JP2021187105A - 成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基材に張着された表皮材が熱収縮することに起因する基材の変形を防ぐことができる成形体の製造方法を提供する。【解決手段】表皮材となる前駆表皮材を加熱したのち冷却して張着用表皮材を得る前処理工程と、前記張着用表皮材と、加熱した、前記基材となる前駆基材と、を積層して、積層方向へプレスするプレス工程と、を備える。前記前駆基材は、強化繊維と、前記強化繊維同士を結着する熱可塑性樹脂と、を含んだ繊維ボードであることが好ましい。前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン樹脂を含むことが好ましい。前記前駆基材を加熱する温度が、110℃以上190℃以下であることが好ましい。前記前駆表皮材が、繊維状のポリエステル樹脂を含むことが好ましい。前記前駆表皮材を加熱する温度が、130℃以上200℃以下であることが好ましい。【選択図】図1
Description
本発明は、成形体の製造方法に関する。更に詳しくは、基材に張着された表皮材が熱収縮することに起因する基材の変形を防ぐことができる成形体の製造方法に関する。
従来、基材の表面に表皮材を張着して、成形体の表面を意匠性に優れたものとする製造方法が知られている。
例えば、植物性繊維と熱可塑性樹脂とを含む基材の表面に、熱可塑性樹脂繊維ウェブを、前記板状基材を被覆するように積層して、前記板状基材と前記熱可塑性樹脂繊維ウェブとを一体的に加熱プレスする工程を含む成形体の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に記載の成形体の製造方法においては、基材の一面を被覆するように配した熱可塑性樹脂繊維ウェブが、加熱プレス工程において溶融し該板状基材の表面に行きわたるため、成形体の完成時に、該ボードにおける表面が熱可塑性樹脂の皮膜によってコーティングされることとなり、意匠性に優れた成形体を製造することが可能となる。
例えば、植物性繊維と熱可塑性樹脂とを含む基材の表面に、熱可塑性樹脂繊維ウェブを、前記板状基材を被覆するように積層して、前記板状基材と前記熱可塑性樹脂繊維ウェブとを一体的に加熱プレスする工程を含む成形体の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に記載の成形体の製造方法においては、基材の一面を被覆するように配した熱可塑性樹脂繊維ウェブが、加熱プレス工程において溶融し該板状基材の表面に行きわたるため、成形体の完成時に、該ボードにおける表面が熱可塑性樹脂の皮膜によってコーティングされることとなり、意匠性に優れた成形体を製造することが可能となる。
一方、冷間プレスにより基材の表面に表皮材を張着した成形体を製造するには、まず基材となる前駆基材を加熱して軟化させ、その前駆基材上に表皮材となる前駆表皮材を積層する。そして、積層方向へプレスすることにより基材とその表面に張着された表皮材とを有する成形体を製造する。
しかしながら、加熱した前駆基材に前駆表皮材を積層するため、前駆表皮材が温められてしまう。その状態でプレスすることにより、プレス工程中又はプレス工程後において、表皮材が熱収縮を起こすことになる。そうすると、表皮材に張着された基材が表皮材の収縮に伴って変形するという問題が生ずる。すなわち、図4(a)に示すように、加熱した前駆基材41に、前駆表皮材51を積層すると、前駆表皮材51は、前駆基材41によって温められ、矢印方向に熱収縮を引き起こす。そうすると、積層方向へプレスした場合に、図4(b)に示すように、表皮材50の矢印方向への収縮により、基材40が表皮材50方向へ湾曲する変形を生じた成形体3が製造されてしまうのである。
しかしながら、加熱した前駆基材に前駆表皮材を積層するため、前駆表皮材が温められてしまう。その状態でプレスすることにより、プレス工程中又はプレス工程後において、表皮材が熱収縮を起こすことになる。そうすると、表皮材に張着された基材が表皮材の収縮に伴って変形するという問題が生ずる。すなわち、図4(a)に示すように、加熱した前駆基材41に、前駆表皮材51を積層すると、前駆表皮材51は、前駆基材41によって温められ、矢印方向に熱収縮を引き起こす。そうすると、積層方向へプレスした場合に、図4(b)に示すように、表皮材50の矢印方向への収縮により、基材40が表皮材50方向へ湾曲する変形を生じた成形体3が製造されてしまうのである。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、基材に張着された表皮材が熱収縮することに起因する基材の変形を防ぐことができる成形体の製造方法を提供することを目的とする。
上記問題を解決するために、本発明は以下に示される。
本発明の成形体の製造方法は、基材と、前記基材の表面に張着された表皮材と、を有する成形体の製造方法であって、
前記表皮材となる前駆表皮材を加熱したのち冷却して張着用表皮材を得る前処理工程と、
前記張着用表皮材と、加熱した、前記基材となる前駆基材と、を積層して、積層方向へプレスするプレス工程と、
を備えることを要旨とする。
本発明の成形体の製造方法では、前記前駆基材は、強化繊維と、前記強化繊維同士を結着する熱可塑性樹脂と、を含んだ繊維ボードにすることができる。
本発明の成形体の製造方法では、前記熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン樹脂を含むことができる。
本発明の成形体の製造方法では、前記前駆基材を加熱する温度が、110℃以上190℃以下であるものとすることができる。
本発明の成形体の製造方法では、前記前駆表皮材が、繊維状のポリエステル樹脂を含むものとすることができる。
本発明の成形体の製造方法では、前記前駆表皮材を加熱する温度が、130℃以上200℃以下であるものとすることができる。
本発明の成形体の製造方法は、基材と、前記基材の表面に張着された表皮材と、を有する成形体の製造方法であって、
前記表皮材となる前駆表皮材を加熱したのち冷却して張着用表皮材を得る前処理工程と、
前記張着用表皮材と、加熱した、前記基材となる前駆基材と、を積層して、積層方向へプレスするプレス工程と、
を備えることを要旨とする。
本発明の成形体の製造方法では、前記前駆基材は、強化繊維と、前記強化繊維同士を結着する熱可塑性樹脂と、を含んだ繊維ボードにすることができる。
本発明の成形体の製造方法では、前記熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン樹脂を含むことができる。
本発明の成形体の製造方法では、前記前駆基材を加熱する温度が、110℃以上190℃以下であるものとすることができる。
本発明の成形体の製造方法では、前記前駆表皮材が、繊維状のポリエステル樹脂を含むものとすることができる。
本発明の成形体の製造方法では、前記前駆表皮材を加熱する温度が、130℃以上200℃以下であるものとすることができる。
本発明の成形体の製造方法によれば、表皮材となる前駆表皮材を加熱したのち冷却して張着用表皮材を得る前処理工程と、前記張着用表皮材と、加熱した、前記基材となる前駆基材と、を積層して、積層方向へプレスするプレス工程と、を備えるため、基材に張着された表皮材が熱収縮することに起因する基材の変形を防ぐことができる。
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
本発明の成形体の製造方法において、前駆表皮材を加熱設備において加熱したのち冷却して張着用表皮材を得る前処理工程を説明する模式的な説明図である。
本発明の成形体の製造方法において、加熱設備において加熱した前駆基材を得る様子を示す模式的な説明図である。
本発明の成形体の製造方法において、張着用表皮材と、加熱した、基材となる前駆基材と、を積層して、プレスするプレス工程を示す模式的な説明図である。
従来例に係り、表皮材の熱収縮により、基材が変形する様子を示す模式的な説明図である。
以下、本発明を詳しく説明する。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
本発明の製造方法は、基材(20)と、基材(20)の表面に張着された表皮材(10)と、を有する成形体(1)の製造方法であって、
表皮材(10)となる前駆表皮材(11)を加熱したのち冷却して張着用表皮材(12)を得る前処理工程と、
張着用表皮材(12)と、加熱した、基材(20)となる前駆基材(21)と、を積層して、積層方向へプレスするプレス工程と、を備えることを特徴とする。
表皮材(10)となる前駆表皮材(11)を加熱したのち冷却して張着用表皮材(12)を得る前処理工程と、
張着用表皮材(12)と、加熱した、基材(20)となる前駆基材(21)と、を積層して、積層方向へプレスするプレス工程と、を備えることを特徴とする。
〔1〕前処理工程
前記「前処理工程」は、表皮材10となる前駆表皮材11を加熱したのち冷却して張着用表皮材12を得る工程である(図1(a)〜(c)参照)。即ち、この前処理工程は、前駆表皮材11に対してアニール処理を行う工程といえる。
前記「前処理工程」は、表皮材10となる前駆表皮材11を加熱したのち冷却して張着用表皮材12を得る工程である(図1(a)〜(c)参照)。即ち、この前処理工程は、前駆表皮材11に対してアニール処理を行う工程といえる。
前記「前駆表皮材11」は、表皮材10となる原料であり、加熱した後、冷却して前駆基材21の表面に張着されることによって表皮材10となる部材である。
前駆表皮材11の形状、大きさ、厚さ等については特に限定されず、前駆表皮材11としては、不織布、織布、編布、フィルム、シート等を用いることができる。前駆表皮材11は、表皮材10となった際に、成形体1の意匠性を付与することができる。上記のうち、不織布、織布、編布等は、繊維を用いて構成される。一方、上記のうち、フィルム、シート等は、繊維を用いて構成されてもよいが、繊維を用いない樹脂成形体としても構成できる。
前駆表皮材11の形状、大きさ、厚さ等については特に限定されず、前駆表皮材11としては、不織布、織布、編布、フィルム、シート等を用いることができる。前駆表皮材11は、表皮材10となった際に、成形体1の意匠性を付与することができる。上記のうち、不織布、織布、編布等は、繊維を用いて構成される。一方、上記のうち、フィルム、シート等は、繊維を用いて構成されてもよいが、繊維を用いない樹脂成形体としても構成できる。
前駆表皮材11が、繊維を用いて構成される場合、どのような繊維を用いてもよく、樹脂繊維、再生繊維、半合成繊維、天然繊維等を利用できる。
樹脂繊維は、通常、熱可塑性樹脂を溶融紡糸した繊維である。用いる樹脂は限定されず、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。
また、再生繊維及び半合成繊維は、通常、天然由来の高分子を利用した繊維であり、例えば、レーヨン及びアセテート等が挙げられる。尚、再生繊維としては、合成樹脂を用いた再生繊維が存在するが、本発明では、上述した樹脂繊維に含まれる。
更に、天然繊維としては、植物繊維及び動物繊維が含まれ、このうち、植物繊維としては、木綿及び麻などが挙げられる。一方、動物繊維としては、獣毛、絹などが挙げられる。
上述のうち、本発明に用いる前駆表皮材11は、繊維を用いて構成される前駆表皮材11が好ましく、更には、樹脂繊維を用いて構成される前駆表皮材11が好ましい。
樹脂繊維は、通常、熱可塑性樹脂を溶融紡糸した繊維である。用いる樹脂は限定されず、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。
また、再生繊維及び半合成繊維は、通常、天然由来の高分子を利用した繊維であり、例えば、レーヨン及びアセテート等が挙げられる。尚、再生繊維としては、合成樹脂を用いた再生繊維が存在するが、本発明では、上述した樹脂繊維に含まれる。
更に、天然繊維としては、植物繊維及び動物繊維が含まれ、このうち、植物繊維としては、木綿及び麻などが挙げられる。一方、動物繊維としては、獣毛、絹などが挙げられる。
上述のうち、本発明に用いる前駆表皮材11は、繊維を用いて構成される前駆表皮材11が好ましく、更には、樹脂繊維を用いて構成される前駆表皮材11が好ましい。
本発明に用いる前駆表皮材11は、上記各種の繊維のなかでも、樹脂繊維を用いた前駆表皮材11が好ましく、更には、ポリエステル樹脂繊維を含むことが好ましい。即ち、繊維状のポリエステル樹脂を含むことが好ましい。
ポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂等が挙げられる。脂肪族ポリエステル樹脂としては、ポリカプロラクトン及びポリブチレンサクシネート等が挙げられる。芳香族ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。これらの中でも、特に耐熱性の高い繊維状のポリエチレンテレフタレート(以下、「PET繊維」という。)が好ましい。
ポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂等が挙げられる。脂肪族ポリエステル樹脂としては、ポリカプロラクトン及びポリブチレンサクシネート等が挙げられる。芳香族ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。これらの中でも、特に耐熱性の高い繊維状のポリエチレンテレフタレート(以下、「PET繊維」という。)が好ましい。
前駆表皮材11は、繊維状のポリエステル樹脂の他に、低融点の繊維状のポリエステル樹脂を含むことが好ましい。
低融点の繊維状のポリエステル樹脂を含むことで、前処理工程における加熱により、繊維状のポリエステル樹脂同士を結着させることができる。例えば、高融点のポリエステル繊維の周囲に低融点の繊維状のポリエステル樹脂が取り囲む芯鞘構造を形成していることで、低融点の繊維状のポリエステル樹脂が溶融固化して、高融点のポリエステル繊維を結着させることができる。
低融点の繊維状のポリエステル樹脂の場合も、上記と同様、低融点の繊維状のポリエチレンテレフタレート(以下、「LPET繊維」という。)が好ましい。前処理工程において、前駆表皮材が加熱されたときにLPET繊維が溶融し、主繊維であるPET繊維同士を結合させることができる。PET繊維は、通常、250℃〜280℃で溶融するが、LPET繊維は、略110℃が融点であり、前処理工程において、LPET繊維が溶融、固化して主繊維のPET繊維同士を結合させることができる。
低融点の繊維状のポリエステル樹脂を含むことで、前処理工程における加熱により、繊維状のポリエステル樹脂同士を結着させることができる。例えば、高融点のポリエステル繊維の周囲に低融点の繊維状のポリエステル樹脂が取り囲む芯鞘構造を形成していることで、低融点の繊維状のポリエステル樹脂が溶融固化して、高融点のポリエステル繊維を結着させることができる。
低融点の繊維状のポリエステル樹脂の場合も、上記と同様、低融点の繊維状のポリエチレンテレフタレート(以下、「LPET繊維」という。)が好ましい。前処理工程において、前駆表皮材が加熱されたときにLPET繊維が溶融し、主繊維であるPET繊維同士を結合させることができる。PET繊維は、通常、250℃〜280℃で溶融するが、LPET繊維は、略110℃が融点であり、前処理工程において、LPET繊維が溶融、固化して主繊維のPET繊維同士を結合させることができる。
更に、前駆表皮材11は、更に、繊維状のポリオレフィン樹脂(ポリオレフィン樹脂繊維)を含むことが好ましい。繊維状のポリオレフィン樹脂を含むことによって、接着性を向上させることができる。ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ1−ブテン、ポリ1−ヘキセン、ポリ4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。これらの中でも、特に耐熱温度が高く、加工性に優れる繊維状のポリプロピレン樹脂(以下、「PP繊維」という。)が好ましい。前駆表皮材にPP繊維が含有されていると、前駆基材中のPP繊維と、前駆表皮材中のPP繊維が溶融、固着し、交絡した繊維同士の結合をさらに強めるため、接着性をさらに高めることができる。
前駆表皮材11が、繊維状のポリエステル樹脂(A)、繊維状のポリオレフィン樹脂(B)及び低融点の繊維状のポリエステル樹脂(C)を含む態様である場合には、A繊維、B繊維及びC繊維の配合比率は特に限定はないが、A繊維、B繊維及びC繊維の合計を100質量%とした場合に、A繊維が70〜90質量%、B繊維が5〜15質量%、C繊維が5〜15質量%とすることができ、更には、A繊維が75〜85質量%、B繊維が7〜13質量%、C繊維が7〜13質量%とすることができる。
以下、前処理工程を、具体的に説明する。まず、図1(a)に示すように、前駆表皮材11を用意する。次いで、図1(b)に示すように、加熱装置60の載置ベルト62上に前駆表皮材11を載置してヒータ61により加熱する。前駆表皮材を加熱する温度は特に限定はないが、例えば、前駆基材21が強化繊維と、強化繊維同士を結着するポリオレフィン樹脂を含む場合において、前駆表皮材11が、繊維状のポリエステル樹脂を含む場合には、130℃以上200℃以下であることが好ましく、140℃以上180℃以下であることが更に好ましく、150℃以上180℃以下であることが特に好ましい。
130℃以上であれば、低融点繊維状ポリエステルが溶融して、繊維状ポリエステル同士を結合させることができる。
加熱後は、加熱装置から取り出し、図示しない載置台上に載置して放冷することで常温まで冷却する。
この加熱から冷却する手段により、前駆表皮材11は、アニール処理され、前駆表皮材11は張着用表皮材12へと変化する(図1(c)参照。)。アニール処理は、前駆表皮材11を加熱したのち冷却することで収縮された状態を形成する処理である。
130℃以上であれば、低融点繊維状ポリエステルが溶融して、繊維状ポリエステル同士を結合させることができる。
加熱後は、加熱装置から取り出し、図示しない載置台上に載置して放冷することで常温まで冷却する。
この加熱から冷却する手段により、前駆表皮材11は、アニール処理され、前駆表皮材11は張着用表皮材12へと変化する(図1(c)参照。)。アニール処理は、前駆表皮材11を加熱したのち冷却することで収縮された状態を形成する処理である。
〔2〕プレス工程
前記「プレス工程」は、前記張着用表皮材12と、加熱した、基材20となる前駆基材21と、を積層して、積層方向へプレスする工程である。
前記「前駆基材21」は、基材20となる原料であり、加熱してその表面に、張着用表皮材12を積層して積層方向へプレスされる部材である。
前記「加熱した、前記基材となる前駆基材」とは、加熱した前駆基材を、冷却することなく加熱したままの状態を意味する。すなわち、例えば、図3(a)に示すように、加熱した前駆基材21を、冷却することなく加熱したまま、その表面21a上に張着用表皮材12を積層して、積層方向へプレスする。
前駆基材の形状、大きさ、厚さ、材質等については特に限定はなく、成形体の用途に応じて用意することができる。
例えば、図2(a)に示す前駆基材21のように、板状体を用いて、プレス成型により用途に応じた形状の基材とすることもできる。
前記「プレス工程」は、前記張着用表皮材12と、加熱した、基材20となる前駆基材21と、を積層して、積層方向へプレスする工程である。
前記「前駆基材21」は、基材20となる原料であり、加熱してその表面に、張着用表皮材12を積層して積層方向へプレスされる部材である。
前記「加熱した、前記基材となる前駆基材」とは、加熱した前駆基材を、冷却することなく加熱したままの状態を意味する。すなわち、例えば、図3(a)に示すように、加熱した前駆基材21を、冷却することなく加熱したまま、その表面21a上に張着用表皮材12を積層して、積層方向へプレスする。
前駆基材の形状、大きさ、厚さ、材質等については特に限定はなく、成形体の用途に応じて用意することができる。
例えば、図2(a)に示す前駆基材21のように、板状体を用いて、プレス成型により用途に応じた形状の基材とすることもできる。
前駆基材の材質も特に限定されず、繊維を用いて構成されていてもよいが、繊維を用いない樹脂成形体のみからなるものでもよい。
繊維を用いない樹脂成形体としては、特に限定されず、樹脂シート、フィルム、発泡体などが挙げられる。その材質は特に限定されず、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
繊維を用いない樹脂成形体としては、特に限定されず、樹脂シート、フィルム、発泡体などが挙げられる。その材質は特に限定されず、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
ポリオレフィン樹脂としては、エチレン単独重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−へキセン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体等のポリエチレン樹脂が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂等が挙げられる。脂肪族ポリエステル樹脂としては、ポリカプロラクトン及びポリブチレンサクシネート等が挙げられる。芳香族ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
アクリル樹脂としては、メタクリレート、アクリレート等を用いて得られた各種樹脂が挙げられる。
フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン・四フッ化エチレン共重合体等が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂等が挙げられる。脂肪族ポリエステル樹脂としては、ポリカプロラクトン及びポリブチレンサクシネート等が挙げられる。芳香族ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
アクリル樹脂としては、メタクリレート、アクリレート等を用いて得られた各種樹脂が挙げられる。
フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン・四フッ化エチレン共重合体等が挙げられる。
しかしながら、得られる成形体の力学特性の観点からは、繊維基材であることが好ましく、強化繊維を主材とすることが更に好ましい。
例えば、前駆基材21のように、強化繊維と、強化繊維同士を結着する熱可塑性樹脂と、を含んだ繊維ボードとすることができる。こうであれば、軽量且つ高剛性であり、例えば自動車内装材用基材の材料として特に有用である。
例えば、前駆基材21のように、強化繊維と、強化繊維同士を結着する熱可塑性樹脂と、を含んだ繊維ボードとすることができる。こうであれば、軽量且つ高剛性であり、例えば自動車内装材用基材の材料として特に有用である。
前記強化繊維の種類も特に限定はなく、植物繊維、樹脂繊維を用いることができるが、植物繊維であることが好ましい。
上記植物繊維は、植物体(幹、茎、枝、葉、根等)から取り出された繊維であり、葉脈系植物繊維、靭皮系植物繊維、木質系植物繊維等を含む。
植物繊維の元となる植物体は限定されず、例えば、ケナフ、ヘンプ、ジュート麻、ラミー、亜麻(フラックス)、マニラ麻、サイザル麻、雁皮、三椏、楮、バナナ、パイナップル、ココヤシ、トウモロコシ、サトウキビ、バガス、ヤシ、パピルス、葦、エスパルト、サバイグラス、麦、稲、竹、各種針葉樹(スギ及びヒノキ等)、広葉樹及び綿花等が挙げられる。これら植物体は、1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
植物繊維の元となる植物体としては、上述したなかでも、靭皮植物、即ち、ケナフ、ヘンプ、ジュート麻、ラミー、亜麻(フラックス)が好ましく、このなかでも、特にケナフが好ましく、更には、ケナフの靭皮から採取されるケナフ繊維が特に好ましい。
上記植物繊維は、植物体(幹、茎、枝、葉、根等)から取り出された繊維であり、葉脈系植物繊維、靭皮系植物繊維、木質系植物繊維等を含む。
植物繊維の元となる植物体は限定されず、例えば、ケナフ、ヘンプ、ジュート麻、ラミー、亜麻(フラックス)、マニラ麻、サイザル麻、雁皮、三椏、楮、バナナ、パイナップル、ココヤシ、トウモロコシ、サトウキビ、バガス、ヤシ、パピルス、葦、エスパルト、サバイグラス、麦、稲、竹、各種針葉樹(スギ及びヒノキ等)、広葉樹及び綿花等が挙げられる。これら植物体は、1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
植物繊維の元となる植物体としては、上述したなかでも、靭皮植物、即ち、ケナフ、ヘンプ、ジュート麻、ラミー、亜麻(フラックス)が好ましく、このなかでも、特にケナフが好ましく、更には、ケナフの靭皮から採取されるケナフ繊維が特に好ましい。
前記熱可塑性樹脂の種類も特に限定はなく、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、ポリオレフィン樹脂が好ましい。ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィン単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。即ち、ポリオレフィン樹脂としては、エチレン単独重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−へキセン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体等のポリエチレン樹脂、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体(プロピレン・エチレンランダム共重合体等)、プロピレン・1−ブテン共重合体等のポリプロピレン樹脂が挙げられる。これらの中でも特に、プロピレン単独重合体が好ましい。
上記繊維ボード(前駆基材21)は、強化繊維及び強化繊維同士を結着する熱可塑性樹脂脂のみからなるものとすることができるが、必要に応じて可塑剤(バインダ樹脂に対する可塑剤)、酸化防止剤、難燃剤、滑剤、防黴剤、抗菌剤、充填剤、着色剤等の他成分を含むことができる。
繊維ボード(前駆基材21)に他成分を含む場合、強化繊維及び熱可塑性樹脂脂の合計を100質量部とした場合に、他成分の含有量は、通常、0.1〜10質量部である。
繊維ボード(前駆基材21)に他成分を含む場合、強化繊維及び熱可塑性樹脂脂の合計を100質量部とした場合に、他成分の含有量は、通常、0.1〜10質量部である。
繊維ボード(前駆基材21)に含まれる強化繊維の総量と、熱可塑性樹脂の総量との割合は限定されないが、強化繊維の総量と、熱可塑性樹脂の総量との合計を100質量%とした場合に、強化繊維の総量の割合は、10〜90質量%とすることができ、15〜85質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、25〜75質量%がより更に好ましく、30〜70質量%が特に好ましく、35〜65質量%がより特に好ましく、40〜60質量%がとりわけ好ましい。
繊維ボード(前駆基材21)の厚さは、特に限定されず、成形体の用途等によって適宜の厚さとすることができるが、通常、0.5〜200mm、特に2〜80mmとすることができる。繊維ボードの厚さが0.5〜200mmであれば、多くの用途において十分な強度等を有し、且つ軽量な部材として用いることができる。
繊維ボード(前駆基材21)の目付は、特に限定されず、例えば、200〜3000g/m2とすることができる。この目付は、更に400〜2500g/m2であることが好ましく、600〜2000g/m2であることがより好ましく、更に800〜1800g/m2であることが特に好ましい。
以下、プレス工程を具体的に説明する。まず図2(a)に示すように、前駆基材21を用意する。次いで、図2(b)に示すように、加熱装置60の載置ベルト62上に前駆基材21を載置してヒータ61により加熱する。そして、図2(c)に示すように、加熱した前駆基材21を加熱装置60から取り出す。取り出した前駆基材21は、加熱状態を維持したまま、冷却されることなく、次のプレス工程へ移される。
前駆基材21を加熱する温度は特に限定はないが、例えば、前駆基材21が強化繊維と、強化繊維同士を結着するポリオレフィン樹脂を含む場合には、110℃以上190℃以下であることが好ましく、120℃以上180℃以下であることが更に好ましく、130℃以上170℃以下であることが特に好ましい。
加熱した前駆基材21は、加熱した状態を維持したまま、その表面21a上に張着用表皮材12を積層して、図3(a)に示すように、下型81と上型82を備えたプレス機80にセットする。
すなわち、前駆基材21は、プレス前に、予め加熱軟化されている。この前駆基材21を加熱軟化させる際の加熱温度は、前駆基材21に含まれる熱可塑性樹脂が全て融解することを抑制しつつ、張着用表皮材12が積層される表面21aにおいて少なくとも一部の熱可塑性樹脂を溶融状態にする観点から、好ましくは、熱可塑性樹脂の融点以上、より好ましくは、熱可塑性樹脂の融点以上で該融点より10℃高い温度以下、特に好ましくは、熱可塑性樹脂の融点以上で該融点より5℃高い温度以下である。
前駆基材21を加熱する温度は特に限定はないが、例えば、前駆基材21が強化繊維と、強化繊維同士を結着するポリオレフィン樹脂を含む場合には、110℃以上190℃以下であることが好ましく、120℃以上180℃以下であることが更に好ましく、130℃以上170℃以下であることが特に好ましい。
加熱した前駆基材21は、加熱した状態を維持したまま、その表面21a上に張着用表皮材12を積層して、図3(a)に示すように、下型81と上型82を備えたプレス機80にセットする。
すなわち、前駆基材21は、プレス前に、予め加熱軟化されている。この前駆基材21を加熱軟化させる際の加熱温度は、前駆基材21に含まれる熱可塑性樹脂が全て融解することを抑制しつつ、張着用表皮材12が積層される表面21aにおいて少なくとも一部の熱可塑性樹脂を溶融状態にする観点から、好ましくは、熱可塑性樹脂の融点以上、より好ましくは、熱可塑性樹脂の融点以上で該融点より10℃高い温度以下、特に好ましくは、熱可塑性樹脂の融点以上で該融点より5℃高い温度以下である。
本発明のプレス機80は、前駆基材21の表面21a上に張着用表皮材12を積層して、プレスする下型81と上型82とを有するものであれば、構成等について特に限定されない。
下型81及び上型82の材質は、特に限定されないが、例えば鉄、アルミニウム、銅、真鍮、ステンレス鋼等といった熱伝導率の高い金属が挙げられる。
尚、プレス機80は、上述の構成に限らず、上型82が固定され、下型81が可動する構成としてもよい。
下型81及び上型82の材質は、特に限定されないが、例えば鉄、アルミニウム、銅、真鍮、ステンレス鋼等といった熱伝導率の高い金属が挙げられる。
尚、プレス機80は、上述の構成に限らず、上型82が固定され、下型81が可動する構成としてもよい。
そして、図3(b)に示すように、下型81と上型82とを型締めして積層方向にプレスする。
即ち、プレス工程において、加熱軟化された前駆基材21は、プレスによって所定の冷却温度で冷却される。
また、張着用表皮材12は、加熱軟化された前駆基材21の表面21aに圧接された際、溶融状態となっている熱可塑性樹脂が染み込む等することにより、前駆基材21の表面21aに張着される。
そして、図3(c)に示すように、下型81と上型82とを型開きすることによって、所定形状に形成された基材20と、その基材20の表面に張着された表皮材10と、を有する成形体1が得られる。
即ち、プレス工程において、加熱軟化された前駆基材21は、プレスによって所定の冷却温度で冷却される。
また、張着用表皮材12は、加熱軟化された前駆基材21の表面21aに圧接された際、溶融状態となっている熱可塑性樹脂が染み込む等することにより、前駆基材21の表面21aに張着される。
そして、図3(c)に示すように、下型81と上型82とを型開きすることによって、所定形状に形成された基材20と、その基材20の表面に張着された表皮材10と、を有する成形体1が得られる。
ここで、プレス工程におけるプレス圧は、特に限定されないが、前駆基材21及び張着用表皮材12のハンドリング性や、成形体への好適な加工(賦形)の円滑化の観点から、好ましくは0.2〜0.8MPa、より好ましくは0.25〜0.7MPa、特に好ましくは0.3〜0.6MPaである。
プレス工程における冷却温度は、前駆基材に含まれる熱可塑性樹脂が1種であればその融点、2種以上であればそれらのうち最も低い融点より、好ましくは100〜150℃、より好ましくは110〜140℃、特に好ましくは115〜135℃低い温度である。
プレス工程における冷却温度は、前駆基材に含まれる熱可塑性樹脂が1種であればその融点、2種以上であればそれらのうち最も低い融点より、好ましくは100〜150℃、より好ましくは110〜140℃、特に好ましくは115〜135℃低い温度である。
本発明で製造される成形体は、形状、大きさ、厚さ等について限定されず、用途についても限定されないが、成形体として、例えば、自動車、鉄道車両、船舶、飛行機等の内装材や外装材が挙げられる。
このうち自動車の内装材や外装材として、具体的には、パッケージトレイ、ドア基材、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クォーターパネル、サイドパネル、アームレスト、自動車用ドアトリム、シート構造材、シートバックボード、天井材、コンソールボックス、自動車用ダッシュボード、各種インストルメントパネル、デッキトリム、バンパー、スポイラー、カウリング等が挙げられる。
このうち自動車の内装材や外装材として、具体的には、パッケージトレイ、ドア基材、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クォーターパネル、サイドパネル、アームレスト、自動車用ドアトリム、シート構造材、シートバックボード、天井材、コンソールボックス、自動車用ダッシュボード、各種インストルメントパネル、デッキトリム、バンパー、スポイラー、カウリング等が挙げられる。
なお、本発明で製造される成形体として、上述したものの他、例えば、建築物、家具等の内装材及び外装材等が挙げられる。
即ち、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥など)の表装材等が挙げられる。その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材、パーティション部材等が挙げられる。
即ち、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥など)の表装材等が挙げられる。その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材、パーティション部材等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
〔使用材料〕
[前駆表皮材]
前駆表皮材11には、樹脂繊維をニードルパンチ法で交絡させて得られた不織布(ウェブ)を使用した。
樹脂繊維としては、PET繊維、PP繊維及びLPET繊維を混綿した樹脂繊維を用いた。混合割合は、PET繊維、PP繊維及びLPET繊維の合計を100質量%とした場合に、PET繊維80質量%、PP繊維10質量%及びLPET繊維10質量%とした。
不織布は、目付180g/m2、厚さ1.0mmであった。
[前駆基材]
前駆基材21には、植物繊維と、その植物繊維を結着するポリオレフィン樹脂とを含む繊維ボードを使用した。
植物繊維には、ケナフ繊維を用いた。このケナフ繊維は、ケナフから取り出した靭皮を解繊して得たものであり、平均繊維長は70mmであった。
ポリオレフィン樹脂には、ポリプロピレン樹脂を溶融紡糸して得た、融点170℃、繊度6.6dtexのPP繊維を用いた。このPP繊維は、裁断により平均繊維長を50mmに揃えた。
上記ケナフ繊維50質量部と、上記樹脂繊維50質量部とを混綿し、その混綿物をエアレイ法で積層して、ニードルパンチ法で交絡させた後、温度200℃及びプレス時間120秒間で加熱し、温度30℃及びプレス時間180秒間で冷却して、繊維ボードを得た。得られた繊維ボードは、目付1500g/m2、厚さ2.3mmであった。
[前駆表皮材]
前駆表皮材11には、樹脂繊維をニードルパンチ法で交絡させて得られた不織布(ウェブ)を使用した。
樹脂繊維としては、PET繊維、PP繊維及びLPET繊維を混綿した樹脂繊維を用いた。混合割合は、PET繊維、PP繊維及びLPET繊維の合計を100質量%とした場合に、PET繊維80質量%、PP繊維10質量%及びLPET繊維10質量%とした。
不織布は、目付180g/m2、厚さ1.0mmであった。
[前駆基材]
前駆基材21には、植物繊維と、その植物繊維を結着するポリオレフィン樹脂とを含む繊維ボードを使用した。
植物繊維には、ケナフ繊維を用いた。このケナフ繊維は、ケナフから取り出した靭皮を解繊して得たものであり、平均繊維長は70mmであった。
ポリオレフィン樹脂には、ポリプロピレン樹脂を溶融紡糸して得た、融点170℃、繊度6.6dtexのPP繊維を用いた。このPP繊維は、裁断により平均繊維長を50mmに揃えた。
上記ケナフ繊維50質量部と、上記樹脂繊維50質量部とを混綿し、その混綿物をエアレイ法で積層して、ニードルパンチ法で交絡させた後、温度200℃及びプレス時間120秒間で加熱し、温度30℃及びプレス時間180秒間で冷却して、繊維ボードを得た。得られた繊維ボードは、目付1500g/m2、厚さ2.3mmであった。
〔実施例〕
[前処理工程]
図1(a)に示す前駆表皮材11を用意し、次いで、図1(b)に示すように、前駆表皮材11を加熱装置60内の載置ベルト62に載置して、前駆表皮材11を165℃の温度で所定時間加熱した。その後、前駆表皮材11を加熱装置60から取り出し、大気中で放冷することで常温まで冷却して、図1(c)に示すように、張着用表皮材12を得た。
[プレス工程]
図2(a)に示す前駆基材21を用意し、次いで、図2(b)に示すように、前駆基材21を加熱装置60内の載置ベルト62に載置した。そして、載置した前駆基材21を150℃の温度で所定時間加熱した。その後、前駆基材21を加熱装置60から取り出した。図2(c)に示すように、加熱装置60から取り出した前駆基材21は、加熱した状態を維持した。
次いで、図3(a)に示すように、加熱したままの前駆基材21の表面21a上に張着用表皮材12を積層して、プレス機80の下型81の上に載置した。
そして、図3(b)に示すように、下型81と上型82とを型締めし、冷却温度がポリプロピレン樹脂の融点170℃よりも135℃低い35℃、プレス圧が0.5MPaでプレスした。次いで、図3(c)に示すように、下型81と上型82とを型開きすることによって、所定形状に形成された基材20と、その基材20の表面に張着された表皮材10と、を有する板厚2.5mmの凹凸状の成形体1を得た。
〔実施例の効果〕
前駆表皮材11が熱収縮することなく成形体1が得られた。すなわち、成形体1を観察したところ、基材20の変形は略認められなかった。
[前処理工程]
図1(a)に示す前駆表皮材11を用意し、次いで、図1(b)に示すように、前駆表皮材11を加熱装置60内の載置ベルト62に載置して、前駆表皮材11を165℃の温度で所定時間加熱した。その後、前駆表皮材11を加熱装置60から取り出し、大気中で放冷することで常温まで冷却して、図1(c)に示すように、張着用表皮材12を得た。
[プレス工程]
図2(a)に示す前駆基材21を用意し、次いで、図2(b)に示すように、前駆基材21を加熱装置60内の載置ベルト62に載置した。そして、載置した前駆基材21を150℃の温度で所定時間加熱した。その後、前駆基材21を加熱装置60から取り出した。図2(c)に示すように、加熱装置60から取り出した前駆基材21は、加熱した状態を維持した。
次いで、図3(a)に示すように、加熱したままの前駆基材21の表面21a上に張着用表皮材12を積層して、プレス機80の下型81の上に載置した。
そして、図3(b)に示すように、下型81と上型82とを型締めし、冷却温度がポリプロピレン樹脂の融点170℃よりも135℃低い35℃、プレス圧が0.5MPaでプレスした。次いで、図3(c)に示すように、下型81と上型82とを型開きすることによって、所定形状に形成された基材20と、その基材20の表面に張着された表皮材10と、を有する板厚2.5mmの凹凸状の成形体1を得た。
〔実施例の効果〕
前駆表皮材11が熱収縮することなく成形体1が得られた。すなわち、成形体1を観察したところ、基材20の変形は略認められなかった。
〔比較例〕
前駆表皮材11を前記の前処理工程を省略した以外は、他の条件はすべて同一にして成形体を製造したところ、前駆表皮材11が熱収縮し、基材の変形が認められた。
以上より、前駆表皮材11を加熱、冷却して得た張着用表皮材を用いて成形体1を製造することで、基材20の変形が抑えられることが明らかとなった。
前駆表皮材11を前記の前処理工程を省略した以外は、他の条件はすべて同一にして成形体を製造したところ、前駆表皮材11が熱収縮し、基材の変形が認められた。
以上より、前駆表皮材11を加熱、冷却して得た張着用表皮材を用いて成形体1を製造することで、基材20の変形が抑えられることが明らかとなった。
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述及び図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく、説明的及び例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料及び実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
本発明は、車両及び建材等の広範な製品分野で利用することができ、特に車両の内装材の製造方法として有用であり、例えば、パッケージトレイ等の各種の内装材に好適に用いられる。
1;成形体、
10;表皮材、
11;前駆表皮材、
12;張着用表皮材、
20;基材、
21;前駆基材、21a;表面(前駆基材の表面)、
3;成形体(従来の成形体)、
40;基材(従来の基材)、
41;前駆基材(従来の前駆基材)、
50;表皮材(従来の表皮材)、
51;前駆表皮材(従来の前駆表皮材)、
60;加熱装置、61;ヒータ、62;載置ベルト、
80;プレス機、81;下型、82;上型。
10;表皮材、
11;前駆表皮材、
12;張着用表皮材、
20;基材、
21;前駆基材、21a;表面(前駆基材の表面)、
3;成形体(従来の成形体)、
40;基材(従来の基材)、
41;前駆基材(従来の前駆基材)、
50;表皮材(従来の表皮材)、
51;前駆表皮材(従来の前駆表皮材)、
60;加熱装置、61;ヒータ、62;載置ベルト、
80;プレス機、81;下型、82;上型。
Claims (6)
- 基材と、前記基材の表面に張着された表皮材と、を有する成形体の製造方法であって、
前記表皮材となる前駆表皮材を加熱したのち冷却して張着用表皮材を得る前処理工程と、
前記張着用表皮材と、加熱した、前記基材となる前駆基材と、を積層して、積層方向へプレスするプレス工程と、
を備えることを特徴とする成形体の製造方法。 - 前記前駆基材は、強化繊維と、前記強化繊維同士を結着する熱可塑性樹脂と、を含んだ繊維ボードである請求項1に記載の成形体の製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン樹脂を含む請求項2に記載の成形体の製造方法。
- 前記前駆基材を加熱する温度が、110℃以上190℃以下である請求項3に記載の成形体の製造方法。
- 前記前駆表皮材が、繊維状のポリエステル樹脂を含む請求項3又は4に記載の成形体の製造方法。
- 前記前駆表皮材を加熱する温度が、130℃以上200℃以下である請求項5に記載の成形体の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020096445A JP2021187105A (ja) | 2020-06-02 | 2020-06-02 | 成形体の製造方法 |
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JP2021187105A true JP2021187105A (ja) | 2021-12-13 |
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JP (1) | JP2021187105A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023090324A1 (ja) | 2021-11-17 | 2023-05-25 | 株式会社アライドマテリアル | 異形ダイス |
-
2020
- 2020-06-02 JP JP2020096445A patent/JP2021187105A/ja active Pending
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WO2023090324A1 (ja) | 2021-11-17 | 2023-05-25 | 株式会社アライドマテリアル | 異形ダイス |
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