JP2015004120A - 二酸化炭素を還元する方法、二酸化炭素還元セル及び二酸化炭素還元装置 - Google Patents

二酸化炭素を還元する方法、二酸化炭素還元セル及び二酸化炭素還元装置 Download PDF

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Abstract

【課題】光を用いて、二酸化炭素から効率的に有機物を生成する二酸化炭素の還元方法を提供する。【解決手段】光を用いて二酸化炭素を還元する方法は、二酸化炭素含有の第1電解液を収容するカソード槽と、第2電解液を収容するアノード槽と、カソード槽とアノード槽との間に挟まれるプロトン透過膜と、第1電解液に接してカソード槽の内部に設置され、銅、金、銀、インジウム、これらの合金又は金属化合物を表面に具備するカソード電極と、第2電解液に接してアノード槽の内部に設置され、AlxGa1−xN層(0≰x≰0.25)及びn型GaN層からなる窒化物半導体で構成される第1半導体層と、pn接合構造を有する半導体で構成され、かつ第1半導体層とp型半導体層で電気的に接続される第2半導体層と、を具備し、カソード電極と電気的に接続されるアノード電極と、を備える、二酸化炭素還元セルを用意する工程(a)と、アノード電極に光を照射して、カソード電極で第1電解液に含有されている二酸化炭素を還元する工程(b)と、を含む。【選択図】図3

Description

本開示は、二酸化炭素を還元する方法、二酸化炭素還元セル及び二酸化炭素還元装置に関する。
特許文献1〜12は、光エネルギーを利用して、二酸化炭素を還元する方法を開示している。
特許文献1及び特許文献2は、チタニアなどの酸化物半導体を光触媒材料に用いて、二酸化炭素を還元する方法を開示している。
特許文献3は、所定の金属及び半導体から合成された光触媒材料を利用して二酸化炭素を還元する技術を開示している。
特許文献4及び特許文献5は、特定の光触媒材料に対して、太陽光などを照射することで、二酸化炭素を還元する方法を開示している。
特許文献6は、太陽光を集光し、光合成微生物により二酸化炭素を還元する、光合成リアクターシステムが開示されている
特許文献7及び特許文献8は、半導体材料と金属錯体材料からなる光触媒体で形成されるカソード電極に光を照射することで、二酸化炭素を還元する方法を開示している。
特許文献9及び特許文献10は、チタニア等の半導体材料からなるアノード電極に光を照射して、二酸化炭素をカソード電極で還元する方法を開示している。なお、特許文献9及び特許文献10に開示された方法は、太陽電池又はポテンショスタット等の外部電源を別途必要としている。
特許文献11は、窒化ガリウムからなるアノード電極に光を照射して、二酸化炭素をカソード電極で還元する方法を開示している。なお、特許文献11に開示された方法は、太陽電池又はポテンショスタット等の外部電源を必要としない。
特許文献12は、太陽光から水素を生成する光生成装置において、pn接合を有する太陽電池のp型半導体層の表面に光触媒層を形成したアノード電極を用いることを開示している。
特開昭55−105625号公報 特許第2526396号公報 特許第4158850号公報 特許第3876305号(特開2003−275599号公報) 特開2013−017929号公報 特許第2646834号(特開平04−166076号公報) 特開2010−064066号公報 特開2011−094194号公報 特開平05−311476号公報 特開平07−188961号公報 国際公開第2012/046374号 特開2003−238104号公報
しかし、従来の方法では、二酸化炭素を還元処理することによって、還元生成物を高効率に生成することができなかった。
本開示の目的は、二酸化炭素から還元生成物を生成する新規な二酸化炭素を還元する方法及び二酸化炭素還元装置を提供することである。
本開示に係る二酸化炭素を還元する方法は、二酸化炭素を含有する第1電解液を収容するためのカソード槽と、
第2電解液を収容するためのアノード槽と、
前記カソード槽と前記アノード槽との間に挟まれるプロトン透過膜と、
前記第1電解液に接するよう前記カソード槽の内部に設置され、銅、金、銀、インジウム、これらの合金、又はこれらの金属化合物を表面に具備するカソード電極と、
前記第2電解液に接するよう前記アノード槽の内部に設置され、AlGa1−xN層(0≦x≦0.25)及びn型GaN層からなる窒化物半導体で構成される第1半導体層と、pn接合構造を有する半導体で構成され、かつ前記第1半導体層とp型半導体層で電気的に接続される第2半導体層と、を具備し、前記カソード電極と外部電源を介することなく電気的に接続されるアノード電極と、
を備える、二酸化炭素還元セルを用意する工程(a)と、
前記アノード電極に光を照射して、前記カソード電極で前記第1電解液に含有されている二酸化炭素を還元する工程(b)と、
を含む。
本開示に係る二酸化炭素を還元する方法によれば、高効率に所定の二酸化炭素の還元生成物を得ることができる。
実施の形態1に係るアノード電極を示す断面図である。 実施の形態1に係るアノード電極を示す断面図である。 実施の形態1に係るアノード電極を示す断面図である。 実施の形態1に係るアノード電極を示す断面図である。 実施の形態1に係る他のアノード電極を示す断面図である。 実施の形態1に係る他のアノード電極を示す断面図である。 実施の形態1に係る二酸化炭素還元装置を示す概略図である。 実施例1及び比較例1の結果を示すグラフである。 実施例3及び比較例2の結果を示すグラフである。 実施の形態2に係るアノード電極を示す断面図である。 実施の形態2に係るアノード電極を示す断面図である。 実施の形態2に係るアノード電極を示す断面図である。 実施の形態2に係るアノード電極を示す断面図である。 実施の形態2に係る他のアノード電極を示す断面図である。 実施の形態2に係る他のアノード電極を示す断面図である。 実施の形態2に係る太陽光を用いた二酸化炭素の還元反応を得るための二酸化炭素還元セルの概略図である。 実施の形態2に係る二酸化炭素還元セルと太陽光追尾装置と集光装置を備えた二酸化炭素還元装置の一例の側面概略図である。 実施の形態2に係る二酸化炭素還元セルと太陽光追尾装置と集光装置を備えた二酸化炭素還元装置の一例の平面概略図である。 (a)、(b)、(c)は、実施の形態2に係る二酸化炭素還元装置が太陽光を追尾する様子を表した模式図である。 (a)、(b)、(c)は、実施の形態2に係る別例の二酸化炭素還元装置が太陽光を追尾する様子を表した模式図である。
<本開示の基礎となった知見>
特許文献1〜12には、光触媒材料又は光化学電極への光照射により、二酸化炭素を還元できることが報告されている。すなわち、特許文献1〜12は、光照射によってアノード電極及びカソード電極で生成されたキャリア(電子及び正孔)を用いることにより、二酸化炭素よりギ酸又は炭化水素等の有機物が生成できることを開示している。
特許文献4〜6には、特定の光触媒材料や光反応性微生物に対して太陽光などを照射して、二酸化炭素の還元生成物を得ている。しかしながら、特許文献4〜6に開示された方法は、比較的高い反応温度が必要であったり、二酸化炭素還元によって得られる生成物の種類を選択することは困難であった。
また、特許文献7〜11には、アノード電極又はカソード電極への光照射によってキャリア(電子及び正孔)を生成し、そのキャリアを用いて二酸化炭素からギ酸や炭化水素類の有機物成分が生成できることを開示している。このような光化学電極への光照射による二酸化炭素の還元反応において、二酸化炭素から得られる反応生成物の量や種類は、光励起によって得られるキャリアの生成量、並びに光化学電極に生じる光起電力値に依存する。すなわち、二酸化炭素の還元反応効率を高めたり、反応生成物の選択性を高めるためには、励起キャリアの再結合を抑制することや、光化学電極に誘起される光起電力値を大きくすることが必要であった。しかしながら、これまでの報告では、光化学電極(例えば、アノード電極)において、励起されたキャリアの損失を低減するための構造や、光起電力値を向上させるための構造が組み込まれていないため、反応電流量が律速したり、所望の反応生成物が得られないといった課題があった。
なお、特許文献12には、p型半導体およびn型半導体からなるpn接合を有する太陽電池のp型半導体層の表面に光照射により電子および正孔対を励起する光触媒層が形成された構造を有しているアノード電極が開示されている。しかし、特許文献12に開示される上記アノードを具備する水素生成装置は、光励起されたキャリアの再結合を抑制する構造を有しておらず、水の還元反応により水素ガスのみを効率的に生成することを目的としている。
以上のように、特許文献1〜12に報告されている方法では、光エネルギーにより二酸化炭素を還元して、二酸化炭素の還元生成物として、一酸化炭素、ギ酸、メタン、エチレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、アセトアルデヒド及びプロピオンアルデヒドなどの有機物を光エネルギーのみにより、高効率に生成することが困難であった。とりわけ、メタン、エチレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、アセトアルデヒド又はプロピオンアルデヒドは、同じ有機物であるギ酸と比較して、複雑な構造を有し、光エネルギーのみによる二酸化炭素の還元生成物として得にくい有機物であった。以下、本明細書において「より複雑な構造を有する有機物」とは、同じ有機物であるギ酸と比較して複雑な構造を有するメタン、エチレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、アセトアルデヒド又はプロピオンアルデヒドを示す。
それに対し、本発明者らは、光化学電極(アノード電極)に光が照射される面側から窒化物半導体材料で構成される第1半導体層と、pn接合構造を有する第2半導体層が積層された構成を用いることで、光励起キャリアの再結合が抑制され、かつアノード電極(光化学電極)に生じる光起電力値が高まり、その結果、カソード電極における二酸化炭素の還元処理効率が向上することを見出した。さらに、本発明者らは、二酸化炭素の還元生成物として、一酸化炭素、ギ酸、メタン、エチレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、アセトアルデヒド及びプロピオンアルデヒドの少なくとも1種がカソード電極で生成することを見出した。
本開示に係る二酸化炭素を還元する方法は、かかる知見に基づいてなされたものである。
本開示の第1の態様に係る二酸化炭素を還元する方法は、二酸化炭素を含有する第1電解液を収容するためのカソード槽と、
第2電解液を収容するためのアノード槽と、
前記カソード槽と前記アノード槽との間に挟まれるプロトン透過膜と、
前記第1電解液に接するよう前記カソード槽の内部に設置され、銅、金、銀、インジウム、これらの合金、又はこれらの金属化合物を表面に具備するカソード電極と、
前記第2電解液に接するよう前記アノード槽の内部に設置され、AlGa1−xN層(0≦x≦0.25)及びn型GaN層からなる窒化物半導体で構成される第1半導体層と、pn接合構造を有する半導体で構成され、かつ前記第1半導体層とp型半導体層で電気的に接続される第2半導体層と、を具備し、前記カソード電極と外部電源を介することなく電気的に接続されるアノード電極と、
を備える、二酸化炭素還元セルを用意する工程(a)と、
前記アノード電極に光を照射して、前記カソード電極で前記第1電解液に含有されている二酸化炭素を還元する工程(b)と、
を含む。
第2の態様に係る二酸化炭素を還元する方法は、上記第1の態様の前記工程(b)において、前記アノード電極に照射する光は、波長365nm以下の光と、波長365nm以上の光と、を含んでもよい。
第3の態様に係る二酸化炭素を還元する方法は、上記第1の態様の前記工程(a)において、前記第1半導体層を構成するAlGa1−xN層の前記xの値は、0.05以上、0.15以下であってもよい。
第4の態様に係る二酸化炭素を還元する方法は、上記第1の態様の前記工程(a)において、前記第1半導体層を構成するGaN層は、n型であってもよい。
第5の態様に係る二酸化炭素を還元する方法は、上記第1の態様の前記工程(a)において、前記第2半導体層を構成する前記pn接合構造を有する半導体は、シリコン又はガリウム砒素であってもよい。
第6の態様に係る二酸化炭素を還元する方法は、上記第1の態様の前記工程(a)において、前記AlGa1−xN層の少なくとも一部が、酸化ニッケルの微粒子によって被膜されていてもよい。
第7の態様に係る二酸化炭素を還元する方法は、上記第1の態様の前記工程(a)において、前記第1電解液は、炭酸水素カリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、塩化カリウム水溶液、又は塩化ナトリウム水溶液であってもよい。
第8の態様に係る二酸化炭素を還元する方法は、上記第1の態様の前記工程(a)において、前記第2電解液は、水酸化ナトリウム水溶液であってもよい。
第9の態様に係る二酸化炭素を還元する方法は、上記第1の態様の前記工程(b)において、前記二酸化炭素還元セルは、常温かつ大気圧下におかれてもよい。
第10の態様に係る二酸化炭素を還元する方法は、上記第1の態様の前記工程(b)において前記アノード電極を照射する光は、太陽光であってもよい。
第11の態様に係る二酸化炭素を還元する方法は、上記第10の態様の前記工程(b)の前に行う工程(c)であって、
前記二酸化炭素還元セルを固定するための架台部と、
前記二酸化炭素還元セルの向きを変化させるための駆動部と、
前記二酸化炭素還元セルの向きを太陽の動きに対して制御するための制御部と、
を具備し、
前記制御部によって、前記駆動部で前記架台部を動かし、前記二酸化炭素還元セルのアノード電極の表面領域を太陽光に正対させる、太陽光追尾装置を用意する工程(c)を、含んでもよい。
第12の態様に係る二酸化炭素を還元する方法は、上記第10の態様又は第11の態様の前記工程(b)において、太陽光を集光する集光装置を用いて、アノード電極に太陽光を集光して照射してもよい。
第13の態様に係る二酸化炭素を還元する方法は、上記第12の態様の前記工程(b)において、前記集光装置によって集光された光の強度が、200mW/cm以上、10W/cm以下であってもよい。
第14の態様に係る二酸化炭素を還元する方法は、上記第1の態様の前記工程(b)において、前記アノード電極に光を照射して、前記カソード電極で前記第1電解液に含有されている二酸化炭素を還元して、二酸化炭素を有機物に変換してもよい。
第15の態様に係る二酸化炭素を還元する方法は、上記第14の態様の前記工程(b)において、二酸化炭素を還元して、一酸化炭素、ギ酸、メタン、エチレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アリルアルコールのうち少なくとも1種を得ることができる。
本開示の第16の態様に係る二酸化炭素還元セルは、光を用いて二酸化炭素を還元するための二酸化炭素還元セルであって、
二酸化炭素を含有する第1電解液を収容するためのカソード槽と、
第2電解液を収容するためのアノード槽と、
前記カソード槽と前記アノード槽との間に挟まれるプロトン透過膜と、
前記第1電解液に接するよう前記カソード槽の内部に設置され、銅、金、銀、インジウム、これらの合金、又はこれらの金属化合物を表面に具備するカソード電極と、
前記第2電解液に接するよう前記アノード槽の内部に設置され、AlGa1−xN層(0≦x≦0.25)及びn型GaN層からなる窒化物半導体で構成される第1半導体層と、pn接合構造を有する半導体で構成され、かつ前記第1半導体層とp型半導体層で電気的に接続される第2半導体層と、を具備し、前記カソード電極と外部電源を介することなく電気的に接続されるアノード電極と、
を備える。
第17の態様に係る二酸化炭素還元装置は、上記第16の態様に係る前記二酸化炭素還元セルと、
太陽に対し、前記二酸化炭素還元セルの前記アノード電極の表面領域が正対するように、太陽の動きと前記二酸化炭素還元セルの向きを同期させるための太陽光追尾装置であって、
前記二酸化炭素還元セルを固定するための架台部と、
前記二酸化炭素還元セルの向きを変化させるための駆動部と、
前記二酸化炭素還元セルの向きを太陽の動きに対して制御するための制御部と、
を具備し、
前記制御部によって、前記駆動部で前記架台部を動かし、前記二酸化炭素還元セルのアノード電極の表面領域を太陽光に正対させる、太陽光追尾装置と、
備える。
第18の態様に係る二酸化炭素還元装置は、上記第17の態様において、前記二酸化炭素還元セルの前記アノード電極表面の所定の領域に対し、太陽光を集光して照射するための集光装置をさらに備えてもよい。
第19の態様に係る二酸化炭素還元装置は、上記第18の態様において、前記集光装置は、両凸レンズ、平凸レンズ、又はフレネルレンズであってもよい。
第20の態様に係る二酸化炭素還元装置は、上記第18の態様において、前記集光装置は、凹面鏡であってもよい。
以下に、実施の形態に係る二酸化炭素還元セル、二酸化炭素還元装置及び二酸化炭素の還元方法について、添付図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1に係る二酸化炭素還元セル、二酸化炭素還元装置及び二酸化炭素の還元方法について説明する。
<光化学電極(アノード電極)>
図1A〜図1Dは、実施の形態1に係る二酸化炭素還元セルを構成する光化学電極(以下、「アノード電極」とも言う。)を示す断面図である。
図1Aは、アノード電極10Aの基本構造を示す。アノード電極10Aは、光照射面側から順に、窒化物半導体材料で構成される第1半導体層11と、導電性基材15と、pn接合構造を有する第2半導体層12とが積層された構造を有する。また、アノード電極10Aは、前記構造に加え、導電性基材15と第2半導体層12とを電気的に接続する電極部16と、端子電極部17とを有する。
第1半導体層11は、AlGa1−xN層(0≦x≦0.25)13(以下、「AlGaN層」とも言う。)およびn型GaN層14(以下、「n−GaN層」とも言う。)から構成されている。
第2半導体層12は、pn接合構造を有するものであり、第1半導体層11のn−GaN層14側とp型半導体層を介して電気的に接続される。
アノード電極10Aの作製方法は限定されないが、一般的に下記の方法1と方法2とがある。
方法1について説明する。ベースとなる導電性基材15の一方の面に、n−GaN層14、AlGaN層13の順に第1半導体層11を形成する。次に、導電性基材15の他方の面に、電極部16を介して、pn接合構造を有する第2半導体層12を形成する。なお、第2半導体層12のp型半導体層は、電極部16側となるよう形成される。その後、第2半導体層12のn型半導体層に、端子電極部17を付加する。これにより、アノード電極10Aを作製できる。
方法2について説明する。ベースとなる導電性基材15の一方の面に、n−GaN層14、AlGaN層13の順に第1半導体層11を形成する。次に、別途作製したpn接合構造を有する第2半導体層12からなる構造体を、電極部16を介して導電性基材15の他方の面に電気的に接続する。その後、第2半導体層12のn型半導体層に、端子電極部17を付加する。これにより、アノード電極10Aを作製できる。
なお、方法2により作製されたアノード電極10Aおいて、電極部16は、導電性基材15の他方の面及び第2半導体層12のp型半導体層の表面の一部に設けられる。
端子電極部17は、アノード電極10Aの接続端子であり、導線を介してカソード電極に接続される。アノード電極10Aとカソード電極とは、ポテンショスタット等の外部電源を介することなく、電気的に接続される。
なお、アノード電極10Aを構成する窒化物半導体からなる第1半導体層11は、薄膜として形成することが一般的であり、導電性基材15上へ窒化物半導体の薄膜を形成することが可能な方法であれば、特に限定されない。例えば、有機金属気相エピタキシー法などが挙げられる。
導電性基材15は、第2半導体層12にも光を照射させる必要があることを考慮し、透光性を有するものを用いてもよい。導電性基材15の材料として、例えば、低抵抗な単結晶窒化ガリウム(GaN)基材、酸化ガリウム(Ga)基材、炭化シリコン(SiC)基材、又は酸化亜鉛(ZnO)基材等が挙げられる。
また、電極部16は、薄膜状の金属層であり、例えば、真空蒸着法により作製される。
光化学電極であるアノード電極10Aの基本的な機能について説明する。
アノード電極10Aの表面に、第1半導体層11で吸収可能な波長と第2半導体層12で吸収可能な波長とを有する光が照射されると、AlGaN層13からなる領域において第1半導体層11で吸収可能な波長を有する光が吸収され、光励起が生じる。なお、AlGaN層13からなる領域にて吸収可能な波長を有する光は、365nm以下の波長を有する光である。
光励起によって生成したキャリアは、酸化還元反応に寄与する。キャリアは、電子及び正孔から構成される。具体的には、光励起によってAlGaN層13内で生成した正孔は、アノード電極10Aの表面に移動し、アノード電極10Aと接している水を酸化して酸素を生成する。すなわち、アノード電極10Aは、酸素生成電極として機能する。
AlGaN層13のバンドギャップ値、すなわち、禁制体幅は、3.4eV以上であるため、光を利用した光化学電極としてAlGaN層13を用いるためには、365nm以下の波長を有する光がAlGaN層13上に照射されることが必要である。そのため、光の有効利用の観点から、AlGa1−xN層13に含有されるAlの組成比を表すxの値は、0≦x≦0.25の範囲にあることが好ましい。より好ましくは、0.05≦x≦0.15の範囲にあることである。
また、上記の波長範囲を有する光がAlGaN層13中で吸収される領域の厚さ、すなわちAlGaN層13の表面からの距離は、AlGaN層13の表面から概ね100nmである。この吸収領域の厚さは、AlGaN層13のバンドギャップ値にも依存して選択してもよい。なお、この距離は、AlGaN層13の厚み方向に平行である。そのため、AlGaN層13は、例えば、70nm以上1000nm以下の厚みを有する。さらに、80nm以上200nm以下の厚みを有してもよい。
一方、光励起によってAlGaN層13内に生成した電子は、第1半導体層11のn−GaN層14、導電性基材15、電極部16を介して、第2半導体層12のp型半導体層に供給される。n−GaN層14は、n型であってもよい。n−GaN層14がn型である場合、n−GaN層14の電気抵抗成分が小さくなる。そのため、キャリア輸送に伴う損失を低減できる。
n−GaN層14の電気抵抗をより低下させるためには、n−GaN層14に不純物を含有させることによって実現できる。不純物は、例えば、シリコンである。シリコンが添加されたn型のGaN層14のキャリア濃度は、例えば、1×1018個/cm以上であり、さらに、2〜8×1018個/cm程度であってもよい。
pn接合構造を有する第2半導体層12は、p型特性を示す半導体層とn型特性を示す半導体層の接合構造で構成される。なお、第2半導体層12は、p型半導体層とn型半導体層との間に、i型特性を示す半導体層を含んでいてもよい。つまり、本明細書において、「pn接合構造」には、pin接合構造も含まれる。
なお、pn接合構造は、一般的には、同一材料で構成されるが、異種材料で構成されていてもよい。
第2半導体層12は、第2半導体層12で吸収可能な波長を有する光を吸収し、励起キャリアを生成すると共に、光起電力を生じさせる。第2半導体層12で吸収可能な波長を有する光は、主に360nm以上の波長を有する光である。例えば、360nm以上2000nm以下の波長を有する光である。第2半導体層12で吸収可能な波長は、例えば可視光である。第2半導体層12がシリコンである場合、第2半導体層12は、約1100nm以下の波長であれば吸収できる。第2半導体層12がゲルマニウムである場合、第2半導体層12は、約1800nm以下の波長であれば吸収できる。なお、第2半導体層12で吸収可能な波長を有する光は、第1半導体層11を透過した光である。
第2半導体層12への光照射によって励起された正孔は、第1半導体層11側から供給された電子と再結合するが、第2半導体層12で励起された電子は、アノード電極10Aに配された端子電極部17に集められる。端子電極部17に集められた電子は、電気的に接続された導線を通じて、二酸化炭素を還元するカソード電極側に供給される。
カソード電極に印加される電位は、第1半導体層11に生じた光起電力と、第2半導体層12に生じた光起電力との和となる。すなわち、第1半導体層11と第2半導体層12とを積層したアノード電極10Aを用いることで、光照射によって生じる光起電力値を向上できる。その結果、カソード電極で生成する二酸化炭素の還元生成物として、一酸化炭素、ギ酸、メタン、エチレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、アセトアルデヒド及びプロピオンアルデヒドのうち少なくとも1種を得る。
図1Bは、透明導電層19を介して、第1半導体層11と第2半導体層12とを接合したアノード電極10Bを示す断面図である。透明導電層19は、電極部16の代わりである。アノード電極の構成は、第1半導体層11と第2半導体層12とが電気的に接続され、かつ第2半導体層12に第1半導体層11の透過光が照射される構成であれば、接続部の構成は限定されない。
アノード電極10A及び10Bの酸素生成効率及び耐久性を高めるために、図1C及び図1Dに示されるように、多数の酸化ニッケル微粒子18が、AlGaN層13の表面に分散していてもよい。
本発明者らによって出願された米国特許出願13/453669の明細書は、本明細書に引用される。
図2A及び図2Bは、複数のpn接合構造を有する第2半導体層22からなるアノード電極の断面図である。第2半導体層22を構成する複数のpn接合構造の組み合わせは、例えば、ガリウムヒ素(GaAs)とシリコン(Si)、アモルファスシリコン(a−Si)と結晶シリコン(c−Si)などが挙げられる。第2半導体層22を構成する複数のpn接合構造の組み合わせは、第1半導体層21の透過光を有効に吸収可能なバンドギャップを有する材料の組み合わせであれば、限定されない。
(二酸化炭素還元セル)
図3は、二酸化炭素還元セル300を示す概略図である。二酸化炭素還元セル300は、カソード槽302、アノード槽305、およびプロトン透過膜306を具備する。
カソード槽302の内部には、第1電解液307が保持されていると共に、カソード槽302には、カソード電極301を具備している。カソード電極301は、第1電解液307に接している。具体的には、カソード電極301は、第1電解液307に浸漬されている。
第1電解液307は、例えば、炭酸水素カリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、塩化カリウム水溶液、又は塩化ナトリウム水溶液である。
第1電解液の濃度は、いずれの水溶液の場合も、例えば、1mol/L以上の濃度である。さらに、3mol/L以上の濃度であってもよい。
第1電解液307は、二酸化炭素を含有する。二酸化炭素の濃度は限定されない。第1電解液307は、二酸化炭素が第1電解液307に溶解した状態において、酸性であってもよい。
二酸化炭素が還元されるカソード電極301を構成する材料は、金属又は金属化合物である。カソード電極301を構成する材料である金属は、例えば、銅、金、銀、インジウム、又はこれらの合金である。カソード電極301を構成する材料である金属化合物は、例えば、これらの金属の酸化物又は塩化物等である。
カソード電極301は、上記の金属、上記の合金、又は上記の金属化合物によって構成してもよい。あるいは、上記の金属、上記の合金、又は上記の金属化合物を保持する基材によって構成してもよい。例えば、カソード電極301は、ガラス又はグラッシーカーボン(登録商標)(黒色ガラス状のガス不透過性炭素製品)等の基材上に所定の金属又は金属化合物を薄膜状に形成してもよい。また、カソード電極301は、導電性基板上に金属又は金属化合物からなる複数の微粒子を分散させることにより形成してもよい。図3に示すように、カソード電極301の少なくとも一部は、第1電解液307に浸漬してもよい。
アノード槽305の内部には、第2電解液308が保持されていると共に、アノード槽305は、アノード電極304を具備している。本明細書において、アノード電極304に光を照射するので、アノード電極304は光化学電極である。
アノード電極304は、AlGaN層及びn−GaN層を積層してなる窒化物半導体から構成される第1半導体層と、pn接合構造を有する半導体から構成される第2半導体層とを具備する。アノード電極304の構成は、例えば、アノード電極10Aである。アノード電極304は、第2電解液308に接している。具体的には、アノード電極304は第2電解液308に浸漬されている。
第2電解液308は、例えば、水酸化ナトリウム水溶液である。
第2電解液の濃度は、いずれの水溶液の場合も、例えば、1mol/L以上の濃度である。さらに、5mol/L程度の濃度であってもよい。第2電解液308は、塩基性であることが好ましい。
後述するように、第2電解液308に浸漬されているアノード電極304の表面領域に、第1半導体層で吸収可能な波長と第2半導体層で吸収可能な波長とを有する光が照射される。第1半導体層で吸収可能な波長とは、例えば、365nm以下の波長である。第2半導体層で吸収可能な波長とは、例えば、365nm以上の波長である。この光は、光源303から放出される。光源303は、例えば、キセノンランプ、水銀ランプ、ハロゲンランプ、疑似太陽光源、太陽光又はこれらの組み合わせである。
第1電解液307を第2電解液308から分離するために、プロトン透過膜306がカソード槽302及びアノード槽305との間に挟まれている。換言すれば、本開示の実施の形態1に係る二酸化炭素還元セルにおいては、第1電解液307及び第2電解液308は互いに混合されない。
プロトン透過膜306は、ほぼプロトンのみがプロトン透過膜306を通過し、かつ他の物質がプロトン透過膜306を通過できないものであればよく、特に限定されない。プロトン透過膜306は、例えば、ナフィオン(登録商標)(炭素-フッ素からなる疎水性テフロン(登録商標)骨格とスルホン酸基を持つパーフルオロ側鎖から構成されるパーフルオロカーボン材料である。具体的には、テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)とパーフルオロ[2−(フルオロスルフォニルエトキシ)プロピルビニルエーテル](perfluoro[2-(fluorosulfonylethoxy)propylvinyl ether])との共重合体。)である。
カソード電極301及びアノード電極304は、それぞれ、電極端子310及び電極端子311を具備する。これらの電極端子310、311は、導線312により電気的にかつ直接的に互いに接続されている。これらの電極端子310、311の間には、電池又はポテンショスタットのような外部電源は電気的に挟まれていない。
<二酸化炭素を還元する方法>
次に、二酸化炭素還元セルを用いて、二酸化炭素を還元する方法を説明する。
二酸化炭素還元セル300は、室温かつ大気圧下に置いてもよい。
図3に示されるように、光源303からアノード電極304に光が照射される。光源303は、例えば、キセノンランプである。一般的なキセノンランプの場合、250nm以上1400nm以下の波長の光を放射する。そこで、キセノンランプからなる光源303から放射された光は、第1半導体層で吸収可能な波長の光と第2半導体層で吸収可能な波長の光とを有している。
図3に示されるように、二酸化炭素還元セルは、ガス導入管309を具備してもよい。ガス導入管309を通じて第1電解液307に二酸化炭素が供給されながら、第1電解液307に含有される二酸化炭素が還元されるようにしてもよい。ガス導入管309の一端は、第1電解液307に浸漬されている。あるいは、二酸化炭素の還元を開始する前に、ガス導入管309を通じて二酸化炭素が第1電解液307に供給して、充分な量の二酸化炭素が第1電解液307に溶解されるようにしてもよい。
第1電解液307に含有される二酸化炭素は、カソード電極301で還元され、ギ酸、一酸化炭素、炭化水素類、アルコール類、及びアルデヒド類の少なくとも1種を生成する。
(実施例)
以下の実施例を参照して、本開示の実施の形態に係る二酸化炭素を還元する方法、及び二酸化炭素還元セルをより詳細に説明する。
(実施例1)
導電性基材は、低抵抗な単結晶窒化ガリウム基材(厚み:約0.4mm)を用いた。
第1半導体層は、以下の手順により作製された。
n−GaN層は、シリコンをドープしたn型低抵抗GaN層(厚み:3.0μm、シリコンドープ量:4.0×1018個/cm)を用いた。AlGa1−xN層は、Al0.1Ga0.9N層(厚み:100nm、x=0.10)を用いた。
n−GaN層は、単結晶窒化ガリウム基材上に有機金属気相エピタキシー法により成長した。AlGaN層は、n−GaN層上に有機金属気相エピタキシー法により成長した。
その後、複数の酸化ニッケルの微粒子(微粒子サイズ:数10nm〜数μm)は、AlGaN層上に分散させて配置された。
第2半導体層は、単結晶n型シリコン基板の表面にp型伝導を示す不純物を導入することにより作製された。
不純物を導入した面上の一部に、電極部(厚み:約500nm)を形成した。電極部は、チタン/アルミニウム/金の積層体から構成した。
上記の方法にて作製された第1半導体層を形成する導電性基材と、pn接合構造を有する第2半導体層とを、電極部を介して接合した。このようにして、図1Cに示されるような、アノード電極が得られた。
カソード電極には、板状の銅(厚み:0.5mm)を用いた。第1電解液に浸漬されている銅板の面積は、約4cmであった。
以上のようなアノード電極及びカソード電極を用いて、図3に示した二酸化炭素還元装置が作製された。アノード電極及びカソード電極間の距離は約8cmであった。その他の二酸化炭素還元装置の構成は、以下の通りである。
第1電解液:3.0mol/Lの濃度を有する塩化カリウム水溶液
第2電解液:5.0mol/Lの濃度を有する水酸化ナトリウム水溶液
プロトン透過膜:ナフィオン膜(デュポン社製、ナフィオン117)
光源:キセノンランプ(出力:300W、光照射面積:約4cm
第1電解液には、ガス導入管309を通じて、二酸化炭素ガスが30分間供給された。アノード槽は光照射窓(図示せず)を具備していた。光照射窓を介して、光源303から放射された光がアノード電極の表面に一定時間照射された。この光は、250nm以上800nm以下の波長を有し、かつブロードなスペクトルを有していた。
(比較例1)
アノード電極に第2半導体層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様の実験が行なわれた。
光をアノード電極の表面に照射すると、実施例1及び比較例1のいずれの場合も、導線に反応電流が流れることが観測された。一方、光の照射が中断されると、導線に反応電流が流れないことが観測された。これは、何らかの反応が、光の照射によりアノード電極及びカソード電極において生じていることを意味する。
実施例1の反応電流量は、比較例1の反応電流量の約2倍であった。また、光照射によってアノード電極に生じる光起電力の絶対値は、実施例1の方が比較例1と比較して高かった。
本発明者らは、二酸化炭素還元の様子を以下のように詳細に調査した。具体的には、カソード槽が密閉された状態、すなわち二酸化炭素が封入された状態において、実施例1によるアノード電極へ光が照射された。この光の照射により、カソード槽において二酸化炭素が還元された。二酸化炭素を還元することにより生成された反応生成物の種類及び量について、気体成分がガスクロマトグラフィによって測定され、液体成分が液体クロマトグラフィ及びヘッドスペース型ガスクロマトグラフィによって測定された。
以上の結果、実施例1及び比較例1いずれも場合も、カソード槽にて、一酸化炭素及びギ酸等が生成されたことが見出された。また、各反応生成物量は、光の照射時間に比例して増加していた。
以上より、アノード電極への光の照射により、カソード電極で二酸化炭素が還元される触媒反応が生じていることが見出された。
実施例1および比較例1の反応生成物量について比較した結果、実施例1は比較例1の約2倍であった。すなわち、第1半導体層と第2半導体層とを積層したアノード電極を用いることで、反応電流量が約2倍になると共に、反応生成量も約2倍になり、効率的に二酸化炭素が還元されていることが見出された。
実施例1および比較例1の反応生成物について比較した結果、比較例1は主にギ酸が反応生成物として得られたが、実施例1はメタン及びエチレンなどの炭化水素類、エタノールなどのアルコール類、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類が得られていた。すなわち、窒化物半導体からなる第1半導体層とpn接合構造からなる第2半導体層とを積層したアノード電極を用いることで、ギ酸と比較してより複雑な構造を有する有機物が得られることが見出された。なお、実施例1より得られた有機物は、複雑な構造を有する有機物であるため、光エネルギーのみによる二酸化炭素の還元生成物として得にくい物質であった。
さらに、実施例1および比較例1それぞれで得られた反応生成物について、詳細に検討を行なった。
図4は、実施例1および比較例1それぞれで得られた反応生成物量を示すグラフである。図4に示すグラフは、比較例1で得られた反応生成物量を基準とし、実施例1で得られた反応生成物量を相対的に示したグラフである。なお、単位時間当たりの二酸化炭素還元量は、単位時間当たりの反応生成物量と等価である。
図4に示すように、比較例1の反応生成物は、主にギ酸であった。一方、図4に示すように、実施例1の反応生成物は、エチレン、メタン、ギ酸、アルコール類、アルデヒド類の順に多かった。
なお、本明細書において「アルコール類」とは、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びアリルアルコールを意味する。また、本明細書において「アルデヒド類」とは、アセトアルデヒド及びプロピオンアルデヒドを意味する。
ここで、実施例1の反応生成物として、比較例1の反応生成物には無かった、メタン、エチレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、アセトアルデヒド及びプロピオンアルデヒドが生成された。すなわち、本開示の二酸化炭素を還元する方法を用いることにより、光エネルギーからより複雑な構造を有する有機物を生成することができた。
(実施例2)
カソード電極としてグラッシーカーボン(登録商標)からなる基材上に複数の銅の微粒子を分散させ配置させた電極を用いた以外は、実施例1と同様の実験を行った。
その結果、アノード電極に光を照射することにより、導線に反応電流が流れることが観測された。また、観測された電流量は、実施例1とほぼ同等の電流量が観測された。また、二酸化炭素の還元生成物としては、実施例1と同様の反応生成物が得られることが確認された。
なお、銅の微粒子の代わりに微量のニッケル成分を含んだ銅ニッケル合金で電極を作製した用いた場合も、電流量及び二酸化炭素の還元生成物は、銅の微粒子のみの場合とほぼ同様の結果が得られた。
(実施例3)
第1電解液として炭酸水素カリウム水溶液に変えた以外は、実施例1と同様の実験を行った。
その結果、アノード電極に光を照射することにより、導線に反応電流が流れることが観測された。また、観測された電流量は、実施例1とほぼ同等同様の電流量が観測された。
なお、第1電解液として塩化ナトリウム水溶液にした場合も、電流量及び二酸化炭素の還元生成物は、塩化カリウム水溶液の場合とほぼ同様の結果が得られた。
(実施例4)
光源として疑似太陽光又は太陽光を照射したこと以外は、実施例1と同様の実験を行った。
その結果、アノード電極に疑似太陽光又は太陽光を照射することにより、導線に反応電流が流れることが観測された。また、二酸化炭素の還元生成物として、メタンなどの炭化水素類、エタノールなどのアルコール類が得られた。
(実施例5)
第2半導体層としてガリウム砒素からなるpn接合構造とシリコン(Si)からなるpn接合構造とを積層した以外は、実施例1と同様の実験を行った。
その結果、アノード電極に光を照射することにより、導線に反応電流が流れることが観測された。また、観測された反応電流量は、実施例1と比較して増加した。また、二酸化炭素の還元生成物は、実施例1と比較して炭化水素類またはアルコール類の比率が増加した。
(実施例6)
カソード電極としてインジウム板を用いた以外は、実施例1と同様の実験を行った。
(比較例2)
アノード電極に第2半導体層を形成しなかったこと以外は、実施例6と同様の実験を行った。
光をアノード電極の表面に照射すると、実施例6及び比較例2のいずれの場合も、導線に反応電流が流れることが観測された。
実施例6の反応電流量は、実施例1と同等の反応電流量であり、比較例2の反応電流量の約2倍であった。
二酸化炭素の還元生成物は、実施例6及び比較例2のいずれも大部分がギ酸であった。つまり、カソード電極としてインジウムを用いることにより、ギ酸が選択的に生成されることが確認された。
図5は、実施例6および比較例2のそれぞれで得られた反応生成物量を示すグラフである。図5に示すグラフは、比較例2で得られた反応生成物量を基準とし、実施例6で得られた反応生成物量を相対的に示したグラフである。なお、単位時間当たりの二酸化炭素還元量は、単位時間当たりの反応生成物量と等価である。
図5に示すように、実施例6及び比較例2の反応生成物は、いずれも主にギ酸であった。一方、実施例6のギ酸の生成量は、比較例2のギ酸の生成量と比較して、2倍以上であった。すなわち、本開示の二酸化炭素を還元する方法を用いることにより、カソード電極にて高効率に二酸化炭素の還元がなされることが確認された。
(実施例7)
カソード電極として金板を用いた以外は、実施例6と同様の実験を行った。
その結果、アノード電極に光を照射することにより、導線に反応電流が流れることが観測された。また、観測された反応電流量は、実施例6とほぼ同等の反応電流量が観測された。
二酸化炭素の還元生成物は、大部分が一酸化炭素であった。つまり、カソード電極として金を用いることにより、一酸化炭素が選択的に生成されることが確認された。実施例7の一酸化炭素の生成量は、カソード電極に金板を用いた以外は比較例2と同様の実験より得られた一酸化炭素の生成量と比較して、2倍以上であった。
なお、カソード電極として金板の代わりに銀板を用いた場合も、一酸化炭素が選択的かつ高効率に生成されることが確認された。
以上のように、アノード電極が窒化物半導体で構成される第1半導体層と、pn接合構造を有する第2半導体層とを積層した構成を具備することにより、アノード電極への光照射による反応電流量が増加することが見出された。また、カソード電極では二酸化炭素が光エネルギーにより還元されることが確認された。
カソード電極としてインジウムを用いた場合、二酸化炭素の還元生成物として、ギ酸が選択的に生成されることを見出した。また、その生成量は、アノード電極に第2半導体層を形成しなかった場合と比較して、高効率であることを見出した。
カソード電極として金又は銀を用いた場合、二酸化炭素の還元生成物として、一酸化炭素が選択的に生成されることを見出した。また、その生成量は、アノード電極に第2半導体層を形成しなかった場合と比較して、高効率であることを見出した。
カソード電極として銅を用いた場合、二酸化炭素の還元生成物として、同じギ酸より複雑な構造を有する有機物を効率的に得られることを見出した。
(実施の形態2)
<本開示の基礎となった知見>
本発明者らは、太陽光を追尾する機構を用いて、二酸化炭素還元セルを太陽光に正対させ、集光装置を用いて単位面積当たりに照射されるエネルギー密度を高めた光をアノード電極(光化学電極)に照射することで、その効果が増大することを見いだした。
本開示の実施の形態2に係る二酸化炭素を還元する方法は、かかる知見に基づいてなされたものである。
実施の形態2に係る二酸化炭素還元セル、二酸化炭素還元装置、及び、二酸化炭素の還元方法について、添付図面を用いて説明する。なお、実施の形態1に係る二酸化炭素還元セル及び二酸化炭素の還元方法と対比して実質的に同一の構成及び作用については説明を省略する場合がある。
<アノード電極(光化学電極)>
実施の形態2に係る二酸化炭素還元セルを構成するアノード電極(以下、「光化学電極」とも記す)30A、30B、30C、30D、35A、35Bは、実質的に実施の形態1に係る二酸化炭素還元セルを構成するアノード電極と同様の構成及び作用を有する。なお、アノード電極30A、30B、30C、30D、35A、35Bは、照射される光として、太陽光を受けることとしてもよい。
図6Aは、アノード電極(光化学電極)30Aの基本構造を示す。アノード電極30Aは、太陽光が照射される面側から順に、窒化物半導体材料で構成される第1半導体層11と、導電性基材15と、pn接合構造を有する第2半導体層12とが積層された構造を有する。また、アノード電極30Aは、前記構造に加え、導電性基材15と第2半導体層12とを電気的に接続する電極部16と、端子電極部17とを有する。
第1半導体層11は、AlGa1−xN層(0≦x≦0.25、以下、「AlGaN層」とも記す)13、及びn型GaN層(以下、「n−GaN層」とも記す)14から構成される。
第2半導体層12は、pn接合構造を有するものであり、第1半導体層11のn−GaN層14側とp型半導体層を介して電気的に接続される。
アノード電極30Aの作製方法は限定されないが、一般的に下記の方法1と方法2とがある。
方法1は、まず、ベースとなる導電性基材15の一方の面に、n−GaN層14、AlGaN層13の順に第1半導体層11を形成する。次に、導電性基材15の他方の面に、電極部16を介して、pn接合構造を有する第2半導体層12を形成する。なお、第2半導体層12のp型半導体層は、電極部16側となるよう形成される。その後、第2半導体層12のn型半導体層に、端子電極部17を付加する。これにより、アノード電極30Aを作製できる。
また、方法2は、まず、ベースとなる導電性基材15の一方の面に、n−GaN層14、AlGaN層13の順に第1半導体層11を形成する。次に、別途作製したpn接合構造を有する第2半導体層12からなる構造体を、電極部16を介して導電性基材15の他方の面に電気的に接続する。その後、第2半導体層12のn型半導体層に、端子電極部17を付加する。これにより、アノード電極30Aを作製できる。なお、方法2により作製されたアノード電極30Aにおいて、電極部16は、導電性基材15の他方の面及び第2半導体層12のp型半導体層の表面の一部に設けられる。
端子電極部17は、アノード電極30Aの接続端子であり、導線を介してカソード電極に接続される。その際、アノード電極30Aとカソード電極とは、ポテンショスタット等の外部電源を介することなく、電気的に接続される。
なお、アノード電極30Aを構成する窒化物半導体からなる第1半導体層11は、薄膜として形成することが一般的であり、導電性基材15上へ窒化物半導体の薄膜を形成することが可能な方法であれば、特に限定されない。例えば、有機金属気相エピタキシー法などが挙げられる。
導電性基材15は、第2半導体層12にも光を照射させる必要があることを考慮し、透光性を有するものである。導電性基材15の材料として、例えば、低抵抗な単結晶窒化ガリウム(GaN)基材、酸化ガリウム(Ga)基材、炭化シリコン(SiC)基材、又は酸化亜鉛(ZnO)基材等が挙げられる。
また、電極部16は、薄膜状の金属層であり、例えば、真空蒸着法により作製される。なお、導電性基材15と第2半導体層12とが損失無く電気的に接続可能な場合は、電極部16を省略し、直接、導電性基材15と第2半導体層12とを接続してもよい。
光化学電極であるアノード電極30Aの基本的な機能について説明する。
アノード電極30Aの表面領域に太陽光が照射されると、第1半導体層11を構成するAlGaN層13領域において吸収可能な波長を有する光が吸収され、光励起が生じる。なお、AlGaN層13領域にて吸収可能な光は、365nm以下の波長を有する光である。
光励起によって生成した正孔と電子は、酸化還元反応に寄与する。具体的には、光励起によってAlGaN層13内で生成した正孔は、アノード電極30Aの表面に移動し、アノード電極30Aと接している水を酸化して、酸素を生成する。すなわち、アノード電極30Aは、酸素生成電極として機能する。
AlGaN層13のバンドギャップ値、すなわち、禁制体幅は3.4eV以上であるため、光を利用した光化学電極として用いるためには、365nm以下の波長を有する光がAlGaN層13上に照射されることが必要である。そのため、光の有効利用の観点から、AlGa1−xN層13に含有されるAl組成比、すなわち、x値は、0≦x≦0.25の範囲にあることが好ましい。より好ましくは、0.05≦x≦0.15の範囲にあることである。
また、上記の波長を有する光がAlGaN層13中で吸収される領域の厚さ、すなわち、AlGaN層13の表面からの距離は、AlGaN層13の表面から概ね100nmである。この吸収領域の厚さは、AlGaN層13のバンドギャップ値にも依存して選択してもよい。なお、この距離は、AlGaN層13の厚み方向に平行である。そのため、AlGaN層13は、例えば、70nm以上1000nm以下の厚みを有する。さらに、80nm以上200nm以下の厚みを有してもよい。
一方、光励起によってAlGaN層13内に生成した電子は、第1半導体層11のn−GaN層14、導電性基材15、電極部16を介して、第2半導体層12のp型半導体層に供給される。n−GaN層14は、より電気抵抗成分が小さいn型であってもよい。n−GaN層14の電気抵抗成分が小さくなると、キャリア輸送に伴う損失を低減できる。n−GaN層14をn化させるには、不純物を添加すること有効である。添加する不純物元素は、例えば、シリコンである。シリコンが添加されたn型のGaN層14のキャリア濃度は、例えば、1×1018個/cm以上であり、さらに、2〜8×1018個/cm程度であってもよい。
pn接合構造を有する第2半導体層12は、p型特性を示す半導体層とn型特性を示す半導体層の接合構造で構成される。なお、第2半導体層12は、p型半導体層とn型半導体層との間に、i型特性を示す半導体層を含んでいてもよい。つまり、本明細書において、「pn接合構造」には、pin接合構造も含まれる。
なお、pn接合構造は、一般的には、同一材料で構成されるが、異種材料で構成されていてもよい。
第2半導体層12は、第1半導体層11及び導電性基板15を透過した光のうち、第2半導体層12で吸収可能な波長を有する光を吸収し、励起キャリアを生成すると共に、光起電力を生じさせる。第2半導体層12で吸収可能な光は、太陽光が有する光のうち、主に可視光領域から赤外光領域の波長(概ね300〜2000nm)を有する光である。例えば、第2半導体層12がシリコンである場合、第2半導体層12は、約1100nm以下の波長であれば吸収できる。第2半導体層12がゲルマニウムである場合、第2半導体層12は、約1800nm以下の波長であれば吸収できる。
第2半導体層12への光照射によって励起された正孔は、第1半導体層11側から供給された電子と再結合するが、第2半導体層12で励起された電子は、アノード電極30Aに配された端子電極部17に集められる。端子電極部17に集められた電子は、電気的に接続された導線を通じて、二酸化炭素を還元するカソード電極側に供給される。
カソード電極に印加される電位は、第1半導体層11に生じた光起電力と、第2半導体層12に生じた光起電力との和となる。すなわち、第1半導体層11と第2半導体層12とを積層したアノード電極30Aを用いることで、光照射によって生じる光起電力値を向上できる。その結果、カソード電極での二酸化炭素の還元効率が向上すると共に、生成する二酸化炭素の還元生成物として、一酸化炭素、ギ酸、メタン、エチレン、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールのうち少なくとも1種を得ることができる。
図6Bは、図6Aの電極部16の代わりに透明導電層19を介して、第1半導体層11と第2半導体層12とを接合したアノード電極30Bを示す断面図である。アノード電極30Bの構成は、第1半導体層11と第2半導体層12とが電気的に接続され、かつ第2半導体層12に第1半導体層11の透過光が照射される構成であれば、接続部の構成は限定されない。
さらに、アノード電極30C及び30Dの酸素生成効率及び耐久性を高めるために、図6C及び図6Dに示されるように、複数の酸化ニッケル微粒子18を、AlGaN層13の表面に分散してもよい。
図7A及び図7Bは、複数のpn接合構造を有する第2半導体層22からなるアノード電極35A、35Bの断面図である。第2半導体層22を構成する複数のpn接合構造の組み合わせは、例えば、ガリウムヒ素(GaAs)とシリコン(Si)、アモルファスシリコン(a−Si)と結晶シリコン(c−Si)などが挙げられる。第2半導体層22を構成する複数のpn接合構造の組み合わせは、第1半導体層21の透過光を有効に吸収可能なバンドギャップを有する材料の組み合わせであれば、限定されない。
<二酸化炭素還元セル>
図8は、二酸化炭素還元セル300Aを示す概略図である。二酸化炭素還元セル300Aは、カソード槽302、アノード槽305、及びプロトン透過膜306を具備する。
カソード槽302の内部には、第1電解液307が保持されていると共に、カソード槽302には、カソード電極301を具備している。カソード電極301は、第1電解液307に接している。具体的には、カソード電極301は、第1電解液307に浸漬されている。
第1電解液307は、例えば、炭酸水素カリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、塩化カリウム水溶液、又は塩化ナトリウム水溶液である。第1電解液の濃度は、いずれの水溶液の場合も、例えば、1mol/L以上の濃度である。さらに、3mol/L以上の濃度であってもよい。
第1電解液307は、二酸化炭素を含有する。二酸化炭素の濃度は限定されない。第1電解液307は、二酸化炭素が第1電解液307に溶解した状態において、酸性であってもよい。
二酸化炭素を還元するカソード電極301の構成材料は、金属又は金属化合物である。カソード電極301の構成材料である金属は、例えば、銅、金、銀、インジウム、又はこれらの合金である。カソード電極301の構成材料である金属化合物は、例えば、これらの金属の酸化物又は塩化物等である。
カソード電極301は、上記の金属、合金、又は金属化合物によって構成してもよい。あるいは、上記の金属、合金、又は金属化合物を保持する基材によって構成してもよい。例えば、カソード電極301は、ガラス又はグラッシーカーボン(登録商標)等の基材上に所定の金属又は金属化合物を薄膜状に形成してもよい。また、カソード電極301は、導電性基板上に金属又は金属化合物からなる複数の微粒子を分散させることにより形成してもよい。図3に示すように、カソード電極301の少なくとも一部を、第1電解液307に浸漬してもよい。
アノード槽305の内部には、第2電解液308が保持されていると共に、アノード槽305は、アノード電極304を具備している。本明細書において、アノード電極304には太陽光を照射するので、アノード電極304は光化学電極である。
アノード電極304は、AlGaN層及びn−GaN層を積層してなる窒化物半導体から構成される第1半導体層と、pn接合構造を有する半導体から構成される第2半導体層とを具備する。アノード電極304の構成は、例えば、アノード電極30Aである。アノード電極304は、第2電解液308に接している。具体的には、アノード電極304は第2電解液308に浸漬されている。
第2電解液308は、例えば、水酸化ナトリウム水溶液である。第2電解液の濃度は、いずれの水溶液を用いた場合も、例えば、1mol/L以上の濃度である。さらに、5mol/L程度の濃度であってもよい。第2電解液308は、塩基性であってもよい。
第1電解液307と第2電解液308を分離するために、プロトン透過膜306が、カソード槽302及びアノード槽305との間に挟まれている。換言すれば、本開示の実施の形態2に係る二酸化炭素還元セルにおいては、第1電解液307及び第2電解液308は互いに混合されない。
プロトン透過膜306は、ほぼプロトンのみがプロトン透過膜306を通過し、かつ他の物質がプロトン透過膜306を通過できないものであればよく、特に限定されない。プロトン透過膜306は、例えば、ナフィオン(登録商標)である。
カソード電極301及びアノード電極304は、それぞれ、電極端子310及び電極端子311を具備する。これらの電極端子310、311は、導線312により電気的に互いに接続されている。図8に示した様に、カソード電極301とアノード電極304間を流れる反応電流量をモニタリングする目的で、電流計測器313を挿入してもよい。しなしながら、反応電流の計測が不要な場合は、必ずしも挿入する必要はない。また、光照射によって印加されるカソード電極301の電位(反応電位)をモニタリングする目的で、電圧計測器314と参照電極315を設置してもよい。参照電極の例としては、銀/塩化銀電極である。しかしながら、反応電位の計測が不要な場合は、必ずしも設置する必要はない。故に、カソード電極301とアノード電極304は、導線を介して直接的に接続される。すなわち、これらの電極端子310、311の間には、電池又はポテンショスタットのような外部電源は電気的に挟まれていない。
図8に示されるように、二酸化炭素還元セル300Aは、ガス導入管309を具備してもよい。ガス導入管309の一端は、第1電解液307に浸漬されている。前記ガス導入管309を介して、二酸化炭素ガスが前記第1電解液307に供給される。
後記されるように、第2電解液308に浸漬されているアノード電極304の表面領域に、集光装置によって集光された太陽光が照射される。その結果として、アノード電極304で発生した電子が、電気的に接続された導線312を通じてカソード電極301に供給され、カソード電極301の作用によって、第1電解液307中に含有されている二酸化炭素を還元する。
その際、ガス導入管309を通じて、第1電解液307に二酸化炭素を供給しながら、第1電解液307に含有される二酸化炭素を還元してもよい。また、光照射によって二酸化炭素の還元処理を開始する前に、ガス導入管309を通じて二酸化炭素を第1電解液307に供給し、充分な量の二酸化炭素を第1電解液307中に溶解しておいてもよい。
<二酸化炭素還元装置>
図9A及び図9Bは、二酸化炭素還元セル、太陽光追尾装置、並びに、集光装置を備えた二酸化炭素還元装置40の一例を示す側面概略図及び平面概略図である。図9Aは、二酸化炭素還元装置を側面から見た側面概略図である。図9Bは、上面から見た平面概略図である。二酸化炭素還元装置40は、二酸化炭素還元セル41、太陽光追尾装置42、及び集光装置43を具備する。図10の(a)、(b)、(c)は、実施の形態2に係る二酸化炭素還元装置が太陽光を追尾する様子を表した模式図である。図11は、実施の形態2に係る別例の二酸化炭素還元装置が太陽光を追尾する様子を表した模式図である。
二酸化炭素還元セル41は、太陽光が照射されるアノード電極48、および二酸化炭素を還元するためのカソード電極49を具備した光電気化学セルであり、例えば、図8に示したような二酸化炭素還元セル300Aである。
図10及び図11に、太陽光追尾装置42に設置した二酸化炭素還元セル41の向きと太陽51、61の動きとの関係を表す模式図を示す。
太陽光追尾装置42は、二酸化炭素還元セル41を固定するための架台部44と、二酸化炭素還元セル41の向きを変化させるための駆動部45と、二酸化炭素還元セル41の向きを太陽の動きに対して制御するための制御部46と、を具備する。
架台部44に設置された二酸化炭素還元セル41は、駆動部45の機構によって、回転方向(方位に対応)並びに角度方向(仰角に対応)に動作するようになっており、任意の方向や角度にセルの向きが変わるようになっている。制御部46は、二酸化炭素還元セル41の向きが、その時点における太陽の位置(方位並びに仰角)と一致して正対するように、駆動部45の動作を制御するものである。その制御は、予めプログラムされた設定値に基づいたり、計算や計測により得られた値に基づいてなされるが、その方法は限定されない。例えば、時間の経過と共に変化する太陽の軌跡に合致して、二酸化炭素還元セル41の向きが追尾し、太陽光と正対していればよい(図10(a)〜(c)、図11(a)〜(c))。なお、図10(a)及び図11(a)は、朝方の太陽の配置に対応し、図10(b)及び図11(b)は、昼(南中)の太陽の配置に対応し、図10(c)及び図11(c)は、夕方の太陽の配置に対応する。
なお、太陽光追尾装置42は、二酸化炭素還元セル41の向きを太陽光に必ずしも正確に正対させることができるものに限定されるものではない。また、例えば、二酸化炭素還元セル41の向きを太陽光に対して正対方向からずらせるようにしてもよい。例えば、標準太陽光(AM1.5)に比べて、より強い光が入射した場合、二酸化炭素還元セル41の向きを太陽光に対して正対方向から外すようにしてもよい。
集光装置43は、二酸化炭素還元セル41に照射する太陽光47を集光し、単位面積当たりの光エネルギー密度を増加させるためのものである。具体的な集光装置43としては、両凸レンズや平凸レンズ、フレネルレンズ(図10)、凹面鏡(図11)などを挙げることができるが、この限りではない。このようなレンズあるいは鏡などを用いて、太陽光を集光する場合、その集光度は、特に限定されないが、2倍から100倍程度、とりわけ、5倍から50倍程度にエネルギー密度を高めてもよい。すなわち、標準太陽光(AM1.5)が有するエネルギー密度(100mW/cm)に対し、200mW/cm〜10W/cm、とりわけ、500mW/cm〜5W/cmのエネルギー密度に高めた光を適宜選択して、アノード電極48に照射するようにすればよい。その際、集光装置43と二酸化炭素還元セル41間の配置距離は、必ずしも集光装置43の焦点位置に設置する必要はなく、所定の照射面積になるように、二酸化炭素還元セル41との距離を選べばよい。例えば、焦点距離が200mmで、サイズがφ200mmのフレネルレンズを用いて、φ50mmの領域に光を集光し、その光をアノード電極48の表面に照射する場合、その距離は概ね150mmで、その集光度は、約16倍となる。
また、集光装置43として、両凸レンズや平凸レンズ、フレネルレンズを用いる場合には、太陽と集光装置(フレネルレンズ)43と二酸化炭素還元セル41とがこの順に並ぶ(図10)。一方、集光装置43として、凹面鏡を用いる場合には、太陽と二酸化炭素還元セル41と集光装置(凹面鏡)43とがこの順に並ぶ(図11)。つまり、二酸化炭素還元セル41の向きは、集光装置43によって集光される太陽光に対して正対するように配置される。
なお、集光装置43によって二酸化炭素還元セル41のアノード電極48の表面の所定の領域に照射した光を、アノード電極48の表面内で所定時間ごとに移動させてもよい。この場合に、太陽光追尾装置42による追尾を正対方向からシフトさせることによって上記光照射領域をアノード電極48の表面内で移動させてもよい。さらに、上記光照射領域をアノード電極48の表面内で均等となるように移動させてもよい。また、上記光照射領域を、アノード電極48の表面内でスパイラルを描くように移動させてもよい。
<二酸化炭素を還元する方法>
次に、前記二酸化炭素還元装置40を用いて、二酸化炭素を還元する方法を説明する。
二酸化炭素還元装置40は、室温かつ大気圧下に置いてもよい。二酸化炭素還元装置40を構成する二酸化炭素還元セル41の第1電解液に二酸化炭素ガスを予め溶解させておくか、あるいは二酸化炭素ガスを第1電解液に供給しながら、集光装置43を介して、二酸化炭素還元セル41を構成するアノード電極48の表面に太陽光を照射する。そして、図10及び図11に示すように、時間経過と共に移動する太陽に合わせ、太陽光追尾装置42で二酸化炭素還元セル41の向きを制御し、ある一定時間、集光された太陽光47をアノード電極48に当てる。これによって、第1電解液306に含有される二酸化炭素は、カソード電極49、301で還元され、ギ酸、一酸化炭素、炭化水素類、及びアルコール類の少なくとも1種を生成する。
(実施例)
以下の実施例を参照して、本開示の実施の形態2に係る二酸化炭素を還元する方法、及び二酸化炭素還元装置をより詳細に説明する。
(実施例8)
二酸化炭素還元セルのアノード電極を構成する導電性基材は、低抵抗な単結晶窒化ガリウム基材(厚み:約0.4mm)を用いた。この導電性基材に対し、第1半導体層を、以下の手順で形成した。
まず、n−GaN層を単結晶窒化ガリウム基材上に有機金属気相エピタキシー法により成長した。このn−GaN層は、シリコンをドープしてn化した低抵抗なn−GaN層(厚み:3.0μm、シリコンドープ量:4.0×1018個/cm)を用いた。続いて、AlGaN層も同様に、GaN層上に有機金属気相エピタキシー法により成長した。AlGa1−xN層は、厚みが100nmで、アルミニウム組成がx=0.10のものを用いた。その後、酸化ニッケル微粒子(微粒子サイズ:数10nm〜数μm)を多数AlGaN層上に分散配置した。
第2半導体層は、単結晶n型シリコン基板の表面に、p型の伝導性を示す不純物を導入して、シリコンのpn接合構造を作製した。不純物を導入した面上の一部に、チタン/アルミニウム/金の積層体からなる電極部(厚み:約500nm)を形成した。
上記の方法にて作製された第1半導体層を形成する導電性基材と、pn接合構造を有する第2半導体層とを、電極部を介して接合した。このようにして、図6Cに示されるような、アノード電極が得られた。
以上のようなアノード電極を、図8に示した様な二酸化炭素還元セル300Aに設置し、アノード槽305に第2電解液(5.0mol/Lの濃度を有する水酸化ナトリウム水溶液)を満たした状態で、集光装置43で集光した太陽光をアノード電極48に照射し、アノード電極に誘起される光起電力値(開放電位)Vopenを測定した。
本実施例で用いた集光装置は、フレネルレンズ(サイズ:φ12cm)を用い、太陽光のエネルギー密度を5倍程度に集光して、アノード電極表面(照射面積:約20cm)に照射した(集光度:約5倍)。
(比較例3)
フレネルレンズからなる集光装置を用いない以外、すなわち、集光していない太陽光をアノード電極表面に照射した以外は、実施例8と同様の実験を行った。
その結果、集光装置を用いない場合の光起電力値(比較例3)は、Vopen〜−2.1V vs Ag/AgClであった。それに対し、集光装置を用いて太陽光を集光して、照射光のエネルギー密度を5倍に高めた場合の光起電力値(実施例8)は、Vopen〜−2.3V vs Ag/AgClに向上した。
すなわち、集光装置を用いることで、二酸化炭素還元セルの還元能が高まることが確認された。また、太陽光追尾装置によって、太陽の動きに合わせて二酸化炭素還元セルの向きを制御することで、その値が維持されることも確認された。
(実施例9)
アノード電極に実施例8と同じアノード電極を用い、カソード電極にインジウム板(厚み:0.5mm)を用いて、図8のような二酸化炭素還元セルを構成し、二酸化炭素の還元処理を行った。第1電解液に浸漬されているインジウム板の面積は、約20cmであった。また、アノード電極とカソード電極間の距離は約8cmであった。
実施例9では、第1電解液に濃度が1.0mol/Lの炭酸水素カリウム水溶液を用い、第1電解液には、ガス導入管309を通じて、二酸化炭素ガスを30分間供給することで、第1電解液中に二酸化炭素を溶解させた。また、第2電解液には、濃度が5.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いた。前記第1電解液と第2電解液は、ナフィオン膜(デュポン社製、ナフィオン117)で構成されるプロトン透過膜を間に挟んで、分離された。
上記の二酸化炭素還元セルを太陽光追尾装置に設置し、集光装置を介して太陽光を照射した後、太陽光追尾装置を動作させ、二酸化炭素還元セルが太陽と正対した状態で、約2時間、集光した太陽光をアノード電極表面に照射した。
本実施例で用いた集光装置は、フレネルレンズ(サイズ:φ120mm)を用い、太陽光のエネルギー密度を5倍程度に集光して、アノード電極表面(照射面積:約20cm)に照射した(集光度:約5倍)。
(比較例4)
フレネルレンズからなる集光装置を用いない以外、すなわち、集光していない太陽光をアノード電極表面に照射した以外は、実施例9と同様の実験を行った。
太陽光をアノード電極表面に照射すると、実施例9及び比較例4のいずれの場合も、導線に反応電流が流れることが観測された。一方、太陽光の照射が中断されると、導線に反応電流が流れないことが観測された。これは、何らかの反応が、太陽光の照射によりアノード電極及びカソード電極において生じていることを意味する。
しかしながら、その電流量には差があり、実施例9で得られた反応電流量が約24mAであったのに対し、比較例4では約5mAで、太陽光を集光することにより、約5倍の反応電流が得られた。また、反応電位も、実施例9の方が比較例4よりも、約0.18V程度高かった。
そこで、この太陽光照射実験によって、二酸化炭素還元によりカソード槽に生成された反応生成物の種類及び量を、ガスクロマトグラフィ及び液体クロマトグラフィを用いて測定した。
その結果、実施例9及び比較例4のいずれも場合も、カソード槽にて、主にギ酸が選択的に生成されていることが見出された。また、二酸化炭素から得られる反応生成物の量は、太陽光の照射時間に比例して増加することも確認された。
以上より、アノード電極への太陽光照射により、カソード電極で二酸化炭素が還元される触媒反応が生じていることが見出された。
上記分析により実施例9および比較例4の反応生成物量について比較した結果、実施例9は、比較例4の約5.3倍であった。すなわち、太陽光を集光し、太陽の動きに合わせて追尾することで、反応電流量が約5倍になると共に、反応電位も向上することにより、単位時間当たりに得られるギ酸生成量が約5.3倍となった。すなわち、効率的に二酸化炭素が還元されていることが見出された。
また、本実施例9のように、カソード電極材料にインジウムを選択することにより、二酸化炭素から生成される有機物は、ほぼギ酸のみであり、ギ酸生成に関するファラデー効率は、90−95%に達した。
(実施例10)
アノード電極に実施例8と同じアノード電極を用い、カソード電極に銅板(厚み:0.5mm)を用いて、実施例9と同様に実験を行った。なお、本実施例10で用いた第1電解液は、濃度が3.0mol/Lの塩化カリウム水溶液であり、第2電解液は、濃度が5.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液である。
(比較例5)
フレネルレンズからなる集光装置を用いない以外、すなわち、集光していない太陽光をアノード電極表面に照射した以外は、実施例10と同様の実験を行った。
太陽光をアノード電極表面に照射すると、実施例10及び比較例5のいずれの場合も、導線に反応電流が流れることが観測された。一方、光の照射が中断されると、導線に反応電流が流れないことが観測された。
実施例10の反応電流量は、比較例5の反応電流量の約5倍であった。また、反応電位も実施例10の方が比較例5よりも、約0.30V程度高かった。
そこで、この太陽光照射実験によって、二酸化炭素還元によりカソード槽に生成された反応生成物の種類及び量を、ガスクロマトグラフィ及び液体クロマトグラフィを用いて測定した。
その結果、実施例10及び比較例5のいずれの場合も、カソード槽にて、気体成分として、メタン及びエチレンなどの炭化水素類と、微量の一酸化炭素が、液体成分として、ギ酸及びエタノールなどのアルコール類が生成されていることが見いだされた。また、二酸化炭素から得られる反応生成物の量は、太陽光の照射時間に比例して増加することも確認された。
以上より、アノード電極への太陽光照射により、カソード電極で二酸化炭素が還元される触媒反応が生じていることが見出された。
上記分析を実施することにより実施例10および比較例5の反応生成物量について比較した結果、実施例10の反応生成物の生成量は、比較例5の5倍以上であった。すなわち、太陽光を集光し、太陽の動きに合わせて追尾することで、反応電流量が約5倍になると共に、反応電位も向上することにより、単位時間当たりに得られる有機物の生成量が5倍以上となった。すなわち、効率的に二酸化炭素が還元されていることが見出された。
また、気相成分に着目すると、実施例10では、気相成分の約80%が炭化水素類(メタン、エチレン)であり、比較例5と比較して、約2倍炭化水素濃度が高いガスが得られた。すなわち、炭化水素生成の選択性が高まることを確認した。
さらに、液体成分に着目すると、実施例9のインジウム電極では、ギ酸のみが得られたが、実施例10の銅電極では、ギ酸成分が含まれるものの、大部分がアルコール成分(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)であった。すなわち、反応電位の向上によって、二酸化炭素から、より高次な反応生成物が得られることが示された。
(実施例11)
カソード電極として、グラッシーカーボン(登録商標)からなる基材上に多数の銅微粒子を分散配置させた電極を用いた以外は、実施例10と同様の実験を行った。
その結果、アノード電極に集光した太陽光を照射することにより、導線に反応電流が流れることが観測された。また、観測された反応電流量は、実施例10とほぼ同等の電流量が観測された。また、二酸化炭素の還元生成物は、実施例10と同様の反応生成物が得られることが確認された。
なお、銅微粒子の代わりに、銅ニッケル合金微粒子(Ni含有量:5%)で電極を作製した用いた場合も、電流量及び二酸化炭素の還元生成物は、銅微粒子のみの場合とほぼ同様の結果が得られた。
(実施例12)
第1電解液として、塩化ナトリウム水溶液に変えた以外は、実施例10と同様の実験を行った。
その結果、アノード電極に光を照射することにより、導線に反応電流が流れることが観測された。また、観測された電流量は、実施例10とほぼ同等の反応電流量が観測された。
(実施例13)
照射する太陽光の集光度を変えた以外は、実施例9と同様の実験を行った。
その結果、太陽光の集光度にほぼ比例して、反応電流が増加することが確認された。また、二酸化炭素の還元生成物として、ギ酸のみが選択的に生成していた。
(実施例14)
第2半導体層として、ガリウム砒素からなるpn接合構造とシリコン(Si)からなるpn接合構造とを積層した以外は、実施例10と同様の実験を行った。
その結果、アノード電極に太陽光を照射することにより、導線に反応電流が流れることが観測された。また、観測された反応電位は、実施例10と比較して増加した。また、二酸化炭素の還元生成物は、実施例10と比較して、気体成分では炭化水素類が増加し、液体成分では、アルコール類の比率が増加した。
(実施例15)
カソード電極として、金板を用いた以外は、実施例9と同様の実験を行った。
その結果、アノード電極に太陽光を照射することにより、導線に反応電流が流れることが観測された。また、観測された反応電流量は、実施例9とほぼ同等の反応電流量が観測された。
二酸化炭素の還元生成物は、大部分が一酸化炭素であった。つまり、カソード電極として金を用いることにより、一酸化炭素が選択的に生成されることが確認された。
なお、カソード電極として、金板の代わりに銀板を用いた場合も、一酸化炭素が選択的かつ高効率に生成されることが確認された。
(実施例16)
集光装置として、フレネルレンズの代わりに、凸レンズあるいは凹面鏡を用いた以外は、実施例9と同様の実験を行った。
その結果、集光方法にかかわらず、集光された太陽光のエネルギー密度に依存して反応電流が増加し、単位時間当たりに得られる二酸化炭素の反応生成物量が増加することが確認された。
(実施例17)
第1半導体層を構成するAlGa1−xN層のAl量(x値)をx=0で作製したアノード電極、すなわち、GaN層とn−GaN層が積層されたアノード電極を用いた以外は、実施例9と同様の実験を行った。
その結果、アノード電極において吸収可能な太陽光の量が増加し、単位時間当たりのギ酸生成量が増加することが確認された。
(実施例18)
第1半導体層を構成するAlGa1−xN層のAl量(x値)をx=0〜0.25の間で変化させて作製したアノード電極、すなわち、Al組成が異なるAlGaN層とn−GaN層が積層されたアノード電極を用いた以外は、実施例10と同様の実験を行った。
その結果、x値が小さい方がアノード電極において吸収可能な太陽光の量が増加して、反応電流量は増加するが、メタン及びエチレンなどの炭化水素類や、エタノールなどのアルコール類の生成割合が減少した。一方、x値を大きくすることで、反応電流量は若干低下するが、反応電位が高まるため、上記炭化水素類やアルコール類の生成割合が増加することが確認された。すなわち、反応生成物として、上記有機物に着目した場合、第1半導体層を構成するAlGa1−xN層のAl量(x値)は、0.05≦x≦0.15が好適であった。
以上のように、窒化物半導体で構成される第1半導体層と、pn接合構造を有する第2半導体層の積層構造からなるアノード電極を構成要素に持つ二酸化炭素還元セルと、太陽光追尾装置と、集光装置とを具備する二酸化炭素還元装置を用いることにより、アノード電極への太陽光照射による反応電流量が増加することが見出された。
また、アノード電極で生じた光エネルギーにより、カソード電極では二酸化炭素が還元されることが確認された。
カソード電極としてインジウムを用いた場合、二酸化炭素の還元生成物として、ギ酸が選択的に生成されることを見出した。
また、カソード電極として金又は銀を用いた場合、二酸化炭素の還元生成物として、一酸化炭素が選択的に生成されることを見出した。
また、カソード電極として銅を用いた場合、二酸化炭素の還元生成物として、気体成分では炭化水素類が、液体成分ではアルコール類が選択的に、かつ効率的に得られることを見出した。
本開示は、光によって二酸化炭素を還元する方法、二酸化炭素還元セル及び二酸化炭素還元装置を提供する。
10A、10B、10C、10D、20A、20B、30A、30B、30C、30D、35A、35B アノード電極(光化学電極)
40、50、60 二酸化炭素還元装置
41、300、300A 二酸化炭素還元セル
48、304 アノード電極
49、301 カソード電極

Claims (20)

  1. 二酸化炭素を含有する第1電解液を収容するためのカソード槽と、
    第2電解液を収容するためのアノード槽と、
    前記カソード槽と前記アノード槽との間に挟まれるプロトン透過膜と、
    前記第1電解液に接するよう前記カソード槽の内部に設置され、銅、金、銀、インジウム、これらの合金、又はこれらの金属化合物を表面に具備するカソード電極と、
    前記第2電解液に接するよう前記アノード槽の内部に設置され、AlGa1−xN層(0≦x≦0.25)及びn型GaN層からなる窒化物半導体で構成される第1半導体層と、pn接合構造を有する半導体で構成され、かつ前記第1半導体層とp型半導体層で電気的に接続される第2半導体層と、を具備し、前記カソード電極と外部電源を介することなく電気的に接続されるアノード電極と、
    を備える、二酸化炭素還元セルを用意する工程(a)と、
    前記アノード電極に光を照射して、前記カソード電極で前記第1電解液に含有されている二酸化炭素を還元する工程(b)と、
    を含む、二酸化炭素を還元する方法。
  2. 前記工程(b)において、前記アノード電極に照射する光は、波長365nm以下の光と、波長365nm以上の光と、を含む、請求項1に記載の二酸化炭素を還元する方法。
  3. 前記工程(a)において、前記第1半導体層を構成するAlGa1−xN層の前記xの値は、0.05以上、0.15以下である、請求項1に記載の二酸化炭素を還元する方法。
  4. 前記工程(a)において、前記第1半導体層を構成するn型GaN層は、n型である、請求項1に記載の二酸化炭素を還元する方法。
  5. 前記工程(a)において、前記第2半導体層を構成する前記pn接合構造を有する半導体は、シリコン又はガリウム砒素である、請求項1に記載の二酸化炭素を還元する方法。
  6. 前記工程(a)において、前記AlGa1−xN層の少なくとも一部が、酸化ニッケルの微粒子によって被膜されている、請求項1に記載の二酸化炭素を還元する方法。
  7. 前記工程(a)において、前記第1電解液は、炭酸水素カリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、塩化カリウム水溶液、又は塩化ナトリウム水溶液である、請求項1に記載の二酸化炭素を還元する方法。
  8. 前記工程(a)において、前記第2電解液は、水酸化ナトリウム水溶液である、請求項1に記載の二酸化炭素を還元する方法。
  9. 前記工程(b)において、前記二酸化炭素還元セルは、常温かつ大気圧下におかれる、請求項1に記載の二酸化炭素を還元する方法。
  10. 前記工程(b)において前記アノード電極を照射する光は、太陽光である、請求項1に記載の二酸化炭素を還元する方法。
  11. 前記工程(b)の前に行う工程であって、
    前記二酸化炭素還元セルを固定するための架台部と、
    前記二酸化炭素還元セルの向きを変化させるための駆動部と、
    前記二酸化炭素還元セルの向きを太陽の動きに対して制御するための制御部と、
    を具備し、
    前記制御部によって、前記駆動部で前記架台部を動かし、前記二酸化炭素還元セルのアノード電極の表面領域を太陽光に正対させる、太陽光追尾装置を用意する工程(c)を、含む、請求項10に記載の二酸化炭素を還元する方法。
  12. 前記工程(b)において、太陽光を集光する集光装置を用いて、前記アノード電極に太陽光を集光して照射する、請求項10又は11に記載の二酸化炭素を還元する方法。
  13. 前記工程(b)において、前記集光装置によって集光された光の強度が、200mW/cm以上、10W/cm以下である、請求項12に記載の二酸化炭素を還元する方法。
  14. 前記工程(b)において、前記アノード電極に光を照射して、前記カソード電極で前記第1電解液に含有されている二酸化炭素を還元して、二酸化炭素を有機物に変換する、請求項1に記載の二酸化炭素を還元する方法。
  15. 前記工程(b)において、二酸化炭素を還元して、一酸化炭素、ギ酸、メタン、エチレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アリルアルコールのうち少なくとも1種を得る、請求項14に記載の二酸化炭素を還元する方法。
  16. 光を用いて二酸化炭素を還元するための二酸化炭素還元セルであって、
    二酸化炭素を含有する第1電解液を収容するためのカソード槽と、
    第2電解液を収容するためのアノード槽と、
    前記カソード槽と前記アノード槽との間に挟まれるプロトン透過膜と、
    前記第1電解液に接するよう前記カソード槽の内部に設置され、銅、金、銀、インジウム、これらの合金、又はこれらの金属化合物を表面に具備するカソード電極と、
    前記第2電解液に接するよう前記アノード槽の内部に設置され、AlGa1−xN層(0≦x≦0.25)及びn型GaN層からなる窒化物半導体で構成される第1半導体層と、pn接合構造を有する半導体で構成され、かつ前記第1半導体層とp型半導体層で電気的に接続される第2半導体層と、を具備し、前記カソード電極と外部電源を介することなく電気的に接続されるアノード電極と、
    を備える二酸化炭素還元セル。
  17. 請求項16に記載の前記二酸化炭素還元セルと、
    太陽に対し、前記アノード電極の表面領域が正対するように、太陽の動きと前記二酸化炭素還元セルの向きの変化を同期させるための太陽光追尾装置であって、
    前記二酸化炭素還元セルを固定するための架台部と、
    前記二酸化炭素還元セルの向きを変化させるための駆動部と、
    前記二酸化炭素還元セルの向きを太陽の動きに対して制御するための制御部と、
    を具備し、
    前記制御部によって、前記駆動部で前記架台部を動かし、前記二酸化炭素還元セルのアノード電極の表面領域を太陽光に正対させる、太陽光追尾装置と、
    を備える、二酸化炭素還元装置。
  18. 前記アノード電極表面の所定の領域に対し、太陽光を集光して照射するための集光装置をさらに備える、請求項17に記載の二酸化炭素還元装置。
  19. 前記集光装置は、両凸レンズ、平凸レンズ、又はフレネルレンズである、請求項18に記載の二酸化炭素還元装置。
  20. 前記集光装置は、凹面鏡である、請求項18に記載の二酸化炭素還元装置。
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