JP7040985B2 - 非水電解質二次電池の負極板、非水電解質二次電池、非水電解質二次電池の製造方法、及び非水電解質二次電池の正極板 - Google Patents

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Description

本発明は、非水電解質二次電池の負極板、非水電解質二次電池、非水電解質二次電池の製造方法、及び非水電解質二次電池の正極板に関する。
非水電解質二次電池の一つであるリチウムイオン二次電池は、高いエネルギー密度を有し、高容量であることから、電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HV)等の駆動用電源として用いられている。リチウムイオン二次電池は、電極芯体の両面に電極の活物質を含む電極合剤層を設けた正極板及び負極板をセパレータを介して捲回した電極体であれば、正極板及び負極板の対向面積が大きくなり大電流を取り出し易いものとなる。
リチウムイオン二次電池の一例は、正極板と負極板とがセパレータを挟んで巻回されてなる巻回電極体と非水電解質を含む電解液とが内部に設けられる電池ケースを備える。こうした二次電池を構築する際、電極合剤層及びセパレータの内部に形成されている空隙に電解液を浸透させる。しかしながら、電極活物質層とセパレータとは互いに平面部を当接させているため、この電解液の浸透はこれらの部材の平面部からではなく側面部(端部)からに限定される。そのため、電解液が電極合剤層やセパレータの中央部分にまで浸透するのに長い時間を要する。そして、電解液に添加された添加剤が負極合剤層において偏析してしまうことがあった。そこで、添加剤成分を均一に分布させる技術の一例が特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載の技術は、電解液が電極体の外部から内部に浸透してゆく浸透方向が少なくとも一つ設定され、正極合剤層、負極合剤層及びセパレータのうちの少なくとも一つの部材には、浸透方向の中央部分に表面の濡れ性が改質された表面改質部が備えられている。少なくとも一つの部材の浸透方向の長さを「2×L」とし、表面改質部の浸透方向の長さを「2×Lp」としたとき、これら長さの比が「0.2≦Lp/L≦0.7」である。このような技術によれば、電極体の浸透方向の中央部分への電解液の浸透速度が高められるようになる。
特開2013-182712号公報
ところで、電解液の添加剤のなかには、活物質との親和性が低いこと等から浸透方向の先端に集まるものもある。例えば、電極体の浸透方向の中央部分に浸透の停止した添加剤が集中して添加剤の濃度が高くなる、すなわち添加剤が偏在することでリチウム析出耐性の低下を生じ、これにより電池性能が低下するおそれがある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、捲回体における電解液の添加剤の偏在による電池性能の低下を抑制することのできる非水電解質二次電池の負極板、非水電解質二次電池の製造方法、非水電解質二次電池、及び非水電解質二次電池の正極板を提供することにある。
上記課題を解決する非水電解質二次電池の負極板は、正極板と負極板とがセパレータを挟んで捲回される捲回体を有する非水電解質二次電池の負極板であって、前記負極板は、金属基板の表面に活物質を含む合剤層を有し、前記合剤層は、前記捲回体を構成するとき、前記捲回体の捲回軸方向に対して、前記セパレータを挟んで前記正極板の合剤層に対向する対向部分と、前記正極板の合剤層に対向しない非対向部分とを有し、前記合剤層は、前記捲回体に形成される電解液に含まれる添加剤の偏在する偏在範囲であって、前記対向部分側の端部から前記捲回軸方向に浸透した電解液と、前記非対向部分側の端部から前記捲回軸方向に浸透した電解液とが合流する部分に形成される前記偏在範囲の少なくとも一部が前記非対向部分に配置されるように、前記対向部分側の端部から前記捲回軸方向に有する電解液の浸透性と前記非対向部分側の端部から前記捲回軸方向に有する電解液の浸透性とが設定されている。
上記課題を解決する非水電解質二次電池の負極板は、正極板と負極板とがセパレータを挟んで捲回される捲回体を有する非水電解質二次電池の負極板であって、前記負極板は、金属基板の表面に活物質を含む合剤層を有し、前記合剤層は、前記捲回体を構成するとき、前記セパレータを挟んで前記正極板の合剤層に対向する対向部分と、前記正極板の合剤層に対向しない非対向部分とを有し、前記対向部分の有する電解液の浸透性と前記非対向部分の有する電解液の浸透性とは、前記捲回体の捲回軸方向に対して前記電解液が前記対向部分を浸透することに要する時間が、前記捲回軸方向に対して前記電解液が前記非対向部分を浸透することに要する時間よりも短くなるように設定されている。
正極板と負極板とセパレータとの捲回体は、電解液が捲回軸方向の両端から浸透して中央部分に向かって流れることから、通常、捲回体の捲回軸方向の中央部分で流れが止まる。よって、電解液の流れの先端で濃度の高まる添加物が捲回体の中央部分に偏在し、この偏在に起因するリチウム析出耐性の低下等によって電池性能が低下するおそれがある。
この点、このような構成によれば、捲回軸方向の両端から浸透した電解液の流れの先端が、負極板の対向部分中央では停止せず、非対向部分で停止するようになる。これにより、添加物の偏在範囲が少なくとも一部が非対向部分に配置されるようになる。これによって、充放電量に応じて析出する難溶性のリチウム塩等の析出が抑制されるようになることにより、捲回体における電解液の添加剤の偏在による電池性能の低下を抑制することができる。
また、正極規制の二次電池は通常、正極板よりも負極板の方が大きい。よって、対向部分と、添加物の偏在範囲とすることのできる大きさの非対向部分とが設けられやすい。
好ましい構成として、前記電解液は、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)を含み、前記負極板は、前記偏在範囲が非偏在範囲に比べて前記リチウムビスオキサレートボレートの濃度が高くなる。
このような構成によれば、負極板においてLiBOBの濃度の高い部分である偏在範囲を非対向部分側又は非対向部分にすることで二次電池のリチウム析出耐性を高めることができるようになる。
好ましい構成として、前記対向部分側の端部から前記捲回軸方向に有する電解液の浸透性は、前記合剤層に対するコロナ放電処理により高められている。
このような構成によれば、コロナ放電処理であれば、電極の電解液の浸透性を非接触処理で高めることができる。
上記課題を解決する非水電解質二次電池は、正極板と負極板とがセパレータを挟んで捲回される捲回体が非水電解質を含む電解液とともに電池ケースに収容される非水電解質二次電池であって、前記負極板は、金属基板の表面に活物質を含む合剤層を有し、前記合剤層は、前記捲回体を構成するとき、前記捲回体の捲回軸方向に対して、前記セパレータを挟んで前記正極板の合剤層に対向する対向部分と、前記正極板の合剤層に対向しない非対向部分とを有し、前記捲回体は、前記対向部分側の端部から前記捲回軸方向に浸透した電解液と、前記非対向部分側の端部から前記捲回軸方向に浸透した電解液とが合流する部分に電解液に含まれる添加剤の偏在する偏在範囲を有し、前記偏在範囲は、少なくとも一部が前記非対向部分に配置されている。
このような構成によれば、電解液の添加剤の濃度の高い偏在範囲の少なくとも一部が非対向部分に配置されるようになる。非対向部分は充放電に対する寄与度が小さいので反応抵抗が高くなっても電池性能の低下に与える影響が小さい。
好ましい構成として、前記合剤層は、前記対向部分側の端部から前記捲回軸方向に有する電解液の浸透性と前記非対向部分側の端部から前記捲回軸方向に有する電解液の浸透性とが、前記偏在範囲の少なくとも一部が前記非対向部分に配置されるように設定されている。
このような構成によれば、偏在範囲の少なくとも一部が非対向部分に配置されるように、対向部分側の端部から捲回軸方向への電解液の浸透性と、非対向部分側の端部から捲回軸方向への電解液の浸透性とが設定される。換言すると、浸透性の設定によって偏在範囲の少なくとも一部を非対向部分に配置することができるようになる。
好ましい構成として、前記電解液は、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)を含み、前記偏在範囲のLiBOB濃度は、非偏在範囲のLiBOBの濃度よりも高い。
このような構成によれば、非対向部分は充放電に対する寄与度が小さいのでLiBOBの濃度が高くなる偏在範囲が電池性能の低下に与える影響が小さい。
上記課題を解決する非水電解質二次電池の製造方法は、正極板と負極板とがセパレータを挟んで捲回される捲回体を有する非水電解質二次電池の製造方法であって、前記負極板の金属基板の合剤層が、前記捲回体の捲回軸方向に対して、前記捲回体において前記セパレータを挟んで前記正極板の合剤層に対向する対向部分と、前記正極板の合剤層に対向しない非対向部分とを有するように前記捲回体を作製する捲回体作製工程と、前記捲回体を電池ケースに収容する収容工程とを備え、前記捲回体作製工程の前に、前記対向部分側の端部から前記捲回軸方向への電解液の浸透性と前記非対向部分側の端部から前記捲回軸方向への電解液の浸透性とを、前記対向部分側の端部から前記捲回軸方向に浸透した電解液と、前記非対向部分側の端部から前記捲回軸方向に浸透した電解液とが合流する部分に形成される電解液に含まれる添加剤の偏在する偏在範囲の少なくとも一部が前記非対向部分に配置されるように設定する浸透性設定工程をさらに備える。
このような方法によれば、浸透性設定工程によって電解液に含まれる添加剤の偏在する偏在範囲の少なくとも一部が非対向部分に配置されるように、対向部分側の端部から捲回軸方向への電解液の浸透性と非対向部分側の端部から捲回軸方向への電解液の浸透性とが設定される。これにより、捲回体に電解液が浸透したとき、電解液の添加物の濃度の高い部分である偏在範囲の少なくとも一部を非対向部分に配置することができる。
好ましい方法として、前記捲回体が収容された電池ケースに前記電解液を注入する注入工程と、前記電解液を前記捲回体の両端部からそれぞれ前記対向部分及び前記非対向部分に浸透させる浸透工程とをさらに備える。
このような方法によれば、捲回体に電解液が浸透して、電解液の添加物の濃度の高い部分である偏在範囲の少なくとも一部を非対向部分に配置することができるようになる。
好ましい方法として、前記浸透性設定工程では、コロナ放電処理によって前記対向部分側の端部から前記捲回軸方向への電解液の浸透性が高められる。
このような方法によれば、コロナ放電処理であれば、電極の電解液の浸透性を非接触処理で高めることができる。
上記課題を解決する非水電解質二次電池の正極板は、正極板と負極板とがセパレータを挟んで捲回される捲回体を有する非水電解質二次電池の正極板であって、前記正極板は、金属基板の表面に活物質を含む合剤層を有し、前記合剤層は、前記捲回体を構成するとき、前記捲回体の捲回軸方向に対して、前記セパレータを挟んで前記負極板の合剤層に対向する対向部分と、前記負極板の合剤層に対向しない非対向部分とを有し、前記合剤層は、前記捲回体に形成される電解液に含まれる添加剤の偏在する偏在範囲であって、前記対向部分側の端部から前記捲回軸方向に浸透した電解液と、前記非対向部分側の端部から前記捲回軸方向に浸透した電解液とが合流する部分に形成される前記偏在範囲の少なくとも一部が前記非対向部分に配置されるように、前記対向部分側の端部から前記捲回軸方向に有する電解液の浸透性と前記非対向部分側の端部から前記捲回軸方向に有する電解液の浸透性とが設定されている。
上記課題を解決する非水電解質二次電池の正極板は、正極板と負極板とがセパレータを挟んで捲回される捲回体を有する非水電解質二次電池の正極板であって、前記正極板は、金属基板の表面に活物質を含む合剤層を有し、前記合剤層は、前記捲回体を構成するとき、前記セパレータを挟んで前記負極板の合剤層に対向する対向部分と、前記負極板の合剤層に対向しない非対向部分とを有し、前記対向部分の有する電解液の浸透性と前記非対向部の有する電解液の浸透性とは、前記捲回体の捲回軸方向に対して前記電解液が前記対向部分を浸透することに要する時間が、前記捲回軸方向に対して前記電解液が前記非対向部分を浸透することに要する時間よりも短くなるように設定されている。
このような構成によれば、非対向部分を有する正極板であれば、正極板に生じる添加剤の偏在範囲の少なくとも一部を、充放電に対する寄与度の小さい非対向部分に配置させることができ、充放電量に応じて析出する難溶性の塩の析出等を抑制することができる。これにより、捲回体における電解液の添加剤の偏在による電池性能の低下を抑制することができる。
本発明によれば、捲回体における電解液の添加剤の偏在による電池性能の低下を抑制することができる。
非水電解質二次電池の一実施形態について、その構造の概略図。 同実施形態の極板群の断面図。 同実施形態の極板群の電解液の浸透性について説明する断面図。 同実施形態において負極板の幅方向におけるコロナ放電処理を示す模式図。 同実施形態において負極板の長手方向におけるコロナ放電処理を示す模式図。 同実施形態において実施例の反応抵抗の分布を示すグラフ。 同実施形態において比較例の反応抵抗の分布を示すグラフ。 同実施形態において実施例及び比較例それぞれの限界電流値を示すリスト。
図1~図8に従って、非水電解質二次電池の負極板、非水電解質二次電池、及び非水電解質二次電池の製造方法の一実施形態を説明する。なお、本実施形態では、二次電池はリチウムイオン二次電池である。本実施形態の二次電池10は、バスバーで複数が接続されることにより組電池を構成する。組電池は、電気自動車もしくはハイブリッド自動車に搭載され、電動モータ等に電力を供給する。二次電池10は、外形が直方体形状の密閉式電池である。
図1に示すように、二次電池10は、上側に開口部を有する直方体形状の電池ケース11と、電池ケース11を封止する蓋体12と、電池ケース11の内部に収容される捲回体としての電極体20と、電池ケース11内に注入された液体状の非水電解質としての電解液27とを備える。電池ケース11及び蓋体12はアルミニウム合金等の金属で構成されている。二次電池10は、電池ケース11に蓋体12を取り付けることで密閉された電槽が構成される。また二次電池10は、蓋体12に、電力の充放電に用いられる2つの外部端子13を備えている。本実施形態では、図1において、右側の外部端子13が正極外部端子であり、左側の外部端子13が負極外部端子である。
電極体20は、正極板21と負極板22とそれらの間に配置されたセパレータ23とが扁平に捲回されて形成されている。電極体20は、捲回される方向(捲回方向)の両端26で折り返されることにより多重に積層されている。電極体20は、捲回方向に直交する方向(捲回軸方向)の一端側(図1において右側)に正極板21がはみ出た正極のリード部21Aと、捲回軸方向の他端側(図1において左側)に負極板22がはみ出た負極のリード部22Aとを有する。正極のリード部21A及び負極のリード部22Aはそれぞれその一部が圧縮されるとともに、それら正極のリード部21A及び負極のリード部22Aのうちの圧縮された部分にはそれぞれ外部端子13に接続される集電板14が溶接されている。
セパレータ23は、正極板21及び負極板22の間に電解液27を保持するためのポリプロピレン製等の不織布である。また、セパレータ23としては、多孔性ポリエチレン膜、多孔性ポリオレフィン膜、及び多孔性ポリ塩化ビニル膜等の多孔性ポリマー膜、又は、リチウムイオンもしくはイオン導電性ポリマー電解質膜を、単独、又は組み合わせて使用することもできる。
(電解液)
電解液27は、非水溶媒に支持塩が含有された組成物(非水電解質)である。ここで、非水溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等からなる群から選択された一種または二種以上の材料を用いることができる。また、支持塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO、LiCSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiI等から選択される一種または二種以上のリチウム化合物(リチウム塩)を用いることができる。
また、電解液27には、負極合剤層222,223(図2参照)上に抵抗皮膜(SEI膜)を形成する添加剤が含まれている。添加剤は、安定したSEI膜を形成し得る各種の材料を用いることができ、一例として、リチウム塩としてのリチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)である。例えば、電解液27には、濃度が0.001~0.1[mol/L]となるようにLiBOBが添加されている。
また、その他、過充電時のガスを発生させる目的でガス発生剤等の添加剤を加えることができる。
(正極板)
図2に示すように、正極板21は、帯状の電極芯体としての正極基材211と、正極基材211の内周面211A及び外周面211Bに、それぞれの正極合剤層212,213とを備えている。正極基材211は、正極に適する金属箔が使用され、例えば、帯状のアルミニウム箔である。また、正極基材211は、幅方向片側の縁部に沿って未塗工部211Mを有している。正極合剤層212,213は、未塗工部211Mを除いて、正極基材211の両面に保持されて、正極基材211に塗工された合剤層形成部KP1を形成している。また正極基材211は、未塗工部211Mに上記正極のリード部21Aを有している。正極合剤層212,213には、正極活物質が含まれており、該正極活物質を含む正極合剤を正極基材211に塗工することによって形成されている。
正極合剤層212,213には、正極活物質粒子、導電材及びバインダーが含まれている。正極活物質粒子には、リチウムイオン二次電池の正極活物質として用いることができる物質を使用することができる。例えばLi、Ni、Co、Mnを構成金属元素とする層状結晶構造のリチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物が挙げられる。また、LiNiO(ニッケル酸リチウム)、LiCoO(コバルト酸リチウム)、LiMn(マンガン酸リチウム)、LiFePO(リン酸鉄リチウム)等のリチウム遷移金属酸化物が挙げられる。ここで、LiMnは、例えば、スピネル結晶構造を有している。また、LiNiO或いはLiCoOは層状の岩塩構造を有している。また、LiFePOは、例えば、オリビン構造を有している。オリビン構造のLiFePOには、例えば、ナノメートルオーダーの粒子がある。また、オリビン構造のLiFePOは、さらにカーボン膜で被覆することができる。
また、導電材としては、例えば、カーボン粉末、カーボンファイバー等のカーボン材料が例示される。そして、導電材は、このような導電材から選択される一種を単独で用いてもよく二種以上を併用してもよい。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、黒鉛化カーボンブラック、カーボンブラック、黒鉛、ケッチェンブラック)、グラファイト粉末等のカーボン粉末を用いることができる。
また、バインダーは、正極合剤層212,213に含まれる正極活物質粒子と導電材の各粒子とを結着させたり、これらの粒子と正極基材211とを結着させたりする役割を担う。かかるバインダーとしては、使用する溶媒に溶解または分散可能なポリマーを用いることができる。例えば、水性溶媒を用いた正極合剤組成物においては、セルロース系ポリマー(カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等)、フッ素系樹脂(例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等)、ゴム類(酢酸ビニル共重合体、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)等)等の水溶性または水分散性ポリマーを好ましく採用することができる。また、非水溶媒を用いた正極合剤組成物においては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリルニトリル(PAN)等を好ましく採用することができる。
正極合剤層212,213は、例えば、上述した正極活物質粒子と導電材とを溶媒によってペースト状(スラリ状)に混ぜ合わせた正極合剤を作製し、該正極合剤を正極基材211に塗布し、乾燥させ、圧延することによって形成されている。この際、正極合剤の溶媒としては、水性溶媒及び非水溶媒の何れも使用可能である。非水溶媒の好適な例としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)が挙げられる。上記バインダーとして例示したポリマー材料は、バインダーとしての機能の他に、正極合剤の増粘剤その他の添加剤としての機能を発揮する目的で使用されることもある。
(負極板)
図2に示すように、負極板22は、帯状の金属基板としての負極基材221と、負極基材221の内周面221A及び外周面221Bに負極合剤層222,223とを備えている。負極基材221には、負極に適する金属箔が好適に使用され、例えば、帯状の銅箔が用いられる。また、負極基材221の幅方向片側には、縁部に沿って合剤層の非形成部である未塗工部221Mを有している。負極合剤層222,223は、未塗工部221Mを除いて、負極基材221の両面に保持されている。負極合剤層222,223には、負極活物質が含まれており、該負極活物質を含む負極合剤を負極基材221に塗工することによって形成されている。
負極合剤層222,223には、正極板21と負極板22とをセパレータ23を挟んで捲回する電極体20が構成されたとき、セパレータ23を挟んで正極板21の合剤層形成部KP1に対向する対向部分KM1と、正極板21の合剤層形成部KP1に対向しない非対向部分KM2とを有している。
負極合剤層222,223には、負極活物質粒子、増粘剤、バインダー等が含まれている。負極活物質粒子としては、負極活物質として従来からリチウムイオン二次電池に用いられる材料の一種または二種以上を使用することができる。例えば、少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む粒子状の炭素材料(カーボン粒子)が挙げられる。具体的には、負極活物質は、例えば、天然黒鉛、非晶質の炭素材料でコートした天然黒鉛、黒鉛質(グラファイト)、難黒鉛化炭素質(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素質(ソフトカーボン)、又は、これらを組み合わせた炭素材料でもよい。
また、バインダーには、正極合剤層212,213のバインダーとして例示したポリマー材料を用いることができる。例えば、バインダーは、ゴム類を含む水系ポリマー、及び、非水系ポリマーのうち、少なくとも一種類で構成されている。ゴム類を含む水系ポリマーとしては、例えばスチレンブタジエンゴム(SBR)が例示される。ここでスチレンブタジエンゴムとは、スチレンと1,3‐ブタジエンを含む共重合体のことであり、その共重合様式は限定されない。さらに不飽和カルボン酸や不飽和ニトリル化合物を共重合させた変性SBRであってもよい。その他、水に分散または溶解するポリマーとしては、ポリアクリレート(アクリル酸エステル単独重合体または共重合体)、ポリウレタン、等が例示される。かかるポリマーは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
負極合剤層222,223は、例えば、負極活物質粒子とバインダーとを溶媒によってペースト状(スラリ状)に混ぜ合わせた負極合剤を作製し、負極基材221に塗布し、乾燥させ、圧延することによって形成されている。この際、負極合剤の溶媒としては、水性溶媒及び非水溶媒の何れも使用可能である。非水溶媒の好適な例としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)が挙げられる。ポリマー材料は、バインダーとしての機能の他に、正極合剤の増粘剤その他の添加剤としての機能を発揮する目的で使用されることもあり得る。
(電解液の浸透性)
図3に示すように、二次電池10において、正極合剤層212及び負極合剤層222は、例えば、活物質と導電材との粒子間に、微小な隙間を有している。また、セパレータ23は、電解液27の移動が可能な微多孔質材料から構成され、その体内に微小な隙間を有している。これら微小な隙間に、注入された電解液27が浸透することで、正極板21及び負極板22に含まれる活物質と電解質との間で電荷担体(リチウムイオン)の受け渡しが行われる。
すなわち、二次電池10を製作するにあっては、積層されている正極合剤層213、負極合剤層222及びセパレータ23の内部に形成されている隙間に電解液27を浸透させる。なお、電極体20は、正極合剤層213の平面部214をセパレータ23の平面部235に加圧された状態で当接させ、負極合剤層222の平面部224をセパレータ23の平面部234に加圧された状態で当接させている。このため、電解液27の浸透はこれらの部材の平面部214,224からではなく、他の部材と加圧当接されずに開放されている側面部(捲回軸方向の端部)215,225,216,226からに限定される。本実施形態では、対向部分KM1に隣接する側面部225は、対向部分側の端部を構成し、非対向部分KM2に隣接する側面部226は、非対向部分側の端部を構成している。よって、電解液27は、対向部分側の端部から捲回軸方向に浸透するとともに、非対向部分側の端部から捲回軸方向に浸透し、電極体20の捲回軸方向に合流する部分J1を形成する。このような構造であるため、電解液27が正極合剤層213、負極合剤層222及びセパレータ23を捲回軸方向に浸透するのには長い時間を要する。このような時間は、電解液27に含まれている添加剤のうち、合剤層に親和性の高いものを合剤層に分散させる一方、親和性の低いものを電解液中に残留させるため、合剤層を浸透した距離の長い先端になるほど濃度が高められるようになる。よって、合流する部分J1には、電解液27に含まれる添加剤が高い濃度で偏在する偏在範囲が形成される。
(浸透性の調整)
負極合剤層222の浸透性を調整する。浸透性の調整は、電解液27に対する浸透性が向上される調整であれば、その手法、改良の度合い等に特に制限はない。なお、浸透性は、負極合剤層222の電解液27に対する濡れ性の改良で高められる。例えば、対象とする部材が所望の浸透性を備えられるよう、化学的、光学的な処理を濡れ性の改良に採用することができ、かかる処理の条件等も適宜調整して実施することができる。化学的、光学的な処理手法による濡れ性の改良によれば、電極特性を損ねることなく濡れ性が高く確保された対向部分KM1を設けられるために好ましい。濡れ性の度合いについては、例えば、各種の濡れ性の評価手法を利用して確認することができる。例えば、具体的には、未処理の負極合剤層222の表面に電解液27を滴下した際の液滴の接触角に対する、処理後の負極合剤層222における電解液27の液滴の接触角の比が、0.7以下となるように改良することが例示される。より好ましくは、かかる比は0.5以下である。ここで接触角は、例えば、JIS K2396の接触角の試験方法等に基づき、汎用の接触角測定装置等を用いることで簡便に測定することができる。これにより、負極合剤層222の対向部分KM1における濡れ性が非対向部分KM2に比較して十分に改良され、負極合剤層222の対向部分KM1側の側面部225に浸透した電解液27がより迅速に対向部分KM1を浸透することのできる電極体20とすることができる。
非水電解質二次電池の製造方法においては、正極板21と、負極板22と、セパレータ23とを用意したのち、電極体20を製作するに先立って、負極合剤層222,223の濡れ性を改質して、電解液27の浸透性の高い対向部分KM1を設けるようにする。つまり、対向部分側の端部から捲回軸方向への電解液27の浸透性が、非対向部分側の端部から捲回軸方向への電解液27の浸透性よりも高くなるように設定される。より好ましくは、合流する部分J1の少なくとも一部が非対向部分KM2に配置されるように対向部分KM1に浸透性が確保される。また好ましくは、電極体20の捲回軸方向に対して電解液27が対向部分KM1を浸透することに要する時間が、捲回軸方向に対して電解液27が非対向部分KM2を浸透することに要する時間よりも短くなるように設定される。
浸透性の向上は、濡れ性を向上させることができる各種の手法を採用することができる。例えば、濡れ性の向上を目的とした、化学的または光学的処理による異種表面の形成による改良、真空雰囲気内でのプラズマ処理等の手法を採用することができる。なかでも、例えば、大気圧下でのプラズマ処理、コロナ処理、エキシマランプ処理又はプラズマフレーム処理等は、被処理部材にダメージを与えることなく、表面の所望の範囲の濡れ性を均質に付与することができるので採用が好ましい。プラズマ処理、コロナ処理、エキシマランプ処理はいずれも誘電体バリア放電を利用した濡れ性改善の手法であって、負極合剤層222に水酸基、カルボキシル基等の極性を有する官能基を導入することができ、これにより電解液27に対する濡れ性を向上させることができる。また、プラズマフレーム処理は、一般的な燃焼フレーム処理(処理温度:約1500℃)に比べて処理温度の低いプラズマフレーム(処理温度:約300℃)を用いた濡れ性改善の手法であって、負極合剤層222に水酸基、カルボキシル基等の極性を有する官能基を導入して濡れ性を改良することができる。これらは、いずれも大気圧下で、対象とする部材の所望の部位のみを改良することができる処理手法であり、かかる処理により電極性能等への悪影響が殆どないために好ましく採用され得る。また、連続的なライン製造等に適用できる点においても好ましい。
なお、誘電体バリア放電を利用して濡れ性の改良を行う場合、例えば、単位時間、単位面積当たりの投入電力である放電量を調整することで、濡れ性の改良の度合いを制御することができる。投入電力は、濡れ性の改良の対象とする部材及びその構成材料等によって相違するが、放電量と濡れ性の改良度合との関係から適切な放電量を設定することができる。例えば大気圧下でのコロナ放電処理により負極合剤層222の濡れ性の改良を行う場合、例えば、式(1)で表される放電量が250~500[W・min/m]となるように、放電電力、負極板22の搬送速度等の各種の条件を調整して濡れ性を改良することができる。
放電量=P/(T×v)…(1)
「P」は放電電力[W]を、「T」は改良幅(m)を、「v」は搬送速度(m/min)を示す。なお、上記に例示した放電量は、使用するコロナ放電装置30、負極合剤層222の活物質等の種類、負極合剤層222の密度等により相対的に変更される数値である。
図4及び図5は、コロナ放電処理によって負極合剤層222の濡れ性を改良して電解液27の浸透性を向上させる装置の一例を示している。
コロナ放電装置30は、負極板22を通過させる隙間を有して対向配置される2つの放電電極31P,31Mの間に所定の電圧を印加してコロナ放電32を行う。
2つの放電電極31P,31Mは、負極板22が搬送される長手方向に直交する幅方向に対して対向部分KM1に対向する長さを有している。なお、幅方向は、電極体20の捲回軸方向に対応する方向である。逆に、2つの放電電極31P,31Mは、非対向部分KM2には対向しないように配置されている。コロナ放電処理は、負極合剤層222の濡れ性を向上させることから、2つの放電電極31P,31Mが対向する範囲を搬送される対向部分KM1の濡れ性は向上される一方、2つの放電電極31P,31Mが対向しない範囲を搬送される非対向部分KM2の濡れ性は変化されずに維持される。これにより、対向部分KM1の有する電解液27の浸透性を、非対向部分KM2の有する電解液27の浸透性よりも高くなるように調整することができる。なお、コロナ放電処理は、捲回軸方向に放電電極31P,31Mを分割し、各分割した放電電極に印加する電圧を相違させ、対向部分KM1の浸透性を分割した放電電極毎に相違させるようにしてもよい。
(実施例と比較例)
以下、図6~図8を参照して、具体的な実施例の一例と比較例の一例とについて説明する。以下の手順で、負極板22の対向部分KM1に非対向部分KM2に比べて高い浸透性を付与した二次電池10を作製した。
<実施例>
(正極板21)
正極板21は、帯状の電極芯体としての正極基材211と、正極基材211の内周面211A及び外周面211Bに、それぞれの正極合剤層212,213とを備えるものを用意した。
(負極板22)
負極板22は、帯状の金属基板としての負極基材221と、負極基材221の内周面221A及び外周面221Bに負極合剤層222,223とを備えるものを用意した。
この負極板22を、コロナ放電処理した。すなわち、コロナ放電装置30が所定の放電量で放電32させている2つの放電電極31P,31Mの隙間を、負極板22を所定の搬送速度で移動させる。このとき、負極板22は、その対向部分KM1が2つの放電電極31P,31Mの隙間に配置されるように搬送されるとともに、その非対向部分KM2が2つの放電電極31P,31Mの隙間外に配置されるように搬送される。これにより、コロナ放電処理が行われない非対向部分KM2に比べて、コロナ放電処理によって対向部分KM1には高い浸透性が付与される(浸透性設定工程)。浸透性は、例えば、合流する部分J1に形成される電解液27に含まれる添加剤の偏在範囲の少なくとも一部、好ましくは全部が非対向部分KM2に配置されるように付与される。
(電極体20)
次いで、正極板21と濡れ性の改良された負極板22とセパレータ23とを積層して電極体20を作製する。電極体20を作製する場合、これらを下からセパレータ23、負極板22、セパレータ23、正極板21の順に積層して、電池ケース11に収容可能な扁平に捲回する(捲回体作製工程)。電極体20を作製するとき、負極合剤層222,223は、セパレータ23を挟んで正極板21の正極合剤層212,213に対向する対向部分KM1と、正極板21の正極合剤層212,213に対向しない非対向部分KM2とを有するように積層される。ここで、幅を捲回軸方向の長さであるとすると、負極合剤層222,223の幅は正極合剤層212,213の幅よりも広く、負極合剤層222,223が正極合剤層212,213を幅方向に覆う状態に配置される。また、セパレータ23は、負極合剤層222,223を幅方向に覆うことで、正極板21と負極板22との絶縁を確保する。すなわち、これらの幅方向の寸法関係は、正極合剤層212,213の合剤層形成部KP1の幅よりも負極合剤層222,223の幅が広く、さらに負極合剤層222,223の幅よりもセパレータ23の幅が広い。このように、負極合剤層222,223が正極合剤層212,213よりも幅広のため、正極板21から放出される電荷担体(リチウムイオン)の負極板22での受け入れ性が高まり、負極板22の容量を確保することができる。そのため、例えば、充放電の繰り返しに伴う負極板22でのリチウムの析出を抑制する効果を得ることができる。
(二次電池10)
そして、電極体20は、正極のリード部21A及び負極のリード部22Aにそれぞれ集電板14が溶接され、これら集電板14はそれぞれ、蓋体12を挟んで対応する外部端子13に接続される。電極体20は、機械的に接続された蓋体12と、機械的かつ電気的に接続された外部端子13とともに開口部から電池ケース11に収容される。そして、電池ケース11の開口部に蓋体12が溶接される(収容工程)。
(電解液27の注入)
その後、蓋体12に設けられている電解液注入孔(図示略)から電池ケース11内に電解液27が注入され、電極体20の周囲に電解液27が配置される(注入工程)。電極体20の正極のリード部21Aの捲回軸方向内側の側面部215,225や負極のリード部22Aの捲回軸方向内側にある側面部216,226から電解液27が正極合剤層212,213や負極合剤層222,223に浸透する(浸透工程)。
本実施形態では、負極合剤層222は、対向部分KM1の有する電解液27の浸透性を、非対向部分KM2の有する電解液27の浸透性よりも高い値に設定している。例えば、電極体20の捲回軸方向に対して電解液27が対向部分KM1を浸透することに要する時間が、捲回軸方向に対して電解液27が非対向部分KM2を浸透することに要する時間よりも短くなるように設定されている。この例において、捲回軸方向に対して正極合剤層213とのずれ量の少ない負極合剤層222の側面部225から電解液27が浸透して対向部分KM1を介して非対向部分KM2に到達するまでに要する時間を第1の時間とする。捲回軸方向に対して正極合剤層213とのずれ量の多い負極合剤層222の側面部226から電解液27が浸透して非対向部分KM2を介して対向部分KM1に到達するまでに要する時間を第2の時間とする。このとき、第1の時間に対して第2の時間が長くなるように設定されている。これにより、対向部分KM1側の側面部225から浸透した電解液27の浸透方向先端と、非対向部分KM2側の側面部226から浸透した電解液27の浸透方向先端とが非対向部分KM2でぶつかり合い合流する部分J1となり、負極合剤層222の両端部から浸透する電解液27の流れがその位置で停止するようになる。
換言すると、対向部分KM1側の側面部225から浸透した電解液27の浸透方向先端は、対向部分KM1を非対向部分KM2に向かって第1の浸透速度で浸透する。このとき、第1の浸透速度が大きく変化しないものとする。一方、非対向部分KM2側の側面部226から浸透した電解液27の浸透方向先端は、非対向部分KM2を対向部分KM1に向かって、上記第1の浸透速度よりも遅い速度である第2の浸透速度で浸透する。そして、前記電解液27の浸透方向先端は、対向部分KM1に到達する以前に、対向部分KM1側の側面部225から浸透してきた電解液27の浸透方向先端とぶつかり合い合流する部分J1となり、非対向部分KM2で浸透による進行が停止する。例えば、第1の浸透速度と、第2の浸透速度との比は、捲回軸方向における対向部分KM1の長さと非対向部分KM2の長さとの比よりも大きく設定されている。
同様の手順で2つの二次電池10を作製し、実施例1及び実施例2とした。
<比較例>
上記実施例(実施例1及び実施例2)の負極板22に行ったコロナ放電処理を、比較例では行わなかった点が相違し、あとは実施例と同様の手順で二次電池10を作製した。
同様の手順で2つの二次電池10を作製し、比較例1及び比較例2とした。
[負極板22の反応抵抗の分布]
図6及び図7には、実施例及び比較例のそれぞれについて、反応抵抗の負極板22の幅方向における分布を示す。ここでは、グラフL2は実施例1に、グラフL3は比較例1にそれぞれ対応する。
図6に示すグラフL2は、図3の向きで配置された電極体20の負極合剤層222における反応抵抗の旋回軸方向における分布を示している。グラフL2の右側が側面部225及び対向部分KM1に対応し、左側が側面部226及び非対向部分KM2に対応する。反応抵抗は、所定の測定範囲における抵抗値であって、所定範囲に分布する抵抗の平均値として取得される。
グラフL2の左端部にある反応抵抗が高い部分K2は、非対向部分KM2に形成された合流する部分J1にあって、実施例1で電解液27の添加剤を偏在させている偏在範囲であり、例えば、LiBOBやNaBOBの濃度が高くなっている部分である。換言すると、グラフL2の反応抵抗が高い部分K2以外の部分のほとんどは対向部分KM1にあって、反応抵抗が高い部分K2よりも電解液27の添加剤の濃度が低い箇所である。反応抵抗が高い部分K2以外の部分は、コロナ放電処理によって形成されるが、捲回により確定する対向部分KM1と非対向部分KM2との間の境界と、コロナ放電処理による処理範囲の境界とを一致させることは容易でない。また、コロナ放電処理は、放電電極31M,31Pの端部では端部からの距離に応じて強度が変化する。これらのことなどから、対向部分KM1と非対向部分KM2との境界における浸透性の分布は一様ではなくむらが生じやすい。また、偏在範囲の少なくとも一部が非対向部分KM2に配置されるのであれば、対向部分KM1の部分であって、非対向部分KM2に近い部分に浸透性の低い部分が設けられてもよい。よって大まかには、非対向部分KM2の反応抵抗は、対向部分KM1の反応抵抗よりも高いといえる。なお、詳述すると、非対向部分KM2の捲回軸方向における反応抵抗の平均値が、対向部分KM1の捲回軸方向における反応抵抗の平均値よりも高いものとなる。
濃度が高くなることによって、LiBOB等に基づいて生成される保護被膜が他の部分よりも厚くなり、被膜上に析出するリチウムにとって極板間距離を短くすることからリチウム析出耐性が低下する。その結果、低下したリチウム析出耐性によって二次電池10の充電電流が制限され、二次電池10の全体としての電池性能が低下する。このとき、保護被膜が他の部分よりも厚くなる位置(添加剤の偏在範囲)が、充放電に対する寄与度が小さい非対向部分KM2の反応抵抗が高い部分K2であれば、この部分でリチウム析出耐性が制限されたとしても、二次電池10全体としての充放電量に及ぼす影響が小さい。すなわち、非対向部分KM2は充放電量が少ないので、対向部分KM1には必要な充放電量を可能としつつ、非対向部分KM2の充放電量をリチウム析出耐性で制限される範囲内に抑えることができる。これにより、非対向部分KM2のリチウム析出耐性が低下したとしても、二次電池10の全体としての電池性能の低下が抑制される、もしくは、逆に向上されるようになる。
図7に示すグラフL3も、図3の向きで配置された電極体20の負極合剤層222における反応抵抗の旋回軸方向における分布を示している。すなわち、グラフL3の右側が側面部225及び対向部分KM1に対応し、左側が側面部226及び非対向部分KM2に対応する。比較例1の負極合剤層222においては、電解液27の浸透性が対向部分KM1と非対向部分KM2とで同様であるため、電解液27の浸透速度が、負極合剤層222の側面部225から中央部分K3へ浸透するときと、負極合剤層222の側面部226から中央部分K3への浸透するときとで同様である。よって、負極合剤層222の両側面部225,226から浸透した電解液27はそれぞれの浸透方向先端が中央部分K3でぶつかり合って合流する部分となり停止することから、電解液27の浸透方向先端で濃度の高くなる添加剤の偏在範囲が中央部分になる。つまり、中央部分K3では、例えば、LiBOBやNaBOBの濃度が高くなる。よって、負極合剤層222の中央部分である対向部分KM1は、充放電に対する寄与度が大きいため、この部分のリチウム析出耐性が制限されると、二次電池10の充放電量を、対向部分KM1のリチウム析出耐性の範囲内に抑えなければならなくなる。つまり、対向部分KM1のリチウム析出耐性が低下することによって、二次電池10の全体として電池性能が低下するようになる。
[負極板22のリチウム析出耐性]
図8のリスト81は、リチウム析出耐性を有する限界電流値を「○」(丸印)、リチウム析出耐性を有しない限界電流値を「×」(バツ印)で示す。リチウム析出耐性は、リチウムを析出させるようになるときの充電電流で示すことができ、充電電流値(限界電流値)が大きいほど耐性が高く、充電電流値が小さいほど耐性が低い。リチウム析出耐性を超えない充電電流であれば、添加剤によって負極板22に形成された被膜が、負極に移動してくるリチウムイオンを十分に通過させることができるため負極板22にリチウムが析出しない。一方、リチウム析出耐性を超えた充電電流が流れると、添加剤によって負極板22に形成された被膜が、負極に移動してくるリチウムイオンを十分に通過させることができないため負極板22の被膜等にリチウムが析出するようになる。
具体的には、リスト81に示すように、まず、比較例1は限界電流値が「19C」であり、比較例2では限界電流値が「20C」である。一方、実施例1は限界電流値が「20C」や「21C」を超えた「26C」であり、実施例2は限界電流値が同じく「26C」である。すなわち、比較例1や比較例2の二次電池10に比べて、実施例1や実施例2の二次電池10はその電池性能が大幅に高められるようになる。
(作用)
本実施形態の二次電池10によれば、負極合剤層222において充放電への寄与の小さい非対向部分KM2はリチウム析出耐性のある範囲内に充放電量が抑えられつつ、充放電への寄与の大きい対向部分KM1には必要な充放電を確保することができる。つまり、電解液27の添加剤が偏在する偏在範囲の少なくとも一部が非対向部分KM2にあるようにすることによって、二次電池10の電池性能がリチウム析出耐性によって規制されるおそれが緩和される。例えば、電解液27の添加剤の偏在範囲が負極合剤層222の中央部分である比較例1,2の場合、限界電流値が「19C」や「20C」であったが、この偏在範囲を負極合剤層222の非対向部分KM2にした実施例1,2の場合、限界電流値を「26C」にすることができ、二次電池10の充放電特性を大幅に高めることができるようになる。なお、比較例1,2では、限界電流値によって、大抵は、添加剤が偏在している箇所にリチウムが析出する。一方、実施例1,2では、限界電流値によって、添加剤が偏在している箇所に限らず、そのとき負極合剤層222においてリチウムが析出しやすい箇所にリチウムが析出するようになる。
以上説明したように、本実施形態によれば、以下に記載するような効果が得られるようになる。
(1)捲回軸方向の両端から浸透した電解液27の流れの先端が負極板22の対向部分KM1の中央では停止せず、非対向部分KM2で停止するようになる。これにより、添加物の偏在範囲の少なくとも一部を非対向部分KM2に配置させることができ、充放電量に応じて析出する難溶性のリチウム塩等の析出を抑制することができる。よって、電極体20における電解液27の添加剤の偏在による電池性能の低下を抑制することができる。
また、正極規制の二次電池10は通常、正極板21よりも負極板22の方が大きい。よって、対向部分KM1と、添加物の偏在範囲とすることのできる大きさの非対向部分KM2とを設けやすい。
(2)負極板22においてLiBOBの濃度の高い部分である偏在範囲を非対向部分側又は非対向部分KM2にすることで二次電池10のリチウム析出耐性を高めることができるようになる。
(3)コロナ放電処理であれば、負極板22の電解液27の浸透性を非接触処理で高めることができる。
(4)電解液27の添加剤の濃度の高い偏在範囲の少なくとも一部が非対向部分KM2に配置されるようになるが、非対向部分KM2は充放電に対する寄与度が小さいので反応抵抗が高くなっても電池性能の低下に与える影響が小さい。
(5)非対向部分KM2は充放電に対する寄与度が小さいのでLiBOBの濃度が高くなる偏在範囲が電池性能の低下に与える影響が小さい。
(6)非対向部分KM2は充放電に対する寄与度が小さいので、この部分の反応抵抗やLiBOBの濃度が高くなっても電池性能低下への影響が小さいのみならず、充放電に対する寄与度の大きい部分から反応抵抗やLiBOBの濃度が高い箇所をなくしたり、減らしたりすることができる。これにより、チウム析出耐性が高くなり電池性能の向上が図られるようになる。
(7)浸透性設定工程によって電解液27に含まれる添加剤の偏在する偏在範囲の少なくとも一部が非対向部分KM2に配置されるように、対向部分側の端部から捲回軸方向への電解液27の浸透性と非対向部分側の端部から捲回軸方向への電解液27の浸透性とが設定される。これにより、電極体20に電解液27が浸透したとき、電解液27の添加物の濃度の高い部分である偏在範囲の少なくとも一部を非対向部分KM2に配置することができる。
(その他の実施形態)
なお上記実施形態は、以下の態様で実施することもできる。
・上記実施形態では、正極板21の正極合剤層212,213に対して負極板22の負極合剤層222,223が非対向部分KM2を有する場合について例示した。しかしこれに限らず、非水電解質二次電池の正極板において、正極合剤層が負極板の負極合剤層に対して非対向部分を有していてもよい。このとき、正極合剤層における電解液の添加物の偏在範囲の少なくとも一部を非対向部分に配置させることで、添加物の偏在に起因する電池性能の劣化を抑制するようにしてもよい。
非対向部分を有する正極板であれば、正極板に生じる添加剤の偏在範囲を、充放電に対する寄与度の小さい非対向部分に配置させることができ、充放電量に応じて析出する難溶性の塩の析出等を抑制することができる。これにより、電極体における電解液の添加剤の偏在による電池性能の低下を抑制することができる。
・上記実施形態では、グラフL2の反応抵抗が高い部分K2は非対向部分KM2にあり、グラフL2の反応抵抗が高い部分K2以外の部分のほとんどは対向部分KM1にある。このとき、捲回軸方向に対して電解液27が対向部分KM1を浸透することに要する時間を、非対向部分KM2を浸透することに要する時間よりも短くすることができるのであれば、反応抵抗が高い部分K2の一部が対向部分KM1にあってもよいし、反応抵抗が高い部分K2以外の部分の一部が非対向部分KM2にあってもよい。これにより、コロナ放電処理等による浸透性の設定を容易にすることができるようになる。
・上記実施形態では、放電電極31P,31Mを対向部分KM1に設け、非対向部分KM2には設けない場合について例示した。しかし、これに限らず、対向部分への放電量と非対向部分への放電量とを個別に調整することができるのであれば、対向部分に設けられている放電電極とは別の放電電極を非対向部分に設けてもよい。このとき、対向部分への放電量を250~500[W・min/m]とし、非対向部分への放電量を100[W・min/m]とするようにしてもよい。
また、放電電極31P,31Mを捲回軸方向に複数に分割してもよい。
・上記実施形態では、電解液27の添加剤がLiBOBである場合について例示したが、これに限らず、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)及びジフルオロリン酸リチウム(P1)等が例示される。これらは1種のみを用いても良いし、これらにLiBOBを含めたなかから2種以上を複合的に用いるようにしてもよい。
・上記実施形態では、電解液27の添加剤の濃度が非対向部分KM2で高くなるようにする場合について例示した。このとき、電解液27の添加剤の濃度の最も高い部分、換言すると、反応抵抗が最も高い部分であって、リチウム析出耐性が最も低い部分が、非対向部分に含まれていれば、それ以外で通常よりは高い部分が対向部分KM1に含まれていたとしてもよい。これによっても、対向部分KM1に、リチウム析出耐性が最も低い部分が含まれるときに比べて、二次電池10のリチウム析出耐性が向上して電池性能を維持、向上させることができるようになる。
・反応抵抗が高い部分K2は、非対向部分KM2にあることが好ましいが、少なくとも一部が非対向部分KM2に配置されていればよい。対向部分KM1にも電解液27の添加剤の偏在する偏在範囲が広がったとしても、従来、対向部分KM1の全てに反応抵抗が高い部分K2が存在していることに比べ、極板や二次電池10のリチウム析出耐性が高くなることを発明者らは見出した。つまり、これによっても、電極体20における電解液27の添加剤の偏在による電池性能の低下が抑制できる。
・二次電池10は、電気自動車もしくはハイブリッド自動車に搭載されなくてもよい。例えば、二次電池10は、ガソリン自動車やディーゼル自動車等の車両に搭載されてもよい。また二次電池10は、鉄道、船舶、及び航空機等の移動体や、ロボットや、情報処理装置等の電気製品の電源として用いられてもよい。
10…二次電池、11…電池ケース、12…蓋体、13…外部端子、14…集電板、20…電極体、21…正極板、21A…リード部、22…負極板、22A…リード部、23…セパレータ、26…端、27…電解液、30…コロナ放電装置、31M,31P…放電電極、32…コロナ放電、81…リスト、211…正極基材、211A…内周面、211B…外周面、211M…未塗工部、212,213…正極合剤層、214…平面部、215,216…側面部、221…負極基材、221A…内周面、221B…外周面、221M…未塗工部、222,223…負極合剤層、224…平面部、225,226…側面部、234,235…平面部。

Claims (10)

  1. 正極板と負極板とがセパレータを挟んで捲回される捲回体と、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)を含む電解液とを有する非水電解質二次電池の負極板であって、
    前記負極板は、金属基板の表面に活物質を含む合剤層を有し、
    前記合剤層は、前記捲回体を構成するとき、前記捲回体の捲回軸方向に対して、前記セパレータを挟んで前記正極板の合剤層に対向する対向部分と、前記正極板の合剤層に対向しない非対向部分とを有し、
    前記合剤層は、前記捲回体に形成される電解液に含まれるリチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)の偏在する偏在範囲であって、前記対向部分側の端部から前記捲回軸方向に浸透した電解液と、前記非対向部分側の端部から前記捲回軸方向に浸透した電解液とが合流する部分に形成される前記偏在範囲の少なくとも一部が前記非対向部分に配置されるように、前記対向部分側の端部から前記捲回軸方向に有する電解液の浸透性と前記非対向部分側の端部から前記捲回軸方向に有する電解液の浸透性とが設定されている
    非水電解質二次電池の負極板。
  2. 前記対向部分側の端部から前記捲回軸方向に有する電解液の浸透性は、前記合剤層に対するコロナ放電処理により高められている
    請求項1に記載の非水電解質二次電池の負極板。
  3. 正極板と負極板とがセパレータを挟んで捲回される捲回体と、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)を含む電解液とを有する非水電解質二次電池の負極板であって、
    前記負極板は、金属基板の表面に活物質を含む合剤層を有し、
    前記合剤層は、前記捲回体を構成するとき、前記セパレータを挟んで前記正極板の合剤層に対向する対向部分と、前記正極板の合剤層に対向しない非対向部分とを有し、
    前記対向部分の有する電解液の浸透性と前記非対向部分の有する電解液の浸透性とは、前記捲回体の捲回軸方向に対して前記電解液が前記対向部分を浸透することに要する時間が、前記捲回軸方向に対して前記電解液が前記非対向部分を浸透することに要する時間よりも短くなるように浸透方向の長さが設定されている
    非水電解質二次電池の負極板。
  4. 正極板と負極板とがセパレータを挟んで捲回される捲回体が非水電解質とリチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)を含む電解液とともに電池ケースに収容される非水電解質二次電池であって、
    前記負極板は、金属基板の表面に活物質を含む合剤層を有し、
    前記合剤層は、前記捲回体を構成するとき、前記捲回体の捲回軸方向に対して、前記セパレータを挟んで前記正極板の合剤層に対向する対向部分と、前記正極板の合剤層に対向しない非対向部分とを有し、
    前記捲回体は、前記対向部分側の端部から前記捲回軸方向に浸透した電解液と、前記非対向部分側の端部から前記捲回軸方向に浸透した電解液とが合流する部分に電解液に含まれるリチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)の偏在する偏在範囲を有し、
    前記偏在範囲は、少なくとも一部が前記非対向部分に配置されている
    非水電解質二次電池。
  5. 前記合剤層は、前記対向部分側の端部から前記捲回軸方向に有する電解液の浸透性と前記非対向部分側の端部から前記捲回軸方向に有する電解液の浸透性とが、前記偏在範囲の少なくとも一部が前記非対向部分に配置されるように設定されている
    請求項に記載の非水電解質二次電池。
  6. 正極板と負極板とがセパレータを挟んで捲回される捲回体と、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)を含む電解液とを有する非水電解質二次電池の製造方法であって、
    前記負極板の金属基板の合剤層が、前記捲回体の捲回軸方向に対して、前記捲回体において前記セパレータを挟んで前記正極板の合剤層に対向する対向部分と、前記正極板の合剤層に対向しない非対向部分とを有するように前記捲回体を作製する捲回体作製工程と、
    前記捲回体を電池ケースに収容する収容工程とを備え、
    前記捲回体作製工程の前に、前記対向部分側の端部から前記捲回軸方向への電解液の浸透性と前記非対向部分側の端部から前記捲回軸方向への電解液の浸透性とを、前記対向部分側の端部から前記捲回軸方向に浸透した電解液と、前記非対向部分側の端部から前記捲回軸方向に浸透した電解液とが合流する部分に形成される電解液に含まれるリチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)の偏在する偏在範囲の少なくとも一部が前記非対向部分に配置されるように設定する浸透性設定工程をさらに備える
    非水電解質二次電池の製造方法。
  7. 前記捲回体が収容された前記電池ケースに前記電解液を注入する注入工程と、
    前記電解液を前記捲回体の両端部からそれぞれ前記対向部分及び前記非対向部分に浸透させる浸透工程とをさらに備える
    請求項に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
  8. 前記浸透性設定工程では、コロナ放電処理によって前記対向部分側の端部から前記捲回軸方向への電解液の浸透性が高められる
    請求項6又は7に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
  9. 正極板と負極板とがセパレータを挟んで捲回される捲回体と、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)を含む電解液とを有する非水電解質二次電池の正極板であって、
    前記正極板は、金属基板の表面に活物質を含む合剤層を有し、
    前記合剤層は、前記捲回体を構成するとき、前記捲回体の捲回軸方向に対して、前記セパレータを挟んで前記負極板の合剤層に対向する対向部分と、前記負極板の合剤層に対向しない非対向部分とを有し、
    前記合剤層は、前記捲回体に形成される電解液に含まれるリチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)の偏在する偏在範囲であって、前記対向部分側の端部から前記捲回軸方向に浸透した電解液と、前記非対向部分側の端部から前記捲回軸方向に浸透した電解液とが合流する部分に形成される前記偏在範囲の少なくとも一部が前記非対向部分に配置されるように、前記対向部分側の端部から前記捲回軸方向に有する電解液の浸透性と前記非対向部分側の端部から前記捲回軸方向に有する電解液の浸透性とが設定されている
    非水電解質二次電池の正極板。
  10. 正極板と負極板とがセパレータを挟んで捲回される捲回体と、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)を含む電解液を有する非水電解質二次電池の正極板であって、
    前記正極板は、金属基板の表面に活物質を含む合剤層を有し、
    前記合剤層は、前記捲回体を構成するとき、前記セパレータを挟んで前記負極板の合剤層に対向する対向部分と、前記負極板の合剤層に対向しない非対向部分とを有し、
    前記対向部分の有する電解液の浸透性と前記非対向部分の有する電解液の浸透性とは、前記捲回体の捲回軸方向に対して前記電解液が前記対向部分を浸透することに要する時間が、前記捲回軸方向に対して前記電解液が前記非対向部分を浸透することに要する時間よりも短くなるように浸透方向の長さが設定されている
    非水電解質二次電池の正極板。
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