JP7472720B2 - 繊維ボード及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、植物繊維とそれを結着するバインダ樹脂とを含んだ繊維ボード及びその製造方法に関する。
ケナフ繊維等の植物繊維をバインダ樹脂で結着した繊維ボードは、軽量且つ高剛性であるため、近年、車両内装材等の材料としての用途が拡大されている。繊維ボードは、植物繊維とバインダ樹脂となる熱可塑性樹脂繊維とを混繊したウェブを積層してマットを得た後、そのマットを加熱及び加圧して製造される。そして、繊維ボードに関する技術として、特許文献1が知られている。
特開2013-099936号公報
特許文献1には、目付が異なる複数の領域を有する繊維基材が開示されており、その製造方法として、繊維と熱可塑性樹脂体とを含んだ所定の目付の基礎ウェブ上に、基礎ウェブと同じ又は異なる目付を有した追加ウェブを、必要に応じて何層にも重ねて積層する方法が例示されている。
しかしながら、上述の方法で製造された繊維基材は、基礎ウェブに対して追加ウェブを貼り合わせた、所謂、複層構造を有している。この複層構造は、層間の境界が明確に現れるため、植物繊維によって表面に醸し出される意匠が層間の境界毎に途切れて、表面全体での一体感に欠けた不連続なものになることから、意匠性が低い。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、従来にない新たな意匠性が付与された繊維ボードを提供することを目的とする。また、この繊維ボードの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下に示される。
請求項1に記載の繊維ボードは、植物繊維と、前記植物繊維を結着するバインダ樹脂と、を含んだ繊維ボードであって、
前記植物繊維の含有量が前記繊維ボードの面方向で連続的に減少するに従い、前記バインダ樹脂の含有量が前記面方向で連続的に増加する領域、及び、前記植物繊維の含有量が前記繊維ボードの面方向で連続的に増加するに従い、前記バインダ樹脂の含有量が前記面方向で連続的に減少する領域、の少なくともいずれかの領域を有することを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記領域は、実質的に目付が一定であることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記植物繊維の含有量をA(g/m)とし、前記バインダ樹脂の含有量をB(g/m)とした場合、前記バインダ樹脂の含有量Bに対する前記植物繊維の含有量Aの相対比(A/B)が、2.5を最大値として前記面方向で連続的に減少することを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の発明において、前記バインダ樹脂は、前記植物繊維に比べ、可視光に対して高い透過性を有することを要旨とする。
請求項5に記載の繊維ボードの製造方法は、請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の繊維ボードの製造方法であって、
植物繊維とバインダ樹脂となる樹脂繊維とを混繊したウェブを積層し、前記植物繊維の含有量が前記ウェブの積層方向で連続的に減少又は増加するに従い、前記樹脂繊維の含有量が前記積層方向で連続的に増加又は減少するマットを得る第1工程と、
前記マットの一部を前記積層方向に切り抜く第2工程と、
切り抜いた前記マットの一部を前記積層方向と交差する方向に圧縮する第3工程と、を備えることを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記ウェブは、該ウェブの目付中に占める前記植物繊維の含有量を段階的に減少又は増加させながら、該植物繊維の含有量を減少又は増加させた分に応じて、前記目付中に占める前記樹脂繊維の含有量を段階的に増加又は減少させることで、前記目付が一定に保たれていることを要旨とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記第1工程において、前記ウェブは、前記植物繊維の含有量をA(g/m)とし、前記樹脂繊維の含有量をB(g/m)として、前記樹脂繊維の含有量Bに対する前記植物繊維の含有量Aの相対比(A/B)が連続的に変化する一連のウェブであり、前記一連のウェブをつづら折り状に積層してマットを得ることを要旨とする。
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記第1工程において、前記ウェブは、前記植物繊維の含有量をA(g/m)とし、前記樹脂繊維の含有量をB(g/m)として、前記樹脂繊維の含有量Bに対する前記植物繊維の含有量Aの相対比(A/B)がそれぞれ異なる複数種のウェブであり、前記複数種のウェブを前記相対比(A/B)の大小の順に積層してマットを得ることを要旨とする。
本発明の繊維ボードによれば、植物繊維と、この植物繊維を結着するバインダ樹脂と、を含んだ繊維ボードにおいて、従来ない新たな意匠性が付与された繊維ボードを得ることができる。
本発明の繊維ボードの製造方法によれば、植物繊維とバインダ樹脂となる熱可塑性樹脂繊維とを含んだ繊維ボードを製造するに際し、従来ない新たな意匠性を付与することができる。
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
本発明の繊維ボードを示す斜視図である。 本発明の繊維ボードの光透過性を示す説明図である。 本発明の繊維ボードの製造工程を示す概略図である。 本発明の繊維ボードの製造工程を示す説明図である。 (a),(b)は本発明の別形態の繊維ボードを示す斜視図である。
以下、本発明を詳しく説明する。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
図1に示すように、本発明の繊維ボード10は、植物繊維と、この植物繊維を結着するバインダ樹脂と、を含んだ板状物である。
この繊維ボード10は、植物繊維の含有量が繊維ボード10の面方向で連続的に減少するに従い、バインダ樹脂の含有量が前記面方向で連続的に増加する領域を有している。
上記領域は、図1中に二点鎖線で示したように、含有量が連続的に変化する植物繊維によってグラデーション状の意匠を醸し出しており、このようなグラデーション状の意匠を醸し出す上記領域を、以下「第1グラデーション領域11」と称する。
尚、図1中で繊維ボード10の表面に描かれた色の濃淡は、植物繊維及びバインダ樹脂の含有量の違いを表しており、色が濃いほど植物繊維の含有量が高く、色が薄いほどバインダ樹脂の含有量が高いことを示す。
また、本発明で面方向は、繊維ボード10の表面に沿った任意の一方向であれば、特に限定されないが、以下では図1に示した繊維ボード10の面方向として、上記面方向は、図1中で右手前となる一側部から同図中で左奥となる他側部に向かう方向であって、具体的には同図中の「植物繊維の含有量」を示す矢印のうち「減少」に向かう方向、又は「バインダ樹脂の含有量」を示す矢印のうち「増加」に向かう方向である。
そして、第1グラデーション領域11では、植物繊維の含有量が上記面方向と逆方向で連続的に増加するに従い、バインダ樹脂の含有量が前記逆方向で連続的に減少する。
上記植物繊維は、植物体(幹、茎、枝、葉、根等)から取り出された繊維であり、葉脈系植物繊維、靭皮系植物繊維、木質系植物繊維等を含む。
植物繊維の元となる植物体は限定されず、例えば、ケナフ、ヘンプ、ジュート麻、ラミー、亜麻(フラックス)、マニラ麻、サイザル麻、雁皮、三椏、楮、カポック、バナナ、パイナップル、ココヤシ、トウモロコシ、サトウキビ、バガス、ヤシ、パピルス、葦、エスパルト、サバイグラス、麦、稲、竹、各種針葉樹(スギ及びヒノキ等)、広葉樹及び綿花等が挙げられる。これら植物体は、1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
植物繊維の元となる植物体としては、上述したなかでも、靭皮植物、即ち、ケナフ、ヘンプ、ジュート麻、ラミー、亜麻(フラックス)が好ましく、このなかでも、特にケナフが好ましく、更には、ケナフの靭皮から採取されるケナフ繊維がとりわけ好ましい。
植物繊維の具体的な形状は限定されないが、例えば、平均繊維長は10~200mm(更に20~170mm、特に25~150mm、とりわけ30~90mm)とすることができる。この平均繊維長は、JIS L1015に準拠して、直接法にて無作為に単繊維を1本ずつ取り出し、伸張させずに真っ直ぐに伸ばし、置尺上で繊維長を測定し、合計200本について測定した値の平均値である。
また、植物繊維の繊維径についても限定はされないが、例えば、平均繊維径は1~2500μm(更に10~2000μm、特に100~1750μm、とりわけ200~1500μm)とすることができる。この平均繊維径は、平均繊維長の測定に用いた合計200本の各単繊維の長さ方向の中央における繊維径を、光学顕微鏡を用いて測定した値の平均値である。
上記バインダ樹脂は、植物繊維同士を結着するものである。このバインダ樹脂の種類は限定されず、各種の熱可塑性樹脂を利用することができる。
熱可塑性樹脂として、具体的には、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂及びABS樹脂等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上述のポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂等が挙げられる。
上述の脂肪族ポリエステル樹脂としては、ポリカプロラクトン及びポリブチレンサクシネート等が挙げられる。
上述の芳香族ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
上述のアクリル樹脂としては、メタクリレート、アクリレート等を用いて得られた各種樹脂が挙げられる。
本発明のバインダ樹脂としては、上述した熱可塑性樹脂のなかでも、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィン単量体としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
即ち、ポリオレフィン樹脂としては、エチレン単独重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、エチレン・1-へキセン共重合体、エチレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体等のポリエチレン樹脂が挙げられる。
これらのポリエチレン樹脂は、全構成単位数のうちの50%以上がエチレンに由来する単位の樹脂である。更に、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体(プロピレン・エチレンランダム共重合体等)、プロピレン・1-ブテン共重合体等のポリプロピレン樹脂が挙げられる。これらのポリプロピレン樹脂は、全構成単位数のうちの50%以上がプロピレンに由来する単位の樹脂である。
バインダ樹脂は、非変性の熱可塑性樹脂のみであってもよいが、極性基を導入して変性された熱可塑性樹脂を含んでもよい。
変性された熱可塑性樹脂(以下、単に「変性熱可塑性樹脂」という)は、上述の各種熱可塑性樹脂が主鎖となり、主鎖に対して変性基が導入された樹脂である。この変性基の種類は限定されないが極性基が好ましい。極性基としては、無水カルボン酸基(-CO-O-OC-)、カルボン酸基(-COOH)、カルボニル基(-CO-)、ヒドロキシル基(-OH)、アミノ基(-NH)、ニトロ基(-NO)、ニトリル基(-CN)等が挙げられる。
これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、無水カルボン酸基、カルボン酸基、カルボニル基のうちの少なくとも1種が好ましく、無水カルボン酸基又はカルボン酸基が特に好ましい。
熱可塑性樹脂に、非変性熱可塑性樹脂及び変性熱可塑性樹脂が含まれる場合、これらの樹脂の主鎖は異なってもよいが、同じであることが好ましい。
即ち、非変性熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂(非変性ポリオレフィン樹脂)である場合、変性熱可塑性樹脂は変性ポリオレフィン樹脂であることが好ましい。
熱可塑性樹脂に、非変性熱可塑性樹脂及び変性熱可塑性樹脂が含まれる場合、変性熱可塑性樹脂の割合は、非変性熱可塑性樹脂及び変性熱可塑性樹脂の合計を100質量%として、1~12質量%であることが好ましく、2~9質量%であることがより好ましく、3~7質量%であることが更に好ましく、4~6質量%であることが特に好ましい。
上記繊維ボード10は、植物繊維及びバインダ樹脂のみからなるものとすることができるが、必要に応じて可塑剤(バインダ樹脂となる熱可塑性樹脂に対する可塑剤)、酸化防止剤、難燃剤、滑剤、防黴剤、抗菌剤、充填剤、着色剤等の他成分を含むことができる。
繊維ボード10に、他成分を含む場合、植物繊維及びバインダ樹脂の合計質量を100質量部とした場合に、他成分の含有量は、通常、0.1~10質量部である。
繊維ボード10は、各種の用途で用いることができ、その厚さは特に限定されず、用途等によって適宜の厚さとすることができる。繊維ボード10の厚さは、通常、0.5~200mm、特に0.5~80mmとすることができ、繊維ボード10の厚さが0.5~200mmであれば、多くの用途において十分な強度等を有し、且つ軽量な部材として用いることができる。
繊維ボード10の目付は、特に限定されず、例えば、200~3000g/mとすることができる。この目付は、更に400~2500g/mであることが好ましく、更に600~2000g/mであることが好ましく、更に800~1800g/mであることが好ましい。
繊維ボード10の第1グラデーション領域11は、実質的に目付が一定であるものとすることができる。
即ち、繊維ボード10は、上述のように、第1グラデーション領域11において植物繊維及びバインダ樹脂の含有量が前記面方向で連続的に減少又は増加するように変化するが、例えば植物繊維の含有量が減少した分に応じて、バインダ樹脂の含有量が増加することにより、第1グラデーション領域11の目付を実質的に一定とすることができる。
具体的に、第1グラデーション領域11の目付を略一定とするには、植物繊維の含有量をA(g/m)とし、バインダ樹脂の含有量をB(g/m)として、前記Aと前記Bの合計を第1グラデーション領域11の目付C(g/m)とした場合に、この目付C(g/m)が実質的に一定とされる。
尚、第1グラデーション領域11の目付C(g/m)は、上述した他成分の含有量に応じた差異はあるが、上述した繊維ボード10の目付と略等しいか、僅かに少なくなる。
また、上述の植物繊維及びバインダ樹脂の含有量とは、所定の1cm四方の測定領域における植物繊維及びバインダ樹脂それぞれの目付(g/m)を意味するものとする。
目付C(g/m)を略一定とした第1グラデーション領域11において、バインダ樹脂の含有量B(g/m)に対する植物繊維の含有量A(g/m)の相対比(A/B)は、2.5を最大値として前記面方向で連続的に減少することが好ましい。この相対比(A/B)の最大値は、更に1.5が好ましく、特に1が好ましい。
即ち、相対比(A/B)の最大値が2.5の場合、植物繊維の含有量A(g/m)と、バインダ樹脂の含有量B(g/m)との比がA:B=2.5:1(71.4:28.6)であり、相対比(A/B)の最大値が1.5の場合、含有量A(g/m)と含有量B(g/m)との比がA:B=1.5:1(60:40)であり、相対比(A/B)が1の場合、含有量A(g/m)と含有量B(g/m)との比がA:B=1:1(50:50)で等量となる。
尚、相対比(A/B)の最小値は限定されないが、通常は0よりも大きくなる。但し、例えば第1グラデーション領域11の最も外縁の部位等のように、第1グラデーション領域11の一部に限り、植物繊維を含ませずにバインダ樹脂のみを含ませることで、相対比(A/B)を実質的に0とすることができる。
繊維ボード10全体に含まれる植物繊維の総量と、バインダ樹脂の総量との割合は限定されないが、植物繊維の総量とバインダ樹脂の総量との合計を100質量%とした場合に、植物繊維の総量の割合は、30~70質量%とすることができ、35~65質量%が好ましく、40~60質量%がより好ましい。
本発明の繊維ボード10は、第1グラデーション領域11において、上述のように植物繊維の含有量が前記面方向で連続的に減少するに従い、バインダ樹脂の含有量が前記面方向で連続的に増加している。このため、植物繊維によって繊維ボード10の表面に醸し出される意匠が、その領域全体で一体的に繋がりつつも前記面方向で連続的に変化するものとなることから、繊維ボード10は、意匠性の高いものとなる。
また、バインダ樹脂は、特に無着色のものであれば、植物繊維に比べ、可視光に対して高い透過性を有しており、このバインダ樹脂の光透過性と上記第1グラデーション領域11による意匠との相乗効果により、繊維ボード10は、極めて意匠性の高いものとなる。
即ち、図2に示すように、第1グラデーション領域11は、バインダ樹脂の含有量が高く、植物繊維の含有量が低い部位では可視光を好適に透過する。この第1グラデーション領域11では、植物繊維の含有量が増加するに従い、可視光が透過から半透過、半透過から不透過となることで、可視光に対する透過率が変化する。
上述のような可視光に対する透過率の変化は、植物繊維の含有量が前記面方向で連続的に減少するに従い、バインダ樹脂の含有量が前記面方向で連続的に増加することにより、第1グラデーション領域11全体で前記面方向につぎ目なく徐変する連続的なものになる。このため、繊維ボード10は、第1グラデーション領域11における光透過性が前記面方向で連続的に変化するものとなり、極めて意匠性の高いものとなる。
尚、例えば、バインダ樹脂に濃色に着色されたものを使用した場合、植物繊維を低目付とすることにより、植物繊維の可視光に対する透過性を、バインダ樹脂に比べ、高くすることができる。この場合、第1グラデーション領域11は、バインダ樹脂の含有量が低く、植物繊維の含有量が高い部位で可視光を好適に透過し、植物繊維の含有量が増加するに従い、可視光に対する透過率が高まるように変化する。
本発明の繊維ボード10は、図5(a),(b)に示すように、上述の第1第1グラデーション領域11に加えて更に、植物繊維の含有量が繊維ボード10の面方向で連続的に増加するに従い、バインダ樹脂の含有量が前記面方向で連続的に減少する領域を有するものとすることができる。
上記領域は、図5(a),(b)中に二点鎖線で示したように、第1グラデーション領域11と対になるグラデーション状の意匠を醸し出しており、このようなグラデーション状の意匠を醸し出す上記領域を、以下「第2グラデーション領域12」と称する。
尚、図5(a),(b)中で繊維ボード10の表面に描かれた色の濃淡は、図1と同じく、植物繊維及びバインダ樹脂の含有量の違いを示している。上記面方向については、図5(a)の面方向は、同図中で右手前となる一側部から左奥となる他側部に向かう方向であり、図5(b)の面方向は、同図中で左奥となる他側部から右手前となる一側部に向かう方向である。
そして、第2グラデーション領域12では、植物繊維の含有量が上記面方向で連続的に増加するに従い、バインダ樹脂の含有量が前記面方向で連続的に減少する。
繊維ボード10は、第2グラデーション領域12において、上述のように植物繊維の含有量が前記面方向で連続的に増加するに従い、バインダ樹脂の含有量が前記面方向で連続的に減少している。
即ち、第2グラデーション領域12は、第1グラデーション領域11と、前記面方向で対称なグラデーション状の意匠を醸し出している。そして、これら第1グラデーション領域11と第2グラデーション領域12とが互いに繋がって一体化し、前記面方向で連続的に変化することにより、繊維ボード10は、極めて意匠性の高いものとなる。
尚、第2グラデーション領域12は、第1グラデーション領域11と、前記面方向で対称なグラデーション状となる他は、実質的に同じ領域であり、上述した目付や相対比(A/B)等についても、実質的に差異はない。
次に、本発明の繊維ボード10の製造方法について説明する。尚、以下の説明では、図1に示した繊維ボード10を例に挙げる。
図3に示すように、繊維ボード10の製造方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程と、を備えている。
第1工程は、植物繊維とバインダ樹脂となる樹脂繊維とを混繊したウェブ101を積層し、植物繊維の含有量がウェブ101の積層方向で連続的に減少するに従い、樹脂繊維の含有量が前記積層方向で連続的に増加するマット102を得る工程である。
第2工程は、マット102の一部を前記積層方向に切り抜く工程である。
第3工程は、切り抜いたマット102の一部を前記積層方向と交差する方向に圧縮する工程である。
尚、樹脂繊維は、バインダ樹脂で挙げた上述の熱可塑性樹脂を溶融紡糸等して得られた繊維である。
樹脂繊維の繊維長は限定されないが、例えば、平均繊維長は10~200mm(更に20~170mm、特に25~150mm、とりわけ30~90mm)とすることができる。この平均繊維長は、JIS L1015に準拠して、直接法にて無作為に単繊維を1本ずつ取り出し、伸張させずに真っ直ぐに伸ばし、置尺上で繊維長を測定し、合計200本について測定した値の平均値である。
樹脂繊維の繊度は限定されないが、例えば、1~100dtex(更に2~50dtex、特に3~25dtex、とりわけ5~15dtex)とすることができる。この繊度は、無作為に単繊維を1本ずつ取り出し、伸張させずに真っ直ぐに伸ばし、置尺上で繊維長を測定し、合計長さが10mとなった際の質量を計測することを5回繰り返した平均値であるものとする。
第1工程は、どのように行ってもよいが、例えば、カード装置31とクロスレイヤー装置32を用いて実施することができる。カード装置31は、ウェブ101を得るための装置であり、植物繊維と樹脂繊維とを混綿するブレンダー311と、混綿された植物繊維及び樹脂繊維を貯綿するタンク312と、樹脂繊維及び植物繊維を混繊するカード機313とを有している。クロスレイヤー装置32は、マット102を得るための装置であり、水平方向に揺動する揺動コンベア321を有している。
具体的に、第1工程では、ブレンダー311で混綿されて、タンク312に貯綿された樹脂繊維及び植物繊維が、カード機313へと送られ、このカード機313で混繊されて、ウェブ101が製造される。
植物繊維と樹脂繊維とは、図示しないホッパにそれぞれ収容されており、各ホッパからそれぞれ排出されて、ブレンダー311へと供給される。各ホッパには、計量器が備えられており、この計量器は、ホッパから排出される植物繊維又は樹脂繊維の排出重量が設定値となるように、植物繊維又は樹脂繊維を秤量するものである。
即ち、植物繊維と樹脂繊維とは、各ホッパからブレンダー311へと、設定値の排出重量で供給される。このため、植物繊維と樹脂繊維とをブレンダー311へ供給する際、その供給の途中で各ホッパにおける排出重量の設定値を変更することにより、上述の第1グラデーション領域11や第2グラデーション領域12を形成可能なウェブ101を製造することができる。
具体的に、例えば、排出重量の設定値は、ブレンダー311への供給開始時に植物繊維50g、樹脂繊維50gとし、開始から5分後に植物繊維40g、樹脂繊維60gに変更し、開始から10分後に植物繊維30g、樹脂繊維70gに変更することができる。
つまり、各ホッパからの排出重量の設定値を変更することで、ブレンダー311への植物繊維の供給量(排出重量)を段階的に増加させるとともに、樹脂繊維の供給量(排出重量)を段階的に減少させることができる。
この場合、ブレンダー311で混綿された植物繊維及び樹脂繊維は、植物繊維の含有量A(g/m)と、樹脂繊維(バインダ樹脂)の含有量B(g/m)との比を50:50から、40:60へ、更に30:70へと変化させながら、タンク312に貯綿される。
また、例えば、排出重量の設定値を、植物繊維50g、樹脂繊維50gから、植物繊維40g、樹脂繊維60gに変更した直後、ブレンダー311及びタンク312内には、植物繊維の含有量A(g/m)と、樹脂繊維(バインダ樹脂)の含有量B(g/m)との比を50:50としたものが残留している。
このため、排出重量の設定値を変更してから暫くの間、ブレンダー311及びタンク312内では、植物繊維の含有量A(g/m)と、樹脂繊維(バインダ樹脂)の含有量B(g/m)との比が、50:50のものと、40:60のものとが混じり合う。
即ち、植物繊維と樹脂繊維とをブレンダー311へ供給する際、その供給の途中で排出重量の設定値を変更した場合、ブレンダー311及びタンク312内における植物繊維の含有量A(g/m)と、樹脂繊維(バインダ樹脂)の含有量B(g/m)との比の変化は、該変化の境界が曖昧になることで、略連続的となる。
このため、タンク312に貯綿される植物繊維及び樹脂繊維については、含有量A(g/m)と含有量B(g/m)との比を、50:50から、40:60へ、更に30:70へと略連続的に変化させることができる。
そして、タンク312から、植物繊維及び樹脂繊維が、含有量A(g/m)と含有量B(g/m)との比を略連続的に変化させながら、カード機313へと送られることで、このカード機313により、植物繊維の含有量A(g/m)と、樹脂繊維の含有量B(g/m)との比が長手方向で略連続的に変化するウェブ101を製造することができる。
製造されたウェブ101は、クロスレイヤー装置32へと送られ、揺動コンベア321から送り出される際、この揺動コンベア321が揺動することにより、下方から上方へ順番に積み重ねられる。そして、積層方向を上方向としてウェブ101が積層されることにより、マット102が製造される。
第2工程は、どのように行ってもよいが、例えば、プレスカット装置33を用いて実施することができる。プレスカット装置33は、マット102の一部を切り抜くための装置であり、上下方向に移動するカッター331を有している。
具体的に、第2工程では、プレスカット装置33に送られたマット102に上方からカッター331が押し付けられることにより、マット102の一部が前記積層方向に切り抜かれる。
第3工程は、どのように行ってもよいが、例えば、プレス装置34を用いて実施することができる。プレス装置34は、第2工程で得られたマット102の一部を圧縮するための装置であり、ヒータ等の加熱手段が内装された上下一対の定盤341を有している。
具体的に、第3工程では、プレス装置34に送られたマット102の一部が一対の定盤341の間に配され、このマット102の一部が一対の定盤341の間で圧縮されながら加熱されて、溶融された樹脂繊維が植物繊維同士を結着する。その後、冷却することにより、繊維ボード10が得られる。
より詳しくは、図4に示すように、第1工程においてクロスレイヤー装置32でマット102を製造する際、ウェブ101は、積層方向を上方向とし、植物繊維の含有量が前記積層方向で連続的に減少するに従い、樹脂繊維の含有量が前記積層方向で連続的に増加するように積層される。
第2工程では、図4中に点線で示すように、マット102の一部が切り抜かれるが、この切り抜かれたマット102の一部もまた、植物繊維の含有量が前記積層方向で連続的に減少するに従い、樹脂繊維の含有量が前記積層方向で連続的に増加している。
第3工程において、プレス装置34に送られたマット102の一部は、横倒しされた状態で一対の定盤341の間に配され、ウェブ101の積層方向を左方向とされる。そして、マット102の一部は、一対の定盤341により、ウェブ101の積層方向と交差(直交)する方向である上下方向に圧縮されながら加熱される。
上述のように、マット102は、第3工程でウェブ101の積層方向と交差(直交)する方向に圧縮されながら加熱される。この圧縮されたマット102中では、溶融された樹脂繊維がウェブ101同士による境界に影響されることなく混じり合って一体化することにより、該境界を消失させる。
また、マット102中において、植物繊維もまた、ウェブ101同士による境界に影響されることなく混じり合うため、ウェブ101間における植物繊維の含有量の差が曖昧となり、植物繊維の含有量がウェブ101の積層方向で連続的に減少することとなる。
マット102をウェブ101の積層方向と交差(直交)する方向に圧縮して製造された繊維ボード10は、前記積層方向がその面方向となる。そして、繊維ボード10は、ウェブ101同士による境界が消失することにより、植物繊維の含有量が前記面方向で連続的に減少するに従い、バインダ樹脂の含有量が前記面方向で連続的に増加する第1グラデーション領域11を有するものとなる。
尚、第2工程は、例えばニードルパンチ機構等の交絡手段を有していてもよい。この交絡手段は、第3工程の成形時に悪影響を及ぼさない寸法程度にウェブ101同士を交絡するものが好ましい。
例えば、ニードルパンチ機構であれば、そのニードルでウェブ101同士を締めすぎると、得られるマット102の厚みが薄くなり、第3工程で成形に必要とする面積を確保できなくなる。このため、交絡手段は、プレスカット装置33で切り抜かれたマット102の一部を対象とするものが好ましい。
そして、交絡手段でマット102を構成するウェブ101同士が交絡されることにより、このマット102を第3工程へ運びやすく、第3工程でマット102の一部を横倒しする際、ウェブ101同士の積層が崩れることを防止することができる。
また、第3工程において、プレス装置34は、左右一対の定盤341を有するものとすることにより、マット102の一部を、横倒しすることなく前記積層方向と交差(直交)する方向に圧縮することができる。
第1工程において、ウェブ101は、ウェブ101の目付中に占める植物繊維の含有量を段階的に減少又は増加させながら、該植物繊維の含有量を減少又は増加させた分に応じて、目付中に占める樹脂繊維の含有量を段階的に増加又は減少させることで、目付を一定に保つことができる。
上述のようにウェブ101の目付中に占める植物繊維の含有量を段階的に減少又は増加させる方法としては、ブレンダー311への植物繊維の供給量を減少又は増加させる方法が挙げられる。
また同様に、ウェブ101の目付中に占める樹脂繊維の含有量を段階的に増加又は減少させる方法としては、ブレンダー311への樹脂繊維の供給量を増加又は減少させる方法が挙げられる。
そして、ウェブ101の目付を一定に保つ具体的な方法として、ブレンダー311への植物繊維の供給量を減少又は増加させた分に応じて、該ブレンダー311への樹脂繊維の供給量を増加又は減少させる方法が挙げられる。
第1工程において、ウェブ101は、植物繊維の含有量をA(g/m)とし、樹脂繊維の含有量をB(g/m)として、樹脂繊維の含有量Bに対する植物繊維の含有量Aの相対比(A/B)が連続的に変化する一連のウェブとして製造することができる。
即ち、上述のカード装置31において、植物繊維及び樹脂繊維の含有量が連続的に変化するように、供給量を適宜調整しながら植物繊維及び樹脂繊維を絶え間なく供給することにより、一連のウェブが製造される(図3参照)。
そして、第1工程において、クロスレイヤー装置32を用い、一連のウェブをつづら折り状に積層することで、マット102を得ることができる(図4参照)。
また、第1工程において、ウェブ101は、植物繊維の含有量をA(g/m)とし、樹脂繊維の含有量をB(g/m)として、樹脂繊維の含有量Bに対する植物繊維の含有量Aの相対比(A/B)がそれぞれ異なる複数種のウェブとして製造することができる。
即ち、上述のカード装置31において、植物繊維及び樹脂繊維の含有量がそれぞれ異なるように、供給量をそれぞれ調整したうえで、植物繊維及び樹脂繊維を断続的に供給することにより、相対比(A/B)がそれぞれ異なる複数種のウェブが製造される。
そして、第1工程において、クロスレイヤー装置32を用い、複数種のウェブを、相対比(A/B)の大小の順に積層することで、マット102を得ることができる。
尚、植物繊維の含有量A(g/m)、樹脂繊維(バインダ樹脂)の含有量B(g/m)、及び相対比(A/B)については、上述したとおりである。
また、相対比(A/B)を、2.5を最大値として前記面方向で連続的に減少させる場合、植物繊維及び樹脂繊維は、供給時における互いの質量比の合計を100とし、植物繊維の質量比を70~0の範囲で複数の段階に分けて変更するとともに、その植物繊維の質量比に応じて、樹脂繊維の質量比を30~100の範囲で複数の段階に分けて変更する。
互いの質量比を変更する段階数は、2~20段階(更に2~15段階、特に3~10段階、とりわけ4~7段階)とすることができる。
また、植物繊維及び樹脂繊維を、互いの質量比を複数の段階に分けて供給する際、各段階における投入タイミングは、後の段階のものを投入する時点で前の段階のものがタンク312に残留している状態とする、つまり前の段階で供給される質量比のものと、後の段階で供給される質量比のものとが、タンク312内で混じり合うようにすることが好ましい。
ここで、図5(a),(b)に示した繊維ボード10を製造する場合には、第1工程のクロスレイヤー装置32でウェブ101を積層する際、植物繊維の含有量が積層方向で連続的に減少するに従い、樹脂繊維の含有量が前記積層方向で連続的に増加するようにウェブ101を積層し、これに連続して、植物繊維の含有量が積層方向で連続的に増加するに従い、樹脂繊維の含有量が前記積層方向で連続的に減少するようにウェブ101を積層して、マット102を製造すればよい。
あるいは、第1工程と第2工程の間に、植物繊維の含有量がウェブ101の積層方向で連続的に減少するに従い、樹脂繊維の含有量が前記積層方向で連続的に増加するマット102と、植物繊維の含有量がウェブ101の積層方向で連続的に増加するに従い、樹脂繊維の含有量が前記積層方向で連続的に減少するマット102と、を積み重ねて、1つのマットとしてもよい。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
[繊維ボードの調製]
植物材料として、ケナフ繊維を用意した。ケナフ繊維は、ケナフから取り出した靭皮を解繊して得た植物繊維である。ケナフ繊維の平均繊維長は70mmである。
バインダ樹脂となる樹脂繊維として、ポリプロピレン樹脂等を溶融紡糸して得た、融点170℃、繊度6.6dtexの繊維を得た。この樹脂繊維は、裁断により平均繊維長を50mmに揃えた。
上記ケナフ繊維と上記樹脂繊維とを、図3に示したカード装置31を用いて混繊し、樹脂繊維の含有量Bに対する植物繊維の含有量Aの相対比(A/B)が連続的に変化する一連のウェブ101を得た(第1工程)。
なお、ウェブを得る際には、樹脂繊維及び植物繊維の互いの質量比を以下の4段階に分けて変更し、相対比(A/B)を連続的に変化させた。
また、2段階目の投入タイミングはタンク312から1段階目が70g流れた時点とし、同様に3段階目の投入タイミングはタンク312から2段階目が70g流れた時点とし、4段階目の投入タイミングはタンク312から3段階目が70g流れた時点とした。
〔1段階目〕
ケナフ繊維と樹脂繊維との供給量の合計 100g
ケナフ繊維と樹脂繊維との質量比 50:50
相対比(A/B) 1
〔2段階目〕
ケナフ繊維と樹脂繊維との供給量の合計 100g
ケナフ繊維と樹脂繊維との質量比 25:75
相対比(A/B) 1/3
〔3段階目〕
ケナフ繊維と樹脂繊維との供給量の合計 100g
ケナフ繊維と樹脂繊維との質量比 10:90
相対比(A/B) 1/9
〔4段階目〕
樹脂繊維の供給量 100g
ケナフ繊維と樹脂繊維との質量比 0:100
相対比(A/B) 0
次いで、上述のように得られた一連のウェブ101を、図3に示したクロスレイヤー装置32を用いてつづら状に積層し、マット102を得た(第1工程)。
このマット102は、図4に示したように、植物繊維の含有量がウェブ101の積層方向(上方向)で連続的に減少するに従い、樹脂繊維の含有量が前記積層方向で連続的に増加していた。
次いで、上述のように得られたマット102から、その一部を横幅が50cmとなるように切り抜いた(第2工程)。
その後、切り抜いたマット102の一部を横倒しの状態とし、図4に示したプレス装置34を用い、200℃まで加熱(加熱時間40秒)しながらプレスした後、プレスしたまま25℃まで冷却して、厚さ3mm、目付1.0kg/mの繊維ボード10を得た。
[評価]
上述のようにして得られた繊維ボード10の表面を、目視で観察したところ、ウェブ101同士の境界が完全に消失しており、ケナフ繊維による茶色の色調が繊維ボード10の面方向で連続的に薄くなるに従い、バインダ樹脂による白色半透明の色調が前記面方向で濃くなる第1グラデーション領域11を有していた。
また、繊維ボード10の裏側から光を当て、表側から観察したところ、ケナフ繊維による色調が濃い箇所では光が不透過である一方、バインダ樹脂による色調が濃くなるに従い、光の透過が高まり、繊維ボード10の面方向で透過率がつぎ目なく徐変していた。
上記のように、ケナフ繊維による色調が面方向で連続的に薄くなるに従い、バインダ樹脂による色調が前記面方向で濃くなることから、第1グラデーション領域11においては、ケナフ繊維の含有量が繊維ボード10の面方向で連続的に減少するに従い、バインダ樹脂の含有量が前記面方向で連続的に増加しており、また、こうした含有量の変化により、可視光の透過率が前記面方向でつぎ目なく徐変することが分かった。
前述の記載は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施態様を挙げて説明したが、本発明の記述及び図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく、説明的及び例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その態様において本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料及び実施態様を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、寧ろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
本発明は、車両及び建材等の広範な製品分野で利用することができ、本発明の繊維ボードは、車両、建材等の広範な製品分野で用いることができ、特に車両の内装材として有用である。例えば、フロアトリム、ルーフトリム、ドアトリム等の各種の内装材に好適に用いられる。
10;繊維ボード、101;ウェブ、102;マット、
11;グラデーション領域、
31;カード装置、311;ブレンダー、312;タンク、313;カード機、
32;クロスレイヤー装置、321;揺動コンベア、
33;プレスカット装置、331;カッター、
34;プレス装置、341;定盤。

Claims (8)

  1. 植物繊維と、前記植物繊維を結着するバインダ樹脂と、を含んだ繊維ボードであって、
    前記植物繊維の含有量が前記繊維ボードの面方向で連続的に減少するに従い、前記バインダ樹脂の含有量が前記面方向で連続的に増加する領域、及び、前記植物繊維の含有量が前記繊維ボードの面方向で連続的に増加するに従い、前記バインダ樹脂の含有量が前記面方向で連続的に減少する領域、の少なくともいずれかの領域を有することを特徴とする繊維ボード。
  2. 前記領域は、目付が一定である請求項1に記載の繊維ボード。
  3. 前記植物繊維の含有量をA(g/m)とし、前記バインダ樹脂の含有量をB(g/m)とした場合、前記バインダ樹脂の含有量Bに対する前記植物繊維の含有量Aの相対比(A/B)が、2.5を最大値として前記面方向で連続的に減少する請求項1又は2に記載の繊維ボード。
  4. 前記バインダ樹脂は、前記植物繊維に比べ、可視光に対して高い透過性を有する請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の繊維ボード。
  5. 請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の繊維ボードの製造方法であって、
    植物繊維とバインダ樹脂となる樹脂繊維とを混繊したウェブを積層し、前記植物繊維の含有量が前記ウェブの積層方向で連続的に減少又は増加するに従い、前記樹脂繊維の含有量が前記積層方向で連続的に増加又は減少するマットを得る第1工程と、
    前記マットの一部を前記積層方向に切り抜く第2工程と、
    切り抜いた前記マットの一部を前記積層方向と交差する方向に圧縮する第3工程と、を備えることを特徴とする繊維ボードの製造方法。
  6. 前記ウェブは、該ウェブの目付中に占める前記植物繊維の含有量を段階的に減少又は増加させながら、該植物繊維の含有量を減少又は増加させた分に応じて、前記目付中に占める前記樹脂繊維の含有量を段階的に増加又は減少させることで、前記目付が一定に保たれている請求項5に記載の繊維ボードの製造方法。
  7. 前記第1工程において、前記ウェブは、前記植物繊維の含有量をA(g/m)とし、前記樹脂繊維の含有量をB(g/m)として、前記樹脂繊維の含有量Bに対する前記植物繊維の含有量Aの相対比(A/B)が連続的に変化する一連のウェブであり、前記一連のウェブをつづら折り状に積層してマットを得る請求項6に記載の繊維ボードの製造方法。
  8. 前記第1工程において、前記ウェブは、前記植物繊維の含有量をA(g/m)とし、前記樹脂繊維の含有量をB(g/m)として、前記樹脂繊維の含有量Bに対する前記植物繊維の含有量Aの相対比(A/B)がそれぞれ異なる複数種のウェブであり、前記複数種のウェブを前記相対比(A/B)の大小の順に積層してマットを得る請求項6に記載の繊維ボードの製造方法。
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