以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
図1は、本発明の実施の形態に従う給湯システム1の概略構成を示すブロック図である。
図1を参照して、給湯システムは、給湯機能を実現するための給湯回路2と、風呂追焚機能を実現するための追焚循環回路3と、風呂湯張り機能を実現するための注湯回路4と、ドレン処理回路5と、流路切換ユニット6と、浴槽8とを備える。
たとえば、給湯回路2、追焚循環回路3、注湯回路4およびドレン処理回路5は、給湯器1a内に配置されて、給湯器1aと浴槽8との間は、配管35a,35bによって接続される。以下では、追焚循環経路での通流方向に合わせて、配管35aを風呂戻り配管35aとも称し、配管35bを風呂往き配管35bとも称する。
本実施の形態に従う給湯システム1は、風呂の追焚機能に加え、給湯機能および風呂湯張り機能の各機能を併用する複合熱源機型に構成されたものである。図1の例では、給湯システム1は、燃焼ガスの顕熱に加えて、燃焼排ガスからも潜熱を回収することによって高効率化を図るように構成されている。
給湯回路2は、給湯用熱交換器10と、バーナ20とを含む。給湯用熱交換器10は、一次熱交換器21および二次熱交換器24を含む。バーナ20は、図示しない燃料供給系から流量調整弁を経由した燃料ガスの供給を受けて、燃焼作動するように構成される。
一次熱交換器21は、バーナ20の燃焼ガスの顕熱(燃焼熱)により入水を熱交換によって加熱する。給湯回路2へは、入水路22から水道水等が給水される。二次熱交換器24は、たとえば、排気集合筒内に配設される。二次熱交換器24は、バーナ20からの燃焼排ガスの潜熱によって通流された水を熱交換によって加熱する。バーナ20への供給ガス量の制御によって、給湯用熱交換器10による加熱量を制御することができる。
入水路22の水は、まず二次熱交換器24によって予熱された後、一次熱交換器21において主加熱される。一次熱交換器21および二次熱交換器24によって所定温度(たとえば、ユーザによる設定温度)まで加熱された湯は、出湯路23から出湯される。給湯システム1は、出湯路23に出湯された湯が、台所や浴室等の給湯栓25や上記注湯回路4などの所定の給湯箇所に給湯されるように構成される。
二次熱交換器24や、後述する追焚循環回路3中の二次熱交換器34は、潜熱回収用熱交換器を構成する。さらに、入水路22には、流量センサ26や入水温度センサ27が介装される。出湯路23には、流量制御弁28や給湯温度センサ29が介装される。流量制御弁28によって、給湯回路2の流量を制御することができる。入水温度センサ27は、「第1の温度センサ」の一実施例に対応する。
浴槽8へ給湯するための注湯回路4は、注湯路41と、注湯ユニット42とを含む。注湯路41は、給湯回路2の出湯路23から上流端が分岐される。注湯路41は、注湯ユニット42を経由して、後述する追焚循環経路100に合流するように配置される。注湯ユニット42は、開閉切換により注湯の実行および遮断を切換えるための注湯電磁弁や縁切り弁等がユニット化されて構成される。注湯路41には、流量センサ45が設けられている。流量センサ45によって、注湯回路4から浴槽8へ向けて出力される湯の流量(以下、「注湯流量」とも称する)を検出することができる。
追焚循環回路3は、追焚用熱交換器11と、バーナ30と、追焚用の循環ポンプ33とを含む。追焚用熱交換器11は、一次熱交換器31および二次熱交換器34を含む。バーナ30は、バーナ20と同様に、図示しない燃料供給系から燃料ガスを供給されることによって、燃焼作動する。
一次熱交換器31は、バーナ30の燃焼ガスの顕熱(燃焼熱)により通流された水を加熱する。二次熱交換器34は、バーナ30からの燃焼排ガスの潜熱によって通流された水を加熱する。バーナ30への供給ガス量の制御によって、追焚用熱交換器11による加熱量を制御することができる。
追焚循環回路3には、戻り回路32aおよび往き回路32bが設けられる。戻り回路32aの上流端(すなわち、浴槽側)の接続口321に対して、風呂戻り配管35aの下流端が接続される。さらに、風呂戻り配管35aの上流端が、浴槽8に設置された循環アダプタ81の吸込側に接続される。また、往き回路32bの下流端(すなわち、浴槽側)の接続口322に対して、風呂往き配管35bの上流端が接続される。風呂往き配管35bの下流端は、循環アダプタ81の吐出側に接続される。
循環ポンプ33が作動すると、浴槽8からの浴槽水は、循環アダプタ81の吸込口85から、風呂戻り配管35aおよび戻り回路32a、二次熱交換器34および一次熱交換器31、ならびに、往き回路32bおよび風呂往き配管35bを経由して、循環アダプタ81の吐出口86へ至る経路を循環する。これにより、浴槽8(循環アダプタ81)の吸込口85および吐出口86の間に、追焚用熱交換器11および循環ポンプ33を介装接続して構成される追焚循環経路100が形成される。すなわち、浴槽8(循環アダプタ81)の吸込口85および吐出口86は、浴槽内の「第1の開口部」および「第2の開口部」の一実施例に対応する。
追焚循環経路100を通流する浴槽水(以下、循環水)は、二次熱交換器34の通流により燃焼排ガスからの潜熱回収によって予熱された後、一次熱交換器31の通流により主加熱される。追焚循環経路100の循環水を、追焚用熱交換器11で加熱することにより、追焚機能が実現される。
循環ポンプ33の下流側の戻り回路32aには、水流スイッチ36が介装される。戻り回路32aの上流端接続口321と、循環ポンプ33との間には、開閉弁37が介装される。水流スイッチ36は、所定量を超えた通流があった場合にオンされる一方で、そうでない場合にはオフされる。
追焚循環経路100上に、注湯路41との合流点105が設けられる。したがって、追焚循環経路100は、合流点105および浴槽8の間に追焚用熱交換器11を経由せずに形成される経路と、合流点105および浴槽8の間に追焚用熱交換器11を経由して形成される経路とに分割される。
追焚用熱交換器11を経由しない方の経路101には、合流点105および浴槽8の間に開閉弁37が改装接続される。開閉弁37を閉止することによって、経路101を遮断することができる。開閉弁37は、「経路開閉装置」の一実施例に対応する。
さらに、追焚循環経路100上には、追焚用熱交換器11の上流側に設けられた温度センサ66と、追焚用熱交換器11の下流側に設けられた温度センサ67が配置される。すなわち、温度センサ67は、合流点105から追焚用熱交換器11を経由して浴槽8へ至る経路上で浴槽8側に配置される。温度センサ67により、追焚用熱交換器11から浴槽8への出湯温度を検出することができる。また、温度センサ66によって追焚用熱交換器11へ入力される湯温が検出できる。
給湯システム1が、浴槽8内の水位維持制御を含む自動運転機能を有する場合には、追焚循環経路100上に、浴槽8内の水位を測定するための水位センサ38がさらに配置される。水位センサ38は、代表的には、水位に応じて戻り回路32aに生じた水圧を検出するための圧力センサによって構成される。なお、水位センサ38は、注湯路41における注湯ユニット42の下流側(浴槽側)に配置されてもよい。
ドレン処理回路5は、二次熱交換器24,34において燃焼排ガスが潜熱回収のための熱交換により冷やされて凝縮することにより生じたドレンを処理するために配置が必要となる。ドレン処理回路5は、集水パン51と、中和処理槽52と、ドレンタンク53と、逆止弁54と、ドレン導出路55とを含む。集水パン51は、二次熱交換器24,34からドレンを集水するように構成される。中和処理槽52は、集水パン51によって集水されたドレンに対し中和処理を施す。
ドレンタンク53は、中和処理後のドレンを貯留する。ドレンタンク53には、図示しない水位センサが設けられる。この水位センサの出力によって、後述するコントローラ7は、ドレンタンク53に貯留されたドレンが所定量を超えたことを検知できる。ドレン導出路55は、逆止弁54を通して、ドレンタンク53からドレンを、追焚循環経路100(具体的には、戻り回路32a)に導出するように構成される。
ドレン導出路55は、三方切換弁56を経由して追焚循環経路100(戻り回路32a)と接続される。三方切換弁56は、追焚循環経路100上に、開閉弁37よりも熱交換器31,34側に設けられる。三方切換弁56は、ドレン導出路55を、追焚循環経路100に対して接続または切り離すように制御される。
流路切換ユニット6は、給湯器1aと別体に浴槽8の近傍、具体的には、循環アダプタ81の近傍位置に設置される。このようにすると、流路切換ユニット6は、給湯システム1の設置後に追加的に配置することが容易となる。すなわち、流路切換ユニット6は、給湯システム1の当初設置時から配置されていてもよく、システム設置後に後付けで配置されてもよい。
流路切換ユニット6は、流路切換弁61と、流路切換弁61の駆動部62とを内蔵する。流路切換弁61は、追焚循環経路100のうちの循環アダプタ81の近傍位置(具体的には、風呂往き配管35bの下流端側部分)に介装される。流路切換弁61は、ドレン排出に関する動作時には第1の状態に制御されて、風呂往き配管35bから図示しない浴槽排水設備への排水経路64を形成する。一方で、流路切換弁61は、通常時には第2の状態に制御されて、風呂往き配管35bから浴槽8(循環アダプタ81の吐出口86)への注湯経路63を形成する。たとえば、流路切換弁61としては、三方ボールバルブを用いることができる。
コントローラ7は、図示しないリモコンからのユーザ等による入力設定操作に基づき、給湯システム1がユーザ指示に従って運転されるように、給湯回路2、追焚循環回路3、注湯回路4、ドレン処理回路5および流路切換ユニット6の動作を制御する。すなわち、これらの各回路およびユニットに含まれる、各種の切換弁の動作も、コントローラ7からの指令に応じて制御される。たとえば、コントローラ7は、マイクロコンピュータやメモリ等を含んで構成することができる。コントローラ7は、「制御装置」の一実施例に対応する。
次に、図1に示した給湯システム1の動作について説明する。
まず、通常の給湯運転制御について説明する。給湯運転制御は、給湯栓25が開かれることにより、最低作動流量以上の通水流量が流量センサ26により検知されることによって開始される。給湯運転制御が開始されると、バーナ20を燃焼作動制御して、リモコンに設定された設定給湯温度と出湯温度が同等となるように、入水を加熱するように給湯システム1が動作する。
また、図示しないリモコンから風呂湯張り運転が指示されると、注湯ユニット42内の注湯電磁弁が開かれることにより、浴槽8への給湯運転が実行される。以下では、浴槽8への給湯運転について、給湯栓25からの給湯運転と区別するために、特に「注湯運転」とも称する。あるいは、風呂自動運転が指示された場合には、初期の湯張り、または一定水位を維持するために、注湯運転が実行される。
注湯運転時には、給湯用熱交換器10によって加熱された湯が、注湯回路4によって追焚循環経路上の合流点105へ出力される。注湯運転時には、循環ポンプ33は停止されているので、浴槽8内の吸込口85から湯を吸入して、循環ポンプ33および追焚用熱交換器11を経由して、浴槽8内の吐出口86へ戻す強制的な循環経路は形成されない。この状態で、注湯回路4によって合流点105に出力された給湯回路2からの湯は、追焚循環経路100の少なくとも一部を用いて、浴槽8へ供給される。注湯運転時の動作については、後程詳細に説明する。
給湯システム1では、給湯運転、注湯運転および追焚運転に伴い潜熱回収用の二次熱交換器24,34においてドレンが発生する。上述のように、ドレンは、中和処理された後にドレンタンク53に貯留される。したがって、給湯システム1では、ドレンタンク53に貯留されたドレンの排出処理を定期的に実行することが必要である。
ドレンタンク53に設けられた水位センサ(図示せず)の出力に基づいて、ドレン排出要求が発せられると、以下のように、ドレン排出処理およびドレン洗浄処理が実行される。
図2は、給湯システム1でのドレン排出処理における通流経路を説明するための概念図である。
図2を参照して、ドレン排出処理時には、開閉弁37が閉止されるとともに、三方切換弁56は、ドレン導出路55を追焚循環経路100に接続する状態に制御される。さらに、流路切換弁61は、排水経路64を形成する状態に制御される。また、注湯ユニット42は、追焚循環経路100と給湯回路2との間を遮断するように、閉状態に制御される。
この状態で、循環ポンプ33が作動することによって、ドレンタンク53内に貯留されたドレンは、ドレン導出路55から追焚循環経路100へ導入され、さらに、追焚循環経路100の一部を通流した後、流路切換弁61によって排水経路64へ導かれる。これにより、ドレンは、浴槽8の外部の浴槽排水設備へ排出される。
ドレン排出処理において、開閉弁37および流路切換弁61によって、浴槽8は追焚循環経路100から切り離されている。このため、ドレン排出処理中には、浴槽8の残水が追焚循環経路100を経由して排出されたり、追焚循環経路100を通流するドレンが浴槽8内に排出されることがない。
ただし、ドレン排出処理によって追焚循環経路100の一部をドレンが通流するため、追焚循環経路100が再び浴槽水の循環または注湯運転に使用される前に、ドレンの通流経路を洗浄する必要がある。
図3は、給湯システム1でのドレン洗浄処理における通流経路を説明するための概念図である。
図3を参照して、ドレン洗浄処理時には、三方切換弁56は、ドレン導出路55を追焚循環経路100から切り離す状態に復帰される。一方で、開閉弁37の閉止および、流路切換弁61が排水経路64を形成する状態は維持される。さらに、注湯ユニット42は、給湯回路2および追焚循環経路100の間が連通するように、開状態に制御される。
この状態では、循環ポンプ33が停止されても、注湯ユニット42が開状態とされているので、給湯回路2への入水の圧力によって、給湯回路2からの湯水を追焚循環経路100にドレン洗浄水として導入することができる。
導入されたドレン洗浄水は、ドレン排出処理におけるドレン通流経路を流れた後、流路切換弁61によって排水経路64へ導かれて排出される。この結果、追焚循環経路100が再び浴槽水の循環に使用される前に、ドレンの通流経路を洗浄することができる。ドレン洗浄水は、ドレンと同様に、浴槽8の外部の浴槽排水設備へ排出される。なお、注湯ユニット42が開状態とされた直後は、循環ポンプ33を所定時間だけ作動させておくことが好ましい。これは、ドレンの通流経路に加えて、循環ポンプ33の内部も洗浄するためである。また、ドレン洗浄処理に使用される洗浄用の給水は、加熱水および非加熱水のいずれであってもよい。
ドレン洗浄処理においても、開閉弁37および流路切換弁61によって、浴槽8が追焚循環経路100から切り離されている。したがって、ドレン排出処理と同様に、浴槽8の残水が追焚循環経路100を経由して排出されたり、追焚循環経路100を通流するドレン洗浄水が浴槽8内に排出されることがない。
このように、給湯システム1は、追焚循環経路100を利用してドレン排出を実行するように構成されている。このようなドレン排出構成は、開閉弁37および流路切換弁61を設けることによって、追焚循環経路100の一部を浴槽8から切り離し可能とすることによって実現される。
次に、本実施の形態に従う給湯システム1の注湯運転時の動作について、さらに詳細に説明する。注湯運転時には、開閉弁37を開放または閉止のいずれの状態とするかに応じて、異なる注湯経路を選択することができる。
図4は、本発明の実施の形態に従う給湯システムでの第1の注湯経路を説明するための概念図である。
図4を参照して、追焚循環経路100は、上述のように、合流点105および浴槽8の間に追焚用熱交換器11を経由せずに形成される経路(以下、経路101とも称する)と、合流点105および浴槽8の間に追焚用熱交換器11を経由して形成される経路(以下、経路102とも称する)とに分割される。開閉弁37は、経路101に介装接続されるように配置されている。注湯運転時には、三方切換弁56は、ドレン導出路55を、追焚循環経路100から切り離すように制御される。経路101は、「第1の経路」の一実施例に対応し、経路102は、「第2の経路」の一実施例に対応する。
開閉弁37を開放した場合には、合流点105へ供給された湯は、合流点105から循環アダプタ81(吸込口85)に至る経路101と、合流点105から追焚用熱交換器11を経由して循環アダプタ81(吐出口86)に至る経路102とに分流して浴槽8へ供給される。以下では、経路101および102の両方を用いて浴槽8へ湯を供給することを「両搬送」とも称する。両搬送による注湯では、吸込口85および吐出口86の両方の開口部から浴槽8へ注湯できるため、同一量の注湯に要する時間を短縮することができる。
両搬送による注湯において、追焚用熱交換器11による加熱を行なう場合には、追焚用熱交換器11によってさらに加熱された湯(経路102)と、そうでない湯(経路101)とが浴槽8へ供給される。一方で、経路101および102の間での分流比率は、追焚循環経路100の構造や注湯回路4からの注湯圧力によって決まるため、制御することができない。このため、温度センサ29,66,67の出力によって、浴槽8への最終的な出湯温度を検出することができない。これにより、浴槽8への出湯温度とリモコン等に入力された設定温度Trとを一致させるための温度制御を正確に実行することが困難となる。なお、温度センサ66,67は、「第2の温度センサ」の一実施例に対応する。
なお、追焚用熱交換器11を使用しない場合、すなわち、給湯用熱交換器10のみで加熱された湯を浴槽8へ供給する場合には、両搬送によって経路101および経路102へ分流される湯の温度は、給湯回路2の給湯温度センサ29によって検出することができる。このため、両搬送による注湯を行なっても、温度センサ29による検出温度に基づいて、浴槽8への最終的な出湯温度を検出することが可能である。
図5は、本発明の実施の形態に従う給湯システムでの第2の注湯経路を説明するための概念図である。
図5を参照して、開閉弁37を閉止した場合には、追焚循環経路100のうち経路101が遮断される。したがって、合流点105へ供給された湯は、全量が、経路102を通流して浴槽8へ供給される。以下では、経路102のみを用いて浴槽8へ湯を供給することを「片搬送」とも称する。
片搬送による注湯時には、浴槽8へ供給される湯は、全量が追焚用熱交換器11を通過する。さらに、温度センサ67による検出温度は、浴槽8への最終的な出湯温度に相当する。したがって、片搬送による注湯運転では、給湯用熱交換器10に加えて追焚用熱交換器11を使用した場合においても、温度センサ67によって、浴槽8への最終的な出湯温度を検出することができる。
図6は、本実施の形態に従う給湯システム1における注湯運転の動作モードを説明するための図表である。
図6を参照して、給湯システム1では、給湯用熱交換器10のみによって浴槽8へ供給される湯を加熱する動作モード(以下、「片側加熱モード」と称する)に加えて、給湯用熱交換器10および追焚用熱交換器11の両方によって浴槽8へ供給される湯を加熱する動作モード(以下、「両側加熱モード」と称する)を選択することが可能である。
片側加熱モードでは、バーナ20のみが燃焼作動する一方で、両側加熱モードでは、バーナ20,30の両方が燃焼作動する。このため、両側加熱モードでは、燃料ガスの消費量は増加するものの、加熱量を増大することができる。
一般的に、給湯システムにおける加熱量は、号数を単位として演算される。号数=1は、Q=1(L/min)の流量において湯温を25度上昇させるのに必要な熱量に相当する。したがって、以下では、給湯用熱交換器10および追焚用熱交換器11の各々における加熱量を出力号数とも称し、それぞれの最大加熱量を最大号数とも称する。
両側加熱モードでは、給湯側での加熱および追焚側での加熱の両方がオンされるので、加熱能力が向上する。そして、開閉弁37を閉止した状態で、図5に示された片搬送での注湯経路によって、浴槽8への注湯運転が実行される。このため、浴槽8へ供給される湯は、全量が追焚用熱交換器11を通過する。したがって、追焚循環回路3の温度センサ、好ましくは、追焚用熱交換器11の出力側に配置された温度センサ67によって、浴槽8への出湯温度を検出することができる。
この結果、両側加熱モードでは、温度センサ67を出湯温度センサとして用いることができるので、温度センサ67による検出値と設定温度Trとの比較に基づいて、給湯用熱交換器10および/または追焚用熱交換器11による加熱量を制御することによって、温度制御を正確に行なうことができる。片搬送による両側加熱モードは、「第1のモード」に対応する。
なお、温度センサ67が配置されておらず、追焚用熱交換器11の入力側の温度センサ66のみが配置されている場合においても、経路102の流量は注湯回路4からの注湯流量(流量センサ45)と等しいため、浴槽8への出湯温度を推定することが可能である。具体的には、注湯流量および追焚用熱交換器11での加熱量(出力号数)から追焚用熱交換器11による昇温量を算出することができるので、算出された昇温量と温度センサ66の検出値とに従って、出湯温度の推定値を演算することができる。したがって、推定された出湯温度と設定温度Trとの比較に応じて、給湯用熱交換器10および/または追焚用熱交換器11による加熱量を制御することによっても、浴槽8への出湯温度の制御が可能である。
片側加熱モードでは、給湯側での加熱がオンされる一方で、追焚側での加熱がオフされる。さらに、開閉弁37を開放した状態で、図4に示した両搬送での注湯経路によって、浴槽8へ湯が供給される。これにより、加熱能力がそれほど必要でない場合には、燃料消費量を抑制することができる。
片側加熱モードでは、浴槽8へ供給される湯は追焚循環回路3では加熱されない。このため、経路101を通過して浴槽8へ供給される湯温と、経路102を通過して浴槽8へ供給される湯温とは同等である。したがって、両搬送によって注湯運転を実行しても、給湯回路2での出湯温度(温度センサ29)によって、浴槽8への出湯温度を検出することができる。
この結果、片側加熱モードでは、温度センサ29を出湯温度センサとして用いることができるので、温度センサ29による検出値と設定温度Trとの比較に基づいて、給湯用熱交換器10による加熱量を制御することによって、浴槽8への出湯温度を正確に制御することができる。両搬送による片側加熱モードは、「第2のモード」に対応する。
比較のために、特許文献1〜3にも記載された両搬送による両側加熱モードについても説明する。この動作モードでは、開閉弁37を開放した状態で、給湯側での加熱および追焚側での加熱の両方がオンされる。これにより、図4に示した両搬送での注湯経路によって、経路102を通過した湯を追焚用熱交換器11によってさらに加熱して、浴槽8へ供給することができる。これにより、片搬送による両側加熱モードと比較して、出湯温度の制御性は低下するものの、注湯運転の所要時間を短縮できる。
本発明の実施の形態に従う給湯システム1では、基本的には、注湯運転の動作モードは、片搬送による両側加熱モードと、両搬送による片側加熱モードとの間で選択されるものとする。したがって、以下では、これら2つの動作モードの選択について説明する。
ただし、特定条件の成立時に、温度制御性よりも注湯運転時間の短縮を優先するための両側加熱モードとして、両搬送による両側加熱モードをさらに選択可能とするように、給湯システム1を構成することも可能である。
図7は、本実施の形態に従う給湯システム1における注湯運転の動作モード選択のための制御処理を説明するためのフローチャートである。図7に示す制御処理は、たとえば、コントローラ7によって所定周期毎に実行される。
図7を参照して、コントローラ7は、ステップS100では、入水路22からの水(入水温度Tc)を、給湯用熱交換器10が最大号数(P10max)に従って加熱したときに、入水温度Tcから設定温度Trまで昇温することができる上限流量Q*を算出する。
すなわち、上限流量Q*は、下記(1)式によって算出することができる。
Q*=P10max×25/(Tr−Tc) …(1)
上限流量Q*は、現在の入水温度Tcおよび設定温度Trに基づく、給湯用熱交換器10での加熱能力から制限される最大流量に相当する。
コントローラ7は、ステップS110により、システム最大流量Qmaxと、ステップS100で算出した上限流量Q*とを比較する。システム最大流量Qmaxは、給湯システム1におけるスペック上の最大流量であり、構成部品の耐圧等を考慮したハード面からの最大流量に相当する。
コントローラ7は、Q*≧Qmaxのときには、ステップS110をNO判定として、ステップS120に処理を進める。Q*≧Qmaxの場合には、給湯用熱交換器10による加熱能力が十分であり、追焚用熱交換器11での加熱を行なうことなく、注湯流量Q=Qmaxにて注湯運転を行なうことができる。
したがって、コントローラ7は、ステップS120では、片側加熱モードを選択する。これにより、両搬送による片側加熱モードを選択して、注湯流量Q=Qmaxにより浴槽8へ湯が供給される。上述のように、片側加熱モードでは、両搬送としても、温度センサ29による検出温度に基づいて、浴槽8への出湯温度を制御することができる。
これにより、給湯用熱交換器10によって加熱能力が確保できる場合には、追焚用熱交換器11を動作させることによって燃料消費量を増大させることなく、両搬送によってシステム最大流量Qmaxに従って浴槽8へ注湯することによって、注湯運転の所要時間を短縮できる。
一方で、コントローラ7は、Q*<Qmaxのときには、ステップS110をYES判定として、ステップS130に処理を進める。Q*<Qmaxは、給湯用熱交換器10のみによる加熱では流量を減少させる必要があることを意味している。すなわち、追焚用熱交換器11による加熱を実行しないと、注湯流量が絞られてしまう。
したがって、コントローラ7は、ステップS130では、給湯システム1全体での加熱能力を向上させて注湯流量を確保するために、両側加熱モードを選択する。
図8には、両側加熱モードにおける制御処理動作を説明するためのフローチャートが示される。
図8を参照して、両側加熱モードの選択時には、コントローラ7は、ステップS200により、両側加熱モードでの上限流量Qb*を演算する。上限流量Qb*は、給湯用熱交換器10および追焚用熱交換器11が最大号数に従って加熱したときに、入水温度Tcから設定温度Trまで昇温することができる最大流量である。
両側加熱モードでの上限流量Qb*は、給湯用熱交換器10の最大号数(P10max)および追焚用熱交換器11の最大号数(P11max)を用いて、下記(2)式に従って算出することができる。
Qb*=(P10max+P11max)×25/(Tr−Tc) …(2)
上限流量Qb*は、現在の入水温度Tcおよび設定温度Trに基づく、給湯用熱交換器10および追焚用熱交換器11の加熱能力から制限される最大流量に相当する。基本的には、両側加熱モードにおける注湯流量Q=Qb*に設定される。ただし、Qb*>Qmaxのときには、Q=Qmaxに制限される。
コントローラ7は、ステップS210では、温度センサ67(または、温度センサ66)の出力に基づいて、浴槽8への出湯温度Thを検出する。コントローラ7は、ステップS220により、温度偏差ΔTを演算する。温度偏差ΔTは、ΔT=Tr−Thの演算式によって算出することができる。
コントローラ7は、ステップS230により、加熱余裕の有無を判定する。たとえば、給湯用熱交換器10および追焚用熱交換器11の出力号数が最大号数に達しており、かつ、ΔT>0(Tr>Th)であるという条件が成立するときには、現在の注湯流量を維持したままで出湯温度を上昇させることはできないので、加熱余裕はないと判断できる。このとき、ステップS230はYES判定とされる。一方で、上記条件が成立しないときには、加熱余裕があると判断できるので、ステップS230はNO判定とされる。
コントローラ7は、加熱余裕がないと判断されるとき(S230のYES判定時)には、ステップS240に処理を進めて、注湯流量Qを絞る。たとえば、給湯回路2の流量制御弁28の開度を調整することによって、給湯回路2から供給される流量が減少することによって、注湯流量Qが絞られる。これにより、Q<Qbに設定される。すなわち、流量制御弁28は、「流量調整装置」の一実施例に対応する。
コントローラ7は、加熱余裕があると判断されるとき(S230のNO判定時)には、ステップS250に処理を進めて、温度偏差ΔTを補償するように給湯用熱交換器10および/または追焚用熱交換器11による加熱量を制御する。すなわち、Q=Qb*の下での出湯温度制御が実行される。
図9には、両側加熱モードでの出湯温度制御の例を説明するための概念的な波形図が示される。
図9を参照して、両側加熱モードでは、給湯用熱交換器10による加熱量(給湯側出力号数)および追焚用熱交換器11による加熱量(追焚側出力号数)によって、出湯温度を制御することができる。
図1から理解されるように、両側加熱モードで出湯温度センサとなる温度センサ67(または温度センサ66)までの距離は、追焚用熱交換器11の方が、給湯用熱交換器10よりも短い。したがって、追焚用熱交換器11の出力号数の変化に応じて出湯温度が変化するまでの時間は、給湯用熱交換器10の出力号数の変化に応じて出湯温度が変化するまでの時間よりも短くなる。
したがって、給湯側出力号数を固定するとともに、温度偏差ΔTのフィードバック制御に従って、追焚側出力号数を制御するように出湯温度制御を行なうことによって、制御応答性を高めることが好ましい。代表的には、給湯側出力号数が最大号数(P10max)に固定された下で、温度偏差ΔTを補償するように、追焚側出力号数がフィードバック制御される。
これにより、両側給湯モードでは、上限流量Qb*に従って注湯流量を設定することにより、注湯運転時間の短縮を図るとともに、温度センサ67の検出温度に基づいて出湯温度を正確に制御することができる。
なお、図9に示した両側加熱モードにおける出湯温度制御は、給湯用熱交換器10による加熱量と、追焚用熱交換器11による加熱量とを独立に制御可能である構成が前提となる。すなわち、図1の構成例では、バーナ20およびバーナ30のそれぞれについて、ガス供給量の制御手段(ガス比例弁等)を独立に設けることが必要である。
一方、バーナ20およびバーナ30に共通にガス供給量の制御手段が設けられる構成においても、両側加熱モードでの出湯温度制御を行なうことが可能である。すなわち、温度偏差ΔTのフィードバック制御によって、給湯側出力号数および追焚側出力号数の両方を連動して増減させることにより、浴槽8への出湯温度を設定温度Trへ制御することができる。
以上説明したように、本実施の形態による給湯システムによれば、両側加熱モードのときに片搬送によって注湯運転が実行されるので、浴槽8へ供給される湯の全量が同様に給湯用熱交換器10および追焚用熱交換器11の両方によって加熱される。これにより、浴槽8への出湯温度の制御が容易になる。さらに、経路102に設けられた温度センサにより、浴槽8への出湯温度を正確に検出できるので、設定温度Trへの温度制御精度を高めることができる。特に、追焚用熱交換器11の出力側に温度センサが配置されている場合には、当該温度センサ(図1中の温度センサ67)の検出温度に基づくフィードバック制御により、浴槽8への出湯温度を設定温度Trへ速やかに制御することができる。
さらに、給湯用熱交換器10のみによる加熱時における加熱能力上の上限流量(Q*)に従って、片側加熱モードおよび両側加熱モードの選択を行なうことにより、両側加熱モードの適用を必要最小限に抑制できるので、燃料消費量を無用に増大させることがない。また、給湯用熱交換器10および追焚用熱交換器11による最大加熱量(最大号数)に従って両側加熱モード(片搬送)における注湯流量を制御することにより、注湯運転の所要時間を短縮することができる。
なお、本実施の形態では、追焚循環経路を利用してドレン排出処理を実行するように構成された給湯システムを例示したが、本発明の適用は、図1に例示した給湯システムに限定されるものではない。具体的には、給湯用熱交換器に加えて、追焚用熱交換器を含む追焚循環経路を有する給湯システムに対して、本発明を共通に適用することができる。すなわち、ドレン排出が必要となる二次熱交換器を具備しない給湯システムに対しても、片搬送を可能とする経路開閉装置(開閉弁37)が設けられることを条件に、本実施の形態と同様の片搬送による両側加熱モードを適用することが可能である。
ただし、追焚循環経路を利用してドレン排出を実行する給湯システムでは、ドレン排出時に追焚循環経路100を遮断するための経路開閉装置(開閉弁37)の配置が必須となる。したがって、このような給湯システムは、ドレン排出のために配置される経路開閉装置を利用して、注湯運転時における片搬送での両側加熱モードを効率的に実現することが可能であるため、本発明に好適である。
また、給湯用熱交換器10および追焚用熱交換器11での熱源は、ガス燃焼によって熱量を発生するバーナ20,30に限定されるものではない。すなわち、本発明の適用において、燃料を含めて熱源の種類は特に限定されない点について確認的に記載する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。