JP2015001590A - 静電荷像現像用トナー、その製造方法、及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
前記結晶性ポリエステルは、2価のカルボン酸成分及び2価のアルコール成分からなる縮合物であり、
前記非晶性ポリエステルは、2価及び3価のカルボン酸成分並びに多価アルコール成分からなる縮合物であり、
前記ポリヒドロキシアルカン酸は、融点が160〜200℃の範囲内にあるポリヒドロキシアルカン酸であり、
前記アルミニウム原子は、前記静電荷像現像用トナー全体に対し0.020〜0.060質量%の範囲内で含有されていることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
(A)前記結晶性ポリエステルの微粒子の分散液を調製する結晶性ポリエステル分散液調製工程と、
(B)前記非晶性ポリエステルの微粒子の分散液を調製する非晶性ポリエステル分散液調製工程と、
(C)前記ポリヒドロキシアルカン酸の微粒子の分散液を調製するポリヒドロキシアルカン酸分散液調製工程と、
(D)前記アルミニウム原子を含有する凝集剤によって、前記結晶性ポリエステルの微粒子、前記非晶性ポリエステルの微粒子を凝集、融着させた後、さらに前記ポリヒドロキシアルカン酸の微粒子を凝集、融着させることでトナー粒子を形成する凝集工程と、
を有し、
前記ポリヒドロキシアルカン酸は、融点が160〜200℃の範囲内にあるポリヒドロキシアルカン酸であり、
前記アルミニウム原子は、前記静電荷像現像用トナー全体に対し0.020〜0.060質量%の範囲内で含有されることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
第1項から第3項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーを使用し、
前記定着工程は、
低光沢モードで画像形成を行うときの定着温度をTL(℃)とし、かつ、高光沢モードで画像形成を行うときの定着温度をTH(℃)としたとき、TH−TL≧30℃であることを特徴とする画像形成方法。
本発明は、結晶性ポリエステル、非晶性ポリエステル及びアルミニウム原子からなる低光沢トナー主成分を有しており、トナー中のアルミニウム原子の含有量を高くすることで低光沢トナー主成分の間に形成されるイオン架橋を強くし、低光沢化している。このイオン架橋が形成された低光沢トナー主成分に対し、高融点結晶性化合物(融点が160〜200℃の範囲内にあるポリヒドロキシアルカン酸)を導入することにより、低温領域ではイオン架橋を形成した低光沢トナー主成分に対し高融点結晶性化合物が相溶せず、低光沢が維持される。高温領域では高融点結晶性化合物と低光沢トナー主成分とが相溶し、トナー全体としての粘弾性が低下し、高光沢化する。このように、本発明は、高温/低温の二つの定着温度を切り替えることで、一つのトナーにて低光沢/高光沢を実現するものである。低温で非相溶である理由は明らかではないが、高融点結晶性化合物の融点と、結晶性ポリエステル及び非晶性ポリエステルの融点/軟化点との差が大きいことによるものだと考えられる。
(A)前記結晶性ポリエステルの微粒子の分散液を調製する結晶性ポリエステル分散液調製工程と、
(B)前記非晶性ポリエステルの微粒子の分散液を調製する非晶性ポリエステル分散液調製工程と、
(C)前記ポリヒドロキシアルカン酸の微粒子の分散液を調製するポリヒドロキシアルカン酸分散液調製工程と、
(D)前記アルミニウム原子を含有する凝集剤によって、前記結晶性ポリエステルの微粒子、前記非晶性ポリエステルの微粒子を凝集、融着させた後、さらに前記ポリヒドロキシアルカン酸の微粒子を凝集、融着させることでトナー粒子を形成する凝集工程と、
を有し、
前記ポリヒドロキシアルカン酸は、融点が160〜200℃の範囲内にあるポリヒドロキシアルカン酸であり、
前記アルミニウム原子は、前記静電荷像現像用トナー全体に対し0.020〜0.060質量%の範囲内で含有されることを特徴とする態様の製造方法であることが、低温定着性と低光沢とを両立させ、かつ1種類のトナーで高光沢及び低光沢の画像の形成を実現させることができるという観点から、好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナー(以下単に「トナー」ともいう。)は、少なくとも、結晶性ポリエステルと、非晶性ポリエステルと、ポリヒドロキシアルカン酸と、アルミニウム原子とからなるトナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記結晶性ポリエステルは、2価のカルボン酸成分及び2価のアルコール成分からなる縮合物であり、前記非晶性ポリエステルは、2価及び3価のカルボン酸成分並びに多価アルコール成分からなる縮合物であり、前記ポリヒドロキシアルカン酸は、融点が160〜200℃の範囲にあるポリヒドロキシアルカン酸であり、前記アルミニウム原子は、前記静電荷像現像用トナー全体に対し0.020〜0.060質量%の範囲内で含有されていることを特徴とする。
(A)結晶性ポリエステルの微粒子の分散液を調製する結晶性ポリエステル分散液調製工程と、
(B)非晶性ポリエステルの微粒子の分散液を調製する非晶性ポリエステル分散液調製工程と、
(C)ポリヒドロキシアルカン酸の微粒子の分散液を調製するポリヒドロキシアルカン酸分散液調製工程と、
(D)アルミニウム原子を含有する凝集剤によって、前記結晶性ポリエステルの微粒子、前記非晶性ポリエステルの微粒子を凝集、融着させた後、さらに前記ポリヒドロキシアルカン酸の微粒子を凝集、融着させることでトナー粒子を形成する凝集工程と、
を有し、
前記ポリヒドロキシアルカン酸は、融点が160〜200℃の範囲内にあるポリヒドロキシアルカン酸であり、
前記アルミニウム原子は、前記静電荷像現像用トナー全体に対し0.020〜0.060質量%の範囲内で含有される製造方法によって本発明のトナーを製造するものとして説明する。
本工程では、2価のカルボン酸成分及び2価のアルコール成分からなる縮合物である結晶性ポリエステルの微粒子の分散液を調製する。
本工程は、下記工程を含んで構成されることが好ましい。
(A−2)結晶性ポリエステル溶液調製工程
(A−3)脱溶剤工程
結晶性ポリエステルの製造方法としては、特に制限はなく、2価のカルボン酸成分及び2価のアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができ、例えば、直接重縮合、エステル交換法等を、モノマーの種類によって使い分けて製造する。
本発明において、結晶性ポリエステルとは、2価のカルボン酸成分及び2価のアルコール成分からなる縮合物であって、後述する示差走査熱量計「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)を用いて測定されるDSC曲線において、明確な吸熱ピークを有するものをいう。
結晶性ポリエステルを得るためのジカルボン酸(2価のカルボン酸)成分としては、脂肪族ジカルボン酸を用いることが好ましく、特に直鎖型の脂肪族ジカルボン酸を用いることが好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸などの炭素数4〜12のアルカンジカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸などの炭素数4〜6のアルケンジカルボン酸などなどが挙げられる。
結晶性ポリエステルを得るためのジオール(2価のアルコール)成分としては、結晶性が高く耐熱保管性に優れるため脂肪族ジオールを用いることが好ましく、特に炭素数2〜12の脂肪族ジオールを用いることが好ましい。また、直鎖型の脂肪族ジオールを用いることが好ましい。また、分岐型の脂肪族ジオールや脂環式の脂肪族ジオールを用いることもできる。
その他のジオールとしては、1,2−プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなどの炭素数2〜12の分岐型脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−アダマンチルジメタノールなどの炭素数4〜12の脂環式ジオール;これらの脂環式ジオールのエチレンオキサイド(EO)付加物、プロピレンオキサイド(PO)付加物、ブチレンオキサイド(BO)付加物(付加モル数は1〜3)などのアルキレンオキサイド(AO)付加物;ポリε−カプロラクトンジオールなどのポリラクトンジオール;ポリブタジエンジオールなどが挙げられる。
工程(A−2)では、上記のようにして合成された結晶性ポリエステルを有機溶剤に溶解し、結晶性ポリエステル溶液を調製する。その後、当該結晶性ポリエステル溶液を、水系媒体中に乳化分散させることにより、結晶性ポリエステル溶液よりなる油滴を形成する。
工程(A−2)においては、水系媒体に対して結晶性ポリエステル溶液を徐々に添加することが好ましいが、結晶性ポリエステル溶液に対して水系媒体を徐々に添加する転相乳化法を行ってもよい。
有機溶剤としては、結晶性ポリエステル、後述の非晶性ポリエステル及びポリヒドロキシアルカン酸を溶解可能であればよく、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンなどを好ましく用いることができる。
本実施形態において、「水系媒体」とは、水50〜100質量%と、水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランを例示することができ、樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒を用いることが好ましい。
上記の水系媒体中においては、必要に応じて、通常のカチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などの界面活性剤が溶解されていてもよい。界面活性剤としては、結晶性ポリエステルによる油滴、後述の非晶性ポリエステルによる油滴及びポリヒドロキシアルカン酸による油滴の分散安定性に優れ、また、温度変化に対する安定性が得られることから、アニオン系界面活性剤を用いることが好ましい。
工程(A−3)においては、工程(A−2)において形成された油滴から、有機溶剤を留去することにより、結晶性ポリエステル微粒子が生成され、結晶性ポリエステル分散液が調製される。
結晶性ポリエステル微粒子の粒径は、「マイクロトラックUPA−150」(日機装社製)を用いて動的光散乱法によって測定されるものである。
本工程では、2価及び3価のカルボン酸成分並びに多価アルコール成分からなる縮合物である非晶性ポリエステルの微粒子の分散液を調製する。
本工程は、下記工程を含んで構成されることが好ましい。
(B−2)非晶性ポリエステル溶液調製工程
(B−3)脱溶剤工程
本発明において、非晶性ポリエステルとは、非晶性ポリエステルは、2価及び3価のカルボン酸成分並びに多価アルコール成分からなる縮合物であって、示差走査熱量計「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)を用いて測定されるDSC曲線において、明確な吸熱ピークを有さないものをいう。
非晶性ポリエステルを形成すべき2価のカルボン酸成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸に加え、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸が挙げられる。また、3価のカルボン酸成分としては、トリメリット酸、トリメシン酸などが挙げられる。2価及び3価のカルボン酸は、それぞれ1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本発明では、3価のカルボン酸成分が、トリメリット酸であることが好ましく、非晶性ポリエステルとアルミニウム原子との間に、より効率よくイオン架橋を形成することができ、ひいては、低温定着性に優れ、かつ、より低光沢性に優れる静電荷像現像用トナーを提供できるため好ましい。
また、上記2価及び3価のカルボン酸に加え、得られる非晶性ポリエステルの溶融粘度を適当なものにする目的で、ピロメリット酸などの4価以上の多価カルボン酸成分を用いてもよい。
非晶性ポリエステルを形成すべき多価アルコール成分としては、例えば、前述の脂肪族ジオールに加え、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール類、及びこれらのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物などのビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などを挙げることができ、また、3価以上の多価アルコール成分としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどが挙げられる。さらに、製造コストや環境性から、シクロヘキサンジメタノールやネオペンチルアルコールなどを用いることが好ましい。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(B−1)から(B−3)までの具体的な合成、調製及び脱溶剤工程については、前記結晶性ポリエステル分散液調製工程における(A−1)から(A−3)までの工程に準ずるので割愛する。
非晶性ポリエステル微粒子の粒径は、「マイクロナノトラックUPA−EX150」(日機装社製)を用いて動的光散乱法によって測定されるものである。
分子量が5000以上であると、耐熱保管性の悪化を抑制できる。100000以上でると、低温定着性の悪化を抑制できる。
本工程では、ポリヒドロキシアルカン酸の微粒子の分散液を調製する。
本工程は、下記工程を含んで構成されることが好ましい。
(C−2)ポリヒドロキシアルカン酸樹脂溶液調製工程
(C−3)脱溶剤工程
ポリヒドロキシアルカン酸とは、ヒドロキシ基をもつカルボン酸の重縮合物である。
本発明に係るポリヒドロキシアルカン酸は、少なくともトナー粒子に含有されることを特徴とする。
また、本発明に係るポリヒドロキシアルカン酸は、融点が160〜200℃の範囲内にあるポリヒドロキシアルカン酸であれば特に限定されず、例えば、ポリグルコール酸、ポリ乳酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリリンゴ酸、3−ヒドロキシ吉草酸などが挙げられるが、融点、Tgの観点からポリ乳酸が好ましい。
なお、乳酸には光学異性体が存在し、L−乳酸とD−乳酸があるが、これら単独又は混合物のいずれの乳酸を使用しても良い。
本発明においては、ポリヒドロキシアルカン酸の含有量が、静電荷像現像用トナー全体に対し1〜10質量%の範囲内であることが好ましい。
(C−1)から(C−3)までの具体的な合成、調製及び脱溶剤工程については、前記結晶性ポリエステル分散液調製工程における(A−1)から(A−3)までの工程に準ずるので割愛する。
ポリヒドロキシアルカン酸微粒子の粒径は、「マイクロナノトラックUPA−EX150」(日機装社製)を用いて動的光散乱法によって測定されるものである。
凝集工程では、上記工程(A)から(C)までにおいて得られた結晶性ポリエステル微粒子、結晶性ポリエステル微粒子を凝集、融着させた後、さらにポリアルカン酸微粒子を凝集、融着させることによりトナー粒子を形成する。
なお、凝集剤は、アルミニウム原子を含有することが、非晶性ポリエステルとアルミニウム原子との間にイオン架橋を形成するため、低光沢性に優れた静電荷像現像用トナーを提供できる点から好ましい。
所望の粒子径まで成長したところで、凝集停止剤を添加して粒子成長を停止させ、さらに、必要に応じて粒子形状を制御するために加熱を継続して行う方法が挙げられる。このような方法であると、イオン架橋が形成された結晶性ポリエステル、非晶性ポリエステル及びアルミニウム原子(低光沢トナー主成分)に対し、本発明に係るポリヒドロキシアルカン酸が導入される。これにより、低温領域では、イオン架橋を形成した低光沢トナー主成分に対しポリヒドロキシアルカン酸が相溶せず、低光沢が維持されるトナーを製造できる。また、高温領域では、当該ポリヒドロキシアルカン酸と低光沢トナー主成分とが相溶し、トナー全体としての粘弾性が低下することから、高光沢化するトナーを製造できる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、トナー粒子がアルミニウム原子を含有することを特徴とする。
本発明に用いられるアルミニウム原子をトナー粒子に含有させる方法は、特に限定されないが、例えば、硫酸アルミニウム等の凝集剤を用いて含有させる方法が挙げられる。
なお、アルミニウム原子の含有量が、静電荷像現像用トナー全体に対し0.020質量%以上である場合、目標の光沢より高くなることを防ぎ、分離性の悪化を抑制することができる。アルミニウム原子の含有量が、静電荷像現像用トナー全体に対し0.060質量%以下である場合、目標の光沢よりも低くなることを防ぎ、低温定着性の悪化を抑制する。
凝集剤としては、アルミニウムを含む無機金属塩、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩を用いることができる。
凝集剤を構成するアルミニウムを含む無機金属塩としては、例えば、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。また、アルカリ金属としては、例えばリチウム、カリウム、ナトリウムなどが挙げられ、凝集剤を構成するアルカリ土類金属としては、例えばマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられる。これらのうちでは、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが好ましい。
また、これらのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の対イオン(塩を構成する陰イオン)としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオンなどが挙げられる。
凝集剤を添加するときの分散液の温度が、非晶性ポリエステル微粒子のガラス転移点を超える場合には、粒径の制御を行うことが困難となり巨大粒子が生成されやすい。
このように、この工程においては、結晶性ポリエステル微粒子、非晶性ポリエステル微粒子及びポリアルカン酸微粒子とが分散されてなる分散液の温度が、当該非晶性ポリエステル微粒子のガラス転移点以下のときに、当該分散液を撹拌しながら凝集剤を添加し、その後速やかに当該分散液の加熱を開始して、非晶性ポリエステル微粒子のガラス転移点以上の温度とすることが必要である。
ここに、コア・シェル構造とは、シェル層がコア粒子を被覆していればよく、シェル層がコア粒子を完全に被覆している形態のみならず、コア粒子の一部を被覆しているものであってもよい。また、シェル層が組成の異なる樹脂よりなる2層以上の多層構造を有するものであってもよい。
このような構成を有するトナーにおいて、シェル層を構成する樹脂(シェル樹脂)の含有割合は、トナー全体に対して5質量%以上であって30質量%以下であることが好ましい。
また、シェル樹脂としては、コア粒子を構成する結晶性ポリエステル以外の樹脂と非相溶性を有し、ガラス転移点の高いものが用いられる。
ここに、シェル樹脂としては、そのガラス転移点が45℃以上であって60℃以下であることが好ましい。また、その重量平均分子量が8000以上であって50000以下であることが好ましい。
着色剤としては、公知の無機又は有機着色剤を使用することができる。以下に、具体的な着色剤を示す。
黒色の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどのカーボンブラックや、マグネタイト、フェライトなどの磁性粉が挙げられる。
また、マゼンタ又はレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。
また、オレンジ又はイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138などが挙げられる。
また、グリーン又はシアン用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
離型剤としては、公知の種々のワックスを用いることができる。
ワックスの具体的としては、例えばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス;マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス;パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス;ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス;カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘニル、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、マレイン酸ジステアリルなどのエステル系ワックス;エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
なお、濾過、洗浄及び乾燥の方法は、公知の種々の方法を採用して行うことができる。
本発明のトナーを構成するトナー粒子の粒径は、例えば体積基準のメジアン径で3〜10μmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは5〜8μmの範囲内とされる。
体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。
具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加してなじませた後、超音波分散処理を1分間行い、トナー粒子の分散液を調製し、このトナー粒子の分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が5〜10%の範囲内になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を100μmにし、測定範囲である2〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径を体積基準のメジアン径とする。
本発明のトナーを構成するトナー粒子は、転写効率の向上の観点から、平均円形度が0.930〜1.000の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.950〜0.995の範囲内である。
具体的には、市販の専用シース液に界面活性剤を溶解させたものに試料(トナー)を添加してなじませた後、超音波分散処理を1分間行って分散液を調製し、この分散液について、「FPIA−2100」を用い、測定条件をHPF(高倍率撮像)モードとし、HPF検出数3000〜10000個の範囲内の適正濃度にて測定を行う。ここで、この範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、この測定によって得られた測定値に基づいて下記式(T)で示される円形度を算出する。
式(T):円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
また、平均円形度は、上記の円形度の測定対象である各トナー粒子の円形度の平均値、すなわち各トナー粒子の円形度を足し合わせ、全トナー粒子数で割り算することによって算出される。
上述のようにして作製されたトナー粒子は、そのままトナーとして使用することが可能であるが、トナーとしての帯電性能や流動性、あるいはクリーニング性を向上させる観点から、その表面に公知の無機微粒子や有機微粒子などの粒子、滑材を外添剤として添加することが好ましい。
これら無機微粒子は、耐熱保管性及び環境安定性の観点から、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって表面処理が行われたものであることが好ましい。
外添剤の添加方法としては、乾燥されたトナー粒子に外添剤を粉体で添加する乾式法が挙げられ、混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミルなどの機械式の混合装置が挙げられる。
本発明のトナーは、磁性又は非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
本発明のトナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄などの強磁性金属、強磁性金属とアルミニウム及び鉛などの合金、フェライト及びマグネタイトなどの強磁性金属の化合物などの従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散したバインダー型キャリアなどを用いることもできる。コートキャリアを構成する被覆樹脂としては、特に限定はないが、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。また、樹脂分散型キャリアを構成する樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えばスチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
キャリアの体積基準のメジアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
以上のトナーは、接触加熱方式による定着工程を含む画像形成方法に好適に用いることができる。画像形成方法としては、具体的には、以上のようなトナーを使用して、例えば像担持体上に静電的に形成された静電潜像を、現像装置において現像剤を摩擦帯電部材によって帯電させることにより顕在化させてトナー画像を得る。そして、このトナー像を用紙に転写し、その後、用紙上に転写されたトナー画像を接触加熱方式の定着処理によって用紙に定着させることにより、可視画像が得られる。
本発明の定着工程には、いわゆる接触加熱方式の定着方法が好適に適用できる。接触加熱方式としては、特に熱圧定着方式、さらには熱ロール定着方式及び固定配置された加熱体を内包した回動する加圧部材により定着する圧接加熱定着方式を挙げることができる。
熱ロール定着方式の定着方法においては、通常、表面にフッ素樹脂等が被覆された鉄やアルミニウム等よりなる金属シリンダー内部に熱源が備えられた上ローラーと、シリコーンゴム等で形成された下ローラーとから構成された定着装置が用いられる。
表1に示す酸成分及びアルコール成分で、非晶性ポリエステル1〜3を下記のようにして合成した。
テレフタル酸85質量部、トリメリット酸6質量部、フマル酸18質量部、ドデセニルコハク酸無水物80質量部、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物(BPA・PO)381質量部、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物(BPA・EO)62質量部を撹拌機、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に入れ、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した。次に、チタンテトラブトキサイド0.1質量部を添加し、窒素ガス気流下において約180℃で8時間撹拌反応を行った。さらに、チタンテトラブトキサイド0.2質量部を添加し、温度を約220℃に上げ6時間撹拌反応を行った後、反応容器内を10mmHg(1.33kPa)まで減圧した。この減圧下で、さらに反応を行い、淡黄色透明な非晶性ポリエステル1を得た。
トリメリット酸の代わりにトリメシン酸を用いた以外は、非晶性ポリエステル1の合成と同様にして、非晶性ポリエステル2を得た。
テレフタル酸を91質量部使用し、トリメリット酸を使用しないこと以外は、非晶性ポリエステル1の合成と同様にして、非晶性ポリエステル3を得た。
表2に示す酸成分及びアルコール成分で、結晶性ポリエステル1〜4を下記のようにして合成した。
1,10−ドデカン二酸345質量部、1,9−ノナンジオール252質量部を撹拌機、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に入れ、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した。次に、チタンテトラブトキサイド0.1質量部を添加し、窒素ガス気流下において約180℃で8時間撹拌反応を行った。さらに、チタンテトラブトキサイド0.2質量部を添加し温度を約220℃に上げ6時間撹拌反応を行った後、反応容器内を10mmHg(1.33kPa)まで減圧した。この減圧下で、さらに反応を行い、淡黄色透明な結晶性ポリエステル1を得た。
1,10−ドデカン二酸の代わりにセバシン酸304質量部、1,9−ノナンジオールの代わりに1,10−デカンジオール275質量部用いた以外は、結晶性ポリエステル1の合成と同様にして結晶性ポリエステル2を得た。
1,10−ドデカン二酸の代わりにオクタン二酸261質量部、1,9−ノナンジオールの代わりに1,8−オクタンジオール230質量部用いた以外は、結晶性ポリエステル1の合成と同様にして結晶性ポリエステル3を得た。
1,10−ドデカン二酸の代わりにアジピン酸219質量部、1,9−ノナンジオールの代わりに1,6−ヘキサンジオール186質量部用いた以外は、結晶性ポリエステル1の合成と同様にして結晶性ポリエステル4を得た。
下記のようにして、非晶性ポリエステル分散液1から3を調製した。
(非晶性ポリエステル1)200質量部を酢酸エチル200部に溶解した。非晶性ポリエステル酢酸エチル溶液を撹拌しつつ、イオン交換水800質量部にポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム1質量%になるよう溶解した水溶液を撹拌しつつゆっくりと滴下を行った。この溶液を減圧下、酢酸エチルを除去した後、アンモニアでpHを8.5に調整した(液温は30℃)。固形分濃度を20%に調整した。
非晶性ポリエステル1に代えて、非晶性ポリエステル2、3を用いた以外は、非晶性ポリエステル分散液1の調製と同様にして分散液を調製した。
下記のようにして、結晶性ポリエステル分散液1から4を調製した。
(結晶性ポリエステル1)200質量部を酢酸エチル200部に溶解した。結晶性ポリエステル酢酸エチル溶液を撹拌しつつ、イオン交換水800質量部にポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム1質量%になるよう溶解した水溶液を撹拌しつつゆっくりと滴下を行った。この溶液を減圧下、酢酸エチルを除去した後、アンモニアでpHを8.5に調整した(液温は70℃)。固形分濃度は20%に調整した。
結晶性ポリエステル1に代えて、結晶性ポリエステル2から4を用いた以外は、結晶性ポリエステル分散液1の調製と同様にして分散液を調製した。
下記のようにして、ポリヒドロキシアルカン酸分散液1から5を調製した。
ポリヒドロキシアルカン酸として、ポリ乳酸TE−2000(ユニチカ株式会社製、融点170℃)を酢酸エチル400質量部に撹拌しながら添加し、加熱溶解させた。次に、当該溶液に界面活性剤として0.26質量%のラウリル硫酸ナトリウム水溶液400質量部を添加し、超音波ホモジナイザーUS−150T(株式会社日本精機製作所製)を用いて、V−LEVEL 300μAで30分間超音波分散した。次いで、50℃に加熱し、減圧下、ダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)で5時間撹拌して酢酸エチルを完全に除去し、固形分量20%の分散液を得た。
ポリヒドロキシアルカン酸として融点が、164℃(三井化学株式会社製、H−100)、195℃(株式会社ビーエムジー製)、156℃(三井化学株式会社製、H−440)、218℃(帝人株式会社製、バイオフロント)のポリ乳酸を用いた以外は、ポリヒドロキシアルカン酸分散液1の調製と同様にして各分散液を得た。
銅フタロシアニン(C.I.Pigment Blue 15:3)50質量部を、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム1質量%をイオン交換水200質量部に溶解した界面活性剤水溶液に投入後、超音波ホモジナイザーを用いて分散を行った。固形分濃度は20%に調整した。
離型剤(フッシャートロプシュワックス FNP−0090 融点89℃、日本精蝋社製)200質量部を95℃に加温し溶融させた。さらに、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム3質量%となるよう添加したイオン交換水800質量部に溶解した界面活性剤水溶液に投入後、超音波ホモジナイザーを用いて分散を行った。固形分濃度は20%に調整した。
トナー粒子1から19を下記のようにして製造した。
(非晶性ポリエステル分散液1)400質量部、(結晶性ポリエステル分散液1)100質量部、離型剤分散液50.0質量部、着色剤分散液25.0質量部、イオン交換水265.7質量部を撹拌機、冷却管、温度計を備えた反応容器に投入し、撹拌しつつ0.1N−水酸化ナトリウムを加え、液温25℃でpHを10に調整し、硫酸アルミニウム水溶液(固形分濃度0.3%)103.6質量部を10分間で滴下し、凝集を開始させる。
硫酸アルミニウム水溶液を滴下した後、撹拌しつつ内温を75℃まで昇温した。内温が75℃に到達した時点で、(ポリヒドロキシアルカン酸分散液1)35.0質量部を滴下により投入した。さらに、コールターカウンターを用い粒径を測定し、平均粒径が6μm台に達したところで、塩化ナトリウム16.8質量部をイオン交換水67.2質量部に溶解した塩化ナトリウム水溶液を加えた。粒径成長を停止し内温を85℃まで昇温し、FPIA−2000を用い形状係数が0.960になった時点で、10℃/minの速度で室温まで冷却した。冷却した反応液を、濾過、洗浄を繰り返した後乾燥した。これにより、平均粒径が6.10μm、形状係数が0.965のトナー粒子1を得た。
結晶性ポリエステル、非晶性ポリエステル、ポリヒドロキシアルカン酸の融点と量、アルミニウム含有量を表3に記載のように変更した以外は、トナー粒子1と同様にしてトナー粒子2から18を得た。
(非晶性ポリエステル分散液1)400質量部、(結晶性ポリエステル分散液1)100質量部、離型剤分散液50.0質量部、着色剤分散液25.0質量部、イオン交換水250.2質量部を撹拌機、冷却管、温度計を備えた反応容器に投入し、撹拌しつつ0.1N−水酸化ナトリウムを加え、液温25℃でpHを10に調整し、硫酸アルミニウム水溶液(固形分濃度0.3%)97.2質量部を10分間で滴下した後、撹拌しつつ内温を75℃まで昇温し内温を維持した。コールターカウンターを用い粒径を測定し、平均粒径が6μm台に達したところで、塩化ナトリウム15.9質量部をイオン交換水63.6質量部に溶解した塩化ナトリウム水溶液を加え、粒径成長を停止し内温を85℃まで昇温しFPIA−2000を用い形状係数が0.960になった時点で、10℃/minの速度で室温まで冷却した。冷却した反応液を、濾過、洗浄を繰り返した後乾燥した。これにより、平均粒径が6.27μm、形状係数が0.964のトナー粒子19を得た。
得られたトナー粒子1から19に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)1質量%及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)1質量%を添加し、「ヘンシェルミキサー」(三井三池化工機社製)により混合した。その後、45μmの目開きのふるいを用いて粗大粒子を除去する外添剤処理を施した。これをトナー〔1〕から〔19〕とする。
このトナー〔1〕から〔19〕に、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを、前記トナーの濃度が6質量%になるよう混合することにより、現像剤〔1〕から〔19〕を調製した。
〔光沢評価〕
画像形成装置として、熱ローラー定着方式による定着装置を有する、市販の複合機「bishub PRO C6501」(コニカミノルタ社製)を用い、この複合機に現像剤を各々投入した。上記定着装置の加熱部材の低光沢モード及び高光沢モード時における表面温度と、使用する現像剤とをそれぞれ表3に記載のようにした。常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下において、低光沢モード時には「Jペーパー(64g/m2)」(コニカミノルタ社製)、高光沢モード時には「POD128gグロスコート(128g/m2)」(王子製紙社製)上に画像を形成した。転写紙上のトナー量1.2mg/cm2に設定したベタ画像の光沢度を測定した。
なお、実施例1〜13及び比較例1〜6では低光沢モードの定着温度(TL)を170℃、高光沢モードの定着温度(TH)を200℃に、実施例14では低光沢モードの定着温度を180℃、高光沢モードの定着温度を200℃に、実施例15では低光沢モードの定着温度を150℃、高光沢モードの定着温度を220℃に、実施例16では低光沢モードの定着温度を150℃、高光沢モードの定着温度を210℃に、実施例17では低光沢モードの定着温度を150℃、高光沢モードの定着温度を190℃に設定して光沢評価を行った。
また、光沢度は、光沢度計「Gloss Meter」(村上色彩工学研究所製)を用い、屈折率1.567のガラス表面を基準として入射角75°で測定した。
一方、比較例1〜6は、低温定着性と低光沢とを両立させ、かつ1種類のトナーで高光沢及び低光沢の画像を形成できることは認められなかった。
Claims (5)
- 少なくとも、結晶性ポリエステルと、非晶性ポリエステルと、ポリヒドロキシアルカン酸と、アルミニウム原子とからなるトナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、
前記結晶性ポリエステルは、2価のカルボン酸成分及び2価のアルコール成分からなる縮合物であり、
前記非晶性ポリエステルは、2価及び3価のカルボン酸成分並びに多価アルコール成分からなる縮合物であり、
前記ポリヒドロキシアルカン酸は、融点が160〜200℃の範囲内にあるポリヒドロキシアルカン酸であり、
前記アルミニウム原子は、前記静電荷像現像用トナー全体に対し0.020〜0.060質量%の範囲内で含有されていることを特徴とする静電荷像現像用トナー。 - 前記3価のカルボン酸が、トリメリット酸であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記ポリヒドロキシアルカン酸の含有量が、静電荷像現像用トナー全体に対し1〜10質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーを製造する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
(A)前記結晶性ポリエステルの微粒子の分散液を調製する結晶性ポリエステル分散液調製工程と、
(B)前記非晶性ポリエステルの微粒子の分散液を調製する非晶性ポリエステル分散液調製工程と、
(C)前記ポリヒドロキシアルカン酸の微粒子の分散液を調製するポリヒドロキシアルカン酸分散液調製工程と、
(D)前記アルミニウム原子を含有する凝集剤によって、前記結晶性ポリエステルの微粒子、前記非晶性ポリエステルの微粒子を凝集、融着させた後、さらに前記ポリヒドロキシアルカン酸の微粒子を凝集、融着させることでトナー粒子を形成する凝集工程と、
を有し、
前記ポリヒドロキシアルカン酸は、融点が160〜200℃の範囲内にあるポリヒドロキシアルカン酸であり、
前記アルミニウム原子は、前記静電荷像現像用トナー全体に対し0.020〜0.060質量%の範囲内で含有されることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。 - 加熱方式による定着工程を含む画像形成方法であって、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーを使用し、
前記定着工程は、
低光沢モードで画像形成を行うときの定着温度をTL(℃)とし、かつ、高光沢モードで画像形成を行うときの定着温度をTH(℃)としたとき、TH−TL≧30℃であることを特徴とする画像形成方法。
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