JP2006095918A - 繊維ボードの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【構成】ポリプロピレン樹脂繊維とケナフ繊維を混合して、ケナフ繊維に対するポリプロピレン樹脂繊維の表面側の混合比率が、厚み方向中心部のポリプロピレン樹脂繊維の混合比率より高い傾斜構造を有する混合マットを形成する第一工程と、ロールプレス機21、22によって混合マットの加熱プレスを行うとともに、混合マットが冷却されるまでロールプレス機21、22のエンドレスベルト21b、22bと混合マットの接触状態を維持する第二工程を有する。
【選択図】 図2
Description
請求項1に記載の繊維ボードの製造方法によれば、加熱装置を備えた一対のコンベアを用いることによって、混合マットを連続的に加熱プレスしつつ搬送でき、また、プレス時における混合マットの成形面と、一対のコンベアの接触状態を、混合マットが冷却されるまで維持することが可能となる。その為、繊維ボードの連続生産性を低下させることなく、成形後、コンベア表面に混合マットの表面の熱可塑性樹脂が付着することを抑制できる。さらに、混合マットは、表面における繊維状物質に対する熱可塑性樹脂の混合量が、内部の熱可塑性樹脂の混合量に比して大きいもの(傾斜構造)とすることにより、繊維状物質が表面に突出する恐れを軽減させた。以上のことより、本発明は連続生産性を維持しつつ、繊維ボードの表面平滑性を高め、その結果として従来のものよりも意匠性を高めることができる。
<請求項2の発明>
請求項2に記載の繊維ボードの製造方法によれば、前述した請求項1の効果に加えて、加熱装置を一対のコンベアとは別に設けたことにより、一対のコンベアは混合マットのプレス及び冷却のみを行うものとなる。従って、一対のコンベアの複雑化、大型化を抑制することができる。
<請求項3の発明>
請求項3に記載の繊維ボードの製造方法によれば、第一工程と第二工程を連続的に行うことが可能となり、より連続生産性を高めることが可能となる。また、繊維が相互に絡み合っている為、第一工程から第二工程への搬送性が高いという効果を有する。
<請求項4の発明>
請求項4に記載の繊維ボードの製造方法によれば、意匠性を損なうことなく、得られた繊維ボードを所望の形状に成形することができる。なお、本発明における本成形工程前の第一工程と第二工程は、予備成形工程に相当するものであるが、例えば材料を製造した工場で予備成形工程を行えば、本成形工程を行う別工場までの搬送性が高いものとすることができる。
〔マット形成工程10〕
図3は、図2におけるマット形成工程10を拡大して示したものである。このマット形成工程10は、回転する回転体11と、該回転体11の表面に原材料を送り込む材料搬送機1と、前記回転体11の表面に供給された原材料に圧縮空気を吹き付けて飛散させるエアブロー装置13と、飛散した原材料を受けて搬送する第一搬送機2を主体として構成されている。原材料は、あらかじめ直径0.1〜0.3mm、長さ2〜15mm程度に開繊したケナフ繊維と、直径0.01〜0.03mm、長さ30〜50mm程度のポリプロピレン樹脂繊維を1:1の重量比率で配合したものを用いる。材料搬送機1により原材料は回転体11の背部(図示左側の側部)に供給される。回転体11表面には、ガーネットワイヤと呼ばれる表面に無数の突起が形成されたワイヤが巻きつけられており、回転体11の背部から上部に至る範囲には、大小二つのローラー(ウォッカとストリッパ)からなるほぐしローラー対12が複数固定されている。各繊維は、材料供給コンベア1によって搬送され、回転体11に至ると、ガーネットワイヤによって回転体11の表面に付着し、回転体11の回動によって回転体11の表面を搬送されていく。そして、前述したほぐしローラー対12に各繊維が巻き込まれてほぐされながらさらに回転体11の表面に供給されていく。回転体11の正面側(図示右側)上方には、エアブロー装置13が配置されている。このエアブロー装置13により、上記ほぐしローラー対12によりほぐされた原材料に向けて圧縮空気が吹き付けられ、これにより原材料が回転体の正面側部付近から下方すなわち第一搬送機2の搬送面に向けて吹き飛ばされる。吹き飛ばされる段階で、原材料には回転体11の回転による慣性力(遠心力)により前方(図示右方)に向けて放出される。このため、各繊維が重く圧縮空気により吹き飛ばされにくい形状を有するケナフ繊維が、エアブロー装置13の影響を受けることなく、回転体11の遠心力により該回転体11から遠く離れた範囲に飛ばされ、各繊維がケナフ繊維よりも軽いポリプロピレン繊維が回転体11の回転による遠心力よりもエアブロー装置13による圧縮空気の吹き付けにより回転体11に近い範囲に落下する。しかも、原材料が吹き飛ばされる全範囲において、回転体11に近い範囲ほどポリプロピレン樹脂繊維の配合比率(飛散する割合)が高く、回転体11から遠い範囲ほどケナフ繊維の配合比率(飛散する割合)が高くなる。その結果、ケナフ繊維とポリプロピレン繊維は配合比率が徐々に変化する状態で吹き飛ばされ、これにより第一搬送機2の搬送面上に配合比率が厚み方向に徐々に変化する状態でケナフ繊維とポリプロピレン樹脂繊維が層状に堆積されていく。第一搬送機2は図示時計回り方向に作動して、その搬送面は図示右方に移動する。従って、回転体11に近い範囲で先ずポリプロピレン樹脂繊維が高い配合比率で堆積され、図示右方へ搬送される過程において徐々にケナフ繊維の配合比率が高い割合で堆積されていく。従って、搬送面上には厚み方向に配合比率が徐変する状態で片面傾斜構造の繊維層状体が形成されていく。さらに、図示右方へ搬送されて回転体11から離れた範囲に至ると、ポリプロピレン樹脂繊維は少なくなり、ケナフ繊維が極めて高い割合で堆積される。このため、最終的にベルトコンベア2の搬送面側(下側)がポリプロピレン樹脂繊維の配合比率が高い樹脂リッチ側となり、上側に至るほどケナフ繊維の配合比率が徐々に高くなる状態に層状化(傾斜構造化)された繊維層状体が形成される。そして、このポリプロピレン樹脂繊維の配合比率の高い側が、本発明の製造方法によって得られる繊維ボードの平滑性の高い表面側となる。
〔プレス工程20〕
次に、図2におけるプレス工程20について説明する。
〔裁断工程30〕
次に、図2における裁断工程30について説明する。図2に示すように、第二搬送機3と第三搬送機4は、所定の間隔を置いて同一平面上に隣り合って位置されており、第二搬送機3と第三搬送機4の間の上方には、裁断刃31が図示しない昇降装置によって両搬送機間に向けて昇降可動となっている。
〔本成形工程40〕
本成形工程40では、所望の形状に加工した上下一対の金型間に繊維ボードを加熱しつつ挟みこんで成形を行う一般的な加熱成形装置によって行う(図示無し)。なお、この本成形工程においては、繊維ボードの表面側に塩化ビニル等の表皮を固定した状態で上下型を閉じることにより、表皮と繊維ボードの一体成形を可能とする。この際、従来の製造方法における繊維ボードであれば、プレス工程20時に繊維ボードの表面に発生する凹凸の為、表皮と繊維ボードとの間に発泡層を設けて、表面に凹凸が現れないようにする必要がある。しかしながら本発明における製造方法により、成形品の表面に現れる凹凸を抑制できる為、この発泡層を設けなくとも、表面の平滑性を高くすることができ、材料費の抑制につながるという効果を有する。
以上の工程により得られた繊維ボードは、表面側においてケナフ繊維に対するポリプロピレン樹脂の配合比率を、厚み方向中心部のそれよりも高くした為、表面側にケナフ繊維の一部が露出するという恐れを軽減することができる。また、混合マットのプレス工程20において、混合マットの加熱後、混合マット中のポリプロピレン樹脂の軟化温度以下まで冷却させた状態でエンドレスベルト21b、22bと混合マットを非接触状態とする為、混合マット表面のポリプロピレン樹脂がエンドレスベルト21b、22b表面に付着する恐れを軽減させることができる。したがって、表面の平滑性が極めて高い繊維ボードを得ることができる。また、以上の効果を有する本発明における繊維ボードは、ロールプレス機を用いて成形を行うことより、連続生産性に優れたものとなる。
〔その他の実施の形態〕
なお、本発明における繊維ボードの製造方法は、以上の実施の形態に限定されるものではないことはもちろんであり、例えば以下の実施の形態も本発明の請求範囲に含まれる。
例えば、図6に示される本成形方法における工程は、前述した実施の形態と類似するものであるが、プレス工程20におけるロールプレス機21、22に加熱機構が内蔵されておらず、上下各エンドレスベルト21b、22bの内部のドラム21a,22a間にドラムよりも小径の加圧ローラー21f、22fが設けられている。そして、プレス工程20前の第一搬送機2とロールプレス機21、22の間に加熱装置23を設け、ポリプロピレン樹脂の軟化点以上の熱気を加熱装置23より混合マットの表面に対して下方から吹き付ける工程を有する。すなわち、プレス工程20前に混合マット中のポリプロピレン樹脂を軟化点以上に加熱し、プレス工程20では、混合マットの成形及び冷却のみを行うものである。この方法は、前述した実施の形態において同時に行っていた加熱とプレスを、別々に行うものであり、ロールプレス機21、22が複雑、大型にならない点で優れた方法であると言える。
2 第一搬送機
3 第二搬送機
4 第三搬送機
10 マット形成工程
11 回転体
12 ほぐしローラー対
13 エアブロー装置
20 プレス工程
21、22 ロールプレス機
23 加熱装置
30 裁断工程
31 裁断刃
40 本成形工程
Claims (4)
- 熱可塑性樹脂と、繊維状物質とから構成される繊維ボードの製造方法であって、少なくとも一方の表面における該繊維状物質に対する熱可塑性樹脂の混合量が、内部の熱可塑性樹脂の混合量に比して大きい混合マットを形成する第一工程と、前記混合マットをコンベアで搬送させつつ加熱及びプレスを連続的に行う第二工程を有する繊維ボードの製造方法であって、前記第二工程は、コンベア表面に伝熱させる加熱装置を備えて相対する一対のコンベア間に、前記混合マットを通すことによって、前記混合マット中の熱可塑性樹脂を軟化点以上に加熱してプレスを行い、さらに前記熱可塑性樹脂が軟化点以下に冷却されるまで前記コンベアと混合マットの接触状態を維持するものであることを特徴とする繊維ボードの製造方法。
- 熱可塑性樹脂と、繊維状物質とから構成される繊維ボードの製造方法であって、少なくとも一方の表面における該繊維状物質に対する熱可塑性樹脂の混合量が、内部の熱可塑性樹脂の混合量に比して大きい混合マットを形成する第一工程と、前記混合マットを加熱してプレスする工程を連続的に行う第二工程を有する繊維ボードの製造方法であって、前記第二工程は、少なくとも一方の表面から混合マットと接触することなく、加熱装置で混合マットを加熱することにより、混合マット中の熱可塑性樹脂を軟化点以上に加熱する工程と、一対のコンベア間に前記混合マットを通すことによって、混合マットをプレスするとともに、前記熱可塑性樹脂が軟化点以下に冷却されるまで前記コンベアと混合マットの接触状態を維持する工程を連続的に行うものであることを特徴とする繊維ボードの製造方法。
- 請求項1もしくは2において、前記熱可塑性樹脂は繊維状のものであって、さらに、前記第一工程は、各繊維を、前記コンベア前に位置する搬送手段の搬送面に向けて飛散させて、各繊維の質量、体積もしくは形状の相違により、厚み方向に配合比率が徐々に変化する状態に前記搬送面上に堆積させて層状化させるものであることを特徴とする繊維ボードの製造方法。
- 請求項1乃至3において、前記第二工程で得られた繊維ボードを、所望の形状に成形することを特徴とする繊維ボードの製造方法。
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