JP2017210666A - 二酸化炭素の還元方法、及び二酸化炭素の還元装置 - Google Patents

二酸化炭素の還元方法、及び二酸化炭素の還元装置 Download PDF

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Abstract

【課題】二酸化炭素から高効率に有機物を生成する二酸化炭素の還元方法及び二酸化炭素還元装置を提供する。【解決手段】本開示の二酸化炭素還元装置は、電解槽と二酸化炭素還元デバイス、及び固定冶具あるいはプロトン透過膜と、を備える。前記二酸化炭素還元デバイスは、カソード電極、アノード電極、側面絶縁層とを有し、アノード電極は、InxGa1−xN層(0<x≦0.40)及びGaN層の積層構造を有する、窒化物半導体で構成される第1半導体層と、pn接合構造を有する半導体で構成される第2半導体層とを有する。アノード電極に、第1半導体層で吸収可能な波長と第2半導体層で吸収可能な波長とを有する光を照射することにより、カソード電極上で二酸化炭素を還元して、一酸化炭素、ギ酸、メタン、エチレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、アセトアルデヒド及びプロピオンアルデヒドのうち少なくとも1種を得る。【選択図】図5A

Description

本開示は、二酸化炭素の還元方法、及び二酸化炭素の還元装置に関する。
二酸化炭素(CO)は、有機化合物に代表される種々の炭素化合物の炭素源となりうる物質である。しかし、二酸化炭素はエネルギー的に非常に安定な物質であるため、炭素源として利用するには高い還元エネルギーが必要となる。これまで、光エネルギーによって二酸化炭素を還元し、還元生成物を得る種々の方法が試みられてきた。以下の各文献1〜11は、光エネルギーによって二酸化炭素を還元する方法を開示している。
特許文献1及び特許文献2は、酸化チタンなどの酸化物半導体を光触媒材料に用いて、二酸化炭素を還元する方法を開示している。
特許文献3及び特許文献4は、所定の金属及び半導体から合成された光触媒材料を利用して二酸化炭素を還元する方法を開示している。
特許文献5及び特許文献6は、半導体及び金属錯体を含有する光触媒体から形成されたカソード電極に光を照射して、二酸化炭素を還元する方法を開示している。
特許文献7及び特許文献8は、酸化チタン等の半導体からなるアノード電極に光を照射して、二酸化炭素をカソード電極で還元する方法を開示している。特許文献7及び特許文献8に開示された方法は、カソード電極及びアノード電極以外に、太陽電池又はポテンショスタット等の外部電源を別途必要としている。
特許文献9及び特許文献10は、窒化ガリウム、又は窒化アルミニウムガリウムと窒化ガリウムとから形成されたアノード電極に光を照射して、二酸化炭素をカソード電極で還元する方法を開示している。
特許文献11は、窒化インジウムガリウム、窒化ガリウム、pn接合構造を有する半導体からなるアノード電極に光を照射して、二酸化炭素をカソード電極で還元する方法を開示している。特許文献9〜11に開示された方法は、ポテンショスタット等の外部電源を必要とせず、光照射のみで二酸化炭素の還元を行っている。
一方、特許文献12、13は、アノード電極とカソード電極が一体となったデバイスで、光エネルギーによって水分解する方法を開示している。特許文献12は、TiOとシリコンpn接合を用い、特許文献13はp型Siとn型InGaNの組み合わせを用いて、光照射による水の電気分解を実施している。
特開昭55−105625号公報 特許第2526396号公報 特許第3876305号公報 特許第4158850号公報 特許第5493572号公報 特開2011−094194号公報 特開平05−311476号公報 特開平07−188961号公報 国際公開第2012/046374号 特許第5236125号公報 特願2015−134507 特開2004−315942号公報 特開2010−260029号公報
しかしながら、従来の方法では、光照射のみで二酸化炭素を還元できずに外部電源を必要とするか、あるいは光照射のみで二酸化炭素を還元できる場合においても、電解液中にアノード電極とカソード電極が分離して配置されているため、電極と導線間のコンタクト抵抗に加え、導線自体のシリーズ抵抗や、電極間が距離的に離れていることによって溶液抵抗が増加するため、還元生成物の生成効率が低下する、すなわち、二酸化炭素から得られる還元生成物量が減少するという課題があった。
また、アノード電極とカソード電極とが一体となったデバイスの場合には、デバイスの側面が絶縁層で電気的に絶縁されていないため、側面で反応や電流リークを生じ、デバイス性能は低下するという課題があった。
更には、上記のアノード電極とカソード電極が一体化されたデバイスを、電解液中に支持し動作させるためには、アノード電極とカソード電極の電解液に接するそれぞれの表面の間に、短絡が生じないように支持することが必要となる。
本開示の目的の一つは、光照射のみで実施可能である、より高効率でより信頼性の高い二酸化炭素の還元方法、及び二酸化炭素の還元装置の提供である。
本開示に係る二酸化炭素の還元方法は:二酸化炭素を含有する支持電解液を保持する電解槽と、前記支持電解液に接する二酸化炭素還元デバイスと、前記二酸化炭素還元デバイスを支持する固定冶具と、を備える二酸化炭素還元装置を用意する工程(a)と;前記二酸化炭素還元デバイスは、前記支持電解液に接する金属又は金属化合物を有するカソード電極と、前記支持電解液に接するアノード電極と、を含み;前記アノード電極に光を照射して、前記支持電解液に含有される二酸化炭素を前記カソード電極上で還元する工程(b)と;を含む。前記二酸化炭素還元装置において:前記アノード電極は、InGa1−xN層(0<x≦0.40)及びGaN層の積層構造を有する、窒化物半導体により構成される第1半導体層と、pn接合構造を有する半導体により構成される第2半導体層とを有し;前記二酸化炭素還元デバイスでは、光照射面側から、前記第1半導体層のInGa1−xN層、前記第1半導体層のGaN層、前記第2半導体層のp形層、及び前記第2半導体層のn形層、カソード電極、がこの順に配置されており、前記二酸化炭素還元デバイスの側面が、側面絶縁層によって電気的に絶縁されており、前記二酸化炭素還元デバイスは電解液中に、アノード電極とカソード電極の電解液に接するそれぞれの表面の間を、固定冶具により、絶縁しつつ支持されている。
本開示に係る二酸化炭素の還元方法では、光照射による二酸化炭素の還元効率が向上し、例えば、二酸化炭素から得られる還元生成物の量を増加させることができる。
本開示に係るアノード電極(光化学電極)の一例を模式的に示す断面図である。 本開示に係るアノード電極(光化学電極)の別の一例を模式的に示す断面図である。 本開示に係るアノード電極(光化学電極)のさらに別の一例を模式的に示す断面図である。 本開示に係るアノード電極(光化学電極)のさらにまた別の一例を模式的に示す断面図である。 本開示に係る二酸化炭素還元デバイスの実施形態の一例を模式的に示す断面図である。 本開示に係る二酸化炭素還元デバイスの実施形態の別の一例を模式的に示す断面図である。 本開示に係る二酸化炭素還元デバイスの実施形態のさらに別の一例を模式的に示す断面図である。 従来アノード電極(光化学電極)の実施形態の一例を模式的に示す断面図である。 本開示に係る二酸化炭素還元装置の一例を示す概略図である。 本開示に係る二酸化炭素還元装置の別の一例を示す概略図である。 従来二酸化炭素還元装置の一例を示す概略図である。 従来二酸化炭素還元装置の別の一例を示す概略図である。
特許文献1〜11には、光触媒材料や光化学電極への光照射を利用して、二酸化炭素を還元処理できることが報告されている。すなわち、特許文献1〜11は、光照射によって生成されたキャリア(電子及び正孔)を利用することで、二酸化炭素を還元処理し、二酸化炭素を有機物に変換できることを開示している。このような光エネルギーを用いた二酸化炭素の還元反応において、二酸化炭素から得られる反応生成物(還元生成物)の種類や生成量は、光励起によって得られるキャリアの生成量及び光化学電極に生じる光起電力値に依存する。
しかしながら、特許文献1〜11は、光照射のみで二酸化炭素を還元できずに外部電源を必要とするか、あるいは光照射のみで二酸化炭素を還元できる場合においても、電解液中にアノード電極とカソード電極が分離して配置されているため、電極と導線間のコンタクト抵抗に加え、導線自体のシリーズ抵抗や、電極間が距離的に離れていることによって溶液抵抗が増加するため、還元生成物の生成効率が低下する、すなわち、二酸化炭素から得られる還元生成物量が減少する。
一方、特許文献12、13は、アノード電極とカソード電極が一体となったデバイスで、光エネルギーによって水分解する方法を開示しており、特許文献12は酸化チタンとシリコンpn接合を用い、特許文献13はp型シリコンとn型窒化インジウムガリウムInGa1−xN(x≧0.4)の組み合わせを用いて、光照射による水の電気分解を実施している。しかしながら、上記の一体型デバイスは光起電力値が低いため、二酸化炭素の還元処理に適用した場合には、二酸化炭素を効率よく還元することができない。
また、アノード電極とカソード電極とが一体となったデバイスの場合には、デバイスの側面で反応や電流リークが発生することを防止するために、デバイスの側面を絶縁層で電気的に絶縁する必要がある。特許文献12に端面保護膜として言及があるものの、保護膜の材料や機能など、その詳細は記載されていない。特許文献13に表面保護膜の材料として種々の絶縁体を用いることが記載されているが、デバイスの側面に関しては記載が無い。これまでの報告を鑑みるに、デバイス側面の電気的な絶縁の必要性については十分な認識がなされていないといえる。
更には、上記のアノード電極とカソード電極が一体化されたデバイスを、電解液中に支持し動作させるためには、アノード電極とカソード電極の電解液に接するそれぞれの表面の間に、短絡電流を生じないように支持することが必要となる。
それに対し、本発明者らは、アノード電極(光化学電極)として、窒化インジウムガリウム(以下、InGaNとも記す)及び窒化ガリウム(GaN)の積層構造を有する窒化物半導体材料により構成される第1半導体層と、pn接合を有する第2半導体層と、カソード電極を有し、かつ光が照射される面側から第1半導体層、第2半導体層、カソード電極が順に配置され、側面が電気的に絶縁された二酸化炭素還元デバイスを採用することにより、反応電流量が増加し、光エネルギーを用いた二酸化炭素の還元反応効率が高まることを見出した。また、本デバイスが、光照射のみで二酸化炭素から一酸化炭素、ギ酸のみならず、さらに体積あたりのエネルギー密度の高い炭化水素やアルコールといった材料を、生成可能なことを見出した。本開示に係る二酸化炭素の還元方法は、かかる知見に基づいてなされたものである。
続いて、本発明の実施態様について説明する。
本開示の第1態様に係る二酸化炭素の還元方法は:二酸化炭素を含有する支持電解液を保持する電解槽と、前記支持電解液に接する二酸化炭素還元デバイスと、前記二酸化炭素還元デバイスを支持する固定冶具と、を備える二酸化炭素還元装置を用意する工程(a)と;前記二酸化炭素還元デバイスは、前記支持電解液に接する金属又は金属化合物を有するカソード電極と、前記支持電解液に接するアノード電極と、を含み;前記アノード電極に光を照射して、前記支持電解液に含有される二酸化炭素を前記カソード電極上で還元する工程(b)と;を含む。前記二酸化炭素還元装置において:前記アノード電極は、InGa1−xN層(0<x≦0.40)及びGaN層の積層構造を有する、窒化物半導体により構成される第1半導体層と、pn接合構造を有する半導体により構成される第2半導体層とを有し;前記二酸化炭素還元デバイスでは、光照射面側から、前記第1半導体層のInGa1−xN層、前記第1半導体層のGaN層、前記第2半導体層のp形層、及び前記第2半導体層のn形層、カソード電極、がこの順に配置されており、前記二酸化炭素還元デバイスの側面が、側面絶縁層によって電気的に絶縁されており、前記二酸化炭素還元デバイスは電解液中に、アノード電極とカソード電極の電解液に接するそれぞれの表面の間を、固定冶具により、絶縁しつつ支持されている。
上記第1態様によれば、アノード電極(光化学電極)への光照射のみで、カソード電極における二酸化炭素の還元処理、すなわち、有機物への変換処理を効率的に実現することが可能な方法を提供することができる。
本開示の第2態様に係る二酸化炭素の還元方法は:二酸化炭素を含有する第1電解液を保持するカソード槽と、第2電解液を保持するアノード槽と、前記カソード槽と前記アノード槽との間に挟まれるプロトン透過膜と二酸化炭素還元デバイスと、前記第1電解液に接し、金属又は金属化合物を有するカソード電極と、前記第2電解液に接するアノード電極と、を備える二酸化炭素還元装置を用意する工程(a)と;前記アノード電極に光を照射して、前記第1電解液に含有される二酸化炭素を前記カソード電極上で還元する工程(b)と;を含む。前記二酸化炭素還元装置において:前記アノード電極は、InGa1−xN層(0<x≦0.40)及びGaN層の積層構造を有する、窒化物半導体により構成される第1半導体層と、pn接合構造を有する半導体により構成される第2半導体層とを有し;前記二酸化炭素還元デバイスでは、光照射面側から、前記第1半導体層のInGa1−xN層、前記第1半導体層のGaN層、前記第2半導体層のp形層、及び前記第2半導体層のn形層、カソード電極がこの順に配置されており、前記二酸化炭素還元デバイスの側面が、側面絶縁層によって電気的に絶縁されている。
本開示の第3態様に係る二酸化炭素の還元方法は、上記第1態様と第2態様の特徴に加え、前記アノード電極に照射される光が、前記第1半導体層で吸収可能な波長と、前記第2半導体層で吸収可能な波長とを有する。
上記第3態様によれば、様々な波長を有する光を有効に活用することができる。
本開示の第4態様に係る二酸化炭素の還元方法は、上記第3態様の特徴に加え、前記InGa1−xN層のxの値が0.4のとき、前記第1半導体層で吸収可能な波長が625nm以下の波長であり、前記第2半導体層で吸収可能な波長が625nm以上の波長である。
本開示の第5態様に係る二酸化炭素の還元方法は、上記第2態様の特徴に加え、前記InGa1−xN層のxの値が0.1のとき、前記第1半導体層で吸収可能な波長が415nm以下の波長であり、前記第2半導体層で吸収可能な波長が415nm以上の波長である。
本開示の第6態様に係る二酸化炭素の還元方法は、上記第1から第5のいずれかの態様の特徴に加え、前記カソード電極が有する金属又は金属化合物が、金、金合金、又は金化合物であり、前記工程(b)において、前記二酸化炭素の還元により一酸化炭素を得る。
上記第6態様によれば、二酸化炭素を還元処理した結果の反応生成物として、一酸化炭素(CO)成分ができ、水素(H)成分を含む合成ガスを高効率に生成することができる。
本開示の第7態様に係る二酸化炭素の還元方法は、上記第1から第5のいずれかの態様の特徴に加え、前記カソード電極が有する金属又は金属化合物が、インジウム、インジウム合金、又はインジウム化合物であり、前記工程(b)において、前記二酸化炭素の還元によりギ酸を得る。
上記第7態様によれば、二酸化炭素を還元処理した結果の反応生成物として、ギ酸(HCOOH)成分を高効率に生成することができる。
本開示の第8態様に係る二酸化炭素の還元方法は、上記第1から第5のいずれかの態様の特徴に加え、前記カソード電極が有する金属又は金属化合物が、銅、銅合金、又は銅化合物であり、前記工程(b)において、前記二酸化炭素の還元により、メタン、エチレン、エタノール、及びアセトアルデヒドのうち少なくとも1種を得る。
上記第8態様によれば、二酸化炭素を還元処理した結果の反応生成物として、メタン(CH)、エチレン(C)等の炭化水素成分やエタノール(COH)などのアルコール成分を得ることができる。
本開示の第9態様に係る二酸化炭素の還元方法は、上記第1から第5のいずれかの態様の特徴に加え、前記カソード電極が有する金属又は金属化合物が、銀、銀合金、又は銀化合物であり、前記工程(b)において、前記二酸化炭素の還元により一酸化炭素を得る。
上記第9態様によれば、二酸化炭素を還元処理した結果の反応生成物として、一酸化炭素(CO)成分ができ、水素(H)成分を含む合成ガスを高効率に生成することができる。
本開示の第10態様に係る二酸化炭素の還元方法は、上記第1から第9のいずれかの態様の特徴に加え、前記アノード電極が有するInGa1−xN層のxの値が0.05≦x≦0.15である。
上記第10態様によれば、アノード電極で効率的な光吸収がなされると共に、アノード電極に生じる光起電力も高くなるため、カソード電極における二酸化炭素の還元量を高めることができる。
本開示の第11態様に係る二酸化炭素の還元方法は、上記第1から第10のいずれかの態様の特徴に加え、前記アノード電極が有するGaN層がn形である。
上記第11態様によれば、光励起によって生成したキャリアが移動するGaN層の電気抵抗が小さくなり、オーミック損失が低減するため、光化学電極としてのアノード電極の性能を高めることができる。
本開示の第12態様に係る二酸化炭素の還元方法は、上記第1から第11のいずれかの態様の特徴に加え、前記アノード電極が有する第2半導体層が、Si、GaAs、GaP、及びGeのうち少なくとも1種から構成される。
上記第12態様によれば、前記第1半導体層を透過して前記第2半導体層に到達した光を有効に利用することができる。
本開示の第13態様に係る二酸化炭素の還元方法は、上記第1から第12のいずれかの態様の特徴に加え、前記アノード電極が複数の第2半導体層を有し、前記アノード電極には、一方の第2半導体層のn形層が他方の第2半導体層のp形層と電気的に接続した、隣り合う第2半導体層のペアが存在する。
上記第13態様によれば、前記第1半導体層を透過して前記第2半導体層に到達した光をさらに有効利用することができる。また、アノード電極に生じる光起電力値を高めることができる。
本開示の第14態様に係る二酸化炭素の還元方法は、上記第1から第13のいずれかの態様の特徴に加え、前記アノード電極が有する第2半導体層のp形層とn形層とが、互いに異なる半導体により構成される。
上記第14態様によれば、前記第1半導体層を透過して前記第2半導体層に到達した光をより有効利用することができる。また、アノード電極に生じる光起電力値を高めることもできる。
本開示の第15態様に係る二酸化炭素の還元方法は、上記第1から第14のいずれかの態様の特徴に加え、前記アノード電極が有するInGa1−xN層の前記第2電解液と接する側の表面に、NiO(0<y≦1)が配置されている。
上記第15態様によれば、酸化ニッケルNiOが有する助触媒的な作用により、アノード電極の酸素生成効率を高めることができる。
本開示の第16態様に係る二酸化炭素の還元方法は、上記第1から第15のいずれかの態様の特徴に加え、側面絶縁層が、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、等の耐水性、耐薬液性の高い合成樹脂や、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化シリコン、等の窒化ガリウムよりもワイドギャップ(4.1eV以上が好ましい)な絶縁体材料のうち少なくとも1種を含む。
本開示の第16態様によれば、前記側面絶縁層が前記光電気デバイス側面における反応や電流リークを防ぎ、デバイス動作時の特性低下を防止することができる。
本開示の第17態様に係る二酸化炭素の還元方法は、上記第1から第16のいずれかの態様の特徴に加え、前記支持電解液が、炭酸水素カリウム、及び炭酸水素ナトリウムのうち少なくとも1種を含む水溶液である。
上記第17態様によれば、これらの電解液は、電解槽に収容される電解液として好適である。
本開示の第18態様に係る二酸化炭素の還元方法は、上記第1から第16のいずれかの態様の特徴に加え、前記第1電解液が、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カリウム、及び塩化ナトリウムのうち少なくとも1種を含む水溶液である。
上記第18態様によれば、これらの電解液は、カソード槽に収容される電解液として好適である。
本開示の第19態様に係る二酸化炭素の還元方法は、上記第1から第16、18のいずれかの態様の特徴に加え、前記第2電解液が、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウムのうち少なくとも1種を含む水溶液である。
上記第19態様によれば、この電解液は、アノード槽に収容される電解液として好適である。
本開示の第20態様に係る二酸化炭素の還元方法は、上記第1から第19のいずれかの態様の特徴に加え、前記工程(b)において、二酸化炭素還元装置は室温かつ大気圧下に設置される。
上記第20態様によれば、特殊な環境に設置することなく、光エネルギーによる二酸化炭素還元がなされる。
本開示の第21態様に係る二酸化炭素の還元装置は、二酸化炭素を含有する支持電解液を保持するように構成された電解槽と、二酸化炭素の還元時に前記支持電解液に接するように前記電解槽の内部に設置された、二酸化炭素還元デバイスと、前記二酸化炭素還元デバイスを支持する固定冶具を備える。前記二酸化炭素還元デバイスは、金属又は金属化合物を有するカソード電極と、アノード電極と、側面絶縁層と、を備える。前記アノード電極は、InGa1−xN層(0<x≦0.40)及びGaN層の積層構造を有する、窒化物半導体により構成される第1半導体層と、pn接合構造を有する半導体により構成される第2半導体層と、を有する。前記二酸化炭素還元デバイスでは、光照射面側から、前記第1半導体層のInGa1−xN層、前記第1半導体層のGaN層、前記第2半導体層のp形層、前記第2半導体層のn形層、及びカソード電極が、この順に配置されている。前記二酸化炭素還元デバイスの側面は、側面絶縁層によって電気的に絶縁されており、前記二酸化炭素還元デバイスは、電解液中に、アノード電極とカソード電極の電解液に接するそれぞれの表面の間を、固定冶具により、絶縁しつつ支持されている。
上記第21態様によれば、アノード電極表面(InGa1−xN層側の表面)に光照射することによりカソード電極において二酸化炭素の還元反応が起こると共に、光照射によって生じる光起電力値が向上するため、二酸化炭素還元量を増加させることができる。また、二酸化炭素から直接一酸化炭素、ギ酸、炭化水素やアルコール成分を生成することができる。
本開示の第22態様に係る二酸化炭素の還元装置は、二酸化炭素を含有する第1電解液を保持するように構成されたカソード槽と、第2電解液を保持するように構成されたアノード槽と、前記カソード槽と前記アノード槽との間に挟まれるプロトン透過膜と二酸化炭素還元デバイスと、を含む。前記二酸化炭素還元デバイスは、二酸化炭素の還元時に前記第1電解液に接するように前記カソード槽の内部に設置された、金属又は金属化合物を有するカソード電極と、二酸化炭素の還元時に前記第2電解液に接するように前記アノード槽の内部に設置されたアノード電極と、側面絶縁層と、を備える。前記アノード電極は、InGa1−xN層(0<x≦0.40)及びGaN層の積層構造を有する、窒化物半導体により構成される第1半導体層と、pn接合構造を有する半導体により構成される第2半導体層と、を有する。前記二酸化炭素還元デバイスでは、光照射面側から、前記第1半導体層のInGa1−xN層、前記第1半導体層のGaN層、前記第2半導体層のp形層、前記第2半導体層のn形層、及びカソード電極が、この順に配置されている。前記二酸化炭素還元デバイスの側面は、側面絶縁層によって電気的に絶縁されている。
上記第22態様によれば、アノード電極表面(InGa1−xN層側の表面)に光照射することによりカソード電極において二酸化炭素の還元反応が起こると共に、光照射によって生じる光起電力値が向上するため、二酸化炭素還元量を増加させることができる。また、二酸化炭素から直接一酸化炭素、ギ酸、炭化水素やアルコール成分を生成することができる。
以下、本開示の実施の形態に係る二酸化炭素の還元方法、及び二酸化炭素還元装置について、図面を参照しながら説明する。本発明は、以下に示す実施形態に限定されない。
(アノード電極)
図1Aは、本開示に係る二酸化炭素の還元処理に用いるアノード電極(光化学電極)の一例を示す概略図である。図1Aに示すアノード電極100Aは、光が照射される面(光照射面)の側から、窒化物半導体材料で構成される第1半導体層11と、pn接合構造を有する第2半導体層12とが積層された構造を有する。第1半導体層11は、窒化インジウムガリウム層(InGa1−xN層;インジウム(In)組成量を表すxの値は、式0<x≦0.40を満たす;以下、InGaN層とも記す)13及び窒化ガリウム層(GaN層、以下、GaN層とも記す)14から構成されている。第2半導体層12は、pn接合構造を有する半導体層である。第1半導体層11のGaN層14と、第2半導体層12のp形層とが電気的に接続されている。図1Aに示す例の第1及び第2半導体層11,12は、導電性基材15及び電極部16を介して、第1半導体層11のGaN層14側と第2半導体層12のp形層とが電気的に接続されている。
このようなアノード電極の作製方法として、ベースとなる基材上に、まずpn接合構造を有する第2半導体層を形成し、さらに連続的に窒化物半導体材料から構成される第1半導体層を形成する方法(方法A)がある。これとは別に、第1半導体層及び第2半導体層を個々に形成した後、それぞれの電極領域を接合する方法(方法B)がある。方法Bの方が簡便である。図1Aに示したアノード電極100Aは、方法Bに基づいて作製した構造を有しており、具体的には、導電性基材15上に窒化物半導体材料により構成される第1半導体層11を形成し、さらに別途作製した第2半導体層12を電極部16で接合した構造を有する。端子電極部17は、例えば、透明導電材料又は金属などにより構成される。透明導電材料は、例えば、ZnO、ITO(Indium Tin Oxide)、SnOなどである。
以下、方法Bによるアノード電極100Aの作製方法について、より具体的に説明する。
第1半導体層11は、例えば、導電性基材15上に窒化物半導体層(InGaN層13及びGaN層14)を薄膜として製膜することにより、形成される。そのためには、基材上への窒化物半導体の薄膜形成手法を、特に限定されることなく採用できる。当該手法は、例えば、有機金属気相エピタキシー法である。導電性基材15に用いる具体的な材料は特に限定されないが、例えば、低抵抗な単結晶窒化ガリウム(GaN)基板、酸化ガリウム基板(Ga)基板、炭化シリコン(SiC)基板である。
導電性基材15に配置される電極部16の形成方法も特に限定されないが、通常の金属薄膜形成法として利用されている真空蒸着法(抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着など)が好適である。図1Aに示す例において電極部16は、導電性基材15における第1半導体層11側の面とは反対側の面に配置される。
第1半導体層11の基本的な機能は、InGaN層13からなる領域で光を吸収し、その光励起によって生成したキャリア(電子及び正孔)の作用により、酸化還元反応に寄与することである。具体的には、InGaN層13内で光励起により生成した正孔は、アノード電極100Aの表面(InGaN層13側の表面)に移動し、アノード電極100Aと接している水を酸化して酸素を生成する。すなわち、アノード電極100A自体は、酸素生成電極として機能する。
InGaN層13での光吸収量を決めるのは、バンドギャップ値(禁制帯幅)であり、その値はIn組成を増すことにより減少させることができる。このため、バンドギャップ値の制御により、InGaN層13が約365nm以上の波長を有する光を吸収できるように調整できる。しかしながら、InGaN層13による長波長の光吸収が過分に増大した場合には、第2半導体層12における光吸収が低下するので、結果的に第2半導体層12によって電流が律速され、アノード電極全体としての光起電力値が低下する。よって、光の有効利用の観点から、アノード電極10Aが有するInGaN層13のIn組成は、組成式InGa1-xNにおけるxの値にして0<x≦0.40の範囲である。この場合、InGaN層13は、波長625nm以下の光を吸収する。InGaN層13のIn組成は、上記xの値にして0.05≦x≦0.15が好ましい。
上記波長範囲の成分を有する光をInGaN層13の表面に照射した場合、その吸収領域は、InGaN層のバンドギャップ値にも依存するが、概ね光照射面から100nm程度である。このため、InGaN層13の厚さは、例えば70nm以上300nm以下、好適には80nm以上150nm以下である。
光励起によってInGaN層13内に生成した電子は、第1半導体層11のGaN層14を介して、第2半導体層12のp形層側に供給される。GaN層14はn形である(n形のGaNにより構成される)ことが好ましい。GaN層14がn形であると、GaN層14の電気抵抗成分が小さくなるため、キャリア輸送に伴うオーミック損失を低減できる。n形のGaN層14として、不純物元素(例えば、シリコン)が添加された低抵抗な窒化ガリウム層(n+形GaN層)を適用することが好適である。実施例では、この構成を採用した。シリコンが添加されたn+形GaN層14のキャリア濃度は、1×1018個/cm以上が好ましく、望ましくは2×1018〜8×1018個/cm程度である。
pn接合構造を有する第2半導体層12は、p形特性を示す材料(半導体材料)により構成されるp形層と、n形特性を示す材料(半導体材料)により構成されるn形層との接合構造を有する。p形層とn形層の間にi形特性を示す材料が含まれていてもよい。すなわち、第2半導体層12が有するpn接合構造には、pin接合構造も含まれる。同様に、第2半導体層12が有するpn接合構造には、pi層間、あるいはin層間といった接合界面に導入されるバッファ層を含む構造も含まれる。
一般的には、p形特性を示す材料とn形特性を示す材料とは同一材料により構成されるが、異種材料でpn接合構造を形成してもよい。すなわち、第2半導体層12のp形層とn形層とが互いに異なる半導体により構成されてもよい。
第2半導体層12は、例えば、Si、GaAs、GaP、及びGeのうち少なくとも1種から構成される。
pn接合構造を有する第2半導体層12では、第1半導体層11の透過光に含まれる吸収可能な光成分を吸収し、励起キャリアを生成すると共に、光起電力が生じる。結果として、光照射によって励起された正孔は、第1半導体層11側から供給されたキャリアと再結合するが、第2半導体層12で励起された電子は、アノード電極100Aに配された端子電極部17に集められ、二酸化炭素を還元するカソード電極側に供給される。カソード電極に印加される電位は、第1半導体層11に生じた光起電力と第2半導体層12に生じた光起電力との和となる。すなわち、第1半導体層11と第2半導体層12とを積層したアノード電極100Aを用いることで、アノード電極全体としてのキャリアの再結合を抑制すると共に、光照射によって生じる光起電力値を向上させることが可能になり、カソード電極における二酸化炭素の還元処理量を増加させることが可能になる。
アノード電極は、複数の第2半導体層12を有していてもよい。この場合、アノード電極には、一方の第2半導体層12のn形層が、他方の第2半導体層のp形層と電気的に接続した、隣り合う第2半導体層12のペアが存在することが好ましく、アノード電極が有する全ての第2半導体層12が、そのn形層(又はp形層)と、隣接する第2半導体層12のp形層(又はn形層)と電気的に接続されていることがさらに好ましい。電気的な接続を達成するために、一方の第2半導体層12のn形層と他方の第2半導体層12のp形層とが直接接している必要は必ずしもない。例えば、導電層を介して(間に挟んだ状態で)一方の第2半導体層12のn形層と他方の第2半導体層12のp形層とが電気的に接続されていてもよい。導電層は、例えば、透明導電層19、中間反射層である。中間反射層は、例えば、低屈折率材料により構成され、低屈折率材料は、例えば、ZnO、SiOなどである。中間反射層を介して電気的に接続されている第2半導体層12のペアの一例は、「pn接合構造(あるいはpin接合構造)を有するアモルファスシリコン層/中間反射層/pn接合構造(あるいはpin接合構造)を有する微結晶シリコン層」である。
以上が、本実施形態に係る二酸化炭素の還元処理に用いるアノード電極の主要構成であるが、アノード電極の機能である酸素生成効率を高めると共に、アノード電極の耐久性を高める構成として、InGaN層13の表面(光照射面側の表面であって第2電解液と接する表面)、あるいは当該表面の一部に酸化ニッケル(NiO:0<y≦1)18を多数、分散配置することが好適である。図1Aに示す例では、微粒子状の酸化ニッケル18が配置されているが、これに代わって、酸化ニッケルを含んだ薄膜をInGaN層13への光照射が妨げられない範囲でInGaN層13の表面、あるいは表面の一部に配置することも可能である。この場合、当該薄膜の厚みを、InGaN層13への光照射が妨げられない程度に薄く、例えば10nm以下に、する。また、酸化ニッケルの形状は必ずしも均一である必要はなく、様々な形状やサイズのものがInGaN層13の表面にランダムに分散配置されていてもよい。これらの構成では、酸化ニッケルが有する助触媒的な作用により、アノード電極における酸素生成効率が高まる効果があることを本発明者らは確認している。
図1Bは、窒化物半導体により構成される第1半導体層11と、pn接合構造を有する第2半導体層12とを、透明導電層19を介して接合した構造を有するアノード電極の例である。このように、第1半導体層11と第2半導体層12とが電気的に接続され、かつ第2半導体層12に第1半導体層11の透過光が照射される構成であれば、半導体層11,12の接続部の構成は特に限定されない。透明導電層19は、透明導電材料により構成される。透明導電材料は、例えば、ZnO、ITO(Indium Tin Oxide)、SnO2などである。
図2A及び図2Bは、本開示に係る二酸化炭素の還元処理に用いるアノード電極であって、pn接合構造を有する複数の第2半導体層12を備える例(アノード電極200A,200B)を示す。図2A及び図2Bでは、2つの第2半導体層12が透明導電層19を介して互いに積層されている。
第2半導体層12が有する具体的なpn接合構造の組み合わせとしては、ガリウムヒ素(GaAs)とシリコン(Si);アモルファスシリコン(a−Si)と結晶シリコン(c−Si);あるいは微結晶シリコン(μc−Si)と、ガリウム燐(GaP)、ゲルマニウム(Ge)などである。第1半導体層11の透過光を有効に吸収可能なバンドギャップを有する材料の組み合わせであれば、第2半導体層12のpn接合は特に限定はされない。本実施例においては、主にアモルファスシリコンで作製したpin接合構造と微結晶シリコンで作製したpin接合構造とを積層したものを第2半導体層12として用いた。
(二酸化炭素還元デバイス)
図3Aは、本開示に係る二酸化炭素の還元処理に用いる二酸化炭素還元デバイスの一例を示す概略図である。なお、以下において、「二酸化炭素還元デバイス」は、「積層体」とも称される。図3Aに示す二酸化炭素還元デバイス300Aは、アノード電極100Aの端子電極部17とカソード電極21が接続されており、側面を側面絶縁層20が被覆する構造を有する。二酸化炭素還元デバイス300Aは、端子電極部17を介さず、第2半導体層12のn形層上に直接カソード電極21を形成してもよい。二酸化炭素還元デバイス300Aの機械的強度が低い場合は、電解液の対流によって振動し破損する恐れがあるため、端子電極部17に金属板を含む構造によって機械的強度を持たせると良い。また、金属板には直接カソード電極21を形成してもよい。金属板としては、例えば機械的強度の高いステンレス鋼板、銅板などが用いられる。カソード電極21は、金属(金属合金を含む)、又は金属化合物により構成される触媒層を表面に有している。上記金属(金属合金)又は金属化合物としては、金(Au)、インジウム(In)、銅(Cu)、及び銀(Ag)のうちから少なくとも1種以上を含有するものが好ましい。具体的な側面絶縁層20としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、フェノール樹脂、等の耐水性、耐薬液性の高い合成樹脂や、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、等の窒化ガリウムよりもワイドギャップな絶縁体材料などである。これらの絶縁体材料のバンドギャップは、太陽光によってキャリアが生成されないように、4.1eV以上である必要がある。
図3Bに示す二酸化炭素還元デバイス300Bは、前記300Aのカソード電極側を表面絶縁層22で被覆した構造を有する。表面絶縁層22でカソード電極21の表面積を変えることにより、二酸化炭素還元デバイスの動作点を最適化することができる。具体的な表面絶縁層22としては、側面絶縁層20と同様の材料を用いるとよい。
図3Cに示す二酸化炭素還元デバイス300Cは、前記300Aに貫通孔23を設け、孔側面を側面絶縁層20で被覆した構造を有する。二酸化炭素還元デバイスが大面積になった場合には、アノード電極からカソード電極へのプロトンの移動距離が長くなり、溶液抵抗が増加するが、本構造のように貫通孔23を設けることによって、プロトンの移動距離を短縮し、溶液抵抗を低下させることが可能となる。
(分離型アノード電極)
図4は、本開示に係る二酸化炭素の還元処理に用いる分離型アノード電極の一例を示す概略図である。図4に示す分離型アノード電極400は、支持基板26上に導電層24、アノード電極100Aを配し、アノード電極100Aの側面を側面絶縁層20、導電層24の表面を表面絶縁層22、導電層24の側面を側面絶縁層20で被覆し、導線を介してカソード電極21へ接続するための電極端子25が導電層24上にある、という構造を有する。支持基板26は、具体的にはガラスなどの絶縁材料を用いる。表面絶縁層22は、前記側面絶縁層20と同様の材料を用いることができる。つまり、アノード電極表面(光照射面の側)のみが電解液に露出するように絶縁する。導電層24には、具体的には、金属箔や導電性テープ、スパッタや蒸着により形成された導電膜、などを用いることができる。
(光照射によって二酸化炭素を還元処理するための装置)
図5Aは、二酸化炭素還元デバイスを用いて、光照射によって二酸化炭素を還元処理するための装置の一例を表した概略図である。装置500Aは、電解槽27とガス導入管28を具備し、電解槽27の内部には支持電解液29が保持されていると共に、固定冶具30を通して二酸化炭素還元デバイス300Aが支持されている。なお、以下において「固定冶具」は「支持具」と、「支持電解液」は「電解液」とも称される。二酸化炭素還元デバイス300Aは支持電解液29に接している。具体的には、二酸化炭素還元デバイス300Aは、支持電解液29に浸漬されている。固定冶具30は支持電解液29に接していなくてもよい。電解槽27に保持される支持電解液29には一般的な電解液を使用することができるが、とりわけ、炭酸水素カリウム(KHCO)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)のうち少なくとも1種を含む水溶液が好ましい。支持電解液の濃度としては、いずれの電解質を含む場合も0.5mol/L以上が好適である。支持電解液29には、さらに二酸化炭素が含有(溶解)されている。支持電解液29に含まれている二酸化炭素の濃度は、特に限定されない。支持電解液29は、二酸化炭素が当該電解液に溶解した状態において、酸性であることが好ましい。二酸化炭素還元デバイス300Aの代わりに、類似の構造を持つ300B、300Cを用いてもよい。二酸化炭素還元デバイス内のアノード電極100Aの代わりに、類似の構造を持つ100B、200A、200Bを用いてもよい。つまり、二酸化炭素を還元する能力を有する二酸化炭素還元デバイスやアノード電極であれば、その構成は限定されない。二酸化炭素還元デバイス300Aは電解液中に、アノード電極とカソード電極の電解液に接するそれぞれの表面の間を、固定冶具30により、絶縁しつつ支持されている。この支持方法により、アノード電極とカソード電極の電解液に接するそれぞれの表面の間が短絡せず、デバイスが正常動作する。固定冶具30の素材は、具体的にはテフロン(登録商標)、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ガラスなどの優れた耐水性、耐薬液性、絶縁性を持つものが好適である。固定冶具30の素材として機械的強度の高い金属材料を用いる場合には、二酸化炭素還元デバイス表面と金属材料表面を耐水性、耐薬液性、絶縁性を持つ材料で介することが必要となる。
後記するように、二酸化炭素還元デバイス300Aにおける支持電解液29に浸漬されている領域には、少なくとも第1半導体層11で吸収可能な波長を有する光と第2半導体層12で吸収可能な光を含んだ光が光源31より照射される。光源31の具体例は、キセノンランプ、水銀ランプ、ハロゲンランプであり、これらを単独で、あるいは組み合わせて使用できる。また、いわゆる疑似太陽光源や太陽光も光源31として利用可能である。
図5Bは、二酸化炭素還元デバイスを用いて、光照射によって二酸化炭素を還元処理するための装置の別の一例を表した概略図である。装置500Bは、カソード槽32、アノード槽33、及びプロトン透過膜34を具備する。カソード槽32の内部には、第1電解液35が保持されており、アノード槽33の内部には第2電解液36が保持されており、両槽にプロトン透過膜34と二酸化炭素還元デバイス300Aは挟まれている。二酸化炭素還元デバイス300Aのカソード電極21の側は第1電解液35に接しており、光照射の面の側は第2電解液36に接している。具体的には、二酸化炭素還元デバイス300Aは第1電解液35、第2電解液36の両方に接するように浸漬されている。カソード槽32に保持される第1電解液35には一般的な電解液を使用することができるが、とりわけ、炭酸水素カリウム(KHCO)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、塩化カリウム(KCl)、及び塩化ナトリウム(NaCl)のうち少なくとも1種を含む水溶液が好ましい。第1電解液の濃度としては、いずれの電解質を含む場合も0.5mol/L以上が好適である。第1電解液35には、さらに二酸化炭素が含有(溶解)されている。第1電解液35に含まれている二酸化炭素の濃度は、特に限定されない。第1電解液35は、二酸化炭素が当該電解液に溶解した状態において、酸性であることが好ましい。アノード槽33に保持される第2電解液36の例は、炭酸水素カリウム(KHCO)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、水酸化ナトリウム水溶液(NaOH水溶液)のうち少なくとも1種を含む水溶液である。第2電解液における電解質の濃度としては、0.5mol/L以上が好適である。第2電解液36は塩基性であることが好ましい。二酸化炭素還元デバイス300Aの光照射の面の側における第2電解液36に浸漬されている領域には、少なくとも第1半導体層11で吸収可能な波長を有する光と第2半導体層12で吸収可能な光を含んだ光が光源31より照射される。二酸化炭素還元デバイス300Aやプロトン透過膜34が、カソード槽32及びアノード槽33の間に挟まれているため、本装置では、第1電解液35及び第2電解液36は互いに混合しない。プロトン透過膜34は、プロトン(H)が透過し、かつ他物質の通過が抑制されるものであればよく、特に限定されない。プロトン透過膜34の具体例は、ナフィオン(登録商標)膜である。
図6Aは、カソード電極21と、それとは分離して配したアノード電極400を用いて、光照射によって二酸化炭素を還元処理するための装置の一例を表した概略図である。装置600Aは、電解槽27を具備する。電解槽27の内部には、支持電解液29が保持されていると共に、電解槽27はカソード電極21を具備している。カソード電極21は支持電解液29に接している。具体的には、カソード電極21は支持電解液29に浸漬されている。カソード槽に保持される支持電解液29には一般的な電解液を使用することができるが、とりわけ、炭酸水素カリウム(KHCO)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)のうち少なくとも1種を含む水溶液が好ましい。支持電解液の濃度としては、いずれの電解質を含む場合も0.5mol/L以上が好適である。支持電解液29には、さらに二酸化炭素が含有(溶解)されている。支持電解液29に含まれている二酸化炭素の濃度は、特に限定されない。カソード電極21は、金属(金属合金を含む)、又は金属化合物により構成される触媒層を表面に有している。上記金属(金属合金)又は金属化合物としては、金(Au)、インジウム(In)、銅(Cu)、及び銀(Ag)のうちから少なくとも1種以上を含有するものが好ましい。カソード電極21は、上記触媒層を構成する材料のみにより形成されていてもよいが、上記触媒層と触媒層を保持する基材との積層構造を有していてもよい。後者のカソード電極21の例は、ガラスやグラッシーカーボン(登録商標)などの基材上に所定の触媒層を薄膜状に形成した電極、微粒子状の触媒層を導電性基板上に多数担持した電極である。二酸化炭素を還元する能力を有するカソード電極21であれば、その構成は限定されない。当該材料が支持電解液29に接する限り、カソード電極21の一部のみが支持電解液29に浸漬され得る。電解槽27は分離型アノード電極400を具備している。アノード電極100Aは本開示のアノード電極であり、例えば上述したアノード電極100A〜200Bである。分離型アノード電極400は、カソード電極21と同様に、支持電解液29に接している。具体的には、分離型アノード電極400は支持電解液29に浸漬されている。分離型アノード電極400における支持電解液29に浸漬されている領域には、少なくとも第1半導体層11で吸収可能な波長を有する光と第2半導体層12で吸収可能な光を含んだ光が光源31より照射される。カソード電極21及び分離型アノード電極400は、それぞれ電極端子を具備する。これら電極端子はポテンショスタットなどの外部電源を介さずに、導線37により電気的に接続されている。すなわち、カソード電極21は、外部電源を介することなく、導線37を介して分離型アノード電極400と電気的に接続されている。
図6Bは、カソード電極21と、それとは分離して配したアノード電極400を用いて、光照射によって二酸化炭素を還元処理するための装置の別の一例を表した概略図である。装置600Bは、カソード槽32、アノード槽33、及びプロトン透過膜34を具備する。カソード槽32の内部には、第1電解液35が保持されていると共に、カソード槽32はカソード電極21を具備している。カソード電極21は第1電解液35に接している。具体的には、カソード電極21は第1電解液35に浸漬されている。カソード槽に保持される第1電解液35には一般的な電解液を使用することができるが、とりわけ、炭酸水素カリウム(KHCO)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、塩化カリウム(KCl)、及び塩化ナトリウム(NaCl)のうち少なくとも1種を含む水溶液が好ましい。第1電解液の濃度としては、いずれの電解質を含む場合も0.5mol/L以上が好適である。第1電解液35には、さらに二酸化炭素が含有(溶解)されている。第1電解液35に含まれている二酸化炭素の濃度は、特に限定されない。第1電解液35は、二酸化炭素が当該電解液に溶解した状態において、酸性であることが好ましい。カソード電極21は、金属(金属合金を含む)、又は金属化合物により構成される触媒層を表面に有している。上記金属(金属合金)又は金属化合物としては、金(Au)、インジウム(In)、銅(Cu)、及び銀(Ag)のうちから少なくとも1種以上を含有するものが好ましい。カソード電極21は、上記触媒層を構成する材料のみにより形成されていてもよいが、上記触媒層と触媒層を保持する基材との積層構造を有していてもよい。後者のカソード電極21の例は、ガラスやグラッシーカーボン(登録商標)などの基材上に所定の触媒層を薄膜状に形成した電極、微粒子状の触媒層を導電性基板上に多数担持した電極である。二酸化炭素を還元する能力を有するカソード電極21であれば、その構成は限定されない。当該材料が第1電解液35に接する限り、カソード電極21の一部のみが第1電解液35に浸漬され得る。アノード槽33の内部には、第2電解液36が保持されていると共に、アノード槽33は分離型アノード電極400を具備している。アノード電極100Aは本開示のアノード電極であり、例えば上述したアノード電極100A〜200Bである。分離型アノード電極400は第2電解液36に接している。具体的には、分離型アノード電極400は第2電解液36に浸漬されている。
アノード槽33に保持される第2電解液36の例は、炭酸水素カリウム(KHCO)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、水酸化ナトリウム水溶液(NaOH水溶液)である。第2電解液における電解質の濃度としては、0.5mol/L以上が好適である。第2電解液308は塩基性であることが好ましい。分離型アノード電極400における第2電解液36に浸漬されている領域には、少なくとも第1半導体層11で吸収可能な波長を有する光と第2半導体層12で吸収可能な光を含んだ光が光源31より照射される。第1電解液35と第2電解液36とを分離するために、プロトン透過膜34がカソード槽32及びアノード槽33の間に挟まれている。すなわち、本装置では、第1電解液35及び第2電解液36は互いに混合しない。カソード電極21及び分離型アノード電極400は、それぞれ電極端子を具備する。これら電極端子はポテンショスタットなどの外部電源を介さずに、導線37により電気的に接続されている。すなわち、カソード電極21は、外部電源を介することなく、導線37を介して分離型アノード電極400と電気的に接続されている。
(光照射による二酸化炭素の還元処理方法)
次に、上記の装置を用いて、二酸化炭素を還元処理する方法を説明する。
二酸化炭素還元装置500A〜600Bは室温かつ大気圧下に置かれ得る。図5A〜6Bに示すように、光源31から二酸化炭素還元デバイス300Aもしくは分離型アノード電極400に光が照射される。より具体的には、二酸化炭素還元デバイス300Aもしくは分離型アノード電極400が有するInGaN層13に光が照射される。光源31の例はキセノンランプであり、光源31からの光は、第1半導体層で吸収可能な光と第2半導体層で吸収可能な光とを有している。第2半導体層で吸収可能な光は、第1半導体層を透過した光であることが好ましい(第2半導体層は、第1半導体層を透過した光を吸収できる構成を有することが好ましい)。これにより、InGaN層13に照射された光を有効に利用することができる。具体的には、InGa1−xN層13のxの値が0.4のとき、第1半導体層では625nm以下の波長の光が吸収されるため、第2半導体層は625nm以上の波長の光が吸収できる構成とすることが好ましい。また、InGa1−xN層13のxの値が0.1のとき、第1半導体層では415nm以下の波長の光が吸収されるため、第2半導体層は415nm以上の波長の光が吸収できる構成とすることが好ましい。
図5A〜6Bに示すように、本装置500A〜600Bはガス導入管28を具備することが好ましい。二酸化炭素の還元処理においては、ガス導入管28を通じて、支持電解液29もしくは第1電解液35に二酸化炭素を供給しながら、第1電解液35に含有される二酸化炭素を還元することが好ましい。ガス導入管28の一端は第1電解液35に浸漬されている。二酸化炭素の還元を開始する前に、ガス導入管28を通じて二酸化炭素を供給することによって、充分な量の二酸化炭素を第1電解液35に溶解しておくことも好ましい。適切な触媒層を有するカソード電極21を電解層27もしくはカソード槽32に配置し、二酸化炭素還元デバイス300Aもしくは分離型アノード電極400への光照射によって、第1電解液35に含有される二酸化炭素が還元処理される。その結果として、一酸化炭素(CO)、ギ酸(HCOOH)、メタン(CH)及びエチレン(C)などの炭化水素類、エタノール(COH)などのアルコール類、アルデヒド類などが還元生成物として生成され得る。本開示の装置及び方法において用いられる主な触媒層材料は、金、インジウム、銅、銀などを含んだ材料であり、その材料種を選択することで、二酸化炭素の還元により得られる有機物の種類を変えることも可能である。例えば、カソード電極21が有する金属又は金属化合物が、金、金合金、又は金化合物であり、二酸化炭素の還元により一酸化炭素を得てもよい。カソード電極21が有する金属又は金属化合物が、インジウム、インジウム合金、又はインジウム化合物であり、二酸化炭素の還元によりギ酸を得てもよい。カソード電極21が有する金属又は金属化合物が、銅、銅合金、又は銅化合物であり、二酸化炭素の還元により、メタン、エチレン、エタノール、及びアセトアルデヒドのうち少なくとも1種を得てもよい。カソード電極21が有する金属又は金属化合物が、銀、銀合金、又は銀化合物であり、二酸化炭素の還元により一酸化炭素を得てもよい。
(実施例)
以下、実施例を参照して、本開示の二酸化炭素の還元方法及び二酸化炭素の還元装置をより詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
(実施例1)
実施例1では、図3Bに示す二酸化炭素還元デバイス300Bを用い、デバイス中のアノード電極100Aの代わりに200Aを用いた。アノード電極200Aは、以下のように作製した。
アノード電極(光化学電極)を構成する導電性基材15として、低抵抗な単結晶窒化ガリウム基板(厚み:約0.4mm、サイズ:直径約50mm)を準備した。次に、その上に、シリコンをドープしたn+形低抵抗GaN層14(厚み:3.0μm、シリコンドープ量:4.0×1018個/cm3)及びInGaN層13(組成:In0.07Ga0.93N、厚み:100nm)を、有機金属気相エピタキシー法により成長させた。次に、アノード電極における酸素生成効率を高めるため、InGaN層の表面に、溶液反応を用いて酸化ニッケル微粒子18(微粒子サイズ:数10nm〜数μm)を多数、分散配置した。さらに、導電性基材15の裏面側(窒化物半導体層を形成していない側の面)に、チタン(Ti)/アルミニウム(Al)/金(Au)からなる電極層16(厚み:約500nm)を形成した。
これとは別に、アモルファスシリコンpin層と微結晶シリコンpin層との積層構造を有する(すなわち、2つのpn接合構造を有する)第2半導体層12のペアを形成し、電極層16を介して、第1半導体層と第2半導体層のp形層とを電気的に接続した。このようにして、図2Aに示すようなアノード電極200Aが得られた。
一方、カソード電極21には銅板(厚み:0.5mm)上に電子ビーム蒸着でチタン(Ti)/金(Au)を形成したものを用いた。銅板は、予め表面酸化膜を除去した後、エッチング処理を施して、清浄な銅表面を露出させたものを用いた。カソード電極21の銅側はアノード電極200Aの電極端子17に接続した。側面絶縁層20と表面絶縁層にはエポキシ樹脂を用いた。カソード電極21における支持電解液に浸漬されているAuの面積は約0.5cmであった。
この二酸化炭素還元デバイス300Bを用いて、図5Aに示すような二酸化炭素還元装置500Aを作製した。二酸化炭素還元デバイス300Bは電解槽27の上部に接続された固定冶具30を通して二酸化炭素還元装置500A内に支持された。固定冶具30は金属素材のものを用い、二酸化炭素還元デバイス300Bは、シリコンーン樹脂を介して、固定冶具30で支持された。固定冶具30は支持電解液29に接していない。支持電解液29には0.5mol/Lの炭酸水素カリウム水溶液を用いた。光源にはキセノンランプ(出力:300W、アノード電極への光照射面積:約9cm、照射光量:約200mW/cm)を用いた。
支持電解液29に、ガス導入管28を通じて二酸化炭素ガスを30分間、バブリング処理により供給した。次に、電解槽27に設置された光照射窓(図示せず)を介して、光源31から光をアノード電極の表面に3600secの間照射することで、カソード電極上での二酸化炭素の還元反応を進行させた。本実施例では、290nm以上840nm以下の波長域にわたる光を照射する光源31を用いた。
本実施例の結果、気相成分の成分分析をガスクロマトグラフィによって行ったところ、一酸化炭素63.18μmolと水素157.47μmolからなる合成ガスが生成されていることを確認した。
ここで、アノード電極に照射した光のエネルギー量(すなわち、入力量)に対する、二酸化炭素還元により得られた各生成物の生成エネルギー量(=生成量×燃焼熱)(すなわち、出力量)の比を「エネルギー変換効率」として定義する。入射光に対する各生成物へのエネルギー変換効率を計算した結果、一酸化炭素生成のエネルギー変換効率0.266%、水素生成のエネルギー変換効率0.671%を示した。
(実施例2)
実施例2では、カソード電極21における支持電解液に浸漬されているAuの面積は約1.1cmであり、支持電解液29は1mol/Lの炭酸水素ナトリウム水溶液、光源31の照射光量は約100mW/cm、照射時間は5000secである以外は実施例1と同様の条件で、二酸化炭素還元装置を作製し、アノード電極の表面に光源から光を照射して、カソード電極上での二酸化炭素の還元反応を進行させた。
本実施例の結果、実施例1と同様の成分分析を行い、一酸化炭素32.18μmolと水素121.96μmolからなる合成ガスが生成されていることを確認した。入射光に対する各生成物へのエネルギー変換効率を計算した結果、一酸化炭素生成のエネルギー変換効率0.203%、水素生成のエネルギー変換効率0.775%を示し、実施例1と比較して水素生成の割合が多いことを確認した。
(比較例1)
比較例1では、図4に示す分離型アノード電極400と、カソード電極21とを用いて、図6Aに示すような、両電極の電極端子を導線37で接続した二酸化炭素還元装置600Aを用いた。分離型アノード電極400中のアノード電極100Aの代わりに200Aを用い、アノード電極200Aは実施例1と同様の方法で作製した。支持電解液29に浸漬された分離型アノード電極400及びカソード電極21間の距離は約4cmとした。
カソード電極21には、電子ビーム蒸着によりチタン(Ti)/金(Au)が形成された銅板を、導電性銅テープを介して、ガラス基板上に接着したものを用いた。支持電解液29に浸漬されているAuの面積が約0.5cmとなるように、カソード電極21の表面をエポキシ樹脂にて整形した。カソード電極21には、分離型アノード電極400と同様に電極端子が設けられている。また、導電性銅テープや銅板の側面が電解液中で反応しないように、エポキシ樹脂で被覆されている。
支持電解液29には0.5mol/Lの炭酸水素カリウム水溶液を用いた。光源にはキセノンランプ(出力:300W、アノード電極への光照射面積:約9cm、照射光量:約200mW/cm)を用いた。
支持電解液29に、ガス導入管28を通じて二酸化炭素ガスを30分間、バブリング処理により供給した。次に、電解槽27に設置された光照射窓(図示せず)を介して、光源31から光をアノード電極の表面に1461secの間照射することで、カソード電極上での二酸化炭素の還元反応を進行させた。本比較例では、290nm以上840nm以下の波長域にわたる光を照射する光源31を用いた。
本比較例の結果、実施例1と同様の成分分析を行い、一酸化炭素24.58μmolと水素62.47μmolからなる合成ガスが生成されていることを確認した。入射光に対する各生成物へのエネルギー変換効率を計算した結果、一酸化炭素生成のエネルギー変換効率0.256%、水素生成のエネルギー変換効率0.656%を示し、実施例1と比較して、一酸化炭素と水素の生成効率が低下していることを確認した。これは、比較例1では電解液中にアノード電極とカソード電極が分離して配置されているため、電極と導線間のコンタクト抵抗に加え、導線自体のシリーズ抵抗や、電極間が距離的に離れていることによって溶液抵抗が増加しており、還元生成物の生成効率が低下したことを意味している。以上より、従来構造の比較例1よりも、本発明の実施例1に示す実施形態の方が、二酸化炭素還元をする上で優れていることが明らかとなった。
実施例1〜2、及び比較例1で得た液体成分を液体クロマトグラフィで分析した結果、僅かにギ酸の生成(数μmol程度)が検出された。
(実施例3)
実施例3では、図3Bに示す二酸化炭素還元デバイス300Bを用い、デバイス中のアノード電極100Aの代わりに200Aを用い、プロトン透過膜24を具備した、図5Bに示す二酸化炭素還元装置500Bを用いた。二酸化炭素還元デバイス300B及びプロトン透過膜24は、カソード槽32及びアノード槽33の間に挟まれるようにエポキシ樹脂で固定された。
一方、カソード電極21には銅板(厚み:0.5mm)上に導電性銅テープによりインジウム(In)板を接着したものを用いた。インジウム板は、予め表面酸化膜を除去した後、エッチング処理を施して、清浄なインジウム表面を露出させたものを用いた。カソード電極21の銅側はアノード電極200Aの電極端子17に接続した。側面絶縁層20と表面絶縁層にはエポキシ樹脂を用いた。カソード電極21における第1電解液35に浸漬されているInの面積は約12.6cmであった。第1電解液35及び第2電解液36には0.5mol/Lの炭酸水素カリウム水溶液を用いた。光源にはキセノンランプ(出力:300W、アノード電極への光照射面積:約9cm、照射光量:約200mW/cm)を用いた。
第1電解液35に、ガス導入管28を通じて二酸化炭素ガスを30分間、バブリング処理により供給した。次に、アノード槽33に設置された光照射窓(図示せず)を介して、光源31から光をアノード電極の表面に1200secの間照射することで、カソード電極上での二酸化炭素の還元反応を進行させた。本実施例では、290nm以上840nm以下の波長域にわたる光を照射する光源31を用いた。
本実施例の結果、成分分析を行ったところ、主成分としてギ酸の生成が確認され、その他成分としては、一酸化炭素、水素が確認された。生成量は、ギ酸78.05μmol、一酸化炭素4.94μmol、水素0.53μmolであり、入射光に対する各生成物へのエネルギー変換効率を計算した結果、ギ酸生成のエネルギー変換効率0.901%、一酸化炭素生成のエネルギー変換効率0.063%、水素生成のエネルギー変換効率0.007%を示した。
(比較例2)
比較例2では、図4に示す分離型アノード電極400と、カソード電極21とを用いて、図6Bに示すような、両電極の電極端子を導線37が接続されており、カソード槽32とアノード槽33がプロトン透過膜34で分離された二酸化炭素還元装置600Bを用いた。分離型アノード電極400中のアノード電極100Aの代わりに200Aを用い、アノード電極200Aは実施例1と同様の方法で作製した。第1電解液35に浸漬されたカソード電極21と第2電解液36に浸漬された分離型アノード電極400の間の距離は約4cmとした。
カソード電極21には、インジウム(In)板を、導電性銅テープを介して、ガラス基板上に接着したものを用いた。第1電解液35に浸漬されているInの面積が約12.6cmとなるように、カソード電極21の表面をエポキシ樹脂にて整形した。カソード電極21には、分離型アノード電極400と同様に電極端子が設けられている。また、導電性銅テープやインジウム板の側面が電解液中で反応しないように、エポキシ樹脂で被覆されている。
第1電解液35及び第2電解液36には0.5mol/Lの炭酸水素カリウム水溶液を用いた。光源にはキセノンランプ(出力:300W、アノード電極への光照射面積:約9cm、照射光量:約200mW/cm)を用いた。
第1電解液35に、ガス導入管28を通じて二酸化炭素ガスを30分間、バブリング処理により供給した。次に、アノード槽33に設置された光照射窓(図示せず)を介して、光源31から光をアノード電極の表面に1330secの間照射することで、カソード電極上での二酸化炭素の還元反応を進行させた。本比較例では、290nm以上840nm以下の波長域にわたる光を照射する光源31を用いた。
本比較例の結果、実施例3と同様の成分分析を行い、ギ酸84.19μmol、一酸化炭素5.06μmol、水素0.54μmolが生成されていることを確認した。入射光に対する各生成物へのエネルギー変換効率を計算した結果、ギ酸生成のエネルギー変換効率0.877%、一酸化炭素生成のエネルギー変換効率0.058%、水素生成のエネルギー変換効率0.007%を示し、実施例3と比較して、ギ酸と一酸化炭素の生成効率が低下していることを確認した。これは、比較例2では電解液中にアノード電極とカソード電極が分離して配置されているため、電極と導線間のコンタクト抵抗に加え、導線自体のシリーズ抵抗や、電極間が距離的に離れていることによって溶液抵抗が増加しており、還元生成物の生成効率が低下したことを意味している。以上より、従来構造の比較例2よりも、本発明の実施例3に示す実施形態の方が、二酸化炭素還元をする上で優れていることが明らかとなった。
(実施例4)
実施例4では、カソード電極21として導電性銅テープを介してガラス基板上に銅(Cu)板を接着したものを用い、第1電解液に浸漬されているCuの面積は約3.1cmであり、第1電解液に0.5mol/Lの塩化カリウム水溶液を用い、第2電解液に5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用い、光源31の照射光量は約700mW/cm、照射時間は2400secである以外は実施例3と同様の条件で、二酸化炭素還元装置を作製し、アノード電極の表面に光源から光を照射して、カソード電極上での二酸化炭素の還元反応を進行させた。
本実施例の結果、実施例3と同様の成分分析を行い、実施例3では生成されていなかったメタン、エチレンなどの炭化水素成分、エタノールなどのアルコール成分、アセトアルデヒドなどのアルデヒド成分の生成を確認した。その他の成分としては、水素、一酸化炭素、ギ酸の生成を確認した。
(比較例3)
比較例3では、固定冶具30は金属素材のものを用い、二酸化炭素還元デバイス300Bは、シリコンーン樹脂を介さず、直接固定冶具30で支持された以外は実施例1と同様の条件で、二酸化炭素還元装置を作製し、アノード電極の表面に光源から光を照射して、カソード電極上での二酸化炭素の還元反応を進行させた。
本比較例の結果、実施例1と同様の成分分析を行ったが、一酸化炭素と水素の生成は確認されなかった。つまり、二酸化炭素還元デバイス300Bは動作しなかった。これは、二酸化炭素還元デバイス300Bのアノード電極とカソード電極の支持電解液29に接するそれぞれの表面の間が、固定冶具を通して短絡したためであり、よって、アノード電極とカソード電極の支持電解液29に接するそれぞれの表面の間は、絶縁体を介して、支持される必要があることが明らかとなった。
すなわち、実施例1〜4の結果、従来よりも高いエネルギー変換効率で還元反応によって二酸化炭素の固定化がなされると同時に、化学物質原料やエネルギー源になりうる有用物質に変換可能であることが確認された。
以上のように、二酸化炭素還元デバイスの構成として、アノード電極にInGa1−xN層及びGaN層を積層した領域を具備し、pn接合半導体層をさらに組み合わせ、カソード電極と一体化することにより、アノード電極への光照射による、有用物質生成のエネルギー変換効率が増加することが確認された。そして、効率的に二酸化炭素が光エネルギーにより還元されることが確認された。
本開示は、光エネルギーによって二酸化炭素を還元処理するために用いる二酸化炭素還元用光化学電極、二酸化炭素還元装置、及び二酸化炭素の還元方法を提供する。
(結論)
(上記の開示内容から導出される発明)
上記の開示内容から導出される発明は以下の通りである。
(項目A1)
二酸化炭素を還元する方法であって、以下の工程(a)及び工程(b)を具備する:電解槽、積層体、及び支持具を具備する二酸化炭素還元装置を用意する工程(a)、ここで、前記電解槽は、二酸化炭素を含有する電解液を保持し、前記積層体は、金属又は金属化合物を有するカソード電極と、アノード電極と、を備え、前記アノード電極は、窒化物半導体により構成される第1半導体層と、pn接合構造を有する半導体により構成される第2半導体層と、を備え、前記窒化物半導体は、InGa1−xN層(0<x≦0.40)及びGaN層を備え、前記pn接合構造は、p形層及びn形層を備え、前記InGa1−xN層、前記GaN層、前記p形層、前記n形層、及び前記カソード電極がこの順に積層されており、前記InGa1−xN層及び前記カソード電極は前記電解液に接しており、前記積層体の側面に絶縁層が形成されており、及び、前記積層体は、前記電解液中に、前記アノード電極と前記カソード電極の前記電解液に接するそれぞれの表面の間を、支持具により、絶縁しつつ支持されており、及び、前記アノード電極に光を照射して、前記電解液に含有される二酸化炭素を前記カソード電極上で還元する工程(b)。
(項目B1)
二酸化炭素を還元する方法であって、以下の工程(a)及び工程(b)を具備する:カソード槽、アノード槽、プロトン透過膜、及び積層体を具備する二酸化炭素還元装置を用意する工程(a)、ここで、前記カソード槽は、二酸化炭素を含有する第1電解液を保持し、前記アノード槽は、第2電解液を保持し、前記カソード槽及び前記アノード槽は、前記プロトン透過膜及び前記積層体により隔てられており、前記積層体は、金属又は金属化合物を有するカソード電極と、アノード電極と、を備え、前記アノード電極は、窒化物半導体により構成される第1半導体層と、pn接合構造を有する半導体により構成される第2半導体層と、を備え、前記窒化物半導体は、InGa1−xN層(0<x≦0.40)及びGaN層を備え、前記pn接合構造は、p形層及びn形層を備え、前記InGa1−xN層、前記GaN層、前記p形層、前記n形層、及び前記カソード電極がこの順に積層されており、前記カソード電極は前記第1電解液に接しており、前記InGa1−xN層は前記第2電解液に接しており、及び、前記アノード電極に光を照射して、前記第1電解液に含有される二酸化炭素を前記カソード電極上で還元する工程(b)。
100A,100B,200A,200B アノード電極
11 第1半導体層
12 第2半導体層
13 窒化インジウムガリウム(InGaN)層
14 窒化ガリウム(GaN)層
15 導電性基材
16 電極部
17 端子電極部
18 酸化ニッケル(NiOy)
19 透明導電層
20 側面絶縁層
21 カソード電極
22 表面絶縁層
23 貫通孔
24 導電層
25 電極端子
26 支持基盤
27 電解槽
28 ガス導入管
29 支持電解液
30 固定冶具
31 光源
32 カソード槽
33 アノード槽
34 プロトン透過膜
35 第1電解液
36 第2電解液
37 導線
300A,300B,300C 二酸化炭素還元デバイス
400 分離型アノード電極
500A、500B、600A、600B 二酸化炭素還元装置

Claims (22)

  1. 二酸化炭素の還元方法であって、
    二酸化炭素を含有する支持電解液を保持する電解槽と、
    前記支持電解液に接する二酸化炭素還元デバイスと、
    前記二酸化炭素還元デバイスを支持する固定冶具と、を備える二酸化炭素還元装置を用意する工程(a)と、
    前記二酸化炭素還元デバイスは、
    前記支持電解液に接する金属又は金属化合物を有するカソード電極と、
    前記支持電解液に接するアノード電極と、を備え、
    前記アノード電極に光を照射して、前記支持電解液に含有される二酸化炭素を前記カソード電極上で還元する工程(b)と、を含み、
    前記アノード電極は、InGa1−xN層(0<x≦0.40)及びGaN層の積層構造を有する、窒化物半導体により構成される第1半導体層と、pn接合構造を有する半導体により構成される第2半導体層と、を有し、
    受光面側から、前記第1半導体層のInGa1−xN層、前記第1半導体層のGaN層、前記第2半導体層のp形層、前記第2半導体層のn形層、及びカソード電極がこの順に配置されており、
    前記二酸化炭素還元デバイスの側面が、側面絶縁層により電気的に絶縁されており、
    前記二酸化炭素還元デバイスは、電解液中に、アノード電極とカソード電極の電解液に接するそれぞれの表面の間を、固定冶具により、絶縁しつつ支持されている、
    二酸化炭素の還元方法。
  2. 二酸化炭素の還元方法であって、
    二酸化炭素を含有する第1電解液を保持するカソード槽と、第2電解液を保持するアノード槽と、
    前記カソード槽と前記アノード槽との間に挟まれるプロトン透過膜と二酸化炭素還元デバイスと、を備える二酸化炭素還元装置を用意する工程(a)と、
    前記二酸化炭素還元デバイスは、
    前記第1電解液に接する金属又は金属化合物を有するカソード電極と、
    前記第2電解液に接するアノード電極と、を備え、
    前記アノード電極に光を照射して、前記第1電解液に含有される二酸化炭素を前記カソード電極上で還元する工程(b)と、を含み、
    前記アノード電極は、InGa1−xN層(0<x≦0.40)及びGaN層の積層構造を有する、窒化物半導体により構成される第1半導体層と、pn接合構造を有する半導体により構成される第2半導体層と、カソード電極と、を有し、
    受光面側から、前記第1半導体層のInGa1−xN層、前記第1半導体層のGaN層、前記第2半導体層のp形層、及び前記第2半導体層のn形層、カソード電極がこの順に配置されており、
    前記二酸化炭素還元デバイスの側面が、側面絶縁層により電気的に絶縁されている、
    二酸化炭素の還元方法。
  3. 前記アノード電極に照射される光は、前記第1半導体層で吸収可能な波長と、前記第2半導体層で吸収可能な波長とを有する、
    請求項1、2に記載の二酸化炭素の還元方法。
  4. 前記InGa1−xN層のxの値が0.4のとき、前記第1半導体層で吸収可能な波長が625nm以下の波長であり、前記第2半導体層で吸収可能な波長が625nm以上の波長である、
    請求項3に記載の二酸化炭素の還元方法。
  5. 前記InGa1−xN層のxの値が0.1のとき、前記第1半導体層で吸収可能な波長が415nm以下の波長であり、前記第2半導体層で吸収可能な波長が415nm以上の波長である、
    請求項3に記載の二酸化炭素の還元方法。
  6. 前記カソード電極が有する金属又は金属化合物が、金、金合金、又は金化合物であり、
    前記工程(b)において、前記二酸化炭素の還元により一酸化炭素を得る、
    請求項1から5のいずれか1つに記載の二酸化炭素の還元方法。
  7. 前記カソード電極が有する金属又は金属化合物が、インジウム、インジウム合金、又はインジウム化合物であり、
    前記工程(b)において、前記二酸化炭素の還元によりギ酸を得る、
    請求項1から5のいずれか1つに記載の二酸化炭素の還元方法。
  8. 前記カソード電極が有する金属又は金属化合物が、銅、銅合金、又は銅化合物であり、
    前記工程(b)において、前記二酸化炭素の還元により、メタン、エチレン、エタノール、及びアセトアルデヒドのうち少なくとも1種を得る、
    請求項1から5のいずれか1つに記載の二酸化炭素の還元方法。
  9. 前記カソード電極が有する金属又は金属化合物が、銀、銀合金、又は銀化合物であり、
    前記工程(b)において、前記二酸化炭素の還元により一酸化炭素を得る、
    請求項1から5のいずれか1つに記載の二酸化炭素の還元方法。
  10. 前記InGa1−xN層のxの値が0.05≦x≦0.15である、
    請求項1から9のいずれか1つに記載の二酸化炭素の還元方法。
  11. 前記GaN層がn形である、
    請求項1から10のいずれか1つに記載の二酸化炭素の還元方法。
  12. 前記第2半導体層が、Si、GaAs、GaP、及びGeのうち少なくとも1種から構成される、
    請求項1から11のいずれか1つに記載の二酸化炭素の還元方法。
  13. 前記アノード電極は複数の前記第2半導体層を有し、
    前記アノード電極には、一方の前記第2半導体層のn形層が他方の前記第2半導体層のp形層と電気的に接続した、隣り合う前記第2半導体層のペアが存在する、
    請求項1から12のいずれか1つに記載の二酸化炭素の還元方法。
  14. 前記第2半導体層の前記p形層と前記n形層とが、互いに異なる半導体により構成される、
    請求項1から13のいずれか1つに記載の二酸化炭素の還元方法。
  15. 前記InGa1−xN層の前記第2電解液と接する側の表面に、NiO(0<y≦1)が配置されている、
    請求項1から14のいずれか1つに記載の二酸化炭素の還元方法。
  16. 前記側面保護層が、合成樹脂、及び窒化ガリウムよりもワイドギャップな絶縁体材料のうち少なくとも1種から構成される、
    請求項1から15のいずれか1つに記載の二酸化炭素の還元方法。
  17. 前記支持電解液が、炭酸水素カリウム、及び炭酸水素ナトリウムのうち少なくとも1種を含む水溶液である、
    請求項1、3から16のいずれか1つに記載の二酸化炭素の還元方法。
  18. 前記第1電解液が、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カリウム、及び塩化ナトリウムのうち少なくとも1種を含む水溶液である、
    請求項2から16のいずれか1つに記載の二酸化炭素の還元方法。
  19. 前記第2電解液が炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び水酸化ナトリウムのうち少なくとも1種を含む水溶液である、
    請求項2から16、18のいずれか1つに記載の二酸化炭素の還元方法。
  20. 前記工程(b)において、二酸化炭素還元装置は室温かつ大気圧下に設置される、
    請求項1から19のいずれか1つに記載の二酸化炭素の還元方法。
  21. 二酸化炭素の還元装置であって、
    二酸化炭素を含有する支持電解液を保持する電解槽と、
    前記支持電解液に接する二酸化炭素還元デバイスと、
    前記二酸化炭素還元デバイスを支持する固定冶具と、を備え、
    前期二酸化炭素還元デバイスは、前記支持電解液に接する金属又は金属化合物を有するカソード電極と、
    前記支持電解液に接するアノード電極と、を備え、
    前記アノード電極は、InGa1−xN層(0<x≦0.40)及びGaN層の積層構造を有する、窒化物半導体により構成される第1半導体層と、pn接合構造を有する半導体により構成される第2半導体層と、を有し、
    受光面側から、前記第1半導体層のInGa1−xN層、前記第1半導体層のGaN層、前記第2半導体層のp形層、前記第2半導体層のn形層、及びカソード電極とがこの順に配置されており、
    前記二酸化炭素還元デバイスの側面が、側面絶縁層により電気的に絶縁されており、
    前記二酸化炭素還元デバイスは、電解液中に、アノード電極とカソード電極の電解液に接するそれぞれの表面の間を、固定冶具により、絶縁しつつ支持されている、
    二酸化炭素の還元装置。
  22. 二酸化炭素の還元装置であって、
    二酸化炭素を含有する第1電解液を保持するカソード槽と、第2電解液を保持するアノード槽と、
    前記カソード槽と前記アノード槽との間に挟まれるプロトン透過膜と二酸化炭素還元デバイスと、を備え、
    前記二酸化炭素還元デバイスは、
    前記第1電解液に接し、金属又は金属化合物を有するカソード電極と、前記第2電解液に接するアノード電極と、を備え、
    前記アノード電極は、InGa1−xN層(0<x≦0.40)及びGaN層の積層構造を有する、窒化物半導体により構成される第1半導体層と、pn接合構造を有する半導体により構成される第2半導体層と、を有し、
    受光面側から、前記第1半導体層のInGa1−xN層、前記第1半導体層のGaN層、前記第2半導体層のp形層、及び前記第2半導体層のn形層、カソード電極がこの順に配置されており、
    前記二酸化炭素還元デバイスの側面が、側面絶縁層により電気的に絶縁されている、
    二酸化炭素の還元装置。
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