JP2016066549A - 非水電解液二次電池とその製造方法 - Google Patents

非水電解液二次電池とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】LiBOB由来の被膜の形成ムラを抑制し、負極の表面により好ましい態様の被膜が形成された非水電解液二次電池を提供すること。また、その非水電解液二次電池の好適な製造方法を提供すること。【解決手段】本発明によって提供される非水電解液二次電池は、正極活物質層を備える長尺の正極と、負極活物質層を備える長尺の負極とが捲回されてなる捲回型電極体と、非水電解液と、前記捲回型電極体および前記非水電解液を収容した電池ケースとを備えている。ここで負極活物質層は、捲回の軸方向の中心に帯状に配置される領域Aと、前記領域Aを除く領域Bとを含んでいる。そして、領域Bの表面には、リチウムビス(オキサラト)ボレートに由来する被膜が備えられ、領域Aの表面には、リチウムビス(オキサラト)ボレートよりも分解電位が低く、かつ、ナトリウム成分と反応しないオキサラト錯体化合物に由来する被膜が備えられていることを特徴としている。【選択図】図5

Description

本発明は、捲回型電極体を備える非水電解液二次電池と、その製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池(リチウム二次電池)等の非水電解液二次電池は、既存の電池に比べて軽量かつエネルギー密度が高いことから、近年、パソコンや携帯端末等のいわゆるポータブル電源や車両駆動用電源として用いられている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン二次電池は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両の駆動用高出力電源として好ましく用いられている。
この種の非水電解液二次電池は、正極と負極とをセパレータを介して備える電極体と、非水電解液と、を電池ケースに収容して構築される。正極および負極には、集電体上に電荷担体(リチウム二次電池の場合は、リチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出し得る活物質を含む活物質層がそれぞれ備えられている。そして、上記構築後の電池は、電池として実際に使用可能な状態に調整するため、適切な条件での初期充電処理が施される。
ところで、上記初期充電処理の際には、非水電解液の一部が負極にて還元分解され、負極活物質の表面にSEI(Solid Electrolyte Interface)とも呼ばれる被膜が形成される。かかる被膜が負極活物質層を覆うことにより、負極が安定化され、その後の非水電解液の分解が抑制される。しかしながら、非水電解液の分解は不可逆容量となり、電池容量の低下の原因となる。そこで、非水電解液中にあらかじめ該非水電解液の分解電位以下で分解して負極活物質層の表面に被膜を形成し得る添加剤(以下、「被膜形成剤」という。)を添加することが広く行われている。例えば特許文献1には、被膜形成剤として、リチウムビス(オキサラト)ボレート(Lithium bis(oxolato)borate:LiBOB),以下、単に「LiBOB」と記す場合がある。)を非水電解液中に含む非水電解液二次電池が開示されている。LiBOBは、初期充放電により負極活物質層の表面に化学的に安定な被膜(SEI)を形成し得る。このLiBOB由来の被膜は、電解液と活物質との間の電荷担体の移動を可能としつつ負極の表面を保護し、さらなる非水電解液の分解を安定的に抑制し得る。そのため、負極にLiBOB由来の被膜を備える電池は、安定性および耐久性が向上され得るために好ましい。
国際公開第2010−079565号
ところで、上述のとおりLiBOBを含有する非水電解液を用いると、負極上に形成されるLiBOB由来の被膜の形成量(被膜の厚さ、被膜の濃度、被膜量など)にムラが生じるという問題があった。例えば、電極体が捲回型電極体である場合、負極活物質層の表面のうち、捲回軸方向の中心付近においてはLiBOB由来の被膜が形成され難いという傾向があった。負極活物質層の表面に均一に被膜が形成されないと、負極の安定性が低下したり、抵抗のばらつきによりLi析出の起点ともなったりし得る。延いては電池の耐久性(例えば容量維持率)や安全性の低下(短絡発生)の原因となり得る。
本発明は、上記の従来の課題を解決すべく創出されたものであり、その目的は、捲回型電極体を備える場合であっても、負極表面(典型的には負極活物質の表面)におけるLiBOB由来の被膜の形成ムラを抑制し、より好適な形態の被膜が形成された非水電解液二次電池を提供することである。また、本発明の他の目的は、このような非水電解液二次電池の好適な製造方法を提供することである。
上記目的を実現すべく、本発明により、正極活物質層を備える長尺の正極と、負極活物質層を備える長尺の負極とが捲回されてなる捲回型電極体と、非水電解液と、上記捲回型電極体および上記非水電解液を収容した電池ケースとを備える非水電解液二次電池が提供される。ここで、上記負極活物質層は、上記捲回の軸方向の中心に帯状に配置される領域Aと、上記領域Aを除く領域Bとを含んでいる。そして、上記領域Bの表面には、LiBOBに由来する被膜が備えられ、上記領域Aの表面には、上記LiBOBよりも分解電位が低く、かつ、ナトリウム(Na)成分と反応しないオキサラト錯体化合物に由来する被膜が備えられていることを特徴としている。
本発明者が、捲回型電極体を備える非水電解液二次電池にみられるLiBOB由来の被膜の形成量のムラについて検討したところ、その原因の一つとして、電池ケース内(典型的には、電極体内)に不可避的に含まれるNa成分の影響が大きいことを知見した。例えば、電極体を構成する正極、負極およびセパレータを作製する際に用いる原料には、標準的な成分としてNa成分(例えばナトリウム塩)が含まれている。したがって、電極体に非水電解液を含浸させると、Na成分が電極から非水電解液中に溶解する。非水電解液に溶解したNa成分(典型的には、Naイオン)は、非水電解液が電極体中に含浸する方向に流されて移動する。ここで、電極体が捲回型電極体である場合は、図4Bの(b1)に示すように、非水電解液は、電極活物質層中を、捲回軸W方向の両端から中心に向けて含浸してゆく。そして両端から含浸された非水電解液は含浸方向の中心付近、すなわち捲回軸W方向の中心付近にてぶつかる。また、LiBOBに由来するビス(オキサラト)ボレートアニオン:[B(C(以下、単に「BOBアニオン」という場合がある。)が電極体に浸透する速度は、Naイオン(Na)の浸透速度よりも遅い。このため、(b2)に示すように、捲回軸W方向の中心付近では、まず、Naイオンが濃縮され、その後BOBアニオンが遅れて拡散(到着)することとなる。
このとき、(b3)に示すように、捲回軸W方向の中心付近のナトリウムイオン濃度の高い領域(領域Aとする。)においては、Naイオン(Na)と、非水電解液中のBOBアニオンとが反応(会合)し、難溶性の塩(Na[B(C];以下、単に「NaBOB」と記す場合がある。)を形成して析出(沈殿)すると考えられる。しかしながら、この塩は、抵抗成分(すなわち、電荷担体の移動を阻害する)となり得るものの、負極を保護する被膜とはなり得ない。一方で、ナトリウムイオン濃度がさほど高くない領域においては、(b4)に示すように、初期充電により、負極の表面(より詳細には、負極活物質層の表面,特に負極活物質の表面)でLiBOBが分解されてLiBOB由来の被膜が形成される。このような理由により、負極活物質層表面の被膜形成量にムラが生じていると想到した。
これに対し、ここに開示される非水電解液二次電池においては、LiBOB由来の被膜が形成されない領域、すなわち、捲回軸W方向の中心に帯状に配置される領域Aには、上記オキサラト錯体化合物に由来する被膜が備えられている。換言すると、負極活物質層の領域Bでは良質なLiBOB由来の被膜が優先的に形成されている。そしてLiBOB被膜が形成されていない領域Aにおいては、Naイオンを上記難溶性の塩としてトラップした状態で、Na成分と反応しない上記オキサラト錯体化合物に由来する被膜を備えるようにしている。これにより、Na成分の影響を抑制して、負極活物質層の表面に安定な被膜を、ムラを抑制した状態で備える非水電解液二次電池が提供される。
なお、本明細書において「ナトリウム(Na)成分」とは、ナトリウム単独(典型的にはイオンの状態)で存在する場合と、構成元素としてNaを含む化合物として存在する場合とを包含する。
ここに開示される非水電解液二次電池の好ましい一態様においては、上記電池ケース内に含まれるナトリウム量をCNaとし、LiBOBの量をCLiBOBとしたとき、上記CNaと上記CLiBOBとは、CNa<CLiBOBの関係を満たすことを特徴としている。
Na≧CLiBOBの関係を満たす従来の非水電解液二次電池においては、LiBOB量が少なく、十分なLiBOB由来被膜を形成することができなかった。また、Na成分の影響が広範囲に及んで避けられず、電極抵抗が高くなることを避けられなかった。これに対し、ここに開示される非水電解液二次電池は、上記のCNa<CLiBOBの関係を満たす構成により、領域Aと領域Bとの抵抗のムラが抑制されている。例えば、領域Bに対する領域Aの抵抗の差が、従来よりも、1/5程度に抑制されたものであり得る。したがって、CNa<CLiBOBの関係を有する電池にここに開示される技術を適用することで、上述の本願発明の特長がより明瞭に表れるために好ましい。
なお、「電池ケース内に含まれるナトリウム量Na」は、実質的に、捲回型電極体および非水電解液に含まれるナトリウム量に等しいと考えることができる。すなわち、捲回型電極体および非水電解液の原料に含まれるNa量の合計として算出される。この値は、製造後の二次電池においては、例えば、正極、負極および非水電解液(ならびに、セパレータを含む捲回型電極体においてはセパレータ)に含まれるナトリウム量を測定または算出することで求めることができる。このナトリウム量の測定は、例えば、後述の溶出試験により実施することができる。
ここに開示される非水電解液二次電池の好ましい一態様において、上記オキサラト錯体化合物は、ジフルオロ(オキサラト)ボレート塩であることを特徴としている。より好ましくは、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(Lithium difluoro(oxolato)borate:LBFO)であり得る。
このようなオキサラト錯体化合物の還元分解物からなる被膜は、LiBOB由来の被膜と均整のとれたものであり得る。これにより、上記領域Aと領域Bとに、被膜形成量のみならずその特性においてもムラの低減された被膜を構成することができる。
ここに開示される非水電解液二次電池の好ましい一態様において、上記電池ケースは、上記捲回型電極体を収容するための開口を備えるケース本体と、上記ケース本体の上記開口を封止している封口体と、を備えている。そして、上記捲回電極体は、上記封口体が上方となるように上記電池ケースを水平面に置いたとき、上記捲回の軸が水平方向となるよう上記電池ケース内に収容されていることを特徴としている。
捲回の軸が水平方向となるよう上記電池ケース内に収容された構成の非水電解液二次電池においては、一般に、その製造過程において、非水電解液が捲回電極体の捲回軸方向の両端部から中心部に向けて水平方向に含浸される。したがって、従来は、領域AにLiBOB由来の被膜が形成され難く、領域Aにおいて局所的に抵抗が高いものであり得た。これに対し、ここに開示される非水電解液二次電池は、上記のとおり、上記領域Aと領域Bとでムラが抑制された被膜が備えられるため、本発明の電池を上記構成とした場合にその特長がより明瞭に表れ得るために好ましい。
また、他の側面において、ここに開示される発明は、非水電解液二次電池の製造方法を提供する。この製造方法は、正極活物質層を備える長尺の正極と、負極活物質層を備える長尺の負極とが捲回されてなる捲回型電極体を用意すること;被膜形成剤を含む非水電解液を用意すること、ここで上記被膜形成剤は、少なくとも、LiBOBと、上記LiBOBよりも分解電位が低く、かつ、ナトリウム成分と反応しないオキサラト錯体化合物とを含む;上記捲回型電極体および上記非水電解液を電池ケース内に収容して組立体を用意すること;および、上記組立体に対し初期充電処理を施すこと、ここで上記初期充電処理は、上記負極電位を、上記LiBOBの分解電位以下であって、上記オキサラト錯体化合物の分解電位よりも高い電位に保つ第1段階と、上記第1工程の後、上記負極電位を、上記オキサラト錯体化合物の分解電位以下の電位に保つ第2段階と、を含む;を包含することを特徴としている。
上記構成によると、初期充電の第1工程において、負極表面であってLiBOBがナトリウムイオンと難溶性の塩を形成していない領域Bに、LiBOBに由来する被膜を確実に形成することができる。そして、第2工程において、LiBOBに由来する被膜が形成されていない領域Aに、オキサラト錯体化合物に由来する被膜を確実に形成することができる。延いては、負極活物質層の表面にムラを抑制して被膜を形成することができ、耐久性(例えば容量維持率)や安全性(短絡発生の抑制効果)に優れた非水電解液二次電池を製造することができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、上記電池ケース内に含まれる、ナトリウム量をCNa、上記LiBOB量をCLiBOBとしたとき、上記CNaと上記CLiBOBとが、CNa<CLiBOBの関係を満たすように電池組立体を構築することを特徴としている。例えば、電池ケース内に収容される捲回型電極体の構成に基づき、非水電解液に含まれる、ナトリウム量をCNaおよびLiBOB量を適切に調整することができる。
このように電池を構成することで、負極活物質層の表面に、より確実にムラを抑制して被膜を形成することができ、より耐久性や安全性等に優れた非水電解液二次電池を製造することができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、上記オキサラト錯体化合物は、ジフルオロ(オキサラト)ボレート塩であることを特徴としている。より好ましくは、LBFOであり得る。
このようなオキサラト錯体化合物を被膜形成剤として用いることで、負極活物質層の捲回軸方向の中心を含む領域(領域A)に、LiBOB由来の被膜と均整のとれた被膜を形成することができる。これにより、負極活物質層の表面の全域に、被膜形成量のみならずその特性においてもムラの低減された被膜を構成することができる。
一実施形態に係る非水電解液二次電池の構成を模式的に示す断面図である。 一実施形態に係る非水電解液二次電池の捲回電極体の構成を説明する模式図である。 一実施形態に係る非水電解液二次電池の製造方法を示すフロー図である。 一実施形態に係る非水電解液二次電池の製造方法における、負極活物質層表面での被膜形成の様子を説明する断面模式図である。 従来の非水電解液二次電池の製造方法における、負極活物質層表面での被膜形成の様子を説明する断面模式図である。 各例の電池について、負極活物質層の表面抵抗を捲回軸方向に測定した結果を例示した図である。 各例の電池について、電池ケース内のLiBOB量と容量維持率との関係を例示した図である。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明に係る非水電解液二次電池とその製造方法について、好適な実施形態に基づき説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けない電池構造等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、下記に示す図面における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は必ずしも実際の寸法関係を反映するものではない。
本明細書において「非水電解液二次電池」とは、電解質として非水系の電解液を用いた繰り返し充放電可能な電池一般をいう。典型的には、電解質イオン(電荷担体)としてリチウム(Li)イオンを利用し、正負極間においてこのリチウムイオンの移動に伴い充放電が実現される二次電池が包含される。一般にリチウムイオン電池(若しくはリチウムイオン二次電池)、リチウムポリマー電池等と称される二次電池は、本明細書におけるリチウム二次電池に包含される典型例である。また、本明細書において「活物質」とは、電荷単体となる化学種(リチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出し得る材料をいう。
図1は、一実施形態としての非水電解液二次電池100の構成を示す断面模式図である。この非水電解液二次電池100は、本質的に、正極活物質層34を備える長尺の正極30と、負極活物質層44を備える長尺の負極40とが捲回されてなる捲回型電極体20と、非水電解液(図示せず)と、これら捲回型電極体20および非水電解液を収容した電池ケース10とを備えている。図2は、この捲回型電極体20の構成を説明する図である。かかる非水電解液二次電池100は、特に制限されるものではないが、ここに開示される非水電解液二次電池の製造方法により好適に製造され得る。したがって、下記にこの製造方法について説明するとともに、ここに開示される非水電解液二次電池100の構成についても詳細に説明を行う。なお、本発明の非水電解液二次電池およびその製造方法を、以下の実施形態に限定することを意図したものではない。
ここで開示される非水電解液二次電池100の製造方法は、図3に示したように、本質的に、(S1)捲回型電極体の用意工程、(S2)非水電解液の用意工程、(S3)組立体の構築工程、および(S4)初期充電処理工程を含んでいる。
[S1.捲回型電極体の用意工程]
まず、捲回型電極体20の用意工程では、正極活物質層34を備える長尺の正極30と、負極活物質層44を備える長尺の負極40とが捲回されてなる捲回型電極体20を用意する。
[正極]
長尺の正極30は、典型的には、長尺の正極集電体32と、この正極集電体32上に保持された正極活物質層34とを備えている。正極集電体32には、典型的には、正極活物質層34が形成された部位と、正極活物質層34が設けられずに集電体32が露出された正極集電体露出部33とが設けられる。この正極集電体露出部33は、典型的には、長尺の正極集電体32の幅方向の一方の端部に沿って帯状に設けられる。そして、正極活物質層34は、この正極集電体32のうち、正極集電体露出部33を除く表面に設けられる。正極活物質層34は、正極集電体32の両面に設けられてもよいし、いずれか一方の面にのみ設けられてもよい。正極集電体32としては、導電性の良好な金属(例えばアルミニウム、ニッケル等)からなる導電性部材が好適である。この正極活物質層34は、少なくとも正極活物質を含み、非水電解液の含浸が可能なように多孔質構造を有している。
上記正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な材料であって、リチウム元素と一種または二種以上の遷移金属元素を含むリチウム含有化合物(例えばリチウム遷移金属複合酸化物)を好適に用いることができる。例えば、層状岩塩型またはスピネル型の結晶構造を有するリチウム遷移金属酸化物が好適例として挙げられる。かかるリチウム遷移金属酸化物は、例えば、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLiCoO)、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLiMn)、或いは、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えばLiNi1/3Co1/3Mn1/3)のような三元系リチウム含有複合酸化物であり得る。また、一般式がLiMPO或いはLiMVO或いはLiMSiO(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種以上の元素)等で表記されるようなポリアニオン系化合物(例えばLiFePO、LiMnPO、LiFeVO、LiMnVO、LiFeSiO、LiMnSiO、LiCoSiO)を上記正極活物質として用いてもよい。
なお、正極活物質層34には、上記正極活物質に加えて、一般的な非水電解液二次電池において正極活物質層の構成成分として使用され得る1種または2種以上の材料を必要に応じて含有し得る。そのような材料の例として、導電材やバインダが挙げられる。導電材としては、例えば、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラックやケッチェンブラック)、活性炭、黒鉛、炭素繊維等の炭素材料を好適に用いることができる。また、バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のハロゲン化ビニル樹脂、ポリエチレンオキサイド(PEO)等のポリアルキレンオキサイドを好適に用いることができる。また、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、さらに各種添加剤(例えば、過充電時にガスを発生させる無機化合物、分散剤、増粘剤等)を含ませることもできる。
正極活物質層34全体に占める正極活物質の割合は、高エネルギー密度を実現する観点から、およそ60質量%以上(典型的には60質量%〜95質量%)とすることが適当であり、通常はおよそ70質量%〜95質量%であることが好ましい。また、バインダを使用する場合、正極活物質層全体に占めるバインダの割合は、機械的強度(形状保持性)を好適に確保する観点から、例えばおよそ0.5質量%〜10質量%とすることができ、通常はおよそ1質量%〜5質量%とすることが好ましい。導電材を使用する場合、出力特性とエネルギー密度とを高いレベルで両立する観点から、正極活物質層全体に占める導電材の割合は、例えばおよそ1質量%〜20質量%とすることができ、通常はおよそ2質量%〜10質量%とすることが好ましい。
また、正極活物質層34の厚みは特に限定されないが、例えば20μm以上、典型的には50μm以上であって、200μm以下、典型的には100μm以下とすることができる。正極集電体32の単位面積当たりに設けられる正極活物質層34の質量(目付量)は、高エネルギー密度を実現する観点から、正極集電体32の片面当たり3mg/cm以上(例えば5mg/cm以上、典型的には7mg/cm以上)とするとよい。優れた出力特性を実現する観点からは、正極集電体32の片面当たり100mg/cm以下(例えば70mg/cm以下、典型的には50mg/cm以下)とするとよい。また、正極活物質層34の片面当たりの平均厚みは、例えば20μm以上(典型的には40μm以上)であって、100μm以下(典型的には80μm以下)とするとよい。また、正極活物質層34の密度は、例えば1.0g/cm以上(典型的には2.0g/cm以上)であって、4.5g/cm以下(例えば4.0g/cm以下)とするとよい。
[負極]
長尺の負極40は、典型的には、長尺の負極集電体42と、負極集電体42上に形成された負極活物質層44とを備えている。負極集電体42には、負極活物質層44が形成される部位と、負極活物質層44が設けられずに集電体42が露出される負極集電体露出部43とが設定される。この負極集電体露出部43は、典型的には、負極集電体42の幅方向の一方の端部に沿って帯状に設けられる。そして、負極活物質層44は、この負極集電体42のうち、負極集電体露出部43を除く表面に設けられる。負極集電体42としては、導電性の良好な金属(例えば銅、ニッケル等)からなる導電性部材が好適である。この負極活物質層44は、少なくとも負極活物質を備えており、非水電解液の含浸が可能なように多孔質構造を有している。
負極活物質としては、非水電解液二次電池の負極活物質として使用し得ることが知られている各種の材料を1種または2種以上を採用することができる。好適例として、黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)、カーボンナノチューブ、或いは、これらを組み合わせた構造を有するもの等の炭素材料が挙げられる。なかでも、エネルギー密度の観点から、天然黒鉛(石墨)や人造黒鉛等の黒鉛系材料を好ましく用いることができる。かかる黒鉛系材料は、少なくとも一部の表面に非晶質炭素が配置されているものを好ましく用いることができる。より好ましくは、粒状炭素の表面のほぼ全てを非晶質炭素の膜で被覆された形態である。なお、非晶質炭素はその表面にエッジ面が多く露出しており、電荷担体の受入性が高い(すなわち、電荷担体の吸蔵・放出スピードが速い)。また、黒鉛は、理論容量が大きく、エネルギー密度に優れている。したがって、負極活物質として非晶質炭素被覆黒鉛を用いることで、大容量でエネルギー密度が高く、かつ、入出力特性に優れた非水電解液二次電池を実現することが可能となる。また、かかる炭素系材料のほかに、例えば、LiTi12等のリチウムチタン複合酸化物、リチウム遷移金属複合窒化物等の、リチウム遷移金属複合化物を用いることもできる。
なお、負極活物質層44には、上記負極活物質に加えて、一般的な非水電解液二次電池において負極活物質層44の構成成分として使用され得る1種または2種以上の材料を必要に応じて含有し得る。そのような材料の例として、バインダや各種添加剤が挙げられる。バインダとしては、一般的なリチウムイオン二次電池の負極に使用されるバインダと同様のものを適宜採用することができる。例えば、正極30におけるのと同様のバインダを用いることができる。そして好ましい形態として、負極活物質層44を形成するために上記の水性溶媒を用いる場合には、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム類、ポリエチレンオキサイド(PEO)、酢酸ビニル共重合体等の水溶性のポリマー材料または水分散性のポリマー材料を好ましく採用し得る。その他、増粘剤、分散剤、導電材等の各種添加剤を適宜使用することもできる。例えば、増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)やメチルセルロース(MC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)等のセルロース系ポリマーが挙げられる。
負極活物質層全体に占める負極活物質の割合は、およそ50質量%以上とすることが適当であり、通常は90質量%〜99質量%(例えば95質量%〜99質量%)とすることが好ましい。これにより、高エネルギー密度を実現することができる。バインダを使用する場合、負極活物質層全体に占めるバインダの割合は、例えばおよそ1質量%〜10質量%とすることができ、通常はおよそ1質量%〜5質量%とすることが好ましい。これにより、負極活物質層の機械的強度(形状保持性)を好適に確保することができ、良好な耐久性を実現することができる。増粘剤を使用する場合、負極活物質層全体に占める増粘剤の割合は、例えばおよそ1質量%〜10質量%とすることができ、通常はおよそ1質量%〜5質量%とすることが好ましい。
負極集電体42の単位面積当たりに設けられる負極活物質層44の質量(目付量)は、高エネルギー密度と出力密度とを実現する観点から、負極集電体42の片面当たり5mg/cm以上(典型的には7mg/cm以上)であって、20mg/cm以下(典型的には15mg/cm以下)程度とするとよい。また、負極活物質層44の片面当たりの厚みは、例えば40μm以上(典型的には50μm以上)であって、100μm以下(典型的には80μm以下)とするとよい。また、負極活物質層44の密度は、例えば0.5g/cm以上(典型的には1.0g/cm以上)であって、2.0g/cm以下(典型的には1.5g/cm以下)とするとよい。
[セパレータ]
なお、上記非水電解液二次電池においては、正極30と負極40との間にセパレータ50を備えていてもよい。セパレータ50は、正極30と負極40とを絶縁するとともに、電荷担体を保持し、この電荷担体の通過性を可能とする構成材料である。このようなセパレータ50は、各種の材料からなる微多孔質樹脂シートにより好適に構成することができる。特に限定されるものではないが、このセパレータ50は、捲回型電極体20が所定の温度となったときに軟化溶融し、電荷担体の通過を遮断すするシャットダウン機能を備えるように構成してもよい。例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)に代表されるポリオレフィン樹脂からなる微多孔質シートは、シャットダウン温度を80℃〜140℃(典型的には110℃〜140℃、例えば120℃〜135℃)の範囲で好適に設定できるためにセパレータ50として好ましい。
なお、セパレータ50は、上記の微多孔質樹脂シートを基材として、その片面または両面に、耐熱性および絶縁性を有する無機骨材からなる耐熱層(Heat Resistant Layer:HRL)を備えることができる。これにより、たとえば、捲回型電極体20の温度がセパレータ50の融点よりも高い温度となりセパレータ50が縮んだり破断したりしても、正極30および負極50が短絡するのを防止することができる。
セパレータ50の全体の平均厚みは特に限定されないが、通常、10μm以上、典型的には15μm以上、例えば17μm以上とすることができる。また、上限については、40μm以下、典型的には30μm以下、例えば25μm以下とすることができる。平均厚みが上記範囲内にあることで、電荷担体の透過性を良好に保つことができ、かつ、微小な短絡(漏れ電流)がより生じ難くなる。このため、入出力密度と安全性とを高いレベルで両立することができる。
[捲回型電極体]
上記で用意した正極30、負極40およびセパレータ50を用い、図2に示すような捲回型電極体20を構成することができる。すなわち、長尺の正極30と長尺の負極40とを計二枚の長尺のセパレータ50を介在させて積層し、長手方向に捲回する。換言すると、長手方向に直交する幅方向を倦回軸W方向として捲回する。これにより、円柱型(円筒型)の捲回型電極体20を得ることができる。なお、図2の例では、得られた捲回型電極体20を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって、扁平形状の捲回型電極体20を構築している。このような捲回型電極体20の形状は、使用する電池ケース10の形状に合わせて適切に成形することができる。
なお、正極30、負極40およびセパレータ50の積層の際には、正極30の正極集電体露出部33と、負極40の負極集電体露出部43とが、セパレータ50の幅方向の両側からそれぞれ互いに異なる側にはみ出すように、正極30と負極40とを幅方向でややずらして重ね合わせるとよい。その結果、捲回型電極体20の捲回軸W方向では、正極集電体露出部33と負極集電体露出部43とが、それぞれ捲回コア部分(すなわち正負の活物質層34,44が対向した部分)から外方にはみ出すこととなる。この正極集電体露出部33と負極集電体露出部43とを利用することで、高効率な集電を行うことができる。
[正極と負極の容量]
上記の正極30と負極40とは、電荷担体の受入特性の違い等から、容量比を調整することができる。具体的には、正極容量C(mAh)と負極容量C(mAh)との比(C/C)を、1.0〜2.0とすることが適切であり、1.5〜1.9(例えば1.7〜1.9)とすることが好ましい。ここで、正極容量C(mAh)は、正極活物質の単位質量当たりの理論容量(mAh/g)と該正極活物質の質量(g)との積として規定される。また、負極容量C(mAh)は、負極活物質の単位質量当たりの理論容量(mAh/g)と該負極活物質の質量(g)との積として規定される。上記の通り、対向する正負極の容量比を調整することで、電池容量やエネルギー密度等の電池特性を良好に維持しつつ、全体として正負極間の電荷バランスを整えることができる。
[S2.非水電解液の用意工程]
次いで、被膜形成剤を含む非水電解液を用意する。
[非水電解液]
非水電解液としては、典型的には、非水溶媒中に支持塩(例えば、リチウムイオン二次電池ではリチウム塩)を溶解または分散させたものを採用し得る。
非水溶媒としては、一般的な非水電解液二次電池において電解液として用いられるカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の各種の有機溶媒を特に制限なく用いることができる。例えば、具体的には、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等が挙げられる。このような非水溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を混合溶媒として用いることができる。
支持塩としては、一般的な非水電解液二次電池に用いられる各種のものを適宜選択して採用することができる。例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、Li(CFSON、LiCFSO等のリチウム塩を用いることが例示される。このような支持塩は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。かかる支持塩は、非水電解質における濃度が0.7mol/L〜1.3mol/Lの範囲内となるように調製することが好ましい。
[被膜形成剤]
ここで被膜形成剤としては、非水溶媒よりも分解電位が低く、非水溶媒が分解されるに先立って正極または負極(典型的には負極)の表面で分解され、安定な被膜を形成し得る各種の化合物を用いることができる。この被膜形成剤は、電池の製造時において非水電解液中に含まれるものの、典型的には初期充電処理において分解されて、当初の形態を有さないことが殆どである。例えば、初期充電処理後の電池においては、全ての被膜形成剤が分解されて、非水電解液中に含まれない状態となり得る。ここに開示される技術においては、この被膜形成剤として、(1)リチウムビス(オキサラト)ボレート;LiBOBと、(2)このLiBOBよりも分解電位が低く、かつ、ナトリウム成分と反応しないオキサラト錯体化合物と、の少なくとも2種類を含むことを特徴としている。
LiBOBは、下記の式(I)に示される構造を有し、非水溶媒中で、電荷担体となり得るLiカチオン(Li)と、ビス(オキサラト)ボレートアニオン([B(C;BOBアニオン)とに解離し得る。このBOBアニオンが負極(より詳細には、負極活物質層44)の表面で分解電位(1.8VvsLi/Li)よりも低い電位に晒されることで還元分解され、負極活物質層44の表面にLiBOBの化学構造に由来する重合被膜を形成する。このLiBOB由来の被膜は、化学的に安定であって、電荷担体(例えばLi)の透過性を有するものの電子伝導性は有さない。このLiBOB由来の被膜の存在により、負極活物質層44の表面を安定化させ、電池の使用(すなわち充放電)に際しても不可逆容量の原因となる非水溶媒の分解を抑制することができる。
Figure 2016066549
また、上記のオキサラト錯体化合物としては、オキサラト錯体構造を含む化合物であって、LiBOBよりも分解電位が低く、かつ、ナトリウム成分との反応性の低い化合物を特に制限なく用いることができる。
オキサライト錯体は、典型的には、1つまたは2つまたは3つのシュウ酸イオン(C 2−)が、中心元素(配位原子)に配位結合して形成されるイオン性の錯体である。ここで、上記LiBOBと組み合わせて用いるのに特に好ましいオキサラト錯体化合物は、中心元素をLiBOBと共通のホウ素(B)とするオキサラトボレート系の化合物であり得る。また、中心イオンに配位するイオンとしては、シュウ酸イオンの他、F,Cl,Br等のハロゲン原子を考慮することができる。なお、オキサラト錯体化合物のカチオンとしては、Li、Na、K等のアルカリ金属のカチオンの他、Be、Mg、Ca等のアルカリ土類金属のカチオン、プロトンや、テトラブチルアンモニウムイオン,テトラエチルアンモニウムイオン等のテトラアルキルアンモニウムイオン、トリエチルメチルアンモニウムイオン等のトリアルキルアンモニウムイオン等を考慮することができる。特に好適なオキサラト錯体化合物としては、ホウ素を中心元素とし、1つのシュウ酸イオンと、2つのハロゲン原子が配位したジハロゲン化(オキサラト)ボレート塩およびその誘導体であり、より好ましくはハロゲン原子がフッ素原子(F)であるジフルオロ(オキサラト)ボレート塩である。なお、カチオンとしてはリチウムイオン(Li)であることが好ましい。したがって、ここに開示される技術において、特に好適なオキサラト錯体化合物としては、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(LBFO)が挙げられる。
なお、オキサラト錯体化合物の分解電位は、LiBOBの分解電位よりも低ければその値は特に制限されず、例えば、約0.05〜0.5VvsLi/Li程度低い化合物が好ましい例として挙げられる。例えば、LBFOの分解電位は、1.7VvsLi/Liであり、LiBOBの分解電位よりも約0.1VvsLi/Li程度低い。
また、ナトリウム成分との反応性の低いとは、電池の構築に用いる非水電解液が捲回型電極体に浸透した際に、ナトリウム成分と塩を形成しない程度であればよい。
以上のLiBOBとオキサラト錯体化合物との非水電解液への配合量は、対象とする非水電解液二次電池に備えられる負極活物質層の表面積に応じて適宜決定することができる。例えば、後述の初期充電により還元分解され、負極活物質層の表面を適量でかつ均一に覆うことができ、さらには非水電解液中に残存しない適切量とすることが好ましい。非水電解液中での被膜形成剤の濃度としては、例えば、0.1mol/L程度以下(典型的には0.005mol/L〜0.05mol/L)を目安とすることができる。
また、LiBOBとオキサラト錯体化合物との合計に占めるLiBOBの割合は、電池の体格等にもよるため厳密に制限されるものではないが、LiBOB:オキサラト錯体化合物として、モル比で、10:2〜10:10程度とするのが好ましく、より好ましくは10:3〜10:8であり、特に好ましくは10:4〜10:6である。
また、非水電解液は、本発明の非水電解液二次電池100の特性を損なわない限り、被膜形成剤以外の各種の添加剤等を含んでいても良い。かかる添加剤としては、例えば、過充電添加剤等と呼ばれ、主として電池の過充電時の安全性の向上を目的として添加される。なお、過充電添加剤等は、過充電時の安全性の向上の他に、電池の入出力特性の向上、サイクル特性の向上、初期充放電効率の向上等の効果のうち、1または2以上の目的を達成する目的で使用されてもよい。このような過充電添加剤としては、具体的には、例えば、ビフェニル(BP)、シクロヘキシルベンゼン(CHB)等の正極が所定の電位となったときに正極で分解されてガスを発生させ得る化合物が例示される。その他の添加剤としては、界面活性剤;分散剤;増粘剤等が挙げられる。非水電解液全体に対するこれらの添加剤は過剰であると抵抗成分として作用する。したがって、これらの添加剤の濃度は、その種類にもよっても異なるものの、通常0質量%以上6質量%以下程度(典型的には0.5質量%以上4質量%以下程度)とすることが例示される。
[S3.組立体の構築工程]
そして、上記で用意した捲回型電極体20および非水電解液を電池ケース10内に収容して組立体を用意する。
電池ケース10は、例えば、アルミニウムおよびその合金、鉄およびその合金などからなる金属製、ポリアミド等の樹脂製、ラミネートフィルム製等の各種のものを好適に用いることができる。図1の例では、アルミニウム合金製の薄い角型の電池ケース10であって、上面が開放された有底の扁平な箱型形状(典型的には直方体形状)のケース本体(外装ケース)12と、該ケース本体12の開口部を塞ぐ封口体14とを備えている。電池ケース10の上面(すなわち封口体14)には、上記捲回電極体20の正極30と電気的に接続する正極端子60と、捲回電極体20の負極40と電気的に接続する負極端子70とが設けられている。また、封口体14には、典型的には、捲回電極体20が収容されたケース本体12内に非水電解液を注入するための注液口84が形成されている。さらに、封口体14には、従来の非水電解液二次電池のケースと同様に、電池異常の際に電池ケース10内部で発生したガスを電池ケース10の外部に排出するための安全弁82が設けられていてもよい。捲回電極体20は、この封口体14に固定した状態でケース本体12内に収容すると、収容位置が安定すると共に、破損等の虞が低減されて好ましい。
封口体14への捲回電極体20の固定に際しては、具体的には、図1に示すように、正極集電体露出部33と正極端子60(例えばアルミニウム製)とを、正極集電部材62を介して接合する。これにより、捲回型電極体20の正極30と正極端子60とを電気的に接続することができる。同様に、負極集電体露出部43と負極端子70(例えばニッケル製)とを、負極集電部材72を介して接合する。これにより、負極40と負極端子70とを電気的に接続することができる。このような集電構造によると、捲回電極体20は、封口体14が上方となるように電池ケース10を水平面に置いたとき、捲回軸Wが水平方向となるよう前記電池ケース内に収容されることとなる。すると、後述のとおり非水電解液を含浸する際に、含浸方向と一致する捲回軸W方向が水平となり、非水電解液の含浸がスムーズに進行し、非水電解液の含浸に要する時間が短縮され得るために好ましい。なお、正負の集電部材62,72と、正負極端子60,70および正負極集電体32,42とは、例えば、超音波溶接、抵抗溶接等によりそれぞれ接合することができる。その後、ケース本体12の開口部を封口体14によって封止することで、二次電池100を組み立てることができる。封口体14とケース本体12とは溶接等によって好適に接合(密閉)することができる。
なお、電池ケース10の内部には、電池ケース10内の圧力が所定の圧力にまで上昇した際に作動する電流遮断機構(CID)80が設けられていてもよい。CID80は、電池ケース10の内圧が上昇した場合に少なくとも一方の電極端子から電極体20に至る導電経路(例えば、充電経路)を切断するように構成されていればよく、特定の形状に限定されない。典型的には、正極端子60と電極体20との間に設けられ、電池ケース10の内圧が上昇した場合に正極端子60から電極体20に至る導電経路を切断するように構成されている。
封口体14とケース本体12とを密閉したのち、例えば、封口体14に設けられた注液口84から電池ケース10内に非水電解液を注液する。非水電解液の注液は、電池ケース10内を減圧しながら、或いは減圧後に、行っても良い。非水電解液の注液後に注液口84を蓋等により封止することで、組立体を用意することができる。組立体は、例えば、非水電解液の注液後、非水電解液が捲回型電極体に十分に浸透するように、例えば、5時間〜50時間程度静置することが好ましい。
[S4.初期充電処理工程]
その後、上記の組立体に対し初期充電処理を施す。この初期充電処理では、本質的に、上記組立体の正極と負極の端子間に外部電源を接続し、所定の充電レートで、二次電池の駆動電圧領域(例えば、2.7〜4.1V)を含む電圧範囲で充電する。この充電は、1回行うことでもよいし、複数回(典型的には、2〜3回)行うことでもよい。これにより、組立体は電池として実際に使用可能な状態に調整される。そしてここに開示される技術においては、この初期充電処理において、(1)負極電位を、LiBOBの分解電位以下であって、オキサラト錯体化合物の分解電位よりも高い電位(以下、第一電位という。)に保つ第1段階と、(2)第1工程の後、負極電位を、オキサラト錯体化合物の分解電位以下の電位(以下、第二電位という。)に保つ第2段階と、を含むように実施する。これら第1段階および第2段階を行うタイミングは厳密には制限されないものの、典型的には、初回充電(第1回目の充電)時に負極電位が低下することを利用して、実施することができる。
負極電位を第一電位に保持するには、例えば、電池電圧(正負の端子間電圧)が1.8V程度となる充電状態に調整すればよい。負極電位を第一電位に保持することで、非水電解液中に含まれるLiBOBが負極活物質の表面で還元分解されて、負極活物質の表面に重合性の被膜(LiBOB由来被膜)を形成する。負極電位を第一電位に保持する時間は特に制限されないが、例えば、2分間〜5分間程度(例えば、3分間±0.5分間)とすることが目安とされる。
負極電位を第二電位に保持するには、例えば、電池電圧(正負の端子間電圧)が1.9V程度となる充電状態に調整すればよい。負極電位を第二電位に保持することで、非水電解液中に含まれるオキサラト錯体化合物が、上記負極活物質の表面のうち、LiBOB由来被膜が形成されていない領域で還元分解されて、負極活物質の表面に重合性の被膜(オキサラト錯体化合物由来被膜)を形成する。負極電位を第二電位に保持する時間は特に制限されないが、例えば、2分間〜5分間程度(例えば、3分間±0.5分間)とすることが目安とされる。
ここで、LiBOBおよびオキサラト錯体化合物は、分解電位以下の負極活物質層の表面に供給されることで、還元分解される。そして、初期充電前の捲回型電極体20においては、既に説明したように、捲回軸W方向(すなわち非水電解液の含浸方向)において被膜形成剤およびNa成分の分布にムラが発生している。例えば、図4Aは、捲回型電極体20中の負極活物質層44に非水電解液が浸透し、被膜が形成される様子を説明する部分断面模式図である。なお、図4Aでは、負極活物質層44の上側にナトリウムイオン(Na)やBOBアニオン,LBFOが存在するかのように表現されている。しかしながら、これらの成分は、実際には多孔質構造の負極活物質層44内に形成されている空隙等を移動したり、この空隙中に存在している様子を解りやすく表現したものである。
図4Aの(a1)に示すように、負極活物質層44の捲回軸W方向の断面において、非水電解液は両端部から中心部に向かって浸透する。このとき、非水電解液が含浸する負極活物質層44,セパレータ50,正極活物質層34に含まれるNa成分は、非水電解液に溶出し、非水電解液と共に捲回軸W方向の中心部に向かって移動する。そして、(a2)に示すように、両端部から負極活物質層44中を浸透してきた非水電解液は、捲回軸W方向の中心を含む領域Aにおいて突き当り、Naイオンが濃縮される。このようにNaイオンが相対的に高い濃度で含まれる領域Aは、負極活物質層44の捲回軸方W向の中心に帯状に配置される。また、非水電解液に添加されたLiBOB由来のBOBアニオンとオキサラト錯体化合物とは、Naイオン(Na)よりも浸透速度が遅いため、Naイオンよりも遅れて捲回軸W方向の中心付近に到達する。ここで、(a3)に示すように、Naイオンの濃度の高い領域Aにおいては、Naイオン(Na)と、非水電解液中のBOBアニオンとが反応(会合)し、難溶性の塩:NaBOBを形成して沈殿を形成する。負極活物質層44の領域A以外の領域Bでは、LiBOBが典型的にはBOBアニオンとして存在する。また、オキサラト錯体化合物は、Na成分との反応性を有さないため、非水電解液中にほぼ均一な濃度で存在し得る。
このような状態で初期充電処理の第1工程を行うと、(a4)に示すように、領域BにおいてBOBアニオンが還元分解されて、LiBOB由来被膜が形成される。その一方で、領域Aにおいては難溶性の塩が存在し、この塩は初期充電処理によって負極活物質層44により還元分解されず、被膜を形成しない。
そして第1工程の後、第2工程を行うと、(a5)に示すように、領域Aにおいてオキサラト錯体化合物が還元分解されて、オキサラト錯体化合物由来被膜が形成される。なお、LiBOB由来被膜は電子伝導性を示さないため、LiBOB由来被膜上にオキサラト錯体化合物由来被膜が形成されることはない。これにより、負極活物質層44の表面の領域Aおよび領域Bは、隙間なくかつ被膜形成量のムラが抑制されたLiBOB由来被膜とオキサラト錯体化合物由来被膜とにより覆われ、安定化される。これにより、例えば、捲回軸W方向で負極活物質層44を覆う被膜形成量のムラが抑制された非水電解液二次電池100が提供される。
なお、上記の領域Aの捲回軸W方向の幅は、電池ケース10(組立体であり得る)内に含まれるNa量や負極活物質層44の比表面積(表面積)等にもよるため一義的に決定されるものではないが、概ね、負極活物質層44の捲回軸W方向の寸法の1/40〜1/10(典型的には、1/30〜1/15、例えば1/25〜1/20)程度を占め得る。
例えば、図5に示すように、従来の電池においては初期充電処理によってこの領域Aに被膜(例えば、LiBOB由来被膜)が形成されなかった。したがって、その後の電池の使用(充放電サイクル)により領域Aで非水電解液の分解が起り、領域Aの抵抗が局所的に高くなるという現象が見られた。しかしながら、ここに開示される電池100においては、初期充電処理によりこの領域Aにもオキサライト錯体化合物由来の被膜(好ましくは、LBFO由来被膜)が形成されるため、その後の電池の使用によって領域Aの抵抗が局部的に上昇するのを抑制することができる。ここに開示される技術によると、負極活物質層44の抵抗ムラの抑制された非水電解液二次電池100が提供される。
なお、このような非水電解液二次電池100においては、例えば、負極活物質層44の捲回軸W方向における抵抗のばらつきσが、10〜1(好ましくは8〜2、例えば6〜4)の範囲内に抑えられる。このばらつきσは、統計学的な標準偏差を意味する。例えば、具体的には、従来法により被膜形成剤としてLiBOBのみを用いた場合の負極活物質層44の抵抗のばらつきσが18.7(抵抗平均値60.5Ω)であった場合に、ここに開示される技術によると、こうこのように負極活物質層44の抵抗のばらつきσが4.1(抵抗平均値53.9Ω)と、σが1/4〜1/5程度に低減され得る。
なお、以上のようなNa成分の影響による負極活物質層の被膜形成量のばらつきを抑制する効果は、電池ケース内に含まれるナトリウム成分量とLiBOB量との関係を制御することで、より確実かつ顕著となり得る。例えば、ナトリウム成分量をCNaとし、LiBOB量をCLiBOBとしたとき、CNa<CLiBOBの関係となるようLiBOB量を調整することで、上記の効果を著しく高め得るために好ましい。しかしながら、過剰なLiBOBの添加は、非水電解液の抵抗を高める要素となり得るため、注意が必要である。
このように負極40の表面が隙間なく覆われた電池100は、充放電サイクル(例えば高温充放電サイクルも包含する)における非水溶媒の分解が抑制されるため、容量維持率が向上され得る。また、負極40の表面のSEIのムラが抑制された電池100は、電極抵抗がより低減されるとともに抵抗のムラも抑制され得る。抵抗のムラは局所的な金属成分(典型的には、金属リチウム)の析出の起点となり得る。したがって、ここに開示される技術によると、負極40表面の電位ムラも抑制され、例えば、電荷担体や金属異物、活物質構成材料等の金属成分が負極表面に析出するのを好適に抑制することができる。さらには、かかる金属成分の析出による微小短絡の発生を抑制し、耐久性および安全性に優れた二次電池100が提供され得る。
なお、オキサラト錯体化合物として例えばLBFOを用いることで、領域Aと領域Bとにそれぞれ形成されるLiBOB由来被膜とLBFO由来被膜との性状をより一層均質化することができ、負極活物質層44の表面をより良質なSEIで覆うことができる。延いては上記効果がより一層向上された二次電池100が提供され得る。
ここに開示される非水電解液二次電池100は各種用途に利用可能であるが、従来品と比較して、例えば、サイクル特性が向上されて、短絡発生の虞(延いては安全性)が低減されたものであり得る。換言すると、このような優れた電池性能と安全性とを、高いレベルで両立可能なものであり得る。したがって、このような特徴を活かして、高エネルギー密度,高入出力密度およびサイクル特性等が要求される用途ならびに高い信頼性を要求される用途で、特に好ましく用いることができる。かかる用途としては、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)等の車両に搭載される駆動用電源が挙げられる。この非水電解液二次電池は、典型的には複数個を直列および/または並列に接続してなる組電池の形態としても使用され得る。
以下、具体的な実施例として、ここに開示される非水電解液二次電池を作製し、その特性について評価した。なお、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
(実施態様1)
[評価用リチウムイオン電池の構築]
[正極]
正極活物質としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3(NCM、平均粒径6μm、比表面積0.7m/g)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、これら材料の質量比がNCM:AB:PVdF=91:6:3となるよう秤量し、固形分濃度(NV)がおよそ50質量%となるようにN−メチルピロリドン(NMP)を加えて混練することで、正極活物質層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、正極集電体としての厚み15μmの長尺のアルミニウム箔の両面で、長手方向の一方の端部から幅94mmの領域に、片面当たりの目付量が13.5mg/cmとなるよう帯状に塗布し、乾燥(乾燥温度80℃、5分間)することで、正極活物質層を備える正極シートを作製した。なお、正極シートの長手方向の他方の端部には、正極活物質層の形成されていない集電体露出部が設定されている。そして、これを圧延プレスして、正極活物質層の密度が約2.6g/cmとなるよう調整した。なお、圧延プレス後の正極活物質層の厚みは片面当たり約50μm(正極全体で115μm)であった。
[負極]
負極活物質としての黒鉛(C、平均粒径25μm、比表面積2.5m/g)と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、これらの質量比がC:SBR:CMC=98:1:1となるように秤量し、イオン交換水を加えて混練することで、負極活物質層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、負極集電体としての厚み10μmの長尺の銅箔の両面で、長手方向の一方の端部から幅100mmの領域に、片面当たりの目付量が7.3mg/cmとなるよう帯状に塗布し、乾燥(乾燥温度100℃、5分間)することにより、負極活物質層を備える負極シートを作製した。なお、負極シートの長手方向の他方の端部には、負極活物質層の形成されていない集電体露出部が設定されている。そして、これを圧延プレスして、負極活物質層の密度が約1.1g/cmとなるように調整した。なお、圧延プレス後の負極活物質層の厚みは片面当たり約60μm(負極全体で130μm)であった。
[セパレータ]
セパレータとしては、幅が105mmで、総厚みが平均25μmのHTL付きセパレータを用いた。セパレータの基材には、ポリエチレン(PE)の両面をポリプロピレン(PP)で挟んだ形態の3層構造(PP/PE/PP)の長尺の微多孔質シートを用いた。HRLは、ベーマイト微粒子,アクリル系バインダ,CMCを含むHRL形成用水溶液を基材に塗布することで形成したものである。
上記で用意した正極と負極とをセパレータを介して重ね合わせ、断面楕円形状に捲回した。この時、負極活物質層が幅方向で正極活物質層を覆うとともに、正極集電体の露出部と負極集電体の露出部とが幅方向で異なる側で突出するように、正極と負極とを配置させた。また、セパレータは、HRLを正極側に向けて、正負の活物質層を絶縁するように配置した。捲回体は、常温(25℃)にて4kN/cmの圧力で2分間平板プレスし、扁平形状に成形することで、捲回電極体とした。
次いで、電池ケースに上記捲回型電極体を収容した。電池ケースとしては、アルミニウム製で上方に開口を有する薄い角型(幅150mm×高さ90mm×厚み26mm)の電池ケース本体と、この電池ケース本体の開口を封する封口体とからなるものを用意した。そして、封口体に正極端子および負極端子を取り付け、これらの端子を、集電端子を介して、捲回電極体から突出している正極集電体と負極集電体との露出部にそれぞれ溶接した。そして、封口体と連結された捲回電極体を、電池ケース本体の開口部からその内部に収容し、開口部と封口体とを溶接(密閉)した。すなわち、捲回型電極体は、捲回軸Wが封口体の面内方向(すなわち、水平)となる配置で電池ケース内に収容されている。
非水電解液としては、次の2通りのものを用意した。
すなわち、一つ目は、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とをEC:DMC:EMC=3:4:3の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを1.0mol/Lの濃度で、また被膜形成剤としてのLiBOBを0.025mol/L、LBFOを0.02mol/Lの割合で、溶解させたものを用意した。そして、上記電池ケースの封口体に設けられた注液口から非水電解液を約45g注入し、例1のリチウムイオン電池(組立体)を構築した。
二つ目は、被膜形成剤としてLiBOBのみを0.025mol/Lの割合で溶解させたものを用意した。そして、上記電池ケースの封口体に設けられた注液口から非水電解液を同様に注入し、例2のリチウムイオン電池(組立体)を構築した。これらの電池の理論容量は、いずれも30Ahである。
[初期充電処理]
(例1)上記のように作製した例1のリチウムイオン電池について、25℃の下、正負極の端子間電圧が4.1Vとなるまで0.1Cの充電レートで充電し、10分間休止した後、0.1Cの放電レートで3.0Vまで定放電させる操作を3回繰り返すコンディショニング処理を施した。なお、充電過程において、負極の電位がLiBOBの分解電位(1.8VvsLi/Li)以下であって、LBFOの分解電位(1.7VvsLi/Li)よりも高い1.78VvsLi/Liにまで下がった時点で、負極の電位を1.78Vに3分間保ったのち、引き続き充電を行うことで、負極電位が1.7VvsLi/Liを下回ったことを確認した。
(例2)上記のように作製した例2のリチウムイオン電池について、25℃の下、正負極の端子間電圧が4.1Vとなるまで0.1Cの充電レートで充電し、10分間休止した後、0.1Cの放電レートで3.0Vまで定放電させる操作を3回繰り返すコンディショニング処理を施した。このとき、負極電位の調整は行わず、充電開始から負極電位が急速に1.7VvsLi/Li以下にまで降下したことを確認した。
なお、1Cとは、正極の理論容量より予測した電池容量(Ah)を1時間で充電できる電流値を意味する。
[負極抵抗測定]
上記の初期充電処理後のリチウムイオン電池の負極活物質層の表面に形成された被膜の状態を確認するために、負極の捲回軸方向での抵抗分布を調べた。
具体的には、先ず、例1および例2の電池を、開回路電圧が3.0Vとなるまで放電させてからドライ環境のグローブボックス内で解体し、捲回型電極体を取り出した。次に、捲回型電極体の負極の最内周の適切な大きさで切り出し、非水電解液として用いたEMC中に10分程度浸漬して洗浄して、抵抗測定用の試験体とした。そしてこの負極試験体に形成された負極活物質層の表面の反応抵抗を、捲回軸W方向(長尺の負極の幅方向に相当)に沿って、交流インピーダンス法により測定した。交流インピーダンス法による抵抗測定は、特開2014−25850号公報に開示される手法に従って実施した。なお、測定に用いる非水電解液は、上記で用意した非水電解液の被膜形成剤を添加しないもの(すなわち、電解質を非水溶媒に溶解したもの)を用いた。測定点は、捲回軸W方向の寸法が100mmの負極活物質層について、両端から、5mm迄の領域では1mmごとに、次いで7mm,10mm,20mm,30mm,40mmの地点と、40〜50mm(中心)迄の領域は2mmごとに、設定した。このようにして測定した捲回軸W方向での負極抵抗の変化を、図5に示した。
図5に示されるように、被膜形成剤としてLiBOBのみを用い、一般的な初期充電処理を行った例2の電池は、特に捲回軸W方向の中心近傍(中心から両端側6mmずつを含む領域A)において、抵抗が著しく高くなることが確認された。これは、電池の構築時、非水電解液を電池ケース内に注液した際に、捲回型電極体中での被膜形成剤の含浸状態に基づくものであると考えられた。
すなわち、上記のように捲回軸Wが水平となるように配置された捲回型電極体に非水電解液が含浸するとき、非水電解液は捲回型電極体の捲回軸方向の両端から中心に向けて含浸される。このとき、捲回型電極体に含まれるNa成分は、電極体から非水電解液中に溶出する。非水電解液に溶解したNa成分(典型的には、Naイオン)は、非水電解液の含浸と共に電極体の中心部に向けて流され、移動する。そして、含浸方向の中心付近、すなわち捲回軸方向の中心付近にて、両端から浸透してきた電解液が突き当たる。非水電解液中に添加されたLiBOBに由来するBOBアニオンは、Naイオン(Na)と比較して非水電解液中を拡散する速度が遅い。このため、捲回軸方向の中心付近ではNaイオンが濃縮される。このNaイオンが濃い領域では、その後遅れて拡散してきたBOBアニオンがNaイオンと反応し、難溶性の塩NaBOBを形成して析出する。一方、その他のNaイオンがさほど濃くない領域では、BOBアニオンが存在し得る。そして、初期充電の際に、負極電位がLiBOBの分解電位を下回った際に、負極活物質層の表面ではBOBアニオンが還元分解されてLiBOB由来の被膜を形成する。しかし、NaBOBについては還元分解されないため、被膜は形成されない。このような状態で繰り返しの充放電を行うと、負極活物質層の表面にLiBOB被膜が形成されていない捲回軸方向の中心付近にて電解液等の還元分解が起こり、SEIが形成される。このSEIは、LiBOB由来の被膜に比較して厚く、高抵抗なものとして形成される。そのため、当該部位(すなわち領域A)にて局所的に抵抗が上昇したと考えられる。
これに対し、被膜形成剤としてLiBOBとLBFOとの2種類を用い、負極電位を制御して初期充電処理を行った例1の電池は、例2の電池に比較して、捲回軸方向での負極活物質層表面の抵抗値に差が見られないことが確認された。これは、以下の理由によると考えられる。すなわち、非水電解液に含浸により、被膜形成剤としてLiBOBは、例2の電池と同様に、捲回軸方向の中心付近(領域A)では難溶性の塩NaBOBとして存在し、その他の領域(領域B)ではBOBアニオンの状態で存在し得る。そして、被膜形成剤としてLBFOについては、Naイオンと反応しないため、捲回軸方向の全体に亘って略均一に存在している。このような状態で、負極をLiBOBの分解電位以下でLBFOの分解電位超過の電位とすることで、先ず、BOBアニオンを優先的に還元分解し、領域BにLiBOB由来の被膜を形成する。その後、負極をLBFOの分解電位以下の電位とすることで、領域AにLBFO由来の被膜を形成する。ここで、LiBOB由来の被膜は、電子伝導性を示さないため、領域Bに形成されたLiBOB由来の被膜上にLBFO由来の被膜が形成されることはない。このようにして、負極活物質層の表面全体に亘って略均一な厚みの被膜を形成することができる。なお、LiBOBとLBFOとは構造が類似しているため、これらから形成される被膜もその性質が類似したものであり得る。したがって、特性に大きなムラのない被膜により、負極活物質層を全体に亘って被覆することができたと考えられる。このことから、例1の電池は、捲回軸方向において抵抗のムラが抑制されたていると考えられる。
なお、負極活物質層の幅方向の中心から10mm毎の測定点(計11点)における抵抗値の平均とばらつき(標準偏差)σとを算出した。その結果、例1の負極活物質層の抵抗平均値は53.9Ωであり、そのばらつきσは4.1であった。また、例2の負極活物質層の抵抗平均値は60.5Ωであり、そのばらつきσは18.7であった。すなわち、この実施態様では、負極活物質層の幅方向での抵抗のばらつきσを、1/4〜1/5程度にまで低減できることが確認できた。
(実施態様2)
上記実施態様1と同様にして、非水電解液二次電池を構築した。ただし、非水電解液は7通りのものを用意し、例3〜例9の電池を用意した。
(例3)
すなわち、非水電解液としては、上記実施態様1と同様に、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とをEC:DMC:EMC=3:4:3の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを1.0mol/Lの濃度で溶解させ、さらに、被膜形成剤として、LiBOBを0.0014mol/L、LBFOを0.001mol/Lの割合で添加したものを用いた。この非水電解液を電池ケースに35ml収容したことから、例3の電池に含まれるLiBOB量は、0.005molであった。
例4〜例9では、非水電解液に添加する被膜形成剤の添加量を、LBFO量については上記例3と同じ一定の値とし、LiBOB量については下記のとおり増大(すなわち被膜形成剤量の総量を増大)するようにした。なお、本実施形態における非水電解液の構成は、Na量とLiBOB量との関係が容量維持率に及ぼす影響を見るためのものであって、必ずしもLiBOBとLBFOとの好適な量比を確認するためのものではない。
(例4)
上記例1の非水電解液において、被膜形成剤として、LiBOBを0.0029mol/L、LBFOを0.001mol/Lの割合で添加したものを用いた。この非水電解液を電池ケースに35ml収容したことから、例4の電池に含まれるLiBOB量は、0.010molであった。
(例5)
上記例1の非水電解液において、被膜形成剤として、LiBOBを0.0043mol/L、LBFOを0.001mol/Lの割合で添加したものを用いた。この非水電解液を電池ケースに35ml収容したことから、例5の電池に含まれるLiBOB量は、0.015molであった。
(例6)
上記例1の非水電解液において、被膜形成剤として、LiBOBを0.0057mol/L、LBFOを0.001mol/Lの割合で添加したものを用いた。この非水電解液を電池ケースに35ml収容したことから、例6の電池に含まれるLiBOB量は、0.020molであった。
(例7)
上記例1の非水電解液において、被膜形成剤として、LiBOBを0.0071mol/L、LBFOを0.001mol/Lの割合で添加したものを用いた。この非水電解液を電池ケースに35ml収容したことから、例7の電池に含まれるLiBOB量は、0.025molであった。
(例8)
上記例1の非水電解液において、被膜形成剤として、LiBOBを0.0086mol/L、LBFOを0.001mol/Lの割合で添加したものを用いた。この非水電解液を電池ケースに35ml収容したことから、例8の電池に含まれるLiBOB量は、0.030molであった。
(例9)
上記例1の非水電解液において、被膜形成剤として、LiBOBを0.01mol/L、LBFOを0.001mol/Lの割合で添加したものを用いた。この非水電解液を電池ケースに35ml収容したことから、例9の電池に含まれるLiBOB量は、0.035molであった。
[Na量の算出]
例3〜9の電池の電池構成部材のNaの有無をデータシート等を基に調べたところ、下記の表1に示すように、正極,負極およびセパレータのそれぞれにNaが含まれていることがわかった。そこで、以下の手順により、これらの構成部材に含まれるNa量を測定した。具体的には、捲回型電極体を構成する正極,負極およびセパレータをそれぞれ所定の寸法(本実施形態では、5.4cm×30cm,セパレータは2倍長)に切り出し、各々3mLの非水電解液に浸漬させて2日間保存し、保存後の非水電解液に含まれるNa量を誘導結合プラズマ質量分析(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry:ICP−MS)装置にて測定した。用いた非水電解液は、上の電池の構築に用いた非水電解液であって、被膜形成剤としてLiBOBおよびLBFOを添加しないものを用いた。なお、各構成部材に含まれるNa量は、負極、正極およびセパレータの順に多く、上記で得たNa測定量から各構成部材に含まれるNa量を算出し、合計することで、電池ケース内に含まれるNa量とした。本実施形態において、このようにして求めた電池ケース内に含まれるNa量は、0.175molであった。
Figure 2016066549
[初期充電処理]
上記で用意した例3〜9のリチウムイオン電池について、25℃の下、正負極の端子間電圧が4.1Vとなるまで0.1Cの充電レートで充電し、10分間休止した後、0.1Cの放電レートで3.0Vまで定放電させる操作を3回繰り返すコンディショニング処理を施した。なお、充電過程において、負極の電位がLiBOBの分解電位(1.8VvsLi/Li)以下であって、LBFOの分解電位(1.7VvsLi/Li)よりも高い1.78VvsLi/Liにまで下がった時点で、負極の電位を1.78Vに3分間保ったのち、引き続き充電を行うことで、負極電位が1.7VvsLi/Liを下回ったことを確認した。
[サイクル特性試験]
初期充電処理後の例3〜9の電池に対し、下記のサイクル試験を行ったときの容量維持率を算出し、サイクル特性を評価した。すなわち、例1〜7の電池を、温度を25℃の環境下でSOC(充電深度)80%に調整した。そしてこれらの電池に対し、100Aで100秒間充電した後放電する矩形波充放電を1000サイクル行った。
そして、サイクル前後の容量を測定することで、容量維持率を算出した。なお、容量維持率は、1サイクル目の放電容量に対する、1000サイクル後の放電容量の割合を、次式:容量維持率(%)=(1000サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100;に基づき算出した。このようにして求めた容量維持率と、被膜形成剤としてのLiBOBの添加量との関係を、図6に示した。
図6に示されたように、LiBOBの添加量により、高温サイクル充放電後の電池の容量維持率に変化が見られることがわかった。すなわち、電池ケース内のLiBOB量が、Na量以下の例3〜5の電池の場合、容量維持率は、例えば92%〜95%程度であった。被膜形成剤の総量に占めるLiBOB量が相対的に少なく、LBFOが相対的に多いが、それぞれの被膜形成剤により負極活物質層の表面にムラを抑制して被膜が形成されることから、十分に高い容量維持率が得られたことがわかった。
しかしながら、電池ケース内のLiBOB量がNa量よりも多い例6〜9の電池については、容量維持率が例えば98%以上に急激に高められることがわかった。LiBOB量が相対的に増えることで、LiBOBに由来する被膜の形成量は徐々に増えていくものと考えられる。しかしながら、LiBOB量がNa量よりも多くなったことで、例えば負極活物質層の捲回軸方向の中央付近に濃縮されたNaイオンをNaBOB塩の形態で良好にトラップし、LiBOB由来被膜が形成されない部分でのLBFO被膜の良好な形成に寄与したものと考えられる。その結果、負極活物質層の表面に、より安定したLiBOB由来被膜が十分に形成されると共に、このLiBOB由来の被膜が形成されない部分においてLBFO由来の被膜が品質よく形成され、負極活物質層の表面の全体が極めて良質な被膜により均質に被覆され、容量維持率の急激な上昇につながったと考えられる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。例えば、上記実施形態には、LiBOBよりも分解電位が低くかつNa成分と反応しないオキサラト錯体化合物として、LBFOを使用した例を示したが、オキサラト錯体化合物はこのLBFOに限定されないことは、当業者に理解され得る。本出願の請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10 電池ケース
12 ケース本体
14 封口体
20 捲回型電極体
30 正極(正極シート)
32 正極集電体
33 正極集電体露出部
34 正極活物質層
40 負極(負極シート)
42 負極集電体
43 負極集電体露出部
44 負極活物質層
50 セパレータ
60 正極端子
70 負極端子
80 電流遮断機構(CID)
82 安全弁
84 注液口
100 電池

Claims (7)

  1. 正極活物質層を備える長尺の正極と、負極活物質層を備える長尺の負極とが捲回されてなる捲回型電極体と、非水電解液と、前記捲回型電極体および前記非水電解液を収容した電池ケースとを備え、
    前記負極活物質層は、前記捲回の軸方向の中心に帯状に配置される領域Aと、前記領域Aを除く領域Bとを含み、
    前記領域Bの表面には、リチウムビス(オキサラト)ボレートに由来する被膜が備えられ、
    前記領域Aの表面には、前記リチウムビス(オキサラト)ボレートよりも分解電位が低く、かつ、ナトリウム成分と反応しないオキサラト錯体化合物に由来する被膜が備えられている、非水電解液二次電池。
  2. 前記電池ケース内に含まれる、
    ナトリウム量をCNaとし、
    前記リチウムビス(オキサラト)ボレートに由来する成分量をCLiBOBとしたとき、
    前記CNaと前記CLiBOBとは、CNa<CLiBOBの関係を満たす、請求項1に記載の非水電解液二次電池。
  3. 前記オキサラト錯体化合物は、ジフルオロ(オキサラト)ボレート塩である、請求項1または2に記載の非水電解液二次電池。
  4. 前記電池ケースは、前記捲回型電極体を収容するための開口を備えるケース本体と、前記ケース本体の前記開口を封止している封口体と、を備え、
    前記捲回電極体は、前記封口体が上方となるように前記電池ケースを水平面に置いたとき、前記捲回の軸が水平方向となるよう前記電池ケース内に収容されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池。
  5. 正極活物質層を備える長尺の正極と、負極活物質層を備える長尺の負極とが捲回されてなる捲回型電極体を用意すること;
    被膜形成剤を含む非水電解液を用意すること、ここで前記被膜形成剤は、少なくとも、リチウムビス(オキサラト)ボレートと、前記リチウムビス(オキサラト)ボレートよりも分解電位が低く、かつ、ナトリウム成分と反応しないオキサラト錯体化合物とを含む;
    前記捲回型電極体および前記非水電解液を電池ケース内に収容して組立体を用意すること;および、
    前記組立体に対し初期充電処理を施すこと、ここで前記初期充電処理は、
    前記負極電位を、前記リチウムビス(オキサラト)ボレートの分解電位以下であって、前記オキサラト錯体化合物の分解電位よりも高い電位に保つ第1段階と、
    前記第1工程の後、前記負極電位を、前記オキサラト錯体化合物の分解電位以下の電位に保つ第2段階と、を含む;
    を包含する、非水電解液二次電池の製造方法。
  6. 前記電池ケース内に含まれる、ナトリウム量をCNa、前記リチウムビス(オキサラト)ボレート量をCLiBOBとしたとき、
    前記CNaと前記CLiBOBとが、CNa<CLiBOBの関係を満たすように電池組立体を構築する、請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記オキサラト錯体化合物は、ジフルオロ(オキサラト)ボレート塩である、請求項5または6に記載の製造方法。
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