JP2015015572A - 発振回路、発振装置および発振方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の発振器の出力を加算する構成ではジッタ成分の低減が不十分である。
【解決手段】本発明の発振回路は、複数の位相同期回路と第2の位相比較器と自動遅延回路と加算器と分圧器とを有し、位相同期回路は、入力基準信号と比較信号との位相の比較を行う第1の位相比較器と、第1の位相比較器の出力における不要な変動を遮断するループフィルタと、ループフィルタの出力に基づいて発振周波数を調整してクロック信号を生成する電圧制御発振装置(VCO)とを備え、第2の位相比較器はPLLの出力間の位相を比較し、出力間の位相差を小さくする制御信号を出力し、自動遅延器は制御信号に基づいて比較信号の位相を遅延させ、加算器は第2の位相比較器からの出力を合成し、分圧器は加算器からの出力を分圧する。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の発振回路は、複数の位相同期回路と第2の位相比較器と自動遅延回路と加算器と分圧器とを有し、位相同期回路は、入力基準信号と比較信号との位相の比較を行う第1の位相比較器と、第1の位相比較器の出力における不要な変動を遮断するループフィルタと、ループフィルタの出力に基づいて発振周波数を調整してクロック信号を生成する電圧制御発振装置(VCO)とを備え、第2の位相比較器はPLLの出力間の位相を比較し、出力間の位相差を小さくする制御信号を出力し、自動遅延器は制御信号に基づいて比較信号の位相を遅延させ、加算器は第2の位相比較器からの出力を合成し、分圧器は加算器からの出力を分圧する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、発振回路、発振装置および発振方法に関し、特に、ジッタ成分を低減した発振回路、発振装置および発振方法に関する。
一般的に、発振回路のジッタの低減には、発振回路に含まれる位相同期回路(以後PLLと呼ぶ:Phase Locked Loop)の帯域調整や、電圧制御発振装置(以後VCOと呼ぶ:Voltage Controlled Oscillator)の発振周波数の高周波数化や、フラクショナルN型PLL使用での周波数逓倍数の低減効果などがジッタの性質に応じて利用されている。そして、デジタルPLLとアナログPLL等の直列接続など、PLLの構成方法の違いによるジッタの圧縮方法も数多くある。ここで、ジッタとは信号波形の時間的な揺らぎであり、位相雑音をオフセット周波数で積分した電力と等価である。そのため、ジッタの低減は位相雑音の低減と同義と捉えることができる。以後、位相雑音の低減に注目していく。
位相雑音のうち、オフセット周波数が低いところでは入力基準クロックに起因する位相雑音が支配的となる。その一方で、オフセット周波数が高いところではVCOに起因する位相雑音が支配的となる。そのため、VCOの低位相雑音化が必要となる。入力基準クロックよりも位相雑音の小さいVCOが、ジッタ低減のため使用されている。
このように、ジッタ低減のためには、ジッタの低減目標と同等かそれ以上に位相雑音の小さいVCOの使用が不可欠であった。つまり、VCOの性能によって、ジッタが低減できる限界がおのずと定まっていた。そこで、数々のジッタ低減VCOの実現方法が提案されている。例えば、VCOの発振周波数を数GHzまで高めて分周することで所望の周波数を得る方法や、ICに組み込まれるVCOにおいてLC発振回路等のジッタ生成の小さい発振装置を使用する方法などである。これらの方法が、単独であるいはこれらを組み合わせて用いられていた。
このような発振回路の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載のクロック発生回路は、インバータをリング状に接続してクロックを発生するリングオシレータやVCOを含むPLL回路を複数備えており、それらの出力クロックを加算器で加算して出力クロックを生成する構成とされている。加算してクロックを発生すると、発生したクロックのジッタ成分は、加算前のクロックのジッタ成分より小さくなるとされている。
また、別の発振回路の一例が、特許文献2に記載されている。特許文献2に記載された信号発振回路は、PLLループ内に遅延回路を備える構成とされている。その構成によって、各PLL内の発振装置出力の位相を基準周波数入力に対して自由に設定できるとされている。
先述のように、PLLの構成方法の違いによるジッタの低減方法を複数組み合わせたとしても、組み合わせの数に応じて低減効果が必ずしも増すものではなかった。すなわち、VCOの性能によって、ジッタが低減できる限界がおのずと定まっていた。そのため、さらなるジッタ低減には、VCOそのものの位相雑音性能の改良や、VCOの使い方の工夫などを図るしかなかった。
ここで、特許文献1に記載の発振回路の構成では、複数のリングオシレータ間やPLL間の位相関係を保つような工夫が具体的になされていない。そのため、複数のリングオシレータ間における位相のずれを調整することができないので、複数のリングオシレータからの出力の加算によるジッタ成分の低減が不十分であるという問題があった。
また、特許文献2に記載の信号発振回路の構成では、各PLL内の発振装置出力の位相を自由に設定し、相互の時間関係を一定に保った周波数の異なる複数のバースト信号を発生させることとしている。係る構成により周波数安定度を増大させることはできるが、各信号におけるジッタを低減することはできなかった。
本発明の目的は、上述した課題である複数の発振器の出力を加算する構成ではジッタ成分の低減が不十分である、という課題を解決する低減発振回路、発振装置および発振方法を提供することにある。
本発明の発振回路によれば、複数の位相同期回路と第2の位相比較器と自動遅延回路と加算器と分圧器とを有し、位相同期回路は、入力基準信号と比較信号との位相の比較を行う第1の位相比較器と、第1の位相比較器の出力における不要な変動を遮断するループフィルタと、ループフィルタの出力に基づいて発振周波数を調整してクロック信号を生成する電圧制御発振装置(VCO)とを備え、第2の位相比較器はPLLの出力間の位相を比較し、出力間の位相差を小さくする制御信号を出力し、自動遅延器は制御信号に基づいて比較信号の位相を遅延させ、加算器は第2の位相比較器からの出力を合成し、分圧器は加算器からの出力を分圧する。
本発明の発振方法によれば、入力基準信号と比較信号との位相の比較を行い、位相比較後の出力における不要な変動を遮断し、不要な変動を遮断した出力に基づいて周波数を発振し、発振した周波数を比較信号とし、この比較信号と入力基準信号との位相差が無くなるようループ処理を行てクロック信号を生成し、このクロック信号を生成するステップを並列して行うことにより取得した複数のクロック信号間の位相差を比較し、位相差が小さくなるように制御信号を出力し、制御信号に基づいて比較信号の位相を遅延させ、その後に、複数のクロック信号を合成して合成信号を生成し、合成信号を分圧して出力する。
本発明の発振回路、発振装置および発振方法によれば、入力クロックに対して出力クロックのジッタを低減することができる。
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、同じ機能を有するものには同じ符号をつけ、その説明を省略する場合がある。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る発振回路の構成を示すブロック図である。3系統のPLL1A〜1Cから構成され、各PLLはそれぞれ、第1の位相比較器11、ループフィルタ12、VCO13を備える。そして、PLL1BとPLL1Cは、さらに自動遅延器5を備える。3系統のPLLの後段には、第2の位相比較器2、加算器3、分圧器4が順に配置される。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る発振回路の構成を示すブロック図である。3系統のPLL1A〜1Cから構成され、各PLLはそれぞれ、第1の位相比較器11、ループフィルタ12、VCO13を備える。そして、PLL1BとPLL1Cは、さらに自動遅延器5を備える。3系統のPLLの後段には、第2の位相比較器2、加算器3、分圧器4が順に配置される。
個々の構成要素の動作は次の通りである。第1の位相比較器11は、入力基準信号と比較信号との位相の比較を行う。ループフィルタ12は、第1の位相比較器11の出力における不要な変動を遮断する。VCO13は、ループフィルタ12の出力に基づいて発振周波数を調整してクロック信号を生成する。第2の位相比較器2は、入力されたPLLの出力間の位相を比較しその位相差を小さくする制御信号を出力する。自動遅延器5は、この制御信号に基づいて比較信号の位相を遅延させる。加算器3は、第2の位相比較器2からの出力を合成する。分圧器4は、加算器3からの出力を分圧し、出力信号7を出力する。
発振回路全体の動作は次の通りである。各PLLにおいて入力基準信号6に同期して、独立したクロック信号をそれぞれ生成する。各クロック信号は入力基準信号に同期しているが、ジッタ成分はそれぞれ独立している。従って、各ジッタ成分の合成は電力和となる。各PLLから出力された各クロック信号を、第2の位相比較器2に入力する。そこにおいて、並列接続したPLLから出力されたクロック信号間の位相差を検出すると共に、後段の加算器3に対して各クロック信号を出力する。各クロック信号を加算器3に入力し、電圧加算する。各クロック信号成分の合成が電圧和となるのは、各クロック信号間に相関があるからである。合成されたクロック信号を、分圧器4で所望のレベルに分圧した後、出力信号7として出力する。一方、検出されたクロック信号間の位相差について、その位相差に応じた制御電圧を第2の位相比較器2から各PLLの自動遅延器5に出力する。制御電圧に応じた位相調整を、各PLLにおいて自動遅延器5を介して行う。この各PLLにおける位相調整によってPLL間の位相ずれを最小化する。
第2の位相比較器2と自動遅延器5について、より詳細に説明する。第2の位相比較器2は、PLL1の出力クロックを基準に、PLL2の出力クロックの位相ずれを検出する。さらに、この位相ずれの大きさに比例した電圧を第2の位相比較器2は出力する。PLL2の自動遅延器5Bは、第2の位相比較器2からの出力電圧をもとに、出力クロックの位相差が最小になるように動作する。具体的には、電圧に応じて静電容量が変化することで位相の調整が行われる。PLL3の自動遅延器5Cについても、同様な調整が行われる。このように、第2の位相比較器2と自動遅延器5は動作する。以上のように、本実施形態では、並列接続したPLL間の出力クロックの位相ずれを最小化し、発振回路のジッタを低減することができる。
次に、本実施形態の位相ずれを最小化することによるジッタ低減の動作について、数式を用いて詳細に説明する。3系統のPLLの電圧出力をそれぞれA1、A2、A3とする。A1〜A3は式(1)〜(3)のように表すことができる。
A1 = cos(ωt + a) = cosωt・cos a − sinωt・sin a 式(1)
A2 = cos(ωt + b) = cosωt・cos b − sinωt・sin b 式(2)
A3 = cos(ωt + c) = cosωt・cos c − sinωt・sin c 式(3)
ここで、a、b、cはPLLのジッタ成分に相当する位相差である。また、ωはクロック周波数である。これらを加算すると次式となる。
A1+A2+A3= cosωt・(cos a +cos b +cos c)−sinωt・(sin a +sin b +sin c)
式(4)
ここで、各PLL間の位相ずれが最小となるように調整できている場合、ジッタ成分に相当する位相差a、b、cはゼロ近傍の値となる。従って、cosa=1、sina=aと近似することができる。この近似を式(4)に適用すると次式となる。
A1+A2+A3=3・cos ωt −(a + b + c)・sinωt 式(5)
続いて、分圧回路を用いた場合を検討する。つまり、出力レベルA0が入力レベルA1+A2+A3と同等となるよう、電圧振幅を1/3に分圧する。そうすると式(5)は次式となる。
A0=(A1+A2+A3)/3 = cos ωt−(a+b+c)/3・sinωt 式(6)
ここで、各PLLのジッタ成分は独立しており、その分布が平均値ゼロで、標準偏差σa、σb、σcの正規分布であるとする。この場合、これらを加算した分布の標準偏差は、各標準偏差の相乗平均となる。従って、式(6)の出力AOのジッタ分布の標準偏差は、
(σa 2+σb 2+σc 2)0.5/3 式(7)
となる。ここで、σa=σb=σc=σとすると、式(7)は、σ/30.5となる。すなわち、σの1/√3である。つまり、合成前のジッタ分布の標準偏差σが、合成することによって標準偏差σ/√3となっている。すなわち、ジッタ分布が1/√3(≒0.577)に圧縮されている。以上のようにジッタが低減されることがわかる。
A1 = cos(ωt + a) = cosωt・cos a − sinωt・sin a 式(1)
A2 = cos(ωt + b) = cosωt・cos b − sinωt・sin b 式(2)
A3 = cos(ωt + c) = cosωt・cos c − sinωt・sin c 式(3)
ここで、a、b、cはPLLのジッタ成分に相当する位相差である。また、ωはクロック周波数である。これらを加算すると次式となる。
A1+A2+A3= cosωt・(cos a +cos b +cos c)−sinωt・(sin a +sin b +sin c)
式(4)
ここで、各PLL間の位相ずれが最小となるように調整できている場合、ジッタ成分に相当する位相差a、b、cはゼロ近傍の値となる。従って、cosa=1、sina=aと近似することができる。この近似を式(4)に適用すると次式となる。
A1+A2+A3=3・cos ωt −(a + b + c)・sinωt 式(5)
続いて、分圧回路を用いた場合を検討する。つまり、出力レベルA0が入力レベルA1+A2+A3と同等となるよう、電圧振幅を1/3に分圧する。そうすると式(5)は次式となる。
A0=(A1+A2+A3)/3 = cos ωt−(a+b+c)/3・sinωt 式(6)
ここで、各PLLのジッタ成分は独立しており、その分布が平均値ゼロで、標準偏差σa、σb、σcの正規分布であるとする。この場合、これらを加算した分布の標準偏差は、各標準偏差の相乗平均となる。従って、式(6)の出力AOのジッタ分布の標準偏差は、
(σa 2+σb 2+σc 2)0.5/3 式(7)
となる。ここで、σa=σb=σc=σとすると、式(7)は、σ/30.5となる。すなわち、σの1/√3である。つまり、合成前のジッタ分布の標準偏差σが、合成することによって標準偏差σ/√3となっている。すなわち、ジッタ分布が1/√3(≒0.577)に圧縮されている。以上のようにジッタが低減されることがわかる。
発振回路においては、回路内部の各種ばらつきやノイズ発生等のため、期待した特性が得られない場合がある。並列接続したPLLの出力クロック間で位相がずれると、定常位相誤差分が発生し、ジッタの増加およびクロック品質を落とすことになる。本実施形態による発振回路では、定常位相誤差を取り除いた状態で出力クロックを合成しているので、これらの問題を回避することができる。以上のように、ジッタ低減できる効果がある。続いて、発振回路を構成する各機器の動作について詳細に説明する。
図2は、加算器3を構成する加算回路30の構成の一例である。オベアンプと抵抗を使用した回路である。加算回路30の入力部の抵抗Ra、Rb、Rcをそれぞれ同値とし、帰還抵抗Rfも同値とする場合について例にとる。この場合、加算回路30における出力V0は、各入力電圧V1、V2、V3を使って、式(7)のように表すことができる。
V0 = −(V1+V2+V3) 式(7)
ここで、出力V0の符号はマイナスであり、入力に対して出力した信号の位相が反転することを意味する。なお、この位相反転はジッタ低減の性能には関与しない。
ここで、出力V0の符号はマイナスであり、入力に対して出力した信号の位相が反転することを意味する。なお、この位相反転はジッタ低減の性能には関与しない。
図3は、分圧器4を構成する分圧回路40の構成の一例である。抵抗を用いた分圧回路である。分圧回路40に入力された電圧Vinは抵抗R1、R2によって抵抗分圧され、次式(8)に示すような電圧Voutが出力される。
Vout = R2 /(R1+R2)・Vin 式(8)
R1の抵抗値がR2の抵抗値の2倍とする場合について例にとる。この場合、式(8)よりVout=1/3Vinとなって、入力電圧は三分の一に分圧される。
R1の抵抗値がR2の抵抗値の2倍とする場合について例にとる。この場合、式(8)よりVout=1/3Vinとなって、入力電圧は三分の一に分圧される。
なお、加算回路30や分圧回路40を構成する部品の選択の際には、発振回路内部から発生する雑音の影響を極力避けることが望まれる。そのため、オペアンプは低雑音タイプを使用することが好ましい。また、抵抗は薄膜抵抗を使用することが好ましい。薄膜抵抗の使用によっても熱雑音の発生は避けられないが、流れる電流の大きさに応じて発生するフリッカー雑音(1/f雑音)は低くすることができる。特に、分圧回路40の抵抗にとって、発振回路内部から発生する雑音を抑えるのに薄膜抵抗は不可欠である。
図4は、自動遅延器5を構成する自動遅延回路50の構成の一例である。抵抗とコンデンサとからなる時定数回路である。コンデンサの一部には、可変容量ダイオード51を使用する。第2の位相比較器2から出力される位相ずれに応じた直流電圧によって、時定数が変化するように動作する。この時定数の変化を受けて、PLL内の帰還クロック波形の立ち上がり時間が変わる。その結果、PLL内の第1の位相比較器11が一定の閾値電圧でこの立ち上がりを検出すると、位相遅延が制御できることとなる。なお、この一例は、クロック信号の周期の1/10程度の遅延量制御を想定したものである。他にも位相遅延量に応じた種々の回路構成が可能である。
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係る発振回路の構成を示すブロック図である。図5に示すブロック図の構成と図1に示すブロック図の構成との差異は、入力基準信号の周波数精度とVCOの周波数精度にある。すなわち、本実施形態では、入力基準信号として、水晶発振装置を用いた低ジッタ信号を用いている。また、VCOとして、水晶発振装置に可変容量素子を追加して周波数可変としたVCXO14を用いている。その他の構成は図1に示す発振回路と同等である。図5に示すブロック図の構成の特性の説明に先立って、図1に示すブロック図の構成の特性の説明を次に行う。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る発振回路の構成を示すブロック図である。図5に示すブロック図の構成と図1に示すブロック図の構成との差異は、入力基準信号の周波数精度とVCOの周波数精度にある。すなわち、本実施形態では、入力基準信号として、水晶発振装置を用いた低ジッタ信号を用いている。また、VCOとして、水晶発振装置に可変容量素子を追加して周波数可変としたVCXO14を用いている。その他の構成は図1に示す発振回路と同等である。図5に示すブロック図の構成の特性の説明に先立って、図1に示すブロック図の構成の特性の説明を次に行う。
図6は、位相雑音とPLLのオフセット周波数との関係を説明するための図である。入力基準信号よりも小さい位相雑音特性を有するVCO(VCO13)を使用した場合である(図1に示すブロック図の構成)。第1の実施形態の発振回路に入力した入力基準信号の位相雑音特性は点線であり、VCOの位相雑音特性は一点鎖線のように表される。各PLLからの出力の位相雑音特性は、破線のようになる。すなわち、PLLのループ帯域よりも低いオフセット周波数側では入力基準信号の位相雑音特性に従い、高いオフセット周波数側ではVCOの位相雑音特性に従う。つまり、各PLLからの出力の位相雑音レベルは、入力基準信号の位相雑音レベルよりも、オフセット周波数の高い側においてVCOとPLL構成によって低減される。
この位相雑音の特性カーブは各PLL間で基本的に同等であるが、各PLLからの出力の位相雑音は相関性がなく互いに独立である。各PLL間の位相差が最小となるよう調整された状態で、各PLLからの出力が足し合わされそして分圧されると、合成後の出力の位相雑音は全体的に低減された特性となる(実線)。つまり、各PLL合成後の出力信号は、PLL単体の出力信号よりも、オフセット周波数の全域に渡って、位相雑音のレベルが一定値低減した特性となる。各PLL間の位相差が無い理想的な状態において、各PLL出力の合成による位相雑音レベル低減の効果は最大となる。なお、PLLのループ帯域よりも高いオフセット周波数側においては、位相雑音のレベル低減が飽和している。すなわち、合成後の出力信号(実線)が高いオフセット周波数側で一定値に飽和している。これは、回路の熱雑音等のノイズフロアが見えてきているためである(位相雑音レベルの低減限界)。続いて、図5に示した第2の実施形態による発振回路の場合について説明する。
図7は、水晶発振装置を用いた入力基準信号と、水晶発振装置を用いたVCOであるVCXO(VCXO14)を適用した場合の位相雑音とPLLのオフセット周波数との関係を説明するための図である。この場合、入力基準信号の位相雑音レベルは、低いオフセット周波数側においてもVCOの位相雑音レベルと同等に低いレベルとなる。すなわち、入力基準信号の位相雑音特性とVCOの位相雑音特性とが等しくなる。この場合、PLL構成による位相雑音の低減は限界となっている。つまり、各PLLからの出力の位相雑音特性は、入力基準信号およびVCOの位相雑音特性と等しくなる。
各PLLからの出力が足し合わされそして分圧されると(実線)、PLL単体の出力信号(破線)よりも、位相雑音はオフセット周波数の全域に渡って低減された特性となる。そして、位相雑音レベルは、図1に示した第1の実施形態による発振回路の構成の場合よりも低くなる(オフセット周波数の低い側で顕著)。なお、オフセット周波数の高い側において位相雑音のレベル低減が一定値に飽和しているのは、回路の熱雑音等のノイズフロアが見えてきているためである。以上のように、各PLL間の位相差が無い理想的な状態において、各PLL出力の合成による位相雑音レベル低減の効果が最大となるのに加えて、水晶発振装置を用いた入力基準信号およびVCOの使用により、より一層の位相雑音の低減を図ることができる。
本発明は、クロックを使用するすべての電子機器で利用できる。特に、関連する技術において、PLLのジッタ低減では不十分で、さらなる低ジッタクロックを要求する分野での利用に適している。例えは、通信回線から再生したクロックのジッタの低減、低ジッタクロックが求められる高速シリアル伝送用のリファレンスクロック等への利用に適している。本発明は、本発明の発振回路を含む発振装置や、本発明の発振回路で行われる発振動作に基づく発振方法であってもよい。
なお、PLLの構成するループの中に、VCOの出力周波数を分周する分周器を設けてもよい。また、入力基準信号に用いる水晶発振装置として、温度センサから導出した補償電圧をVCOの制御系に反映したTCXOや、発振回路全体を恒温槽に封じ込めたOCXOを用いてもよい。また、第2の位相比較器、加算器、分圧器を個別に設けるほか、いくつかに組み合わせて設けてもよい。
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。
1、1A、1B、1C PLL
11、11A、11B、11C 第1の位相比較器
12、12A、12B、12C ループフィルタ
13、13A、13B、13C VCO
14、14A、14B、14C VCXO
2 第2の位相比較器
3 加算器
4 分圧器
5、5B、5C 自動遅延器
6 入力基準信号
7 出力信号
30 加算回路
40 分圧回路
50 自動遅延回路
51 可変容量ダイオード
11、11A、11B、11C 第1の位相比較器
12、12A、12B、12C ループフィルタ
13、13A、13B、13C VCO
14、14A、14B、14C VCXO
2 第2の位相比較器
3 加算器
4 分圧器
5、5B、5C 自動遅延器
6 入力基準信号
7 出力信号
30 加算回路
40 分圧回路
50 自動遅延回路
51 可変容量ダイオード
Claims (6)
- 複数の位相同期回路と、第2の位相比較器と、自動遅延回路と、加算器と、分圧器とを有し、
前記位相同期回路は、
入力基準信号と比較信号との位相の比較を行う第1の位相比較器と、
前記第1の位相比較器の出力における不要な変動を遮断するループフィルタと、
前記ループフィルタの出力に基づいて発振周波数を調整してクロック信号を生成する電圧制御発振装置(VCO)と、
を備え、
前記第2の位相比較器は、前記PLLの出力間の位相を比較し、前記出力間の位相差を小さくする制御信号を出力し、
前記自動遅延器は、前記制御信号に基づいて前記比較信号の位相を遅延させ、
前記加算器は、前記第2の位相比較器からの出力を合成し、
前記分圧器は、前記加算器からの出力を分圧する
発振回路。 - 前記電圧制御発振装置(VCO)は、水晶発振装置を用いた電圧制御発振装置(VCXO)である請求項1に記載の発振回路。
- 前記分圧器は、薄膜抵抗を用いた抵抗分圧回路である請求項1または2に記載の発振回路。
- 前記自動遅延器は、可変容量素子を含む時定数回路である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発振回路。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発振回路を含む発振装置。
- 入力基準信号と比較信号との位相の比較を行い、
位相比較後の出力における不要な変動を遮断し、
不要な変動を遮断した出力に基づいて周波数を発振し、
発振した周波数を比較信号とし、
この比較信号と入力基準信号との位相差が無くなるようループ処理を行てクロック信号を生成し、
前記クロック信号を生成するステップを並列して行うことにより取得した複数の前記クロック信号間の位相差を比較し、
前記位相差が小さくなるように制御信号を出力し、
前記制御信号に基づいて前記比較信号の位相を遅延させ、
その後に、前記複数のクロック信号を合成して合成信号を生成し、
前記合成信号を分圧して出力する
発振方法。
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