JP6380630B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Description
本発明の非水電解質二次電池が有する正極は正極集電体と第一の正極合剤層との間に形成される第二の正極合剤層を含むものである。本発明の正極の一実施態様を示す概略断面図を図1に示す。図1は正極集電体に対して垂直な概略断面図であり、図1において、1は正極集電体、2は第二の正極合剤層、3は第一の正極合剤層を示す。
従来、正極集電体1を被覆しない領域(リチウム複合酸化物粒子間のすき間)が存在すると、当該リチウム複合酸化物粒子間のすき間において正極集電体1と第一の正極合剤層3の活物質粒子30とが接触することがあり、過充電時に電流が流れるため、上記抵抗上昇は全体として有効に起こらないものと考えられていた。
しかしながら、本発明においては、第二の正極合剤層2の被覆率を上記特定範囲内にすることにより、過充電時に電流がリチウム複合酸化物粒子間のすき間へ集中するようになる。リチウム複合酸化物粒子間のすき間における電流集中により電圧上昇が起こるため、過充電に対する安全性が優れると考えられる。また、リチウム複合酸化物粒子間のすき間において正極集電体1と第一の正極合剤層3の活物質粒子30とが接触して電流が流れるために、高率放電特性の低下が防止されるものと考えられる。
正極集電体1に対して垂直な正極断面が見られるように、SEM(走査型電子顕微鏡)写真を撮影する。得られた写真において、まず、図2に示すように、正極集電体1に対して垂直な直線(破線)により、第二の正極合剤層2を構成するリチウム複合酸化物粒子20による被覆領域21を規定する。次に、当該写真上において、各粒子20における被覆領域21の合計長さを算出する。そして、上に第一の活物質合剤層3が塗布された正極集電体1表面の全長40に対する被覆領域21の合計長さの割合を被覆率として算出する。図2は、正極集電体1に対して垂直な正極の概略断面図であって、第一の正極合剤層3を省略した図である。
リチウム複合酸化物粒子20の平均粒径dLに対する活物質粒子30の平均粒径dAが6以下の範囲が好ましい。この範囲であれば、活物質粒子30が第二の正極合剤層2に入り込みやすく、活物質粒子30が正極集電体1と接触することができると考えられる。より好ましくは、(dA/dL)は3以下の範囲である。(dA/dL)が3以下の範囲では、正極集電体1にリチウム複合酸化物粒子20間のすき間で、正極集電体1と接触する活物質粒子30が増えると考えられるので、さらに高率放電特性を良好にすることができる。
また、リチウム複合酸化物粒子20の平均粒径dAと活物質粒子30の平均粒径dLとの比率(dA/dL)は好ましくは0.1以上の範囲である。(dA/dL)は0.1以上の範囲であると、リチウム複合酸化物粒子20と正極集電体1との間に活物質粒子30が入りこむことが抑制されると考えられるので、第二の正極合剤層2における正極集電体1と接した活物質粒子30への電流集中による電圧上昇が起こり、過充電に対する安全性がさらに良好である。
上述の方法で断面のSEM顕微鏡写真を撮影する。得られた写真において、まず、リチウム複合酸化物粒子30と隣のリチウム複合酸化物粒子30との間の距離をリチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さと規定する。隣のリチウム複合酸化物粒子30と接している場合には、リチウム複合酸化物粒子間のすき間とは考えない。リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの平均値gLは、各リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの平均値である。リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの最大値gMは、特定の範囲におけるリチウム複合酸化物粒子間のすき間の最大の長さの平均値である。
LixM1 pO4−q
で表される化合物粒子が挙げられる。
式中、M1は1種以上の遷移金属を含む1種以上の金属であり、好ましくは長周期型周期表における原子番号が21から29までの遷移金属からなる群から選択される1種以上の金属であり、より好ましくはMn、Niからなる群から選択される1種以上の金属である。
xは0<x≦2であり、好ましくは0.8≦x≦1.2である。
pは1.8≦p≦2.2である。
qは0≦q≦0.5である。
LixM2 rPO4−q
で表される化合物粒子が挙げられる。
式中、M2は1種以上の遷移金属を含む1種以上の金属であり、好ましくは長周期型周期表における原子番号が21から29までの遷移金属からなる群から選択される1種以上の金属であり、より好ましくはFe、Co、Mn、Niからなる群から選択される1種以上の金属である。
xは0<x≦2であり、好ましくは0.8≦x≦1.2である。
rは0.8≦r≦1.2である。
qは0≦q≦0.5である。
LixMnsM3 tO4−q
で表される化合物粒子が挙げられる。
式中、M3は1種以上の遷移金属を含む1種以上の金属(Mn以外)であり、好ましくは長周期型周期表における原子番号が21から29までの遷移金属からなる群から選択される1種以上の金属であり、より好ましくはNiである。
xは0<x≦2であり、好ましくは0.8≦x≦1.2である。
tは0≦t≦0.5であり、好ましくは0である。
sは1.8−t≦s≦2.2−tである。
qは0≦q≦0.5である。
第二の正極合剤層用導電助剤の添加量は、過充電に対する安全性および高率放電特性のさらなる向上の観点から、通常、リチウム複合酸化物粒子100重量部に対して、0.1〜4質量部であり、好ましくは0.6〜2質量部である。第二の正極合剤層中の導電助剤の割合が0.6質量部以上の範囲であると、より一層十分な高率放電特性が得られる。第二の正極合剤層中の導電助剤の割合が2質量部以下の範囲では、過充電時の安全性の点でより一層有利である。
第二の正極合剤層2の厚みtLは、前記したSEM画像において、当該層の最大厚みの平均値である。
第一の正極合剤層3の厚みtAは、第二の正極合剤層2の最大厚みの直上の第一の正極合剤層3の厚みの平均値である。
負極は負極集電体およびその片面または両面に形成された負極合剤層を含むものである。負極は、負極用ペーストを、銅または銅合金からなる負極集電体の表面に塗布し、乾燥させた後、形成した負極合剤層をプレスして所定の密度にすることにより作製することができる。負極用ペーストは、負極活物質およびバインダーを含み、さらに必要に応じて増粘剤、導電助剤等を含んでもよい。負極活物質としては、例えば、黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温焼成炭素、非晶質カーボン等の炭素質材料、金属酸化物、リチウム金属酸化物(Li4Ti6O12等)、ポリリン酸化合物等を、単独または複数組み合わせて用いることができる。バインダーとしては、ポリフッ化ビニリデンやスチレンブタジエンゴム(SBR)を用いることができる。増粘剤としては、正極の第二の正極合剤層用ペーストに用いる増粘剤と同様の化合物を用いることができる。
非水電解質は有機溶媒に電解質塩を溶解してなる溶液である。非水電解質を構成する有機溶媒としては、非水電解質二次電池に使用されるものであれば特に限定されない。具体例としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネートの単独あるいはそれらの2種以上の混合物を挙げることができる。
セパレータとしては、微多孔性膜や不織布等を、単独あるいは併用して用いることができる。具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等を挙げることができるが、オレフィン系樹脂が好ましい。
本発明の非水電解質二次電池が有する構成は、前記した正極を有する限り特に制限されるものではなく、通常は前記正極とともに、上記のような負極、非水電解質およびセパレータをさらに備えている。
非水電解質二次電池50は、ケース蓋57で密閉された電池ケース56内に、電極群52及び非水電解質を収容して構成されている。ケース蓋57は、安全弁58及び負極端子59を有しており、電池ケース56の開口部にレーザー溶接により接合されている。電極群52は、負極53と正極54とセパレータ55とを有しており、詳しくは負極53と正極54を、セパレータ55を介して積層および巻回することで作製される。この場合、正極54は正極集電体1の両面に第二の正極合剤層2および第一の正極合剤層3が形成された本発明の前記正極であり、また負極53は集電体の両面に負極合剤層が形成された前記負極である。負極端子59は負極リード60を介して負極53と接続されており、正極54は、電池ケース56の内面と接続されている。
(実施例1)
正極板は次のようにして製作した。
リチウム複合酸化物としてLiMn2O4100質量部に、1.1質量部のアセチレンブラック(AB)、2.6質量部(固形分換算)のアクリル系バインダーの水分散体および1.6質量部のカルボキシメチルセルロース(CMC)を純水中で分散させることにより、固形分濃度50質量%のペーストIを製作した。このペーストIを、隙間30μmのアプリケータにより、正極集電体1である厚さ20μmのアルミニウム(Al)箔上に塗布した。つぎに、塗布されたAl箔を100℃で乾燥することにより純水を蒸発させ、第二の正極合剤層2を備えたAl箔を作製した。
正極活物質として三成分系の層状酸化物(LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2)100質量部、4.3質量部のAB、および4.3質量部のポリフッ化ビニリデン(PVdF)を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中で溶解させることにより、固形分濃度70質量%のペーストIIを製作した。このペーストIIを、前記Al箔の第二の正極合剤層2上に塗布し、120℃で乾燥することによりNMPを蒸発させ、第一の正極合剤層3を形成した。
以上の操作をAl箔の片面に行った後、ロールプレスで圧縮成型し、正極板A1を得た。後述する方法により、第二の正極合剤層2の被覆率を測定したところ、95%であった。第一の正極合剤層3における正極活物質30の平均粒径dAは3.2μmであった。第一の正極合剤層3における活物質粒子30のアスペクト比は、1.18であった。リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの最大値gMが9.8μm、リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの平均値gLが7.2μmであった。断面SEM写真より、第二の正極合剤層2の厚みに対する第一の正極合剤層3の厚みの比率を計算したところ,4.5程度であった。
第二の正極合剤層2の形成に際し、隙間24μmのアプリケータを用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、正極板A2を得た。第二の正極合剤層2の被覆率を測定したところ、80%であった。第一の正極合剤層3における活物質粒子30の平均粒径dAは3.1μmであった。第一の正極合剤層3における活物質粒子30のアスペクト比は、1.23であった。リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの最大値gMが15μm、リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの平均値gLが11μmであった。
第二の正極合剤層2の形成に際し、隙間15μmのアプリケータを用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、正極板A3を得た。第二の正極合剤層2の被覆率を測定したところ、60%であった。第一の正極合剤層3における活物質粒子30の平均粒径dAは3.0μmであった。第一の正極合剤層3における活物質粒子30のアスペクト比は、1.23であった。リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの最大値gMが23μm、リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの平均値gLが16μmであった。
第二の正極合剤層2の形成に際し、ペーストIの固形分濃度を質量60%と高い値に制御したこと,および隙間25μmのアプリケータをもちいたこと以外、実施例1と同様の方法で、正極板A4を得た。
第二の正極合剤層2の形成に際し、実施例1と同様のペーストIをアプリケータではなく隙間46μmのコンマリバースをもちいて、実施例1と同様の方法で塗布して、正極板A5を得た。
第二の正極合剤層2の形成に際し、実施例1と同様のペーストIをアプリケータではなく隙間30μmのコンマダイレクトをもちいて、実施例1と同様の方法で塗布して、正極板A6を得た。
ペーストIが100質量部のLiMn2O4、3.2質量部のAB、2.7質量部のアクリル系バインダーおよび1.7質量部のCMCである点以外は,実施例1と同様の方法で塗布して、正極板A7を得た。第二の正極合剤層2の被覆率を測定したところ、95%であった。
ペーストIが100質量部のLiMn2O4、0.5質量部のABである点以外は,実施例1と同様の方法で塗布して、正極板A8を得た。第二の正極合剤層2の被覆率を測定したところ、95%であった。
第二の正極合剤層2の形成に際し、純水量を調整することによりペーストIの固形分濃度を60質量%に制御したこと、および隙間58μmのアプリケータを用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、正極板B1を得た。第二の正極合剤層2の被覆率を測定したところ、100%であった。第一の正極合剤層3における活物質粒子30の平均粒径dAは3.0μmであった。第一の正極合剤層3における活物質粒子30のアスペクト比は、1.22であった。
第二の正極合剤層2の形成に際し、純水量を調整することによりペーストIの固形分濃度を40質量%に制御したこと、および隙間40μmのアプリケータを用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、正極板B2を得た。第二の正極合剤層2の被覆率を測定したところ、55%であった。第一の正極合剤層3における活物質粒子30の平均粒径dAは3.0μmであった。第一の正極合剤層3における活物質粒子30のアスペクト比は、1.24であった。リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの最大値gMが47μm、リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの平均値gLが37μmであった。
負極板は次のようにして製作した。
グラファイト、SBR、およびCMCを純水中で分散させることにより、ペーストを製作した。このペーストを厚さ15μmの銅箔上に塗布し、次に100℃で乾燥することにより純水を蒸発させ、負極合剤層を形成した。
以上の操作を銅箔の片面に行った後、ロールプレスで圧縮成型し、負極板を得た。
トムセル(有限会社日本トムセル社製)、上記した正極版および負極版、ならびに下蓋、セパレータ、円盤、板ばねおよび上蓋を用いて試験電池を作製した。セパレータには厚さ30μmポリエチレン製微多孔膜を用いた。非水電解質は、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)およびジエチルカーボネート(DEC)を体積比30:35:35の割合で混合した1M LiPF6塩を使用した。
電池の詳しい作製方法を次に示す。
Al製の下蓋の上のパッキンの内側に、事前に電解液に浸漬した正極板(直径約1.4 cmの円形)、セパレータ(直径1.6cmの円形)および負極板(直径1.5cmの円形)を、正極板と負極板の各活物質塗布面が向き合うようにのせた。その後、正極板と負極板を均一に圧迫するためにSUS製の円盤と板ばねをのせ、最後にSUS製の上蓋をのせたのちにナットをもちいて均等に締めた。
得られた正極および電池をそれぞれ以下の方法により測定した。
第二の正極合剤層2の被覆率は、以下の方法により測定した。
正極にエポキシ樹脂を含浸させ、1日間乾燥させて固化させた後、正極集電体1に対して垂直な正極断面が見られるように、正極断面を研磨した。研磨した断面のSEM(走査型電子顕微鏡)写真を測定倍率500倍で撮影した。EDXの元素組成分析により各粒子の種類・組成を判別しながら、得られた写真において、まず、図2に示すように、正極集電体1に対して垂直な直線(破線)により、第二の正極合剤層2を構成するリチウム複合酸化物粒子20による被覆領域21を規定した。次に、当該写真上において、各粒子20における被覆領域21の合計長さを算出した。そして、正極集電体1表面の全長40に対する被覆領域21の合計長さの割合を被覆率として算出した。正極集電体1表面の全長は、上に第一の活物質合剤層3が塗布された領域を対象とした。測定はSEM顕微鏡写真において全長40が500μmになる領域で隣り合う全てのリチウム複合酸化物粒子20を対象とするものであり、正極集電体表面の全長40は両端のリチウム複合酸化物粒子20a、20bにおける被覆領域21a、21bを両端に含む当該表面上の長さとした。上記垂直な直線は、正極集電体1の表面に凹凸がある場合は、当該凹凸を均した面に対して垂直な直線であり、正極集電体1の表面が全体として湾曲している場合は、断面における当該湾曲表面の接線に対して垂直な直線である。図2は、正極集電体1に対して垂直な正極の概略断面図であって、第一の正極合剤層3を省略した図である。
第二の正極合剤層2に含まれるリチウム複合酸化物粒子20の平均粒径dLおよび第一の正極合剤層3に含まれる活物質粒子30の平均粒径dAは、EDXの元素組成分析により各粒子の種類・組成を判別しながら、SEM画像において以下の方法により測定した。
リチウム複合酸化物粒子20の平均粒径dLは、上記のSEM写真において、図1,2に示すように、作為的な選択を防ぐために、第二の正極合剤層2における互いに隣接する100個のリチウム複合酸化物粒子20について、各粒子の粒径の平均値を求めた。粒径は、最長粒径d1と最短粒径d2との平均値である。SEM写真において粒子の輪郭上で最も離れた2点の中点を中心点Mとした。その輪郭上の最も離れた2点を結んだ直線における2点間の長さを最長粒径d1とした。中心点Mを通る直線であって、当該直線と粒子の輪郭とが交わる2点間の長さが最も短い直線における当該2点間の長さを最短粒径d2とした。なお、平均粒径dLは、各粒子の粒径の値を大きさの順に最大値から最小値まで並べたとき、これらの値のうち、最大値から20個の値および最小値から20個の値を除外した合計60個の値の平均値を用いた。
活物質粒子30の平均粒径dAは、測定対象を活物質粒子とすること以外、リチウム複合酸化物粒子20の平均粒径dLと同様の方法により、断面SEM顕微鏡写真を用いて測定した。
正極集電体上のリチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの平均値gLおよび最大値gMは、以下の方法で測定した。
上述の方法でSEM顕微鏡写真を測定倍率500倍で撮影した。得られた写真において、まず、リチウム複合酸化物粒子20と隣のリチウム複合酸化物粒子20との間の正極集電体表面上の距離(図2中のg)をリチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さと規定した。リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの最大値は、得られた写真において隣接するリチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さのうちの最大の長さである。すき間の長さの最大値gMは、正極集電体の長さが100μmの範囲においてすき間の最大の長さを測定し、各範囲の最大の長さを平均した。
リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの平均値は、得られた写真において隣接するリチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さのうちの平均の長さである。すき間の長さの平均値gLは、正極集電体の長さが100μmの範囲においてすき間の平均の長さを測定し、各範囲の平均の長さを平均した。
第一の正極合剤層3の活物質粒子30のアスペクト比は、断面のSEM顕微鏡写真を用いて、活物質粒子30の最長粒径dMと最短粒径dmを測定することで、算出した。活物質粒子30の最長粒径dMおよび最短粒径dmは、測定対象を活物質粒子とすること以外、リチウム複合酸化物粒子20の最長粒径d1および最短粒径d2と同様の方法により、測定した。アスペクト比は、互いに隣接する10個の活物質粒子30について、最短粒径dmに対する最長粒径dMの比率(dM/dm)の平均値とした。
充放電試験は以下の方法により行った。
電池の設計容量の0.2倍量の充電電流値(電流密度約0.5mA/cm2)で、電源電圧4.2Vの定電流定電圧充電を室温下で8時間行った。その後、設計容量の0.2倍量の電流値で2.75Vまで放電し、0.2C容量を測定した。つぎに同様の方法で充電し、設計容量の1倍量の電流値で2.75Vまで放電し、1C容量を測定した。
各電池の放電レート特性を1C容量/0.2C容量として算出した。当該比率が大きいほど高率放電特性が良好であることを意味する。
過充電試験は以下の方法により行った。
電池の設計容量の2倍量の充電電流値(電流密度約5mA/cm2)で、上限電圧8.4Vの定電流定電圧充電を室温下で1.25時間行った。その際の7Vに到達したときのSOC(充電状態)(%)を算出した。過充電時に電圧が7Vに到達した電池は,第二の正極合剤層2が高抵抗化していることを示しており,過充電時の電流を遮断することができる。本試験では放熱性が高い電池を用いたため,セパレータのシャットダウンによる電圧上昇はおこらない。
A1からA3、A7、A8、B1およびB2の放電容量比率、過充電試験の7V到達時のSOCおよび安全性を表2に示す。放電容量比率1C/0.2Cを算出した。当該比率が大きいほど、高率放電特性が良好であることを意味する。7V到達時のSOCが小さいほど、安全性が高いことを意味する。7Vに到達していない電池は安全性を×と表記した.SOCが230%以下で7V到達した電池は安全性がより良好であるので〇と表記した。SOCが230%を超えて7V到達した電池は△と表記した。
2:第二の正極合剤層
3:第一の正極合剤層
20:リチウム複合酸化物粒子
21:被覆領域
30:活物質粒子
40:測定領域の全長
50:非水電解質二次電池
52:電極群
53:負極
54:正極
55:セパレータ
56:電池ケース
57:ケース蓋
58:安全弁
59:負極端子
60:負極リード
Claims (5)
- 正極集電体、第一の正極合剤層、および前記正極集電体と前記第一の正極合剤層との間に形成される第二の正極合剤層を含む正極を有し、
前記第一の正極合剤層が、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiCoNiO2、LiCoMO2およびLiNiMO2(Mは共通してNa、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、SbおよびBのうち少なくとも1つ)、およびこれら正極活物質の一部元素が異種元素で置換されたもの、ならびにCo、NiおよびMnを含む三成分系の層状酸化物からなる群から選択される活物質粒子を含み、
前記活物質粒子の平均粒径が0.5〜60μmであり、
前記第二の正極合剤層がリチウム複合酸化物粒子と導電助剤を含み、
前記リチウム複合酸化物粒子がスピネル型またはオリビン型リチウム複合酸化物粒子であり、
前記第二の正極合剤層に含まれる導電助剤の量はリチウム複合酸化物粒子100質量部に対して0.1〜4質量部であり、
前記第二の正極合剤層に含まれるリチウム複合酸化物粒子が前記正極集電体を被覆する領域が正極合剤塗布領域に占める被覆率が60〜95%であり、
前記リチウム複合酸化物粒子間のすき間において前記正極集電体と前記活物質粒子とが接触している、非水電解質二次電池。 - 正極集電体、第一の正極合剤層、および前記正極集電体と前記第一の正極合剤層との間に形成される第二の正極合剤層を含む正極を有し、
前記第一の正極合剤層が、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiCoNiO2、LiCoMO2およびLiNiMO2(Mは共通してNa、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、SbおよびBのうち少なくとも1つ)、およびこれら正極活物質の一部元素が異種元素で置換されたもの、ならびにCo、NiおよびMnを含む三成分系の層状酸化物からなる群から選択される活物質粒子を含み、
前記活物質粒子の平均粒径が0.5〜60μmであり、
前記第二の正極合剤層がリチウム複合酸化物粒子と導電助剤を含み、
前記リチウム複合酸化物粒子がスピネル型またはオリビン型リチウム複合酸化物粒子であり、
前記第二の正極合剤層に含まれる導電助剤の量はリチウム複合酸化物粒子100質量部に対して0.1〜4質量部であり、
前記第二の正極合剤層に含まれるリチウム複合酸化物粒子が前記正極集電体を被覆する領域が正極合剤塗布領域に占める被覆率が60〜95%であり、
前記正極集電体上の前記リチウム複合酸化物粒子間のすき間に、前記活物質粒子が入り込んでいる、非水電解質二次電池。 - 前記リチウム複合酸化物粒子の平均粒径dLと前記活物質粒子の平均粒径dAとの比率(dA/dL)が0.1〜6である請求項1または2に記載の非水電解質二次電池。
- 前記正極集電体上の前記リチウム複合酸化物粒子間のすき間の長さの最大値gMが5μmから45μmの範囲である請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
- 前記リチウム複合酸化物粒子がスピネル型マンガン酸リチウムを含む請求項1〜4のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
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