JP2015015182A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】過充電に対する安全性に優れるとともに、高率放電特性の低下が防止される非水電解質二次電池を提供すること。【解決手段】正極集電体1、第一の正極合剤層3、および前記正極集電体1と前記第一の正極合剤層3との間に形成される第二の正極合剤層2を含む正極を有し、前記第二の正極合剤層2がリチウム複合酸化物粒子20を含み、前記正極集電体1に対する前記第二の正極合剤層の被覆率が60〜95%である非水電解質二次電池。【選択図】図1

Description

本発明はリチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池に関する。
非水電解質二次電池において、特定のリチウム複合酸化物を含む正極合剤層の上に、正極活物質を含む別の正極合剤層を備えた多層構造をもつ正極が知られており、このような構成は過充電時に下の正極合剤層が抵抗上昇して安全化することが知られている(例えば、特許文献1,2)。このような技術において、正極における下の正極合剤層は、リチウム複合酸化物およびバインダー樹脂を有機溶媒に分散または溶解させたペーストを集電体に塗布し、乾燥させ、プレスすることにより形成されている。
特に特許文献1では、正極に下の正極合剤層を備え、さらに正極と負極との間に多孔質絶縁層を備えることで、安全性に優れた電池を提供することを目的としている。特許文献1の具体例では、下の正極合剤層に導電助剤を備えていない。
特開2009−4289号公報 特開2007−26676号公報
下の正極合剤層による過充電時の抵抗上昇の効果を得るために、下の正極合剤層に含まれる導電助剤量を低減することがある。導電助剤量を低減することで導電助剤を介した電気伝導の寄与を少なくして、特定のリチウム複合酸化物粒子による抵抗上昇を反映させやすくすることができる。
しかしながら、過充電に対する安全性に向上させるために、下の正極合剤層に含まれる導電助剤量を低減した正極を用いると、非水電解質二次電池の高率放電特性が低下してしまう。下の正極合剤層に含まれる導電助剤量を制御することで、過充電に対する安全性と高率放電特性とを両立することは困難であった。
本発明は、過充電に対する安全性に優れるとともに、高率放電特性の低下が防止される非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
本発明は、正極集電体、第一の正極合剤層、および前記正極集電体と前記第一の正極合剤層との間に形成される第二の正極合剤層を含む正極を有し、前記第二の正極合剤層がリチウム複合酸化物粒子を含み、前記正極集電体に対する前記第二の正極合剤層の被覆率が60〜95%である非水電解質二次電池である。
第二の正極合剤層の被覆率が60%未満であると、過充電時に第二の正極合剤層の抵抗上昇が十分に起こらないため、過充電に対する安全性が低下する。被覆率が95%を超えると、非水電解質二次電池の高率放電特性が著しく低下する。
所定の被覆率である本発明において、リチウム複合酸化物粒子の平均粒径dと活物質粒子の平均粒径dとの比率(d/d)が0.1〜6であることが好ましい。
所定の被覆率である本発明において、正極集電体上のリチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの最大値gが、5μmから45μmの範囲であることが好ましい。
所定の被覆率である本発明において、正極集電体上のリチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの最大値と前記活物質粒子の平均粒径dとの比率(d/g)が0.07から4の範囲であることが好ましい。
本発明において、リチウム複合酸化物粒子はスピネル型マンガン酸リチウムを含むことが好ましい。
本発明の非水電解質二次電池は、正極集電体に対する第二の正極合剤層の被覆率が60〜95%としたので、過充電に対する安全性に優れるとともに、高率放電特性の低下が防止される。
本発明の正極の一実施態様を説明するための概略拡大断面を示す概念図である。 第二の正極合剤層の正極集電体に対する被覆率の測定方法を説明するための正極の概略拡大断面を示す概念図であって、第一の正極合剤層を省略した図である。 本発明の正極の他の実施態様を説明するための概略拡大断面を示す概念図である。 本発明の一実施態様である角型の非水電解質二次電池の概略断面図である。
以下に本発明の非水電解質二次電池の一実施態様について説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではない。
(正極)
本発明の非水電解質二次電池が有する正極は正極集電体と第一の正極合剤層との間に形成される第二の正極合剤層を含むものである。本発明の正極の一実施態様を示す概略断面図を図1に示す。図1は正極集電体に対して垂直な概略断面図であり、図1において、1は正極集電体、2は第二の正極合剤層、3は第一の正極合剤層を示す。
本発明において、正極集電体1に対する第二の正極合剤層2の被覆率は60〜95%であり、好ましくは80〜95%である。このように第二の正極合剤層2により正極集電体1の表面全体を完全に被覆することなく、正極集電体表面の一部を適度に露出させて被覆することにより、過充電時の安全性が優れるとともに、高率放電特性の低下が防止される。このような効果が得られるメカニズムの詳細は明らかではないが、以下のメカニズムに基づくものと考えられる。
従来、正極集電体1を被覆しない領域(リチウム複合酸化物粒子間のすき間)が存在すると、当該リチウム複合酸化物粒子間のすき間において正極集電体1と第一の正極合剤層3の活物質粒子30とが接触することがあり、過充電時に電流が流れるため、上記抵抗上昇は全体として有効に起こらないものと考えられていた。
しかしながら、本発明においては、第二の正極合剤層2の被覆率を上記特定範囲内にすることにより、過充電時に電流がリチウム複合酸化物粒子間のすき間へ集中するようになる。リチウム複合酸化物粒子間のすき間における電流集中により電圧上昇が起こるため、過充電に対する安全性が優れると考えられる。また、リチウム複合酸化物粒子間のすき間において正極集電体1と第一の正極合剤層3の活物質粒子30とが接触して電流が流れるために、高率放電特性の低下が防止されるものと考えられる。
本発明において正極は、第一の正極合剤層3の活物質粒子30が正極集電体1と接触する部分を有することが好ましい。これにより、高率放電特性を向上させることができる。
図1において、第二の正極合剤層2および第一の正極合剤層3は正極集電体1の片面のみに形成されているが、これに限定されるものではなく、正極集電体1の両面に形成されていてもよい。第二の正極合剤層2および第一の正極合剤層3が正極集電体1の両面に形成される場合、少なくとも一方の面における第二の正極合剤層2の被覆率が上記範囲内であればよく、好ましくは両面における第二の正極合剤層2の被覆率がそれぞれ独立して上記範囲内である。
第二の正極合剤層2の被覆率は、以下の方法により測定することができる。
正極集電体1に対して垂直な正極断面が見られるように、SEM(走査型電子顕微鏡)写真を撮影する。得られた写真において、まず、図2に示すように、正極集電体1に対して垂直な直線(破線)により、第二の正極合剤層2を構成するリチウム複合酸化物粒子20による被覆領域21を規定する。次に、当該写真上において、各粒子20における被覆領域21の合計長さを算出する。そして、上に第一の活物質合剤層3が塗布された正極集電体1表面の全長40に対する被覆領域21の合計長さの割合を被覆率として算出する。図2は、正極集電体1に対して垂直な正極の概略断面図であって、第一の正極合剤層3を省略した図である。
第二の正極合剤層2は正極集電体1表面上に形成されたリチウム複合酸化物粒子20を含む層であり、第一の正極合剤層3は第二の正極合剤層2表面に形成された活物質粒子30を含む層である。第二の正極合剤層2における正極集電体1表面のリチウム複合酸化物粒子間のすき間には、図1に示すように、第一の正極合剤層3の活物質粒子30が存在することがあるので、第二の正極合剤層2と第一の正極合剤層3との境界は厳密には規定できるものではない。第二の正極合剤層2とは正極集電体1に対して垂直な断面においてリチウム複合酸化物粒子20が主として存在する正極集電体表面上の領域を意味し、第一の正極合剤層3とは同断面において活物質粒子30が主として存在する第二の正極合剤層2上の領域を意味するものとする。
第二の正極合剤層2においてリチウム複合酸化物粒子20の平均粒径dは特に限定されるものではなく、通常、1〜60μmであり、好ましくは1〜40μmである。
第一の正極合剤層3において活物質粒子30の平均粒径dもまた特に限定されるものではなく、通常、0.5〜60μmであり、好ましくは1〜20μmである。
第二の正極合剤層2に含まれるリチウム複合酸化物粒子20および第一の正極合剤層3に含まれる活物質粒子30の粒子の大きさについて、一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には、粒径は二次粒子の粒径をいう。一次粒子が二次粒子を形成していない場合には、粒径は一次粒子の粒径をいう。
第一の正極合剤層3の活物質粒子30の平均粒径dおよび第二の正極合剤層2のリチウム複合酸化物粒子20の平均粒径dは、エネルギー分散型X線分光法(EDX)の元素組成分析によりリチウム複合酸化物粒子20と活物質粒子30とを判別しながら、断面SEM観察することにより測定することができる。平均粒径は各粒子の粒径の平均値を求めた値であり、粒径は最長粒径と最短粒径との平均値である。リチウム複合酸化物粒子20は、第一の正極合剤層3の活物質粒子30に比べて、マンガンもしくはリンの元素のモル比の含有割合が大きい粒子であることが好ましい。
本発明においてリチウム複合酸化物粒子20の平均粒径dと活物質粒子30の平均粒径dとの比率(d/d)は0.1〜6が好ましい。(d/d)はより好ましくは0.2〜3であり、さらに好ましくは0.25〜1である。
リチウム複合酸化物粒子20の平均粒径dに対する活物質粒子30の平均粒径dが6以下の範囲が好ましい。この範囲であれば、活物質粒子30が第二の正極合剤層2に入り込みやすく、活物質粒子30が正極集電体1と接触することができると考えられる。より好ましくは、(d/d)は3以下の範囲である。(d/d)が3以下の範囲では、正極集電体1にリチウム複合酸化物粒子20間のすき間で、正極集電体1と接触する活物質粒子30が増えると考えられるので、さらに高率放電特性を良好にすることができる。
また、リチウム複合酸化物粒子20の平均粒径dと活物質粒子30の平均粒径dとの比率(d/d)は好ましくは0.1以上の範囲である。(d/d)は0.1以上の範囲であると、リチウム複合酸化物粒子20と正極集電体1との間に活物質粒子30が入りこむことが抑制されると考えられるので、第二の正極合剤層2における正極集電体1と接した活物質粒子30への電流集中による電圧上昇が起こり、過充電に対する安全性がさらに良好である。
本発明において、正極集電体1上のリチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの最大値gは5μmから45μmの範囲であることが好ましい。さらに好ましくは、すき間の長さの最大値gは9μm以上30μm以下である範囲である。リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの最大値gを5μm以上の範囲とすることで、活物質粒子30がすき間に入り込むことができると考えられるので、高率放電特性の観点から有利である。すき間の長さの最大値gが9μm以上である範囲が、すき間に入り込むことができる活物質粒子30が適度に増えると考えられるので、さらに好ましい。また、リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さgを45μm以下の範囲とすることで、電流集中が起きるすき間の面積が狭いため、電圧上昇が十分起こると考えられるので、過充電に対する安全性が優れる点で好ましい。
正極集電体1上のリチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの最大値gと活物質粒子30の平均粒径dとの比率(d/g)は0.07から4の範囲であることが好ましい。(d/g)はより好ましくは0.1以上1以下であり、さらに好ましくは0.2以上0.4以下である。正極集電体1上のリチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの最大値gと活物質粒子30の平均粒径dとの比率(d/g)を4以下の範囲とすることで、活物質粒子30の平均粒径が小さいと、正極集電体1と活物質粒子30が接触できると考えられるので、高率放電特性の観点から有利である。(d/g)の値が1以下であることで、正極集電体1と接触できる活物質粒子30が顕著に増加すると考えられるので、さらに好ましい。また、正極集電体1上のリチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの最大値gと活物質粒子30の平均粒径dとの比率(d/g)を0.07以上の範囲とすることで、活物質粒子30が正極集電体1と接することを抑制すると考えられるので、過充電に対する安全性が優れる点で好ましい。
本発明において、正極集電体1上のリチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの平均値gLは3μmから30μmの範囲であることが好ましい。リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの平均値gLを3μm以上の範囲とすることで、入り込む活物質粒子30をより多くすることができると考えられるので、高率放電特性の観点から有利である。また、リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さgLを30μm以下の範囲とすることで、リチウム複合酸化物粒子間のすき間の活物質粒子30において、すき間の面積が平均的に狭いので、入り込む活物質粒子30をより少なくし電流集中による電圧上昇が効果的に起こると考えられるため、過充電に対する安全性が優れる点で好ましい。
本発明において、リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの平均値gLと活物質粒子30の平均粒径dとの比率(d/gL)は0.1から8の範囲であることが好ましい。リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの平均値と活物質粒子30の平均粒径dとの比率(d/gL)が8以下の範囲とすることで、正極集電体1と接触する活物質粒子30が多くなると考えられるので、高率放電特性の観点から有利である。また、リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの平均値と活物質粒子30の平均粒径dとの比率(d/gL)が0.1以上の範囲とすることで、正極集電体1と接触する活物質粒子30の入り込みが抑制されると考えられ、過充電に対する安全性が優れる点で好ましい。
正極集電体上のリチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの平均値gLおよび最大値gは、以下の方法で測定される。
上述の方法で断面のSEM顕微鏡写真を撮影する。得られた写真において、まず、リチウム複合酸化物粒子30と隣のリチウム複合酸化物粒子30との間の距離をリチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さと規定する。隣のリチウム複合酸化物粒子30と接している場合には、リチウム複合酸化物粒子間のすき間とは考えない。リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの平均値gLは、各リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの平均値である。リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの最大値gは、特定の範囲におけるリチウム複合酸化物粒子間のすき間の最大の長さの平均値である。
第二の正極合剤層2は、特定の第二の正極合剤層用ペーストを正極用集電体1の表面に特定の厚みで塗布し、乾燥することにより作製することができる。
第二の正極合剤層用ペーストは少なくともリチウム複合酸化物粒子20およびバインダーを水に分散させてなり、必要に応じて、増粘剤および導電助剤等を含んでもよい。アルミ箔への塗工において,水の代わりに有機溶媒を用いる場合、または水とともに有機溶媒を用いる場合、アルミ箔がペーストをはじく効果が抑制されるため、当該粒子は正極集電体表面に並びやすくなり、被覆率が大きくなり過ぎるおそれがある。
リチウム複合酸化物粒子20は、過充電時に酸化物内部からリチウムが引き抜かれることによって、抵抗増加するという電気化学挙動を示す。当該抵抗増加が後述する第一の正極合剤層3に主として含まれる活物質粒子30よりも大きい。
リチウム複合酸化物粒子20が、好ましくはスピネル構造またはオリビン構造を有する。
スピネル型リチウム複合酸化物粒子の具体例として、一般式:
Li 4−q
で表される化合物粒子が挙げられる。
式中、Mは1種以上の遷移金属を含む1種以上の金属であり、好ましくは長周期型周期表における原子番号が21から29までの遷移金属からなる群から選択される1種以上の金属であり、より好ましくはMn、Niからなる群から選択される1種以上の金属である。
xは0<x≦2であり、好ましくは0.8≦x≦1.2である。
pは1.8≦p≦2.2である。
qは0≦q≦0.5である。
オリビン型リチウム複合酸化物粒子の具体例として、一般式:
Li PO4−q
で表される化合物粒子が挙げられる。
式中、Mは1種以上の遷移金属を含む1種以上の金属であり、好ましくは長周期型周期表における原子番号が21から29までの遷移金属からなる群から選択される1種以上の金属であり、より好ましくはFe、Co、Mn、Niからなる群から選択される1種以上の金属である。
xは0<x≦2であり、好ましくは0.8≦x≦1.2である。
rは0.8≦r≦1.2である。
qは0≦q≦0.5である。
リチウム複合酸化物粒子はAl、Zn、Cr、Ti、P、Bなどの元素を本願の効果を奏しうる範囲の量で含んでもよい。第二の正極合剤層2は組成の異なる2種以上のリチウム複合酸化物粒子20を含んでもよい。
本発明においては、リチウム複合酸化物粒子は、上記したリチウム複合酸化物粒子の中でも、ペーストの塗工性の観点から、スピネル型リチウム複合酸化物粒子を含むことが好ましく、特にスピネル型マンガン酸リチウム粒子を含むことがより好ましい。オリビン型リン酸鉄リチウムのようなオリビン型リチウム複合酸化物粒子に比べ、スピネル型リチウム複合酸化物粒子は比表面積が小さく、特にスピネル型マンガン酸リチウム粒子は比表面積が小さいので、ペーストの溶媒の蒸発を抑制することができる。
スピネル型マンガン酸リチウム粒子の具体例として、一般式:
LiMn 4−q
で表される化合物粒子が挙げられる。
式中、Mは1種以上の遷移金属を含む1種以上の金属(Mn以外)であり、好ましくは長周期型周期表における原子番号が21から29までの遷移金属からなる群から選択される1種以上の金属であり、より好ましくはNiである。
xは0<x≦2であり、好ましくは0.8≦x≦1.2である。
tは0≦t≦0.5であり、好ましくは0である。
sは1.8−t≦s≦2.2−tである。
qは0≦q≦0.5である。
第二の正極合剤層用バインダーとしては、アクリル系ポリマー、スチレンブタジエンゴム、オレフィン系ポリマー(例えば、ポリエチレン(PE))、ビニル系ポリマー、フッ素系ポリマーなどの水分散体を用いることができる。耐高電圧性の観点からはアクリル系ポリマーの分散体が好ましい。ポリマーの水分散体とは、ポリマー粒子が水に乳化分散されたものであり、必要に応じて乳化剤として界面活性剤を含有してもよい。また有機溶媒を用いた場合に、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレンなどを用いることができる。
第二の正極合剤層用増粘剤としては、アクリル系やセルロース系などの水溶性高分子を用いることができる。分散性と増粘性の観点からはセルロース系増粘剤が好ましい。セルロース系増粘剤の具体例としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等を挙げることができるが、その中でも特にCMCが好ましい。
第二の正極合剤層用導電助剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラック、グラファイト、炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維、金属粉末などを用いることができる。導電助剤は、第二の正極合剤層中、粒状もしくは繊維状で存在するが、粒径がリチウム複合酸化物粒子20に比べ極めて小さいので、第二の正極合剤層中のリチウム複合酸化物粒子20および、第一の正極合剤層中の活物質粒子30と、明確に区別できるものである。
第二の正極合剤層2は導電助剤を含有することが、高率放電特性の観点から好ましい。
第二の正極合剤層用導電助剤の添加量は、過充電に対する安全性および高率放電特性のさらなる向上の観点から、通常、リチウム複合酸化物粒子100重量部に対して、0.1〜4質量部であり、好ましくは0.6〜2質量部である。第二の正極合剤層中の導電助剤の割合が0.6質量部以上の範囲であると、より一層十分な高率放電特性が得られる。第二の正極合剤層中の導電助剤の割合が2質量部以下の範囲では、過充電時の安全性の点でより一層有利である。
第二の正極合剤層2の被覆率は、上記したリチウム複合酸化物粒子20、バインダー、増粘剤および導電助剤などの固形分が添加される水の量を調整することにより制御することができる。当該固形分濃度が低すぎると、第二の正極合剤層2の被覆率が小さくなり過ぎる。
第二の正極合剤層2の被覆率は、アプリケータを用いて塗布する場合、当該アプリケータの隙間を選択または調整することにより制御することができる。アプリケータのすき間が大きすぎると、第二の正極合剤層2の被覆率が大きくなり過ぎる。
正極集電体1は例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる箔などを用いることができる。正極集電体1の厚みは通常、5〜30μmである。
第一の正極合剤層3は、第一の正極合剤層用ペーストを、第二の正極合剤層2上に塗布し、乾燥することにより作製することができる。その後、プレスして所定の密度にすることができる。第二の正極合剤層2のみを先にプレスしてから、第一の正極合剤層用ペーストを第二の正極合剤層2上に塗布してもよい。
第一の正極合剤層用ペーストは少なくとも活物質粒子30およびバインダーを溶媒に分散または溶解させてなり、必要に応じて、増粘剤および導電助剤等を含んでもよい。
第一の正極合剤層の活物質粒子30としては、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiCoNiO2、LiCoMO2、LiNiMO2(本段落においてMは共通してNa、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、SbおよびBのうち少なくとも1つ)が含まれる。さらに,これら正極活物質の一部元素が異種金属で置換されたものであってもよい。エネルギー密度の観点から、Co、NiおよびMnを含む三成分系の層状酸化物が好ましい。
活物質粒子30はアスペクト比(最長粒径d/最短粒径dの平均値)が1〜1.4であることが好ましい。アスペクト比がこの範囲であることにより、活物質粒子30がリチウム複合酸化物粒子のすき間を容易に通ることができるので、高率放電特性の観点から有利である。より好ましくは、活物質粒子30のアスペクト比は1以上1.25以下である。この範囲であれば、高率放電特性の観点からさらに有利である。
第一の正極合剤層3の活物質粒子30のアスペクト比は、断面のSEM顕微鏡写真を用いて、活物質粒子30の最長粒径dと最短粒径dを測定することで、算出することができる。最長粒径dは、粒子の輪郭上で最も離れた2点間の長さである。粒子の輪郭上で最も離れた2点の中点を、中心点とする。最短粒径dは、当該中心点を通る最短粒径である。
第一の正極合剤層用バインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン,アクリル系ポリマー、スチレンブタジレンゴム,ポリエチレン(PE),カルボキシメチルセルロース(CMC)などを用いることができる。
第一の正極合剤層用増粘剤としては、第二の正極合剤層用ペーストに含まれる増粘剤と同様の化合物を水系のバインダーを用いた場合に用いることができる。
第一の正極合剤層用導電助剤としては、第二の正極合剤層用ペーストに含まれる導電助剤と同様の材料を用いることができる。第一の正極合剤層用導電助剤の添加量は、充放電効率の観点から、通常、正極活物質粒子100重量部に対して、0.5〜10質量部であり、好ましくは1〜5質量部である。
第一の正極合剤層用ペーストの溶媒は特に制限されず、例えば、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶媒、水、およびそれらの混合物が挙げられる。
第二の正極合剤層2の厚みtに対する第一の正極合剤層3の厚みtの比率(t/t)は、過充電に対する安全性および電池のエネルギー密度向上の観点から、3〜20が好ましい。第一の正極合剤層3の厚みとは、第二の正極合剤層2の厚みを含まない厚みである。
第二の正極合剤層2の厚みtは、前記したSEM画像において、当該層の最大厚みの平均値である。
第一の正極合剤層3の厚みtは、第二の正極合剤層2の最大厚みの直上の第一の正極合剤層3の厚みの平均値である。
本発明において正極は、第一の正極合剤層3の活物質粒子30の平均粒径dが第二の正極合剤層2のリチウム複合酸化物粒子20の平均粒径dよりも小さい実施態様を示す図1を用いて説明したが、これに限定されるものではない。本発明の正極は、例えば、図3に示されるように、第一の正極合剤層3の活物質粒子30の平均粒径dが第二の正極合剤層2のリチウム複合酸化物粒子20の平均粒径dより大きくてもよい。図3に示す実施態様は、リチウム複合酸化物粒子20と活物質粒子30との粒径の大小関係が異なっていること以外、図1に示す実施態様と同様であるため、図3に示す実施態様の説明を省略する。なお、図3においては、活物質粒子30の平均粒径dがリチウム複合酸化物粒子20の平均粒径dより大きい場合でも、活物質粒子30と正極集電体1が接触することが分かる。第一の正極合剤層3の活物質粒子30の平均粒径dと第二の正極合剤層2のリチウム複合酸化物粒子20の平均粒径dとは等しくてもよい。
(負極)
負極は負極集電体およびその片面または両面に形成された負極合剤層を含むものである。負極は、負極用ペーストを、銅または銅合金からなる負極集電体の表面に塗布し、乾燥させた後、形成した負極合剤層をプレスして所定の密度にすることにより作製することができる。負極用ペーストは、負極活物質およびバインダーを含み、さらに必要に応じて増粘剤、導電助剤等を含んでもよい。負極活物質としては、例えば、黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温焼成炭素、非晶質カーボン等の炭素質材料、金属酸化物、リチウム金属酸化物(LiTi12等)、ポリリン酸化合物等を、単独または複数組み合わせて用いることができる。バインダーとしては、ポリフッ化ビニリデンやスチレンブタジエンゴム(SBR)を用いることができる。増粘剤としては、正極の第二の正極合剤層用ペーストに用いる増粘剤と同様の化合物を用いることができる。
(非水電解質)
非水電解質は有機溶媒に電解質塩を溶解してなる溶液である。非水電解質を構成する有機溶媒としては、非水電解質二次電池に使用されるものであれば特に限定されない。具体例としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネートの単独あるいはそれらの2種以上の混合物を挙げることができる。
非水電解質を構成する電解質塩としては、非水電解質二次電池に使用されるものであれば特に限定されない。具体例としては、LiBF、LiPF、LiClO、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)、(CSO)、LiC(CFSO、LiC(CSO等を単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。
(セパレータ)
セパレータとしては、微多孔性膜や不織布等を、単独あるいは併用して用いることができる。具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等を挙げることができるが、オレフィン系樹脂が好ましい。
(非水電解質二次電池)
本発明の非水電解質二次電池が有する構成は、前記した正極を有する限り特に制限されるものではなく、通常は前記正極とともに、上記のような負極、非水電解質およびセパレータをさらに備えている。
以下、本発明の一実施形態である角型の非水電解質二次電池について図4を用いて簡単に説明する。
非水電解質二次電池50は、ケース蓋57で密閉された電池ケース56内に、電極群52及び非水電解質を収容して構成されている。ケース蓋57は、安全弁58及び負極端子59を有しており、電池ケース56の開口部にレーザー溶接により接合されている。電極群52は、負極53と正極54とセパレータ55とを有しており、詳しくは負極53と正極54を、セパレータ55を介して積層および巻回することで作製される。この場合、正極54は正極集電体1の両面に第二の正極合剤層2および第一の正極合剤層3が形成された本発明の前記正極であり、また負極53は集電体の両面に負極合剤層が形成された前記負極である。負極端子59は負極リード60を介して負極53と接続されており、正極54は、電池ケース56の内面と接続されている。
(1)正極板の作製方法
(実施例1)
正極板は次のようにして製作した。
リチウム複合酸化物としてLiMn100質量部に、1.1質量部のアセチレンブラック(AB)、2.6質量部(固形分換算)のアクリル系バインダーの水分散体および1.6質量部のカルボキシメチルセルロース(CMC)を純水中で分散させることにより、固形分濃度50質量%のペーストIを製作した。このペーストIを、隙間30μmのアプリケータにより、正極集電体1である厚さ20μmのアルミニウム(Al)箔上に塗布した。つぎに、塗布されたAl箔を100℃で乾燥することにより純水を蒸発させ、第二の正極合剤層2を備えたAl箔を作製した。
正極活物質として三成分系の層状酸化物(LiNi1/3Mn1/3Co1/3)100質量部、4.3質量部のAB、および4.3質量部のポリフッ化ビニリデン(PVdF)を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中で溶解させることにより、固形分濃度70質量%のペーストIIを製作した。このペーストIIを、前記Al箔の第二の正極合剤層2上に塗布し、120℃で乾燥することによりNMPを蒸発させ、第一の正極合剤層3を形成した。
以上の操作をAl箔の片面に行った後、ロールプレスで圧縮成型し、正極板A1を得た。後述する方法により、第二の正極合剤層2の被覆率を測定したところ、95%であった。第一の正極合剤層3における正極活物質30の平均粒径dは3.2μmであった。第一の正極合剤層3における活物質粒子30のアスペクト比は、1.18であった。リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの最大値gが9.8μm、リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの平均値gLが7.2μmであった。断面SEM写真より、第二の正極合剤層2の厚みに対する第一の正極合剤層3の厚みの比率を計算したところ,4.5程度であった。
本発明の実施例および比較例において、第二の正極合剤層2におけるリチウム複合酸化物粒子20の平均粒径dLは10.4μmであった。リチウム複合酸化物粒子20の平均粒径dLを表1に示した。
Figure 2015015182
(実施例2)
第二の正極合剤層2の形成に際し、隙間24μmのアプリケータを用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、正極板A2を得た。第二の正極合剤層2の被覆率を測定したところ、80%であった。第一の正極合剤層3における活物質粒子30の平均粒径dは3.1μmであった。第一の正極合剤層3における活物質粒子30のアスペクト比は、1.23であった。リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの最大値gが15μm、リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの平均値gLが11μmであった。
(実施例3)
第二の正極合剤層2の形成に際し、隙間15μmのアプリケータを用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、正極板A3を得た。第二の正極合剤層2の被覆率を測定したところ、60%であった。第一の正極合剤層3における活物質粒子30の平均粒径dは3.0μmであった。第一の正極合剤層3における活物質粒子30のアスペクト比は、1.23であった。リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの最大値gが23μm、リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの平均値gLが16μmであった。
(実施例4)
第二の正極合剤層2の形成に際し、ペーストIの固形分濃度を質量60%と高い値に制御したこと,および隙間25μmのアプリケータをもちいたこと以外、実施例1と同様の方法で、正極板A4を得た。
(実施例5)
第二の正極合剤層2の形成に際し、実施例1と同様のペーストIをアプリケータではなく隙間46μmのコンマリバースをもちいて、実施例1と同様の方法で塗布して、正極板A5を得た。
(実施例6)
第二の正極合剤層2の形成に際し、実施例1と同様のペーストIをアプリケータではなく隙間30μmのコンマダイレクトをもちいて、実施例1と同様の方法で塗布して、正極板A6を得た。
(実施例7)
ペーストIが100質量部のLiMn、3.2質量部のAB、2.7質量部のアクリル系バインダーおよび1.7質量部のCMCである点以外は,実施例1と同様の方法で塗布して、正極板A7を得た。第二の正極合剤層2の被覆率を測定したところ、95%であった。
(実施例8)
ペーストIが100質量部のLiMn、0.5質量部のABである点以外は,実施例1と同様の方法で塗布して、正極板A8を得た。第二の正極合剤層2の被覆率を測定したところ、95%であった。
(比較例1)
第二の正極合剤層2の形成に際し、純水量を調整することによりペーストIの固形分濃度を60質量%に制御したこと、および隙間58μmのアプリケータを用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、正極板B1を得た。第二の正極合剤層2の被覆率を測定したところ、100%であった。第一の正極合剤層3における活物質粒子30の平均粒径dは3.0μmであった。第一の正極合剤層3における活物質粒子30のアスペクト比は、1.22であった。
(比較例2)
第二の正極合剤層2の形成に際し、純水量を調整することによりペーストIの固形分濃度を40質量%に制御したこと、および隙間40μmのアプリケータを用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、正極板B2を得た。第二の正極合剤層2の被覆率を測定したところ、55%であった。第一の正極合剤層3における活物質粒子30の平均粒径dは3.0μmであった。第一の正極合剤層3における活物質粒子30のアスペクト比は、1.24であった。リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの最大値gが47μm、リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの平均値gLが37μmであった。
(2)負極板の作製方法
負極板は次のようにして製作した。
グラファイト、SBR、およびCMCを純水中で分散させることにより、ペーストを製作した。このペーストを厚さ15μmの銅箔上に塗布し、次に100℃で乾燥することにより純水を蒸発させ、負極合剤層を形成した。
以上の操作を銅箔の片面に行った後、ロールプレスで圧縮成型し、負極板を得た。
(3)試験電池の作製方法
トムセル(有限会社日本トムセル社製)、上記した正極版および負極版、ならびに下蓋、セパレータ、円盤、板ばねおよび上蓋を用いて試験電池を作製した。セパレータには厚さ30μmポリエチレン製微多孔膜を用いた。非水電解質は、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)およびジエチルカーボネート(DEC)を体積比30:35:35の割合で混合した1M LiPF塩を使用した。
電池の詳しい作製方法を次に示す。
Al製の下蓋の上のパッキンの内側に、事前に電解液に浸漬した正極板(直径約1.4 cmの円形)、セパレータ(直径1.6cmの円形)および負極板(直径1.5cmの円形)を、正極板と負極板の各活物質塗布面が向き合うようにのせた。その後、正極板と負極板を均一に圧迫するためにSUS製の円盤と板ばねをのせ、最後にSUS製の上蓋をのせたのちにナットをもちいて均等に締めた。
(4)測定方法
得られた正極および電池をそれぞれ以下の方法により測定した。
(被覆率の測定方法)
第二の正極合剤層2の被覆率は、以下の方法により測定した。
正極にエポキシ樹脂を含浸させ、1日間乾燥させて固化させた後、正極集電体1に対して垂直な正極断面が見られるように、正極断面を研磨した。研磨した断面のSEM(走査型電子顕微鏡)写真を測定倍率500倍で撮影した。EDXの元素組成分析により各粒子の種類・組成を判別しながら、得られた写真において、まず、図2に示すように、正極集電体1に対して垂直な直線(破線)により、第二の正極合剤層2を構成するリチウム複合酸化物粒子20による被覆領域21を規定した。次に、当該写真上において、各粒子20における被覆領域21の合計長さを算出した。そして、正極集電体1表面の全長40に対する被覆領域21の合計長さの割合を被覆率として算出した。正極集電体1表面の全長は、上に第一の活物質合剤層3が塗布された領域を対象とした。測定はSEM顕微鏡写真において全長40が500μmになる領域で隣り合う全てのリチウム複合酸化物粒子20を対象とするものであり、正極集電体表面の全長40は両端のリチウム複合酸化物粒子20a、20bにおける被覆領域21a、21bを両端に含む当該表面上の長さとした。上記垂直な直線は、正極集電体1の表面に凹凸がある場合は、当該凹凸を均した面に対して垂直な直線であり、正極集電体1の表面が全体として湾曲している場合は、断面における当該湾曲表面の接線に対して垂直な直線である。図2は、正極集電体1に対して垂直な正極の概略断面図であって、第一の正極合剤層3を省略した図である。
(粒径の測定方法)
第二の正極合剤層2に含まれるリチウム複合酸化物粒子20の平均粒径dおよび第一の正極合剤層3に含まれる活物質粒子30の平均粒径dは、EDXの元素組成分析により各粒子の種類・組成を判別しながら、SEM画像において以下の方法により測定した。
リチウム複合酸化物粒子20の平均粒径dは、上記のSEM写真において、図1,2に示すように、作為的な選択を防ぐために、第二の正極合剤層2における互いに隣接する100個のリチウム複合酸化物粒子20について、各粒子の粒径の平均値を求めた。粒径は、最長粒径dと最短粒径dとの平均値である。SEM写真において粒子の輪郭上で最も離れた2点の中点を中心点Mとした。その輪郭上の最も離れた2点を結んだ直線における2点間の長さを最長粒径dとした。中心点Mを通る直線であって、当該直線と粒子の輪郭とが交わる2点間の長さが最も短い直線における当該2点間の長さを最短粒径dとした。なお、平均粒径dは、各粒子の粒径の値を大きさの順に最大値から最小値まで並べたとき、これらの値のうち、最大値から20個の値および最小値から20個の値を除外した合計60個の値の平均値を用いた。
活物質粒子30の平均粒径dは、測定対象を活物質粒子とすること以外、リチウム複合酸化物粒子20の平均粒径dと同様の方法により、断面SEM顕微鏡写真を用いて測定した。
(すき間の測定方法)
正極集電体上のリチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの平均値gLおよび最大値gは、以下の方法で測定した。
上述の方法でSEM顕微鏡写真を測定倍率500倍で撮影した。得られた写真において、まず、リチウム複合酸化物粒子20と隣のリチウム複合酸化物粒子20との間の正極集電体表面上の距離(図2中のg)をリチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さと規定した。リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの最大値は、得られた写真において隣接するリチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さのうちの最大の長さである。すき間の長さの最大値gは、正極集電体の長さが100μmの範囲においてすき間の最大の長さを測定し、各範囲の最大の長さを平均した。
リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの平均値は、得られた写真において隣接するリチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さのうちの平均の長さである。すき間の長さの平均値gは、正極集電体の長さが100μmの範囲においてすき間の平均の長さを測定し、各範囲の平均の長さを平均した。
(アスペクト比の測定方法)
第一の正極合剤層3の活物質粒子30のアスペクト比は、断面のSEM顕微鏡写真を用いて、活物質粒子30の最長粒径dと最短粒径dを測定することで、算出した。活物質粒子30の最長粒径dおよび最短粒径dは、測定対象を活物質粒子とすること以外、リチウム複合酸化物粒子20の最長粒径dおよび最短粒径dと同様の方法により、測定した。アスペクト比は、互いに隣接する10個の活物質粒子30について、最短粒径dに対する最長粒径dの比率(d/d)の平均値とした。
(5)充放電試験
充放電試験は以下の方法により行った。
電池の設計容量の0.2倍量の充電電流値(電流密度約0.5mA/cm)で、電源電圧4.2Vの定電流定電圧充電を室温下で8時間行った。その後、設計容量の0.2倍量の電流値で2.75Vまで放電し、0.2C容量を測定した。つぎに同様の方法で充電し、設計容量の1倍量の電流値で2.75Vまで放電し、1C容量を測定した。
各電池の放電レート特性を1C容量/0.2C容量として算出した。当該比率が大きいほど高率放電特性が良好であることを意味する。
(6)過充電試験
過充電試験は以下の方法により行った。
電池の設計容量の2倍量の充電電流値(電流密度約5mA/cm)で、上限電圧8.4Vの定電流定電圧充電を室温下で1.25時間行った。その際の7Vに到達したときのSOC(充電状態)(%)を算出した。過充電時に電圧が7Vに到達した電池は,第二の正極合剤層2が高抵抗化していることを示しており,過充電時の電流を遮断することができる。本試験では放熱性が高い電池を用いたため,セパレータのシャットダウンによる電圧上昇はおこらない。
(評価)
A1からA3、A7、A8、B1およびB2の放電容量比率、過充電試験の7V到達時のSOCおよび安全性を表2に示す。放電容量比率1C/0.2Cを算出した。当該比率が大きいほど、高率放電特性が良好であることを意味する。7V到達時のSOCが小さいほど、安全性が高いことを意味する。7Vに到達していない電池は安全性を×と表記した.SOCが230%以下で7V到達した電池は安全性がより良好であるので〇と表記した。SOCが230%を超えて7V到達した電池は△と表記した。
Figure 2015015182
第二の正極合剤層2の被覆率が60〜95%である実施例の正極板A1からA3では、良好な高率放電特性が得られ、電圧が7Vに到達し過充電に対する安全性が確保できていることが分かる。
A4は塗布時のペーストの固形分およびアプリケータの隙間が異なるもののA1と同様の被覆率の正極板を作製することができる。その極板をもちいた過充電試験の結果はA1のものと同様であり,塗布時の固形分濃度のみで被覆率が決まるものではない。
A5およびA6は塗布時にもちいた装置がアプリケータではないものの,A1と同様の被覆率の極板を作製することができる。その極板をもちいた過充電試験の結果はA1のものと同様であり,塗布時にもちいた装置によらない。
1:正極集電体
2:第二の正極合剤層
3:第一の正極合剤層
20:リチウム複合酸化物粒子
21:被覆領域
30:活物質粒子
40:測定領域の全長
50:非水電解質二次電池
52:電極群
53:負極
54:正極
55:セパレータ
56:電池ケース
57:ケース蓋
58:安全弁
59:負極端子
60:負極リード

Claims (5)

  1. 正極集電体、第一の正極合剤層、および前記正極集電体と前記第一の正極合剤層との間に形成される第二の正極合剤層を含む正極を有し、
    前記第二の正極合剤層がリチウム複合酸化物粒子を含み、
    前記正極集電体に対する前記第二の正極合剤層の被覆率が60〜95%である非水電解質二次電池。
  2. 前記第一の正極合剤層が活物質粒子を含み、前記リチウム複合酸化物粒子の平均粒径dと前記活物質粒子の平均粒径dとの比率(d/d)が0.1〜6である請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記正極集電体上の前記リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの最大値gが5μmから45μmの範囲である請求項1または2に記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記第一の正極合剤層が活物質粒子を含み、前記正極集電体上の前記リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの最大値gと前記活物質粒子の平均粒径dとの比率(d/g)が0.07から4の範囲である請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
  5. 前記リチウム複合酸化物粒子がスピネル型マンガン酸リチウムを含む請求項1〜4のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
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