JP2015000893A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】射出成形時に高い流動性を有し、成形品においてヤケ、シルバーなどの発生が抑制された、射出成形材料としての熱可塑性樹脂組成物を提供する。【解決手段】少なくともポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂及び滑剤を含む熱可塑性樹脂組成物で、前記滑剤が下記一般式(1)又は(2)で表される化合物を含む。(R1は、アルキルジヒトロキシル基又はアルキルトリビロキシル基であり、R2は置換もしくは非置換のC11〜40のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、又はシクロアルキニル基であり、R3、R4は各々独立してH、置換もしくは非置換のC1〜40のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、又はシクロアルキニル基であり、R3とR4とのCの和が11〜40である。)【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物に関する。具体的には、射出成形に適した高い流動性を有し、成形品において優れた外観を与える、熱可塑性樹脂組成物に関する。
現在、ポリカーボネート樹脂や熱可塑性のポリエステル樹脂などの樹脂およびその樹脂組成物は、優れた成形加工性、機械的物性、耐熱性、耐候性、外観性、衛生性および経済性などの観点から、容器、包装用フィルム、家電機器、OA機器、AV機器、電気・電子部品および自動車部品などの成形材料として幅広い分野で使用されている。そのため、このような熱可塑性樹脂およびその樹脂組成物の成形品の使用量は多く、年々増加の一途を辿っている。従って、使用済みとなって廃棄される成形品の量も益々増加し、深刻な社会問題となっている。
近年、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)」や「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)」などの法律が相次いで施行されることにより、このような熱可塑性樹脂およびその樹脂組成物の成形品のマテリアルリサイクル技術に対する関心が高まってきている。特に、使用量が急速に増加しているポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」ともいう。)樹脂を材料とするPETボトルのマテリアルリサイクル技術の確立は急務とされている。また、CD、CD−R、DVDおよびMDなどのようなポリカーボネート樹脂を材料とする光学記録媒体製品(光ディスク)の普及に伴い、これらの成形加工時に排出される端材の再利用方法や廃棄物となった光ディスクから反射層、記録層などを剥離した後に得られるポリカーボネート樹脂を再利用する方法の検討がなされている。
市場から回収された使用済みのPETボトルなどのPET樹脂や光ディスクなどのポリカーボネート(以下、「PC」ともいう。)樹脂の成形加工品を粉砕した樹脂を再度成形する場合、特に射出成形法により再度成形する場合においては、様々な成形体に適用できるようにするために、樹脂の特性として成形時に流動性が高いことが求められる。また、成形時、成形材料が熱分解、または残留空気による焼けによって成形品に生じる黒い線(ヤケ)、および成形品の表面または内部に材料の流れ方向に生じる銀白色の条痕(シルバー)のような異物発生が抑制され、成形性の向上した樹脂組成物が求められている。
成形過程での樹脂の流動性を改善し、異物発生を抑えるために、例えば、特許文献1には、熱可塑性樹脂組成物においてジペンタエリスリトールと炭素数が13〜35である飽和脂肪族カルボン酸とのエステルを使用することにより、金属への樹脂の粘着を低減する方法が開示されている。
特開2012−136558号公報
しかしながら、さらに流動性が高く、成形性の向上した熱可塑性樹脂組成物が求められている。
本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、射出成形時に高い流動性を有し、成形品においてヤケ、シルバーなどの発生が抑制された、射出成形材料としての熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、ポリカーボネート樹脂と、ポリエステル樹脂と、滑剤とを含む熱可塑性樹脂組成物において、前記滑剤として特定の化合物を用いることによって、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下のような構成を有する熱可塑性樹脂組成物によって達成される。
1.少なくともポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂および滑剤を含む熱可塑性樹脂組成物において、前記滑剤が下記一般式(1)または(2)で表される化合物を含む、熱可塑性樹脂組成物。
(一般式(1)中、R1は下記化学式で表される構造を有し、
R2は置換もしくは非置換の炭素数11〜40のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、またはシクロアルキニル基であり、
一般式(2)中、R3、R4はそれぞれ独立して水素原子、置換もしくは非置換の炭素数が1〜40のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、またはシクロアルキニル基であり、R3とR4との炭素数の和が11〜40である。)
2.前記ポリカーボネート樹脂と前記ポリエステル樹脂との合計質量100質量部に対して、前記滑剤0.01〜5質量部を含む、前記1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
本発明によれば、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂とを含む熱可塑性樹脂組成物に、特定の滑剤を用いることで、射出成形時の熱可塑性樹脂組成物の流動性が向上しうる。また、成形品のヤケおよびシルバーの発生を抑制し、優れた外観を有する成形品を与えうる。
以下、本発明の実施形態につき説明する。
本発明の一実施形態によれば、少なくともポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂および滑剤を含む熱可塑性樹脂組成物において、前記滑剤が下記一般式(1)または(2)で表される化合物を含む、熱可塑性樹脂組成物が提供される。
(一般式(1)中、R1は下記化学式で表される構造を有し、
R2は置換もしくは非置換の炭素数11〜40のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、またはシクロアルキニル基であり、
一般式(2)中、R3、R4はそれぞれ独立して水素原子、置換もしくは非置換の炭素数が1〜40のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、またはシクロアルキニル基であり、R3とR4との炭素数の和が11〜40である。)
以下、本発明について詳細に説明する。
(ポリカーボネート樹脂)
ポリカーボネート樹脂とは、芳香族二価フェノール系化合物とホスゲンまたは炭酸ジエステルとを反応させることにより得られる、芳香族ホモまたはコポリカーボネート樹脂でありうる。このようなポリカーボネート樹脂の製造方法としては特に制限されず、公知の方法を採用することができ、例えば、芳香族二価フェノール系化合物にホスゲンなどを直接反応させる方法(界面重合法)や、芳香族二価フェノール系化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸ジエステルとを溶融状態でエステル交換反応させる方法(溶液法)などが挙げられる。
芳香族ホモまたはコポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、1×104〜1×106の範囲であることが好ましい。ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、「CBM−20Aliteシステム」および「GPCソフトウェア」(以上、島津製作所社製)を用いて測定されるものである。
芳香族二価フェノール系化合物の例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、および1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどが挙げられ、これらを単独あるいは混合物として使用することができる。
炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトルイルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネートなどのジアリールカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのジアルキルカーボネート、ホスゲンなどのカルボニルハライド、2価フェノールのジハロホルメートなどのハロホルメートなどを用いることができるが、これらに限定されるものではない。これらの中では、ジフェニルカーボネートが好ましい。これらの炭酸ジエステルもまた、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリカーボネート樹脂としては、例えば、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンまたは1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンのような三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよい。また、得られたポリカーボネート樹脂を2種またはそれ以上混合して得られた混合物であってもよい。
また、ポリカーボネート樹脂は、使用済みとなって廃棄された成形加工品から得られたポリカーボネート樹脂(再生ポリカーボネート樹脂)であってもよい。
本発明の樹脂組成物におけるポリカーボネート樹脂の含有量は、特に制限されないが、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂との合計質量に対して、30〜98%質量%であることが好ましく、より好ましくは40〜98質量%、より好ましくは40〜95質量%である。
(ポリエステル樹脂)
ポリエステル樹脂は、特に制限されないが、好ましくは芳香族ジカルボン酸あるいはそのエステル誘導体成分と、脂肪族ジオールや脂環族ジオールなどのジオール成分とがエステル反応により連結した構造を有する芳香族ポリエステルである。ポリエステル樹脂は、例えば、芳香族ジカルボン酸あるいはそのエステル誘導体成分と、脂肪族ジオールまたは脂環族ジオールなどとを公知の方法で重縮合して得られるものを用いることができる。
芳香族ジカルボン酸の例としては、特に制限されないが、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルフォンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、2,5−アントラセンジカルボン酸、2,6−アントラセンジカルボン酸、4,4’−p−ターフェニレンジカルボン酸および2,5−ピリジンジカルボン酸などが挙げられる。
脂肪族ジオールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコールおよびトリエチレングリコールなどが挙げられる。脂環族ジオールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
これらの芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジオールまたは脂環族ジオールは共に上記化合物を各々単独または2種以上組み合わせて用いることができる。さらに、本発明の樹脂組成物を構成するポリエステル樹脂は、全構造単位に基づいて1モル%以下であれば、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメリット酸、ピロメリット酸などの3官能以上のモノマーから誘導される構造成分を有していてもよい。
具体的には、ポリエステル樹脂の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどのほか、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレートなどの共重合ポリエステルが挙げられる。これらのなかでも、相溶性の面から特にポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートが好ましい。
さらに、ポリエステル樹脂は、回収ポリエステル(再生材)であってもよい。回収ポリエステルの例にとしては、ポリエチレンテレフタレ−トボトル(ペットボトル)、およびポリエチレンテレフタレ−トフィルム(ペットフィルム)の再生材などが挙げられる。
ポリエステル樹脂は、0.5%のo−クロロフェノール溶液中、25℃の温度で測定した固有粘度が0.70〜1.9、特に1.0〜1.7のものが好ましい。固有粘度がこの範囲内であれば、特に成形性と物性バランスに優れた熱可塑性樹脂組成物が得られる。この固有粘度は、フェノール/テトラクロロエタン(質量比:1/1)混合溶媒を用いて30℃で測定したときの値である。
本発明の樹脂組成物におけるポリエステル樹脂の含有量は、特に制限されないが、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂との合計質量に対して、2〜70質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜60質量%、より好ましくは5〜60質量%である。
(滑剤)
本発明の樹脂組成物は、滑剤として下記一般式(1)または(2)で表される化合物を含む。
(一般式(1)中、R1は下記化学式で表される構造を有し、
R2は置換もしくは非置換の炭素数11〜40のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、またはシクロアルキニル基であり、
一般式(2)中、R3、R4はそれぞれ独立して水素原子、置換もしくは非置換の炭素数が1〜40のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、またはシクロアルキニル基であり、R3とR4との炭素数の和が11〜40である。)
上記一般式(1)または一般式(2)で表される化合物は、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂とを含む熱可塑性樹脂組成物において滑剤として作用しうる。
上記一般式(1)または一般式(2)で表される化合物は、SP値がポリカーボネート樹脂のSP値に近い。そのため、滑剤と樹脂とが馴染みやすく、滑剤が樹脂組成物中に均一に分散される。そのため、高い流動性を有する樹脂組成物が得られうる。さらに、樹脂組成物の流動性が十分に高いため、射出成形時に樹脂組成物が熱分解することによって、または樹脂組成物が残留空気によって焼けることによって成形品に生じる変色または黒い線(ヤケともいう)の発生を抑制することができる。また、樹脂組成物の流動性が十分に高いため、成形品の表面または内部に材料の流れ方向に生じる銀白色の条痕(シルバーともいう)の発生を抑制することができる。その結果、成形性が向上し、優れた外観を有する成形品を与える、熱可塑性樹脂組成物が得られうる。
ここで、SP値とは、25℃における溶解性パラメータδであって、それぞれの化合物の蒸発エネルギーΔEおよびモル体積Vから、δ=(ΔE/V)1/2から算出される化合物に固有の値であり、化合物の溶解性を予測するための一つの尺度である。SP値が大きいほど極性が高く、SP値が小さいほど極性が低いことを示す。そして、2種の化合物を混合する場合に、両者のSP値の差が小さいほど相溶性が高くなる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いられる滑剤のうち、上記一般式(1)または(2)で表される化合物の含有量は80〜100質量%であることが好ましく、90〜100質量%であることが好ましく、100質量%であることが好ましい。上記一般式(1)または(2)で表される化合物の以外の滑剤としては特に制限されず、従来公知のものが用いられうる。
上記一般式(1)または一般式(2)で表される化合物の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリオール化合物とカルボン酸化合物とを原料として、従来公知の方法を用いて製造することができる。例えば、一般式(1)で表される化合物は、R1OHとR2COOHとを縮合反応させることで製造されうる。例えば、一般式(2)で表される化合物は、C(CH2OH)4とR3COOHとR4COOHとを原料として用いて従来公知の方法で製造することができる。
この際、カルボン酸化合物(R2COOH、R3COOH、R4COOH)におけるR2、R3およびR4は、それぞれ一般式(1)または(2)のR2、R3およびR4に対応し、これらのカルボン酸化合物は一般式(1)または(2)の化合物を生成しうるものであればよいが、例えばギ酸、ペンタン酸、ヘプタン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸、エルカ酸、モンタン酸などが挙げられる。
反応触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ならびに2−エチルヘキシルスズなどの有機スズ化合物が挙げられる。
なお、一般式(1)または(2)で表される化合物は、市販の化合物を用いてもよい。
一般式(1)中、R2は置換もしくは非置換の炭素数11〜40のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、またはシクロアルキニル基である。R2の炭素数が40よりも大きい場合、滑剤のSP値が小さくなり、樹脂のSP値と離れてしまうため、樹脂中で均一に分散しにくくなる。そのため、熱可塑性樹脂組成物中の滑剤の分布に偏りができてしまい、流動性が十分に向上しない。また、R2の炭素数が11よりも小さい場合、滑剤の分子量が小さくなり、熱可塑性樹脂組成物中に低分子量成分が多くなるため、強度が低下してしまう。好ましくは、R2の炭素数は、13〜35である。
好ましくは、R2は置換もしくは非置換の炭素数11〜40のアルキル基またはアルケニル基であり、より好ましくは置換もしくは非置換の炭素数11〜40のアルキル基である。R2がアルキル基またはアルケニル基であれば、活剤のSP値が樹脂のSP値により近くなり、滑剤の分散性が向上し、樹脂の流動性が向上しうる。
一般式(2)中、R3、R4はそれぞれ独立して水素原子、置換もしくは非置換の炭素数が1〜40のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、またはシクロアルキニル基であり、R3とR4との炭素数の和が11〜40である。
R3とR4との炭素数の和が40よりも大きい場合、滑剤のSP値が小さくなり、樹脂のSP値と離れてしまうため、樹脂中で均一に分散しにくくなる。そのため、熱可塑性樹脂組成物中の滑剤の分布に偏りができてしまい、流動性が十分に向上しない。また、R3とR4との炭素数の和が11よりも小さい場合、滑剤の分子量が小さくなり、熱可塑性樹脂組成物中に低分子量成分が多くなるため、強度が低下してしまう。好ましくは、R3とR4との炭素数の和は、13〜35である。
また、R3およびR4はそれぞれ水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜40のアルキル基またはアルケニル基であり、好ましくは置換もしくは非置換の炭素数1〜40のアルキル基である。R3およびR4がアルキル基またはアルケニル基であれば、活剤のSP値が樹脂のSP値により近くなり、滑剤の分散性が向上し、樹脂の流動性が向上しうる。
ここで、アルキル基としては、上記の炭素数、または炭素数の和を有するものから選択され、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−イソプロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2−メチル−1−イソプロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチル−1−イソプロピルブチル基、2−メチル−1−イソプロピル基、1−t−ブチル−2−メチルプロピル基、n−ノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、n−ヘンエイコシル基、n−ドコシル基、n−トリコシル基、n−テトラコシル基、n−ペンタコシル基、n−ヘキサコシル基、n−ヘプタコシル基、n−オクタコシル基、n−トリアコンチル基、n−ヘントリアコンチル基、n−ドトリアコンチル基、n−トリトリアコンチル基、n−テトラトリアコンチル基、n−ぺンタトリアコンチル基などが挙げられる。
アルケニル基としては、上記の炭素数、または炭素数の和を有するものであれば特に制限されないが、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ヘンエイコセネル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、上記の炭素数、または炭素数の和を有するものであれば特に制限されないが、例えば、2−ブチニル基、3−ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、デシニル基、ドデシニル基等が挙げられる。
シクロアルキル基としては、上記の炭素数、または炭素数の和を有するものであれば特に制限されないが、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基などが挙げられる。
シクロアルケニル基としては、上記の炭素数、または炭素数の和を有するものであれば特に制限されないが、例えば、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基、シクロデセニル基、シクロドデセニル基などが挙げられる。
シクロアルキニル基としては、上記の炭素数、または炭素数の和を有するものであれば特に制限されないが、例えば、シクロブチニル基、シクロペンチニル基、シクロヘキシニル基、シクロヘプチニル基、シクロオクチニル基、シクロデシニル基、シクロドデシニル基などが挙げられる。
置換基としては、例えば、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基などが例示できるが、これらに限定されるものではない。
上記一般式(1)で表される化合物としては、C1123COOCH2CHOHCH2OH、C1735COOCH2CHOHCH2OH、C1837COOCH2CHOHCH2OH、C2755COOCH2CHOHCH2OH、CH3(CH27CH=CH(CH211COOCH2CHOHCH2OH、C1123COOCH2C(CH2OH)3、C1735COOCH2C(CH2OH)3、C1837COOCH2C(CH2OH)3、C2755COOCH2C(CH2OH)3、CH3(CH27CH=CH(CH211COOCH2C(CH2OH)3などが好ましく用いられうる。これらの化合物は、ポリカーボネート樹脂を含む樹脂に分散性が高く、樹脂組成物に高い流動性を与え、成形品のヤケおよびシルバーの発生を抑制する効果が高い。
同様に、上記一般式(2)で表される化合物としては、(C613COOCH22C(CH2OH)2、(C1123COOCH22C(CH2OH)2、(C1531COOCH22C(CH2OH)2、(C1735COOCH22C(CH2OH)2、(C1837COOCH22C(CH2OH)2、(CH3COOCH2)(C1123COOCH2)C(CH2OH)2、(CH3COOCH2)(C1531COOCH2)C(CH2OH)2、(CH3COOCH2)(C1735COOCH2)C(CH2OH)2、(CH3COOCH2)(C1837COOCH2)C(CH2OH)2、(CH3COOCH2)(CH3(CH27CH=CH(CH211COOCH2)C(CH2OH)2、(C613COOCH2)(C1123COOCH2)C(CH2OH)2、(C613COOCH2)(C1531COOCH2)C(CH2OH)2、(C613COOCH2)(C1735COOCH2)C(CH2OH)2、(C613COOCH2)(C1837COOCH2)C(CH2OH)2、(C613COOCH2)(CH3(CH27CH=CH(CH211COOCH2)C(CH2OH)2、(C1123COOCH2)(C1531COOCH2)C(CH2OH)2、(C613COOCH2)(C1735COOCH2)C(CH2OH)2、(C613COOCH2)(C1837COOCH2)C(CH2OH)2、(C613COOCH2)(CH3(CH27CH=CH(CH211COOCH2)C(CH2OH)2、(C1531COOCH2)(C1735COOCH2)C(CH2OH)2、(C15310COOCH2)(C1837COOCH2)C(CH2OH)2、(C1530COOCH2)(CH3(CH27CH=CH(CH211COOCH2)C(CH2OH)2、(C1735COOCH2)(C1837COOCH2)C(CH2OH)2、(C1735COOCH2)(CH3(CH27CH=CH(CH211COOCH2)C(CH2OH)2、(C1837COOCH2)(CH3(CH27CH=CH(CH211COOCH2)C(CH2OH)2、などが好ましく用いられうる。
熱可塑性組成物中の滑剤の含有量は特に制限されないが、好ましくは、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂との合計質量100質量部に対して、0.01〜5質量部であり、より好ましくは、0.05〜4.5質量部である。滑剤の含有量がポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂との合計質量100質量部に対して0.01質量部以上であれば、熱可塑性樹脂組成物の流動性を高める効果が大きい。また、5質量部以下であれば、十分な衝撃強度が得られうる。
(他の樹脂成分)
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の目的が達成される範囲で、上述のポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂および滑剤の他に、他の樹脂成分や必要に応じて任意の添加成分を配合することができる。他の樹脂成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、および各種エラストマー類、ABS樹脂などを加えて、成形用樹脂としての性能を改良することができる。
また、任意成分としては、例えば、架橋剤(例えばフェノール樹脂など)、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系、含硫黄有機化合物系、含リン有機化合物系など)、熱安定剤(フェノール系、アクリレート系など)、エステル交換抑制剤(モノステアリルアシッドホスフェ−トとジステアリルアシッドホスフェ−トの混合物など)、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系など)、光安定剤(有機ニッケル系、ヒンダードアミン系など)、上記以外の滑剤(高級脂肪酸の金属塩類、高級脂肪酸アミド類など)、可塑剤(フタル酸エステル類、リン酸エステル類など)、顔料(カーボンブラック、酸化チタン)や染料、難燃剤、帯電防止剤、発泡剤、ドリップ防止剤(例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE))などが挙げられる。
任意成分のさらに他の例には、金属繊維、アラミド繊維、アスベスト、チタン酸カリウムウィスカ、ワラステナイト、ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタンおよび酸化アルミニウムなどの充填材が含まれる。なかでも、ガラス繊維、炭素繊維および金属繊維が好ましく、最も好ましいものは炭素繊維である。これら繊維状充填材の種類は、一般に樹脂の強化用に用いられているものならば特に限定はなく、例えば、長繊維タイプや短繊維タイプのチョプドストランドや、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。
他の樹脂成分の含有量は、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂との合計質量100質量%に対して、0.1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量%である。また、任意成分の含有量は、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂との合計質量100質量%に対して、0.01〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
(熱可塑性樹脂組成物の製造方法)
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては特に限定されない。例えば、少なくともポリカーボネート樹脂と、ポリエステル樹脂と、上述の一般式(1)または(2)で表される化合物を含む滑剤とからなる混合物の溶融混練により、熱可塑性樹脂組成物を得る。この際、溶融混練の前に、あらかじめ各成分を混合する予備混合を行ってもよい。さらに予備混合の後、溶融混練の前に、ポリエステル樹脂の加水分解反応を抑制するために、混合物を乾燥させることが好ましい。また、あらかじめポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂とをドライブレンドなどによって予備混合して真空乾燥しておき、乾燥させた混合物に滑剤を添加して混合し、その混合物を溶融混練してもよい。
当該溶融混練は、バンバリーミキサー、ロール、および単軸または多軸押出機などで行うことができ、好ましくは二軸押出機にて行うことができる。溶融混練条件は特に制限されないが、例えば、溶融混練温度は、240〜300℃の範囲であることが好ましく、250〜280℃の範囲であることがより好ましい。混練圧力は特に限定されないが、1〜20MPaであることが好ましい。
ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂との混練比率は、30〜98質量部のポリカーボネート樹脂に対して、70〜2質量部のポリエステル樹脂とすることが好ましい。また、滑剤は、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂との合計質量に対して0.001〜5質量部用いることが好ましい。
上記のように溶融混練されて得られた溶融状態の高分子混練物は、射出された後、冷却処理することが好ましい。冷却処理は特に限定されず、例えば上記高分子混練物を0〜60℃の水に浸漬して水冷する方法、−40〜60℃の気体で冷却する方法、−40〜60℃の金属に接触させる方法などが用いられうる。
このようにして得られた樹脂組成物は、射出成形法による射出成形時の処理を容易にするために、例えばペレタイザーによって裁断し、ペレットとすることが好ましい。
(樹脂成形体)
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、任意の手法で樹脂成形体に成形することができる。成形の手法の例には、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、異形押出成形、圧縮成形、ガスアシスト成形などが含まれる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の樹脂成形体は、電気・電子部品、自動車部品、機械機構部品、OA機器または家電機器のハウジング部品などに使用可能である。特に、プリンターなどのOA機器の筐体に好ましく用いられる。
本発明の効果を以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
実施例で用いたポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂を以下に示す。
ポリカーボネート樹脂:タフロンA−1900(出光興産(株))
ポリエステル樹脂:ポリエチレンテレフタレート樹脂(ダイヤナイトMA521H−D25(三菱レイヨン(株))
滑剤:例示化合物1〜8、比較化合物1〜8(表1)
[滑剤:各例示化合物の作製方法]
例示化合物1:グリセリン1モル、ドデカン酸1モル、及び水酸化ナトリウム1gを攪拌槽タイプの反応器に仕込み、窒素気流下で200℃、4時間加熱した。この反応の生成物100gに対し、n−ブチレンアルコール200mlを加え、70℃に加熱し、溶解させた後、70℃に加熱した1%硫酸ナトリウム水溶液100mlを加えて混合した。静置5分後下層を分離除去し、上層を減圧乾固して固体状のグリセリン脂肪酸エステルを得た。
例示化合物2:例示化合物1のドデカン酸をモンタン酸に変更したことを除いては、例示化合物1と同様の方法で例示化合物2を得た。
例示化合物3:例示化合物1のドデカン酸をベヘン酸に変更したことを除いては、例示化合物1と同様の方法で例示化合物3を得た。
例示化合物4:例示化合物1のドデカン酸をステアリン酸に替え、グリセリンをペンタエリスリトールに変更したことを除いては、例示化合物1と同様の方法で例示化合物4を得た。
例示化合物5:例示化合物4のステアリン酸を2−メチル−ステアリン酸に変更したことを除いては、例示化合物4と同様の方法で例示化合物5を得た。
例示化合物6:例示化合物4のステアリン酸1モルをヘプタン酸2モルに変更したことを除いては、例示化合物4と同様の方法で例示化合物6を得た。
例示化合物7:例示化合物6のヘプタン酸をヘキサデカン酸に変更したことを除いては、例示化合物6と同様の方法で例示化合物7を得た。
例示化合物8:例示化合物6のヘプタン酸2モルをエルカ酸1モルとギ酸1モルとに変更したことを除いては、例示化合物6と同様の方法で例示化合物8を得た。
比較化合物1:例示化合物1のドデカン酸をヘプタン酸に変更したことを除いては、例示化合物1と同様の方法で比較化合物1を得た。
比較化合物2:例示化合物1のドデカン酸をヘキサテトラコンタン酸に変更したことを除いては、例示化合物1と同様の方法で比較化合物2を得た。
比較化合物3:例示化合物4のドデカン酸をヘプタン酸に変更したことを除いては、例示化合物4と同様の方法で比較化合物3を得た。
比較化合物4:例示化合物4のドデカン酸をヘキサテトラコンタン酸に変更したことを除いては、例示化合物4と同様の方法で比較化合物4を得た。
比較化合物5:例示化合物4のドデカン酸1モルをペンタン酸2モルに変更したことを除いては、例示化合物4と同様の方法で比較化合物5を得た。
比較化合物6:例示化合物5のペンタン酸2モルをエルカ酸1モルと3−メチル−トリコサン酸1モルとに変更したことを除いては、例示化合物5と同様の方法で比較化合物6を得た。
比較化合物7:ペンタエリスリトールテトラステアレート(PETS)(花王社製エキセパールPE−MS)を用いた。
比較化合物8:ステアリン酸アマイド(花王社製脂肪酸アマイドS)を用いた。
[実施例1]
90質量部のポリカーボネート樹脂と、10質量部のポリエステル樹脂とを、V型混合器を用いてドライブレンドし、真空乾燥機を用いてブレンド物を減圧下で100℃、4時間乾燥させた。乾燥させた混合物100質量部と下記表1に示す滑剤(例示化合物1)を、表1に示す所定の質量部でV型混合機を用いてドライブレンドし、その混合物を二軸押出混練機(神戸製鋼社製)の原材料供給口から投入し、吐出量10kg/時および樹脂圧力4MPaの条件にて溶融混練した。二軸混練機から吐出した混練物を、30℃の水に浸漬することによって急冷し、ペレタイザーによりペレット状に粉砕して、樹脂組成物を得た。
[実施例2〜9、比較例1〜9]
滑剤を、下記表1に示す滑剤に変更したことを除いては、実施例1と同様にして、樹脂組成物を得た。
各実施例および比較例で得た樹脂組成物について、以下の評価を行った。結果を下記表2に示す。
(1)流動性
樹脂組成物を100℃で4時間乾燥させた後、射出成形機「J55ELII」(日本製鋼所社製)を用い、棒流動試験片(流路厚さ1mm、流路幅8mm)にて流動長を下記評価基準により評価した。条件は、シリンダ温度280℃、金型温度40℃、射出圧力40MPaとした。流動長が大きいほど流動性が良い。
◎:100mm以上
○:60mm以上100mm未満
△:20mm以上60mm未満(実用上問題なし)
×:20mm未満(実用上問題あり)。
(2)ヤケ・シルバー成形不良の評価
樹脂組成物を100℃で4時間乾燥させた後、射出成形機「J55ELII」(日本製鋼所社製)を用いて、シリンダ設定温度280℃、金型温度40℃、射出圧力40MPaで、幅200mm×長さ200mm×厚み4mmの短冊型試験片を成形した。評価は300ショットを捨てショットとした後、連続100ショットを成形し、ヤケまたはシルバーが観察された成形体の数を計測した。
○:0〜4枚
×:5枚以上。
(3)シャルピー衝撃強度
樹脂組成物を100℃で4時間乾燥させた後、射出成形機「J55ELII」(日本製鋼所社製)を用いて、シリンダ設定温度280℃、金型温度40℃で、100mm×10mm×4mmの短冊型試験片を成形し、「JIS−K7111」に準拠してシャルピー衝撃試験(Uノッチ、R=1mm)を行い、下記評価基準により評価した。
◎:42kJ/m2以上
○:32kJ/m2以上42kJ/m2未満
△:6kJ/m2以上32kJ/m2未満(実用上問題なし)
×:6kJ/m2未満(実用上問題あり)。
上記の表2に示すように、一般式(1)または(2)で表される特定の滑剤を用いた実施例1〜9の樹脂組成物は流動性が高く、成形品はヤケ、シルバーの発生がほとんどみられなかった。これは、一般式(1)または(2)で表される滑剤は、樹脂となじみやすく、樹脂中に均一に分散しているためであると考えられる。特に、滑剤の含有量を樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部とした実施例1〜8では、衝撃強度の高い成形品が得られた。
これに対して、滑剤を用いない比較例1や、一般式(1)または(2)とは異なる構造を有する滑剤を用いた比較例2〜9では、流動性が不十分であった。

Claims (2)

  1. 少なくともポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂および滑剤を含む熱可塑性樹脂組成物において、前記滑剤が下記一般式(1)または(2)で表される化合物を含む、熱可塑性樹脂組成物。
    (一般式(1)中、R1は下記化学式で表される構造を有し、
    R2は置換もしくは非置換の炭素数11〜40のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、またはシクロアルキニル基であり、
    一般式(2)中、R3、R4はそれぞれ独立して水素原子、置換もしくは非置換の炭素数が1〜40のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、またはシクロアルキニル基であり、R3とR4との炭素数の和が11〜40である。)
  2. 前記ポリカーボネート樹脂と前記ポリエステル樹脂との合計質量100質量部に対して、前記滑剤0.01〜5質量部を含む、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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