)及び曲げ弾性率(ISO 14125に準拠)を測定したところ、それぞれ、28.7kJ/m及び2921MPaであった(図6の表参照)。尚、曲げ弾性率の測定に際しては、試験片(長さ150mm、幅50mm及び厚さ4mm)を用い、試験片を支点間距離(L)100mmとした2つの支点(曲率半径5.0mm)で支持しながら、支点間中心に配置した作用点(曲率半径3.2mm)から速度50mm/分にて荷重の負荷を行って測定した。
(2)実施例2
原料として、48質量部のケナフ繊維、2質量部のPBO繊維及び50質量部のポリプロピレン繊維を用いた以外は、実施例1と同様にして、板状樹脂成形体(ボード)を得た。そして、得られたボードについて、シャルピー衝撃強さ及び曲げ弾性率を測定したところ、それぞれ、27.4kJ/m及び2780MPaであった(図6の表参照)。
(3)実施例3
PBO繊維に代えて、アラミド繊維Xを用いた以外は、実施例1と同様にして、板状樹脂成形体(ボード)を得た。そして、得られたボードについて、シャルピー衝撃強さ及び曲げ弾性率を測定したところ、それぞれ、30.5kJ/m及び2575MPaであった(図6の表参照)。
(4)実施例4
50質量部のポリプロピレン繊維に代えて、47.5質量部のポリプロピレン繊維及び2.5質量部の酸変性ポリプロピレン繊維を用い、PBO繊維に代えて、アラミド繊維Yを用いた以外は、実施例1と同様にして、板状樹脂成形体(ボード)を得た。そして、得られたボードについて、シャルピー衝撃強さ及び曲げ弾性率を測定したところ、それぞれ、17.6kJ/m及び2662MPaであった(図6の表参照)。
(5)実施例5
PBO繊維に代えて、アラミド繊維Yを用いた以外は、実施例1と同様にして、板状樹脂成形体(ボード)を得た。そして、得られたボードについて、シャルピー衝撃強さ及び曲げ弾性率を測定したところ、それぞれ、26.6kJ/m及び2589MPaであった(図6の表参照)。
(6)比較例1
原料として、50質量部のケナフ繊維及び50質量部のポリプロピレン繊維を用いた以外は、実施例1と同様にして、板状樹脂成形体(ボード)を得た。そして、得られたボードについて、シャルピー衝撃強さ及び曲げ弾性率を測定したところ、それぞれ、12.5kJ/m及び2290MPaであった(図6の表参照)。
[3]ヒンジ部を備えた繊維基材の製造及び評価
(1)実施例1-1,1-2
実施例1-1では、上記実施例1と同様の材料を用いて、板状樹脂成形体から、ヒンジ部を備えるとともに表皮材が接着された繊維基材を得た。具体的には、実施例1の繊維基材を再び熱板プレスにて加熱し、表面付近の熱可塑性樹脂を溶融させ、その後、成形装置にセットした表皮材と合わせて25℃になるまで40秒冷却し、ヒンジ部を形成するとともに、表皮材を接着した。表皮材としては、主にポリエチレンテレフタラート繊維からなる不織布を用いた。実施例1-2は、表皮材が接着されない他は、上記実施例1-1と同様にして繊維基材を得た。
(2)実施例3-1
実施例3-1では、上記実施例3と同様の材料を用いて、板状樹脂成形体から、ヒンジ部を備えるとともに表皮材が接着された繊維基材を得た。なお、実施例3-1では、実施例3よりアラミド繊維Xの含有量を10質量%増加させ、ケナフ繊維の含有量を10質量%低減させた繊維基材を用いた。ヒンジ部の形成方法及び表皮材の材質及びその接着方法は、実施例1-1と同様とした。
(3)実施例4-1
実施例4-1では、上記実施例4と同様の材料を用いて、板状樹脂成形体から、ヒンジ部を備えるとともに表皮材が接着された繊維基材を得た。なお、実施例4-1では、実施例4よりアラミド繊維Xの含有量を10質量%増加させ、ケナフ繊維の含有量を10質量%低減させた繊維基材を用いた。ヒンジ部の形成方法及び表皮材の材質及びその接着方法は、実施例1-1と同様とした。
(4)比較例1-1,1-2
比較例1-1では、上記比較例1と同様の材料を用いて、板状樹脂成形体から、ヒンジ部を備えるとともに表皮材が接着された繊維基材を得た。ヒンジ部の形成方法及び表皮材の材質及びその接着方法は、実施例1-1と同様とした。比較例1-2は、表皮材と繊維基材との間にフィルムが介在する他は、上記比較例1-1と同様にして繊維基材を得た。フィルムとしては、ポリエチレンからなるものを用いた。
[4]ヒンジ耐久試験
上記[3]で得られた繊維基材について、次のようなヒンジ耐久試験を行った。
ヒンジ耐久試験:ヒンジ部が曲げ変形されていない状態を初期状態として、ヒンジ部を曲げ変形させて、繊維含有樹脂成形体の一部(第2ボード部17に相当する部分)を表裏に折り曲げた後に初期状態に復帰する動作を1セットとして、この動作を1000回繰り返した。そして、動作100回、150回、200回、1000回時点での、ヒンジ部の外観異常について調べた。繊維含有樹脂成形体の一部を表裏に折り曲げる動作は、ヒンジ部を軸として、当該繊維基材の一部を表皮材が接着された面側に150°回動させ、その後、ヒンジ部が接着された面とは反対側に85°回動させるようにした。
[5]ヒンジ耐久性の評価
ヒンジ耐久試験の結果を図7の表に示す。図7の表では、以下のような観点で、ヒンジ耐久性を評価をした。
〇:著しい外観異常なし
△:わずかな外観異常あり
×:外観異常あり
比較例1-1は、150回の曲げ動作で表皮材の裂けが確認され、1000回の曲げ動作で繊維基材の破断が確認された。比較例1-2は、200回の曲げ動作で表皮材の裂けが確認され、1000回の曲げ動作で繊維基材の破断が確認された。実施例1-2は、1000回の曲げ動作で、繊維基材が破断する等の著しい外観異常は視られなかったが、繊維が一部表面に露出する、わずかな外観不良が視られた。実施例4-1は、1000回の曲げ動作で繊維基材が破断する著しい外観不良が確認された。実施例1-1及び実施例3-1は、ヒンジ耐久試験1000回まで外観異常が確認されなかった。
[6]考察
比較例1-1のような、従来の繊維基材では、曲げ弾性率が低いことにより、150回の曲げ動作により、表皮材の裂けを生じたものと考えられる。また、比較例1-1のように、ヒンジ部を成形型により圧縮変形させつつ、同時に表皮材を繊維基材に対して直接的に接着してなる構造では、ヒンジ部における繊維基材と表皮材との接着性が周囲に比して高いため、当該部位に応力が集中して、表皮材が裂け易くなったものと考えられる。比較例1-2では、繊維基材と表皮材との間にフィルムを介在させることにより、150回の曲げ動作では、表皮材の裂けが確認されなくなったが、200回の曲げ動作では表皮材の裂けを生じており、ヒンジ耐久性という観点において十分ではなかった。一方、各実施例のように、高強力繊維(PBO繊維又はアラミド繊維)を含む繊維基材では、200回の曲げ動作で著しい外観異常を生じることがなく、比較例1-1及び比較例1-2よりヒンジ耐久性が向上することが確認できた。また、実施例1-2では、繊維基材の表面にわずかな毛羽立ちのような外観不良を生じたが、実施例1-1では、表面が表皮材で覆われているためのそのような外観不良が視認されることがなく、より一層外観不良を抑制する効果が大きいことがわかった。
さらに、実施例3-1と実施例4-1は、同じ材質及び同じ量の高強力繊維(アラミド繊維)を含むものの、酸変性ポリプロピレンを含む実施例4-1の方が、実質的に非酸変性ポリプロピレンのみを含む実施例3-1より、ヒンジ耐久性が劣ることがわかった。これは、ケナフ繊維と接着性の高い酸変性熱可塑性樹脂を用いたことで、繊維基材は硬いが脆い性状となり、ヒンジ部を折り曲げる際の荷重により破断し易くなったためと考えられる。一方、実施例3-1では、高強度繊維をケナフ繊維の代替として混合することにより、繊維基材の弾性率を維持しつつ、ケナフ繊維との接着性の低い非酸変性熱可塑性樹脂を用いることで、ヒンジ部を折り曲げる際の荷重を、ケナフ繊維と非酸変性熱可塑性樹脂との間の摩擦エネルギーとして逃がし、繊維基材の破断を抑制可能となったものと推察される。この結果、熱可塑性樹脂として実質的に非酸変性熱可塑性樹脂のみからなる実施例3-1及び別の高強力繊維(PBO繊維)を含む実施例1-1では、1000回の曲げ動作でも外観異常が確認されなかったものと考えられる。
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定する者を解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的及び例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において説明の範囲又は精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能であり、ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここに掲げる開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態以外にも、植物性繊維、高強力繊維、熱可塑性樹脂の含有量は適宜変更可能である。また、繊維基材は、上記以外の他の成分を更に含んで構成されていても構わない。
(2)上記実施形態以外にも、繊維基材は、種々の材質の材料を用いて、様々な製造方法により製造することができる。
(3)上記実施形態では、繊維基材及びその製造方法として、乗物用内装材及びその製造方法を例示したが、繊維基材は、自動車関連分野以外にも建築関連分野などにおいて広く利用することができる。特に自動車、鉄道車両、船舶及び飛行機等の内装材、外装材及び構造材等に好適であり、なかでも自動車用品としては、自動車用内装材、自動車用インストルメントパネル、自動車用外装材等に好適である。具体的には、シートバックボード、ドア基材、パッケージトレー、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クオーターパネル、アームレストの芯材、自動車用ドアトリム、シート構造材、シートバックボード、天井材、コンソールボックス、自動車用ダッシュボード、各種インストルメントパネル、デッキトリム、バンパー、スポイラー及びカウリング等が挙げられる。更に、例えば、建築物及び家具等の内装材、外装材及び構造材にも好適である。具体的には、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥など)の表装材、構造材等が挙げられる。その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材及びパーティション部材等としても好適である。
(4)上記実施形態では、表皮材が、繊維基材由来の熱可塑性樹脂によりヒンジ部の表面に接着されている構成を例示したが、これに限られない。例えば、表皮材はフィルム等の介在層を介してヒンジ部に接着されていてもよい。また、ヒンジ部が表皮材で覆われていない構成であってもよく、繊維基材の上面又は下面のうち一方のみが表皮材で覆われていてもよい。さらに、種々の材質、性状の表皮材を適宜用いることが可能である。
(5)上記実施形態では、表裏の両側の表皮材が、ヒンジ部を形成する過程で貼着される構成を例示したが、これに限られない。例えば、裏面側の表皮材を、繊維マットからプレボードを成形する過程で貼着し、表面側の表皮材を、ヒンジ部を形成する過程で貼着してもよい(図8参照)。このような構成では、裏面側の表皮材がヒンジ部を形成する過程で貼着される場合に比して、強固に繊維基材に対して接着されるため、その剥離強度を大きくすることができる。なお、この場合には、ヒンジ部の割れ等に伴って表皮材が裂け易い構造となるが、本実施形態では、ヒンジ部の耐久性が増しているから、このような製造方法にも好適である。
(6)上記実施形態では、ヒンジ部として、第2ボード部の基端部に設けられ、ラゲージボードの搭載性や荷室内で変位させ易くするためのものについて例示したが、これに限られない。ヒンジ部は、開口部を開閉するための蓋部(例えばマップポケットの蓋)や、他部材との組み付けに供される部位等に設けられるものであってもよい。また、ヒンジ部が設けられる部位に応じて、ヒンジ部の曲げ変形量も適宜変更可能である。さらに、ヒンジ部の構成も繊維基材が薄肉化された構成に限られず、ミシン目状のスリットを有する構成や、数回の予備的な曲げ加工を施すことで、他の部分より曲げ変形し易くされた構成等であってもよい。
10…繊維基材(繊維含有樹脂成形体)、10A…上面(ヒンジ部15の表面)、10B…下面(ヒンジ部15の表面)、15…ヒンジ部、111…第1表皮材(表皮材)、112…第2表皮材(表皮材)

Claims (3)

  1. 曲げ変形可能なヒンジ部を備える繊維含有樹脂成形体であって、
    熱可塑性樹脂、植物繊維及び高強力繊維を含有し、
    前記熱可塑性樹脂が非酸変性オレフィン樹脂であり、
    前記高強力繊維が、引張弾性率が27GPa以上のポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維であり、
    前記熱可塑性樹脂、前記植物繊維及び前記高強力繊維の含有割合が、それぞれ、50質量%、45~48質量%及び2~5質量%の範囲内であり、これらの合計が100質量%である繊維含有樹脂成形体。
  2. 前記ヒンジ部の表面が、表皮材で覆われている請求項1に記載の繊維含有樹脂成形体。
  3. 前記表皮材が、前記熱可塑性樹脂により前記ヒンジ部の前記表面に接着されている請求項2に記載の繊維含有樹脂成形体。
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