JP6065757B2 - 静電荷像現像用トナー、その製造方法、及び画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー、その製造方法、及び画像形成方法 Download PDF

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本発明は、静電荷像現像用トナーとその製造方法に関する。また、当該静電荷像現像用トナーを用いた画像形成方法に関する。より詳しくは、低温定着性と低光沢とを両立させ、かつ1種類の静電荷像現像用トナーで高光沢及び低光沢の画像の形成を実現させることのできる静電荷像現像用トナーとその製造方法等に関する。
静電荷像現像用トナーとして、いっそうの低温定着性に優れたトナーが望まれている。また、軽印刷分野では、写真画像のような高い光沢度を求められる場合がある。画像の光沢が紙の光沢に対して低いと、画像が沈んだ印象を受け、画質・質感を損なうことがあるため、高光沢画像を形成する必要がある。このような性能を満足させるようなトナーとして、シャープメルト性を有する結晶性ポリエステルを用いて結着樹脂のガラス転移点や溶融粘度を下げる方法が知られている。一方で、同じ軽印刷分野においても、マット紙を用いた場合には低光沢画像が望まれるが、上記のような高い光沢度のトナーを用いた場合、画像の光沢が紙の光沢に対して極端に高くなり、いわゆる「てかり」、「ぎらつき」が強調された画像になることが問題となっている。
このような高光沢及び低光沢の2種類の画像が求められることに起因する問題を解決するために、特許文献1には、高光沢及び低光沢の2種のトナーが別々に収容され、その双方又は一方を用いて画像を形成する技術が開示されている。この特許文献1に開示された高光沢及び低光沢の2種のトナーでは、結着樹脂がいずれも結晶性ポリエステル及び非晶性ポリエステルからなり、トナー中に含有されるアルミニウムの量により光沢が制御される。
しかし、特許文献1に開示された技術は、高光沢及び低光沢の2種のトナーを別々に収容するものであるため、省スペース化に不向きであり、また、物品点数も増え、コスト面でも問題があった。
特開2011−257473号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、低温定着性と低光沢とを両立させ、かつ1種類のトナーで高光沢及び低光沢の画像の形成を実現させることのできる静電荷像現像用トナー、その製造方法及び当該静電荷像現像用トナーを用いた画像形成方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、静電荷像現像用トナーに含有されるトナー粒子が、結晶性ポリエステルとして2価のカルボン酸成分及び2価のアルコール成分からなる縮合物と、非晶性ポリエステルとして2価及び3価のカルボン酸成分並びに多価アルコール成分からなる縮合物と、融点が160〜200℃の範囲内にあるポリヒドロキシアルカン酸と、静電荷像現像用トナー全体に対し0.020〜0.060質量%の範囲内で含有されたアルミニウム原子と、を含有することにより、低温定着性と低光沢とを両立させ、かつ1種類のトナーで高光沢及び低光沢の画像の形成を実現可能なことを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも、結晶性ポリエステルと、非晶性ポリエステルと、ポリヒドロキシアルカン酸と、アルミニウム原子とからなるトナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、
前記結晶性ポリエステルは、2価のカルボン酸成分及び2価のアルコール成分からなる縮合物であり、
前記非晶性ポリエステルは、2価及び3価のカルボン酸成分並びに多価アルコール成分からなる縮合物であり、
前記ポリヒドロキシアルカン酸は、融点が160〜200℃の範囲内にあるポリヒドロキシアルカン酸であり、
前記アルミニウム原子は、前記静電荷像現像用トナー全体に対し0.020〜0.060質量%の範囲内で含有されていることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
2.前記3価のカルボン酸が、トリメリット酸であることを特徴とする第1項に記載の静電荷像現像用トナー。
3.前記ポリヒドロキシアルカン酸の含有量が、静電荷像現像用トナー全体に対し1〜10質量%の範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の静電荷像現像用トナー。
4.第1項から第3項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーを製造する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
(A)前記結晶性ポリエステルの微粒子の分散液を調製する結晶性ポリエステル分散液調製工程と、
(B)前記非晶性ポリエステルの微粒子の分散液を調製する非晶性ポリエステル分散液調製工程と、
(C)前記ポリヒドロキシアルカン酸の微粒子の分散液を調製するポリヒドロキシアルカン酸分散液調製工程と、
(D)前記アルミニウム原子を含有する凝集剤によって、前記結晶性ポリエステルの微粒子、前記非晶性ポリエステルの微粒子を凝集、融着させた後、さらに前記ポリヒドロキシアルカン酸の微粒子を凝集、融着させることでトナー粒子を形成する凝集工程と、
を有し、
前記ポリヒドロキシアルカン酸は、融点が160〜200℃の範囲内にあるポリヒドロキシアルカン酸であり、
前記アルミニウム原子は、前記静電荷像現像用トナー全体に対し0.020〜0.060質量%の範囲内で含有されることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
5.加熱方式による定着工程を含む画像形成方法であって、
第1項から第3項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーを使用し、
前記定着工程は、
低光沢モードで画像形成を行うときの定着温度をTL(℃)とし、かつ、高光沢モードで画像形成を行うときの定着温度をTH(℃)としたとき、TH−TL≧30℃であることを特徴とする画像形成方法。
本発明の上記手段により、低温定着性と低光沢とを両立させ、かつ1種類のトナーで高光沢及び低光沢の画像の形成を実現させることのできる静電荷像現像用トナー、その製造方法及び当該静電荷像現像用トナーを用いた画像形成方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明は、結晶性ポリエステル、非晶性ポリエステル及びアルミニウム原子からなる低光沢トナー主成分を有しており、トナー中のアルミニウム原子の含有量を高くすることで低光沢トナー主成分の間に形成されるイオン架橋を強くし、低光沢化している。このイオン架橋が形成された低光沢トナー主成分に対し、高融点結晶性化合物(融点が160〜200℃の範囲内にあるポリヒドロキシアルカン酸)を導入することにより、低温領域ではイオン架橋を形成した低光沢トナー主成分に対し高融点結晶性化合物が相溶せず、低光沢が維持される。高温領域では高融点結晶性化合物と低光沢トナー主成分とが相溶し、トナー全体としての粘弾性が低下し、高光沢化する。このように、本発明は、高温/低温の二つの定着温度を切り替えることで、一つのトナーにて低光沢/高光沢を実現するものである。低温で非相溶である理由は明らかではないが、高融点結晶性化合物の融点と、結晶性ポリエステル及び非晶性ポリエステルの融点/軟化点との差が大きいことによるものだと考えられる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくとも、結晶性ポリエステルと、非晶性ポリエステルと、ポリヒドロキシアルカン酸と、アルミニウム原子とからなるトナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記結晶性ポリエステルは、2価のカルボン酸成分及び2価のアルコール成分からなる縮合物であり、前記非晶性ポリエステルは、2価及び3価のカルボン酸成分並びに多価アルコール成分からなる縮合物であり、前記ポリヒドロキシアルカン酸は、融点が160〜200℃の範囲にあるポリヒドロキシアルカン酸であり、前記アルミニウム原子は、前記静電荷像現像用トナー全体に対し0.020〜0.060質量%の範囲内で含有されていることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項5までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記非晶性ポリエステルは、トリメリット酸を含む前記2価及び3価のカルボン酸成分並びに前記多価アルコール成分からなる縮合物であることが好ましい。これにより、非晶性ポリエステルとアルミニウム原子との間により効率よくイオン架橋を形成することができるため、低温定着性に優れ、かつ、より低光沢性に優れる静電荷像現像用トナーを提供できる。
また、前記ポリヒドロキシアルカン酸の含有量が、静電荷像現像用トナー全体に対し1〜10質量%の範囲内であることが、より高光沢性及び低光沢性に優れた画像の形成を実現させることができるため好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーを製造する静電荷像現像用トナーの製造方法としては、
(A)前記結晶性ポリエステルの微粒子の分散液を調製する結晶性ポリエステル分散液調製工程と、
(B)前記非晶性ポリエステルの微粒子の分散液を調製する非晶性ポリエステル分散液調製工程と、
(C)前記ポリヒドロキシアルカン酸の微粒子の分散液を調製するポリヒドロキシアルカン酸分散液調製工程と、
(D)前記アルミニウム原子を含有する凝集剤によって、前記結晶性ポリエステルの微粒子、前記非晶性ポリエステルの微粒子を凝集、融着させた後、さらに前記ポリヒドロキシアルカン酸の微粒子を凝集、融着させることでトナー粒子を形成する凝集工程と、
を有し、
前記ポリヒドロキシアルカン酸は、融点が160〜200℃の範囲内にあるポリヒドロキシアルカン酸であり、
前記アルミニウム原子は、前記静電荷像現像用トナー全体に対し0.020〜0.060質量%の範囲内で含有されることを特徴とする態様の製造方法であることが、低温定着性と低光沢とを両立させ、かつ1種類のトナーで高光沢及び低光沢の画像の形成を実現させることができるという観点から、好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーは、加熱方式による定着工程を含む画像形成方法であって、前記定着工程は、低光沢モードで画像形成を行うときの定着温度をTL(℃)とし、かつ、高光沢モードで画像形成を行うときの定着温度をTH(℃)としたとき、TH−TL≧30℃であることを特徴とする画像形成方法に好適に用いられ得る。これにより、低温定着性と低光沢とを両立させ、かつ1種類のトナーで高光沢及び低光沢の画像を形成することができるという効果が得られる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
(本発明の静電荷像現像用トナーの概要)
本発明の静電荷像現像用トナー(以下単に「トナー」ともいう。)は、少なくとも、結晶性ポリエステルと、非晶性ポリエステルと、ポリヒドロキシアルカン酸と、アルミニウム原子とからなるトナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記結晶性ポリエステルは、2価のカルボン酸成分及び2価のアルコール成分からなる縮合物であり、前記非晶性ポリエステルは、2価及び3価のカルボン酸成分並びに多価アルコール成分からなる縮合物であり、前記ポリヒドロキシアルカン酸は、融点が160〜200℃の範囲にあるポリヒドロキシアルカン酸であり、前記アルミニウム原子は、前記静電荷像現像用トナー全体に対し0.020〜0.060質量%の範囲内で含有されていることを特徴とする。
また、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は特に限定はされず、公知の方法を用いることができる。本実施形態では、水系媒体中において、結晶性ポリエステルの微粒子(以下、「結晶性ポリエステル微粒子」ともいう。)分散液、非晶性ポリエステルの微粒子(以下、「非晶性ポリエステル微粒子」ともいう。)分散液、ポリアルカン酸の微粒子(以下、「ポリアルカン酸微粒子」ともいう。)分散液を、凝集剤(硫酸アルミニウム)にて凝集、融着させるトナー製造方法により、本発明のトナーを製造する。
具体的には、本実施例では、
(A)結晶性ポリエステルの微粒子の分散液を調製する結晶性ポリエステル分散液調製工程と、
(B)非晶性ポリエステルの微粒子の分散液を調製する非晶性ポリエステル分散液調製工程と、
(C)ポリヒドロキシアルカン酸の微粒子の分散液を調製するポリヒドロキシアルカン酸分散液調製工程と、
(D)アルミニウム原子を含有する凝集剤によって、前記結晶性ポリエステルの微粒子、前記非晶性ポリエステルの微粒子を凝集、融着させた後、さらに前記ポリヒドロキシアルカン酸の微粒子を凝集、融着させることでトナー粒子を形成する凝集工程と、
を有し、
前記ポリヒドロキシアルカン酸は、融点が160〜200℃の範囲内にあるポリヒドロキシアルカン酸であり、
前記アルミニウム原子は、前記静電荷像現像用トナー全体に対し0.020〜0.060質量%の範囲内で含有される製造方法によって本発明のトナーを製造するものとして説明する。
〔(A)結晶性ポリエステル分散液調製工程〕
本工程では、2価のカルボン酸成分及び2価のアルコール成分からなる縮合物である結晶性ポリエステルの微粒子の分散液を調製する。
本工程は、下記工程を含んで構成されることが好ましい。
(A−1)結晶性ポリエステル合成工程
(A−2)結晶性ポリエステル溶液調製工程
(A−3)脱溶剤工程
<(A−1)結晶性ポリエステル合成工程>
結晶性ポリエステルの製造方法としては、特に制限はなく、2価のカルボン酸成分及び2価のアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができ、例えば、直接重縮合、エステル交換法等を、モノマーの種類によって使い分けて製造する。
結晶性ポリエステルの製造の際に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物、リン酸化合物、及びアミン化合物等が挙げられ、具体的には、以下の化合物が挙げられる。
例えば、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキサイド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、ステアリン酸ジルコニール、オクチル酸ジルコニール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−t−ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げられる。
〔結晶性ポリエステル〕
本発明において、結晶性ポリエステルとは、2価のカルボン酸成分及び2価のアルコール成分からなる縮合物であって、後述する示差走査熱量計「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)を用いて測定されるDSC曲線において、明確な吸熱ピークを有するものをいう。
(ジカルボン酸成分)
結晶性ポリエステルを得るためのジカルボン酸(2価のカルボン酸)成分としては、脂肪族ジカルボン酸を用いることが好ましく、特に直鎖型の脂肪族ジカルボン酸を用いることが好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸などの炭素数4〜12のアルカンジカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸などの炭素数4〜6のアルケンジカルボン酸などなどが挙げられる。
これらのなかでも、脂肪族ジカルボン酸、特に直鎖型の脂肪族ジカルボン酸を単独で用いることが好ましく、脂肪族ジカルボン酸としては、結晶性ポリエステルの結晶性の観点から、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸を用いることが好ましい。脂肪族ジカルボン酸とともに芳香族ジカルボン酸を用いる場合は、テレフタル酸、イソフタル酸を用いることが好ましい。
(2価のアルコール)
結晶性ポリエステルを得るためのジオール(2価のアルコール)成分としては、結晶性が高く耐熱保管性に優れるため脂肪族ジオールを用いることが好ましく、特に炭素数2〜12の脂肪族ジオールを用いることが好ましい。また、直鎖型の脂肪族ジオールを用いることが好ましい。また、分岐型の脂肪族ジオールや脂環式の脂肪族ジオールを用いることもできる。
直鎖型の脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,2−エイコサンジオールなどが挙げられる。これらのなかでも、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールを用いることが好ましい。
結晶性ポリエステルを得るためのジオール成分としては、上記のもの以外にも、必要に応じてその他のジオールを用いることができる。
その他のジオールとしては、1,2−プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなどの炭素数2〜12の分岐型脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−アダマンチルジメタノールなどの炭素数4〜12の脂環式ジオール;これらの脂環式ジオールのエチレンオキサイド(EO)付加物、プロピレンオキサイド(PO)付加物、ブチレンオキサイド(BO)付加物(付加モル数は1〜3)などのアルキレンオキサイド(AO)付加物;ポリε−カプロラクトンジオールなどのポリラクトンジオール;ポリブタジエンジオールなどが挙げられる。
本実施形態に係る結晶性ポリエステルのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される重量平均分子量は、5000〜100000の範囲内であることが好ましく、より好ましくは10000〜50000の範囲内である。結晶性ポリエステルの重量平均分子量が分子量5000以上であると、非晶性ポリエステルと相溶することが抑制され、耐熱性の悪化が抑制される。分子量が100000以下であると、低温定着性の悪化が抑制される。
また、本実施形態に係る結晶性ポリエステルは、溶融温度が40〜90℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、55〜80℃の範囲内である。40℃以上であると、耐熱保管性の悪化が抑制される。90℃以下であると、低温定着性の悪化が抑制される。
また、本実施形態において、結晶性ポリエステルの融点は、具体的には、示差走査熱量計「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)を用い、昇降速度10℃/minで0℃から200℃まで昇温する第1昇温過程、冷却速度10℃/minで200℃から0℃まで冷却する冷却過程、及び昇降速度10℃/minで0℃から200℃まで昇温する第2昇温過程をこの順に経る測定条件(昇温・冷却条件)によって測定されるものであり、この測定によって得られるDSC曲線に基づいて、第1昇温過程における結晶性ポリエステルに由来の吸熱ピークトップ温度を融点とするものである。測定手順としては、結晶性ポリエステル3.0mgをアルミニウム製パンに封入し、ダイヤモンドDSCサンプルホルダーにセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用した。
<(A−2)結晶性ポリエステル溶液調製工程>
工程(A−2)では、上記のようにして合成された結晶性ポリエステルを有機溶剤に溶解し、結晶性ポリエステル溶液を調製する。その後、当該結晶性ポリエステル溶液を、水系媒体中に乳化分散させることにより、結晶性ポリエステル溶液よりなる油滴を形成する。
工程(A−2)においては、水系媒体に対して結晶性ポリエステル溶液を徐々に添加することが好ましいが、結晶性ポリエステル溶液に対して水系媒体を徐々に添加する転相乳化法を行ってもよい。
〔有機溶剤〕
有機溶剤としては、結晶性ポリエステル、後述の非晶性ポリエステル及びポリヒドロキシアルカン酸を溶解可能であればよく、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンなどを好ましく用いることができる。
〔水系媒体〕
本実施形態において、「水系媒体」とは、水50〜100質量%と、水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランを例示することができ、樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒を用いることが好ましい。
また、水系媒体には、必要に応じて、アミンやアンモニアが溶解されていてもよい。
〔界面活性剤〕
上記の水系媒体中においては、必要に応じて、通常のカチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などの界面活性剤が溶解されていてもよい。界面活性剤としては、結晶性ポリエステルによる油滴、後述の非晶性ポリエステルによる油滴及びポリヒドロキシアルカン酸による油滴の分散安定性に優れ、また、温度変化に対する安定性が得られることから、アニオン系界面活性剤を用いることが好ましい。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類;ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリエトキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類;モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウムなどのアルキルスルホコハク酸エステル塩、及びその誘導体類などを挙げることができる。
以上の界面活性剤は、所望に応じて、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
乳化分散させる具体的な手段としては、機械的エネルギーを付与することが挙げられ、機械的エネルギーを付与するための分散装置としては、特に限定されるものではなく、例えば高速回転可能なローターを備えた撹拌装置や、超音波分散装置や機械式ホモジナイザー、マントンゴーリン、圧力式ホモジナイザーなどの装置を用いることができる。
<(A−3)脱溶剤工程>
工程(A−3)においては、工程(A−2)において形成された油滴から、有機溶剤を留去することにより、結晶性ポリエステル微粒子が生成され、結晶性ポリエステル分散液が調製される。
有機溶剤の留去は、具体的には、真空度が400〜50000Paの範囲内とされた状態において、かつ、30〜50℃の範囲内の温度において行うことが好ましい。
結晶性ポリエステル微粒子の粒径は、例えば体積基準のメジアン径で30〜500nmの範囲内にあることが好ましい。
結晶性ポリエステル微粒子の粒径は、「マイクロトラックUPA−150」(日機装社製)を用いて動的光散乱法によって測定されるものである。
〔(B)非晶性ポリエステル分散液調製工程〕
本工程では、2価及び3価のカルボン酸成分並びに多価アルコール成分からなる縮合物である非晶性ポリエステルの微粒子の分散液を調製する。
本工程は、下記工程を含んで構成されることが好ましい。
(B−1)非晶性ポリエステル合成工程
(B−2)非晶性ポリエステル溶液調製工程
(B−3)脱溶剤工程
〔非晶性ポリエステル〕
本発明において、非晶性ポリエステルとは、非晶性ポリエステルは、2価及び3価のカルボン酸成分並びに多価アルコール成分からなる縮合物であって、示差走査熱量計「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)を用いて測定されるDSC曲線において、明確な吸熱ピークを有さないものをいう。
(2価及び3価のカルボン酸)
非晶性ポリエステルを形成すべき2価のカルボン酸成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸に加え、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸が挙げられる。また、3価のカルボン酸成分としては、トリメリット酸、トリメシン酸などが挙げられる。2価及び3価のカルボン酸は、それぞれ1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本発明では、3価のカルボン酸成分が、トリメリット酸であることが好ましく、非晶性ポリエステルとアルミニウム原子との間に、より効率よくイオン架橋を形成することができ、ひいては、低温定着性に優れ、かつ、より低光沢性に優れる静電荷像現像用トナーを提供できるため好ましい。
また、上記2価及び3価のカルボン酸に加え、得られる非晶性ポリエステルの溶融粘度を適当なものにする目的で、ピロメリット酸などの4価以上の多価カルボン酸成分を用いてもよい。
(多価アルコール)
非晶性ポリエステルを形成すべき多価アルコール成分としては、例えば、前述の脂肪族ジオールに加え、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール類、及びこれらのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物などのビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などを挙げることができ、また、3価以上の多価アルコール成分としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどが挙げられる。さらに、製造コストや環境性から、シクロヘキサンジメタノールやネオペンチルアルコールなどを用いることが好ましい。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<(B−1)から(B−3)までの工程について>
(B−1)から(B−3)までの具体的な合成、調製及び脱溶剤工程については、前記結晶性ポリエステル分散液調製工程における(A−1)から(A−3)までの工程に準ずるので割愛する。
非晶性ポリエステル微粒子の粒径は、体積基準のメジアン径が50〜300nmの範囲内であることが好ましい。
非晶性ポリエステル微粒子の粒径は、「マイクロナノトラックUPA−EX150」(日機装社製)を用いて動的光散乱法によって測定されるものである。
本実施形態に係る非晶性ポリエステルのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される重量平均分子量は、5000〜100000の範囲内であることが好ましく、より好ましくは5000〜50000の範囲内である。
分子量が5000以上であると、耐熱保管性の悪化を抑制できる。100000以上でると、低温定着性の悪化を抑制できる。
〔(C)ポリヒドロキシアルカン酸分散液調製工程〕
本工程では、ポリヒドロキシアルカン酸の微粒子の分散液を調製する。
本工程は、下記工程を含んで構成されることが好ましい。
(C−1)ポリヒドロキシアルカン酸合成工程
(C−2)ポリヒドロキシアルカン酸樹脂溶液調製工程
(C−3)脱溶剤工程
(ポリヒドロキシアルカン酸)
ポリヒドロキシアルカン酸とは、ヒドロキシ基をもつカルボン酸の重縮合物である。
本発明に係るポリヒドロキシアルカン酸は、少なくともトナー粒子に含有されることを特徴とする。
また、本発明に係るポリヒドロキシアルカン酸は、融点が160〜200℃の範囲内にあるポリヒドロキシアルカン酸であれば特に限定されず、例えば、ポリグルコール酸、ポリ乳酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリリンゴ酸、3−ヒドロキシ吉草酸などが挙げられるが、融点、Tgの観点からポリ乳酸が好ましい。
また、本発明に係るポリヒドロキシアルカン酸は、市販品を使用してもよいし、適宜製造したものを使用してもよい。なお、ポリヒドロキシアルカン酸の製造方法は、特に限定されず、従来公知の製造方法を用いることができる。公知の製造方法のうち、例えば、ポリ乳酸においては、とうもろこし等のデンプンを発酵し、乳酸を得た後、乳酸モノマーから直接脱水縮合する方法や、乳酸から環状二量体ラクチドを経て、触媒の存在下で開環重合によって合成する方法がある。
なお、乳酸には光学異性体が存在し、L−乳酸とD−乳酸があるが、これら単独又は混合物のいずれの乳酸を使用しても良い。
本発明においては、ポリヒドロキシアルカン酸の含有量が、静電荷像現像用トナー全体に対し1〜10質量%の範囲内であることが好ましい。
ポリヒドロキシアルカン酸の好ましい融点は160〜200℃の範囲内であり、より好ましくは160〜180℃の範囲内である。160℃以上であると、後述する低光沢モード時においても、結晶性ポリエステル及び非晶性ポリエステルからなる主成分に対し、高融点結晶性化合物との相溶が進行することを抑制でき、ひいては、光沢が高くなり過ぎることを抑制できる。一方、180℃よりも低い場合、高光沢モード時において、相溶が不十分となることを抑制し、ひいては、目標の光沢よりも低くなることを抑制することができる。
<(C−1)から(C−3)までの工程について>
(C−1)から(C−3)までの具体的な合成、調製及び脱溶剤工程については、前記結晶性ポリエステル分散液調製工程における(A−1)から(A−3)までの工程に準ずるので割愛する。
ポリヒドロキシアルカン酸微粒子の粒径は、体積基準のメジアン径が50〜300nmまでの範囲内であることが好ましい。
ポリヒドロキシアルカン酸微粒子の粒径は、「マイクロナノトラックUPA−EX150」(日機装社製)を用いて動的光散乱法によって測定されるものである。
〔(D)凝集工程〕
凝集工程では、上記工程(A)から(C)までにおいて得られた結晶性ポリエステル微粒子、結晶性ポリエステル微粒子を凝集、融着させた後、さらにポリアルカン酸微粒子を凝集、融着させることによりトナー粒子を形成する。
なお、凝集剤は、アルミニウム原子を含有することが、非晶性ポリエステルとアルミニウム原子との間にイオン架橋を形成するため、低光沢性に優れた静電荷像現像用トナーを提供できる点から好ましい。
結晶性ポリエステル微粒子、非晶性ポリエステル微粒子及びポリアルカン酸微粒子を凝集、融着する具体的な方法の例としては、水系媒体中に凝集剤を臨界凝集濃度以上となるよう添加し、次いで、非晶性ポリエステル微粒子のガラス転移点以上であって、かつ、これら混合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱することによって、結晶性ポリエステル微粒子、非晶性ポリエステル微粒子の塩析を進行させると同時に融着を並行して進める。この際、低光沢トナー主成分の間には、イオン架橋が形成される。好ましい加熱温度は、(非晶性ポリエステル微粒子のガラス転移点+10℃)〜(非晶性ポリエステル微粒子のガラス転移点+50℃)とされ、特に好ましくは(非晶性ポリエステル微粒子のガラス転移点+15℃)〜(非晶性ポリエステル微粒子のガラス転移点+40℃)の範囲内とされる。
所望の粒子径まで成長したところで、ポリアルカン酸微粒子を添加し、結晶性ポリエステル微粒子、非晶性ポリエステル微粒子及びポリアルカン酸微粒子の塩析を進行させると同時に融着を並行して進める。この際、低光沢トナー主成分の間に形成された上述のイオン架橋は、維持される。この際、好ましい加熱温度は、(非晶性ポリエステル微粒子のガラス転移点+10℃)〜(非晶性ポリエステル微粒子のガラス転移点+50℃)とされ、特に好ましくは(非晶性ポリエステル微粒子のガラス転移点+15℃)〜(非晶性ポリエステル微粒子のガラス転移点+40℃)の範囲内とされる。
所望の粒子径まで成長したところで、凝集停止剤を添加して粒子成長を停止させ、さらに、必要に応じて粒子形状を制御するために加熱を継続して行う方法が挙げられる。このような方法であると、イオン架橋が形成された結晶性ポリエステル、非晶性ポリエステル及びアルミニウム原子(低光沢トナー主成分)に対し、本発明に係るポリヒドロキシアルカン酸が導入される。これにより、低温領域では、イオン架橋を形成した低光沢トナー主成分に対しポリヒドロキシアルカン酸が相溶せず、低光沢が維持されるトナーを製造できる。また、高温領域では、当該ポリヒドロキシアルカン酸と低光沢トナー主成分とが相溶し、トナー全体としての粘弾性が低下することから、高光沢化するトナーを製造できる。
〔アルミニウム原子〕
本発明の静電荷像現像用トナーは、トナー粒子がアルミニウム原子を含有することを特徴とする。
本発明に用いられるアルミニウム原子をトナー粒子に含有させる方法は、特に限定されないが、例えば、硫酸アルミニウム等の凝集剤を用いて含有させる方法が挙げられる。
本発明において、アルミニウム原子は、本発明のトナー全体に対し0.020〜0.060質量%の範囲内で含有されていることが好ましい。これにより、非晶性ポリエステルとアルミニウム原子との間により効率よくイオン架橋を形成することができるため、低温定着性に優れ、かつ、より低光沢性に優れる静電荷像現像用トナーを提供できる。
なお、アルミニウム原子の含有量が、静電荷像現像用トナー全体に対し0.020質量%以上である場合、目標の光沢より高くなることを防ぎ、分離性の悪化を抑制することができる。アルミニウム原子の含有量が、静電荷像現像用トナー全体に対し0.060質量%以下である場合、目標の光沢よりも低くなることを防ぎ、低温定着性の悪化を抑制する。
〔凝集剤〕
凝集剤としては、アルミニウムを含む無機金属塩、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩を用いることができる。
凝集剤を構成するアルミニウムを含む無機金属塩としては、例えば、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。また、アルカリ金属としては、例えばリチウム、カリウム、ナトリウムなどが挙げられ、凝集剤を構成するアルカリ土類金属としては、例えばマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられる。これらのうちでは、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが好ましい。
また、これらのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の対イオン(塩を構成する陰イオン)としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオンなどが挙げられる。
結晶性ポリエステル微粒子、非晶性ポリエステル微粒子及びポリアルカン酸微粒子が分散している分散液中に凝集剤を添加する際の当該分散液の温度は、非晶性ポリエステル微粒子のガラス転移点以下であることが好ましい。
凝集剤を添加するときの分散液の温度が、非晶性ポリエステル微粒子のガラス転移点を超える場合には、粒径の制御を行うことが困難となり巨大粒子が生成されやすい。
このように、この工程においては、結晶性ポリエステル微粒子、非晶性ポリエステル微粒子及びポリアルカン酸微粒子とが分散されてなる分散液の温度が、当該非晶性ポリエステル微粒子のガラス転移点以下のときに、当該分散液を撹拌しながら凝集剤を添加し、その後速やかに当該分散液の加熱を開始して、非晶性ポリエステル微粒子のガラス転移点以上の温度とすることが必要である。
本発明のトナーを構成するトナー粒子は、結晶性ポリエステル微粒子、非晶性ポリエステル微粒子及びポリアルカン酸微粒子を含有するコア粒子と、当該コア粒子の表面を樹脂によって被覆するシェル層とよりなるコア・シェル構造を有するものであってもよい。トナー粒子がコア・シェル構造を有するものであることにより、高い製造安定性及び保存安定性を期待することができる。
ここに、コア・シェル構造とは、シェル層がコア粒子を被覆していればよく、シェル層がコア粒子を完全に被覆している形態のみならず、コア粒子の一部を被覆しているものであってもよい。また、シェル層が組成の異なる樹脂よりなる2層以上の多層構造を有するものであってもよい。
このような構成を有するトナーにおいて、シェル層を構成する樹脂(シェル樹脂)の含有割合は、トナー全体に対して5質量%以上であって30質量%以下であることが好ましい。
また、シェル樹脂としては、コア粒子を構成する結晶性ポリエステル以外の樹脂と非相溶性を有し、ガラス転移点の高いものが用いられる。
ここに、シェル樹脂としては、そのガラス転移点が45℃以上であって60℃以下であることが好ましい。また、その重量平均分子量が8000以上であって50000以下であることが好ましい。
このようにトナー粒子がコア・シェル構造を有するものである場合は、まず、結晶性ポリエステル微粒子、非晶性ポリエステル微粒子及びポリアルカン酸微粒子を凝集、融着させてコア粒子を形成し、次いで、シェル樹脂よりなる微粒子をコア粒子に対して凝集させるシェル化工程を行うことにより、製造することができる。
本発明のトナーを構成するトナー粒子は、必要に応じて、着色剤、磁性粉、荷電制御剤及び離型剤などの内添剤を含有するものであってもよい。
このようにトナー粒子が着色剤、離型剤、荷電制御剤、磁性粉などの内添剤を含有するものである場合は、非晶性ポリエステル微粒子をこれらの内添剤を含有するものとして形成することにより、トナー粒子に導入することができる。また、内添剤微粒子の分散液を調製し、これを凝集工程において添加して結晶性ポリエステル微粒子、非晶性ポリエステル微粒子及びポリアルカン酸微粒子とともに凝集、融着させることにより、トナー粒子に導入することもできる。また、これらの方法を組み合わせてもよい。
〔着色剤〕
着色剤としては、公知の無機又は有機着色剤を使用することができる。以下に、具体的な着色剤を示す。
黒色の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどのカーボンブラックや、マグネタイト、フェライトなどの磁性粉が挙げられる。
また、マゼンタ又はレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。
また、オレンジ又はイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138などが挙げられる。
また、グリーン又はシアン用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
〔離型剤〕
離型剤としては、公知の種々のワックスを用いることができる。
ワックスの具体的としては、例えばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス;マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス;パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス;ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス;カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘニル、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、マレイン酸ジステアリルなどのエステル系ワックス;エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
上記工程(A)から(C)までを経て、濾過、洗浄し、乾燥をすることで、トナー粒子ができる。
なお、濾過、洗浄及び乾燥の方法は、公知の種々の方法を採用して行うことができる。
〔トナー粒子の粒径〕
本発明のトナーを構成するトナー粒子の粒径は、例えば体積基準のメジアン径で3〜10μmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは5〜8μmの範囲内とされる。
体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。
トナー粒子の体積基準のメジアン径は、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にデータ処理用のコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した測定装置を用いて測定・算出される。
具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加してなじませた後、超音波分散処理を1分間行い、トナー粒子の分散液を調製し、このトナー粒子の分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が5〜10%の範囲内になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を100μmにし、測定範囲である2〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径を体積基準のメジアン径とする。
〔トナー粒子の円形度〕
本発明のトナーを構成するトナー粒子は、転写効率の向上の観点から、平均円形度が0.930〜1.000の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.950〜0.995の範囲内である。
トナー粒子の円形度は、「FPIA−2100」(Sysmex社製)によって測定される値である。
具体的には、市販の専用シース液に界面活性剤を溶解させたものに試料(トナー)を添加してなじませた後、超音波分散処理を1分間行って分散液を調製し、この分散液について、「FPIA−2100」を用い、測定条件をHPF(高倍率撮像)モードとし、HPF検出数3000〜10000個の範囲内の適正濃度にて測定を行う。ここで、この範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、この測定によって得られた測定値に基づいて下記式(T)で示される円形度を算出する。
式(T):円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
また、平均円形度は、上記の円形度の測定対象である各トナー粒子の円形度の平均値、すなわち各トナー粒子の円形度を足し合わせ、全トナー粒子数で割り算することによって算出される。
(外添剤の添加)
上述のようにして作製されたトナー粒子は、そのままトナーとして使用することが可能であるが、トナーとしての帯電性能や流動性、あるいはクリーニング性を向上させる観点から、その表面に公知の無機微粒子や有機微粒子などの粒子、滑材を外添剤として添加することが好ましい。
外添剤の具体例としては、例えばシリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などの無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいはチタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などの無機微粒子が挙げられる。
これら無機微粒子は、耐熱保管性及び環境安定性の観点から、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって表面処理が行われたものであることが好ましい。
外添剤の添加量は、トナー100質量部に対して0.05〜5質量部の範囲内、好ましくは0.1〜3質量部の範囲内とされる。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
外添剤の添加方法としては、乾燥されたトナー粒子に外添剤を粉体で添加する乾式法が挙げられ、混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミルなどの機械式の混合装置が挙げられる。
〔現像剤〕
本発明のトナーは、磁性又は非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
本発明のトナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄などの強磁性金属、強磁性金属とアルミニウム及び鉛などの合金、フェライト及びマグネタイトなどの強磁性金属の化合物などの従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散したバインダー型キャリアなどを用いることもできる。コートキャリアを構成する被覆樹脂としては、特に限定はないが、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。また、樹脂分散型キャリアを構成する樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えばスチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
キャリアの体積基準のメジアン径は、20〜100μmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは20〜60μmの範囲内である。
キャリアの体積基準のメジアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
〔画像形成方法〕
以上のトナーは、接触加熱方式による定着工程を含む画像形成方法に好適に用いることができる。画像形成方法としては、具体的には、以上のようなトナーを使用して、例えば像担持体上に静電的に形成された静電潜像を、現像装置において現像剤を摩擦帯電部材によって帯電させることにより顕在化させてトナー画像を得る。そして、このトナー像を用紙に転写し、その後、用紙上に転写されたトナー画像を接触加熱方式の定着処理によって用紙に定着させることにより、可視画像が得られる。
(定着工程)
本発明の定着工程には、いわゆる接触加熱方式の定着方法が好適に適用できる。接触加熱方式としては、特に熱圧定着方式、さらには熱ロール定着方式及び固定配置された加熱体を内包した回動する加圧部材により定着する圧接加熱定着方式を挙げることができる。
熱ロール定着方式の定着方法においては、通常、表面にフッ素樹脂等が被覆された鉄やアルミニウム等よりなる金属シリンダー内部に熱源が備えられた上ローラーと、シリコーンゴム等で形成された下ローラーとから構成された定着装置が用いられる。
熱源としては、線状のヒーターが用いられ、ヒーターによって上ローラーの表面温度が150〜220℃程度の範囲内に加熱される。上ローラー及び下ローラー間には圧力が加えられており、この圧力によって下ローラーが変形されることにより、変形部にいわゆるニップが形成される。ニップの幅は1〜10mmの範囲内、好ましくは1.5〜7mmの範囲内とされる。定着線速は40〜600mm/secの範囲内とされることが好ましい。ニップの幅が過小である場合には、熱を均一にトナーに付与することができなくなり、定着ムラが発生する場合がある。一方、ニップ幅が過大である場合には、トナー粒子に含有されるポリエステル樹脂の溶融が促進され、定着オフセットが発生する場合がある。
また、本発明に係る定着工程は、任意に切り替え可能な、低光沢モードで画像形成を行うときの定着温度をTL(℃)とし、かつ、高光沢モードで画像形成を行うときの定着温度をTH(℃)としたとき、TH−TL≧30℃であることが好ましい。これにより、低温定着性と低光沢とを両立させ、かつ1種類のトナーで高光沢又は低光沢の画像を形成することができる。なお、TL、THは特に限定されないが、THは190〜220℃の範囲内であり、TLは150〜180℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、THは190〜210℃の範囲内であり、TLは150〜170℃の範囲内である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
(非晶性ポリエステル1〜3の合成)
表1に示す酸成分及びアルコール成分で、非晶性ポリエステル1〜3を下記のようにして合成した。
Figure 0006065757
(非晶性ポリエステル1の合成)
テレフタル酸85質量部、トリメリット酸6質量部、フマル酸18質量部、ドデセニルコハク酸無水物80質量部、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物(BPA・PO)381質量部、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物(BPA・EO)62質量部を撹拌機、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に入れ、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した。次に、チタンテトラブトキサイド0.1質量部を添加し、窒素ガス気流下において約180℃で8時間撹拌反応を行った。さらに、チタンテトラブトキサイド0.2質量部を添加し、温度を約220℃に上げ6時間撹拌反応を行った後、反応容器内を10mmHg(1.33kPa)まで減圧した。この減圧下で、さらに反応を行い、淡黄色透明な非晶性ポリエステル1を得た。
(非晶性ポリエステル2の合成)
トリメリット酸の代わりにトリメシン酸を用いた以外は、非晶性ポリエステル1の合成と同様にして、非晶性ポリエステル2を得た。
(非晶性ポリエステル3の合成)
テレフタル酸を91質量部使用し、トリメリット酸を使用しないこと以外は、非晶性ポリエステル1の合成と同様にして、非晶性ポリエステル3を得た。
(結晶性ポリエステル1〜4の合成)
表2に示す酸成分及びアルコール成分で、結晶性ポリエステル1〜4を下記のようにして合成した。
Figure 0006065757
(結晶性ポリエステル1の合成)
1,10−ドデカン二酸345質量部、1,9−ノナンジオール252質量部を撹拌機、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に入れ、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した。次に、チタンテトラブトキサイド0.1質量部を添加し、窒素ガス気流下において約180℃で8時間撹拌反応を行った。さらに、チタンテトラブトキサイド0.2質量部を添加し温度を約220℃に上げ6時間撹拌反応を行った後、反応容器内を10mmHg(1.33kPa)まで減圧した。この減圧下で、さらに反応を行い、淡黄色透明な結晶性ポリエステル1を得た。
(結晶性ポリエステル2の合成)
1,10−ドデカン二酸の代わりにセバシン酸304質量部、1,9−ノナンジオールの代わりに1,10−デカンジオール275質量部用いた以外は、結晶性ポリエステル1の合成と同様にして結晶性ポリエステル2を得た。
(結晶性ポリエステル3の合成)
1,10−ドデカン二酸の代わりにオクタン二酸261質量部、1,9−ノナンジオールの代わりに1,8−オクタンジオール230質量部用いた以外は、結晶性ポリエステル1の合成と同様にして結晶性ポリエステル3を得た。
(結晶性ポリエステル4の合成)
1,10−ドデカン二酸の代わりにアジピン酸219質量部、1,9−ノナンジオールの代わりに1,6−ヘキサンジオール186質量部用いた以外は、結晶性ポリエステル1の合成と同様にして結晶性ポリエステル4を得た。
(非晶性ポリエステル分散液1から3の調製)
下記のようにして、非晶性ポリエステル分散液1から3を調製した。
(非晶性ポリエステル分散液1の調製)
(非晶性ポリエステル1)200質量部を酢酸エチル200部に溶解した。非晶性ポリエステル酢酸エチル溶液を撹拌しつつ、イオン交換水800質量部にポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム1質量%になるよう溶解した水溶液を撹拌しつつゆっくりと滴下を行った。この溶液を減圧下、酢酸エチルを除去した後、アンモニアでpHを8.5に調整した(液温は30℃)。固形分濃度を20%に調整した。
(非晶性ポリエステル分散液2、3の調製)
非晶性ポリエステル1に代えて、非晶性ポリエステル2、3を用いた以外は、非晶性ポリエステル分散液1の調製と同様にして分散液を調製した。
(結晶性ポリエステル分散液1から4の調製)
下記のようにして、結晶性ポリエステル分散液1から4を調製した。
(結晶性ポリエステル分散液1の調製)
(結晶性ポリエステル1)200質量部を酢酸エチル200部に溶解した。結晶性ポリエステル酢酸エチル溶液を撹拌しつつ、イオン交換水800質量部にポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム1質量%になるよう溶解した水溶液を撹拌しつつゆっくりと滴下を行った。この溶液を減圧下、酢酸エチルを除去した後、アンモニアでpHを8.5に調整した(液温は70℃)。固形分濃度は20%に調整した。
(結晶性ポリエステル分散液2から4の調製)
結晶性ポリエステル1に代えて、結晶性ポリエステル2から4を用いた以外は、結晶性ポリエステル分散液1の調製と同様にして分散液を調製した。
(ポリヒドロキシアルカン酸分散液1から5の調製)
下記のようにして、ポリヒドロキシアルカン酸分散液1から5を調製した。
(ポリヒドロキシアルカン酸分散液1の調製)
ポリヒドロキシアルカン酸として、ポリ乳酸TE−2000(ユニチカ株式会社製、融点170℃)を酢酸エチル400質量部に撹拌しながら添加し、加熱溶解させた。次に、当該溶液に界面活性剤として0.26質量%のラウリル硫酸ナトリウム水溶液400質量部を添加し、超音波ホモジナイザーUS−150T(株式会社日本精機製作所製)を用いて、V−LEVEL 300μAで30分間超音波分散した。次いで、50℃に加熱し、減圧下、ダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)で5時間撹拌して酢酸エチルを完全に除去し、固形分量20%の分散液を得た。
(ポリヒドロキシアルカン酸分散液2から5の調製)
ポリヒドロキシアルカン酸として融点が、164℃(三井化学株式会社製、H−100)、195℃(株式会社ビーエムジー製)、156℃(三井化学株式会社製、H−440)、218℃(帝人株式会社製、バイオフロント)のポリ乳酸を用いた以外は、ポリヒドロキシアルカン酸分散液1の調製と同様にして各分散液を得た。
(着色剤分散液の調製)
銅フタロシアニン(C.I.Pigment Blue 15:3)50質量部を、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム1質量%をイオン交換水200質量部に溶解した界面活性剤水溶液に投入後、超音波ホモジナイザーを用いて分散を行った。固形分濃度は20%に調整した。
(離型剤分散液の調製)
離型剤(フッシャートロプシュワックス FNP−0090 融点89℃、日本精蝋社製)200質量部を95℃に加温し溶融させた。さらに、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム3質量%となるよう添加したイオン交換水800質量部に溶解した界面活性剤水溶液に投入後、超音波ホモジナイザーを用いて分散を行った。固形分濃度は20%に調整した。
(トナー粒子1から19の製造)
トナー粒子1から19を下記のようにして製造した。
(トナー粒子1の製造)
(非晶性ポリエステル分散液1)400質量部、(結晶性ポリエステル分散液1)100質量部、離型剤分散液50.0質量部、着色剤分散液25.0質量部、イオン交換水265.7質量部を撹拌機、冷却管、温度計を備えた反応容器に投入し、撹拌しつつ0.1N−水酸化ナトリウムを加え、液温25℃でpHを10に調整し、硫酸アルミニウム水溶液(固形分濃度0.3%)103.6質量部を10分間で滴下し、凝集を開始させる。
硫酸アルミニウム水溶液を滴下した後、撹拌しつつ内温を75℃まで昇温した。内温が75℃に到達した時点で、(ポリヒドロキシアルカン酸分散液1)35.0質量部を滴下により投入した。さらに、コールターカウンターを用い粒径を測定し、平均粒径が6μm台に達したところで、塩化ナトリウム16.8質量部をイオン交換水67.2質量部に溶解した塩化ナトリウム水溶液を加えた。粒径成長を停止し内温を85℃まで昇温し、FPIA−2000を用い形状係数が0.960になった時点で、10℃/minの速度で室温まで冷却した。冷却した反応液を、濾過、洗浄を繰り返した後乾燥した。これにより、平均粒径が6.10μm、形状係数が0.965のトナー粒子1を得た。
(トナー粒子2から18の製造)
結晶性ポリエステル、非晶性ポリエステル、ポリヒドロキシアルカン酸の融点と量、アルミニウム含有量を表3に記載のように変更した以外は、トナー粒子1と同様にしてトナー粒子2から18を得た。
(トナー粒子19の製造)
(非晶性ポリエステル分散液1)400質量部、(結晶性ポリエステル分散液1)100質量部、離型剤分散液50.0質量部、着色剤分散液25.0質量部、イオン交換水250.2質量部を撹拌機、冷却管、温度計を備えた反応容器に投入し、撹拌しつつ0.1N−水酸化ナトリウムを加え、液温25℃でpHを10に調整し、硫酸アルミニウム水溶液(固形分濃度0.3%)97.2質量部を10分間で滴下した後、撹拌しつつ内温を75℃まで昇温し内温を維持した。コールターカウンターを用い粒径を測定し、平均粒径が6μm台に達したところで、塩化ナトリウム15.9質量部をイオン交換水63.6質量部に溶解した塩化ナトリウム水溶液を加え、粒径成長を停止し内温を85℃まで昇温しFPIA−2000を用い形状係数が0.960になった時点で、10℃/minの速度で室温まで冷却した。冷却した反応液を、濾過、洗浄を繰り返した後乾燥した。これにより、平均粒径が6.27μm、形状係数が0.964のトナー粒子19を得た。
(現像剤1から19の作製)
得られたトナー粒子1から19に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)1質量%及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)1質量%を添加し、「ヘンシェルミキサー」(三井三池化工機社製)により混合した。その後、45μmの目開きのふるいを用いて粗大粒子を除去する外添剤処理を施した。これをトナー〔1〕から〔19〕とする。
このトナー〔1〕から〔19〕に、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを、前記トナーの濃度が6質量%になるよう混合することにより、現像剤〔1〕から〔19〕を調製した。
<評価>
〔光沢評価〕
画像形成装置として、熱ローラー定着方式による定着装置を有する、市販の複合機「bishub PRO C6501」(コニカミノルタ社製)を用い、この複合機に現像剤を各々投入した。上記定着装置の加熱部材の低光沢モード及び高光沢モード時における表面温度と、使用する現像剤とをそれぞれ表3に記載のようにした。常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下において、低光沢モード時には「Jペーパー(64g/m)」(コニカミノルタ社製)、高光沢モード時には「POD128gグロスコート(128g/m)」(王子製紙社製)上に画像を形成した。転写紙上のトナー量1.2mg/cmに設定したベタ画像の光沢度を測定した。
なお、実施例1〜13及び比較例1〜6では低光沢モードの定着温度(TL)を170℃、高光沢モードの定着温度(TH)を200℃に、実施例14では低光沢モードの定着温度を180℃、高光沢モードの定着温度を200℃に、実施例15では低光沢モードの定着温度を150℃、高光沢モードの定着温度を220℃に、実施例16では低光沢モードの定着温度を150℃、高光沢モードの定着温度を210℃に、実施例17では低光沢モードの定着温度を150℃、高光沢モードの定着温度を190℃に設定して光沢評価を行った。
また、光沢度は、光沢度計「Gloss Meter」(村上色彩工学研究所製)を用い、屈折率1.567のガラス表面を基準として入射角75°で測定した。
<評価基準>
○:高光沢モード時70%以上かつ低光沢モード時30%未満
×:高光沢モード時70%未満あるいは低光沢モード時30%以上
Figure 0006065757
表3に示した結果より、実施例1〜17(本発明)は、低温定着性と低光沢とを両立させ、かつ1種類のトナーで高光沢及び低光沢の画像を形成できることが認められた。
一方、比較例1〜6は、低温定着性と低光沢とを両立させ、かつ1種類のトナーで高光沢及び低光沢の画像を形成できることは認められなかった。

Claims (5)

  1. 少なくとも、結晶性ポリエステルと、非晶性ポリエステルと、ポリヒドロキシアルカン酸と、アルミニウム原子とからなるトナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、
    前記結晶性ポリエステルは、2価のカルボン酸成分及び2価のアルコール成分からなる縮合物であり、
    前記非晶性ポリエステルは、2価及び3価のカルボン酸成分並びに多価アルコール成分からなる縮合物であり、
    前記ポリヒドロキシアルカン酸は、融点が160〜200℃の範囲内にあるポリヒドロキシアルカン酸であり、
    前記アルミニウム原子は、前記静電荷像現像用トナー全体に対し0.020〜0.060質量%の範囲内で含有されていることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 前記3価のカルボン酸が、トリメリット酸であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記ポリヒドロキシアルカン酸の含有量が、静電荷像現像用トナー全体に対し1〜10質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーを製造する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
    (A)前記結晶性ポリエステルの微粒子の分散液を調製する結晶性ポリエステル分散液調製工程と、
    (B)前記非晶性ポリエステルの微粒子の分散液を調製する非晶性ポリエステル分散液調製工程と、
    (C)前記ポリヒドロキシアルカン酸の微粒子の分散液を調製するポリヒドロキシアルカン酸分散液調製工程と、
    (D)前記アルミニウム原子を含有する凝集剤によって、前記結晶性ポリエステルの微粒子、前記非晶性ポリエステルの微粒子を凝集、融着させた後、さらに前記ポリヒドロキシアルカン酸の微粒子を凝集、融着させることでトナー粒子を形成する凝集工程と、
    を有し、
    前記ポリヒドロキシアルカン酸は、融点が160〜200℃の範囲内にあるポリヒドロキシアルカン酸であり、
    前記アルミニウム原子は、前記静電荷像現像用トナー全体に対し0.020〜0.060質量%の範囲内で含有されることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  5. 加熱方式による定着工程を含む画像形成方法であって、
    請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーを使用し、
    前記定着工程は、
    低光沢モードで画像形成を行うときの定着温度をTL(℃)とし、かつ、高光沢モードで画像形成を行うときの定着温度をTH(℃)としたとき、TH−TL≧30℃であることを特徴とする画像形成方法。
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