JP2015002659A - インバータ装置の検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 インバータ装置の過温度保護機能の確認検査を行う際に、検査時間をより短くできるインバータ装置の検査方法を提供する。
【解決手段】インバータ装置の検査方法は、3相インバータ1の各スイッチング素子11、13、15、17、19、21に設けられ、各スイッチング素子の温度が所定の限界温度まで達したか否かを判別する過温度検出手段6の動作を確認する。この場合、スイッチング素子の負荷をインダクタ5a〜5cとし、過温度検出手段が動作するまでは、スイッチングさせるスイッチング素子を、3相のうちの1つの相の上側アーム、および3相の残り2相のうちの1相の下側アームのスイッチング素子とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、モータ等を駆動するインバータ装置の過温度保護機能の異常の有無を検査するインバータ装置の検査方法に関する。
従来のインバータ装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。
この従来技術の装置は、インバータ装置を構成する複数のパワーデバイスの温度を個別に検出してそれぞれの温度値を出力する温度検出手段と、この温度検出手段の出力のうち、いずれかの温度値が所定の限界温度値に達したか否かを判別して判別結果を外部に送信する温度情報送信手段と、この温度情報送信手段の出力信号によってインバータ装置の出力電流制限を行う機能を内蔵したゲート制御回路と、を備えており、パワーデバイスの温度異常(過温度)を検出してそのパワーデバイスを熱破壊から保護するようにしている。
特開2001−169401号公報
インバータ装置は、その出荷前にその過温度保護機能が正常に動作するか否かの確認検査を行うため、この検査時にストール状態を作ってパワーデバイスの温度を上昇させるが、上記従来のインバータ装置にあっては、以下に説明するような問題が生じる。
すなわち、上記検査においては、各相の電流波形で、各相の電流値がプラスとマイナス方向でそれぞれ絶対値がピークになる6点(3相分×プラス・マイナスの2方向分)において、ストールさせて温度測定を行う。
このときにスイッチングするスイッチング素子は、3相分のレグをそれぞれ構成する上下側アームのうちの1相で一方側のアームの1個のスイッチング素子と、残りの2相で他方側のアームの2個のスイッチング素子である。
したがって、前者のスイッチング素子にはピーク値となる電流が流れているのに対し、後者のスイッチング素子にはピーク電流の半分の小さい電流が流れていることになる。
検査の手順として、前者のスイッチング素子の過温度保護機能が正常に働くことを確認したら、次に、他のスイッチング素子の一つがピーク電流となるように電流を切換えてストールさせ、そのピーク電流のスイッチング素子の過温度保護機能が正常に働くことを確認する。このとき後者のスイッチング素子を次の素子とすると、前者のスイッチング素子の試験をしている間にすでに加熱されているので、過温度保護機能が働く温度まで上昇させる時間が短くて済む。この素子の加熱が十分であるほど、短時間で保護機能が働く温度まで上昇し、検査時間が短くなる。
このとき、従来のインバータ装置にあっては、スイッチング素子の過温度保護機能を試験している間に後者のスイッチング素子に流れている電流は小さい値であるため、加熱が十分でなく、後者のスイッチング素子の過温度保護機能試験に入ってから過温度保護が働くまでに時間がかかってしまうという問題がある。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、インバータ装置の過温度保護機能の確認検査を行う際に、その検査時間をより短くできるようにしたインバータ装置の検査方法を提供することにある。
この目的のため本発明によるインバータ装置の検査方法は、
3相インバータを構成する各スイッチング素子に設けられ、各スイッチング素子の温度が所定の限界温度まで達したか否かを判別する過温度検出機能の動作を確認するインバータ装置の検査方法において、
スイッチング素子の負荷をインダクタとし、
過温度検出機能が動作するまでは、スイッチングさせるスイッチング素子を、3相のうちの1つの相の上側アームのスイッチング素子、および3相の残り2相のうちの1相の下側アームのスイッチング素子とする、
ことを特徴とする。
好ましくは、上記スイッチングさせた上側アームと下側アームのうちの一方のスイッチング素子の過温度保護機能が動作してその一方のスイッチング素子がオフになったことを検出したら、オフになった側のアームと同じ側のアームで、かつスイッチングしている他方のスイッチング素子を有するアームおよび上記オフにしたアームとは異なる相のアームのスイッチング素子をスイッチングさせるようにした、
ことを特徴とする。
好ましくは、インバータにより負荷にそれぞれ接続される3相線各相と強電プラス側との間、または3相線各相と強電マイナス側を電圧センサにて各相で並列になるように接続して、過度温度検出時の3相出力と強電マイナス側の間、または3相出力と強電プラス側の間の各電圧を監視し、いずれかのスイッチング素子が過温度に達した際の電圧センサの値により過温度が検出されたスイッチング素子を特定するようにした、
ことを特徴とする。
また、好ましくは、上側アームおよび下側アームのうち、いずれかの一方側のすべてのアームでのスイッチング素子が過温度に達して過温度保護機能の検査が終了した場合、検査中の他方側のアームの通電中、この通電中のスイッチング素子の相とは異なる残り2相で検査が終了したアームに再度同時に通電するようにした、
ことを特徴とする。
本発明のインバータ装置の検査方法にあっては、過温度保護機能の検査で流す電流を、上側アームのうちの1つのアームと、このアームとは相が異なる下側アームのうちの1つのアームとのみに集中させることができるので、過温度保護機能の検査時に上記両アームのスイッチング素子にはどちらも大きい電流が流れることとなる。したがって、温度上昇にかかる時間、したがって検査に要する時間を短縮することができる。
また、スイッチングさせた上側アームと下側アームのうちの一方のスイッチング素子の過温度保護機能が動作してその一方のスイッチング素子がオフになったことを検出したら、オフになった側のアームと同じ側のアームで、かつスイッチングしている他方のスイッチング素子を有するアームおよび上記オフにしたアームとは異なる相のアームのスイッチング素子をスイッチングさせるようにしたので、通電しているがまだ過温度に達していない他側のアームに継続して電流を流すことができる。この結果、その分、全体の検査時間を短縮することができる。
また、インバータにより負荷にそれぞれ接続される3相線各相と強電プラス側との間、または3相線各相と強電マイナス側を電圧センサにて各相で並列になるように接続して、過度温度検出時の3相出力と強電マイナス側の間、または3相出力と強電プラス側の間の各電圧を監視し、いずれかのスイッチング素子が過温度に達した際の電圧センサの値により過温度が検出されたスイッチング素子を特定するようにしたので、上側および下側のいずれのアームで過温度を検出したかが、温度センサのみでは不明となるシステムでの検査でも有効になる。
また、上側アームおよび下側アームのうち、いずれかの側のアームでのすべてのスイッチング素子が過温度に達して過温度保護機能の検査が終了した場合、検査中のアームの通電中、この通電中のスイッチング素子の相とは異なる残り2相で検査が終了したアームに再度同時に通電するようにしたので、検査が済んだアームでの発熱を抑制しながら、他のアームの検査を続行することが可能となる。
本発明の実施例1のインバータ装置の検査方法を実行するための検査装置と、これに接続した検査対象のインバータ装置との構成を示す回路図である。 検査中におけるインバータ装置の電流の流れを示す図である。 検査のための通電電流の生成方法と各アームにおけるその電流値を示す図である。 検査により各アームに発生した温度の状態を示す図である。 検査のため印加する通電電流値とそのときの検出温度との関係を説明する図である。 本発明の実施例2のインバータ装置の検査方法を実行するための検査装置と、これに接続した検査対象のインバータ装置との主要な構成を示す図である。 実施例2のインバータ装置の検査方法でアームへの通電状態、過温度時の3相〜強電マイナス側との間の電圧、過温度となるアームとの関係を示す図である。 本発明の実施例3のインバータ装置の検査方法を実行するための検査装置と、これに接続した検査対象のインバータ装置との主要な構成を示す図である。 実施例3のインバータ装置の検査方法にあって通電するアームと検査中のアームの関係を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。なお、以下の各実施例において、実質的に同じ部分については同じ番号を付し、それらの説明を省略する。
まず、実施例1のインバータ装置の検査方法を実行する対象となるインバータ装置とその検査装置との全体構成を図1に基づいて説明する。
図1に、出荷前の検査対象となるインバータ装置1と、これに接続される検査装置との構成を示す。本実施例では、インバータ装置1は電気自動車やハイブリッド自動車に搭載されて、車両を駆動する3相交流モータへ電力を供給するものである。
インバータ装置1は、周知のように、U相、V相、W相の各相に対応して、絶縁ゲートバイポーラ型トランジスタ(IGBT)11、15、19と、これと並列に接続した帰還ダイオード(FWD)12、16、20との組でなる上側アームと、またIGBT13、17、21と、これと並列に接続した帰還ダイオード14、18、22との組でなる下側アームとで、それぞれ構成した各相のレグを備えている。
IGBT11、13、15、17、19、21の各々には、これらに近接した位置にそれぞれ温度センサ23〜28が設けられて、これらのIGBT11、13、15、17、19、21の温度を個別に検出できるようにされている。
IGBT11、13、15、17、19、21の各ゲートおよび温度センサ23〜28は、それぞれドライブ回路6に接続されており、IGBT11、13、15、17、19、21の各ゲートへはドライブ回路6からゲート駆動信号が入力可能である。
また、このドライブ回路6は、過温度保護機能を有しており、温度センサ23〜28から入力される温度信号に基づき、過温度となったことを判定したときはそのアームのIGBTへの電流の印加を制限する。
ドライブ回路6は、制御回路7に接続されてこれにより制御される。
なお、上記IGBT11、13、15、17、19、21は、本発明のスイッチング素子に相当する。
各相(U相、V相、W相)の、上側アームと下側アームの間は、モータの巻線に相当するインダクタ5a、5b、5cに、強電コネクタ4の接続部4a、4b、4cを介して接続可能である。
接続部4a、4b、4cと各相の上側アームおよび下側アームの間との間には、それぞれ電流センサ29、30、31が設けられて、U相電流、V相電流、W相電流の検出信号を制御回路7へ送る。
なお、制御回路7には、さらにスイッチングパターンの指示信号が入力可能であり、制御回路7からは入力するスイッチングパターンの指示信号に応じた過温度保護機能の動作の確認信号を出力するように構成している。
すべての上側アームのプラス側は、強電プラス側の結線Pに接続されて、強電コネクタ3のプラス側接続部3aを介して高電圧電源2のプラス側に接続可能である。
また、すべての下側アームのマイナス側は、強電マイナス側の結線Nに接続されて、強電コネクタ3のマイナス側接続部3bを介して高電圧電源2のマイナス側に接続可能である。
なお、上記プラス側結線Pとマイナス側結線Nとの間には、急激な電流の変化を吸収するコンデンサ8が介装される。
この実施例1のインバータ装置の検査方法では、上記検査装置を使って、検査対象となるインバータ装置1の3相の各レグのうち、1相のレグは休止させ、残りの2相のレグの上側および下側アームをそれぞれ逆位相で駆動して、同時に2つのアームに大きな電流を流すことで、より早く過温度状態に達するようにしている。
なお、図において休止させる相の部分は網掛けで示してある。
図2はその場合の1例を示し、W相レグには電流を流さずこれを休止させる反面、U相レグの上側アームのIGBT11は矢印で示すコレクタ電流Ic@UPを流し、V相レグの下側アームのIGBT17は矢印で示すコレクタ電流Ic@VNを流すように、スイッチングパターン指示信号を制御部7へ入力して、ドライバ回路6を駆動する。なお、本実施例では電源電圧は400Vである。
図3に、そのときのスイッチングパターンを示す。
同図の最上段に示すように、三角搬送波を、U相変調信号およびV相変調信号とそれぞれ比較することで、同図第2〜第5段目に示すような出力したいパルス幅を変えたオン・オフの信号波を得る。
なお、同図中、UPはU相上側アーム側、UNはU相下側アーム側、VPはV相上側アーム、VNはV相下側アームをそれぞれ示す。
また、同図中、第6段目にU相上側アームのIGBT11を流れるコレクタ電流(Ic@UP)を、第7段目にU相上側アームのFWD12を流れる電流(IFWD@UP)を、第8段目にU相下側アームのIGBT13を流れるコレクタ電流(Ic@UN)を、第9段目にU相下側アームのFWD14を流れる電流(IFWD@UN)を、第10段目にはV相上側アームのIGBT15を流れるコレクタ電流(Ic@VP)を、第11段目にV相上側アームのFWD16を流れる電流(IFWD@VP)を、第12段目にV相下側アームのIGBT17を流れるコレクタ電流(Ic@VN)を、そして最下段にV相下側アームのFWDを流れる電流(IFWD@VN)を、それぞれ示す。
同図から分かるように、電流IFWD@UP、Ic@UN 、Ic@VP、IFWD@VNの値は、0となる。一方、U相上側アームのIGBT11を流れるコレクタ電流Ic@UPと、V相下側アームのIGBT17を流れるコレクタ電流Ic@VNとは、最大電流絶対値となる。
この結果、U相上側アームのIGBT11とV相の下側アームのIGBT17とは、最大損失が発生して最も発熱するので、過温度保護機能が動作するか否かを、従来技術で検出する場合よりも早く検出することができるようになる。
なお、上側および下側アームの短絡防止のため、スイッチングの間にはオフ時間が設定されている。
上記説明はU相の上側アームのIGBT11とV相の下側アームのIGBT17とに電流を流し、W相は休止する場合の例について説明したが、実施例1では3相のうち1相を休止して残りを逆位相で駆動する検査は、これを全相にわたって実施する。
したがって、実施例1では、相を図4の上段(1、2段目でこれら同士は時間的にシンクロしている)に示すように、U相、V相、W相を順次切り替えて行き、常に1相が休止し、他の2相の逆位相のアームだけが駆動されるようにしてある。
このようにすれば、全相を効率よく連続して順次検査することができる。
この場合の検出温度Tjは、U相上側アームでの検出温度Tj@UPが第3段目に、U相下側アームでの検出温度Tj@UNが第4段目に、V相の上側アームでの検出温度Tj@VPが第5段目に、V相下側アームでの検出温度Tj@VNが第6段目に、W相上側アームでの検出温度Tj@WPが第7段目に、そしてW相下側アームでの検出温度Tj@WNが最下段である第8番目にそれぞれ示してある。
ここで、図2のような電流指令値を与えると、そのアームの検出温度は増加して行き、電流の印加を停止すると、この時点から放熱により検出温度は下がって行く。
すなわち、図5にそれ例を示すように、図5の上段に示すように、例えば500Aのステップ電流を印加すると、同図の下段に示すように、検出温度Tjは急激に立ち上がり増加していくが、その増加率は徐々に減少していく。そして、印加から2秒後に加熱保護温度(例えば125℃)、すなわち過温度に達すると、電流の印加は停止され、その後、検出温度は徐々に低下していく。この温度低下は、温度が低くなるにつれてその減少率は小さくなって行く。したがって、図4および図5に示す検出温度Tjは同じような波形を示すことになる。
図4に戻ると、検出温度(ジャンクション温度)Tjがそれぞれ大きく立ち上がっており、この検出温度Tjに基づいて過温度で過温度保護機能が動作しているか否かを確認することが可能である。また、過温度に達するとドライブ回路6がそのスイッチング素子への電流印加を停止する。そして、停止から若干経った後に、図4の上段に示す順にしたがって、別の相のスイッチング素子への電流の印加を開始する。
この結果、図4にあっては、過温度保護機能動作の確認は、U相上側アーム、V相下側アーム、W相上側アーム、U相下側アーム、V相上側アーム、W相下側アームの順に確認できることになる。
なお、最後のW相下側アームでの確認中に、検査済みのU相上側アームのIGBT11にも新たに電流を流し始めるため、ここでも電流印加による温度が上昇していくが、W相下側アームでの過温度保護動作の確認終了とともに、両者とも電流の印加が停止されるので、その後、両者の温度は減少して行く。この電流停止時にあっては、したがってU相上側アームの方は過温度の手前の温度までしか上昇せず、その結果、その温度波形は小さくなっている。
ところで、上記検査では、U相上側アームのIGBT11とV相下側アームのIGBT17とは、まったく同じであればほぼ同時に過温度が検出されるはずだが、実際には各製品のばらつきによって同時に過温度が検出されないことがある。あるいは、上記のように順次検査をしていくので、早く電流印加を始めたIGBTと若干遅らせて電流印加を始めたIGBTでは、通常、前者の方が後者よりも早く過温度の状態になる。
そこで、一方のIGBTのみが早く過温度の状態に入ったときは、以下のようにして検査を続ける。
まず、早く過温度に達して過温度保護機能が確認されたアーム側のIGBT(たとえばIGBT11とする)駆動をオフにし、まだ過温度に達していないアームのIGBT(ここではIGB17)には続けて電流(ここではIc@VN)を流す。また、早く過温度の状態に入ったアーム側と同じ側のアーム(ここでは上側アーム)で、早く過温度の状態に入ったアームの相(ここではU相)および続けて電流を流しているアームの相(ここではV相)とは異なる相(したがって、ここではW相)のIGBT(ここでは19)に電流(ここではIc@WP)を流すようにする。
このように、まだ過温度に達していないアームおよびその検査中に早くオフになったアームとは異なる相のアームであって、まだ過温度に達していないアームとは上下逆のアームに電流を新たに流して、相が異なる上側および下側アームを電流が流れるようにすることで、ムダ時間なしで順次、全相のレグの過温度保護を確認していくことが可能となる。
以上から分かるように、実施例1のインバータ装置の検査方法は、相が異なる上側および下側のアームに大きな電流を流すことで、それら両アームの温度上昇を早めることができ、過温度保護機能確認の検査時間を短縮することができる。
また、一方のアームが過温度に達し他方のアームがまだ過温度に達していない場合には、上記のように別の相で上下逆のアームに電流を流し始めることで、ムダ時間をなくすことができ、その分、検査時間を短縮することができる。
次に、本発明の実施例2のインバータ装置の検査方法を、図面に基づいて説明する。
図6に実施例2のインバータ装置の検査方法を実施するための検査装置と、その検査対象のインバータ装置と、主要部を示す。なお、図6にあっては見やすくするため、効果には影響しないFWDはすべて図示を省略している。
実施例2のインバータ装置の検査装置は、モータの各相の巻線に相当する各インダクタ5a〜5cと強電マイナスN側の結線との間にそれぞれ電圧センサ32〜34を介装した点が、実施例の構成と異なる。
その他の構成は、実施例1と同じである。
上記のように構成した検査装置にあっては、図7の表に基づいて検査を行う。
すなわち、同図左側に示すように、強電圧プラスP側の上側アームと、強電圧マイナスN側の下側アームと、それぞれ異なる1相の組に通電する(同図表中に、通電するアームを黒丸で示す)。この通電は、上から順次実施する。
一方、電圧センサ32が計測するU相電圧値Vu、電圧センサ33が計測するV相電圧値Vv、そして電圧センサ34が計測するW総電圧Vwが、同図表の中間位置にまとめてある。
上側アームおよび下側アームのいずれかのスイッチング素子が過温度に達したとき、通電している2相分の電圧センサが計測している電圧値の高低(同図表中に、高い方をHigh、低い方をLowで示す)に応じて、過温度になったアームを同図の表中右側位置の記載に応じて判定する。
したがって、実施例2の場合には、過温度検出器はそれぞれのアームに設けてあるものの、過温度検出結果が上側アームと下側アームでの過温度検出結果のOR値でいずれか一方が過温度に達すれば過温度は検出可能だが、上側アームと下側アームのいずれ側が過温度になったのか、不明であるようなシステムに適用するのに、最適である。
実施例2のインバータ装置の検出方法は、実施例1の場合と同様の効果を得ることができるのに加えて、検査中、上側アームと下側アームのいずれ側が過温度になったのかを確実に把握することができるといった効果を得ることができる。
次に、本発明の実施例3に係るインバータ装置の検出方法について、図に基づいて以下に説明する。
実施例3のインバータ装置の検査方法では、図8に示すように、実施例2と同じ構成(図6に示す)の検査装置を用いる。
実施例3の検査方法は、ある検査条件、すなわち上側および下側のアームのいずれかの側のアームについてすべての相で過温度保護機能の確認検査が終わったものの、他方の側のアームにはまだ検査すべきアームが残っている場合の検査方法に関するものである。
このような場合、図8に示すように、たとえば上側アームはすべて検査が終了したが、W相の下側アームのIGBT21は通電検査中である場合には、この通電しているW相以外の2相、すなわちV相およびW相の上側アームのIGBT11、15にも通電するようにして、IGBT21の過温度保護機能の確認を行う。
このとき通電する上側アームのIGBT11、15はいずれも検査が終わっているので、実施例1のようにIGBT21と同じピーク値をもつ電流を流す必要はないので、同図中、矢印で示すように、W相下側アームのIGBT21にはピーク値の電流をまたU相、V相の両相の上側アームのIGBT11、15の両方にその半分値の電流をそれぞれ流すようにして、後者の検査を終えた方のIGBTの温度上昇を抑えるようにしている。
すなわち、これらのIGBTのうち検査が終わって間もなくまだ高熱になっているものがあっても、そのIGBTへの通電する電流値が抑えられるので、そのIGBT側が再度、過温度に達して過温度保護検出機能が動作するのを抑止することが可能となる。
以上は、W相下側アームのIGBT21の例を、図8に基づいて説明したが、図9に、それとは異なるIGBTの場合も含めて、検査中のアームと、通電する対向アームとについて、それぞれ通電するものに丸をつけて示した。
いずれの場合にも、図8に基づいて説明した場合と同様にして、検査が終了していないアームについても、過温度保護機能の動作の確認を行うことができる。
したがって、実施例3のインバータ装置の検査方法は、実施例1、2の効果を得ることができるのに加えて、上側および下側のアームのいずれかの側のアームについてすべての相で過温度保護機能の確認が終わったものの、他方の側のアームにはまだ検査すべきアームが残っている場合であっても、検査が終了してまだ高温になっている側のアームが再度、過温度に達して過温度保護機能が動作するのを防ぐことが可能となる。
以上、本発明を上記実施例に基づき説明してきたが、本発明は上記実施例に限られず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更等があった場合でも、本発明に含まれる。
上記実施例では、対象となるインバータ装置は、電気自動車やハイブリッド自動車に搭載したものであったが、これらに限られず、他のものに仕様するインバータ装置であってもよい。
1 インバータ装置
2 高電圧電源
3、4 強電コネクタ
5a〜5c インダクタ(負荷)
6 ドライブ装置
7 制御装置
8 コンデンサ
11、13、15、17、19、21 IGBT(スイッチング素子)
12、14、16、18、20、22 FWD
23〜28 温度センサ
129〜31 電流センサ
32〜34 電圧センサ

Claims (4)

  1. 3相インバータを構成する各スイッチング素子に設けられ、該各スイッチング素子の温度が所定の限界温度まで達したか否かを判別する過温度検出手段の動作を確認するインバータ装置の検査方法において、
    前記スイッチング素子の負荷をインダクタとし、
    前記過温度検出手段が動作するまでは、スイッチングさせる前記スイッチング素子を、3相のうちの1つの相の上側アーム、および3相の残り2相のうちの1相の下側アームのスイッチング素子とする、
    を備えたことを特徴とするインバータ装置の検査方法。
  2. 請求項1に記載のインバータ装置の検査方法において、
    前記スイッチングさせた上側アームと下側アームのうちの一方のスイッチング素子の過温度保護機能が動作して前記一方のスイッチング素子がオフになったことを検出したら、オフになった側のアームと同じ側のアームで、かつスイッチングしている他方のスイッチング素子を有するアームおよび前記オフにしたアームとは異なる相のアームのスイッチング素子をスイッチングさせるようにした、
    ことを特徴とするインバータ装置の検査方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のインバータ装置の検査方法において、
    前記インバータにより負荷にそれぞれ接続される3相線各相と強電プラス側との間、または前記3相線各相と強電マイナス側を電圧センサにて各相で並列になるように接続して、過度温度検出時の3相出力と強電マイナス側の間、または3相出力と強電プラス側の間の各電圧を監視し、いずれかのスイッチング素子が過温度に達した際の電圧センサの値により過温度が検出されたスイッチング素子を特定するようにした、
    ことを特徴とするインバータ装置の検査方法。
  4. 請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載のインバータ装置の検査方法において、
    前記上側アームおよび前記下側アームのうち、いずれかの一方側のすべてのアームでのスイッチング素子が過温度に達し過温度検出の検査が終了した場合、検査中の他方側のアームの通電中、該通電中のスイッチング素子の相とは異なる残り2相で検査が終了したアームを再度同時に通電するようにした、
    ことを特徴とするインバータ装置の検査方法。
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